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IT 革命の光と影

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IT 革命の光と影
IT 革命の光と影
経営情報学部 経営情報学科
学籍番号
5197192
森 島
壽 一
目
.
次
はじめに
Ⅰ. IT 革命の光
1. IT 革命とは
2.
IT 革命はどのように進むのか
1)情報化になる産業
2)情報化になる家庭
3)情報化になる社会
Ⅱ. IT 革命の影
1. デジタルデバイド
2. コンピュ−タの誤作動
Y2K 騒動
3. トラブル、犯罪に巻き込まれる恐れ
4. ハイテク犯罪とサイバ−テロの脅威
1) ハッカ−騒ぎ
2) ラブウィルス
5. 対策
1)日本での対策
2)ハイテク犯罪対策
終わりに
はじめに
世界は今や情報技術(IT)のブ−ムであり、現在の人々は「インタ−ネット社会で、
生活やビジネスが便利になり豊かさを生む」というイメ−ジが我々の頭によぎる。
そして、
その影響により、競争性が(IT革命の流れに乗り遅れないようにする流行)といった考
えを起こすという考え方は、ますます高くなる一方である。
2000 年 7 月に行われた沖縄サミットでもIT革命が中心議題として取り上げられた。そ
して、外務省では、インタ−ネットではこの沖縄サミットで採用されるIT憲章の原案を
早々に用意し、インタ−ネットに代表されるITが世界の平和と安定につながる普遍的な
価値を持つと宣言する準備を整えているようである。また、IT憲章を見ると「IT革命
は 21 世紀を形成する力強いもの」と定義し、世界のあらゆる人々がインタ−ネットを使用
できるように途上国支援をするということで日本は経費 150 億ドルを約束させられた。沖
縄サミットではアメリカ的な「スピ−ド主義」という価値観に押し流され、ベルトコンベ
ア−形式に終始した観が強いよいものであった。しかし、スピ−ド優先の掛け声に押し流
され昨年末のY2K騒動にしても、今年の 5 月の「ラブウィルス」というコンピュ−タウィ
ルス問題にしてもきっちりした反省や総括は行われていない「最悪の事態は回避されたよ
うだ」といった安堵感が先立ち、原因の真実や、実際の被害状況について曖昧な形のまま
である。
このような状況を放置したまま開催された沖縄サミットであったが、中心議題であるI
T革命とそれとサイバ−テロ的な事件とは隣り合わせの大きな問題であることを人々はも
っと考えてゆかなくてはならない。そして、まさに IT 革命には光と影の部分があるという
ことを自覚していかなくてはならない。
Ⅰ.
IT 革命の光
1.IT
1.IT 革命とは
IT 革命とは IT(アイティ)は Information Technology の略で「情報技術」のことであ
り、一般に「情報通信技術と訳されることもある。具体的には、大型コンピュータからパ
ソコンまで含めたハードウェア。それらのコンピュータで使うソフトウェア。又は、それ
らを組み合わせてシステムを構築することである。それと、情報通信の技術や設備など。
さらに、こうした技術を使うノウハウまで含めることも多い。また、革命とは不連続性の
変化、物の考え方の変化、仕組みの変化を意味し、IT(情報技術)といえば、インターネ
ット、ネットワーク、パーソナルコンピューターなどが挙げられる。しかし、IT だけでは
ビジネスにならないく、新しいビジネスモデルを実現するためにITを利用する。
このように高度情報化に向けた広い分野での多彩な展開の中で e ビジネス革命だ!IT 革
命だ!とか掛け声が高まる。ここで何故、情報技術が IT と呼ばれるようになったのかを考
えてみることにする。情報技術はエレクトロニクスによる第二次世界大戦後からの急速な
進歩によって大きく進展してきた。情報に関する技術の出発点は1940年代に生じたエ
レクトロニクスの革新技術の進展であり、トランジスタ、コンピュ−タが発明され米国に
おいて進展があった。コンピュ−タは当初では軍事目的で開発されたのだが、やがて商用
化にされて企業が利用するようになり、急速な性能向上に進み始めた。その性能向上を実
現させたのがトランジスタの進歩であって、数多くの要素を一つの回路に集積する IC が生
まれ、後に LSI,超 LSI に発展していく。そして、コンピュ−タが広く普及していったので
ある。軍事や行政にも用いられたのだが、大半が企業での毎日大量に発生する数字や文字
の情報の処理に利用されたものであり、コンピュ−タは電子計算機というより情報処理装
置であった。ところが、その状況が1980年代半ば頃から大きく変わり始める。それは、
パソコンが登場し、その核となるマイクロプロセッサが急速に性能を向上し、用途を広げ
てきたことによるものである。このパソコンは1970年代半ばに米国で生まれ、当初は
個人に向けられていたのであるが企業の市場を開拓した。個人と企業の両方の分野に向け
発展を続ける。従来のコンピュ−タとパソコンの異点は、価格が安いため誰でも購入して
使用できる点と常に多くの用途に展開できるという点が挙げられる。マルチメディアブ−
ムが1990年に生じ、パソコンの性能が大きく向上してきて画像が扱えるようになり、
社会に期待を持たせた。また企業では着実にパソコンの導入が進み、ダウンサイジングが
大きな流れになる。大型コンピュ−タに代わって、パソコンが主役になって LAN(ロ−カ
ル・エリア・ネットワ−ク)という企業内ネットワ−クによるものでネットワ−クにつなが
れるようになった。進展の中ではパソコンは情報処理装置が、情報伝達装置へ変わってい
く。インタ−ネットがそこに登場し、社会を大きく結ぶネットブ−ムが生まれて情報伝達
装置としての用途が拡大していった。そして、このインタ−ネットは実態を伴った一大ブ
−ムになっていって猛烈な勢いで走り出そうとしている。だが、しかしながら早くもポス
トパソコンというものがでてきてテレビゲ−ム機や携帯などのインタ−ネット利用が大き
な可能性を秘めることになる。まさにネットワ−クによる情報化はまさにパソコンを越え
て大きく展開していくのである。
1980年代までに進んできた情報技術とは、オフコン、ミニコン、大型コンピュ−タ
などは分野においての進展は一方向であり、低コスト化や性能向上による広い普及で実現
されたものであるが、今日までの IT(情報技術)はインタ−ネットとパソコンによるとて
も広い多様な方向への展開であり分野が互いに変わり始めている。また、情報技術では技
術をもとにした高度なハ−ドウェアの開発が情報化のはしらとなっていたのであるが、IT
ではサ−ビスやコンテンツが進展の鍵となる状況に変わってきている。つまりハ−ドウェ
アがどんなに優れていても、サ−ビス、コンテンツが充実していかないと情報化は進まな
いと言えるのである。あと情報技術と IT の関係は外と内の関係とも言える。これまでのコ
ンピュ−タは企業内の情報処理に用いられ、ネットワ−クも専用線を用いるネットワ−ク
も、企業の本社や工場または支店などを結ぶ内の関係、IT は公衆回線をよういてどこでも
情報の交換ができるようになる。こうしたように企業も家庭を含めた外とのネットワ−ク
を組むという新しい時代の流れを IT 革命と呼ぶ。
2.
IT 革命はどのように進むのか
まず、大きく見て企業や世の中の経済を発展させる IT の「産業の情報化」
、そして、人々
の生活的な面を豊かにする IT の「家庭の情報化」
、次に人々を取り巻く世界の形成である
「社会の情報化」この取り上げられる事柄の交わり、情勢を思考し、IT 革命はどのように
進むのかを考えてみる。
1)情報化になる産業
産業では、e ビジネス、e コマ−スにより産業が大きく変革され経済が新たな方向へ発展
する。中心的となるのは e コマ−スで、この e コマ−スの拡大が何を意味するのかは BtoC
(企業対消費者)ではなく十倍もの規模で伸びていく BtoB(企業間取引)つまり企業対企
業でいわれることは、世界中どこからも最安値の部品調達が可能になり、消費者への直接
販売により、中抜きの経済に変わり逆オ−クションで消費者主導の価格決定が生じるなど
で経済活動の大改革が進んで、この e コマ−スを広げることで e ビジネスが生まれ、顧客
のサ−ビスの向上が生まれる。また、経営コンサルトでは SCM(サプライ・チェ−ン・マ
ネジメント)で BTO(ビルト・トゥ−・オ−ダ−)が可能とされる。典型として引き合い
出されてくるのが米国のデル・コンピュ−タであり、これはもともと通信販売を主にパソ
コンを売ってきたメ−カ−であったのだが、インタ−ネットによる販売を始めて急速に業
績を伸ばしてきた。このデルの SCM でいわれるのが BTO であり、パソコンのような大量生
産製品にまで注文生産が広がるのが SCM だと言われる。また、マ−ケティングでは顧客の
一人一人が何を欲しているのか、細かくニ−ズをとらえ応じた適切なマ−ケティングをし
ようという。ワン・トゥ−・ワン・マ−ケティングの可能性が進んで、企業の電話受け付
けであるコ−ルセンタ−に設けて電話がかかってくるとコンピュ−タのデ−タべ−スから
その顧客に関する情報を引き出し対応することのできる CTI(コンピュ−タ・テレフォニ
−・インテグレ−ション)システム、顧客に関する情報を一元的に管理して、顧客の満足
度をできる限り高めて次のセ−ルに結びつけようとする。CRM(カソトマ−・リレ−ション
シップ・マネジメント)、企業に関するあらゆる情報を支援する SFA(セ−フレス・フォ−
ス・オ−トメ−ション)など新しい経営手法を実施していく時代になるだろう。このよう
な産業の情報化は新しい企業経営に必要なものであり IT 革命の進展とともに確実に進ん
でゆく。
2)情報化になる家庭
家庭の情報化システムは大きく違う時代に入ってくる。テレビや VTR などの家庭でも誰
が使ってもほとんど同じであるが、
しかし、インタ−ネットの利用は人によりかなり違う。
E メ−ルに使う人もいるし、友人、知人内もしくは、同じ趣味、嗜好を持つ見知らぬ人と
知り合ってチャットするのか。また、生活に役立つ情報を頻繁に利用するのか、あるいは
インタ−ネットによるショッピングを楽しむのか。さらにデジタルテレビが加わることに
より情報への接し方は多様になる。高画質で美しい映像を見ることができ満足する人、デ
−タ放送でいろいろな情報をとるのに興味を持つ人など、いつでも見たい番組を見ること
が可能になる。このインタ−ネットとデジタルテレビが結びつくことにより情報の利用は
いっそう複雑になる。これからの情報利用は人それぞれによって違い、個別化していく。
情報化はどのように進展していくのか。その方向やペ−スを見通すことは簡単ではない。
これからもインタ−ネットの加入者は増え続けるのか、e コマ−スは何処までのびるか、
Web サイトからの情報入手は身近なものになっていくのか、テレビのデジタル化が始まる
かなど見通しにくいものである。この見通しを難しくする理由は、家庭は企業と違い情報
化に何を求めているのか。企業の場合は、目標は経営の合理化、改革であり明確であるが
家庭では面白く楽しい情報を欲すのか、広く深く知りたいのかなどそれぞれ情報に求める
ものは違ってきている。テレビやインタ−ネットなどのメディアはどのようにその欲求に
応えられるかが見通しにくい点である。家庭に入ってくる機器としての情報システムもイ
メ−ジはなかなかさだかにならない。パソコンが一時期は核となりテレビや家電機器が結
びつくだのといわれた。インタ−ネットを利用するものはパソコンだとみられていたのだ
が、携帯電話のインタ−ネット利用である i モ−ドが急速に普及して見方が変わり始めて
いる。これは五千万人を超えるほど急速に普及したがそれは若者の九割ほどが加入した為
である。家庭での情報システムの中核の座をパソコンに代わって狙っているものがいくつ
かある。まずはテレビゲ−ム機であり、ドリ−ムキャスト、プレステ 2 などが挙げられる。
これらは画像処理の能力が非常に優れており、動画の時代に向いている。CATV の STB(セ
ット・トップ・ボックス)も、デジタル化して DSTB となってインタ−ネットを取り組み情
報システムの核になるだろう。携帯電話はやがて生まれていくパ−ソナル・ナビゲ−タに
も可能性があるといえよう。家庭の情報化に深く関わってくるのがネットワ−クであり、
これには各家庭に至る公衆電話と、家庭での中の各部屋の各機器を結ぶものが生じる。回
線は光ファイバ−網が理想的なのだが幹線から支線までは導入されてもそこから先の家庭
に入る引き込み線までの普及が難しいとされる。そこで、今の金属系の公衆回線を電話と
兼用する ADSL(非対称デジタル加入者線)の実用化が始まってきており、また末端は無線
でというシステムも計画が進められて、CATV ケ−ブルの利用も進んできている。さらに、
家庭での情報化の進展を見る重要な鍵があり、通信と放送の統合であり、将来はその方向
に進むと言われてきている。これはテレビの結合とインタ−ネットになるのだが、これも
見通すのは困難であろう。ともかくこのように家庭での情報システムの形はまだ定まって
ない。しかしながらインタ−ネットの進展は期待がもてネットワ−クの CATV、ADSL、無線、
光ファイバ−などの大容量化により、動画像もふんだんに流せるようになる。こうしたこ
とから情報化の進展はさらに進むとされる。
3)情報化になる社会
)情報化になる社会
社会での情報化はさまざまだが主に三つある。まず一つ目は交通であり、自動車交通で
今「ITS」
(インテリジェント・トランスポ−ト・システム)が動きだしいている。
多様なシステムである ITS、交通の高度情報化で期待されてくるのは、道路と自動車であ
る。自動車は極めて複雑な道路を、バイク、トラック、乗用車、バスなどの無数の車が無
秩序に走り回るのでありシステムとして制御することが非常に困難である。交通機関の中
での技術は遅れてきた。道路交通にもいくつかのシステムが生まれはじめてきている。多
種多様なシステムがありうるのが道路交通だが、これを ITS とし、訳して高度道路交通シ
ステムと呼ぶ。これは道路と車を情報ネットワ−クで結ぶことになる。
わが国では道路のシステムとしては VICS(道路交通情報通信システム)の実用化が開始さ
れている。この VICS は道路上に設置した電波ビ−コン、光ビ−コン、FM 多重放送を使い
走行している車のドライバ−に道路の渋滞状況、工事、交通規制などに関する情報、駐車
場の空き情報などを送るシステムである。そして VICS の利用者は順調に伸びている。これ
からはこの VICS の利用者は順調に伸びていく。そしてカ−ナビゲ−ションシステムと結び
つくことになるだろう。これは全国の道路地図、さらに道路周辺にレストランなどの情報
サ−ビスも急速に充実していくことになる。また、高速道路の自動料金収受システム(ETC)
は 2000 年から全国各地で導入が進んできている。この ETC は車に搭載した機器と料金ゲ−
トとの間で無線でやり取りして自動的に課金するシステムであり、車搭載機には IC カ−ド
をセットしておきカ−ドで支払うことになり、後日、銀行口座から引き落とされるシステ
ムである。欧米では ETC を既に実用化していて、マレ−シア、アジア、シンガポ−ルでも
導入がはじまっている。日本では 99 年に首都高速道路、東京湾横断道路などに設置され、
2002 年までに全国で 730 ヶ所に設置する計画である。また、事故の際の緊急通報サ−ビス
も 2000 年に全国でサ−ビスが始まっている。そして事故に対応する緊急車両の走行を支援
するシステムも考えられている。これは信号制御にさまざまな可能性があることにより
GPS を利用するシステムが用いられ事故が生じると位置と車両番号の情報がセンタ−(日
本緊急通報サ−ビス会社)に向けられて発信されてセンタ−が最寄りの消防署、警察に通
報する。その他には FAST と呼ばれるシステムもあり、光ビ−コンを使って交通信号を制御
して走ってきくどの交差点も青にして緊急車両を走らせるシステムもある。安全性の向上
には AHS(走行支援道路システム)、運輸省では 1991 年から ASV(アドバンスト・セ−フテ
ィ・ビ−クル)の実用化にむけて開発されている。システムの可能性がある ITS は郵政省
では市場規模は 2015 年までに累計で 60 兆円に達するとされ民間企業ではこの大型市場を
目指し、開発と事業化に力を注いでいる。二つ目は医療であり、遠隔診断、電子カルテな
どのシステムの可能性が早くから言われ、最近では病診(病院・診察所)ネットワ−クの
必要性が言われている。
医療の情報化では ME(メディカル・エレクトロニクス)の研究開発が進められていて、
ME は X 線 CT、MRI、自動検査システムなどの医療機器を大いに発展させた。今では電子カ
ルテのシステムが急速に進んでいる。これは個人の患者のカルテの情報を IC カ−ドあるい
は光カ−ドに入れて、当人が常にもち、急病になっても近くの病院に駆け込んで最善の治
療を受けられるようにしようというシステムである。それと病院内の膨大に膨れ上がるカ
ルテの保存、管理するコスト、スペ−スを電子化して管理することを目的とする。厚生省
では 1999 年 4 月に電子媒体によるカルテの保存を認めシステムが急速に進み始めてきて、
厚生省では病診連携を推進している。それは患者が手術を除いて予後は自宅の近くの診療
所で診てもらうようにしようというものである。その核になるのが病院と診療所の間での
診療に関する情報のやりとりであり、電子カルテシステムにより可能になる。通信回線で
結べばカルテや X 線 CT、MRI などの画像を送ることが可能になる。今は異なるメ−カ―の
電子カルテシステムでデ−タ交換が困難であるがシステムメ−カ−、大学などが共同で電
子カルテの情報をネットでデ−タ交換する際の規格「MML」を実用化に向けコンソ―シアム
を設立している。遠隔診断のシステムも実用化に入ってきている。この実用化の方向は二
つあり一つ目は病院・診療所間での利用であり、診断画像をネットワ−クで伝送するもの
である。東京都では離島など遠隔地医療の充実をめざして「島しょ医療支援システム」を
導入している模様。このシステムはいずれは全国に広がる期待が持てる。これは、高齢化
社会に入って病院に通うのが大変だという人に通院は月に一度ぐらいにして、その他は遠
隔診断に任せるといったシステムである。このような医療の情報化は一部では始まってい
るが、適切なシステムを速やかに確立して広く普及させる必要は大いにある。
三つ目は教育・文化の情報化である。教育の情報化では、マルチメディア教育があり、
映像、画像を駆使したコンテンツを豊富に制作して行う教育が進んでいる。このコンテン
ツは、一人一人がパソコンの前に座りマウスとキ−ボ−ドを操作しながら勉強していくこ
とと大画面のプロジェクタ−を用いてクラス全員を対象にして行う授業であり CG 画像と
映像がふんだんに入ったものを利用されている。これらは今、文部省がゆとりのある教育
を指向して理科、数学、国語などの基礎的な教育に向ける時間が減ってきた為に小中高校
生の家庭内での子供のしつけ、また学力低下などの問題から、学級崩壊という現象などの
問題を解決するのに役立ち、マルチメディア教育が進んでいる。文化の情報化ではデジタ
ルア−カイブがあり、つまり、工芸品、画像、歴史遺産、彫刻、文書などの映像をデジタ
ル化された画像として誰でも簡単に利用できるようにする方法が進められてきている。
こういった情報化によって新しい方法を使って知識のある情報技術社会を作りあげる
IT が進んでいくであろう。
Ⅲ.
IT 革命の影
1. デジタルデバイド
IT 革命の影の領域を満たす問題の一つであるデジタルデバイド問題が近年話題とな
る。このデジタルデバイド(Digital divide)
:情報格差とも訳され、これは、IT 革
命が進みその普及によって、IT というものを人々が使いこなせるかできないかという、
ある階級的な分裂が生まれて社会問題となる、いやなっている端的な考えを示す問題
のことである。このデバイドという言葉は、分割という意味を持っているが、IT 技術
の社会的区分とされているようである。また、所得、地域、年齢、身体障害などによ
って多様な差異により、引き起こる情報格差とされる。今まさに、世界は低価格化を
基盤とする進化をとげたとしても、誰でも簡単にパソコンを買うことのできる値段で
ないし、もっとも生活の中で必需品ともいえなく、習得も困難であるのが現状である。
つまり、パソコンなどの IT を保持する、使用するか、しないかという領域では人を区
別することは可能といえるのであって、この事柄はこの状況だけではなく過去に何度
も異点的な問題で繰り返されてきてきた。人として個人の水準を述べる問題であり、
発展途上国と先進国というように国際的に対立構造を引き起こす問題の面もあり、こ
の格差問題の縮小に力を入れてきている。我が国では情報化を我々の社会基盤にどの
ようにして組み込むかが大きな過程であり、無造作にデジタルデバイド自体の問題を
とりあげるのも難しく思われる。この IT を利用していくことに関して、我々の生活を
豊かに向上させるといった思考はいいのだが、まだ現実は空想が先走り実態という現
実が進み遅れている。つまり、我々、人々が全てパソコンなどのハイテクマシーンを
使いこなせることになるということは、まだ先になりそうである。IT も整備され、社
会の効率化、改善などが更に現実に近づくのなら、個人が使用したり、使いこなせる
ようになることは左程問題ではない。そして、特別な意識に、ほとんどの人々が恩恵
を受けられるだろう。しかし、沖縄サミットでの会談でもそうだが、出遅れた惨事を
語り IT 推進をとる我が国では、まだまだ IT の先進国になる日はまだまだこないだろ
う。
2.コンピュ−タの誤作動
Y2K 騒動
Y2K騒動とは・・・1999 年∼2000 年にかけて日付が変わる時に、コンピュ−タが時間
を読み違え、一斉に誤作動を起こす恐れがあるといわれは事件のことで。世界のあらゆる
コンピュ−タの多くは誤作動により動かなくなり、世界経済は大きな影響に覆われるなど
とされた問題である。このときのコンピュ−タのプログラム書き換え作業には世界中で
2000 億ドル(約 24 兆円)が費やされたといわれたが、一体それだけの価値があったのか
ということはわが国ではおそらく誰も検証はしていない。問題がそんなになかった日本で
は「問題はたいして起こらなかった」という曖昧な報告になっている。そして今や誰の記
憶にもこのY2K騒動はそんなにはのこっていないだろう。というのは 2000 年 1 月末にお
こった日本の政府機関のホ−ムペ−ジが次々に改ざんされるといる「ハッカ−騒ぎ」が巻
き起こったために、Y2K騒動関連のニュ−スがまったくという程、取り上げられなくなっ
たからである。だが、アメリカでは実際はそんな簡単な問題ではなかった。今年の二月に
米軍が民間の研究所とともにまとめたY2K被害報告書によると、アメリカの軍事偵察衛生
は三日間も機能マヒになっていたり、コロラドにある米空軍基地ではロシア軍幹部の視察
団を受け入れ、人質作戦をとっていたが、アメリカの安全保障にとっては重大な脅威が発
生していたのである。又、金融機関を通じてロシアやインドネシアへの送金された資金が
大量紛失したということである。全米銀行協会ではアメリカ中の教会の牧師に声明文を送
り、現金の引き出しに殺到しないよう教会のミサで説教をしてくれるように準備した程で
あった。これらのことによりアメリカでは予想外のサイバ−テロやネット関連の大災害に
備えるための公開セミナ−が開かれた。2000 年 2 月のことである。この会議から得た価値
はジョン・ハムレ国防次官からはこう述べられる「アメリカ軍はY2K対策に 35 億ドルを
投資したが、その価値は十分あった。21 世紀に発生する恐れのあるサイバ−テロや大量殺
戮兵器による攻撃に備える基本的なモデルを作りあげることができた。
」しかも将来の危機
的状況には縦割り行政では効果的な対応はできない。民間を巻き込む横断的な緊急対応策
が必要にとのことであった。この危機的状況のためのアメリカの危機管理は軍を中心に、
世界銀行、国連、CIA、国務省から民間組織まで幅広く動員がかけられた。つまり、ア
メリカの政府も民間組織もY2K騒動などの事件を単なるコンピュ−タの技術的な問題で
はなく、
世界がネット化された時代の新たな戦争として受け止められたということになる。
対策として、日本の防衛庁はサイバ−テロの脅威に備える為に、陸海空の自衛隊を統合
的に運用できる指揮情報通信システムの強化を目指しているのだが、期待されている東
京・市ヶ谷に完成した中央指揮所は政治的に十分な支援体制がないために、十分な力を作
ることができないでいる。これは国民との間にネット時代の危機管理の重要性が認識され
ない限り、日本が情報戦争を勝ち抜くことはおそらくできない。
それとは反対に、アメリカでは官民ともに情報戦争に対する感度は高く、ウォ−・ル−
ム・リサ−チというコンサルタント会社のような管理政策をとっている。この会社のサ−
ビスは「逆スパイ行為」であり、属にいう法人組織を対象としたスパイ行為のことであり、
彼らのサ−ビスを売り込む先は民間企業(銀行や情報企業、保険会社など)のみならず政
府機関や軍まで含まれている。
内容的なものは、同社は 1996 年にアメリカ上院と協力して、
優良企業 1000 社の情報システムにスパイ行為し、その安全性をチェックする仕事を行うと
いった内容である。結果としては公表されてないが、このような対策から在米企業の情報
セキュリティの水準をアメリカ国家は把握しようとしている。それは日本との対応は大違
いである。
3.
巻き込まれるトラブル、犯罪
インタ−ネット関係でのトラブルや犯罪に巻き込まれるいくつかのケ−スがある。まず、
メ―ルや掲示板に関するケ―スでは、今スト−カ−が出没して大事件まで起こしているの
だが、インタ−ネットにもネットスト−カ−が少なからずいる。掲示板やチャットで知り
合った者にしつこく付きまとうケースがある。これがネット上であれば、不快な気分にさ
せられるがメ−ルアドレスを変えるなどして、防ぐことができる。しかし住所や電話をメ
−ル仲間に知らせると、大変難儀なことになる危険性がある。メ−ルだけでなく電話の攻
勢が始まったり、家や会社にまで押しかけてくることにもなるのである。インタ−ネット
のメ−ルは、顔を合わせて話しているのと違って、思わぬ誤解を招くことがある。ネット
での男女の付き合いでは、妄想が膨らみやすいともいえる。ふられた男が、相手の女にな
りすまして、いくつもの恋人募集の掲示板に偽の投稿をして、女の携帯電話に交際希望の
電話が殺到したという事件もあった。掲示板での嫌がらせもある。また金銭的な被害のケ
−スではインタ−ネットにもねずみ講がある。文書を仕入れて、メ−ルフレンドなどにそ
の文書を送ると金が振りこまれるといったケースがあるが、詐欺である。推定で四千八百
人、約八千万円の被害があったという。その他にも、インタ−ネットでモニタ−を募集し
てインチキな商品を売りつけたり、商品を購入して金を払ったけど送ってこず、他人に勝
手に注文されて覚えのない商品が届いたり、そのサイトが消えてしまったり、さまざまな
被害がある。その他のケ−スでも、インタ−ネットには無関係な人でも突然、事件に巻き
込まれる危険性がある。最近もインタ−ネットの掲示板で仲間を誘って若い女性を襲うと
いう凶悪な事件があったのだが、これは過去にも女子高生を乱暴するなどの事件があった。
自分では手を出さず、ネット上で女性の実名や住所を公開してレイプを依頼するというき
わめて悪質な行為もあった。無断で他人の女性の全裸写真を掲示したり、主婦の実名、電
話番号をだして「セックスフレンド募集」といったこともある。又その後起きた十七歳の
少年が起こした事件がインタ−ネットに関わっている。電車の中で、突然ハンマ−で乗客
を殴った少年はインタ−ネットに夢中で、事件前日に掲示板に書いてた。インタ−ネット
が少年たちのこうした異常な犯罪を誘発したとまでは言えるものではないが、少なくとも
関わっているのは間違いない。インタ−ネットは、無秩序に膨れ上がってきた管理ができ
ないメディアである。それは自由に加入し自在に利用できるというインタ−ネットの利点
でもあるのだが、その裏には犯罪やトラブルが発生しやすいという問題がある。
4.
ハイテク犯罪とサイバ−テロの脅威
平成12年1月、科学技術庁、総務庁をはじめとする8つの中央省庁等のインターネッ
ト上に開設しているホームページが改ざんされたり、消去されたりする事件が相次いで発
生した。被害を受けたホームページでは、海外の成人向け雑誌のホームページに接続する
ボタンが仕掛けられたり、中国語と英語で文書が書き込まれたりした。この他、侵入成功
までには至らなかったものの、複数の省庁において、システムに不正に侵入しようとした
形跡も発見されている。これらの事案は、同時多発的に発生しており、後にサイバーテロ
発生の兆候を示す日本では初の事例と言える。コンピュータ・ネットワークを通じて侵入
に成功したハッカーは、電子政府の構築を目指し、
「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動
計画」
を策定したばかりの我が国政府の取組みに大きな影響をもたらすことになった。 ま
た、米国では、国防総省のコンピュータ・システムに侵入したイスラエル人が逮捕される
事案が発生したり、空軍の研究所のサーバが攻撃を受け、重要な情報が盗まれたりしたほ
か、FBIのサーバがDOS攻撃(サービス不能攻撃)を受け、業務不能となった事例も発
生している。こういったことにより、米国では、軍やFBIといった通常よりも高いセキ
ュリティ対策が求められるサーバに対しても侵入された事例が発生しており、サイバーテ
ロの脅威が現実のものとなりつつある。そして、現状のまま推移すれば、我が国も米国同
様の深刻な事態に陥る可能性がないとはいえない。
一方、我が国のハイテク犯罪については、コンピュータ、電磁的記録を対象とした事
案は減少しているものの、近年のインターネットの急速な普及に伴って、コンピュータ・
ネットワークをその手段として利用した犯罪は、急激に増え続けている。その態様も、他
人・架空名義によるプロバイダ(ISP:Internet Service Provider)との契約や銀行口
座の開設等を手口とする事案、いわゆるなりすまし事案が多発する等、巧妙化する傾向に
ある。 また、米国のCERT(Computer Emergency Response Team)及び我が国のJPC
ERT(Japan Computer Emergency Response Team)に届出のあった不正アクセスの件数
の推移は、どちらも増加傾向にある。
1)ハッカ−騒ぎ(ハイテク犯罪)
ハッカ−騒ぎとは、日本の官庁がハッカ−攻撃を受けたことからはじまり、その直後に
はネットビジネスが最も進んでいると見られるアメリカ企業も次々と被害にあった。2000
年 2 月には、Eトレ−ド、アマゾン・ドット・コムやCNN,ZDネット、e ベイ、ヤフ
−といった人気のある Web サイトが次々に数時間から数日にわたってマヒ状態させられる
といった事件である。これは「サ−ビス拒否(DOS)」攻撃で、標的になったサ−バ−の
デ−タを送りつけ、他のユ−ザ−のアクセスを困難にする手法であった。この一連の事件
でこの種のサイバ−攻撃はインタ−ネットが広まると同時に各地で発生している。
対象する方法は非常に困難であり、このような攻撃を仕掛けたハッカーを逆探知するの
はそう簡単なことではない。これは追跡した先はハッカ−が自分の痕跡を消すために使っ
たダミ−のコンピュ−タというのが一般的となっているからである。たとえば、ヤフ−の
場合は、少なくとも 50 ヶ所以上のDOS攻撃を受けていた。そのことから、ハッカ−グル
−プは第 3 者の複数のコンピュ−タを操って、同時多発的なネット攻撃を意図したことが
分かる。彼らは事前に無関係のコンピュ−タに攻撃ソフトを仕込んでおき、総攻撃の合図
とともに悪意のデ−タを一斉に標的となったヤフ−のサ−バ−に送りつけたのである。
このようなことからネット社会はハッカ−たちが大手を振るって活躍する場であるといえ
よう。又、クレジットカ−ドをネット上で使用する事に関してもかなり深刻な問題が起こ
りえる。日本という国は他の国より治安がよく国に守られているというような安全性をも
つような錯覚をみる、その中の致命傷である平和ぼけが深刻なため、日々、危機と隣り合
わせな関係だということを忘れてしまう。このことにより、企業の Web サイトや政府がア
クセス不能になったぐらいでは人々の目には覚めないと思う。e コマ−スが一層普及し、
クレジットカ−ドでの決済が日常茶飯事になった頃に、自分のカ−ドの暗証番号がオンラ
イン上で盗まれ、自分の懐が被害にあってはじめて、危機意識が生まれるであろう。この
ような犯罪はわれわれのみぢかで既に行なわれている。近頃のハッカ−の犯罪目的は以前
とは異なりより欲求を満たすものとなってきた。以前ではハッカ−の行為の動機としては
腕だめしや愉快犯といったことで行なわれるのが当たり前であった。ところが最近ではハ
ッカ−たちの行動に変化がおこり、他人のクレジットカ−ド番号などを使って高度な買い
物をするような事例が増え始めてきたのである。
ソフト・キルという言葉がある。インタ−ネットはアメリカが世界に投下した第 2 の原
子爆弾的なものに変わりはない。こういったネット爆弾のことをソフト・キルと呼び、製
造元のアメリカでさえテロ集団による悪用が恐れられているのである。コントロ−ルがき
かない大量破壊兵器が一瞬にして世界にばらまかれたようなものであり、最も力をもつア
メリカでさえ困難な問題としてとらえられることならば我が国ももっと深刻に考えなくて
はそのうち取り返しのつかないことになる。
2)ラブウィルス
「アイラブユ−」ウィルス、この仕組みはたった 2 日で全世界の 4500 万台のコンピュ−タ
に感染したといわれる。発信地はおそらくフィリピンらしいと推測されアメリカ FBI の捜
査官が乗り込み、現地の警察官とともに捜査にあたり容疑者が推定され取調べを受けたり
したのだが、証拠不十分で犯人特定には至らなかった。被害の見地は、事件発生後に公表
されイギリスのロイズ保険の見積によれば世界 20 ヶ国以上での被害総額は 150 万ドル(約
1兆 6000 億円)に達する。日本では 5 月の連休中と重なって被害のほうはそれほどはなか
ったが、アメリカではマイクロソフトなど民間企業やフォ−ド自動車会社から国防総省や
中央情報局(CIA)までが被害にあった。デ−タを破壊されたり、メ−ルシステムが使えな
くなったりするなどの被害が起こった。このラブウィルスには3つの問題点が生じる。第
1 に、感染経路は世界中で最も普及しているマイクロソフトの電子メ−ルソフトであり、
「アウトルックエクスプレス」、
「アウトルック」これは、ほとんどのデスクトップ PC が世
界同時に被害に遭うことを狙ったものと思われ、今回の事件は世界のコンピュ−タの 90%
以上がマイクロソフトのプラットフォ−ムを採用していることの危険性を無言でアピ−ル
したに等しい。得をしたのは無料ソフトの普及を目指しているノキアで、司法省から独禁
法違反で訴えられているマイクロソフトが一番損をしているという点がある。第2に、当
初の被害総額が時間の経過とともに、最小限に近づいていったことであり、ウィルス発生
当初の5月4日には 150 億ドルと言われていたが、じきに100億ドルになり、10日に
は80億ドル程度と下方修正されてしまった。この数字の変化はネット犯罪に関する調査
や被害額の見積が極めて難しいといわれるが、それ以上に重要なのは、その種の見積がで
きる専門会社はアメリカのコンピュ−タ・エコノミクス一社に絞られるという事実で、こ
の状況下で一週間もしないうちに被害額が半分近くに縮小したのかという点である。第3
にウィルス対策のソフトウェアやリスク管理会社は千載一隅のチャンスとばかり、サ−ビ
スの売り込みに飛び回ったことであった。
以上のような問題が生じる現状があることを人々は肝に免じなければならない。たとえ
その現状をしっていたとしても、それを克服できる改善できる知識や行いをえなければな
らなく、知らなくても知識を得て、今後をどうするかという考えをもつことがこれからの
発展にかわるのだから。
5.
対策
このような問題の対策としては、現在、高度情報通信社会の急速な発展に伴い、情報シ
ステムをサイバーテロの脅威やハッカーから防護するための制度、技術、運用、法執行等
様々な側面からのセキュリティ対策が必要不可欠となってきている。一方、平成11年1
1月11日に策定された「経済新生対策」において、政府は、平成15年度までに電子政
府の基盤を構築することとしており、十分なセキュリティ水準を確保し、信頼性の高いシ
ステムを構築していく必要がある。特に、コンピュータ・ネットワークに接続された政府
機関や民間重要分野等のシステムは、常にサイバーテロの脅威やハッカーにさらされてい
ると言ってもおかしくはない。
このような情勢から、平成12年1月、情報セキュリティ関係省庁局長等会議(議長:
内閣官房副長官)において、「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画」が策定された。
同行動計画では、ハッカー対策のための取組みとして、政府機関の防護技術の開発や監視・
緊急対処体制の強化、民間重要分野等における防護強化の促進等が示され、ハッカーに対
する根本的な対策を政府全体で推進することが合意された。
1)日本での対策
高度情報通信社会推進本部は、平成6年に内閣総理大臣を本部長として設置され、日本
における情報通信施策の総合的な推進を図ってきた。この推進の基本的な方針「高度情報
通信社会推進に向けた基本方針」(平成7年2月決定、平成10年11月改訂)では、
「セ
キュリティ対策・ハイテク犯罪対策・プライバシー対策」が高度情報通信社会の推進に当
たって重要な施策として位置付けられた。つまり、ハイテク犯罪が高度情報通信社会の健
全な発展に重大な障害となるというものであり、政府では積極的に対策を講じていく必要
があるものとされている。
また、平成11年9月、内閣官房副長官を議長とする「情報セキュリティ関係省庁局長
等会議」が設置され、我が国の情報セキュリティ対策の推進のため、法制度の検討、ハッ
カー対策等の基盤整備、サイバーテロ対策について政府一体となって取り組むこととされ
た。平成12年1月、同会議では「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画」を策定し
て、政府機関の安全対策の推進、民間重要インフラの安全対策の推進、国際的な連携等が
盛り込まれた。さらに、同会議では、平成12年12月を目途に「サイバーテロ対策に係
る特別行動計画」を策定する予定であり、サイバーテロに対する万全の対策について検討
されている。
2)ハイテク犯罪対策
ハイテク犯罪は国境を簡単に越えることがか可能である性質を持ち、対策としては国際
協調が重要である。また、ひとつの国が制度的・技術的な弱点をもつ場合、その国が踏み
台となって各国へ被害が拡大する場合もあるため、国際的に歩調を合わせることが重要と
なってきている。平成10年に開催されたバーミンガム・サミットでは、国際犯罪が主要
議題となり、中でもハイテク犯罪が各国の注目を集めた。コミュニケでは、
「ハイテク犯罪
と闘うための原則と行動計画」の迅速な実行が首脳レベルで合意され、各国での取組みが
促された。警察庁は、バーミンガム・サミット・コミュニケを受け、ハイテク犯罪に立ち
向かうための警察各部門が一体となった施策の推進を実施するため、「ハイテク犯罪対策
重点推進プログラム」を策定した。 プログラムでは、4点の①サイバーポリスの創設、②
不正アクセス対策法制の整備、③産業界との連携、④国際捜査協力のためのルールづくり
平成11年度までに緊急に実施する施策として位置付けた。
このプログラムに基づき、警察庁では、
「警察法の一部を改正する法律案」を国会に提出
して(平成11年3月可決成立)、サイバーポリスの技術的中核となる事務に関する規定を
設けたり、
「技術対策課」
を情報通信局に設置するほか、
装備資機材の整備を行った。また、
各都道府県警察ではハイテク犯罪対策プロジェクトの設置、ハイテク犯罪捜査官として民
間のシステムエンジニア等の採用等の対策を講じてきた。さらに、通商産業省及び郵政省
と連携して、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律案」を国会に提出して、同法は平成
11年8月に可決成立(平成11年法律128号)
、一部の規定を除いて平成12年2月か
ら施行されることとなっている。(図 1)
国際捜査協力のルールづくりについては、G8リヨン・グループ(国際組織犯罪対策上
級専門家会合)のハイテク犯罪サブグループの協議の場に積極的に参加している模様。
インターネットの普及、電子商取引の本格化、電子政府構想等を背景に、我が国の社会・
経済活動が新たな空間(サイバー空間)へと拡大しつつある。一方、ハッカー、サイバー
テロ、更にはサイバーウォーの可能性が取りざたされるなど、サイバー空間上の脅威も飛
躍的に高まっている。
これらのサイバー空間上の危険性に対処するためには、
その高速性、
複雑性等を考慮した捜査体制の確立が急務である。
また、インターネット・サービスの多様化により、無料転送メールサービス、無料ホー
ムページ等を悪用した事犯、なりすまし事犯、電子メールのヘッダ情報部分を隠蔽するソ
フトを利用したり海外に設置されたサーバを犯罪に利用するなどして摘発を逃れようとす
る事犯も発生するなど、その犯行手段は悪質・巧妙化の度合いを深めてきている。
国際的には、G8において、トランス・ボーダー・サーチ(国境をまたぐ捜索)等のハ
イテク犯罪捜査を迅速かつ確実に行うための枠組みや、法執行機関のニーズを反映した技
術標準の確立等産業界との連携について議論がだされており、こうした動向に配慮してい
く必要がある。
おわりに
今や IT 革命が進んできたといわれる。確かににそうである。だが IT 革命にのって新し
い社会に人々は住みだしていく。世の中は便利で住みやすい社会になるがそれだけ新しい
光の部分を生み出すということは光が存在する分、影が存在することを人は知らなければ
ならない。世界に太陽と月があるように、人といつも持ち歩いている影ように、IT にも光
と影があることを。人と影が切り裂けないように IT も光と影は切り裂けない。IT はこれ
からも先、さらに高度なものに進歩するだろう。そして、問題の過酷度が増し、犯罪など
のレベルもより高度なものに進歩していく。人々は簡単に IT 革命の波にのろうとするがそ
のような危険性もあるということを常に認識してゆかなくてはならない。それが IT 革命と
いうものの中で生きてゆく手段と化すだろう。
参考文献
浜田 和幸 「サイバ−テロ IT と金融ビジネスのアキレス腱」 PHP 研究所 2000 年
浜田
和幸
「ネット・ウォ−ズ」 PHP 新書 2000 年
森谷
正規
「アメリカと違う日本の IT 革命」 毎日新聞社 2000 年
森谷
正規
「21 世紀の技術と社会」 朝日選書 1997 年
http://www.kantei.go.jp/
首相官邸
http://www.mof.go.jp/
大蔵省
http://www.mofa.go.jp/
外務省
http://www.mpt.go.jp/
郵政省
http://www.npa.go.jp/
警察庁
http://www.yahoo.com/fc/Tech/Hackers and Crackers/
ハッカ−・クラッカ−情報
http://www.idefense.com/
i ディフェンス
http://www.jpcert.or.jp/
コンピュ−タ緊急対応センタ−
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