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EMC試験(エミッション)の技能試験 目 次

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EMC試験(エミッション)の技能試験 目 次
EMC試験(エミッション)の技能試験
−EMI(エミッション)試験における技能試験−
2006年1月
VLAC:Voluntary EMC Laboratory Accreditation Center
(株)電磁環境試験所認定センター
長部 邦広
目 次
•
•
•
•
•
•
•
はじめに
EMI(エミッション)試験と適合性評価
VLAC第1回EMC技能試験の概要
EMI (エミッション)技能試験の課題と対応
EMI (エミッション)技能試験用仲介器
EMI (エミッション)技能試験の評価方法
第1回EMC技能試験の結果と評価
• まとめ
1
はじめに
EMI(エミッション)技能試験の目的
• 試験設備・測定機器システムの性能確認
• 測定技術者能力の見極め
• 試験規格の適切な利用
EMI試験:伝導妨害波+放射妨害波
EMI(エミッション)技能試験における課題
• 国際規格はあるが、標準・基準となる値が無い。
• 試験設備、試験方法にあいまい性がある。
• 実際の被試験機器と仲介器との乖離がある。
EMI(エミッション)試験と適合性評価
• 電気通信への電磁障害を起こさないために電子機器
から発生する電磁妨害波レベルの測定評価を行う。
• 妨害波には、伝導性電磁妨害波と放射性電磁妨害波
がある。
伝導性電磁妨害波測定→伝導妨害波試験
放射性電磁妨害波測定→放射妨害波試験
• 電子機器製品は伝導と放射妨害波両方の試験により
EMI(エミッション)についての適合性が評価される。
2
VLAC 第1回EMC技能試験の概要(1)
• 目的と意義
EMC試験所の試験設備および測定機器システムの特性維持確認を
目的として、統計処理データに基づく他試験所との比較結果から測定
傾向の把握、試験設備・測定システムの異常発見等に役立たせる
• 形式
被試験機器(EUT)を各試験所間に直接巡回させるラウンドロビン形式
仲介器の性能確認を日程前後、および期間中3回、合計5回実施
• 日程
2005年7月から2005年12月まで、23週の内20週を参加サイトに割当て
• 参加試験所数
全参加試験所:22試験サイト
VLAC認定試験所:11試験サイト
放射妨害波試験:22試験設備 伝導妨害波試験:26試験設備
VLAC 第1回EMC技能試験の概要(2)
• 試験規格(CISPR22規格準拠)
伝導妨害波試験(擬似電源回路網による妨害波電圧測定)
放射妨害波試験(距離10mでの妨害波電界強度測定)を実施
• 測定対象機器
コムジェネレータ(仲介器)の発振出力を擬似妨害波として測定
伝導妨害波試験では仲介器内蔵電源からの妨害波も測定
• 測定データ
伝導妨害波試験:6周波数で測定
放射妨害波試験:10周波数で水平偏波、垂直偏波それぞれ測定
各測定周波数での周囲雑音レベル測定
• 評価方法
原則として、ISO/IECガイド43-1で推奨されている統計処理方法
(ロバスト法)で評価
3
第1回EMC技能試験における課題への対応
課題
(1)仲介器のエミッションレベルに対する基準値、標準値は無く、
参加試験所の測定データのみで評価しなければならない。
(2)複数周波数の測定データから技術能力を評価することが
必要である。
対応
(1)供試機器、試験規格に起因する問題点を極力減らす
[放射妨害波試験]
仲介器用電源のコモンモードインピーダンス安定化対策
としてRF-LISNを使用
仲介器の電源ケーブル配置を固定化
(2)評価方法の再検討
周波数毎に測定データを評価する方法から全周波数の複数
データを同一基準で評価する方法の検討
EMI(エミッション)技能試験用仲介器
仲介器(供試機器:EUT)としての条件:
放射妨害波試験と伝導妨害波試験の両方を評価できる。
150kHz∼1000MHzまで発信器の周波数、出力が安定である。
試験配置が容易である。(水平・垂直偏波)
動作条件が固定されている。
第1回EMC技能試験用仲介器として
10MHz コムジェネレータを採用した。
(放射妨害波測定時はコムジェネレータ+RF-LISN)
4
VLAC技能試験用仲介器VPT-Rの特性
• 伝導妨害波、放射妨害波両方の測定に使用
(1)伝導妨害波試験
150KHz∼30MHz
(2)放射妨害波試験
30MHz∼1GHz
VLAC技能試験用仲介器の電気的安定性
仲介器の電気的安定性の確認データ
G-TEMセル内に設置した仲介器からの出力を30MHzから500MHz
の周波数範囲で測定した。
R e pe a t a bi l i t y T e s t (A bso l u t e L e v e l C o m par i s o n )
80
30
40
50
70
100
130
150
200
250
330
400
500
Absolute Level (dBuV)
70
60
50
40
30
20
0
1
2
3
Period
4
5
6
相対的に2dB以内の変動であり、十分な電気的安定性を保っている
5
EMI(エミッション)技能試験の評価方法
• 実測データによる評価
伝導妨害波試験:6周波数で26データ比較
放射妨害波試験(水平偏波):10周波数で22データ比較
放射妨害波試験(垂直偏波):10周波数で22データ比較
• ロバスト法による評価(ISO/IECガイド43-1)
(1)単一周波数データの4分位点(Q1,Q2,Q3)から正規化した
IQR(N-IQR)を特定してZスコアを算出
N-IQR= 0.7413x(Q3-Q1)
Zスコア=(測定値−Q2)/N-IQR
(2)測定周波数毎のN-IQRを平均(平均N-IQR)してZスコア算出
Zスコア=(測定値−Q2)/平均N-IQR
EMI(エミッション)伝導妨害波試験と評価結果
• 試験方法(150kHz∼30MHz)
(1)水平基準金属面による測定
(2)垂直基準金属面による測定
妨害波受信機
VRX (dBuV)
同軸ケーブル
ロス
Lcable(dB)
擬似電源回路網
(片線大地間)
伝導妨害波電圧 V (dBuV) = VRX(dBuV) + Lcable(dB)
6
伝導妨害波試験結果(実測データ)
80.0
70.0
妨害波電圧(dBμV)
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
0.1
1
10
100
周波数(MHz)
低いレベルの測定では、測定値の試験所間格差が大
170kHzについては、仲介器の特性等に起因していると推定される
伝導妨害波試験結果(ロバスト法によるZスコア)
9.0
6.0
Z スコア値
3.0
0.0
-3.0
80.0
70.0
60.0
妨害波電圧(dBμV)
-6.0
-9.0
50.0
40.0
30.0
20.0
0.1
1
10
周波数(MHz)
100
10.0
0.0
0.1
1
10
100
周波 数(MHz)
測定周波数毎にIQRが正規化されるため、評価基準に格差がある
データを全体的に一つの正規化IQRで比較することが必要→平均N-IQRによる評価
7
伝導妨害波試験結果(平均N-IQRによるZスコア)
9.0
6.0
3.0
80.0
0.0
70.0
妨害波電 圧 (dBμV)
60.0
-3.0
50.0
40.0
30.0
20.0
-6.0
10.0
0.0
0.1
1
10
100
周 波数(MHz)
-9.0
0.1
1
10
100
170kHzのレベル格差は仲介器のスイッチング電源ノイズ特性と
実行事務局からの測定指示に起因すると推定される
170kHzにおける広帯域妨害波測定の問題点
実行事務局からの測定指示
(周波数170kHz, 360kHz, 720kHzについては±10%の範囲で最大値を測定)
50
45
伝導妨害波電圧 (dBμV)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
150
155
160
165
170
175
180
185
周波数 (kHz)
仲介器スイッチング電源ノイズスペクトラム
仲介器の時間的特性変化が想定されていなかった。
8
伝導妨害波試験の評価結果
9.0
6.0
Z ス コ ア
3.0
0.0
-3.0
-6.0
-9.0
0.1
1
10
100
周 波 数 (MHz)
170kHzおよび2MHzについては、仲介器の特性(低出力レベル)と実行事務局指示
に起因する部分が大であるが、一部問題があると推定されるサイトがある。
その他の周波数では、全試験所間でのデータ比較は概ね良好な結果が得られた
EMI(エミッション)放射妨害波試験と評価結果
• 試験方法(30MHz∼1GHz)
放射妨害波電界強度 E
(dBuV/m)
受信アンテナ AFR (1/m)
Hr max(4m)
供試装置(EUT)
D=10m
Hr min(1m)
妨害波受信機
V (dBuV)
ターンテーブル
(360度回転)
Ground Plane
同軸ケーブル ロス Lcable(dB)
放射妨害波電界強度 E (dBuV/m) = V(dBuV) + AFR(1/m) + Lcable(dB)
9
仲介器の放射妨害波試験配置
50cm±1cm
10m
受信アンテナ
机の高さ
80cm±1cm
EUT
RF-LISN
50cm±1cm
供試機器用電源
コンセント
測定用机
ターンテーブル
放射妨害波試験結果(水平偏波:実測データ比較)
80.0
70.0
電 界 強 度 (dBμV/m)
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
10
100
周 波 数 (MHz)
1000
低域周波数帯で測定値の試験所間格差が大きい
1GHzに近い周波数では、測定値の試験所間格差が増加する
10
放射妨害波試験結果(水平偏波:ロバスト法によるZスコア)
12
9
6
Zスコア
3
0
-3
80.0
-670.0
電界強度( dBμV/m)
60.0
50.0
-940.0
30.0
20.0
-12
10.0
10
0.0
10
100
周波数(MHz)
1000
100
周 波 数 (MHz)
1000
測定周波数毎にIQRが正規化されるため、評価基準に格差が出る
データを全体的に一つの正規化IQRで比較することが必要→平均N-IQRによる評価
放射妨害波試験:水平偏波(平均N-IQRによるZスコア)
12
9
6
Zスコア
3
0
-3
80.0
70.0
-6
電界強度(dBμV/m)
60.0
50.0
-9
40.0
30.0
20.0
-12
10.0
10
0.0
10
100
周波数(MHz)
1000
100
周 波 数 (MHz)
1000
水平偏波測定での低域周波数帯のレベル差は試験設備に起因すると推定される
11
放射妨害波試験結果(垂直偏波:実測データ比較)
80
放射妨害波電界強度 (dBμV/m)
70
60
50
40
30
20
10
0
10
100
周 波 数 (MHz)
1000
垂直偏波測定では全周波数帯域で相関性の良い結果が得られた
電源インピーダンス安定化のため挿入したRF-LISNの効果が出ていると推定される
放射妨害波試験:垂直偏波(平均N-IQRによる評価)
6
3
Zスコア
0
-3
80
70
電界強度(dBμV/m)
60
-6
50
40
30
20
-9
10
10
0
10
100
周波数(MHz)
1000
100
周 波 数 (MHz)
1000
測定システムに問題があると推定される試験サイトが特定できる
12
12
12
9
9
6
6
3
3
Zスコア
Z-スコア
放射妨害波試験(水平+垂直)の評価結果
0
0
-3
-3
-6
-6
-9
-9
10
100
周波数(MHz)
1000
10
100
周 波 数 (MHz)
1000
垂直偏波
水平偏波
低域周波数帯での水平偏波のばらつきは試験設備に起因すると推定される
水平偏波および垂直偏波両方でZスコアが±3を超えているサイトは
測定システムに起因すると推定される
高域周波数帯で水平、垂直偏波ともに試験所間データのばらつきが大きくなっている
まとめ
今回のEMI(エミッション)技能試験から、
• 単一周波数毎の評価方法ではEMI試験サイトの評価を行う
ことは難しい。全周波数のデータから評価する方法を検討
することが必要である。(今回は平均N-IQRによる方法を採用)
• 伝導妨害波試験における低域周波数帯の広帯域雑音測定
に対応した仲介器の改良を今後検討する。
• 垂直偏波放射妨害波試験において、サイト間データに相関
性の良い結果が 得られたが、これはRF-LISNを使用した
効果が出ていると推定できる。
• 放射妨害波測定水平偏波と垂直偏波測定は個別に実施
することで試験設備、測定システムの問題がクローズアップ
できた。
13
EMI(エミッション)技能試験の将来展望
• EMI(エミッション)技能試験の評価方法の確立
EMI(エミッション)試験サイトの技術能力を複数データから
評価する方法を確立する。
• EMI(エミッション)試験規格の改善に向けた取組み
放射妨害波試験におけるEUT用電源のコモンモードイン
ピーダンス安定化に向けた提案 → CISPR規格の改訂
• 仲介器と実際の被試験機器(EUT)との違い
現状の仲介器は、測定設備・機器の評価方法として認識
測定技術者の技術力評価方法を検討する。
最後に
EMC試験所の技術能力を的確に評価するためには、EMC技能
試験と評価方法の改善がこれからも必要です。
改善に向けたEMC試験所からの意見、提案を歓迎します。
技能試験に対する意見・提案は、VLAC技能試験実行事務局:
[email protected] まで
ご静聴ありがとうございました
14
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