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堺市防犯カメラガイドライン策定検討懇話会第 1 回議事録 堺市市民生活

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堺市防犯カメラガイドライン策定検討懇話会第 1 回議事録 堺市市民生活
堺市防犯カメラガイドライン策定検討懇話会第 1 回議事録
とき:平成 23 年 8 月 1 日午後 6 時~
場所:堺市役所本館
3階
第 2 会議室
○堺市市民生活部長あいさつ
委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず、御出席頂き、誠にありがとうござい
ます。
今回、議論をして頂く防犯カメラについては、現在、安全な市民生活を送る上で欠かせないも
のとなっております。また、当市においても、地域の皆様と協働でまちづくりを進める中で、地
域の皆様が設置する防犯カメラの設置費用の一部を補助する事業を行っております。
こうした中、安全・安心のために設置した防犯カメラが、逆に市民の不安の種となることは、
本末転倒であり、絶対にあってはならないことだと思います。
今回、
有識者の皆様方には、防犯カメラの取り扱いはどうあるべきか、
という議論をして頂き、
最終的にはガイドラインとして市民の皆様にお示ししたいと考えております。
皆様大変お忙しい中、貴重な時間をいただくわけですから、いいものを作りたいと考えており
ます。どうかよろしくお願いいたします。
○懇話会設置の目的
堺市市民協働課参事
堺市ではこれまで、安全・安心なまちづくりを目的に、防犯灯設置補助や青色防犯パトロール
車によるパトロール活動補助など、市民による「地域での自主防犯活動」を支援してきた。
平成21年度からは「自主防犯活動の補助制度」として、自治会に対する街頭防犯カメラ設置
補助事業を実施しており、すでに、昨年度までに堺市内に97台分の防犯カメラ設置補助を行っ
ている。
防犯カメラは、現在、繁華街、駅構内、コンビニエンスストアなど多くの公共空間に設置され
ており、最近では、防犯カメラの画像が
・
凶悪事件解決の決め手となった
・
繁華街地区では、防犯カメラ設置後に犯罪認知件数が減尐した
といったことが、マスコミ報道等を通じて広く社会で認知され、積極的な評価がほとんどを占め
ている。
一方、市民の方が知らないままに、防犯カメラによって撮影されるという問題があり、今回、
当市では、防犯カメラの設置・運用に関し、プライバシー保護に配意した、明確なルールとして
防犯カメラの設置・運用にかかるガイドラインを策定することとした。
堺市では、最終的に策定されたガイドラインが、広く、堺市内の防犯カメラ設置者の方々に周
知、遵守されることが、将来にわたり、より一層、安全・安心なまちづくりが推進されるものと
考える。
今回、堺市では、このガイドライン策定に当たって、防犯カメラの現状や市民の動向等を踏ま
えて、今回ご出席頂いた、各分野での有識者からご意見を賜りたく、懇話会を設置させて頂くこ
ととした。
懇話会は概ね、今回を含めて、4回の開催を予定しており、検討の結果をガイドライン(案)
として作成し、更に、パブリックコメントを通じて、広く市民の意見を反映させたい。
○
座長の選出
堺市防犯カメラガイドライン策定検討懇話会要綱第 3 条の規定に基づき、座長を互選により
選出。
続いて、座長により副座長を指名
(摂南大学中沼准教授が座長に、大阪府防犯設備士協会平野理事長が副座長に決定)
中沼座長あいさつ
摂南大学がある北河内、寝屋川市や交野市がある地域で、自治会に入り込んで防犯パトロール
や最近では夏祭りの準備をするなど、地域活動をしながら防犯について考えている。
警察庁が補助金を付けてカメラを 25 台つけるという事業があり、本学がある寝屋川市のある
中学校区に設置をしたことがある。
1中学校区に 25 台もカメラを設置するということで、当然、様々な問題が持ち上がってきた
が、これを横目に見ながら、場合によっては調整しながら、関わった経験がある。
防犯カメラに関する経験を踏まえてやらせていただく。
ご協力をお願いしたい。
平野副座長あいさつ
副座長に就任し、重責だと感じている。
私たち大阪府防犯設備士協会は、大阪府警察生活安全部、大阪府防犯協会連合会からご指導を
いただき、防犯診断、防犯講話などの活動を行う、防犯設備士という資格を持った者を擁する、
110 社が集まるボランティア集団。
座長である中沼先生がおっしゃった、寝屋川の事例でも防犯診断で入った経緯もある。
どちらかといえばハード面で力になれると考えている。
○
防犯カメラを取り巻く現在の状況等説明
発表1 堺市の防犯カメラの現状
事務局
1
地域安全事業の説明
2
街頭防犯カメラ設置補助事業の説明
3
堺市防犯カメラ設置補助基準の説明
4
堺市が所管する録画機能を有するカメラ設置状況の説明
5
防犯カメラに関するアンケート調査結果について説明
中沼座長
補助対象が校区自治連合会となっていて、龍野会長がお詳しいと思うが、地元の北区の方で、
カメラ設置に関して苦労した点、効果について
龍野委員
安全面を考えているが設置場所の選定が難しい。
人が多いところ、マーケットや繁華街につければ、校区外の人がかなり来るので、プライバシ
ーを守るという点で問題がひとつある。
運用の方法、責任をだれが持つのかという問題もある。
自治会というのは、何年に1回か責任者が代わる、特にプライバシーを守る立場の人が代わっ
てプライバシーを守れるのかという問題がある
カメラを付けたところの効果についてはデータを出してほしいと警察にも頼んでいるが、昨年
度つけたものはまだ数カ月しかたっていないこともあって、きちんとしたデータは取れていない。
犯罪が極端に減った地域がある、という話は聞かない。
ただ、一つの抑止力という面で効果は上がっているとは思う。
結局のところ、どう付けてどこにつけてだれが責任を負うのかが問題。
堺市の基準として、どれだけのことを守ればいいのかということをはっきりして欲しい。
中沼座長
どこにどうつける?という話の中で、市民の方々、自治会の方々が「えー、私が映るのか」と
いうような撮られることが嫌という声が大きいのか、それとも、町の治安を守るなら映ってもい
いよ、という感じなのか。
龍野委員
今現在設置されている中で、そういうような抵抗は無く付けていただいている。
それよりも、設置する場所でどこにつければ効果があるのかという問題。
せっかく地域の予算を使うのだからより効果のあるところにつけたいというところ。
中沼座長
プライバシーの問題について、だれが責任を持ってというところで、市からの支援としてガイ
ドラインも含めて、こういう風に進めていけば、専門的な観点からみても権利問題が起こらない
とか、といった支援が欲しいというような要望も自治会の方ではある?
龍野委員
ある
今は何もないところからのスタート。
よその見よう見まねでやるしかない、
どうしたもんかな、
という声がある。こういうガイドラインを作ることによってひとつの統一的な見解が出るという
のはいいこと。
中沼座長
自治会の方では、ガイドラインは縛りというより支援ということで理解しているということで
いいのか。
龍野委員
どこに保管するのか、経費の問題、警察に資料を出す場合誰の許可を得てどうするのか。
管理運用に関して、どんな運用をしていけば問題が起きないのかということを示すことによる
支援が必要。
小倉委員
カメラは費用がかかる、縛りがある、これを専門にする方がいればいいが、それぞれがいろい
ろな運営をしていく中で、防犯カメラだけを見ることはできない。
プライバシーについては、それほど不安はない。
管理についてもっといろいろ勉強しないと難しい。
美濃部委員
青尐年育成の立場から言えば、若者たちがたむろする場所につけたいが、校外だと広すぎて場
所が特定できない、室内であればカメラを設置できない。
商業施設内でのことになってくれば、その施設の管理者にも協力を仰がないといけない。
最終的には、若者がたむろしている場所があるとして、そこに設置するのか、その場所につけ
ることができるのか、会長が許可をするのか、という問題になってくる。
管理運用の面でも、誰が責任を持って、というのは難しい問題。
村田委員
先ほどの話で防犯カメラを不安に思うかというアンケートがあったが、今付いている防犯カメ
ラは、常時誰かが見ているのか、それとも何かがあったときに警察官などの要請で時間をさかの
ぼって確認をするのか。
事務局
市がこれまでに補助したものは、何かがあったときに、確認をするという使い方をしている。
1年に1回の保守点検の際などに責任者が暗証番号を入れてモニターを確認する程度で、
普段
はしていない。
村田委員
自治会で管理する場合には、モニタリングは行わないとすれば、自治会ではどういった負担が
あるのか。
龍野委員
責任者はだれか明確にしているので、もし何かあったら会長の責任になってくる。
何かあったらどうするか、その心配が先に立ってくる。
具体的に何の負担があるか、と言われれば、これといったものはなく、責任感が大きな負担。
中沼座長
自治会がつけているカメラに限って言えば、子供の登下校に限ってもモニタリングはしない、
という立場が大勢をしめる。
画面を見ながら人を見ているという嫌悪感があり、それなら外に出て行って見守りをしようよ
ということになる。自治会に関してはモニタリングしない方がいい。
先ほど出た負担、
責任というところでいえば、
私が映っているはずだから見せて、
といわれる。
その時に、会長さんが責任者なんだから、会長の権限で見せていいのかいけないのか、そうい
った負担が大きい。
誰がこんなところにカメラなんかつけたんだ、というそもそも論の苦情があった場合、どう答
えていいのか、が自治会長ではわかりにくいかも知れない。
管理運用に関して難儀するということだが、事務局に聞きたいのは、ガイドラインは縛りとい
う印象があるが、今回制定するガイドラインの主旨は、自治会の声を受けてこれをクリアしてい
れば、管理運用に関して安心ですよという支援型のものを考えているのか、縛りをかけていくも
のなのか。
事務局
防犯カメラを設置する上で、一定の基準をクリアしていただければ、プライバシーに関する市
民の不安感を払しょくすることができますよ、という形を示したい。
ガイドラインを踏まえてカメラを設置するという形が理想で、
そういう意味ではガイドライン
も防犯カメラの設置を支援するもの。
設置の補助も支援であり、ガイドラインの制定も市民を支援するためのもの。
中沼座長
市有の防犯カメラの話もあったが、現在、どういったところが設置候補となっているのか。
市有カメラに関して、庁内で縛りをかけるような要綱等はあるのか。
事務局
公共施設につけるカメラについては、府が指定する駅の周辺や警察からの要望を受けた場所に
設置を行う予定。
市として、カメラについての要綱や管理規定といった統一された要綱などはない状態、この懇
話会の意見を反映させて、統一の基準をつくる。
中沼座長
民間のカメラに対するガイドラインを作ると同時に、市が持っているカメラについても市民向
けのものよりも尐しハードルが高めの要綱等を作っていくということでよいのか。
事務局
それで良い。
中沼座長
補助基準があるが、今回制定するガイドラインはこれに合わせる必要があるのか。
補助基準は通ってました、ガイドラインは通りません、では問題があると思うがそのあたりは
どうか。
事務局
この懇話会を受けて、補助基準を見直すことも当然考えている。
龍野委員
合わせる必要がある。当然一緒のものでなければならない。
2 本立てになることによって地域の中で混乱をきたす。
中沼座長
尐し整理をすると、
管理運用に関して地元が困難を覚えているので、
これを解消するために支援する意味でガイド
ラインを制定するという趣旨であるということ。
市有の防犯カメラについては、当懇話会を受けて尐し厳しめに要綱等を制定する。
補助基準に平仄(ひょうそく)を合わすことが必要
発表2 防犯カメラの基礎知識
平野副座長
防犯カメラの基礎知識ということでお話させていただく
順を追って話させていただくと、プライバシーが最初に問題になったのは、大阪市西成区の釜
が崎のカメラ。プライバシーの侵害ということで裁判になり、15 台のうち 1 台を撤去するとい
う判決が平成 6 年 4 月に出た。
平成 13 年、東京の新宿歌舞伎町に 50 台のカメラを設置。風俗関係の店などが多く、犯罪発
生が多いとの地元の要望により、警視庁で計画し、設置をした。画像が簡単に見られてはいけな
い、ということで、このカメラの記録装置がある部屋のセキュリティを相当強化して画像流出に
は配慮した運用がなされた。
防犯カメラと監視カメラという2つの呼び方があるが、天下の往来を歩く人がなぜ監視されな
ければいけないのか、という議論がある。
私の持論だが、視る対象が設備等の場合、監視カメラ、視る対象が人の場合、防犯カメラ。
視る対象が人の場合には監視カメラという呼び方はやめた方がいい。あくまで防犯カメラと呼ぶ
べきと考えている。
防犯カメラシステムの録画装置内の記録媒体は、ビデオテープからデジタルレコーダー
(HDD)へ転換。ビデオテープの時代には、何度も上書きしていくうちに磁気がなくなってし
まって、人の顔が認識できないというケースがよくあったが、現在ではそういったことはほぼな
くなった。
ビデオテープの時代には、カメラを何台かつなげば、カメラと録画装置の他に別の機器がいろ
いろ必要であったが、デジタルレコーダーになって、カメラと録画装置だけのシンプルな形にな
り、メンテナンスなども非常に楽になった。
最近は、モニターテレビをあえてつけないケースが増えている。録画装置を施錠した保管庫に
入れ、さらにその部屋に施錠、有事の際は管理規定に従って、管理人が警察の立会によるなどし
て画像を確認する。
他に、記録させたい順番に自動的に多方向にカメラを向けて録画する PTZ タイプのカメラや、
屋外に設置することを前提にした屋外型のカメラ、どっちを向いているのかわからないドーム型
のカメラ、エレベーター内によく設置されている小型のカメラ、真っ暗な中でも撮影できるもの、
いたずら防止用でハンマーでたたいても壊れない、衝撃に強いものもある。
グリコ森永事件で犯人のキツネ目の男が映ったコンビニの防犯カメラが、逆光で顔がわからな
かったという話を聞いたことがあるが、今ではマンションのオートロック側を向くカメラなどに
よく使われる逆光に強いカメラもある。
カメラと明るさには切っても切れない関係がある。
まちづくりの基準に水平面の平均照度が3ルックスというものがあるが、これは 4 メートル
離れたところから見た時、その人の挙動、姿勢等が分かる程度の明るさ。
現在、防犯灯の設置基準はこのあたりを参考にして設置されていることが多く、この明るさに
カメラを対応させる必要がある。
最近は、メガピクセルカメラの出現で、100 万画素以上の非常にきめ細かい画像を記録するこ
ともできるようになってきた。撮影した画像をズームして細かい部分まで見ることができる、今
後は主流になってくると思われる。
カメラもレコーダーもいろいろなものが出回っている。品質の悪い製品も出回っており、苦情
も多い。そこで認定制度が必要と考え、日本防犯設備協会において、優良防犯機器「RBSS」の
認定制度を行っている。
カメラシステムは、尐なくとも 1 年に 1 回、できれば半年に 1 回くらいのメンテナンスが必
要、また HDD は 3 年、若しくは 3 万時間で交換する必要がある。
龍野委員
メンテの経費はいくらくらい。
平野副座長
カメラが何台付いているか、デジタルレコーダー、配線まで確認する必要がある。ケースバイ
ケース。今後、設置した業者が、カメラが存在している限り、メンテナンスを見たらどうか、と
考えている。
原戸委員
記録された画像の管理の問題だが、施錠された部屋に保管するという話があったが、デジタル
レコーダー自体にパスワードで保護するとか、そういったことはできるのか。SD カード式のも
ので、SD カードがたとえば盗まれた時には画像を守ることはできるのか。
平野副座長
デジタルレコーダーは通常パスワードを入れないと画像は見れないようになっている。SDカ
ードのものもブロックすることは可能。
荻原委員
技術が日進月歩で次から次へと機種が出てきていることはよくわかった。現在もっともポピュ
ラーなものはどれか。
平野副座長
撮像素子は 38 万画素以上で、撮影方向固定型が最も多いと思います。
荻原委員
レコーダーを置いてある場所は。
平野副座長
いろいろなケースがある。
商店街であれば商店街の事務所。
マンションであれば管理事務所。
中沼座長
自治会が運営するものは、公民館、自治会館、一番多いのは学校の校長室など。
小倉委員
学校についているカメラは学校に HDD を設置すればいいが、自治会のカメラは会長が代わる
ので場所選定が難しい。
前の人が詳しいけど、今度の人はさっぱりわからないではせっかくついたカメラが停滞してし
まう。
自治会の負担が大きく、新しいものが出てきてもすぐに飛びついていけない現状がある。
メンテ代もかかる、維持管理費を市で負担してほしい。
事務局
何かを始める時、初期投資が高いのでこれを助成している。防犯カメラについても 9 割の補
助ということで、他の自治体さんに比べてもかなり高い補助率、ただ、メンテナンスについても
考えていかなければいけない
HDD 交換時期への助成も考える
平野副座長
カメラの下の支柱に頑丈なボックスを設けて、録画装置を収納するという形もある。当然簡単
には開かない鍵を付けている。
温度上昇の問題もあるが何度か夏を超えた実績もある。
中沼座長
ガイドラインをカメラや法律の素人でも対応できるようにするために、ガイドライン本文も対
応しやすい手続きにすることと、併せて、具体的に事例を入れてわかりやすい普及用の冊子など
を作成し、カメラ設置を支援する形にする必要がある。
質問だが、通信式のカメラで、コストを下げようとすればインターネット回線を使用すること
もあると思う。撮影録画一体型のもので、無線でパソコンに画像を飛ばす方式などもあるのか、
通信環境はどうなっているか。
平野副座長
脚立に登り SD カードを取り出す必要があったものが、現在では、録画した画像を、下に通信
線を下してきて確認することができるものもある。
寝屋川第三中学校区のものなどは、LAN 回線を引っ張ってネットワークを形成しているシス
テムである。
多数台のカメラを一般のインターネット回線を繋いで設置した例は把握していないが、技術的
には可能だと思うし、今後出てくる可能性は十分にある。
カメラと HDD だけではなく、機器間を接続する通信配線のセキュリティも考える必要性があ
る。
最近のマンションでは、あらかじめ LAN ケーブルが引かれているケースもあるが、ネットワ
ークカメラについては、新たに LAN ケーブルを引くことを勧めている。
発表3 防犯カメラに対する自治体・国の動向や住民の期待
中沼座長
防犯カメラに関する自治体の対応と設置をめぐる最近の動向について、特に街頭系の防犯カメ
ラの現状についてお話しする。
ガイドラインについては、H16 年、静岡県ではじめて制定された。最近では昨年大阪市が制
定。
ガイドラインが制定された背景は2つ。
1つは H15 年、個人情報保護法が制定され、これを受けた経済産業省のガイドラインで、個
人が識別できる防犯カメラ画像は個人情報に当たる、とされたことを受け、以降、プライバシー
保護の動きが始まった。
もう1つは、見逃されがちだが、H14 年に大阪府安全なまちづくり条例が制定され、犯罪を
減らすことによって、住みよいまちづくりをすすめようということで、市民や事業者の責務が定
められた。このようないわゆる理念条例が、特に H16、17 年に県レベルで制定が進み、これを
受けたもの。
H17 年に新潟県で制定された「犯罪のない安全で安心なまちづくり条例」では、防犯カメラ
の設置者に関して、人権配慮をしなければならない、という義務と、知事、公安委員会で共同で
指針を策定しなければならない、と定められた。
このように個人情報保護と安全なまちづくりがシンクロしている、こういった流れができてき
た。
堺では、堺市安全・安心・快適なまちづくり条例が制定、カメラ関連の規定はないが、第 5
条で、
「市は、市民や事業者が行う安全・安心・快適なまちづくりに関する活動の積極的な支援
を行う」
とうたっており、
この文脈を受けて、
ガイドラインを策定するという流れになると思う。
こういった個人情報保護と安全なまちづくりとの流れを受け、自治体が防犯カメラに対応する
パターンには 3 パターンがある。
1つ目は、ガイドラインよりも規制的な側面の強い、民間の防犯カメラを対象に規制条例を制
定するパターン。
H16 年、初めて東京都の杉並区で制定され、以後、大きいところで千葉県市川市、最近では
東京世田谷区などが条例を制定した。
内容としては、街頭に置かれる防犯カメラに関して設置利用基準の届出をしてください、とい
うもの。事業者は全て届けなければいけない、管理責任者を定めなければならない、という法的
な義務を課している。違反があれば是正措置勧告を行う明確な法令違反ということになる。最終
的には、設置者を公表するという制裁をすることで実効性を担保している。
現在、政令市や政令市を置いている都道府県も規制条例を設けていないが、これは、すべての
カメラ設置者に届出をさせ、それを取締まるという労力の問題もあり、実際にはちょっと難しい
という背景による。
2 つ目のパターンは、民間カメラに対してガイドラインを策定する、という、今回の堺市のよ
うなパターン。
設置の目的には2つあり、1つは「安全・安心な暮らしに対する防犯カメラの寄与を認めるこ
とを前提に、プライバシーの保護を図る」というもので、もうひとつは逆になるが「プライバシ
ーの保護を図りつつ、防犯カメラを適切に運用することで安全・安心な暮らしを実現する」ため
に制定するというもの。
結果は同じだが持って行き方が違う。前者は比較的早めに作られたガイドラインに多く、後者
は最近作られたものに多い。
ガイドラインには法的な拘束力は無い、場合によっては、不適切な設置、運用に対しては行政
指導が行われる可能性がある、と理解できるが、行政指導が行われたという話は聞いたことがな
い。
これまでに作られてきたガイドラインの内容については、今後の懇話会の審議内容にもなって
くるが、主に、カメラの設置に関するもの、管理責任者や管理規定、秘密保持などの定め、一番
大事なところで画像の扱いについて、望ましいあり方を規定している。
3 つ目の防犯カメラに関する自治体の対応は、公有のカメラに管理要綱、指針を制定するとい
う東京都や川崎市などのパターン。こちらは公表されていないものもあると思われ、全体的に把
握できていないのが現状。
このように、自治体の対応として、条例を作る、ガイドラインを作る、プラスアルファになる
が、公有カメラの要綱を作る、という3つの動向がある。
実際の防犯カメラ設置の最近の動向としては、行政、警察がモデル事業で住宅街に住民管理の
ネットワーク型の防犯カメラを設置する動きがある。具体的には、H21 年からの警察庁の施策
での「子ども見守りカメラ」モデル事業で、全国 15 か所の通学路にネットワークカメラを設置
した。大阪府では寝屋川、近くでは和歌山県岩出、徳島県徳島、兵庫県姫路市の飾磨で、小学校
区から中学校区の間くらいで、LAN ケーブルでつなぐカメラを設置。
もうひとつの動向として、タクシーや鉄道などの交通機関に防犯カメラを設置する動きがある。
たとえば、H21 年JR東日本埼京線の痴漢防止カメラ、これは車両内にカメラを設置して痴漢
被害を防止するもの。また、タクシー強盗が頻発した際に、タクシー車内を撮影するカメラの設
置も進んだ。
住宅街にカメラを付けるということと、交通機関にカメラを付けるということを意識してガイ
ドラインを考える必要がある。
子ども見守りカメラの効果と課題としては、
街頭犯罪が減尐したという報道は結構ある。半面、
検挙したという報道は尐ない。
寝屋川の子ども見守りカメラについて、比較検証を行った。
これは、警察と罪種の分け方など、比較の方法が違うが、同じ寝屋川市で、25 台のカメラを
設置した寝屋川第三中学校区と、別の対象面積や駅からの距離などが似通う中学校区を比較した。
結果、犯罪の減尐にははっきりとした効果が見られなかった。子どもの安全をターゲットに入
れながら、実際に効果が表れたのは侵入窃盗であった。
カメラを設置しなかった場合の反対検証ができないので、正確な効果というのは出すことがで
きない
この子ども見守りカメラの設置前と設置後でアンケート調査を実施したところ、カメラに関す
るアンケートに答えてもらったというバイアスがかかるということが前提となるが、抑止効果へ
の期待が強く、プライバシーへの懸念は弱い、という結果であった。カメラ設置後には、これら
の期待、懸念は弱くなる傾向にあった。これは、設置される前は、期待し、不安が広がるが、設
置されてしまえば関心が低くなる、ととらえることができる
全体的には、カメラの抑止効果への期待が大きく、プライバシー問題については、おおむね同
意できる、という結果ととらえることができる。
また、アンケートでは、中学生のいたずらや、ポイ捨てなどのマナー改善に対する期待の高さ
もうかがわれた。
かなりの方がカメラが設置されていること自体知らなかった、もっと周知してほしかった、と
いう回答も多く、看板でアピールするなどの必要性を訴える意見が多くあった。
先ほどからお話が出ているが、カメラ設置を継続していくには、維持管理費用に課題を残す。
気休めかもしれないが、昔パソコンを買ったときは、かなりの費用がかかった。でも今はメンテ
ナンス費用も無料になり、壊れなくなってきて、だいぶ本体以外の費用がかからなくなってきて
いる。
カメラも今後は、平野様がおっしゃったように、買ったときにある程度メンテナンス込みで設
置を行うなど、初期投資以外の経費というのは抑えられる傾向になっていくのではないかと思う。
ただ、安くなっても維持管理費用はどうするのかということと、特に耐用年数が本体で言うと
5 年ほど、もう尐し伸びたとしても 10 年以内には換えないといけない。設備更新の見通しが立
てにくい問題がある。
カメラ本体を付け換えるのかどうするのか、尐なくとも 10 年スパンで方向性を決めていかな
ければいけない。それであればガイドラインも仮に運用を停止する、さらに撤去する場合の段取
りも盛り込んでいく必要がある。
自治会では設置をどうするかという議論はできるが撤去についてはなかなか話し合いができ
ない、そういったあたりもこの懇話会の中で話をしていく必要があるかな、と考える。
最後に吉川課長に質問、商工会議所で商店街やスーパーマーケットから、カメラのガイドライ
ンや規程をどうすればいいか、などの問い合わせはあるか
吉川委員
こちらに聞いてくることはない。
大きな会社組織の店舗であれば、本社の方で規程を設けて管理していると思う。個人商店では
きっちりとしたものはないと思う。
中沼座長
事業主、とくに個人事業者がカメラを付けるときに基準がないということで困っているという
状況も踏まえてガイドラインを制定した方がいいか。
吉川委員
そう思う。
○
今後の審議要領について
中沼座長
審議要領の案を説明する。
審議日程については、事務局からあったように計 4 回。10 月末までをめどにあと 3 回実施す
る。
4 回の懇話会を経て市への答申案をまとめる。
市がガイドラインの案を決定、11 月いっぱいを目途にパブリックコメントを実施。
答申を出した懇話会として、パブコメ対応を迫られると思われるが、これについては、私と
平野さんと事務局の三役で案をまとめ、回覧によって委員に意見を求めたのち、決定し、市
に答申する。三役の判断で、必要により第 5 回懇話会を開催する。
基本的には、あと 3 回の懇話会でしっかり議論をして、パブコメにも対応できるようにす
る。
審議の内容は、第 2 回目に
ガイドライン制定の目的、対象とするカメラの定義、カメラ設置の場所と方法、表示、撮影範
囲と画像の定義、どこまでが個人情報にあたるのか、といったところ。
第 3 回目に
これが一番技術的であり、実際問題となってくるが、画像データの管理、保管・通信など、秘
密の保持と画像データの提供について。
第 4 回目に
管理責任者などの配置、管理規定の策定、運用停止・撤去の手続き、ガイドラインの普及策、
ガイドライン本文だけではなかなか難しいと思われるので、どういう風にすれば、ガイドライン
を守れるのか、具体案を示し、普及案を練っていきたい。
審議の方法として、明確な成果物をつくらなければいけないということで、尐し効率的に進め
たいと思う。
1
次回審議内容について、懇話会開催日までに、なるべく余裕を持ってガイドライン条項案を
三役でまとめ、各委員に事前に送付する、お手数だが、ある程度事前に目を通していただきた
い。
2
懇話会ではこの案をもとに審議をすすめたい、必要に応じて、修正して決定していく。
決定に至らない項目については、持ち帰り、三役で修正案を次回に示す。
3
次々回の審議会の冒頭において、事務局より、ア)原案 イ)決定案 ウ)各委員の意見を
併記した資料を提示し、前回議事を確認する。また、三役から修正案の提示がある場合には、
それを審議する。なお、第 4 回目は、あまり議論の分かれないものを選んだつもりなので、
議事や修正案の確認は、特段の審議の必要がない限り回覧を持って行う。
みなさんお忙しく、短い期間なので効率よく進めたい。準備は平野さんと事務局と私の方でし
っかり進めておく。
(審議方法の案に賛成の声、反対意見なく、審議方法を決定した)
次回開催を 8 月 22 日午後 5 時からと決定し、第 1 回堺市防犯カメラガイドライン策定検討懇
話会を終了した。
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