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屋内位置情報システム市場に関する調査結果 2015
2015 年 10 月 14 日 屋内位置情報システム市場に関する調査結果 2015 -2020 年に向け、B2B/B2C 両領域にて本格的なビジネス展開フェーズに入ると予測- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の屋内位置情報システム市場の調査を実施した。 1.調査期間:2015 年 6 月~9 月 2.調査対象:屋内位置情報関連サービス/ソリューション提供事業者、その他関連企業等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <屋内位置情報システムとは> 本調査における屋内位置情報システム(インドアロケーション関連サービス)とは、「屋内測位技術」および「屋内 地図情報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソリューションを指す。屋内測位技術とは GPS 衛星等の 無線信号が届かない建物内や地下街でも測位可能な技術であり、主に RFID や無線 LAN(Wi-Fi)、BLE(Bluetooth Low Energy)、UWB(超広帯域無線)、IMES((Indoor Messaging System)、音波(非可聴音)、PDR(歩行者自律航 法)等を、屋内地図情報とは駅・空港や大規模な商業施設などでのナビゲーション用途で使用される位置情報と連 動した施設内の電子地図情報を対象とした。 また、本調査における屋内位置情報システム市場規模は、屋内位置情報関連サービス/ソリューション提供事業者 の売上高ベースで算出した。 【調査結果サマリー】 2015 年度の国内の屋内位置情報システム市場規模は 108 億円の見込 2015 年度の国内における屋内位置情報システム市場規模は 108 億円(事業者売上高ベース)の見込 ※1 ※2 みである。また、カテゴリ別に市場をみると、B2B 領域サービス で 92 億円、B2C 領域サービス で 16 億円を見込む。 B2B 領域では、工場や物流倉庫での「ヒト・モノ管理」用途に対して、従来からの RFID や無線 LAN (Wi-Fi)等に加え、BLE や UWB などの新たな測位技術の本格導入が進んでいる。B2C 領域では、従来 からの音波および BLE の測位技術を活用したチェックインサービスが市場を支えている。 2020 年度の国内の屋内位置情報システム市場規模は 365 億円を予測 2015 年度以降の屋内位置情報システム市場は、当面は B2B 領域サービスが市場拡大を牽引するが、 東京オリンピック/パラリンピックが開催される 2020 年に向けて、徐々に B2C 領域サービスの市場拡大が 加速すると予測する。これは、新たな関連サービスやアプリケーションの拡大が見込まれる一方で、ユー ザーでの認知度も高まることが要因であり、2020 年度の国内の屋内位置情報システム市場規模は、365 億円(事業者売上高ベース)に達すると予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「本格化するインドアロケーション関連市場 2015~屋内位置情報の最新技術 動向とビジネス展望~」 発刊日:2015 年 9 月 11 日 体 裁:A4 判 222 頁 定 価:180,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 10 月 14 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場背景と概況 屋内位置情報システム(インドアロケーション関連サービス)は、「屋内測位技術」および「屋内地図情 報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソリューションであり、主に工場、倉庫、病院や一般 オフィス等で提供される法人向けである B2B 領域サービス ※1 と、主に商業施設、公共施設や駅等で提 供されるコンシューマ(一般消費者)向けである B2C 領域サービス ※2 に区分できる。 2015 年度の国内における屋内位置情報システム市場規模は 108 億円(事業者売上高ベース)の見込 みである。カテゴリ別に市場をみると、B2B 領域で 92 億円、B2C 領域で 16 億円を見込む。 B2C 領域では、駅や商業施設での、ポイント付与など集客力強化を目的としたチェックインサービス、 および屋内でのナビゲーションサービスが先行して立ち上がっている。チェックインサービスは、2011 年 度頃のサービス立ち上がり以降、音波(非可聴音)測位に加えて BLE(Bluetooth Low Energy)測位を活 用したサービスが登場しており、B2C 領域における屋内位置情報システム市場を支えている。しかしなが ら、官公庁主導では大規模な実証実験が進んでいるものの、新たなビジネス展開としての大きな動きは 見えていない。チェックイン用途およびナビゲーション用途では大手商業施設や主要駅へは一定の普及 が進んだものの、期待されている O2O(Online to Offline)用途での集客アップや購買促進につなげるア プリケーション開発は、伸び悩みを見せているのが現状である。 一方で、B2B 領域では、RFID や無線 LAN(Wi-Fi)等の既存サービスに加えて、2014 年度以降、工場 や倉庫を中心に、BLE や UWB(超広帯域無線)などの新たな測位技術の本格導入のための検証実験が 実施される機会が増加し、2015 年度後半からの市場立ち上げが見込まれている。本格運用にあたっては 費用対効果の面など様々な障壁があるケースも多いが、本格運用への移行確度が高い導入案件も多い と考える。 2. 注目すべき動向 ~新たな関連サービス/アプリケーションによる市場の底上げに期待 B2C 領域サービスで、期待される新たなサービス/アプリケーションの方向性としては、人流解析、回 遊分析によるマーケティング支援や、業務効率化支援を目的とする行動分析、子ども・高齢者・ペット等 の見守りサービスなどが挙げられる。 一方、B2B 領域サービスでは、屋内の位置情報精度の追及ニーズに加え、「IoT(Internet of Things)」 や「ウェアラブル機器」の普及に期待がかかる。現状の利用範囲は、主に生産管理や物流管理における 業務効率化の支援を目的としており、従業員の行動把握や動線分析による業務管理を目的とする行動 分析や、在庫/機器管理/作業員の位置把握などの所在管理、機器の稼働状況のモニタリング等の生 産ライン監視などに分類される。今後は、現状の延長線上として世界的なトレンドである「Industry4.0(イン ダストリー4.0)」を目的としたニーズの高まりが考えられる一方で、「IoT」と「ウェアラブル機器」を活用した 屋内位置情報システムの新たな関連サービスやアプリケーションの開発が注目される。 3. 将来予測 2015 年度以降の屋内位置情報システム市場は、当面は B2B 領域サービスが市場拡大を牽引するが、 東京オリンピック/パラリンピックが開催される 2020 年に向けて、徐々に B2C 領域サービスの市場拡大が 加速すると予測する。これは、新たな関連サービスやアプリケーションの拡大が見込まれる一方で、ユー ザーでの認知度も高まることが要因であり、2020 年度の国内の屋内位置情報システム市場規模は、365 億円(事業者売上高ベース)に達すると予測する。 一方で、市場拡大に向けた課題としては、以下の三点をポイントとして挙げる。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 10 月 14 日 一つめとしては、iBeacon(iPhone の iOS7 に標準搭載された BLE 測位を使った新技術)ブームによる漠 然としたユーザー(一般消費者)の期待感を満たす、具体性を伴ったソリューションの提供が求められて いる。二つめは、位置情報システムのインフラ設置・維持のために高額な費用を負担する施設側に対す る、ビジネス拡大や利益還元等の明確なインセンティブを提示できる、新たなマネタイズ手法の提供が必 要とされている。 また、屋外における GPS のようなデファクトとなる屋内位置情報の基本技術が存在していないことが、法 人ユーザーの導入検討意欲を減退させ、サービス/ソリューション事業者全体として事業機会の損失に陥 っている懸念がある。三つめとしては、屋内位置情報システムの「デファクト化/社会インフラ化」の推進 による、事業機会損失の防止が求められていると考える。 図 1. 国内の屋内位置情報システム市場規模予測 (単位:億円) 400 B2B領域 サービス 365 B2C領域 サービス 300 275 187 200 125 135 100 0 160 149 108 120 92 200 165 105 115 16 20 29 2015年度 (見込) 2016年度 (予測) 2017年度 (予測) 52 2018年度 (予測) 2019年度 (予測) 2020年度 (予測) 矢野経済研究所推計 注 1:事業者売上高ベース 注 2:2015 年度は見込値、2016 年度以降は予測値 注 3:屋内位置情報システムとは、「屋内測位技術」および「屋内地図情報」を利用した屋内向けの位置情報活用サービス/ソ リューションであり、主に工場、倉庫、病院や一般オフィス等で提供される法人向けである B2B 領域サービスと、主に商 業施設、公共施設や駅等で提供されるコンシューマ(一般消費者)向けである B2C 領域サービスに区分できる。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.