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モルフォテック社買収に関するアナリスト説明会 MC

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モルフォテック社買収に関するアナリスト説明会 MC
モルフォテック社買収に関するアナリスト説明会
MC:皆様、本日はお忙しい中エーザイ株式会社説明会にご参加頂き、誠にあ
りがとうございます。それでは本日出席しております弊社役員を最初にご
紹介申し上げます。エーザイ株式会社 代表執行役社長兼CEO 内藤晴
夫でございます。皆様から向かいまして社長の左手、常務執行役研究開発
担当 兼 エーザイR&Dマネジメント株式会社社長 吉松賢太郎でござ
います。続きまして右手、執行役 兼 エーザイ・コーポレーション・オ
ブ・ノースアメリカ社長 清水初でございます。そして左手になりますが、
執行役 事業開発担当 林秀樹でございます。それではただ今より説明会
を開始させていただきます。なお、本日は米国よりモルフォテック社社長
ドクター・ニコライデスもTV会議で参加しておりますので、最初にまず
内藤より本日のリリースにつきましてご説明申し上げまして、その後ドク
ター・ニコライデスよりモルフォテック社の説明をいただくことになりま
す。では、社長よろしくお願いいたします。
内藤:それではエーザイによる米国バイオベンチャー モルフォテック社の買
収についてご報告申し上げます。
本件はエーザイの抗体医薬参入に向けたドラマティックリープと考えてお
ります。エーザイ株式会社と米州統括会社エーザイ・コーポレーション・
オブ・ノースアメリカ(以下ECA)および米国モルフォテック社以下、
モルフォテック社)はこのたび、ECAがモルフォテック社を買収する最
終契約の締結を発表しました。本契約における買収価額は325百万ドル
(純現預金差し引き後)となります
モルフォテック社は、抗体医薬の研究開発を専門とするバイオベンチャー
企業で、独自のヒト抗体技術「Human MORPHODOMA®(ヒュ
ーマン・モルフォドーマ)」および「Libradoma™(ライブラドー
マ)」を使用し、各種がん、関節リウマチ、感染症などの疾患に対する抗体
治療薬の開発に取り組んでいます。現在、同社のパイプライン中の2品目
がそれぞれ卵巣がんと膵臓がんを対象とした臨床試験に入っているほか、
前臨床段階にある候補品目を複数保有しています。
エーザイは、がん領域を第V期中期戦略計画「ドラマティック リープ プ
ラン」において最重点領域と位置づけており、現在、低分子化合物の抗が
ん剤開発に向けてグローバルな研究開発に取り組んでいます。今回の契約
により、エーザイはバイオロジクス分野への本格的な参入を果たすことと
なり、モルフォテック社の持つユニークな抗体技術を活用し、当社のがん
に対する抗体治療薬創出の充実をはかることとなります。これにより、低
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分子抗がん剤の開発と合わせて、がん患者様の多面的なニーズに対応する
ことが可能となります。当社は、抗体治療薬研究におけるモルフォテック
社 ニコライデス氏の革新的で大胆なアプローチを高く評価しています。
同氏のこの領域における貢献は極めて大きいものがあります。当社は、モ
ルフォテック社の有する独自の技術および有望な抗体群と、当社の研究開
発体制、インフラストラクチャーとの融合により、世界のがん患者様のニ
ーズの充足に、より一層貢献してまいります。また、モルフォテック社の
充実したパイプライン、抗体創出基盤、優秀な人材は、当社のバイオロジ
クスの研究開発活動において中核的存在となると考えております。モルフ
ォテック社社長ニコラス・ニコライデスは、
「エーザイの豊富な知的、経営
的資源は当社の抗体治療薬開発を加速させ、また、当社の共同研究ネット
ワークやエーザイが探索したターゲットに対応する臨床化合物の開発を進
展させることができます」と述べています。また、モルフォテック社の会
長でフォワード・ベンチャーの経営パートナーでもあるアイバー・ロイス
トンは、
「エーザイ・グループに加わることによって、難病治療および世界
の人々の健康のため、革新的な免疫治療薬開発におけるグローバル・リー
ダーを目指す、というモルフォテック社の創業精神に向かって前進できる
ことは、当社にとってもすばらしいことです」と述べています。 エーザ
イは、画期的新薬の創出を目指し、日米欧の3極体制からなるグローバル
な探索・研究開発活動を推進しています。エーザイの探索研究施設である
ボストン研究所(マサチューセッツ州アンドーバー)や臨床研究会社のエ
ーザイ・メディカル・リサーチ・インク(ニュージャージー州リッジフィ
ールドパーク)、および製剤研究所(ノースカロライナ州リサーチ・トライ
アングル・パーク)にモルフォテック社が加わることにより、エーザイの
米国における研究開発機能はさらに強化されます。
私どもはモルフォテック社をエーザイ・ネットワークの一員として歓迎い
たすものです。また今後も同社の独自性を尊重し、当社の既存の研究機能
とのコラボレーションを推進してまいる所存です。
エーザイは、2006年10月に米国・ライガンド社との抗がん剤4品目
の製品買収および同社がん領域スペシャリストの移籍を実施するなど、自
社開発や製品買収およびライセンス契約などによる抗がん剤上市に向けた
研究開発および販売体制整備を進めてまいりました。モルフォテック社の
買収は、エーザイのがん領域の研究開発や事業展開をさらに強化するもの
です。
本契約はすでにエーザイ・コーポレーション・オブ・ノースアメリカの取
締役会で承認されており、米国独占禁止法上の審査の終了および他の移管
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条件が整い次第、発効します。現在、契約発効は2007年度第1四半期
を予測しています。なお参考資料として、エーザイ株式会社、エーザイ・
コーポレーション・オブ・ノースアメリカ社、モルフォテック社の会社概
要、モルフォテック社のパイプライン、エーザイの抗がん剤パイプライン、
モルフォテック社の技術基盤の概要を添付しています。以上でございます。
MC:それではドクター・ニコライデスにモルフォテック社の概要についてお
話していただきます。
ドクター・ニコライデス:皆様、本日はご出席ありがとうございます。このミ
ーティングに参加し、モルフォテック社についてご紹介する機会を得られ
たことを大変嬉しく光栄に思います。次のスライド(2枚目)をお願いし
ます。
モルフォテック社についてあまりご存知でない方もいらっしゃるかと思い
ますが、我々は、独自の完全ヒト抗体を作る技術を保有し、様々な疾患の
治療薬としてモノクローナル抗体を開発している企業です。モルフォテッ
ク社の戦略は、優れた研究機関と幅広くコラボレーションし、彼等の発掘
した様々な疾患と関連するターゲットに対して、この基盤技術を応用して
治療抗体を創出し、臨床に向けて開発することです。この戦略により、オ
ンコロジー、炎症性疾患、感染症分野において、我々は幅広いパイプライ
ンを保有することができており、その内の2つの化合物は臨床試験段階に
あります。MORAb−003は卵巣がん、そしてMORAb−009は
膵臓腺がんと肺がんを対象に臨床試験が進行中です。これらの化合物につ
いては、この後ご説明いたします。モルフォテック社の技術は様々な特許
によって保護されており、治療薬創出のためにこの技術を使用することも、
またターゲットそのものの周辺の知的財産も含まれています。次のスライ
ド(3枚目)をお願いします。
このスライドは、モルフォテック社の事業戦略概要です。スライド右下に
示されているのが、我々のモノクローナル抗体技術です。この技術は、試
験管内で有効性の高い抗体を産生できます。これは、抗体の有効性を最大
化できる、またGMP製造に有益な細胞株の樹立を可能にする最適化技術
と共に活用されています。この技術を通して、我々は優れた研究機関と非
常に幅広くコラボレーションしており、がん、炎症性疾患、感染症分野に
関連するターゲットへのアクセスを手に入れております。これらの研究機
関はハンドアウトの左下に示されています。この戦略により、MORAb
−003 とMORAb−009を含む非常に有望な臨床段階製品パイプ
ラインを構築することが可能となりました。また我々は幅広い前臨床パイ
プラインをがん、炎症性疾患、感染症の領域において保有しており、これ
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らの化合物も臨床段階での有用性の検証に向け、年々開発が進んでおりま
す。次のスライド(4枚目)お願いします。
このスライドでは、どうやって我々の技術を優れた研究機関とのコラボレー
ションに活用できるかという戦略をハイライトしています。我々がコラボレ
ーションしているこれらの機関は、遺伝子解析のアプローチを使ったり疾患
組織そのものを分析したり、疾患パスウェイを同定する様々な手法を使って
います。こうして疾患に関連性の高いターゲットを発掘し、我々の抗体技術
でモノクローナル抗体のライブラリーを構築します。 この抗体ライブラリ
ーを自動ハイスループットシステムでスクリーンし、ターゲット抗原に高い
結合親和性を持つ抗体を選択します。こうして創出されるモノクローナル抗
体は、患者様の診断薬としても、また治療薬としても応用可能です。次のス
ライド(5枚目)お願いします。
このスライドは、我々の技術がどのように働くかの概要です。我が社が持つ
基盤技術は、MORPHODOMA®技術と呼ばれるもので、ヒトB細胞を
特定の抗原に対して免疫し、モノクローナル抗体を作ることのできるもので
す。この段階で、我が社の財産ともいうべきMORPHOGENICSとい
う技術の出番となります。この技術は、商業的製品として可能性を秘める生
物薬剤に応用が可能で、細胞の遺伝子進化を促すことにより生物薬剤を最適
化することができます。このビジネスにとって肝要な、モノクローナル抗体
製造の高生産量用細胞株の樹立や、ターゲットたんぱくへの選択的結合力と
疾患パスウェイ抑制力を有する有効性の高いモノクローナル抗体の産生な
どができるわけです。次のスライド(6枚目)お願いします。
この技術とアプローチを使い、我々は幅広い治療抗体パイプラインを作りあ
げることができました。そのうち2つは現在臨床試験段階にあり、MORA
b−003はプラチナ抵抗性の卵巣がんを対象としたフェーズⅠの試験と
プラチナ感受性卵巣がんと対象とした多施設フェーズIIの試験が進行中
であり、MORAb−009は膵臓腺がん及び肺がんを対象に、多施設フェ
ーズⅠ試験を行っています。これらの後には、毎年臨床試験に入るための化
合物がそろっており、前臨床試験を完了させていきます。このスライドにお
ける重要なポイントは、我々の研究開発は今日、過剰発現が見られるある特
定の適応症において進んでおりますが、これらの分子はさらに多くの疾患の
治療薬として開発できる可能性を持っており、エーザイの組織において成長
することで、我々はこの可能性を追求していきたいと考えています。次のス
ライド(7枚目)お願いします。
我々モルフォテック社は、今回の機会に大きな希望を抱いております。これ
までにも多くの会社が我々の製品また技術を獲得することに興味を示して
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きました。しかし、モルフォテック社側としての分析では、エーザイそして
この機会は、我々の技術を最大限に活かしパイプラインを拡充するための、
最善の選択であると判断しました。このため私たちはこの契約がもたらす未
来の可能性に対して非常に期待しています。本日はありがとうございました。
MC:ドクター・ニコライデス、ありがとうございました。それでは質疑応
答に移ります。
(質問者1)
Q:$325百万を来期投資することになるが、P/LとB/Sへの影響を教
えてほしい
A:$325百万はネットキャッシュ控除後の数字です。実際には、契約発効
時点のB/S上のネットキャッシュおよび外部のアドバイザリー費用など
を加えます。本件は、米国会計基準に基づくビジネスコンビネーション、
パーチャス法によるM&Aですので、全てを費用計上するわけではなく、
Asset Purchaseが中心になります。最終的には、契約発効
後に会計士の承認を以って正式に決定されますので、現時点では明確には
お答えできませんが、イメージとしてはPurchase Price
Allocationに基づき、In Process R&D、それか
らIntangible Asset(無形固定資産)、Goodwill
(のれん代)という形で分割されます。In Process R&Dは
一括償却しますが、テクノロジープラットフォーム中心で創業されたR&
D志向の会社という性質上、そんなに大きな金額ではなく、大部分がのれ
ん代あるいは無形固定資産として資産計上されることになります。米国基
準では、のれん代についてはImpairment Test(減損テス
ト)をしますが、2008年からの連結統一では、日本基準に基づき定額
法償却が基本になります。これも全て会計士の承認に基づき、償却期間等
が判断されますが、現時点での私見も含めた仮定では、こういった創業の
会社で、今後の製品で長期に渡りエーザイ・グループで便益を享受できる、
継続できる会社と考えますと、日本基準での最高の償却期間20年、ある
いはそれに近い長期の償却となり、年度毎のP/Lに及ぼすインパクトと
いう点においては、Impairment Testの重大な影響が起こ
らないかぎり、重大なインパクトはありません。さらに1,000億円を
超える研究開発費を年次毎に計画しておりますので、その範囲内で吸収し
ていくということで、中期計画中の事業計画および収益性に大きな影響は
ないと理解しております。ただ、最終的には会計士が契約発効後に決定し
ますので、来期の第1四半期の業績説明でご確認いただきたいと思います。
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Q:MORAb−003、MORAb−009はバクスター社に権利があるよ
うだが、どのようなライセンス・イン、アウトがあり、またエーザイの買
収によってそれらがどのようになるのか。
A:バクスター社との契約は、製造に関するもので、物質自体の権利としては
どこにもライセンスしておりません。買収後は、MORAb−003、M
ORAb−009の両方ともが完全にエーザイ・グループの製品になると
理解しています。
(質問者2)
Q:技術に関する契約に関しても基本的には全てエーザイに帰属するのか
A:契約時点においてモルフォテック社が有する契約は、基本的にエーザイが全て引
き継ぐかたちになります。
Q:エーザイは、バイオ製品や抗体の製造に関して、自社でプラントを作って
いくのか
A:基本的にそういう考えです。
Q:CAPEX(資本的支出)が発生したとしても3∼5年という期間になる
か
A:ファシリティーのスケールアップというのは比較的早く必要になるかと思
いますが、具体的に詰めているわけではありません。必要があるという認
識はあります。
Q:$325百万は安いと考えているか
A:まったくフェアなバリューだと思っています。かねてより皆様方にもオン
コロジーがらみのImmunotherapy(免疫療法)は、エーザイ
にとってどうしても必要なテクノロジープラットフォームだったというこ
とで、かねてより申し上げておりました。そういう我々のストラテジーに
まさしくフィットする会社ということですので、フェアなプライスだと考
えています。
Q:ニコライデス社長はトップ20サイエンティストとして表彰されているよ
うだが、彼がいる重要性というのは相当大きいか。
A:モルフォテック社は、ニコライデス社長を中心として、合計3名の創業者
が非常にアクティブに中核を担っています。我々はモルフォテックの中核
のサイエンティストは今後とも継続してエーザイでご活躍されると信じて
います。
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(質問者3)
Q:MORPHODOMA®技術について、スライドを見る限り、患者のIgG
のライブラリーからたんぱく、いわゆるバイオマーカーをディテクトして
それに対する抗体を作るということでよいか。技術に関して説明してほし
い
A:ヒトMORPHODOMA®の技術は幅広い活用が可能で、特定のたんぱく
質の抗原をターゲットとした、モノクローナル抗体を創出できます。免疫
化作業は、ペトリ皿の上で行います。そうして作られた抗体の中から、我々
の共同開発パートナーが発掘したシグナリングパスウェイを阻害できる、
生物活性抗体を選択するわけです。この基盤技術で産生する抗体は、完全
ヒトモノクローナル抗体です。我々がこれまでに創出した抗体は、非常に
強力な活性を示しており、特定のシグナリングパスウェイを抑制すること
ができます。この技術自体非常に幅広いものがありまして、ただ単にヒト
B細胞を使って、特定のたんぱく質に対してモノクローナル抗体をつくる
だけでなく、特定疾患を持つ患者様のB細胞を採集し、ターゲットに結合
する抗体をみつけ、それをMORPHOGENICSという遺伝子進化技
術を使って最適化することもできます。この幅広い活用性が、我々の豊か
な抗体ライブラリーを可能とし、我々はその中からより優れた結合力の強
い生物活性が最も高い抗体を選択し、臨床段階へ向けて前進してきたわけ
です。
Q:膵臓がんの抗体というと、ジェムサイタビンとの併用の試験が避けられな
いと思う。膵臓がんは進行が早いので、エンドステージの患者さんに使わ
れると思うが、その場合の抗原の発現率はあまり期待できないのではない
か。
A:素晴らしい質問です。我々の抗体は、各疾患の専門家との提携により開発
されております。MORAb−009に関しましては、この抗体のターゲ
ットであるたんぱく質抗原は、膵臓腺がんで100%発現されております。
この抗原は、腫瘍の転移や増殖に必要不可欠な役割を果しています。MO
RAb−009は膵臓がん細胞自体に効くことが示されており、またジェ
ムサイタビンとの相乗効果も分かっています。このような非臨床データが
ありますので、我々はこの抗体の開発に胸を躍らせ、臨床試験を進めてい
るわけです。いまのところ、臨床試験からも大変期待できるシグナルが得
られています。
Q:抗腫瘍効果についてはADCC活性に基づくのか。今の説明だとパスウェ
イの阻害がメインのメカニズムというようだが。
A:また素晴らしい質問です。実際にモノクローナル抗体医薬としてがん市場
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に出ているものは、ほとんど全てがバイモーダル(二面的)な機能を持っ
ております。すなわち、内因的シグナリングパスウェイを阻害するだけで
はなく、Immunne−Effector FuctionをADCC
とCDCのメカニズムの両方を通して仲介しています。我々は、このよう
なバイモーダルなモノクローナル抗体を選択しています。MORAb−0
09は、ターゲットたんぱく質と周辺細胞のコレセプターとの結合を明確
に阻害し、生物的な作用をもたらします。さらに、Immunne−Ef
fect Fuctionに関しましては、ADCCを通じて仲介してい
ます。この二つの作用のコンビネーションが、非臨床で実証された強力な
抗腫瘍効果を可能にしているものと思われます。
(質問者4)
Q:MORPHOGENICSという技術の概要、およびその技術を用いると
抗体の活性が上がる理由を教えてください
A:MORPHOGENICSという技術は、何千という数の様々な細胞をス
クリーニングする技術と一緒に活用できます。特定のターゲットに結合で
きるモノクローナル抗体は発掘できても、その結合親和性自体が十分でな
い場合があります。MORPHOGENICSを活用すれば、このような
抗体の抗原結合部位を、進化させることができるのです。抗体産生を初め
からやりなおさなくても、MORPHOGENICSで進化させた抗体群
の中から、結合親和性の高い抗体を選択する手段が生まれるわけです。こ
うして高品質な抗体を短期間で創出することが出来る。それがまさに7年
前にモルフォテック社を立ち上げる基盤技術となりました。このテクノロ
ジーの活用性は、他の製薬会社との様々な提携により実証されております。
(質問者5)
Q:MORPHOGENICSなど色々な技術は、完全ヒト抗体ということだ
と思いますが、既存のメダレックス、買収されたアブジェニックス、ファ
ージディスプレイの会社と比べて優位性はどう考えているか。また、パテ
ントポジションとして、パテントで訴えられるリスクはないと考えてよい
か
A:MORPHOGENICSとMORPHODOMA®技術は、モノクローナ
ル抗体を最適化することが出来ます。新たにヒトB細胞の免疫化によって
作られた抗体にも活用できますし、既存のモノクローナル抗体、つまりフ
ァージライブラリーなどを出発点として作成された抗体にも使えます。適
応範囲は極めて広いです。モルフォテック社では、ヒトB細胞を使用して、
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それを免疫化し完全ヒト抗体を作るという手段を取っております。知的財
産評価を通して、我々の基盤技術は明らかにユニークであることを確認し
ました。我々の技術に関する特許は、既に幾つかが取得されております。
今後も、この基盤技術をより幅広く活用するうえで、またこの技術をさら
に改善していくうえで、さらなる新しい特許を出願していきます。
Q:パテントでどこかともめるようなリスクはないと考えてよいか
A:私たちが行った分析からいうとその通りです。
Q:今のパイプラインを見るとヒト化抗体とか完全ヒト抗体でないものもある
が、別の技術を使っているのか
A:その通りです。MORPHOGENICS技術は、先程の私の最適化につ
いてのプレゼンテーション資料の真ん中の部分に記されております。この
技術は、どんなモノクローナル抗体も最適化できます。ヒトMORPHO
DOMA®で創出した抗体でも、ファージライブラリーや従来のヒト化技術
などで作った抗体も可能です。我々は今まで、良い抗原をターゲットとし
ていて、ある程度の抗腫瘍効果も認められているにも関わらず、結合親和
性が十分ではないという問題点を抱えた抗体を見つけ、ライセンス・イン
してまいりました。なぜなら、MORPHOGENICS技術を使って、
このような抗体の抗原結合部位を、改善することができるからです。00
3が良い例です。単独のバイオベンチャーとして、過去3−4年この戦略
をとってきました。しかしヒトMORPHODOMA®技術が確立された今、
今後の我々のパイプラインは、自社内で創出する完全ヒト抗体が主流とな
っていきます。
Q:今回は$325百万の投資で、昨年のライガンドより大きな投資ですが、
説明会が開かれるのは$300百万が境界なのか
A:今回は重要な買収案件であり、かねてから皆様に申し上げていた治療領域
での買収でした。 また、ニコライデス社長の参加を得て皆様に紹介して
理解を得たいという趣旨で行いました。重要なイベントであると考えてい
ます。
(質問者6)
Q:臨床試験をやっているGP−3、GP−9というターゲットですが、世界
的に競合はあるか。世界でモルフォテック社だけがやっているという認識
でよいか
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A:003のターゲットですが、この分子は私どもの独自のものであると思っ
ています。この分子をターゲットとしたモノクローナル抗体を開発してい
るのは、我々だけのはずです。この分子の生物学的パスウェイアナリシス
に基づき、我々はこの分子を治療目的にターゲットするという行為を特許
として保護しており、競合を防いでいます。009はNCI(米国がん研
究所)の研究員が見出したものです。関連特許を同研究所からライセンス・
インすることにより、他の競合を防いでいます。
Q:ADCC活性を上げる何らかの技術を持っていると思うのだが、これは競
争力があると思うか。それとも他社が色々と開発しているものに比べてそ
れほど自社の技術を重要視していないのか
A:抗体によるがんの治療には、ADCC活性が重要な役割を果たしていると
いう事実は、疑いの余地ありません。幸いなことにも、我々のモノクロー
ナル抗体は、もともと高いADCCの活性力を持っております。第3者の
ADCCの活性強化技術は、引き続き検討を続け、良いものがあれば今後
活用するかもしれません。現在臨床段階にある我々のモノクローナル抗体
は、既に十分なADCCとCDC活性力を持っていますし、また、特定の
シグナリングパスウェイを阻害する作用も持っているので、強力な抗腫瘍
効果を示しています。
(質問者7)
Q:モルフォテック社は抗体を最適化することを強調しているが、抗体が上市
された場合、エーザイの自社技術やノウハウによって商業生産が可能か。
それともチャイニーズハムスター卵巣細胞や大腸菌などの培養技術を持っ
た企業をさらに買収する必要があるか
A:エーザイでは、自社のバイオテクノロジー製品としてクリアクターという
修飾型t−PAを自社製造しています。これはひとつの経験になると思い
ます。モルフォテック社から出てくる抗体について基本的には自社で投資
して製造していきたいと考えていますけれが、投資金額など具体的な話は
詰められていません。基本的には自社でやっていきたいと思っております。
Q:IP(Intellectual Property)について、モルフ
ォテック社の特許ではジョンズホプキンス大学との共同出願になっている
ものがあるようだが、製品として上市したときに権利を独占できるか
A:将来的にエーザイで独占できるように方向で進めます。契約が必要なら、
そうしたいと思います。
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(質問者8)
Q:今回の買収によって、エーザイのオンコロジー開発品ポートフォリオで欲
しいものはそろったと考えてよいか
A:さらに必要なものがあれば積極的に取り組んでいきたいと考えています。
(質問者9)
Q:パイプラインの表中の下2つ(MORAb−047とMORAb−048)
は、感染症が第一適応となっているが、この領域にはかなりブロードな患
者様が存在するということなのか
A:感染症領域の患者様数は大きいです。単独のバイオベンチャーとしての我々
の戦略は、様々な研究施設と提携し、共同研究や共同開発を進めるという
ものでした。感染症に関しましては、米国陸軍感染症研究所(USアムリ
ッド)と提携し、感染症及び生物テロに関連する微生物をターゲットとす
るモノクローナル抗体の研究開発を手がけました。米国政府からは、生物
テロ防衛に役立つモノクローナル抗体の開発を目的に基金を受けました。
同時に我々は、これらの抗体を感染症の治療薬として活用する権利を得て
おります。ですから、同プロジェクトがある程度の開発段階になりました
ら、これらの抗体を感染症治療薬として開発することも予定しています。
(質問者10)
Q:独自性を尊重するとのことだが、買収後も臨床開発はエーザイ・メディカ
ル・リサーチ側でやるのか、それともモルフォテック社が独立してやるの
か
A:Autonomy(自主性)を大事にしたいと考えています。我々はモル
フォテック社のニコライデス社長および共同創業者たちの創業者精神や文
化、米国の激しい環境下の中で一定の成果をあげている組織風土を大変大
事にしています。それがエーザイの研究員にもよい影響を与えるだろうと
思います。そのためには一定の予算を了承する必要がありますが、リサー
チの方向性やプロジェクトの管理、優先順位付けなどについてはニコライ
デス社長以下の自由裁量に任せたいと考えます。新しい研究員の採用や評
価などのHR(Human Resources)にも自主性を尊重して
いきたいと考えます。臨床研究やラージスケールの製造などに関しては、
エーザイのやり方としてはインターナショナルプロジェクトチーム(IP
T)としていろいろな方面からの人材を集めてチームを編成しますが、そ
のチームリーダーはモルフォテック社のものにはモルフォテック社の人材
を当てていきます。ニコライデス氏にもエーザイR&Dマネジメント会社
11
のVPとしてエーザイ全体のR&D意思決定に参画してもらうことで、自
主性を尊重していきます。
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