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はじめての CANopen
はじめての CANopen Version 2.2 2010/02/23 Application Note AN-JON-1-700 Restrictions Abstract Public Document このアプリケーションノートでは、CANopen 規格の特徴や利点を紹介しています。CANopen に興味をお持ちの方、またはこれから CANopen の設計開発に携わる可能性がある方に是 非ご覧頂きたい資料です。 目次 1.0 2.0 3.0 3.1 3.2 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 5.0 6.0 はじめに............................................................................................................................................................2 CAN と CANopen の定義範囲 ..........................................................................................................................2 オープンネットワークのメリット ............................................................................................................................3 設計開発期間の短縮.........................................................................................................................................3 汎用性・信頼性の向上.......................................................................................................................................3 CiA の概要........................................................................................................................................................4 CiA の Web サイト.............................................................................................................................................4 CAN ニュースレター ..........................................................................................................................................5 多くの分野における採用事例.............................................................................................................................5 CiA マーケティンググループ...............................................................................................................................6 CANopen に関する日本語の書籍 .....................................................................................................................7 連絡先 ..............................................................................................................................................................7 1 Copyright © 2010 - ベクター・ジャパン株式会社 Contact Information: www.vector-japan.co.jp or 03-5769-6970 はじめての CANopen 1.0 はじめに “CANopen” という規格をご存知でしょうか。 CANopen は、いわゆるフィールドバスと呼ばれる組込制御用のネットワークプロトコルのひとつです。ファクトリーオートメーション機器を はじめ、特殊車両や鉄道車両、太陽光や風力などの発電設備など、さまざまな分野の組込制御に利用されています。開発当初は欧米を 中心に普及してきましたが、最近は欧米メーカーの CANopen 製品が日本国内でも入手できるようになり、日本のデバイスメーカーによ る CANopen 対応製品の開発提供も進んでいます。 2.0 CAN と CANopen の定義範囲 CAN は、自動車の電子制御装置 (ECU) のネットワーク制御のために開発された通信規格です。現在では、国際標準規格 (ISO11898) として、世界中の自動車メーカーが車内ネットワークの電子制御に利用しています。CAN は当初 “車載 LAN” という印象が強かったため、 しばしば “Car Area Network” と間違われますが、正しくは “Controller Area Network” です。自動車の制御に使われるほど信頼性が高 い上に汎用性も高いため、自動車のみならず、さまざまな産業分野のネットワーク制御でも広く採用されています。 CANopen は、CAN を通信媒体として使用し、センサーやアクチュエーター、I/O などの汎用デバイスを制御するプロトコルを標準化した 規格です。OSI 参照モデルでは、CAN は物理層とデータリンク層の規格で、CANopen はアプリケーション層に相当する規格です (図 1 参照)。CAN が “メディア” (伝送媒体や電気的メッセージ形式)の規格で、CANopen は “制御のハウツー” (デバイスを制御する命令や データ、ネットワーク管理方法)の規格と言えます。 また、CANopen は、通信制御のハウツーだけでなく、モーションコントローラーやバッテリーなど具体的な制御対象のプロファイルも標準 化していることが特徴です。 図 1: OSI 参照モデルにおける CAN および CANopen の定義範囲 CAN は非常に高い信頼性を誇るシリアルバス通信ですので、メディアとして CAN を利用するだけでも、旧来の通信方式に比べていくつ ものメリットがあります。しかし、複雑なネットワーク管理やデバイス制御という観点では、CAN と併せて CANopen を利用することにより、 さらに多くのメリットが得られます。 CANopen のプロトコルについては、下記のアプリケーションノートなども併せてご覧下さい。 AN-JON-1-1100 CANopen プロトコルの概要 (和文) AN-JON-1-1101 CANopen 規格書の概要(和文) Application Note AN-JON-1-700 はじめての CANopen 3.0 オープンネットワークのメリット オープンネットワークとは、公開規格に準拠したデバイスを使って構築した制御ネットワークです。標準化された規格に準拠していれば、 異なるメーカーのデバイス同士でも、自由な機器接続やシステム構築が可能になります。 デバイスユーザー (車両メーカーや装置メーカー) は、自社の要求仕様に応じて適切な価格や性能を持つデバイスを選択して、簡単にシ ステムを構築できます。 デバイスメーカーは、自社デバイスを標準規格に準拠させることにより、特定ユーザー向けのカスタマイズ開発や在庫確保の必要がなく なり、汎用デバイスとして世界中の広い市場に製品展開できます。 3.1 設計開発期間の短縮 いわゆる“非競争領域”を標準化/汎用化することで設計開発の工数を大幅に削減できますので、“競争領域” である自社独自アプリケー ションの設計開発にリソースを集中させられます。 一般的に、CAN の上位層に相当する通信制御やネットワーク管理、デバイス制御のプロファイルなどを、ゼロから設計するためには膨 大な時間がかかります (非常に優れた制御技術とその設計開発資産を既に自社で持っている場合はこの限りではありません) 。また、机 上の設計だけでなく、実際の開発や評価にかかる時間に加え、開発や評価に使用する治具やツールなどの環境を構築する (または外部 に委託する) 時間も必要です。仕様変更の際には、それらの環境もすべて作り直す必要があります。 一方で規格が標準化されたオープンネットワークの場合は、市販の汎用的な開発ツールなどの環境で短期間に設計できます。実装時の 組込開発も、市販ソフトウェアを利用して工数を削減し、自社アプリケーションの開発に専念できます。 3.2 汎用性・信頼性の向上 デバイスメーカーは、認証試験を通すことにより、客観的にそのデバイスの汎用性や信頼性が認められたことになります。デバイスユー ザーは、認証試験を通ったデバイスを使うことにより、システム全体の安定性や信頼性、拡張性や保守性の向上、交換可能な互換デバ イス (セカンドソース) の選択肢拡大など、多くのメリットを得られます。 ユーザーアプリケーション 競争領域 ↑↑ ↑↑ ユーザーアプリケーション 競争領域 ↑↑ ↑↑ ↓↓↓↓ 非競争領域 独自規格の場合 ↓↓↓↓ 非競争領域 CANopenの場合 ◆通信制御やネットワーク管理の方法を独自に設計 ◆開発用や評価用の治具やテスターなどの環境を独 自に開発 ◆組込開発時はすべてのソフトをゼロから開発 ◆評価項目や判定基準も独自に設定して妥当な信頼 性を検証 ◆規格の改版・拡張時には環境やソフト、評価基準 などをすべて自社で再設計し再開発 ◆通信制御やネットワーク管理の「How to」が規格 化されている ◆市販の汎用シミュレーターやアナライザーを利用 して短期間で設計できる ◆実装時は市販の組込ソースコードを利用してコー ディングの工数を大幅に削減できる ◆公式な認証試験に通過することで汎用性や客観的 な信頼性を得られる ◆規格の改版・拡張時は簡単にアップデートできる CAN CAN 図 2: 独自規格による開発(左)と CANopen による開発(右)の比較 Application Note AN-JON-1-700 はじめての CANopen 4.0 CiA の概要 CAN in Automation = CiA は、ドイツに本部を構える非営利団体です。その名前の通り、オートメーション分野における CAN の普及促 進活動や、CANopen の標準化などを行っています。CANopen は、CAN の上位プロトコルとして CiA が制定している規格です。 2009 年 1 月時点で 530 社を超える企業が CiA にメンバー登録しており、CANopen 規格の改版や拡張、新しいプロファイルの開発の 際には、その分野に関連するメンバー企業が集まって SIG (Special Interest Group ≒ 分科会)を設立します。日本企業や日本企業の 欧州法人の中にも、SIG の中心メンバーとして規格制定に参加しているメンバーがいます。 4.1 CiA の Web サイト http://www.can-cia.org/ CiA の Web サイトの一部は 2008 年 9 月から日本語化されています。画面右上の日本国旗のアイコンが明るく表示されているページは、 日本国旗をクリックすると日本語表示されます。(日本国旗がグレイアウトしているページは日本語非対応です) 図 3: CiA の Web サイト (日本語表示) CiA の Web サイトの主なコンテンツ: - CiA について (運営規約、会員のメリット、入会申込書、イベント情報、など) - CiA のメンバー企業リスト - CANopen プロダクトガイド (CANopen 対応製品を、会社名や製品種類で検索閲覧できます) - CANopen の概要 (通信プロファイルやデバイスプロファイルの概要を説明しています) - CANopen 規格書の無料配布 (一部の規格書を PDF で無料配布しています) - CAN/CANopen の具体的な採用事例 (様々な産業分野の事例を紹介しています) -メンバー専用ページ (全ての規格書やミーティングの議事録などをダウンロードできます) ※ 日本語を表示する場合、Internet Explorer 7.0 以降、または Mozilla Firefox 3.0 以降のブラウザーをお使いください。 ※ CiA へお問い合わせの際は英語をお使い下さい。(現在 CiA には日本語が使えるスタッフはおりません) Application Note AN-JON-1-700 はじめての CANopen 4.2 CAN ニュースレター CiA が発行する、CAN や CANopen の具体的な採用事例やデバイスなどに関する情報誌 (英語) です。原則として年に 4 回定期的に発 行されます。さらに、特別な展示会やアプリケーションを特集した Special Edition が発行される場合もあります。 Web サイトから購読をお申し込みできます。配信方法は、製本された冊子の送付、または PDF ファイルの E-mail 配信から選べます。 最近では中国の読者が増えており、2008 年末には中国語の特別版が発行されました。 日本でも読者が増えれば、日本語版が発行されることが期待できますので、積極的に購読をお申し込みください。 図 4: さまざまな情報が掲載されている CAN ニュースレター (バックナンバーの表紙) 4.3 多くの分野における採用事例 具体的なアプリケーションプロファイルが定義されている医療機器や織機、射出成形機、リフト (エレベータ) などをはじめ、バッテリー フォークリフトや特殊車両、鉄道車両などでは業界の多くのメーカーが CANopen を利用しています。また、現在も新しいプロファイルの 標準化が進んでおり、さまざまな分野で CANopen の応用が検討されています。 CANopen が利用されているさまざまな応用分野の例が、上記の CAN ニュースレターの表紙でもご覧いただけます。 CANopen のさまざまな応用事例: ファクトリーオートメーション/プロセスオートメーション ロボット制御テクノロジー 太陽光発電システム/風力発電システム 医療用電子部品 (CT、MRI、診療用ベッド、内視鏡、手術用モニターなど) 港湾荷役システム/コンテナ搬送車/自動倉庫 バッテリーフォークリフト/空港用リフト車両/高所作業車 建設機械/農業機械/林業機械 鉄道車両 (ドア、外装/内装照明、HVAC、モーター、バッテリーなど) /モノレール Application Note AN-JON-1-700 はじめての CANopen 4.4 CiA マーケティンググループ CiA マーケティンググループは、CiA の Business Committee (ビジネス部会) に属し、国や地域に特化した CANopen 関連の普及・販 促活動を行うグループです。 CiA マーケティンググループジャパンは、CiA や CANopen に関する情報の日本語化、雑誌広告や記事の合同掲載、展示会やフォーラ ムの合同出展など、日本国内の CANopen 普及活動やデバイスの販促活動を行っています。 1 月と 7 月に定例会として会合を開き、その他、展示会などのイベントに応じて随時会合を開いています。 会合に参加したメンバー同士の情報交換、ビジネスマッチングなども活発に行われています。 図 5: CiA 運営組織の概要 参加資格: 正規メンバー CiA のフルクラスメンバーおよびそのグループ会社 (子会社や日本現地法人) ゲストメンバー CANopen 製品の販売代理店 CANopen 製品のユーザー CANopen 製品の採用や開発を検討している方、ご興味をお持ちの方 新聞、雑誌、展示会などのメディア関係者 参加方法: CiA マーケティンググループジャパンは、入会費や年会費は必要ありません。 Chairman (議長) にご連絡を頂ければ、次回以降の会合の案内や関連情報などを差し上げます。 2009 年の Chairman は、ベクター・ジャパン株式会社 オープンネットワーク部の者が務めております。 Application Note AN-JON-1-700 はじめての CANopen 5.0 CANopen に関する日本語の書籍 CANopen のプロトコルや開発手法について知識を深めたい方のために、1 冊の書籍を紹介いたします。 CAN と CANopen のプロトコル概要や、具体的な CANopen デバイスの組込開発事例などが解説されています。 『CAN および CANopen による組み込みネットワーク』 原題:Embedded Networking with CAN and CANopen 著者:Olaf Pfeiffer、Andrew Ayre、Christian Keydel 監修:博士 (工学) 福島 E. 文彦 (東京工業大学助手) 監修 発行:株式会社シュタールジャパン B5 変形 572 頁 定価 15,750 円 (税込) ご購入をご希望の際は、ベクター・ジャパンまでご連絡下さい。 図 6: 書籍の表紙イメージ 6.0 連絡先 ベクター・ジャパン株式会社 (東京本社) 〒140-0002 東京都品川区東品川 2-2-20 天王洲郵船ビル 16F (名古屋支社) 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄 4-5-3 KDX 名古屋栄ビル 9F URL: http://www.vector-japan.co.jp ■ 営業部 (東京) TEL: 03-5769-6980 (名古屋) TEL:052-238-5020 E-mail: [email protected] ■オープンネットワーク部 (東京) TEL: 03-5769-6974 E-mail: [email protected] Application Note AN-JON-1-700 FAX: 03-5769-6975 FAX:052-238-5077