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配布資料 - 山梨大学工学部 土木環境工学科

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配布資料 - 山梨大学工学部 土木環境工学科
竹内邦良教授山梨大学退職記念
講演と祝賀の会
温暖化時代の水防災
講演会 15:00-17:00
祝賀会 17:30-20:00
2007 年 10 月 7 日
甲府ベル・クラシック
ごあいさつ
本日はお忙しい中、私の退職記念講演と祝賀の会にご来駕賜り誠にありがとうございま
す。このような会を開いていただけるのは身に余る幸せです。企画いただきました皆様
に心から御礼申し上げます。
さる 3 月山梨大学を退職いたしましてから、はや半年が経ちました。その後つくばに単
身赴任し、新しい職場である土木研究所水災害リスクマネジメント国際センター
(ICHARM)において、ますます忙しい仕事を続けております。職場環境、生活環境
とも激変し、大いに戸惑いましたが、少しずつ慣れてきました。それこそ毎日が新鮮で、
あっという間の半年でした。ICHARM でも、山梨大学同様素晴らしい仲間に恵まれ、
まずは健康で、大変楽しく、研究や国際活動をさせていただいています。
研究テーマは水防災ですから、まったく新しいわけではありません。にもかかわらず、
この半年に新しく勉強したことは、私には新鮮で、情熱を湧き立たせられるものでした。
これまでの理解がずいぶん表層だったことを、身にしみて感じましたし、いま気候変化
の時代を迎えて、水のマネジメント、なかんずく水防災がいかに大切かを、世界の情報
から体感しています。本日はその中で、いま私が一番心を動かされ、大切だと思ってい
ることをお話しさせていただきます。この 10 月からは、ICHARM と政策研究大学院大
学共同の洪水修士課程が開設され、東南アジアの学生に、洪水マネジメントの講義をす
ることになっています。本日お話しすることはその講義の基本路線でもありますので、
忌憚ないご意見をたまわれればうれしく存じます。
本日はおいでいただき、誠にありがとうございます。皆様のますますのご健勝をお祈り
いたします。
2007 年 10 月 7 日
竹内邦良
講演概要
最近大型の気象災害が頻発しているが、これまでの 100 年間に起こった気温上昇は
わずかに 0.5 度である。これからの 100 年で、必死に緩和策に取り組んでも、最低
さらに 1.5 度の上昇は避けられないと考えられている。これがどれほどの豪雨や台
風や渇水の激化を招くかは、まだ始まったばかりの体験であるが、想像に難くない。
しかも人口は 21 世紀中葉まで増え続け、都市集中、工業化も勢いを増すばかりで
ある。この災害リスクをいかに解消するかが、気候変化への適応問題である。
使えるものは科学技術と知恵しかない。観測や予警報がいかに進み、防災インフラ
が整備され、最適に管理されたとしても、科学技術ですべてを解決することは技術
的にも経済的にも不可能である。災害に上限は無いのであるから。とすれば知恵を
働かせるほか無い。その知恵こそ、人間の住み方であり、生活の仕方である。自然
との共生様式の再構築である。
気候変化の緩和策も同様である。エネルギー消費を抑え、生産、消費、廃棄を抑え、
環境影響を抑えて、循環型社会を実現するほか無く、その手段はやはり、科学と知
恵である。人間自身が、自然を利用して、自然共生の準平衡状態に落ち着く知恵で
あり、経済や制度が足かせではなく、それを利用してどう解決するかである。つま
りは人類のガバナンス問題である。ガバナンスは、決して途上国だけの問題ではな
い。
気候変化への緩和策と適応策は、21 世紀人類最大の課題であり、今後の社会経済変
化の機軸である。好むと好まざるにかかわらず政策決定の主流となる。日本の科学
技術が、政治経済が、いかにこの問題の解決にあたるか、国際貢献するかに、大き
く日本の将来がかかっている。
略
歴
1966.3
東京大学工学部土木工学科卒業
1968.3
東京大学数物系研究科修士課程土木工学専攻終了
1968.7
博士課程中退・渡米
1968.9-1972.5 ノースカロライナ大学留学
1972.5
68.4 同博士課程進学
Ph.D 取得
(都市地域計画学)
<DCL 手法> WRR 10(3), 1974; JSCE 222, 1974
1971.10-72.12
1973.1
コロラド州立大土木工学科助手
流域間水移送に伴う Range の変化
帰国
1973.2-4
(株)ユニック社員
1973.5-76.12 東工大土木工学科助手
<DDC 法> JSCE 1975, 1980; WRR 22(2), 1986; JH 102, 1988
1975.5
土木学会論文奨励賞受賞(DCL 手法)
1975.5-76.6
オーストリア IIASA 国際応用システム解析研究所研究員 Kalman Filter
で台風の進路予測
1977.1.1
山梨大学工学部環境整備工学科助教授
<レーダ>
水講 1978, 81; ND Science 7(1), 1985
<水質水文学>
衛講 1981; JHHE 2(1), 1984
1982.5
山梨大学工学部環境整備工学科教授
1987.1
第 2 回日米水文セミナー(ハワイ)(団長:日野幹雄・Rafael Bras)
1989-92
国際学術調査
1991.7-1995.7
1993.7-1999.10
秘書
椎貝博美団長 Chao Phraya 川流域研究
国際水文学計画(IAHS)水資源システム委員会(ICWRS)会長
ユネスコ水文学計画(IHP)東南アジア太平洋地域運営委員会(RSC)
(会長:高橋裕、Badruddin Machbub, Soontak Lee)
<東南アジア河川研究> IAHS Red Book, 1993; IHP RSC, 1995…;
<衛星による水文観測> 水水 5(3), 6(3),1992, 93;
1995.7-1999.7
1997.7-8
IAHS 副会長
文部省在外研究員(短期)島嶼水文学の研究(フィージー、トンガ、サモア、
ソロモン諸島)
1998.1-2000.12
国際水資源学会(IWRA)副会長
<世界の貯水池研究> Sustainable Reservoir Design and Management (IAHS
Press, UK, 1998)
1998.6-2000.6 ユネスコ国際水文学計画(IHP)政府間理事会議長
<分布型流出モデル BTOPMC>
Hydrol. Sci. J., 44(4) 1999, HP 2007(掲載待)
1999.7-2001.7 国際水文科学会(IAHS)次期会長
2000.3- 日本ユネスコ国内委員会委員
国際水文学計画(IHP)主査
2000.8
水文・水資源学会功績賞受賞
2001.7-2005.4
IAHS 会長、世界水会議理事
2002.5-2007.3
文部科学省人・自然・地球共生プロ(RR2002)「アジアモンスーン地域
における人工・自然改変に伴う水資源変化予測モデルの開発」研究代表
<Mekong 研究> メコンと黄河(学報社 2007)、HP Special Issue on Mekong
Study, 2007 (印刷待)
2003.7-2008.3 山梨大学 21 世紀 COE「アジアモンスーン域流域総合水管理研究教育」
拠点リーダ
2003.9
河海大学名誉教授
2004.7
南京水利研究所名誉教授
2005.4-2007.7 IAHS 前会長
2006.3
土木研究所ユネスコ後援水災害リスクマネジメント国際センター(ICHARM)
センター長
2007.2- 国連事務総長諮問委員会「災害に関するハイパネル」メンバー
2007.3
山梨大学退職
2007.4- 山梨大学特命教授
2007.5
山梨科学アカデミー賞受賞(国際研究活動)
2007.5-2012.3 文部科学省 21 世紀気候変動予測革新プロ(KAKUSHIN C-09)「気候変
動に伴う全球および特定脆弱地域への洪水リスク影響と減災対策の評価」研究代
表
2007.7-2011.7
IUGG Commission on Geophysical Risk and Sustainability
(GeoRisk Commission) 会長
2007.9- 政策研究大学院大学連携教授
退職記念講演
2007.10.07
目 次
z
はじめに 温暖化認識の急展開
適応策の現状
z
温暖化適応のあり方
z
温暖化時代の水防災
竹内邦良
土木研究所ICHARMセンター長
山梨大学特命教授
• 米、英、蘭、豪、加
• 基本的認識 (M&A, R=HxV)
• 持続的社会=自然共生型社会の適応策
• 土地利用計画、予警報、リスク意識社会
z
国際貢献
z
むすび 防災科学技術外交
• 横浜・神戸からICHARMへ
温暖化認識の急展開
z
z
z
z
Al Gore: An Inconvenient Truth May 2006
Stern Review Oct 2006
IPCC AR4 Feb 2007
2050 日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガス70%削
とくに、
北西太平洋では、
カテゴリー4+5が
70-04年の前半と
後半で
25から41%に増加
減可能性検討(国環研・京大・立命館大・東工大・みずほ情報総研) Feb 2007
z
z
z
Heiligendamm G8 6-8 June 2007
UN Climate Change Conference in Bali
(COP13) 3-14 Dec 2007
Tohyako G8 2008
Webster et al, Science 309, 2005
とくに、北西太平洋では、
カテゴリー4+5が70-04
年の前半と後半で
25から41%に増加
Map of the cumulative tracks
of all tropical cyclones during
the 1985–2005 time period.
http://en.wikipedia.org/wiki/Tro
pical_cyclone This image was
selected as picture of the day
for October 3, 2006.
2-3deg, 25-35m
for SRES A1B
120Kya 1 deg, 2-6m
-(4-7) deg, -120m
1.8 ±0.5 mm/y
for 1961 to 2003
IPCC 2007 WGI, Chapt 5, p409
Prof David Archer (Department of Geophysical Sciences, University of
Chicago), 2006 (COP12 Nairobi 6-11.11.06でのドイツによるサイドイベントで
の発表資料)グリーンランドでは、1992年から2005年にかけ、25パーセントの広
さの氷が融けている。
適応策の具体例 (米)
温暖化適応の現状
z
OECD報告 2006.6「適応-先進国における気候変化適応の進捗」
• UNFCCC加盟国のNational Communications等に基づく、OECD加盟30カ国お
よび旧ソ連邦等計43カ国に関する調査(2005-2006年)
• GHG削減策に比べ、温暖化適応策は未着手
• 日本の例は報告なし
• 海外の具体例の多くは海面上昇対策
z
IPCC AR4 WGII 2007.6
z
河川局
• 第3章
淡水資源とそのマネジメント
z
z
z
z
z
• 「総合的な豪雨災害対策の推進について(提言)」(2005年4月)
• 「洪水氾濫時・土砂災害発生時における被害最小化のあり方」
(2005年12月)
• 「ゼロメートル地帯の今後の高潮対策のあり方について」(2006
年1月)
• 気候変動に適応した治水対策小委員会「気候変動に適応する治水
施策のあり方について」現在検討中
z
NJ州 2.5cm/6年の海面上昇 海岸対策に年1500万ドルを支出 将来海岸
壁が必要となるような建設はしないよう指導
ME, RI, SC, MA州 海進に伴う湿地や海岸の内陸侵入に対応した地役権の
買収を可能にする、延転地役権 (rolling easement)政策を開始
NY州環境保護部 深刻な渇水時の規制強化、下水施設の周囲への洪水防
御壁の建設、洪水時や水使用急増時の、周辺地域のシステムとの連結など
の適応策の検討を開始
MA州水資源局 Boston港内Deer島の下水処理場を1m高い位置に設置
南CA首都圏水道局 Palo Verde潅漑区との35年のオプション契約を打ち切
り、さらに最大29%までの灌漑用水のカットを求め、137百万m3の用水が生
み出された。その代わり地主には、一時金プラス毎年休耕面積に応じて代償
を支払う。
CA Folsom湖での発電では、進んだ季節予報により気候変化の影響の埋め
合わせができるとの研究結果が示された。
(延転地役権)
現在
適応策の具体例 (英・蘭)
80年後
z
民有地
公有地
z
40年後
100年後
z
z
60年後
120年後
z
z
(英)テームズ堰 1000年確率の高潮を対象に1985年完成。気候変化までは
考えに入れてなかったので、今後100年の洪水対策に、6つの堰を含む
337kmの海岸防御、特定の選択肢を選んだ場合の政治的その他団体から
の影響などを検討している
(英)気候変化を理由に計画洪水流量を20%増加することが認められる
(蘭)1996年施行のFlooding Defense Act 全水防施設の安全基準は河川
1250年、海岸10 000年確率 担当大臣はこれに相当する堤防の高さを、 5
年ごとに改定し最新の気候変化を織り込むことができる
(蘭) 水防に関する技術諮問委員会 1995年、最悪85cmの海水面上昇、一
世紀ごとに10%の豪雨強度の増加に備えて、将来200年の安全を確保でき
るスペースの確保を提言
(蘭) 防潮堤、ダムなど、供用期間が長く、必要不可欠の構造物を新規に設
計する場合には、50cmの海面上昇を織り込む このルールによる第一号は、
Rotterdam近くの防潮堤(1997年供用開始)
(蘭) ライン川の設計流出量を15 000m3/sから16 000m3/sに増加させるの
に伴う対策を、2015年までに実施する 長期的には、気候変化適応のため
18 000m3/sに増加する計画
オランダRotterdam付近のMaeslantkering防潮堤
1997年6月完成
1990年以前は年1-2回、以後も年平均4回閉鎖されるだけであったが、
2003年には14回の連続高潮に対し閉鎖された。
Thames Barrier, 523m built 1974-84.
Before 1990, the number of barrier closures was one to two per year on average. Since 1990, the number of
barrier closures has increased to an average of about four per year. In 2003 the Barrier was closed on 14
consecutive tides.
オランダRotterdam付近のMaeslantkering防潮堤 1997年6月完成
50cm海面上昇付加ルール第一号
適応策の具体例 (豪・加)
z
z
z
サウスオーストラリア州の海岸開発の計画基準では、30cmの海面上昇、特
別な場合には1mの上昇を見込んだ安全確保を課している。また30cmの海
面上昇での100年間の海岸侵食に耐える安全性を要求している。
ニューサウスウェールズ州の国立公園野生生物局では、気候変化に伴う種
の移動を可能にする、環境管理帯の効果を認めた種の多様性戦略を立て
た。
カナダのConfederation橋(New Brunswick-Prince Edward Island間)は1997
年に完成したが、舟運のための桁高の決定に、100年の供用期間中の海水
面上昇1m分を上乗せした。
温暖化適応のあり方
z
基本的認識
• 緩和策(Mitigation)と適応策(Adaptation)のBest
Mix
• R(災害リスク)=H(加害外力)xV(社会の脆弱性)
z
持続的社会型=自然共生型適応
• 土地利用計画: ハザードマップ
• 予警報: 衛星からGoogle Earthなどの先端技術
• リスク意識社会: 防災を政治の主流にすえるための
情報
緩和策と適応策のベストミックス
気候変化にかかわらず増え続けている水災害
Global trend of water-related disasters by type of hazard, 1960–2004
洪水
暴風雨
渇水
感染症
土砂
Source: Data from the Center for Epidemiology of Disasters (OFDA-CRED) in
Louvain (Belgium). Analysis by PWRI (ICHARM) in Tsukuba (Japan), 2005.4
西岡秀三 2007
緩和策・適応策の基本認識
自然災害の構造
z
Risk(災害危険度) = Hazard(加害外力) x
Vulnerability(社会の災害脆弱性)
z
現在の災害の増加は、社会の脆弱性増大が主因で、気
候変化に伴う極端現象の増加は増幅要因
z
気象災害は地震や火山と異なり、加害外力そのものも増
加しているため、二重に厳しい条件にある
z
Hazardの増加:気候変化に伴う極端現象(台風・豪雨・渇水等)の規模・地
域の拡大、頻度増加。森林伐採、斜面開発等による人為的外因増加も。
z
Vulnerabilityの増加(災害は人が作る):人口増、都市化、工業化・電子化、
高度化・複雑化、災害経験の断絶、高齢化、ライフスタイルの自然離れ、動
物的安全感覚の減退等。途上国での災害の基本原因は貧困とガバナンス。
z
倫理的視点:緩和策は公平・公正の原則が必要
• 先進国が多くのGHG削減を負担し、途上国の成長を可能にしな
くてはならない。
• 日本では2050年に70-75%のGHGの削減が必要であるとされ
ている。(70%で1965年当時のエネルギー消費水準)(Stern Review, 2050日
本低炭素社会シナリオ)
• Choi & Fisherによると、米大西洋中部地区では82%と7%
z
持続的社会への転換
• 省エネ・環境技術、クリーンエネルギー開発、CDMの推進はもと
より、自然共生型の生活様式への転換が必要である。
z
z
z
適応策も、緩和策と同じ基本方針であるべき。
適応策も緩和策も巨大投資が必要である。
実行には、防災の政治的主流化が必要である。
最終エネルギー消費
と実質GDPの推移
エネルギー消費75%カットの意味
2050 年CO2 排出量
70%削減は、エネル
ギー需要の40-45%削
減とエネルギー供給の
低炭素化により可能
z
国立社会保障・
人口問題研究所
2006.12
技術の直接費用は、
年間約6 兆7 千億円~9
兆8 千億円(2050 年の
GDP の約1%程度)
z
「2050日本低炭素社会」プロ
ジェクトチーム 2007.2
• シナリオA(ドラえもん型):活発な、
回転の速い、技術志向の社会
• シナリオB(サツキとメイ型)ゆった
りでややスローな、自然志向の社会
持続的社会=自然共生型社会の適応策
Human adjustment to hazards
z
Gilbert F. White 1945, 総合治水 1977
z
土地利用と居住形態の再構築
• インフラ整備は流域の最適利用の原則で
従来型の都市
• 防災の内部化を促す制度
• 選択肢間の経済評価の徹底
• 新規開発は受益者負担(BPP)の原則:治水と国防は違う
• ハザードマップとその利用(避難より居住地の選択・建築設計に利用)
z
予警報、準備、避難、復旧:
コンパクトシティー
• 衛星からGoogle Earth、携帯までの先端技術
• 自助・共助・公助の連帯
z
国土交通省東北地方整備局「東北地方コンパクトシティ検討委員会」
・原子力、炭素隔離貯留
(CCS)、水素、太陽光や風
力、バイオマス
・土地の高度利用、都市機能
の集約
・旅客交通の公共交通機関
(鉄道・バス・LRTなど)への
モーダルシフトの促進
・歩いて暮らせるコンパクトな
まちづくりの促進
・歩行者や自転車利用促進
のためのインフラ整備
・高断熱住宅・建築物の普及
促進
・高効率ヒートポンプエアコ
ン・給湯器・照明の普及
・戸建住宅を中心とした太陽
光発電による電力自立
・燃焼系暖房・厨房機器での
バイオマス利用拡大
・太陽熱温水器の普及
リスク意識社会:
• 防災を政治・生活行動の主流に据え、自然の猛威と共生するた
めの情報、研究、教育に重点を
集中居住のほうが、エネルギー効率がいい
洪水ハザードマップ
海水面が1メートル上がると、ルイジアナ州南
部の海岸線は緑の部分に移動し、ポンチャー
トレーン湖は消え、ニューオーリンズは沖に
取り残される。
1863年のニューオーリンズの地図。当時、街は川沿いの高台にだけあったが、
20世紀に湿地近くまで拡大した。カトリーナではこうした低地が浸水した。
ナショナル・ジオグラフィック日本版2007.9
Today, you have a 1% chance (1 in 100) every year
in Gentilly of flooding this deep from Hurricanes
Evacuation
An Example …
z
z
z
z
Infrastructure
requirements (signs,
infrastructure,
communications) for
large scale evacuation
Adaptation of
infrastructure to living
with floods?
Evacuation plans
48 hrs:
•
•
•
•
6’-8’ Less Flooding
4000 km2,
2 million inhabitants
10.000 casualties
120 billion euro
damage
都市計画法・建築基準法
名古屋市の災害危険区域指定
z
z
z
居室あれば木造禁止
2-4種:床高>NP1m
•
•
•
z
•
1種:床高>NP4m
•
十三条(都市計画基準)
2種: 2階以上に居室か、寝所3.5m以
上、敷地内の2階屋/避難室あり、
3種:追加制限なし
4種: 2階以上に居室か、寝所3.5m以
上、近くに2階屋
防潮壁はNP6m(伊勢湾台風最高
•
z
三十三条(開発許可の基準)
•
潮位5.31m)
建築確認の際に検査し強制
z 高潮のみが対象で、洪水は対
象外 流れへの対策は不問
z 建築基準法39条
z
名古屋市の災害危険区域指定(1961年)
z
十四 地区計画は、公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の
見通しを勘案し、当該区域の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、
かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用
が行われることを目途として、当該計画に従つて秩序ある開発行為、建築又は施設の整備
が行われることとなるように定めること。
十五 防災街区整備地区計画は、当該区域の各街区が火事又は地震が発生した場合の延
焼防止上及び避難上確保されるべき機能を備えるとともに、土地の合理的かつ健全な利用
が図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の整備が行われることとなるよう
に定めること。
七 地盤の沈下、崖崩れ、出水その他による災害を防止するため、開発区域内の土地につ
いて、地盤の改良、擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように
設計が定められていること。
建築基準法第三十九条
•
•
地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域とし
て指定することができる。
2 災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築
に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。
1959年の伊勢湾台風後設定された
横浜・神戸からICHARMへ
国際貢献
z 横浜・神戸からICHARMへ
• 横浜戦略
• 兵庫行動枠組み(HFA)
• ICHARM
1994
2005
2006
• COP3 京都議定書
1997
z
z
z
z
z
UN-IDNDR(国連国際防災十年:1990-99) 23-27 May
1994
Yokohama Strategy and Plan of Action for a Safe
World
UN-ISDR(国連国際防災戦略:2000-) 18-22 Jan 2005
Hyogo Framework for Action 2005-2015: Building
the resilience of nations and communities to
disasters (HFA)
ADRC(アジア防災センター) July 1998
ICHARM (水災害・リスクマネジメント国際センター)
6 Mar 2006
The ISDR Hyogo Office 14 Oct 2007
兵庫行動枠組み:優先課題
横浜メッセージ
災害影響は貧困、弱者層により厳しい
防災、減災、準備、復旧は、持続的開発、環境保全の一環 防災を開発の一環に
防災、減災、準備は事後対策より重要 総合対策が必要
災害に国境はない 技術、情報、防減災活動、資金の国際協力が重要
情報、知識、一部の減災技術はすでにあり、費用もかからないのだから実用すべ
き 適正技術とデータを、訓練と共に途上国に
住民参加が、開発、リスク、環境の社会的理解、判断を高めるのに重要
z
z
z
z
z
z
•
•
•
z
z
z
October 2005
33rd UNESCO General
Conference
JPN proposal accredited by 191 countries
ICHARM
International Center for
Water Hazard and Risk
Management
under the auspices of UNESCO
hosted by PWRI, Tsukuba
全てのレベルで防災(安全・弾力性)文化を構築するため、知識、技術、教育を
活用する。
情報交換、研究(全てのレベルでの防災行動の社会経済的コスト便益評価手法の確立、気候
関連災害リスクに関する脆弱性や影響の評価手法の開発能力の強化等)、意識啓発(防災文
化の普及促進)
z
人的、組織的能力開発
技術共有、情報の収集・配布・利用
資源の動員
国際社会、国連は、IDNDRの実行計画実現を支援する
横浜会議は自然災害に苦しむ人を救えるかどうかの人類の岐路 速やかな実行
を
国はこの戦略を実行への呼びかけとすべき
災害リスクを特定、評価、監視し、早期警報を向上する。
リスク評価(リスクマップ)、早期警報(住民本位の早期警報体制の整備等)、防災能力(災害
の研究・観測・予測のための科学技術の振興、組織の整備等)、地域レベルの情報交換
市民を自然災害から護る一義的責任は各国にあることを確認する
特に後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国に注目する
非政府機関、地域住民の活動を含む国の防災、減災、準備能力を強化する
特に以下の目的のため小地域、地域、国際の協力を強める
•
•
•
•
防災を国、地域の優先課題に位置づけ、実行のための強力な制度基盤を
確保する。
法制度、資源(人材、資金)、コミュニティ、ボランティア
z
z
横浜戦略と行動計画は
z
z
潜在的なリスク要因を軽減する。
環境資源の管理(ハード・ソフト両面からの総合的な水資源の管理等)、社会的・経済的開発
実践(災害に脆弱な地域の食糧の安全確保、保健分野への防災計画の統合、重要な公共施
設・インフラの耐震性の向上等)、都市計画、開発プロジェクトの計画過程への防災の取り入
れ
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全てのレベルで効果的な対応のための事前準備を強化する。
防災トレーニングによる人材育成、緊急事態対応計画の準備、訓練、ボランティアの関与
◆科学技術外交へのICHARM
の取り組み
◆科学技術外交へのICHARMの取り組み
背景
* International Centre for Water Hazard and Risk Management under the auspices of UNESCO
UNESCO -日本政府の合意に基づく
UNESCOカテゴリー2のセンター
土木研究所がホスト 2006年3月6日発足
目 的
3 March, 2006
in Paris
世界の水関連災害(洪水、渇水、土砂災害、津波・高潮災害、水
質汚染等)の防止・軽減のため、各地域の実態をふまえた、
最善の実効戦略を提供し、その実践を支援する世界拠点
活動概要
6 March, 2006
at Tsukuba
世界から集うICHARM
当面、洪水関連災害に重点をおいて、
研究・研修・情報ネットワーキング活動を一体的に推進
・地上水文観測が不足する開発途上国向けに、人工衛星等のハイテクを用いた洪水予警報シス
テムの開発・普及
・地球温暖化、気候変化に伴う洪水災害リスクの評価と適応策に関する研究
・「洪水ハザードマップ研修」、「河川・ダム研修」、「総合津波防災研修」など、JICAやISDRの枠組
を活用した開発途上国の人材育成 10月より「防災政策修士コース」を開始する
・水災害リスクマネジメントに関する世界の知識ハブとして、情報の収集・解析・発信
洪水予警報システムの開発・普及
洪水との共生のため
世界配信
災害政策修士コース(水災害)
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JICAの支援による政策研究大学院大学と土木研究所の
共同開設 1年の修士コース
アジアを中心とした途上国の、公的機関の技術系職員、
民間技術者を対象
2007年10月開設 入学一期生 11人 JICA (7) 他 (4)
防災科学技術外交
海外支援は国の安全保障・国際競争
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• 中国、インド、バングラデシュ、ネパール、フィリピン、日本
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経済発展、社会開発の一環で広域防災計画を立案し、
地域での実践活動をリードできる、実践的で問題解決型
の技術者を育成する
講義+演習+野外研修 (基礎+応用+実習)
修士論文は地域改善計画のFeasibility Study
教授陣 大学教員、国交省系の実務家
防災科学技術外交(2)
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温暖化への緩和、適応策には、自然共生型社会の実現が必要である
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温暖化適応の中心は水防災であり、水防災も自然共生型社会にふさ
わしい、人間の住み方の再構築で対応する必要がある
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これには防災を政策決定の主流に位置づけ、国づくり戦略のパラダイ
ムシフトを実現する必要がある
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防災は日本にもっともふさわしい科学技術外交テーマである
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情報:
• 「横浜戦略」、「兵庫行動枠組み(HFA)」は世界の指針となっている
• 洪水予警報:産学官一体となって衛星-モデル-予報-配信システムを開発、提供
• 防災体制モニタリング、アジアから防災ISOを
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教育:インフラ技術、ガバナンス、防災文化 UN DESDの一環として防災プロ
グラムへの留学生の大量受け入れ
ODA: 10%防災条項(OECD DACへの働きかけ) 開発と人道支援は一体
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気候変化への緩和策と適応策は21世紀人類最大
の課題 水防災は適応策の中心
これに対する科学技術面からの貢献により、国際
的リーダシップを確保したい
わが国は災害と戦って経済発展を成し遂げた代表
国であるから、世界からの技術・経験・経済力への
期待は大きい
なかんずく、アジア太平洋地域の湿潤国からの期
待には、優先的に応える必要がある
ICHARM calls for
an alliance for localism
to identify the real problems of diverse
localities and to help meeting the real
needs of the people by local studies,
high technology, capacity building,
policy effective information, human
resources networking, …
Let us work together!
www.icharm.pwri.go.jp
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