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初期水平社運動資料の--断片
初期水平社運動資料の--断片 秋定嘉和 1234 誌論文の抜すい等は省略した。ただ、架須七郎の 本資料について 「水平社とは何か」は、当時の思想がうかがえ、 内容について 凡例 また、その後の刊行書にもみあたらないようなの 紹介資料 で収録した。 ところで、本資料の作成者である内務省は「大 A内務省警保局『差別撤廃運動状況』(大 逆事件」から「米騒動」の衝撃のなかで、被差別 正11年5月調) B内務省警保局『水平社運動情況』(大正 部落に対する融和政策をはじめ、とりわけ水平社 結成に際しては驚樗、買収工作にはしり失敗する 11年12月5日調) C内務省警保局『水平社団体調』(大正11 や本格的な融和行政を開始した政府機関であるこ とは周知のことである。この内務官制の成立は、 年10月調) 明治31年の勅令259号での設置によるが、その後 1.本資料について は、数次の改正をへて管轄機能の充実をみ、主と ここに紹介する資料は、内務省警保局が、1922 して「神社、地方行政、議員選挙、警察、土木、 (大正11)年の5月~12月に調査した水平社の設立 衛生、都市計画、地理、出版、著作権、拓植二関 ならびに地方への影響をさぐったものである。原 スル事務ヲ管理シ、警視総監、北海道長官及府県 資料は、現在、アメリカの国会図書館所蔵のもの 知事ヲ監督」する宗教・警察・地方・文化行政の で、「日本外務省文書」のうち「小作問題に関する 中枢機関であった。警保局は「行政、高等警察、 資料」に収められたものから部落問題・水平社運 図書出版、著作権二関スル事項」を管掌しており 動に関するものを抜すいしたものである。 また、日本の国体護持のため、政治・社会・思想な ① この資料綴は、内務省社会局・警保局「部落二 どの運動全般の予防と弾圧にあたる機構としてあ 関スル資料」と表題され、1)部落二関スル諸統 った。警察は「内務省警保局長のボタン一つで、 計(大正10年3月)から、10)全国水平社第14回 全国一斉に行動を開始」するというように、地方 全国大会報告並議案書(昭和12年)まである雑多 の駐在・派出所|とまで権力がおよぶ存在であっ な資料類で今回、紹介の分は5)6)7)の水平 た。 .J 社設立当時のものを抜き出したものである。あと ここで本資料作成者と想定される特高(特別高 は、2)~4)が大正10年までの融和事業計画や 等課)は、1911(明治44)年、大逆事件を契機に 費用に関するもの、8)は、高松事件の糾弾闘争 警視庁に設置され、1921年以来の水平社・日農・ 方針書、9)が第13回(昭和10年)大会の情況報 日共の成立とその検挙のなかで1924(大正13)年 告書で、8)~10)は、既刊書でも参照できる内 瞥視庁の他、北海道、神奈川、大阪、京都、兵 容である。2)~4)は、紹介に値するので、い 庫、愛知、山口、福岡、長崎、長野の各府県にも ずれ次の機会にでもと考えている。 増設され、さらに1928(昭和3)年7月、全国各 また、資料中、すでに既刊の文献で周知のもの 府県にも新設されて、ここに全国的整備をみるの -宣言・綱領などや、佐野学・南梅吉などの雑 である。このあたりから文献でいえば『特別高等 -113- ② Al ’ 警察資料」(昭和3年9月~54122)]、複刻版は 「水平社団体調」(大正11年10.12月調)について 5分'11})がはじまり、それにつぐものとして「特 その内容をみれば、10~12月現在の各地水平社の 高月報』(昭和5年3月~昭和l811il2)]>}・複刻版 所イ}三地と設立年ノ1H・'11心人物・動向が簡記され 刊行「|』)があり、それを年次ごとに要約[たもの に『社会運動の状況』(昭和2年~17年、複刻版は ており、これまでに紹介されたものよりは若干内 容はくわしく、また、公表された年月日も早いの 14111))がある。 で紹介した(12月調のものと重複したときは、 したがって本資料(社会主義迦動時報附録・社 12)]調の表から省略している)。内容でみるべきは 会主義運動情報号外)は、上記の活字印Mll版とは 「最近の行動」「行動概要」で、初期の運動の状況 ことなり、資料刊行の整備をみないときのもの が寸描されている。「中心人物」も異動があり、既 で、その体裁も(『社会運動の状況』の昭和2.3 刊資料とともにその変化を整理することで、設立 年版をのぞき)ガリ版の小111}子で|:U行され、ペー 当初の幹部層力!i2,1明しよう。 ジ数も、十数ページ、数十ページということから 「部落改善団体調表」(大正11年5月)は、この 警保局と警視庁・特高などのかぎられた部内での 時期の団体を統計化している資料がないだけに参 参考資料であったと思われる。これまでの書誌的 考になる。とりわけ、この時期は融和団体の自力 な研究も大正期のこのような文献についてはふれ 更生的色彩のつよいときだけに、その団体の性格 ていないことからいっても、今後の発掘が)切待さ (団体名、綱領、会員の性格、設立年月日など) ③ にふれるような整理でないのがおしまれる。しか れるものである。 以上のぺたような権力の側の文献としての制約 し、内務省の既刊資料などを参照して、その統計 一取締り、連動内部の分裂面評価の高さ、誤報、 イヒが試みられるときに利用されるべき意味をもつ 過小評価など-をもちながらも、その内容面に と思われる。 ① あたっては、当時の思想水準や運動の具体相をみ 「反水平社団体調」(大正11年10月)について るうえで興味深い記載をのこしている。以下、そ は、融和団体でもありながら、その主旨・行動に の特徴を筒記して紹介にかえたいとおもう。 おいて「反水平社」的な団体を整理したものであ 註①京都大学人文科学研究所の所蔵による。利用させ ろう。大阪・奈良など、水平社運動の拠点におけ る団体結成であることから、水平運動の影響の一 ていただいた渡部徹、松尾尊允氏に感謝したい。 ②青木貞雄『特高教程』、小林五郎『特高溌察秘録』 近藤隆之輔『警察官』など参照 ③小森恵「帝国憲法下における社会、思想関係資 料」(『みすず』20号以下) 面をまざまざとみる。このような視点で各地の融 和団体の綱領・方針・行動を整理していくと後年 になるにつれて増加していくだろう。融和団体を 規定する作業の一端として考えてみなければなら ない視点かもしれない。 2.内容について 12月調についてみると、これも、既刊資料記載 まず、5月調のものについては、京都府警察部 「水平社状勢一班」(大正11年7月調)と独似のも 分と重複したがら、当時の各地の運動状況を要約 ので、本資料(5月調)カゴさきに刊行されたと確 で、社会主義者の接近、その影響が記され、木本 定されることから各地の状況についての記載に精 正胤が水平社の「人間解放」思想を「全人類」の 粗がみられることが特徴である。また「大日本平 等会ノ状況」も、水平社発足の「前夜」的団体と 解放思想へと結合させながら社会革命を考えてい なってしまい、水平社設立とともに活動しなくな う。 ① している。注目されるのは、「社会主義トノ関係」 る点など当時の思想把握がうかがえる資料であろ ったことからあまり内容が知られておらず、この 本資料で、とりわけ注目したいのは、「朝鮮人 ような断片的な資料ではあるが収録されているの トノ関係」で、関西朝鮮人聯盟なる在日朝鮮人の は貴重であろう。また、会の本質を「部落外ノ資 産家有力者ノ出損援助ヲ受ケ」るものと整理し、 統合団体の結成を水平社幹部が参画しているてん 水平社との分岐点を押えているのが注目される。 平社と類似のものを作成しており、当時の在日朝 ② である。しかも、その宣言・綱領・決議など、水 -114- 右者等ハ常二部落民二対スル一般/圧迫侮蔑ト錐 3.凡例 資料はできるだけ原文0)戎誰にしたか、’リ11))か 別待遇ヲム為シ部落民中少壮急進派二属シ殊二滑 に誤りや文字脱落のものはilIli訂したUイ〈明の個所 原、藤岡、南等ハ社会主義無政府主義/研究ヲ為 はママか□で表わした。 シ又ハ特別要視察人ト来往シ自由平等ヲ12帳セル また、省略した個所は(その文献か既刊資料で 入手可能なもの)、それぞれの個所に注記した。 モノナルカ部落民二対スル差別待遇ヲ撤廃セシム ルニハ部落民ノ自覚ト団結トー依ラサレハ不可決 表組みになっていた個所も印ll11uLの便宜を考え ナリトシ大正10年11月頃ヨリ彼等ハ凪々相来往シ て文?章化した部分もある。その個所は、それぞれ テ「水平社」ナルモノ、組織ヲ計両スノレニ至しり 資料中に注記した。 斯クシテ前記奈良県柏原ナル駒井カニ創立事務所 ヲ置キ宣伝用トシテ同年12月「よき日の為めに」 ト題スル創立趣意書ヲ刊行セリ冊子中在京特別要 4.紹介資料 A、内務省警保局『差別撤廃運動状況』 視察人佐野学ノ執筆二係ル左記一節アリ (表紙) 解放の原則(略) 大正11年5月調(社会主義連動時報附録) 差別撤廃運動状況 註)前掲『20年代』『研究」『集成』に所収" 斯クシテ予定ノ如ク大正11年3月3日京都市公会 警保局 堂二於テ南梅吉司会者トナリ全国水平社創立大会 ヲ開ケリ参会者約一千名ニシテ大多数ハ京都管内 ノ部落民ナリシカ他府県ヨリハ奈良ノ約50名ヲ初 メ滋賀、大阪、兵庫、和歌山、三重、東京、岡 目次 第1 水平社ノ状況…………………………1 (イ) 水平社創立ノ経過……………………1 (ロ) 大会後ノ運動状況..…………………・7 (ハ) 各地ノ状況・……………………・…・…8 H埼玉水平社……・……………..…8 (=)三重県水平社..…………………・8 口関東水平社本部、東京水平社…9 其ノ他……………..………………・10 第2 大日本平等会ノ状況..……………・…11 山、広島各地ヨリ数名及至数十名ノ代表者出席セ リ 席上創立委員南梅吉開会ヲ宣シ阪本清一郎創立ノ 経過ヲ述へ次テ藤岡規矩三等交々立テ左記ノ綱 領、宣言、決議ヲ朗読可決シ各地代表者ノ演説ニ 移り東京代表平野重吉(労働要人視察人)埼玉代 表近藤惣右衛門(乙号)其ノ他各地代表者交々特 殊部落解放二関スル激越ナル講演ヲ為セリ終テ各 地代表者協議会ヲ開キ出席者約180名南梅吉座長 トナリ綱領、決議文二対スル修正二関シ論議ヲ為 シタル後南ヨリ(1)帰郷後各地部落民ヲ誘導シテ各 第1 (イ) 水平社ノ状況 所二「水平社」ヲ組織スルコト(2)加入者ハ「水平 水平社ノ創立ノ経過 同社人」ナル門標ヲ褐クルコト(3)近ク大阪、奈良、 奈良県南葛城郡披上村大字柏原 坂本清一郎 同上 京都ニ順次大会ヲ開クコト(4)月刊機関紙「水平」 ヲ発行シ剰余金ヲ以テ京都本部ノ維持費ニ充ツル コト等ノ申合事項ヲ提出セリ 漬原一隆 綱領(略) 同上 宣言(略) 駒井喜作 則(略) 京都市上京区野口町 南梅吉 決議(略) 註)前掲『20年代』『研究』『集成』所収 京都市下京区東七条上ノ町 藤岡規矩三 -116- 「初期水平社j運動資料の一断片』  ̄~=~ ̄ ̄ ̄ ̄。 ̄■ ̄----■~= ̄---------●‐+-■‐■----- 醜出シタル者ヲ特別賛助員トシ('桐上30円ヲ醜出 附記 1.右大会当日大阪甲号大串孝之助、乙号佐 藤藤太、乙号半谷玉三、警視庁乙号中西 シタル者ヲ普通賛助員トス)ヲ作成シ之ヲ携帯シ テ全国ヲ遊説スノレ筈ナリ レリ各地ノ状況 伊之助、京都乙号住吉旋吉、乙号奥村甚 之助ハ幹部二対シ出演ノ申込ヲ為シタル ヲ以テ警察二於テ司会者南梅吉二諭示シ タル結果之ヲ阻止シタリ (])埼玉水平社(埼玉県北足立郡箕田村下町成塚 午吉方)埼玉県出身近藤惣右衛門(交獺編)及平野 重吉(鱸蝋労)主唱ノ下二4月14日近藤ノ生家ナ 2.又阪本清一郎ハ審二在京堺利彦ヲ通シ同 ル前記成塚方二創立大会ヲ開催セントシカ当日来 人ヨリ無産者リーフレット(禁雲藍誉豐潔亨萱 騨;堯詰)「特殊部落民ノ解放」数百部 会者ハ部落民青年等30名二過キサリシヲ以テ茶話 3.幹部二属スル京都乙号近藤惣右衛門ハ大 イ山ノ水平社ノ分ト略同一内容ナルモノナルモ「部 ノ送付ヲ受ケ之ヲ頒布セリ 会名義ノ下二開会シ近藤ハ綱領、宣言ヲ朗読シ平 野ハー場ノ講演ヲ為シタル後決議ヲ為シ(決議ハ 会当日他ノ幹部卜協議中本水平社確立ノ 落民小作争議二対シテハ全国水平社ノ威力ヲ以テ 上ハ労働団体小作人組合トノ間二三角同 徹底的解決ヲ期ス」ナルー項アリ)座談二入り不 盟ヲ作ノレノ覚悟ヲ以テ進ムヘキコトヲカ 穏ニ渉ル社会主義的言辞ヲ弄シタル者アリ臨席警 説セリ 察官二於テ注意ヲ与へ次テ委員2名ノ選挙ヲ為セ 4.本大会決議第3項両本願寺二対スノレ対抗 リ 運動ノ理由ハ近時各地二於ケル集会、学 (2)三重県水平社(仮事務所三重県松阪町矢川北 校、氏神等二関スル場合ニ在テハ差別待 村庄太郎方)三重県松阪町北村圧太郎、中野寅吉等 遇'、余程緩和セラレ居ノレニ不拘両本願寺 ハ大阪平等会、京都水平社名大会二出席シ水平社 ハ宗祭、説教其ノ他総テノ場合二於テ一 ハ部落民ノ目カニ依り解放運動ヲ為サントスルモ 般門徒1,劃然ダル区別ヲ為スヲ以テ之二 ノナルコトヲ知り之二賛シ帰来三重県水平社ノ組 向テ先第一矢ヲ放ツヘシトナシ両寺ノ態 織計画二着手シ4月21日北村司会ノ下二松阪町劇 度如何ニ依り全国部落二移激シテ寺税不 場中座二創立大会ヲ開催セリ参会者約600名大部 調同盟ヲ形成セントシ本決議ヲ為シタル 分ハ近隣部落民ニシテ奈良県ヨリ阪本清一郎、駒 モノニシテ翌4月10日中央執行委員長名 井喜作外数名京都府南梅吉乙号近藤惣右衛門、東 義ヲ以テ両本願寺管長二宛テ「従来部落 京平野重吉(譲癸)大分県1名ノ出席アリ本部ト殆 民か一般より續斥を受けたる禍根は部落 1,同一ナル綱領、宣言、決議ヲ発鋤表シ北村ヲ委員 民か経済的に貧弱にして文化生活の充実 二推挙シ終テ各地代表者ノ演説ニ移り近藤、南其 を期し難かりしに因る、我等が此際鰍起 ノ他数名ノ者部落民ノ団結二依ル解放連動ヲ力説 して解放運動を徹底せしめんとするには セル大同小異ノ講演ヲ為シ大分県出席者篠崎蓮乗 先経済的独立を計らざるへからす依て向 後20年間我等部落寺院及門、信徒に対す る募財を中止せられたし」トノ意味ノ通 外1名ハ大分県的ケ浜焼払事件ヲ述へ何時第ニノ 結セサルヘカラスト結論セリ 告書ヲ発セリ (3)関東水平社本部(神田区東福田町2楠川方) 的ケ浜事件ヲ惹起スルヤ計り難キヲ以テ吾々ハ団 (ロ)大会後ノ運動状況 東京水平社(牛込区赤城元町22津金方「平野 右大会後幹部等ハ言論、出版其ノ他有スル方法ヲ 以テ広ク各地二宣伝シ同社ノ発展ト運動ノ達成二 努力セムトセルモ資金乏シキ為意ノ如ク活動スル コト能ハサルヨリ広夕寄附金ヲ募集センコトヲ計 画シ中央執行委員長南二於テ趣意書及賛助規定 (賛助員ヲ三種二分ケ(イ)水平社ノ趣意二賛シ150 円ヲ醜出シタル者ヲ名誉賛助員トシ(ロ)同上50円ヲ 重吉寄寓先」) 東京在住平野重吉(掌鰯蕊ク鴨堅塁撃鱸鑿論 lil鞠ス葛)ハ京都二於ケル水平社創立大会ニ関東方 面代表者ト称シ出席シ帰来関東方面二水平社ヲ設 置スヘク宣伝ニ努メ東京水平社ヲ自宅二置キ「同 情的差別撤廃を排す。俺達は俺達の力を信ずる」 -117- ト題スル宣伝印刷物ヲ作成シ各方面ノ部落民二頒 布セル形跡アリH4j]311堺利彦二東京水平社ノ 央公会堂二於テ「同胞差別撤廃大会」ヲ開催シlll 綱領作成〃ヲ依頼セリilliシテ其/後運動ノ結果埼 席者昼間約500名夜間約1200名各府県ヨリ参集セ 玉県下二多少ノIiM〈ヲ得タルヲ以テ関東水平社本 リ席上知名ノ士及出席部落氏/講演アリテ宣言決 部及埼王水1Z社創立宣伝印刷物1,000部ヲ作成携 議文ヲ可決セリ而シテ本大会/趣意二基キ「大日 帯シ4月14日倉I立大会開催準備ノ為頒布セル模様 本平等会」ナルモノヲ組織シ菊地侃二ヲ会長二準 ナリ ケ趣意書会則ヲ各地二頒布セリ (4)奈良県状況 本会卜南梅吉等水平社一派/者最初運動ヲ共ニセ 阪本清一郎、清原一峰、駒井喜作等ハ各地二於ケ シカ本会ハ部落外/資産家有力者ノ出損援助ヲ受 ル水平社/大会等二出席シ届レル外3月9日居村 ケ自力解決ヲ唱導スル水平社ノ主張ト反スルノミ 西光寺二京都ヨリ乙号近藤惣右衛門来会部落民ノ ナラス一派ハ之二依テ利益ヲ計ラントスルモノナ 会合ヲ催シ40余名会合席上近藤ノ宣伝講話アリ ノレヘシトノ疑念ヲ抱ク者アリ遂二水平社幹部ハ本 (5)大阪府状況 会トノ提携ヲ絶ツコトトセリ (イ)3月23日夜大阪府三島郡島本村字広瀬ノ内 川原町全照寺二於テ同所居住島田亀吉主催ノ下二 部落民二関スル調(大正11年3月調)(略) 註)若干の数字の異同あるが『融和事業年鑑』(昭和 宣伝演説会ヲ開催セリ出席者約70名近藤惣右衛 九年版)413Pに記載あり。 門、南梅吉外数名ノ講演アリ (ロ)4月23日大阪府泉北郡舳松村字南舳松川本 (利欠力) 水平社団体調(大正11年5月調)〈1〉 錦三HK方二泉野喜蔵主催ニ依り宣伝講演会ヲ開ク (A)名称、(B)所在地、に)創立年月、(D)主旨綱領、(E) 聴衆約200名、平野重吉、近藤惣右衛門、駒井喜 最近ノ行動、(F)中心人物ノ氏名(以下(A)~(F)と略 作外数名ノ講演アリ閉会後司会者側一同ハ「革命 歌」ヲ高唱セムトシタルニ依り之ヲ制止シ尚翌日 げす) 宣伝ピラヲ撒布セムトスノレ計画アリシヲ以テ之ヲ (A)全国水平社、(B)京都市上京区鷹野北町、に)大正 諭旨セリ 11年3月3日、(D)(略)、に)大正11年3月3日京都 附記 市二創立大会ヲ開催、各地部落ヨリノ参集者1000 以上ノ外愛媛県松山高等学校生徒柴田啓蔵 名ニ達シ将来ノ運動方法ヲ協定ス。爾来各地二宣 ハ3月14日松山市二於テ頒布ノ目的ニテ水 伝シ地方水平社ノ組織ニ努メ之等ト連絡シテ運動 平社ノ綱領、宣言等ヲ印刷セムトセシヲ以 ヲ為セリ。(F)駒井喜作、阪本清一郎、南梅吉、藤 テ阻止ノ方法ヲ識シタリ 岡規矩三、千崎富一郎、近藤惣右衛門、平野重 吉。 第2大日本平等会ノ状況 (A)京都水平社、(B)京都市上京区田中西河原町部 大阪市西区南新町2丁目 落、に)大正11年4月2日、(D)本部二同ジ、(E)全国 福井政次郎 水平社力同シク京都ニ在ルヲ以テ本社ハ着シキ活 大阪府西成郡豊崎町本庄109 動ナシ、(F1寺田漬四郎、松浦清重、朝田善之助。 寺田勇吉 (A)大阪水平社、(B)大阪市南区西浜部落、に)大正11 大阪府泉北郡南王寺村 年8月5日、(D)本部二同ジ、(E)8月5日大阪天王 中田惣次 寺公会堂二発会式ヲ挙行シ出席者約1500名アリ。 右等別二主唱トナリ「同胞差別撤廃」ノ名ノ下二 各所宣伝集会ヲ催ス。(F)泉野利喜蔵、栗須七郎、 特種部落民待遇改善運動ヲ起サンコトヲ計画シ水 山田孝野二郎、西光万吉。 平社一派ト提携シ全国部落二移激シ1月15日大阪 (A)三重水平社、(B)三重県松阪町日野町2丁目、に) 市民館二東京、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡 大正11年4月21日、(D)本部ト同ジ、(E)4月21日松 山、静岡等ノ同志ノ会同ヲ求メ運動方法ヲ協議シ 阪町劇場中座二発会式ヲ挙几lLh席者600名アリ、 1月16日大阪中央公会堂二協議会ヲ催シ水平社一 爾来京都ニ在ル本部ト連絡シ宣伝行動ニ努ムル所 派モ之二参加セリ次テ2月21日昼夜2回ニ亘リ中 アリ、本年8月松阪町二於ケル戸数割賦課二関シ -118- 『初期水平社運動資料の一断片』 不当ヲ嶋ラシ北村圧太郎等主脳トナリ不納同盟ノ 方、に)大正11年4月15日、ID)本部ト同ジ、(E)大正 決議ヲナシタルヲ以テ懇諭セリ、(F1北村)主太郎、 正11年4月15日創立大会ヲ開久出席者30名アリ、 中野寅吉、上田音市。 爾来箸シキ行動ナシ、(F)近藤惣右衛門、平野重吉。 (A)中和水平社、奈良県柏原村大和村部落、に)大正 (A)東京水平社、(B)東京市牛込区赤城元町22平野 11年5月10日、(D)本部ト同ジ、(E)奈良県下二於ケ 方、に)不明、(D)本部ト同ジ、《E)箸シキ活動ナシ、 ル部落民ノ中堅団体ニシテ全国水平社幹部ト提携 (F)平野重吉。 シ過激ナノレ言動アルモノ、(F)山本平吉、木村多治 (A)徹心同志社、(B)三重県飯南郡松阪町大字矢川 郎。 215北村方、に)大正11年2月5日、(D)部落民の連帯 (A)中和少年水平社、奈良県磯城郡大福村大字笠 的解放ヲ叫上部落改善ト侮辱者ノ糾弾ヲナサント 神、(C)大正11年7月5日、(D)本部ト同ジ。尚「侮 スルモノ、(E1本一派力主動者トナリ「三重県水平 辱者二対シテ全国水平社ノ威力ヲ以テ飽迄糾弾ヲ 社」ヲ組織セリ、(F1北村圧太郎、中野寅吉。 為ス」旨ヲ決議ス、に)8才以上15才以下ノ児童ヲ 備考 会員トシ大正11年7月3日、光泉寺二発会式ヲ拳 三重県二於テハ伊賀及中崎支部、和歌山、愛知二 ケタリ。本会ハ事実上小学校児童ヲ以テ組織セル 於テモ組織計画中ナリ。 註)他に会員数、色彩の欄があったが記載なきため省 トスノレモノナルヲ以テ教育上支障ヲ来スノミナラ スー般悪感化ヲ及ホス虞アルヲ以テ所轄署長二於 略した。ただし、徹心同志社には記載あり。会員 テ幹部ヲ説諭シ小学児童ヲ退散セシメ、且将来強 数は20名とある。また主旨、綱領欄は、全水の創 立時の綱領記載のため省略した。また、原表をく テ出席ヲ促ササルコトトナセリ、(F)山本平信、荒 ずし「表」から文章を抜記して組みかえた。 井米治郎、福田圧太郎外2名。 (A)埼玉水平社、(B)埼玉県北足立郡箕田村下町成塚 部落改善団体調表(大正11年5月) 府 県 名 50] 22 賀野山島口島川駿研 15 随一酉愛権 大埼群奈三静山滋長岡広徳香愛福 阪玉馬良重岡梨賀野山島ロ川媛 '~ 合 計 50】 註) 1528 14 1 人 ~ JOl~2001~3001~5001~10001~200C 100 200 300 500 1000 2000 「、ザ 4 1 14 12 31 5 8 12 714 45 〆■ソ ~ 23 1 2 6 12 1 1 2 22 11 5 記載なき府県は省略した。 119 ~ 〆、ザ 21 1 5 4 不明il役 合計 831J29 3 0U 53 16 1 6 1 跳幽 28 2 144 ,少 B、内務省警保lijjr水川f運動情況』 反水平社団体調(大正11年10月調) (A)名称、(B)所在地、(C)創立年月日、(D)主旨綱領、 (E)最近ノ行動、(F1中心人物/氏名(以下(A)~(F}と .(表紙1--一一=トー----- |大正n年Ⅲ,,洲,社会主義運動情報号外第6,,,,) 略す) |水平社運勤惰況 (A)大日本平等会、(B)大阪市外豊崎町本庄209寺田 警保局 方、(C)不明、(D)日本人間二存スル差別的旧慣ヲ打 破ス、(E)時々演説会ヲ開催シ、又宣伝印刷物ヲ頒 布ス、(F)岡本弥、寺田蘇人、福井政次郎、中田去 来男。 目次 (A)壬戌会、(B)和歌山県海草郡岡町村、に)計画中、 第1水平社創立ノ顛末………………………1 (D)吾等ハ起テ此無理解ナル差別観念ヲ打破シ内二 於テハ深ク省ミテ之力改善ニカヲ致シ然シテ彼我 互二融和親善ノ実ヲ挙クルヲ目的トス、に)目下計 第2創立大会後二於ケノレ運動状況…………4 (1)宣伝運動…………………………………5 (イ)機関紙ノ発刊…………………………5 画中二属スルモノナリ、(F)山村善応、山本一夫。 (ロ)パンフレット、 (A)大和同志会、(B)-,に)不明、(D)特殊部落ノ漸 進的改善ヲ計ルヲ目的トス、(E)大正11年6月4日 協議会ヲ開催、出席者200名、水平社二対抗運動 ヲ為スルコトヲ協定シテ解散ス、(F)松井道博。 (A)生活改善同盟会、(B)埼玉県北足立郡忍町、(C)以 (2)地方水平社ノ組織運動…………………13 下不明。 (3)侮辱者二対スル糾弾……・……・……・…14 リーフレットノ発行…・……………・・11 ('1水平歌詞二依ル宣伝…………………12 目其ノ他…………………………………12 ㈱宣伝演説会・……………・…・…………13 (A)親友会、(B)奈良県南葛城郡披上村柏原、に)、(D) 第3一般民及他ノ部落民トノ関係…………16 不明、(E)大正11年6月20日同村西光寺二総会ヲ催 第4社会主義者トノ関係……………………18 シ出席者約100名会合、水平社ノ運動ハ過激ニシ 第5朝鮮人トノ関係…………………………23 テ我々隠健ナル部落民ヲ祭毒ス、我々ハ水平社二 加盟セザルハ勿論□ロー対シ穏健ナル手段二依テ 第6反水平運動………………………………27 (追記)水平社ノ警察官吏二対スル態度…28 部落ノ改善ヲ図ラサルベカラサルコトヲ協定ス、 附録 (F)不明。 (1)水平社団体調..………………・………30 (A)栄聯合青年会、(B)大阪市南区西浜部落、に)大正 (2)水平社幹部調・………………・…・……35 11年8月4日、(D)水平社ノ行動ハ平地二波澗ヲ (3)水平社宣伝集会調……………………41 生セシムルモノナルヲ以テ排斥ス、(E)大正11年8 (4)侮辱者糾弾行為 月4日西浜部落徳浄寺二演説会ヲ開催ス、聴衆約 其ノ他ノ紛争事件調・………..………46 1000名アリ、(F1山口元吉、岩国安吉。 (5)宣伝文書、宣伝歌詞調………………50 註)「表」であったのを文章化したが、抄録ではない。 (6)全国特殊部落調・…・……・……………61 (7)部落改善団体調………………………追加 第1水平社の顛末 京都在住南梅吉、藤岡規矩三、奈良県在住阪本 清一郎、清原一陸、駒井喜作等、社会主義的傾向 ヲ有シ、所謂部落民中ノ少壮急進派二属スル者等 力大正10年11月頃ヨリ相来往シテ「水平社」ナル 団体ヲ組織シテ部落民ノ解放運動ヲ起サンコトヲ 提唱シ奈良県柏原ナル駒井方二創立事務所ヲ設置 -120- W〃沿周洞卸軟凹詞佃剤馴繊封四四 モ独り三重県青年水平社ノミハ過激ナル主張ヲ避 第3一般民及他ノ部落民トノ関係 ケントスルモノ/如ク同社ノ会則ハ団体表ノ末尾 関係府県''1,重ナノレモノノ状況次ノ如シ ーー、奈良県 抜革セルトコロノ如シ。 (イ)一般民衆ハ現制度ノ不合理ヲ叫上差別撤廃 (3)侮辱者二対スノレ糾弾 京都二於ケル創立大会ノ決議二基キ各地二於テ ヲ望ムハ部落民トシテ相当理由アルコトナルモ水 部落民二対シ侮辱的言行アリタル場合ニハ徹底的 平社ノ卯キハ過激急進的ニシテ危険性ヲ帯ブトナ 二之ヲ糾弾スルコトトナシ、現在、奈良、三重、 セリ。 (ロ)部落民中相当思慮アノレ者ハー般民ト同一感 大阪、京都、愛知等ノ各地水平社二於テハ極力之 想ヲ洩シ居ルモ下級ノ者ハ水平社ノ主張二共鳴 ヲ敢行シ居しり。 今日迄判明セル分ハ略々前表ノ如クナルカ之等 シ、就中過去二於ケル部落民ノ虐ケラレタルヲ憾 ハ事実ノー切二過キスシテ尚此他二幾多ノ例ヲ存 慨シ、彼等自身の団体ニ依り目的ノ貫徹ヲ期セン スノレモノノ如シ・其ノ状況ヲ検スルニ特定ノ部落 民二対シ「エタ」ト指称セル場合ハ勿論、単二言 トスルカ如ク漸次悪化スノレノ状況ニ在り。 一、大阪府 語トシテ之ヲ使用セル場合二於テモ尚且之ヲ追究 本府部落民二於テモ穏健派ハ水平社ノ運動ヲ過 センノ事例アリ。殊二甚シキハ自己ノ非行ヲ全然 激ナルモノトシ部落ノ健全ナル発達ヲ妨クル虞ア 度外視シテ、只管相手方ノ追究ニ耽り前表10月31 リトナシテ反水平団体ヲ起セルモノアルハ前項第 日愛知県□二於ケル場合ノカロキハ部落民力他人ノ 5反水平運動ノ項二記スノレムロシ。 漁獲物ヲ窃取セントシ「エタ」ト怒号セラレタノレ 一、愛知県 名古屋水平社主唱者小西吉之助力主ナノレ各部落 モノナルニ不拘水平社幹部'、之ヲ詰責シテ謝罪広 告ヲ為サシメタルコトアリ、而シテ之等「エタ」 有力者ヲ訪問シ水平運動ノ宣伝及寄附金募集ヲ勧 ノ言ヲ使用セル者アルトキハ直二其ノ他ノ水平社 誘セシカ、之等一般部落民ハ其ノ趣旨ニハ賛成ス 本部二通報シテ幹部ノ応援ヲ求〆、又ハ部落民共 ルモ加入及寄付金ハ即答シ難シト答へタルカ部落 同シテ多数ノ威力ヲ以テ相手方二迫り通常ノ場合 民ノ多クハ他府県水平社ノ行動力余リニ過激ニ亘 ニハ謝罪状ヲ徴取シテ解決スルモ時ニハ新聞紙二 ルノ嫌アリ殊二最近差別的待遇ハ往時二比シ漸次 謝罪広告ヲ為サシメ稀ニハー定ノ間営業ヲ休止シ 改善セラレツツアリ今迩カニ水平社ノ運動二参カロ テ誠意ヲ表セシメ、又ハ数万枚ノ謝罪状ノ印刷物 スルノ必要ナカルヘシトナセル力如シ・(11年7 頒布方ヲ迫り、又ハ飲食費ヲ強請セル事例アリ。 月22日、愛知県報) 三重県水平社本部ハ之力謝罪状ヲ輯集シテ永久保 一、三重県 県内部落民一般ハ差別撤廃ノ諭旨二対シテハ何 存スルコトナシ居レリト云う。 彼等ハ多年一般民ヨリ受ケタル圧迫二対スル反 レモ賛意ヲ有セルモ近時水平社ノ糾弾的態度梢々 対ト其ノ残忍性トー依り糾弾二当り相手方ノ謝罪 不遜ニ亘リー般民ニ対シ挑戦ノ感アルノミナラス アルニ拘ハラス動モスレハ狂暴ノ行為二遡ヘント 之力為〆自ラ差別ヲ高唱スル嫌アルヨリ進ンテ入 シ欧打傷害ヲ加へ、或ハ夜陰多数ヲ以テ他人ノ家 社ヲ希望スルモノ無ク却テ之ヲ嫌厭シ一般同社ヲ 宅ヲ襲上、又ハ小学校児童等ヲモ乱打セルノ例一 軽視シ居レル情況ニ在り。(11年6月22日、三重 再ナラス。之等ハ箸シクー般民ノ反感ヲ招キ各所 県報告) 二糾争ヲ生シ前表奈良県大正村二於ケル騒擾事件 一、和歌山県 ノカロキ三重県上□□村紛擾事件ノ如キハ多数混棒 本県二於テハ伊都郡端場村岡本弥(相当有力者 ヲ携ヘテ寺院其ノ他ノ場所二集会シテ警鐘ヲ乱打 ナルガ如シ)力最初南等ト共二水平社主唱者ノー シ消防剛叺ヲ卿ラシテ進行スル等、部落民対一般 人タリシカ創立以前之ト関係ヲ続ケタルニ依り一 民ノ騒擾トイヒセントスルノ状況ヲ呈スルニ至り極 部青年等ハ水平社卜連絡シ海草郡岡町村都賀郡狩 メテ危険ノ虞アリ卜云フヘク、彼等ノ所謂糾弾運 宿村等二於テ水平社ノ宣伝演説会ヲ開催セルモ予 動ハ各種ノ弊害ヲ生スルヲ以テ厳重取締ノ必要ア 期ノ結果ヲ収グル能ハサルカ如シ。(11年10月11 ルヲ認〆ラルルモノナリ。 日、和歌山県報) -122- ij 『初期水平社連動資料の一断面』 注①『研究』に収録されている。  ̄、岐阜県 養老郡大憤部落二対シ水平社設置方勧誘セシ者 アリシモ之二応セス。一般部落民モ月下之力団体 第5朝鮮人トノ関係 組織二共鳴スル模様ナシ。(11年11月岐阜県報) 水平社ハ従来朝鮮人トノ間二何等ノ関係アルヲ 認メサリシカ最近大阪二於テ在留鮮人力「関西朝 第4社会主義者トノ関係 鮮人聯盟」ヲ組織セントスルヤ水平社幹部二属ス 本運動ノ主唱者二属スノレ近藤惣右ヱ門、平野重 ノレモノ之二参加シ、将来極メテ注意ヲ要スヘキ状 吉等ハ純然タノレ社会主義者二属シ其ノ他ノ幹部タ 勢ヲ表ハスニ至しり。其ノ顛末概要左ノカⅡシ・ 大阪朝鮮人組合会長李善供一派ハ既設鮮人団体 ル南梅吉、清原-隆、阪本清一郎、米田富一郎、 ① 栗須七郎等モ社会主義思想若ハ之二近似セル思想 ヲ合併センコトヲ計画シ、運動ヲ進ムノレ所アリシ ヲ抱有シ届レハ而シテ一般社会主義者等二至り カ同地在住社会主義者木本正胤(四字抹消)ハ水平 テハ本運動ハ社会主義運動トヲ結合セントシ襲二 社幹部二属スル二・三ノ者ト共二之二参与後援シ 京都二於ケル創立大会二際シテハ京阪社会主義者 12月6日同地南区日本橋筋4丁目30番地朝鮮人協 ハ之二参列シ、又ハ大阪二於ケル演説会二於テ在 会事務所二打合会ヲ開催、会スル者約30名、木本 阪社会主義者三田村四郎、金咲道明等出演セノレコ ハ水平社幹部泉野利喜蔵、千崎富一郎ノ両名ト共 トアリ、其ノ他社会主義等ハ其ノ機関紙二於テ極 二出席シ会合ヲ前記ノカロク定ムルニ協定シ、木本 力本運動ヲ声援シ居りテ本運動ハ社会主義運動ト ノ記草二係ル「水平社」二則りダル左記宣言、綱 ノ結合連帯二依ラサレハ其ノ解決ヲ為シ難キコ 領、決議ヲ朗読シ、次テ泉野ハ起テ「鮮人解放運 ト、若ハ本運動ハ凡テノ社会解放運動ノ先駆ダル 動ハ水平運動ト其ノ趣旨ヲ同ウスルモノナルヲ以 へキモノナルコト等ヲ唱導シツツアリ。雑誌解放 テ本会ハ吾水平社ノ姉妹団体トシテ大二提携努力 (大正11年6月号)紙上二於テ在京佐野学力「水 センコトヲ望ム」旨ヲ述へ、米田ハ「朝鮮人'、吾 平社ノ連動」1,題シテ執筆セル記事及山川均力雑 等部落民1,同祖同族ナルコト、不断ノ努カヲ以テ 誌前衛(堺利彦、山川均一派ノ機関紙)4月号二 多少ノ犠牲ヲ払うトモ飽ク迄目的貫徹二進ムヘキ 執筆セル「特殊民ノ権利宣言」1、題スル記事等ノ コト」ヲ力説セリ。 カロキハ水平社員ノー部二対シ相当ノ感動ヲ与へダ 宣言 ル模様アリ。左二其ノー節ヲ挙ク。(中略) 手モ足モモギ取ラレタ蜘蛛、又,、蟹ノ様二几テ ① 斯クシテ一般社会主義者ハ本運動ノ将来二嘱望シ ノ人間的武装ノ解除ヲ強ラレ、モギ取ラレ而シテ ツツアリ。大阪在住木本正胤力或者ニ対シ「如何 歩ケ働ケ目ラ食へト鞭ウタレテ来夕兄弟ヨ、何日 ニシテモ今後二於ケル社会革命ノ源泉'、水平社ア 迄吾々ハ手足ヲモギ取ラレテ白ラ歩ルキ白ラ求メ ルノミ。水平社運動ハ猶太ノ其レノカロク水キー亘 白ラ働キ、而シテ食上得ル事力出来様ソ。歩ケ リ虐ケラレタル者ノ叫ヒナルヲ以テ真ノ熱アルモ ス、求〆得ス、働キ得ス、勿論食う能ハサル暁ハ ノト云フヘク人類解放ノ実際運動ニシテ同社地方 路上ニ倒し空腹ト無気力トテ遂二生キ能ハサル○ 委員清原等ノ称フル「人間最高ノ完成二向テ突進 若シ之ノ□ヘリヨリ鵬テハのたれ死スル時モ来 セヨ、而シテ人間ハ真二熱アレ光アレ」ノー句ハ る、踏ミロがれる事モアル其ノ無惨ナ屍ヲ見タ時、 水平社ノミナラス全人類ノ「モットー」タルヘク 人間ノ多卯、恐ラク気ニモ止メヌテアロウノハ、 此ノ水平社ヲ以テルニン」運動ト云フモ過言二 マタヨイトシテ、ヒドイ奴ニナルト靴下二長レヲ 非サルヘシ」ト語レリト云う。而シテ水平社側二 在リテモ、現幹部ノ思想行動ハ相当左傾シ居レル 形跡アルヲ以テ現在ノ状況ヲ以テ推移スル限り将 踏散ラシテ過キ行ク事モアルタロウ。此ノ時、只 厚ク屍ル者ノ、誰タト思う。兄弟ヨ、此ノ時、吾々 来社会主義運動トノ融合ヲ来スコトナキヲ保シ難 兄弟アル而巳ダヲ知し。 呪フハシイ感激二滴サレテ、其ノ屍ヲ拾上取り手 キ状勢ニ在リト認メラル。 隆煕四年、即チ明治43年、日本ト朝鮮卜合併サ 附記全国水平社本部二属スル柏房次郎ハ最近上 京シテ在京社会主義者ヲ歴訪シタル事実アリ。 レタ。然レトモ其レハ所謂貴上人々ヤ、ブルジョ アー階級ノ合併でアッタ。吾々平民テ無産テアル -123- 。g 注①米田富氏によれば、日本名武田英雄で日本橋のiリ({ 者ニハ何等/有難サモ齋サナカッタ。勿論、吾々 薬商であったとのこと。 ト日本人トノ合併テハナカッタノタ。吾々ハモト ョリ朝鮮人力独立セヨウト滅亡サレヨート関係モ 考慮モ要シナイ。吾々ハ今更、朝鮮力独立シタカ 第6反水平運動 ラッテ吾々朝鮮力無産民トシテ幸福ヲ期待スルコ 水平社一派力各地二運動ヲ為セノレニ当り其ノ方 法過激ニ亘リ時二部(蕗)民ヲ煽動スルカムロキ弊 トハ余リニ苫ガイ経験ヲ持チ過キテ届ノレ。 吾々ハ同シ地上ノ人類トシテー員二数へ得ラル 二陥り、又ハ往々常軌ヲ逸スルカカロキ事例アリ、 ル尊上意味二於テ白ラ人類トシテノ誇り即チ朝鮮 部(蕗)民中、穏健派二属スノレ者ハ部落ノ健全ナ 人テモ人間タトノカ強上意識カラ亡国民的賎思観 ル発達ヲ阻害スルモノト為シ、反水平社運動ヲ開 念二基ク差別二対シ尊崇ノ吾々人間ヲ冒涜セムト 始セル者アリテ各地二之力団結ヲ見ルー至レル スル凡テノ横暴ナル人類1,倶二其ノ平等ノ福利ヲ カ、水平運動ノ発源地ダル奈良県伯原二於ケル 希上、而モ図ルコトハ難ク、吾々ハ余リニ有難過 親友会ヲ初メトシ、大阪西浜部落青年の糾合二係 キル懐柔政策二甘ンスル事ハ吾々兄弟ノ永遠二堪 ノレ栄聯合青年会、同部落鶏鳴会、奈良県二於ケル へ忍フ所テハナイ。吾々ハ吾々自身ノ白ラ尊敬二 大和同志会、滋賀県東浅井郡小桜部落戸主会等ヲ 於テ其ノ人間トシテノ偉大サヲ造り上ケ得へ久 其ノ重ナルモノトス。殊二西浜二於ケル之等団体 而モ人類トシテノ生存ヲ許サレ得ヘキ(ヨキ日) ハ水平社ト対抗シテ演説会等ヲ開催シ居しり。 附記 ノ来ノレ事ヲ信スル。此ノ意味二於テ相互ハ決シテ 白ラハ卑下シテハナラヌ。又、其レハ人間ヲ冒涜 和歌山県二於テハ海草郡岡町村山村善応外数 スル事ニナル。而テ卑怯ニナル。吾々ハ斯クシテ 名ハ村民中急進派二属シ差別撤廃問題二関シ常 人間二還ラムトスル者テアル。 二過激ノ言論ヲ弄シ同志ヲ糾合シ水平社支部ヲ おお人の世に熱あれ 設置セント計画セシヲ以テ、同県二於テ厳重警 人間に光あれ 戒スルト同時二懐柔ヲ講シタル結果、其ノ後二 全国に散在スル吾々同胞ヨ団結セヨ。(了) 至り水平社ト行動ヲ共ニスルノ不利ナルヲ覚り 綱領 其ノ態度ヲ一変シ、半ハ水平社二対抗スルノ目 一、朝鮮人ハ朝鮮人自身ノ行動トカニ依ツテ対等 的ヲ以テ壬戊会ナルモノヲ組織セントシ役員ノ ノ人間地位ノ獲得ニ努ム 詮衝中ナルカ所轄警察署長及県社会課嘱託ヲ顧 ー、吾々朝鮮人ハ人間トシテ当然ナル権利ヲ主張 問トスヘク内定セル模様ナリ。 シ圧迫セラレツツアル経済と職業トノ自由ヲ要求 (追記) シ其ノ獲得ヲ期ス 水平社'、漸次取締警察官吏二対シ反感ヲ生シ ー、吾々ハ朝鮮独立政治的運動ト交渉ナク専念以 来レル形跡アリ、一派ハ三重県其ノ他二於テ警 テ入来至上ノ幸福ヲ完全ナラシメンカ為〆猛進ス 察官吏力部落民ノ取調二際シ不当苛酷ノ行動ア ママ 決議 リトシテ之二関スル新聞記事ヲ街路二貼付シ、 一、吾々ハ朝鮮人ハ亡国民的賎思観念二基ク差別 又ハ之等二関シ警察二対シ反抗心ヲ誘発セシム ヲ為シタル者二対シテハ徹底的二糾弾ヲナス ヘキ宣伝印刷物ヲ作成添付シテ各地同志二送付 ー、所謂不運鮮人ノ四字二対シ日本政府及各日本 新聞並二雑誌社二対シテハ根本的反省ヲ求メ爾 スル等之力宣伝ニ努メタル結果、近時二至り警 動ヲ執ル事ヲ通告ス 察官二対スル態度悪化シタル傾向ナキニ非ス、 殊二集会二於テ臨監セル警察官吏二対シ、故ラ 不都合ナル言動二出ツル者ナキニ非ス、之等ノ ー、吾々ハ聯盟本部二於テ同胞ノ覚醒ヲ促シ向上 状勢ハ注意ヲ要スルモノト認メラル。 今、之レヲ無視スル事アル場合ハ偉大ナル自由行 ト団結ノ統一ヲ図ル為、雑誌(朝鮮人)ヲ発行ス 右議決ス 水平社団体調〈2〉 関西朝鮮人聯盟本部 (A)名称、(B)所在地、に)創立年月、(D)行動概要、() は会員数、に)中心人物(以下、(A)~(E)と略す) -124- 『初期水平社運動資料の一断面」 (A)舳松水平社、(B)大阪府泉北郡舳松村1592-1, 説会ヲ開キ、又糾弾運動ヲ為ス(60)、に)主幹事石 に)大正11年10月15日、(D)(会員数9)、(E)×泉野利 田平治郎、幹事石田平一郎。 喜蔵 (A)下永水平社、(B)奈良県磯城郡川西村下永、(C)大 (A)大阪府北水平社、(B)大阪府西成郡北中島村束宮 正11年5月18日、(D)糾弾行動ヲ為スノ外著シキ行 原370,(C)大正11年11月4日、(D)啓振会ノ破壊活 動ナシ、(E)松本松太郎。 動ヲ為シツツアリ(22)、(E)執行委員長島田忠三郎、 (A)未定、(B)未定、に)?(D)千崎富一郎ハ各府県水 西尾栄肋、西尾喜二郎、西尾正太郎。 平運動二熱中参加シ居しり、(E)○千崎富一郎、橋 (A)埼玉県水平社本部、(B)埼玉県北足立郡箕田村箕 本義乗、喜田源平、広岡豊一郎。 田4127成塚午吉方、に)大正11年4月14日、(D)近藤 (A)三重県水平社本部、(B)三重県飯南郡松阪町日野 惣右衛門、平野重吉等主唱ノ下二創立シタルモノ 町2丁目、北村圧太郎方、に)大正11年4月21日、(D) ニシテ箸シキ行動ナカリシカ大里郡御正村二於ケ 1.幹部ハ創立以来県内数郡二至り部落民二座談 ノレ西比利出征部落民軍人ヲ除外セル建碑問題二対 宣伝ヲ為ス、1.各地劇場等二於テ宣伝演説会ヲ シ京都本部二通報シテ来援ヲ求メ部落民ノ後援ヲ 開催ス、1.「水平歌」「的ケ浜惨劇夜」等ヲ作成 為セリ(24)、に)委員成塚政之助、同成塚亀吉、成塚 頒布シツツアノレカ「水平歌」ハ禁止セラレタリ、 午吉、成塚駒蔵。 1.糾弾行為ヲナセルカ既二十数件二上しり(685) (A)奈良県水平社、(B)奈良県南葛城郡披上村柏原、清 (E)会長×北村圧太郎、副会長中野寅吉、幹部上田 原方、に)大正11年3月3日、(D)幹部ハ各地水平運 音市、山田清之肋、吉村亀太郎、吉井亮長。 動二参加シ、又糾弾行動ヲ為ス等、最モ過激ノモ (A)三重県水平社度会支部、(B)三重県度会郡浜郷村 ノ(52)。(E)○清原-隆、×駒井喜作、×阪本清一 黒瀬中崎区集会所、に)大正11年9月15日、(D)水平 郎、池田吉作、池田安太郎、×山田孝野次郎。 運動の宣伝及会員ノ加入ヲ勧説シツツアリ(58)、 (A)梅戸水平社、(B)奈良県磯城郡川西村梅戸209、 (E)支部長梅田惣二郎、副支部長牧野喜代松、幹事 に)大正11年5月5日、(D)機関紙「燃え上る心」ヲ 玉野舟吉、泉原〆蔵、牧野朱吉、牧野富次郎。 発刊シ糾弾行為二出ツル等最モ活動シ居り、(E)山 (A)一志郡水平社東部支部、(B)三重県一志郡桃園村 本平太郎、中村福磨、河村八良平。 大字木造字五由殿5480、に)大正11年10月29日、(D) (A)金沢水平社、(B)奈良県磯城郡川東村金沢、(C)大 創立大会ヲ拳ケ爾後糾弾行動ヲ為シツツアリ(,00) 正11年8月6日、(D)糾弾運動ニ努ムルモノ、(E)小 に)支部長五由出直蔵、支部副長原田勘蔵。 松宗次郎。 (A)三重県青年水平社、(B)三重県飯南郡松阪町日野 (A)中和水平社、(B)奈良県磯城郡大福村大福、山本平 町2丁目、上田音市方、(C)大正11年11月14日、(D)11 信方、に)大正11年10月21日、(D)機関紙、月報水平 月14日創立大会ヲ挙グ、本県下ノ水平社ハ動モス ヲ発行ス時々宣伝集会ヲ開催セリ(200)、(E)委員長 レバ過激二失シ一般ノ頻□斥セラル状アルヲ以テ 荒井米治郎、委員伊藤繁太郎、福田圧太郎、山本 多少穏健ナル行動ヲ以テ真二差別撤廃ノ目的ヲ達 平治。 セムトスルモノノカロシ(65)、(E)団長上田音市、山 (A)飛騨水平社、(B)奈良県高市郡鴨公村大字飛騨38 田清之肋、中黒留吉、伊藤信平。 番屋敷、善行寺内、に)大正11年4月30日、(D)糾弾 (A)三重県伊賀水平社、(B)三重県阿山郡城南村大字 運動ニ努メツツアリ(230)、(E)社長松本長八、相談 上野、青年倶楽部内、に)大正11年10月27日、(D)創 /'役平沼寅太郎、宗川玉三郎、青木佐市、青木佐平 立大会後部落民ノ加入ヲ勧誘シ、且、糾弾行為ヲ 治。 為シツツアリ(91)、(E旧中佐武郎、和田善吉、梅 (A)水平社西穴闇支部、(B)奈良県北葛城郡西穴闇、 沢惣之肋、和田倉之助、横田正也。 浅川実蔵方、(C)大正11年6月6日、(D)演説会ヲ開 (A)東岸江水平社、(B)三重県松阪町字東岸江、に)大 催シ、又糾弾運動ニ努メツツアリ(12)、(E)支部長浅 正11年11月26日、(D)11月26日夜同所山口駒吉方二 川実蔵、幹事藤岡弥之松。 発会式ヲ拳ケ宣言、綱領、決議ヲ発表シ南梅吉、 (A)水平社山内支部、(B)奈良県北葛城郡高田町大字 山内、石田平治郎方、に)大正11年6月1日、(D)横 米田富一郎等ノ演説アリ、来会者350名、に)中口 吾市。 -125- -●●ザ-------℃‐--◇1-----⑤=一一宇●I ̄-- ̄----勺■■ ̄ ̄ ̄■凸● ̄▲■■ ̄ ̄巳 ̄~=■~ ----------一一一一一一一一一戸------甲● ̄ ̄~~-- Ⅱ三)風規ノ改善、教育事業ニ努ブ]スルコト。 (匹I公共事業、人格ノ向上当'11Jノ改善フ計ル (A)愛知県水平社、(B)名古屋市西区平野I11J184-1小 西吉之助方、(C)大正11年11月10日、(D)大正11年11 月10日、各地水平社/来援ヲ得テ発会式ヲ挙行シ 其後宣伝演説会及糾弾行為ヲナセリ(90)、(E)×小 西吉之助、花園新三郎、小林栄吉、生駒宗衛、小 林一善、小川治平、小林佐次郎、小林塵太郎。 (A)神戸水平社、(B)神戸市新川、(C)大正11年11月28 日、(D)11月28日創立大会ヲ開久出席者約500名 コト。 国水平連動ノ誤解者ニハ親切二教へ諒解ヲ 求メ加盟セシムルコト。 ㈹会員相互二親和シ相助ケ相誠メー家族タ ルノ実ヲ挙グルコト。 事件解決法 第四条インテリゲンチアノ者ヨリ侮辱ヲ受ケタル アリ、(E)岸本順作、前田平一。 リ、(E)岸本順作、前田平一。 時ハ新聞紙上二謝罪広告ヲ出サシムルコト 註①中心人物欄の○印は特別要視察人、△印は労働要 、中心人物欄の○印は特別要視察人、△印は労働要 視察人、×印は特に注意を要する言動ある入物と 第五条普通ゲンチヤ階級ト認ムル者力侮辱シタル 「註記」あり。この表では略記したが、前表の全 国水平社の南、藤岡、阪本、駒井に×印が、千 第六条小学生、児童力侮辱シタル時ハ保護者二注 崎、近藤に○印が、平野に△印が付せられてい る。また、大阪府水平社は前表と違い、栄町2丁 目57、富村吉五郎方に所在地があり、中心人物に 泉野、山田、西光がなく、桶川義久、中川誠三、 第七条雑居職業ニヨリ侮辱セラレタル時ハ各地水 場合ハ糺弾ノ謝罪状ヲ取ルコト。 意シ本人ノ覚醒ヲ促スコト。 平社委員ト協議ノ上解決スルコト。 第八条事件惹起セル時ハ解決委員ニー・任シ落著後 ハ異議ヲ狭マヌ事 松井窓次郎、羽野寅吉、松田喜一が記入され、栗 綱領決議ハ全国水平社ト共ニスル事。 須には×印が付されている。 団員ノ注意要領 ②会員数は、行動概要の末尾に記載し欄をはずし た。また「主旨綱順」は全国水平社のものを使用 第一条団員ハ軽挙妄動ヲ慎シミ統一的行動ヲ取り しているのでこの欄も省略した。ただし、三重県 青年水平社のものが欄外に附記されていたので以 下に記す。また「中和少年水平社」の附記も下記 第二条発売禁止ノ書籍類及宣伝ビラ等ハ絶対ニ禁 初志ノ目的ラ奮進スルコト。 スル事。 第三条人二接スル場合ハ過激ナル言語ヲ弄セヌ事 第四条水平運動ニシテ検挙セラレシ者ハ役者ノ協 のとおりである。 ③本表〈2>は、〈1〉の数ケ月のちに作成されたもの 議ヲ計り不正卜認ムル時'、之ヲ除名ス。 第五条善良ナル会員ヲ表彰スルコト。 と思われる。重複団体(全国水平社、京都、大阪 水平社)は省略したが、重複団体でも記載内容に 異同があるところは採用した。〈1〉に記載あり 〈2>にないもの、あることに注意されたい。また 本項も「表」を文章化したものである。 水平社宣伝集会調 大正11年3月3日、京都市公会堂1000、水平社 創立大会トシテ開催セルモノニシテ宣言・綱領・ 決議ヲ協定シタル後、各地ヨリ参列セル代表者、 附記 交々講演ヲ為セリ。 以上ノ外奈良県二「中和少年水平社」アリ8歳以 3月9日奈良県南葛城郡披上村柏原西光寺、 40余、清原-隆、阪本清一郎、米田富一郎、近藤 惣右衛門等聴衆ダル部(蕗)民二対シ座談的二差 上15歳以下ノ児童ヲ会員トナサムトスルモノニシ テ所轄警察署長二於テ注意ヲ与へダル結果箸シキ 活動ナキニ至レルモノノムロシ。 三重県青年水平社会則抜華 I ママ 別撤廃ヲ絶叫セル講話ヲ為セリ。 第一章 第二条本会ハ大和民族二存スル差別的ノ旧慣ヲ打 破スルヲ以テ目的トス 第二章 第三条本会'、前条ノ目的ヲ達セルカ為〆左ノ事業 ヲ行う。 H隔月一回演説会ヲ開催ス (二二)先帝陛下ノ奉吊会ヲ年一回盛大二与行ス ママ 3月23日大阪府三島郡島本町金照寺、約70、 近藤惣右衛門、南梅吉等部落民ノ解放ヲ高唱セル 講演ヲナセリ、弁士二対シ所轄警察署長ヨリ予メ 注意ヲ与ヘタリシ為、過激ノ言ヲ弄セス。 4月3日京都市鷹野北町蓮生寺、不明 4月10日奈良県宇智郡五条町明西寺、不明、 南梅吉、阪本清一郎、清原一隆等、水平運動の趣 -126- ! 『初期水平社運動資料の一断面』 利喜蔵、栗須七郎、平野重吉、西光万吉及部落民 旨ラ主張宣伝ス。弁士二対シ予メ注意ヲ与フ。 4月14日埼玉県北足立郡箕田村、成塚午吉方、 其/他/者、宣伝講演ヲナス。予メ弁士二対シ注 30、埼玉水平社発会式トシテ開催セシモノニシテ 意ヲ与ヘタノレヲ以テ比較的所論穏健ナリシ模様ナ 近藤惣右衛門・平野重吉等宣伝演説ヲナシ、綱領、 リ。 宣伝、決定ヲナシ座談ニ移り出席者二於テ小作問 5月31日奈良県山辺郡二階堂村嘉幡、6月1 題ヨリ社会組織ヲ云為シ、不穏当ノ言辞アリシヲ 日磯城郡川西村梅戸、6月2日北葛城郡高田 以テ臨監警察官二於テ注意ヲ与フ。 田町、6月3日山辺郡丹波市町御経野、6月4 4月21日三重県松阪町劇場中座、約600、三重 日南葛城郡披上柏原、300乃至700、弁士ハ南梅 県水平社創立大会名儀ヲ以テ開催セシモノニシテ 吉、清原-隆、・阪本清一郎、駒井喜作、米田富一 宣言、決議、綱領ヲ議シタノレ後、各地代表員ノ演 郎、平野重吉、泉野利喜蔵外部落青年等ニシテ論 説アリ、主催者二対シ予メ注意ヲ与フル所アリシ 旨ハ部落解放水平運動ノ宣伝等ニシテ平野ノカロキ ニ不拘、過激ノ言動二出テントスルノ状アリ。 ハ社会主義宣伝ニ亘ルコトアリ。 6月5日奈良県生駒郡安堵村東安堵、6月6 4月23日大阪泉北郡舳松村南舳松、川本錦三 郎方約200、泉野利喜蔵ノ主催ニ依り「部落改善促 日葛城郡川合村穴闇、300乃至700同上 進運動演説会」名義ヲ以テ開催セラレシモノニシ 6月11日愛知県名古屋市西区平野町、信徳夜 テ米田富一郎、駒井喜作、平野重吉、近藤惣右衛 学校約200、水平社支部設置協議ノ為、開催セルモ 門外数名演説ヲナシ、篠塚蓮城大分県的ケ浜事件 ノ、阪本清一郎、小西吉之助ヨリ座談宣伝ヲナス 二就テ述ブ。閉会後、革命歌ヲ合唱セントシタル 7月3日奈良県磯城郡大福村笠神部落光泉 ヲ以テ之ヲ制止シ、翌日、部落民二宣伝ピラヲ頒 寺、不明、中村少年水平社創立大会トシテ開催セシ 布セムト計画セル形跡アリシヲ以テ主催者二注意 モノニシテ決議、綱領、宣言ヲ協定シテ散会ス。 ヲ与ヘテ中止セシメタリ。 本団体ハ小学児童ヲ以テ組織セムトスルモノニシ 4月24日大阪市南区栄町3丁目、真宗木津説 テ、教育上支障ヲ来スヘキノミナラス、一般二悪 教所約70、出席弁士ハ前回二同シク論旨梢モスレ 感イヒヲ来ス虞アリシヲ以テ、所轄署長二於テ重立 バ反社会的ニシテ過激二隣ラムトスル模様アリ。 者二諭旨シ児童ヲ退散セシメタリ。 5月4日京都市下京区三条、基督教青年会館、 7月24日大阪西浜中通3丁目181山下弥太郎 約250、篠崎蓮城ヲ鴫シ「的ケ浜焼打事件真相発表 方、約150大阪水平社ヲ同地西浜部落方面二設置セ 演説会」名義ヲ以テ開催セルモノニシテ篠崎ノ講 ンカ為開催セル宣伝演説会ニシテ泉野利喜蔵、駒 演二次キ、近藤、平野等交々立テ的ケ浜事件二鑑 井喜作、米田富一郎、栗須七郎等二於テ官憲ノ圧 ミ、益々団結ヲ強固ニシ世人ノ迫害二抗スルノ必 迫ヲ叫上、或ハ同志ノ団結ヲ唱導シ、栗須ノ如キ 要ヲ力説ス、聴衆ダル部(落)民ノ大部ハ篠崎ノ ハ官憲ノ圧迫二対シテ唯革命アルノミトノ不穏ノ 説ヲ盲信シ、其ノ所論二共鳴舵態度ヲ示セリ。 言辞ヲ弄セリ、青年二相当感動ヲ与へダル模様ア 5月14日神戸市三番町2丁目6番地、櫛製造 リ。 所、約'50、南梅吉、駒井喜作外数名交々立テ講演 ヲナシタリシカ駒井'、社会主義ヲ主張セル模様ア 7月25日大阪府西成郡津守町609、木村源次郎 方、約250、前項二大同小異。 7月26日西浜北通3丁目、浅田基次方、約 リ。 5月16日大阪天王寺公会堂、約500、篠崎蓮城 '50、同前。 ノ主催二係ル「的ケ浜民家焼払事件演説会」名義 ヲ以テ開催セルモノニシテ篠崎ノ講演二次キ社会 7月27日栄町2丁目73、川田忠夫方、約10o、 同前。 7月28th西浜北通1丁目246富村三十四方、 主義者三田村四郎、金咲道明登壇シテ社会主義鼓 吹ノ講演ヲ為シタリシヲ以テ、三田村ノ講演二対 約150、同前。 シ中止ヲ命シタリ。三田村、金咲ハ閉会後、場内 二於テ喧擾ノ行動アリシヲ以テ検束セリ。 一方、約30、上記部落二宣伝ヲナス目的ヲ以テ開 5月28日和歌山県海草郡岡町村、約250、泉野 催セルモノ、米田、駒井、栗須、阪本等二於テ現在 7月31日大阪府西成郡北中島村南方、中井利 -127- 」 ノ不合理ヲ指摘シ解放運動ヲ力説宣伝セル演説ヲ リ。 10月27日三重県阿山郡上野町、旭座、約1300、 ナス。 伊賀水平社創立大会名義ヲ以テ開催セシモノ、京 8月1日西成郡北中島村字宮原新家啓振館、 都、大阪、奈良、各地ヨリ代表者参会講演ヲナ 約50、同上、弁士中、平野重吉参加ス。 8月5日大阪天王寺公会堂、約1500、大阪西浜 ス。 部落水平社支部発会式トシテ開催、阪本清一郎、 11月2日大阪府西成郡今宮町中開5丁目498 米田富一郎、泉野利喜蔵及部(蕗)民ノ子弟交々 富藤清一方、約300,泉野、駒井、栗須、其ノ他数 立テ水平運動ヲ力説シ過激ノ言辞ヲ試ム、穏健派 名ノ宣伝講演アリ、本集会ハ襲二大阪府二於テ水 力水平社ノ反対運動ヲナシタノレ為メ之二対抗スヘ 平社運動二反対シテ起テル鶏鳴会ノ活動ヲ索制セ ク奈良県同志ノ来援ヲ得テ本集会ヲ挙ケタルモノ ンノ為メニ開ケルモノナリ。 11月10日名古屋市西区平野町、愛知県水平社 ナリ、一般二梢々、感動ヲ与へダル模様アリ。 8月6日西浜北通1丁目、富村三吉方、450、 創立大会トシテ開催、南梅吉、北村圧太郎、阪本 泉野、米田、栗須七郎、阪本清一郎、駒井喜作 清一郎、平野重吉、米田富一郎、山田孝野次郎等 及、部(落)民ノ少年少女交々立テ、前項ノカロク部 ノ講演アリ。 (蕗)民解放運動二関スル講演ヲ為シ過激二捗レ 11月13日西成郡北中島村東宮原、約'00,北大 阪水平社創立大会トシテ開催宣言書ヲ頒布シ、山 ルモノ少カラス。 田孝野次郎、清原一陸、平野重吉、千崎富一郎、 8月7日栄町1丁目17、田中直吉方、約350、 栗須七郎、駒井喜作、其ノ他数名ノ者、宣伝演説ヲ 栗須七郎外数名講演ス。 11月15日大阪市南区栄町2丁目53番地、約150 ナシタリシカ、石田平一郎ハ水平運動ニ依り新社 会建設ヲ主張シ米騒動ヲ引例シ公安ヲ害スル言動 前項記載ノ人物及泉野利喜蔵外数名ノ講演アリ。 10月15日三重県久居町、永楽座、約900、各地 アリ、論議ノ中止処分ヲ為セリ。聴衆二梢、感動 ヲ与ヘタル模様アリ。 ヨリノ代表20名ノ講演アリ。 8月20日泉北郡舳松村南舳松、明願寺、約200、 11月17日以降奈良県宇智郡五条町五条座、約 舳松水平社創立演説会名義ヲ以テ開催。平野重 400京都全国水平社ノ後援ノ下二十数名ノ弁士講 吉、米田富一郎、栗須七郎其ノ他代表者ノ演説ア 演ヲ試ミ水平運動ヲ力説シ、又地方官憲ノ攻撃ヲ リ。論旨不穏ト認メラノレルモノアリ。会場二「団 試ムル言辞ヲ弄ス。(以下の各地の聴衆数.講演内 結セヨ」其ノ他ノ文字ヲ黒字二赤書、白地二墨書 容は同じ)添上郡櫟本町、磯城郡川西村梅戸、山辺 セルモノヲ張廻セリ。 郡丹波市町石上、生駒郡三島村下ノ圧。 9月15日三重県度会郡浜郷村黒瀬中崎区集会 11月19日名古屋市西区信徳夜学校、約300、平 所、約320、度会支部発会式名義ヲ以テ開催ス、宣 野重吉、山田孝野次郎、栗須七郎等ノ講演アリ平 言、決議、綱領発表後、米田富一郎、平野重吉、 野'、暴挙ヲ戒メ、其ノ他弁士ノ論説梢穏健ナリ 11月20日愛知県知多郡旭村大草、三浦七次郎 西光万吉、北村庄太郎其ノ他各地水平社代表員中 方、約50,同 ヨリ宣伝演説ヲナセリ。 9月22日大阪天王寺公会堂、約1200「秋季大 会」名義ニ依り開催セルモノ、清原-隆、栗須七 11月23日大阪市北区本庄葉村、称名寺、約150 弁士、内容従来ト大同小異 郎、米田富一郎外数名、水平運動ハ単ナル部落問 11月23日宇治山田市曽根町、新富座、約750、 題二非ス、人類平等ノ新社会建設ヲ理想トシテ起 伊賀、伊勢水平社聯合大会トシテ開催、三重県有 テルモノニシテ目的達成ノ為〆同族ノ強固ナル団 田村二於ケル糾弾事件検挙二対スル攻撃及糾弾実 結ヲ必要トスル旨ヲ力説シ、清原(西光)ノ論旨 行事件ヲ決議セリ。南、米田、駒井、清原等ノ演 公安ヲ害スト認〆中止処分セリ。 説アリ。 11月24日津市愛宕町、桑名七蔵方、5~60、波 10月15日三重県一志郡久居町永楽座 10月16日名古屋市西区平野町、真宗説教所、 野春美、田中佐蔵外数名ノ講演アリシモ本集会ノ、 約380、泉野、西光、小西吉之助外2名ノ講演ア 部(蕗)民穏健派ノ反対アリ、会勢揚ラズシテ終 -128- 釧 『初期水平社運動資料の一断面』 弊言シタルヲ聞知シ紛擾ヲ為シ、双方警察署長ノ しり。 11月26日松阪町東岸江、約350,束岸江水平社 訓戒ヲ受ケ落着。 創立大会トシテ開催セルモノ、清原-隆、米H1富 5月下旬山辺郡二階堂小学校、運動会二際シ 一郎、南梅吉外数名演説ヲナス、25日夜、予行演 他/児童力部落児童二対シ「穂多」卜称シルレニ 説会ヲ為シタル上本集会ヲ開催シタルモノナリ。 ノ&因シ、児童間二紛争シ、学校長ノ措置ニ依り解 11月28日西成郡中津町下三番、青年会事務所 決シタリ。部落児童ハ斯ノコトヲ帰宅後父兄二語 約250、南梅吉、山田孝野次郎、泉野利喜蔵、栗須 り、水平社ヨリ相当処置シ賞ウヘク決シテ秘スヘ 七郎外数名ノ講演アリ、大西弥吉郎ノ所論、公安 カラサル旨申合セ居しり。 6月2日磯城郡川西村梅戸、一低能者力部落 ヲ害スルモノト認メ中止処分ス。 11月28日神戸市吾妻通5丁目、専称寺、500、神 民二対シ筍ヲ窃取シタルナラムト云ヒシヲ憤慨シ 戸水平社創立大会トシテ開催セルモノニシテ宣言 紛議アリ、駐在巡査二於テ双方諒解セシメ引取ラ ヲ朗読シタル後、各地代表者ノ講演アリ・ シメタルニ、之力処置方二不服ヲ抱キ、同夜十時 註)本項も「表」を文章化した。 約百名、大挙駐在所二押寄セタル事件アリ。駐在 所巡査二於テ之ヲ説得ス。 侮辱者糾弾行為其ノ他紛争事件調(大正11年) 6月4日山辺郡二階堂駅、電車内二於テ乗客 7~8名ノー団力互二戯言シ不用意二「エタ」云々ト (奈良県) 5月15日南葛城郡大正村、大正小学校、大正 ロ外セシヲ同乗セル水平社幹部駒井喜作外一名力 高等小学校生徒力部落児童二対シ「今日ノ当番ハ 側知シ之ヲ諮問シ暴行ヲ加へクリ6水平社01リハ謝 糠多許リグ」トロ外シタルニ`憤慨シ、部(落)民ハ 罪状ノ交付ヲ迫り、相手方ハ暴行ノ告訴ヲ為スヘ 寺院二集合シテ学校ヲ包囲シ教員、吏員ヲ拉致、 シト主張セシモ警察官ノ諭示ニヨリ落着ス。 欧打シ、一般民又、警鐘ヲ乱打集合シテー般民対 6月15日宇智郡五条町防火宣伝劇中、演者力 部落民ノ騒擾トナレリ。7名ヲ騒擾罪トシテ検挙 不用意二「火元ハエタ乞食ノカロク排斥セラルヘ シ有罪ノ決定アリ。 シ」|、口演シタルヲ聴衆中ノ部(蕗)民力憤慨シ 5月17日磯城郡大福小学校、家事科教授二当 座長ノ陳謝ニ依り解決。 7月9日高田町二葉湯、一部部(落)民二対 り部落民生徒ノ造りダル鮨ノ試食ヲナササリシニ シ入浴ヲ謝絶シタルヨリ部(藩)民大会ヲ開催シ 原因シテ紛擾ヲ惹起ス 児童力号令二服セサリシ部落民一児童ノ教場二入 テ紛争シ、結局新聞紙二謝罪広告ヲナスコト、三 日間休業スルコトトセシメテ解決セリ。 ルヲ拒ミタリトテ父某ハ学校二至り生徒ヲ欧打ス 7月9日宇智郡五条町、東亜製鋼会社、職工 6月26日磯城郡大福尋常小学校、運動会ノ際 力不用意ノ間二「エタ」ノ用語ヲ使用シタルヲ部 部落民少女力果実ノ皮ヲ後方二投棄シタルニ偶々 (蕗)民女工力側聞シタルニ基因シ、部(蕗)民 5月25日南葛城郡戸毛尋常小学校、組長ダル ハ会社二談シタルモ拒絶セラレ其ノ儲トナル。 見物中ノ婦人二当リタル為「穂多ハコレデ困ル」 ト云ヒシニ傍二在りシ部落民力聴取シ紛擾ヲ惹起 7月15日丹波市駅、駅夫ノ同僚二対シーに 夕」ト発言シタルヲ部(蕗)民ガ聞知シ駅長二談 セリ 5月27日宇智郡五条町、東亜製鋼会社、職工 力雑談中、部落女工二対シ「職多美人」ト語リタ シ紛擾中、仲裁者アリテ解決。 ルニ原因シ同夜部落民十数名、会社二抑寄セ厳談 7月16日北葛城郡土庫村、一青年力部落児童 二対シ穂多ト称シタルニ基因シ部落民ハ寺院二集 ス。 合シ交渉委員ヲ挙ケ<各種ノ条件ヲ提出、紛擾 中。結局発言者ヨリ新聞紙二謝罪広告ヲ為シテ事 5月27H北葛城郡陵西村大字市場、部(蕗) 民力集合雑談ノ際、隅々小学校訓導某ノ母「穂多」 件落着。 ノ失言ヲナシタノレヲ寄貨トシ紛擾ヲ醸シ、校長、 7月19日桜井町劇場、観劇中ノ婦女力部落民 村長ノ仲裁ニ依り謝罪書ヲ呈出セシム。 二「エタ」ト称シタルタメ紛擾シ、仲裁者アリテ 5月下旬都村八尾、小学校児重力「エタ」卜 落着シタルモ更二紛糾スル模様ナリ。 -129- t DPq ! 9ノ]2[|磯城郡川束村為川小学校、同地部 取スノレカ如キバ不隠当ナリトテ之力返還ヲ迫り、 (藩)氏松本延三郎ハ糾弾/月的ヲ以テ自己/次 部(蕗)民対普通氏ノ紛争卜化シ、各所二集合シ 男ヲ伴上、lil小学校二乱入シ、授業中/児童(当 梶棒等ヲ携へ、互二対立シテ不穏ノ状ヲ呈シタリ ノL才)二欧打蕊1丁フノ)'1へ駆付ケテ之ヲ制止セル女 シカ結局、将来、‐一般氏二警告ヲ発スノレヲ条件ト 教師二対シ威過シタルヲ以テ事件ヲ検挙セリ。公 シ謝罪状ノ返還ヲ為スコトトシテ解決セリ。 9月15日飯南郡松坂'11J新町、IillllJ居住長井尚 務執行妨害、家宅侵人暴1i罪二依り検事二送致セ 三妻トラカ、隣人卜雑談中、或部落ヲ械多卜称シ リ。 タルヲ聞知シ部(蕗)氏約30名、同夜トラ宅ヲ襲 (三重県) 5月13日松阪lHJ日野町、同町八雲神社神職力 上、就床中ノ本人ヲ起床セシメ、7,8名家宅二 部落/児童二「エタ」卜称シタノレニ原因シ|司夜部 侵入強迫ノ上事実ヲ糾弾シテ夫尚三ヨリ謝罪状ヲ 落民約30名同人方ヲ襲上同人ハ親族方二通報シ仲 徴収セリ。警察署二於テ事実ノ所謂ヲ為シタルカ 裁者ヲ以テ謝罪者ヲ提出シテ落着セルカ、其ノ 検挙セシヤ不明。 (其ノ他ノ庁府県) 際、同人二飲食費ヲ強請シタノレ事実アリ、捜査中 9月25日堺市開口神社境内、相撲競技中、或 ナリ。 5月14日飯南郡射和村、某力部落民二「穂 者ト部(落)民卜口論シ、偶々「エタ」ノ言ヲ発 多」ト称シタルヲ本部二通知シ糾;iiiセムトセシモ シタルヲ以テ居合セタノレ部(蕗)民、20余名ハ、相 旅費ノ関係上実行スルニ至ラス。 手方二暴行ヲ力Ⅱヘントシ不穏ノ状アリシニヨリ所 5月27日松阪町極楽町、部(落)民二対シ 「エタ」ト称シタル者ヨリ謝罪状ヲ取ル。 轄署二保護セルカ、水平社員数十名ハ警察署二追 進シテ糾弾ヲナサントセルヲ以テ新聞紙上二謝罪 8月22日松阪町日野町2丁目道路、書冊呼売 広告ヲ為サシムノレコトトシテ落着ス。 人力前口上中「昔ノ械多、今日ノ新平民モ勉強ス 10月7日名古屋市西区桜木町、武山メリヤス レバ大臣ニモナルコトカ出来ノレ」云々ト説明スル エ場女工力部(藩)民女工二対シ「エタ」ナリト ヤ聴衆ノ部落民'、之ヲ水平社二急報シ、社員ハ現 称シタルヲ聞知シ小西吉之助(愛知県水平連動幹 場二至り糾弾ヲ試ミ本人力謝罪スルニ不拘、口々 部)ハ職工監督二謝罪セシメテ解決シタリ、然ル 二怒号シ暴行二出ツルノ状アリシヲ以テ関係者ヲ ー其ノ後事業縮少二際シエ女子解雇セルニ当り手 警察署二召換シ説諭シタルカ行為者ハ本部二至り 当ヲ支給セサリシ為、前ノ謝罪事件ト結上付ケ交 謝罪シテ落着セル模様ナリ。 渉、若干ヲ得テ落着ス。 (日時)不明、一志郡七栗村、1.山□□吉ナル者、 10月11日京都市公会堂、野依秀市力真宗宣伝 部(落)民二対シ「エタ」ト称シタリトテ部(蕗) 会ノ席上「エタ」ノ言ヲ引用シタルヲ以テ水平社 民4名ニテ之ヲ傷害セノレヲ以テ事件ヲ検挙セリ。 員二於テ詰責シ大阪朝日二謝罪広告ヲ為サシメテ 7月30日加害者4名罰金各十円二処セラル。 落着。 1.三重県水平社幹部北村圧太郎外数名ハ所轄箸力 10月22日京都市上京区下長者町、某力部落民 斯ル事件ヲ送致シタルハ苛酷ナリトテ署長ヲ訪問 1,口論シ「エタ」ト称シタルヲ以テ水平社員十名 シテ警察ノ処置ヲ批評セムトセルヲ以テ之ヲ説諭 某を訪問糾弾シ謝罪状ヲ渡シテ落着ス。 引取ラシメタリ。1.右事件審地二際シ判事力被告 10月31日名古屋場所不明、漁者某力漁類ヲ窃 二対シ「エタ」ノ言ヲ使用シタルヲ憤り該判事ヲ 訪問、事実ヲ質シタルニ裁判上必要アツテ使用セ 取セル部(蕗)民二「此ノエタ」ト怒号シタルヲ ル旨ノ答弁ヲ受ケ不得要領裡二引取りクリ。 8月24日多気郡上師京村佐田、同地自転車商 力児童ノ悪戯ヲ制スル為「エタ」ノ語ヲ用ヒタル 某ヲ詰責シ、新聞紙二謝罪広告ヲ為サシメテ落着 ヲ,憤り、部(落)民力之ヲ糾弾シ本部ヨリ水平社 水平社幹部小西吉之助が聞知シ部(蕗)民ト共二 ス。水平社幹部小西吉之助ハ糾弾問題等二介在シ 強迫的行為二出ツルノ虞アルヲ以テ懇諭ヲ与へク リ。 員出張シ、結局、謝罪状ヲ徴取セリ、然ノレニ之ヲ 聞知セル普通民ハ同村二居住シナカラ謝罪状ヲ徴 11月10日京都市上京区加茂神社境内、下京区 尚徳尋常小学校生徒力教師二引卒セラレ遊戯中、 -130- 「初期水平社運動資料の-断lllしり 部落児童二対シ「エタJ卜称シタルヲiiil1iM<平社 兇セテヤルノテス。 員寺田漬四郎力児童ヲ帯|司シテ'、検校二iriリ交渉シ 若キイイli達/兄弟ヨ 受侍教員ノ謝罪状ヲ徴収シテ蕗椅入’ 私達モコレカラ、一致団結シテ兄サン達トノキニ水 11月10日名古屋市西区平野11J、愛知県水Wt発 平線上/人トナローデハアリマセンカ 会式散会ノ際、同地郵政局長か特殊部落氏亟々」 イ「宣言ス 大正11年7月3日 ヲ口外シタノレヲ聞知シ、団員数|・名集間シ|司人ヲ ’'1和少年水平社 襲上謝罪状ヲ徴収ス。 11月11日京都市上京区椹木lllJ新町束人、朝日 水平社とは何か 湯浴場主力部落民タノレ靴職2名二部(藩)民ト知 栗須七郎 り入浴ヲ拒絶セル紛擾中、水平社同人寺田清四郎 (一) が介入シ新聞紙二謝罪広告ヲ為サシメテ落着。 11月31日京都郵便局、桜田規矩三、同郵便局 水平社とは、日本全国に散らばっている、3百万 力部(落)民タノレ事務員ノ身元調査二I特殊部落」 の虐げられた同族の団体であります。 卜記載シアルヤニ付、之力閲覧カヲ求メ拒絶セラ 今年(大正11年)3月3日、全国水平社創立大会 レ、事実二関スノレ部分抜キ書ノ作成ヲ求メ之ヲ受 が京都に開かれて、それから間もなく全国の各地 ケテ立去リタルカ、三重県二於ケノレ水平社大会二 方に於て至る処に水平社が組織され、最近には大 提出スル模様ナリ。 阪に於ても、西浜を中心として大阪水平社が組織 註)本項も「表」を文章化した。 されました。 然らば水平社の目的は何かと云ふに、此の虐たげ 宣伝文書、宣伝歌詞調 肺し賎しまれた我々同族が、多数団結の力に依っ 中和少年水平社ノ宣言 て自由の民、平等の人にならうと云ふのでありま 若キ俺達ノ兄弟ヨ団結セヨ す。 (二) 私達ハ幸福デアリマセウカ、私達ハ只今是等ノ事 ヲ識リタイノテアリマス、オソラク、諸君力否卜 従来、我々の同族に対して、或は改善と云ひ、或 叫ハレルダロート恩ヒマス。 は救済と云ひ、種々な方法が企てられ、種々な運 私達ハ何故二学校二通ウノデシヨウ、勉強シテ、 動が起されたが、それらは皆上から下に対する 5lb‐Iけ■qLr000dq●0△9■口‐■・○ニロ■■D06L9D00‐9●■■F■■B■ロ枡4。●OV8p■。。■マ▲■□△■F0口□■■五■0■■■■■■■■。●二■IU0■■■▼G8□■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■T■■Ⅱロ■■■Ⅱ■|■I■UDF▲■■■■■■■■▽●■マヮ凸や人■■。■■■■勺Ⅱ●●▲|■■Ⅱ■7-▼●B■■Ⅱ0■1:00..01’0..0-4 エライ人ニナルタメニ通フノデセウカ、ソレトモ 『憐れみ」であり『同情』であって真に我々を尊 アレハ、エタダ、新平民ダト言ハレタサニ通フノ 敬するのでもなく、真に我々を対等に扱ふのでも デアリマセウカ。 ない。現に我々の名称を色々に変更したが、新平 誰モ皆エライ人ニナリタイカ為二学校二通フノデ 民というても、特殊民と云ふても、実質が変らぬ セウ、ソシテ又公平テアルヘキ先生モ私達力校門 以上、軽蔑の心情は同じ事である。 ニハイツタガ最後色眼鏡ヲ以テ私達ヲ見ラレルノ そこで我々は最早や上の者にたよることを一切や デス。 めた。そして白等の事は総て目分等でやると決心 私達ハ何故二人間力人間ヲ差別スルコンナ間連ツ した。我々は自分の名称など変えて賞ふに及ばぬ。 タ世二生レタノデシヨウ。 我々はエタで沢山だ。今に此エタといふ名称が光 若キ俺達ノ兄弟ヨ りを放つような世の中を作りだして見せる。我々 コレカラハ決シテ落胆シテハナリマセン、私達ノ の祖先の歴史は、数百千年に亘る血と涙の生活で 兄サン等力水平社ヲ設ケテ、コノ間違ツタ世ノ中 あった。 ヲ立派ナル世ノ中ニシヨウト努力シテ届ラレマス 此の事実は只だ我々のみの体験であって、此の体 私達モ水平運動二加盟シヨウデハアリマセンカ、 私達ノ身体ハノハサイケレト、コノ小サイ身体ニハ 験のない者には、我が水平運動に指一本も触れる ことを許さない。 兄サン達ト同シ赤イ赤イ血ガ流レテ居ルノテス、 (三) ソシテ私達ヲ差別スルモノニ対シテ之ノ赤イ血ヲ 我々の祖先を虐たげた徳川の時代は武力の世の中 -131- 水平社宣伝歌 であった。そして今尚ほ我々を苦しめている現在 J1)|(|:公'。〔、金ノノi/)|IMI|」である。此ノノの'1tのIIJは ()水、|と歌(三重県松坂IIJ水平社三重県本部) 既に亡びた(」かてくi油vl)11tの中が亡びるのに何 (ユリ水I上社の歌(乙重県水平社伊賀本部) 、イ<思議かある。 (ミリノML社宣伝歌(大阪府在住木本lli胤ノ作成セ ルモノ) ノナや戎ljjの社会には、急!'砿直下の勢ひで革新の風 卿水Alz歌(人,|と11年9ノj7H禁止、二重県水平 が起I)かけてv、る゜これまで賎しめられていた労 社本部発行.-以上・略一① 働者伽1丁姓も、皆団結して金権と対抗し、貧乏人 囮 の世の中、労働者の天下を作らうとして努力して 的ケ浜惨劇 いる。同じ貧乏人、同じ労働者の仲間でも、我々 叫べよ奪へよ日本の 同族は昔から永いあいだ特別に虐たげられてきた 三百万の兄弟よ ものだ。此の新らしい革命の運動、此の差別撤廃 の連動、此の新社会建設の連動に対して、我々が どうして黙って居られるか。そこで我々の水平運 我等水平団結は 決して利害の為ならず 其の目的は潔く 其のなすところに信義あり 動が起った。 手を携へて諸共に 水平運動は我々同族を解放して自由の民、平等の 人とするばかりでなく、亦た実に総ての貧乏人、 水平線上に浮み得る 総ての労働者を解放して、貴賎もない、貧富もな よき日のあるぞ頼もしき い、自由平等の新社会を作り出さうとするもので 如何なる神の裁判にも ある。此の新らしい大連動の先鋒に立って、人一 倍の伽らきをするのは、即ち我々300万のエタ族 正義に向ふ刃なし 秋は未れり兄弟よ 起てよ奮へよ団結の の使命である。 偉力に向ふ輩なし (四) 目覚めて問けよ鐘の音は 水平運動は前に云ふ通り我々自身の連動である。 官吏や政治家や貴族や富豪や、乃至は学者、識 者、先覚者などと呼ばれる人達は、一切相手にせ ぬ、我々は只だ我々自身の力を信じて、多数団結 何の響きを伝ふらん 九州別府に程近き 的ケ浜にと居住する 我同族の人々を の連動をやるのである。 然し社会の全体を見わたすと、労働者は労働者自 身の運動をやっている。百姓は百姓自身の運動を 稔多や非人と蔑みて 無智横暴な官憲は やっている。つまり貧乏人は貧乏人自身の連動を 非人道にも兄弟の やっている。して見ると、我々の水平連動は矢張 家屋や金子を焼き払い りそれらの運動と同じ性質のものである事が分 まだ其の上兄弟を る。我々が我々自身を解放して自由平等の人民に 遠く野外に迫ひ散らし なるには、どうしても一般の貧乏人と一緒に、社 不法を敢えて顧みず 凱歌を奏し去りしとは 会の全体を作り直すより外はない。 それを云ひかへると、我々が水平の新社会を作る 嘘のようなる事実なり には、どうしても一般の百姓、一般の労働者と提 晴々………大正も十一の 携して、金力の支配を排斥せねばならぬといふ事 弥生過ぎたる夕嵐の になる。只だ、我々としては、数百千年来皿と涙 との間に最も甚だしい屈辱の生活を送った我々と しては、此の際、是非とも、革新運動の急先鋒と して総てが命がけで働かねばならぬ。それが我々 の最大の覚悟である。 悪魔の炎は物凄く 揺がぬ天を焦しけり 鳴呼団結だ団結だ 突如とわきし此惨事 正し弱者の悲しさに -132- ト.! 『初jUj水平社運動資料の一断面』 慨なく泣く泣くも (2) 老いや子供を救助する ダイナマイトを手に取りて 一撲波欄暴動起し いとまなければやうやうに 我身一つを遁れ得て いでや死?左は決せんや 其の夜は徹夜寝もやらず (3) 運命を嘆き明しける ○○城に黒旗立て 闇を走りて吹く風は いでや祝はんレボリューション 恐WiTに充ちし人々の (4) 我は許さす人道の 自由を無視する惨虐に 単身痛く襲ひけD ねりつこもる腕の力 臆九州の一隅に 我等は呼ばん解放を 赤き血潮を胸に秘め (5) 住むに家なく朝に夕 我等は何時迄屈せんや 千有余年の暴虐に 世左は呪ひつある人よ 六千部落の血はほとばしり 泣けよ恨めよ同族等 弦に立ちたる三百万 起てよ叫へよ兄弟等 (6) 双手を挙げて団結の 我等は自由を要求す 我等は権利を要求す 力を示す秋は今 死もsは投して戦の 力を示す秋はいま よき日の社会を想像し 三重県水平社本部松坂町日野町二丁目同人 (7) 伊藤天声 我等は叫ばん人道の 団結してケイキ?揚げ (題不明) (一行不明) 本歌詞ハ襲二発売頒布禁止処分トナリタルテロリ ストノ歌ヲ改作セシモノニシテ水平社幹部ノ者ハ 一般部民ニロ伝シツツアル形跡アリ 勝利の前の民衆の 歓呼の声は野に山に 飢と寒さに人の世の ㈹ 暴には暴(持って?)酬ひよと いでや叫ばん解放を (一)~(四)は『集成』第一巻220~2221 註①(一)~(四)は『集成』第一巻220~222Pに所収さ (1)我等は何時迄屈せんや れている。ただし、作詩者、発行者に若干の差異 がある。参照されたい。 千有余年の暴虐に 六千部落の血はほとばしり 並に立ちたるテロリスト -133-