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認知症予防を考える - 住友生命健康財団
スミセイシニアライフセミナー in 岐阜 認知症予防を考える 2014.11.30 (日) ■基調講演 「認知症の正しい理解と予防について」 宇良 千秋 氏 (東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防研究チーム研究員) ■落語 五明樓 玉の輔 師匠 (落語家・真打) ■講演 「脳のアンチエイジング」 茂木 健一郎 氏 (脳科学者) 茂木 健一郎氏 冷え込みゆるんで穏やかな気候となった 2014 年 11 月 30 日(日)、岐阜市民会 館大ホールで、来場者 600 名を迎えた熱気あふれる会場で、スミセイシニアラ イフセミナー「認知症予防を考える」が開催されました。 第1部は、認知症の現状と予防方法を わかりやすく解説する宇良千秋さんの基 調講演から始まりました。 高齢者にとって、認知症は他人事では ありません。認知症の発症率は、90歳以 上で50%、95歳以上で70%以上、長生き すればするほど誰もが認知症になると いっても過言ではない状況です。 一方で、高齢者の一人暮らしが増えて います。2020年には、65歳以上の世帯の うち、一人暮らしの世帯数が、夫婦のみの 世帯数を抜いて一番多くなり、地域社会 のなかで、 「一人暮らしの認知症の人」が 増える傾向にあることが示されました。 今、国では社会全体で認知症の人を支援 する町づくりを進めているそうです。 認知症の人への支援は、認知症の人の 気持ちを理解して、不安を取り除くこ と。認知機能が衰え始めると、「最近の 自分はおかしいのでは」とまず本人が気 づくことが多く、「どうしてしまったの だろう」「この先どうなっていくのだろ う」と不安になっていきます。これまで できたことができなくなって失敗が多く なると落ち込んだりイライラしたりしま す。そういう認知症の人の気持ちを理解 して、「大丈夫。私がついているから安 心して」と声をかけて不安を取り除き、 その人ができることを見つけてサポート することが大切だそうです。 主催:住友生命健康財団 後援:住友生命 岐阜支社 朝日カルチャーセンター 宇良 千秋氏 認知症の予防については、認知症発 症の危険度が下がる生活習慣についての 研究結果が紹介されました。たとえば、 食習慣では、抗酸化作用のある野菜・果 物や脳によいといわれる油を含む魚をバ ランスよく食べること。運動習慣では、 1日30分の早歩き程度の運動を行なうこ と。そのほか、新聞を読むなどの知的好奇 心を刺激したり、人と積極的におつきあい をしたりする習慣が効果的だそうです。 第2部は、五明樓玉の輔師匠の落語 「宗論」で、会場は大きな笑い声に包ま れました。その次に登場したのは、脳科 学者の茂木健一郎さん。笑いとユーモア は、脳のアンチエイジングにとても重要 な役割があるという話で第3部が始まり ました。 脳をいつまでも若々しく保つための秘 訣は、予期しないこと、初めてのことを 経験することだそうです。このときに脳の 中では、〝ドーパミン〟という物質が分泌 され、これが脳のアンチエイジングに影 響を与えているそうです。子どもの脳が 元気なのは、毎日が初体験だからで、ス イカを食べても、メロンを食べても初体 験の子どもはドーパミンが毎日たくさん 出ている状態。しかし、ドーパミンの量は、 経験とともに減少します。だから、脳の 若さを保つために新しいことに挑戦し続 けたいというのが茂木さんのお話です。 その茂木さんが今夏に挑戦したのは、 NHK朝の連続テレビ小説『花子とア ン』への出演。テレビ出演は多数経験の ある茂木さんもドラマ出演は初めて。 「棒読み」とも言われたそうですが、 ドーパミンを出すために頑張ったそう。 こうして、自分に「無茶ぶり」をするこ とで脳へのアンチエイジング効果が期待 できるそうです。 しかし、無茶ぶりや新しいことへの挑 戦に不安はつきものです。そこで必要に なるのが、笑いとユーモア。ユーモアの センスで、自分の置かれている状況を客 観的に受け入れることができると「メタ 認知」という前頭葉の働きでマイナス100 のことをプラス100に変えることができる そうです。挑戦は人に無限をもたらします。 無限とは次々にやることが決まって続い ていること。あの日野原重明先生は、 100歳 を超えてもなお手帳に10年先まで予定が はいっているらしく、だから、いつまでも 素敵な笑顔で輝いておられるそうです。 些細なことでもやってみようという気持 ちがある限り、人生のエネルギー問題は 何歳になっても解決できます――、茂木 さんからの力強いエールで、セミナーは 閉会となりました。 五明樓 玉の輔師匠