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職場紹介:(株)熊谷組技術研究所 - 国際ジオシンセティックス学会 日本支部
ジオシンセティックス技術情報 1 9 9 6 . 7 職場紹介:(株)熊谷組技術研究所 (株)熊谷組技術本部技術管理室第二課長 角田 素男 1.はじめに 熊谷組技術研究所は昭和 37年に発足し、昭和 63年にはつくば研究学園都市において総合的 な研究施設として新たなスタートを切り現在に至っております(写真-1 )。平成 7年にはそれ まで愛知県の豊川工場内にあった、コンクリート材料実験棟および風洞実験棟を移設し、全社の 研究開発関連施設を集結した施設となっております。 2 .組織 技術研究所の組織は、図 -1 のようになっており、現在約 80名の職員が豊かな緑に固まれた 敷地面積約 1万 5千坪のゆとりある施設の中で「自然」と「人間社会」の調和を目指した研究・ 開発を行っています。 技術本部 I 支爾ゴ盃菌室 技術管理室 生産技術開発部 構造グル -1 技術研究所 振動グル T 土木グル 7 土木系研究闘発蔀 海洋グル -1 耐震グルー 7 コンクリート 1 ,~-1 材料系研究開発部 土質 1'~ -1 環境 1'~ -1 音響グル -1 設備グル 7 . 防災グト 7 図 -1 技術研究所の組織 3 . 施設紹介 (1)振動構造実験棟 a )大型構造物実験施設(写真一 2) 2 0 - この施設は、 7 m ( H )X1 0 m ( W )X2 m (t )の反力壁と試験床から構成されています。この反力壁は、 最大せん断力1.O OOtf、最大曲げモーメント 2,5 0 0 t f• mの荷重に耐えることができ、主に構造 実験に用いられています。 b )三次元振動台(写真一 3) テープル寸法 5mX5 mで 、 6自由度の振動を表現できる振動台です。主として、構造物の動的 特性の把握や耐震設計の安全性に関する確認等の実験に用いられます。 ( 2 )海 洋 水 理 実 験 棟 ( 写 真 -4) 4 0 m ( L )X2 0 m ( W )X1 .5m(D)の大型平面水槽と、大小の二次元水路を有する実験棟です。平面水 槽では、ピストン式反射波吸収型造波装置で二次元・三次元の規則波・不規則波を発生させるこ とができます。 ( 3 )大型土槽(写真一 5 ) 4 m ( W )X3 m ( L )X3 m ( H )の鋼鉄製の実験土槽です。載荷水袋により 5 0 tf/がまでの荷重をかける ことができ、トンネルなどの大型模型実験が行えます。 ( 4 )コンクリート材料実験棟(写真一 6) ここには力学特性のみならず耐久性能までを評価できるよう、さまざまな試験装置を取りそろ え、高品質な材料の研究開発を行っています。耐久性能評価の主な試験装置として中性化促進試 験装置、耐候性試験装置、塩分浸透試験装置があります。 ( 5 )その他 その他の施設として、化学分析などを行う一般実験施設、クリーンルームや気象シミュレータ を備える環境実験施設、風洞実験施設、音響実験施設などがあります。 4 . 最近の研究開発成果 (1)パワフル TMD (橋梁制震装置、写真一 7) ) パワフル TMDは、大地震に対応するための橋梁用制震装置です。地震時に橋台と橋桁の聞に 生じる相対変位を数倍に増幅させ、これを動力源として TMD( T u n e dM a s sD a m p e r )を強制的に 揺らすことにより、大きな制震効果を得ることができます。この装置は既存橋梁や長大橋を含め た種々な橋梁に適用可能で、橋桁内に収容可能なコンパクトなサイズとなっています。 ( 2 )新しいコンクリート材料 材料関係では、設計基準強度1.O O O k gf/c m2の超高強度コンクリートの実用化や、 MMA樹 脂 を用いたレジンコンクリート、種々の用途に対応可能な締固め不要の高流動コンクリートの開発 と実用化を行いました。特に高流動コンクリートは、明石海峡大橋 4Aアンカレイジを初めとし、 2 5万d以上の施工実績を誇っています。 5 . ジオシンセティックス関係の研究開発 ジオシンセティックス関係では、主としてより合理的な工法開発を目指し、他機関との共同研 究を含め、研究開発しています。砂に糸を混入して強度増加をはかるテクソル工法は、フランス から技術導入して日本の自然条件に対する適応性を検証したもので、現在、表面緑化工法等と組 合せてジオファイパー工法として普及・展開しています。 21-