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小学校編 - エネルギー教育モデル校

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小学校編 - エネルギー教育モデル校
目 次
本展開例集の活用に当って ······························································· ················································ ······ 4
関連表··························································· ······························································· ··················· ······ 6
委員会・協力者一覧 ······························································· ·························································· ····· · 8
社 会
01
3・4学年 わたしたちのくらしとガス ······························································· ···················· 10
02
3・4学年 もやすごみの有効利用 ······························································· ······················ ···· 14
03
4学年 電気に「ありがとう」!······························································· ··························· ···· 20
04
5学年 工業製品にかかわるエネルギー ······························································· ················· ···· 24
05
5学年 スローフードで省エネしよう ······························································· ···················· ···· 34
06
5学年 国土と発電 ······························································· ·················································· 40
07
6学年 日本の戦後復興を支えたエネルギー ······························································· ·········· ···· 44
理 科
08
3学年 自然の力ってすごい! ······························································· ·································· 54
09
3学年 明かりをつけよう······························································· ····································· ···· 58
10
4学年 どうしたら電気の働きを大きくできるかな? ······························································· · 62
11
4学年 いろいろな電池を作ろう······························································· ··························· ···· 68
12
5学年 電流のパワー! ······························································· ············································ 72
13
5学年 電磁石のはたらきとおもちゃ作り ······························································· ············· ···· 80
14
6学年 私たちのくらしと空気 ······························································· ·································· 84
15
6学年 電気の利用∼電気の変身!! ······························································· ························· ···· 88
16
6学年 電気の利用 ······························································· ·················································· 94
17
6学年 電化製品調べ ······························································· ··········································· ···· 98
2
生 活
18
2学年 太陽や風と遊ぼう! ······························································· ··································· 108
家 庭
19
5学年 ゆでる調理をしよう ······························································· ··································· 114
20
5学年 かしこい消費者になろう······························································· ··························· ·· 124
21
6学年 これでいいの?冷暖房にたよる生活 ······························································· ·········· ·· 132
総合的な学習の時間<特別活動>
22
1・2学年 ほうしゃせんから体を守るために ······························································· ········· 138
23
3・4学年 身のまわりの放射線を出す物を測定器で測ってみよう ········································ ·· 142
24
5・6学年 大地の恵み ······························································· ·········································· 144
25
5・6学年 放射性物質・放射能・放射線の違い ······························································· ··· ·· 152
26
6学年 未来のエネルギー······························································· ····································· ·· 154
27
6学年 原子力のゴミ ······························································· ··········································· ·· 166
28
4・5・6学年 エコ集会を楽しもう ······························································· ···················· ·· 172
29
6学年 環境学習をまとめよう ······························································· ································ 178
関連情報サイト ······························································· ······························································· · ··· 183
3
本展開例集の活用に当って
◆授業展開例の考え方
(1)これからエネルギー教育に取り組む先生方を主な対象に、あまり負荷なく実践できる授業案で構成されています。
教科と総合的な学習の時間があります。
(2)教科
①新学習指導要領のエネルギー関連記述を中心にテーマを選定しました。
②学習指導要領での位置づけを明確にし、扱う単元が分かるようになっています。
③教科での学習に数時間を付加した発展学習を授業展開例として載せています。
④言語力、思考力、判断力、表現力等の育成を重視しています。
(3)総合的な学習の時間
エネルギー教育の多様な取組事例を基にしています。
〈授業展開例の基本構成・見方〉
展開例の題名
工業製品にかかわるエネルギー
04
展開例の番号
(製品をつくるためのエネルギー)
対象学年
教科
単元
小学校
5
社会
社会(3)我が国の工業生産
学年
関連教科・単元
社会(1)我が国の国土
ウ 公害から生活環境を守る
時間数
3
目 標
本展開例を実施する教科の単元
(学習指導要領の位置)
関心・意欲・態度
自動車の生産から廃棄までに使われるエネルギーについて進んで調べようとする。
思考・判断・表現
工業生産における、省エネに配慮した取組について考え、自分なりの意見を持つことができる。
知識・技能
工業製品をつくり、使い、廃棄するまでに様々なエネルギーを利用していることを知る。
資料から、エネルギーの種類や数値などを読み取ることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
「教科」での展開例の扱い方の説明
自動車が作られ、自分たちが使い、廃棄されるまでに、様々なエネルギーが大量に消費されていることを知り、エネルギー
を有効に使うためにどんな取組がなされているのか調べる。また、自分の生活とのかかわりを考え、省エネルギーの視点
を持つことができるようにする。
●単元における展開例の位置づけ
ア 様々な工業製品が国民生活を支えていること
時数1時限目は ア の中で、自動車の製造段階を学んだ後に取り扱う。
ウ 工業生産を支える貿易や運輸などの働き
時数2時限目は ウ の学習で運輸や交通網について学習した後に取り扱う。
時数3時限目は ア の内容と関連を持たせながら、時数2時限目の学習後に取り扱う。
展開計画 全 3 時限
展開例全体の時間配分や学習の流れの説明です。
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
自動車を作るためにどんなエネルギーが使われているかな?
1
自動車工場で使われているエネルギーの種類を知る。
・自動車の製造段階と照らし合わせながら、使われているエネルギーを調べる。
・これらのエネルギーはどこから来るか調べる。
製品を運ぶためにどれくらいのエネルギーが使われているかな?
1
製品の輸送のために使われているエネルギーの量を調べる。
・製品を運ぶためにどのくらいのエネルギーがかかるのか、鉄道、船舶、トラックについて調べ、比較する。
どの自動車を選べばいいかな?
1
4
自分たちが車を利用し廃棄するまでのエネルギーについて調べる。
・車を利用するためのエネルギーや、廃棄するためのエネルギーについて具体的な資料を基に考え、自分の生活と関連づけ
ながら話し合う。
分子:展開例全体での本時の時間位置
分母:全体の時限数
この授業に要する時間の目安です。
工業製品にかかわるエネルギー
04
複数時間のときは、時間配分がわかるように「具
体的な学習活動・内容」を区切っている展開例が
あります。
(第 1 時/全 3 時限)
時 数
自動車を作るためにどんなエネルギーが
使われているかな?
1
具体的な学習活動・内容は、「児童生徒が何をする
時 間
か」という視点で書かれています。
ねらい
自動車工場で使われているエネルギーの種類を知る。
教師の活動を説明するときは、ワクで囲ったり「発
評価のポイント
問」などの補記があります。
・自動車工場では様々なエネルギーが使われていることを知る。
・エネルギーの源には様々な種類があることを理解する。
この他に、教材などの情報を下端の「活用可能な
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
外部支援」や各展開例の終わりにある「その他参
本時の課題を確認する。
考資料等」で補足してある場合があります。
自動車を作るためにどんなエネルギーが使われているかな?
自動車の製造の段階を振り返る。
①プレス ̶
②溶接
̶
③塗装
̶ ④組み立て ̶
・ワークシート①を使用する。
⑤検査
̶
⑥出荷
①プレス ̶
②溶接
曲げる
打ち抜く
溶かす
つなぐ
̶
教科書や資料集の製造段階を提示する。
・視聴覚教材(TV やPC)で動画を提示する。
段階ごとにどんな仕事をするのか考える。
③塗装
̶ ④組み立て ̶
⑤検査
流す
吹き付ける
運ぶ
持ち上げる
動かす
光らせる
̶
⑥出荷
動かす
運ぶ
(下の欄外の HPトヨタ「クルマこどもサイト」
に動画有り)
・発電の方法についてもふれる。
仕事をする力
=
エネルギー
→「使用する資料」第1時参照
「電源別の発電割合」
エネルギーのもとになるのは何かまとめる。
石油
ガス
水
電気
自動車ができるまでには様々なエネルギーが使われている
《活用可能な外部支援》
トヨタ「クルマこどもサイト」
http ://ww w.to y ot a. c o. j p/ j p/ kids/ c ar/ st art . h t ml
5
授業展開例集と教科単元
(学習指導要領)
との関連表(小学校編)
社 会
展開例集の番号・題名
2
もやすごみの有効利用
(廃棄物発電)
単 元
3・4 3・4
1 わたしたちのくらしとガス
学
年
理 科
学
年
単 元
生 活 /(国語)
学
年
単 元
家 庭
学
年
単 元
5
D 身近な消費生活と環境
(2)
環境に配慮した生活の工夫
(3)
生活に
(必要な飲料水・電
気・ガス
ア 飲料水、電気、
ガス
(3)住みよいくらしをつくる
(ゴミの処理)
A 物質・エネルギー
(5)
電気の通り道
A 物質・エネルギー
4
(3)
電気の働き
A 物質・エネルギー
6
(4)
電機の利用
3
3
電気に
「ありがとう」
!
(暮らしを支える電気)
工業製品にかかわるエネル
ギー
(製品をつくるためのエネル
ギー)
スローフードで省エネしよう
5
(地産地消とエネルギー問題)
国土と発電
6
∼国土を活かした発電∼
4
4
(3)
資源の有効活用 ア 飲料水、電気、
ガス
5(3)
我が国の工業生産
5
(1)
我が国の国土
ウ 公害から生活環境を守る
(2)
日本の農業や水産業
ア 食料品の輸入 (1)国土の地形や自然条件と
B 生命・地球
5
6
人々の生活
(4)
土地のつくりと変化
(1)我が国の歴史上の主な事
日本の戦後復興を支えたエ
7
6 象
ネルギー
ケ 戦後の国民生活の向上
A 物質・エネルギー 自然の力ってすごい!
8
3 (2)
風やゴムの働き (太陽や風のはたらき)
(3)
光の性質
A 物質・エネルギー 明かりをつけよう
3
(5)
電気の通り道
9 ∼電気を通すもの通さない
もの∼
4 A (3)
電気の働き
A 物質・エネルギー 4
(3)
電気の働き
どうしたら電気の働きを大
A 物質・エネルギー
10 きくできるかな?
5
(3)
電流の働き
(電気のはたらき)
A 物質・エネルギー
6
(4)
電気の利用
A 物質・エネルギー
4
(3)
電流の働き
(3)
資源の有効利用 いろいろな電池をつくろう
4
11
(身近なものを使った電池作り) (飲料水、電気、
ガス)
A 物質・エネルギー
3
(5)
電気の通り道
電流のパワー!
A 物質・エネルギー
12
5
(電流のはたらき)
(3)
電気の働き
電磁石のはたらきと
A 物質・エネルギー
5
おもちゃ作り
(3)
電流の働き
13 ∼ペットボトルモーターを
A 物質・エネルギー
作ってみよう∼
6
(4)
電気の利用
(電流のはたらき)
A 物質・エネルギー
6
私たちのくらしと空気
(1) ものの燃え方と空気
14
∼化石燃料と二酸化炭素∼
総合的な学習の時間
A 物質・エネルギー
6
(4)
電気の利用 A 物質・エネルギー
3
(5)
電気の通り道 電気の利用∼電気の変身!
!
15
∼エネルギーの変換∼
A 物質・エネルギー
4
(3)
電流の働き
A 物質・エネルギー
5
(3)
電流の働き
A 物質・エネルギー
6
(3)
電気の利用
A 物質・エネルギー 3
(5)
電気の通り道
電気の利用
16
∼電気の効率的な使い方∼
A 物質・エネルギー
4
(3)
電流の働き
A 物質・エネルギー
5
(3)
電流の働き
17
5
「私たちの生活と工業生産」
電化製品調べ
6
6 発電と電気の利用
∼かしこい電化製品の使い方∼
「私たちの生活と環境」
6
3 「電気で明かりをつけよう」
4 「電気のはたらき」
5 「電磁石のはたらき」
社 会
展開例集の番号・題名
学
年
単 元
ゆでる調理をしよう
∼環境にやさしい調理∼
生 活 /(国語)
学
年
単 元
単 元
B 日常の食事と調理の基礎
(2)
調理の基礎
5 D 身近な消費生活と環境
D 身近な消費生活と環境
5
C (2)
快適な住まい方
5
4 A (2)
金属・水・空気と湿度
(3)
ア 飲料水、電気、
ガスの
確保や廃棄物の処理と自分
たちの生活や産業とのかか
わり
これでいいの?
冷暖房にたよる生活
21
(冷暖房にたよる生活の見直
し)
家 庭
学
年
(6)
身近な自然や物を使った
遊びや遊びに使う物の工夫
2 (7)
動物や植物を育て、それ
らの育つ場所、変化や成長の
様子
3・4
20 かしこい消費者になろう
単 元
A (2)
風やゴムの働き
3
B (3)
太陽と地面の様子
18 太陽や風と遊ぼう!
19
理 科
学
年
5 A 家庭生活と家族
3
A 物質・エネルギー
(3)光の性質
6
C 快適な衣服と住まい
(2)快適な住まい方
総合的な学習の時間
<特別活動>
22
23
25
未来のエネルギー
∼30年後のエネルギーを考
26
えよう∼
―6
原子力のゴミ
27 ∼高レベル放射性廃棄物
―6
エコ集会を楽しもう 28
学級活動
(1)
―4・5・6
環境学習をまとめよう
29(環境に配慮した製品を見つ
けよう)
―6
3・4
24
−学年
ほうしゃせんから体を守るた
めに 正しい手のあらいか
たを身につけよう
−1・2
身のまわりの放射線を出す
物を測定器で測ってみよう
―3・4
大地の恵み
∼地熱発電開発∼
―5・6
放射性物質・放射能・放射線
の違い
―5・6
電気がとどくまで
(東京書籍)
「日本と関係の深い国々」
「世界の平和と日本の役割」
6 大地のつくり
(啓林館)
「ものが燃えるとき」
「発電と電気の利用」
(国語)
(東京書籍)
「 未 来に生かす自然エネル
ギー」
「21世紀に生きる君たちへ」
(関連教科:社会科)
展開例集の当該単元は 内に記述、関連する教科単元は 内に記述しています。
総合的な学習の時間及び特別活動については展開例集の題名の欄に、対象学年を記載しています。
7
(開隆堂)
「暑い季節を快適に」
「考えよう これからの生活」
平成 26 年度
エネルギー教育モデル化推進委員会
〈委員長〉澁澤 文隆
帝京大学教職大学院教授
〈委 員〉網屋 直昭
川崎市立高津中学校教頭
石川 哲夫
いわき明星大学科学技術学部特任教授
島崎 洋一
山梨大学生命環境学部准教授
丹沢 哲郎
静岡大学教育学部教授
中岡 章
エコット政策研究センター代表
藤本 登
長崎大学教育学部教授
三木 直輝
札幌市立西小学校教頭
山下 宏文
京都教育大学教育学部教授
小学校ワーキンググループ
〈座 長〉石川 哲夫
いわき明星大学科学技術学部特任教授
〈委 員〉西岡 里奈
東京学芸大学附属小金井小学校
村上 忠君
尾道市立原田小学校
吉岡 学
長岡京市立長岡第六小学校
作成協力者
石川 直彦
東京都練馬区立光が丘秋の陽小学校
石原 淳
東京都板橋区立中台小学校
市村 毅
茨城県県南教育事務所
佐藤 知
北海道函館市立駒場小学校
佐野 祐二
北海道札幌市立円山小学校
諏訪原洋子
茨城県ひたちなか市教育委員会
立花 禎唯
大阪府高槻市立高槻小学校
筑波大学エネルギー教育研究会事務局
袴田 洋史
浜松市立気賀小学校
松尾 博史
長岡京市立長岡第四小学校
(五十音順、敬称略)
8
〈社会〉
9
わたしたちのくらしとガス
01
(暮らしを支えるガス)
対象学年
教科
単元
社会
社会(3)生活に必要な飲料水・電気・ガス
ア 飲料水、電気、ガス
小学校
3·4
学年
関連教科・単元
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
学校や家庭で使われているガスに関心をもち、ガスを確保するための対策や事業について進んで
調べたり話し合ったりする。
思考・判断・表現
ガスを確保するための対策や事業に従事している人々の働きが、地域の人々の健康な生活の維持
と向上に役立っていることを考える。
知識・技能
ガスを確保するための対策や事業が、計画的・協力的に進められていることを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
小学校中学年の社会科に位置づけられている飲料水・電気・ガスの内容は、その中から選択して学習するということになっ
ているが、教科書に取り上げられている飲料水をメインとして扱う場合が多く、電気やガスについてはあまり扱われてい
ないのが現状である。エネルギー教育の観点から言えば、エネルギーに直接関連が深い電気やガスの学習を小学校でする
ことでエネルギーの基礎が少しでも学べると考えられるため、短時間でも良いのでこのような内容を扱っていきたい。
近年はオール電化の家庭も登場してきて電気に押され気味のガスであるが、まだガスコンロなどの熱調理や風呂などの
温水供給では電気に負けないシェアを誇っている。学校では、小学校高学年の家庭科でガスコンロの使い方の学習もある
が、総合的な学習の時間における調理活動などで低・中学年から家庭科室のガスコンロを使用する機会も少なくない。家
庭でも学校でも子どもにとっては元栓を開けてつまみをひねればすぐに使えるガスであるが、その安定供給のためには様々
な施設や設備があり、そこで働く人々の工夫や努力があるのだということに気づかせていきたいと考える。
※ここではガス管で供給される都市ガスを扱う。ガスボンベで配達される LP ガス(LPG)は液化石油ガスであり、天然ガスを使う
都市ガスとは異なる。ただし、冷却して体積を減らし、LPG タンカーで日本に運ばれる点は都市ガスと同様である。都市ガスと
LP ガスの使用世帯の比率は、ほぼ半々である。
●単元における展開例の位置づけ
この単元では飲料水の学習をすることにより、普段の生活で使っている飲料水は様々な施設や設備を通りながら学校や家
庭まで届くこと、その過程では多くの人々の工夫や努力があることを学ぶことになっている。普段の生活で使っているガ
スも同様で、様々な施設や設備やそこで働いている人々の工夫や努力に支えられて自分たちが普段の生活で安心してガス
を使えるのだ、ということをとらえさせ、エネルギーの安定供給についての学習の基礎を培っていきたい。
本展開例の位置づけとしては、飲料水の学習が一通り終了した段階で学習し、単元の最後に水の節約と同時にガスの節
約についても考えるようにすると、エネルギー教育としても充実し、単元の学習にも広がりと深まりをもたせることがで
きると考えられる。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
ガスはどこから来るのかな
1
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程をその施設や設備などに着目して調べ、その過程では様々な工夫が
されていることに気づく。
・家庭や学校でガスが使われている場面を考えて発表する。
・ガスが家庭や学校に届くまでの過程を、施設や設備に着目しながら調べる。
・それぞれの施設や設備でされている様々な工夫について調べる。
ガスをとどけてくれる人たち
1
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程の様々な施設や設備で働いている人々について調べ、
ガスの安定供給が多くの人々の工夫や努力に支えられていることに気づく。
・ガスが家庭や学校に届くまでにかかわっている人の仕事を考えて発表する。
・ガス関連の施設や設備で働いている人々の仕事や、その工夫や努力などについて調べる。
10
わたしたちのくらしとガス
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
ガスはどこから来るのかな
時 間
ねらい
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程を、その施設や設備などに着目して調べ、その過程では様々な工夫が
されていることに気づく。
評価のポイント
・ガスが家庭や学校に届くまでには様々な施設や設備を通ってくることを理解する。
・その過程では様々な工夫がされていることに気づく。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
家庭や学校でガスが使われている場面を考えて発表する。
・調理(ガスコンロ)
・給湯(風呂、洗面所)
・暖房(ガスファンヒーター)
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程を、施設や
設備に着目しながら調べる。
・海外にあるガス田
と る
・天然ガス液化プラント
・LNG タンカー
↓
はこぶ
・日本の地下タンク(液体保存)
・気化器と付臭
↓
つくる
・ガスホルダー
・ガス管
↓
おくる
・ガスメーター
↓
つかう
・資料「みんなで学ぼう!環境とエネルギー」
(東京ガス児童用副読本)
と る → はこぶ → つくる →
おくる → つかう
というガスの「ライフサイクル」を提示する
とわかりやすい。
・飲料水の学習も想起させ、比べさせると良い。
それぞれの施設や設備でされている様々な工夫についてまとめる。 ・ガスは特に安全に注意していることに着目さ
・運ぶときには液体にして大きさを600 分の1 にしている。
・地震などの時も液化ガスが流れ出ないようにするために、タンク
は地下に埋まっている。
・ガスはもともとにおいがないが、もれたときに気づくようにわざ
わざにおいをつけている。
《活用可能な外部支援》
東京ガスの出張授業「くらしとガス」
(45 分)
大阪ガスの出張授業(同社供給エリアに限定)
東邦ガスの出張授業
11
せる。
01
01
わたしたちのくらしとガス
(第 2 時/全 2 時限)
時 数
1
ガスをとどけてくれる人たち
時 間
ねらい
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程の様々な施設や設備で働いている人々について調べ、ガスの安定供給
が多くの人々の工夫や努力に支えられていることに気づく。
評価のポイント
・ガスが家庭や学校に届くまでの過程の様々な施設や設備では多くの人々が働いていることを理解する。
・ガスの安定供給のために多くの人々が様々な工夫や努力をしていることに気づく。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
ガス(都市ガス)が家庭や学校に届くまでの過程を確認する。
(前時の復習)
ガスが家庭や学校に届くまでにかかわっている人の仕事を考えて
発表する。
・飲料水の学習を想起させると良い。
・ ガスをつくるところで多くの人が働いているのではないか。
・ 水と同じようにガス管を点検している人もいるのではないか。
・ガス管の工事をする人も必要だと思う。
ガス関連の施設や設備で働いている人々の仕事や、その工夫や
努力などについて調べてまとめる。
・ガスの製造:足りなくなったり作りすぎたりしないようにしている。
・ガス量の監視と調節:24 時間交代で監視している。
・ガス管の点検パトロール: ガス漏れがないように昼も夜もパト
ロールしている。
・ガス管の工事:交通量の少ない夜間に行っている。
・ガス漏れや火災などの緊急出動:24 時間交代で待機している。
・検針: 毎月1 回家庭を訪問し、ガスメーターを見て記録している。
《活用可能な外部支援》
※前の時間と同様
●その他参考資料等
東京ガス「みんなのエネルギー広場」
http://www.tokyo-gas.co.jp/kids/index.html
(この中に「小学校向け教材のご案内」へのバナーがある)
「天然ガスのヒミツをさぐろう」
(天然ガス教材・天然ガスセミナー事務局:日本教育新聞社内)
12
・資料「みんなで学ぼう!環境とエネルギー」
(東京ガス児童用副読本)
もやすごみの有効利用
02
(廃棄物発電)
対象学年
教科
単元
社会
社会
(3)住みよいくらしをつくる(ごみの処理)
小学校
3·4
学年
関連教科・単元
時間数
4
目 標
関心・意欲・態度
もやすごみを単に燃焼処分するだけでなく、廃棄物発電などの有効利用にかかわる対策や事業に
関心をもち、新エネルギー利用の視点に立ったエネルギーの有効利用について進んで調べたり話
し合ったりする。
思考・判断・表現
廃棄物発電など、もやすごみの有効利用にかかわる対策や事業について、地域の人々の生活や向
上に役立っていることに気づき、考え、判断したりして、図や表にまとめる。
知識・技能
もやすごみの有効利用は、自分たちの生活を支える大切な取り組みであり、これらの対策や事業
が計画的・協力的に進められ、地域の人々の生活に役立っていることを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
本単元では、もやすごみ処理と有効利用についての対策や事業に関心をもち、これらの対策や事業が計画的・協力的に進
められていることや、地域産業ともかかわっていること、自分たちの毎日の生活や地域の人々の良好な生活環境の維持と
向上に役立っていることについて理解させることをねらいとして授業が展開される。昨今のエネルギーや環境問題に鑑み、
廃棄物処理事業と私たちのくらしとの関連をより明確に指導すべきであり、
「持続可能な社会の実現」に向けての取り組み
を意識した指導が望まれる。
●単元における展開例の位置づけ
リサイクル等、分別後のもやすごみのゆくえについては、清掃工場を見学し、大量のごみの焼却状況を見学する学習が展
開されている。この学習の中に、ただ燃やすだけでなく廃棄物発電や熱利用等エネルギー利用の視点を加えた学習展開に
することにより、ごみ発電が地域の生活エネルギー確保に役立つことを理解させることができると考える。単元における
位置づけとしては、小単元の学習「分けて集められたごみやしげんは、どのようにしてしょりされたり再利用されたりす
るのでしょうか」の学習計画の中に、廃棄物発電や熱利用を加えることで見学学習の充実が図られると考える。
展開計画 全 4 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
もやすごみのゆくえ
1
分別されたごみがどのように運ばれ、もやすごみは清掃工場でどのように処理されるのか、その過程を施設や設備な
どに着目して調べ、働く人はどのような仕事をしているのか、どのような工夫をして処理したり利用しているのか話
し合うことができる。
・ごみの収集車や処理施設の資料をもとに、分別されたごみのうち、もやすごみの行き先を予想する。
・清掃工場の設備や仕組みとあわせて、働く人の仕事や工夫、さらには燃やしたごみの熱の利用などについて話し合う。
・清掃工場で見たいこと、聞きたいことについて整理し、見学の計画を立てる。
清掃工場を見学しよう
2
清掃工場を見学し、事前に知りたいことについてまとめた内容について、清掃工場で働く人に質問する。わかったこ
とを見学ノートに記録する。
・1日にもやすごみの量。
・有害物質が出ないように工夫している。
・ごみを燃やした熱で発電している。
・余剰の熱で沸かした湯を、温室栽培や施設の暖房などに利用している。
14
もやすごみの有効利用
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
班ごとにまとめミニ発表会を開く
清掃工場見学で質問したことやわかったことについてまとめ、班ごとに発表資料を作成し、ミニ発表会を開く。
1
・清掃工場の設備や仕組みについてまとめる。
・清掃工場で働く人の仕事内容や工場稼働の工夫等についてまとめる。
・廃棄物発電の仕組みや発電量についてまとめる。
・発生する熱の利用についてまとめる。
・各班ごとにわかったことについて発表し、私たちの生活との関連について考える。
15
02
02
もやすごみの有効利用
(第 1 時/全 4 時限)
時 数
1
1.もやすごみのゆくえ
時 間
ねらい
もやすごみは清掃工場でどのように処理されるのか、その過程を施設や設備などに着目して調べ、働く人の仕事、工場
稼働の工夫、発生する熱の利用等について話し合い、清掃工場で見たいことや聞きたいことについてまとめる。
評価のポイント
もやすごみの処理のしかた、働く人の様子、設備の工夫、発生する熱の利用など、視点を明確にして見学の計画を立て
ることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○もやすごみがどこへ行くのかを予想し発表する。
◇収集されたごみのうち、もやすごみのゆくえ
について考えさせる。
・ごみを燃やす施設(清掃工場)へ運ぶ
○清掃工場ではどのようなことが行われているか意見を出し合う
・教科書の「せいそう工場の写真や図」を参考に、施設設備や作業
◇できれば見学先清掃工場の写真や見取り図
を事前に入手し、児童に提示する。
工程について発表し合う。
○清掃工場の写真や見取り図から、気づいたことについて整理する。 ◇発電の意味、特に火力発電の大まかな仕組み
・ごみの計量所、ごみのピット、ごみクレーン、中央制御室、焼却
について予備学習を行う。あわせて、一般
炉、発電設備、余熱利用施設、公害防止設備、灰ピットなど。
家庭の使用する電力平均4kw についても理
解を図る。
○清掃工場で調べたいことを整理し、見学の計画を立て見学ノー
トに整理する。
・集められたもやすごみはどのように処理されるのか
◇ごみ処理のしかた、働く人の様子、設備の工
夫、廃棄物発電の仕組みなど、視点を明確
にして見学の計画を立てるように助言する。
・働いている人はどのような仕事をしているのか
◇自分で見て感じて考えることを大切にでき
・どのような工夫をして、ごみを処理しているのか
るように準備させ、見学への意欲を高める。
・ごみを燃やして発電する装置はどんな仕組みか
・どのくらい発電しているのか
・余った熱はどのように利用しているのか
16
もやすごみの有効利用
(第 2 ∼ 3 時/全 4 時限)
時 数
2
2.清掃工場を見学しよう
時 間
ねらい
清掃工場を見学し、事前に知りたいことについてまとめた内容について、清掃工場で働く人に質問をしたり、説明を聞
いたりして、わかったことを見学ノートに記録することができる。
評価のポイント
前時に立てた見学のポイントや質問の内容に沿って活動が行われ、見学ノートに記録されている。
見学を通じて、清掃工場には、環境に配慮してごみを燃やしたり、熱を利用して発電を行っていること、余った熱を有
効活用するなど、様々な工夫が行われていることに気づく。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○はじめに、清掃工場の仕組みや設備について清掃工場担当者か
ら説明を聞く。
◇清掃工場説明担当者に、予め子どもたちの質
・清掃工場の説明者の話をメモを取りながら聞く。
問事項を送っておき、質問の内容を明確に
しておく。併せて後の指導に役立てるため
に、もやすごみの中身や廃棄物発電に関連
○ごみ処理の一連の様子を見学する。
する事項についても質問内容に加える。
・ごみ収集車が計量器を通過し、ごみピットへ搬入する様子を見学
する。
○ごみの焼却炉・中央制御室・廃棄物発電施設を見学する。
◇後日のまとめ学習に活用できるように、パン
・ごみを燃やした熱をどのよ
フレットに掲載されていない施設設備や設
うに利用して、発電してい
備解説パネルなどを、施設内撮影可能箇所
るのかを見学する。
でカメラ撮影・画像保存しておくことが大
切である。
・発電量を示している電光パ
ネル等の表示板を見学し、
◇もやすごみなど廃棄物による発電量は、一般
記録する。
・発電以外に、ごみを燃やし
家庭のソーラー発電(4kw 程度)と比較す
た余熱をどのようなことに
ると、かなり多い発電量であることに気づ
利用しているかを知る。
かせる。余熱も利用できることを理解させる。
○清掃工場職員へ予め準備した質問事項や、見学を行い、新たな
疑問について質問を行う。
・見学の視点に沿って質問を行う。
17
◇疑問点や知りたいことがわかった喜びと達
成感を味わわせる。
02
02
もやすごみの有効利用
(第 4 時/全 4 時限)
時 数
1
3.清掃工場を見学しよう
時 間
ねらい
清掃工場見学で質問したことやわかったことについてまとめ、班ごとに発表資料を作成し、ミニ発表会を開く。
評価のポイント
見学学習の視点である、①清掃工場の設備や仕組み②働く人の仕事内容や設備稼働の工夫③廃棄物発電の仕組みや発電
量④発生する熱の利用についてなど、清掃工場の見学や説明・記録から具体的に理解することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○清掃工場見学でわかったことを、見学ノートの記録をもとに、
意見を出し合い班ごとに整理しまとめる。
◇見学でわかったことをノートにまとめさせ
・見学に行く前に確認した、次の5つの視点をポイントとしてまと
た熱を生かして発電していることなど、清
る。24 時間交替で働いていることや出され
める
掃工場の特徴についてまとめさせる。特に、
①清掃工場の設備や仕組み(ごみの搬入からごみ焼却)
廃棄物発電についての内容と熱エネルギー
②働く人の仕事内容や施設稼働の工夫(仕事上で工夫しているこ
の利用については、今後の火力発電学習や
とや注意しいること)
再生可能エネルギー学習等にもつながる大
③廃棄物発電の仕組みや発電量(ごみ焼却による発電の仕組みと
発電量)
切な事項であるので、ポイントをしっかり
まとめさせたい。
④発生した熱の利用について(余剰の熱で沸かした湯の利用、温
室栽培や施設の暖房への利用)
⑤その他(実際の見学でさらに気づいたこと) ○班ごとに気づいたこと、わかったことについて発表し合う。
・自分の班の発表や他の班の発表を比較して、新たに知ったことを
◇廃棄物発電等、もやすごみの有効利用にかか
わる対策や事業について、地域の人々の生
活や向上に役立っていることを考え、判断
ノートに書き加える。
し、図や表に表現し、児童相互に意見交換
○資源にもなり得るごみは、適切な分別とリサイクルが大切であ
ることを理解し、ごみを出さない工夫や、省エネルギーについ
ても話し合う。
を行わせ、エネルギー施設としての清掃工
・ごみに関して、自分達や各家庭でできること、省エネルギー活動
◇見学学習の計画・実施・まとめについて振り
としてできることを提案し合う。
場の特質を理解させたい。
返り、わからなかったことがわかるように
なった自己の成長に気づかせる。
18
電気に「ありがとう」!
03
(暮らしを支える電気)
対象学年
教科
単元
関連教科・単元
小学校
4
社会
社会(3)資源の有効活用
ア 飲料水、電気、ガス
学年
3 年理科 A 物質・エネルギー(5)電気の通り道 4 年理科 A 物質・エネルギー(3)電気の働き
6 年理科 A 物質・エネルギー(4)電気の利用
時間数
6
目 標
関心・意欲・態度
電気の安定供給の事業について意欲的に調べることで、電気について関心を持つとともに、無駄
なく電気を使おうとする。
思考・判断・表現
電気が、自分たちの社会や生活にどのように役立っているか、考えることができる。
知識・技能
身近な電気が、様々な人々の工夫や努力によって計画的・協力的に作り出されて、学校や家庭に
供給されていることが分かる。
単元における視点
●展開例の趣旨
電気は今の子どもたちにとって、あって当たり前のものであり、特に注意しなくても生活が行える。一方で東日本大震災
による福島原発事故により、電気エネルギーの供給のあり方が考え直されている。あらためて電気を学校や家庭でどのよ
うに使っているかを調べることで、自分たちの生活や社会が電気エネルギーに支えられていることに気づかせる。
電気は人間が作っているものであり、その事業は計画的・協力的に行われていること、電気を安定供給するために多くの
人々が関わっていることに気づかせる。可能ならば電力会社の出前授業などを利用し、
「働く人」を教室に登場させること
で、子どもたちの興味・関心が高まるとともに、キャリア教育の上でも効果が期待できる。
●単元における展開例の位置づけ
(3)地域の人々の生活にとって必要な飲料水、電気、ガスの確保や廃棄物の処理について、次のことを見学、調査したり
資料を活用したりして調べ、これらの対策や事業は地域の人々の健康な生活や良好な生活環境の維持と向上に役立ってい
ることを考えるようにする。
教科書・副読本では「飲料水・電気・ガス」の選択教材では、必ず飲料水が選択されている。本展開例では、飲料水の指導が終わっ
た後、
「では電気の場合は」と指導することを念頭においている。時数が不足する場合は、児童の活動を教師が代行することや「総
合」の時間に環境学習の省エネなどのテーマとからめて指導することが考えられる。
展開計画 全 6 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
コンセントをさがそう
2
学校で電気を使う場面をまとめ、コンセントの数を調べることで、自分たちの学校生活が電気によってささえられて
いることが分かる。
・学校で電気を使っている場面を話し合う。
(1) ・学校にある電灯やコンセントの数を調べる。
・停電になるとどうなるか考える。
・自分たちの学校生活が電気によってささえられていることを話し合う。
家庭や社会を支える電気
2
家庭や町で電気を使っている場面をまとめ、自分たちの家庭生活や社会生活が電気によってささえられていることが分かる。
・家庭のコンセント・電灯の数を調べる。
(1) ・家庭で電気を使っている場面を話し合う。
・町で電気を使っている場面を話し合う。
・自分たちの家庭生活、社会が電気によってささえられていることを話し合う。
2
電気はどこから
身近な電気が、
様々な人々の工夫や努力によって計画的・協力的に作り出されて、
学校や家庭に供給されていることが分かる。
(1) ・電気は作られていることを知る。
・電気を学校や家庭に届けるまで、様々な人々が関わっていることに気付く。
20
電気に「ありがとう」!
(第 1 ∼ 2 時/全 2 時限)
時 数
2
コンセントをさがそう
(1)時 間
ねらい
学校で電気を使う場面をまとめ、コンセントの数を調べることで、自分たちの学校生活が電気によってささえられてい
ることが分かる。
評価のポイント
・学校生活で、あらゆる場面で電気が使われていること
・学校のコンセントの数の多さ
以上 2 点から、自分たちの学校生活が電気によってささえられていることに気付く。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1時・学校で、どんな時に電気を使っているか話し合う。
電気(灯り)、校内放送、テレビ、パソコン、エアコン
職員室や給食室、用務員さんの仕事など、子
どもたちが気付かないことにもふれる。
理由も発表させる。
・学校中のコンセント・電灯の数を予想する。
・学校の中で、コンセント・電灯の数の一番多い場所を予想する。
・教室配置図をもとに、学校にあるコンセント・電灯の数を調
べる。
教室配置図
子どもが入れない場所は教師が調べておく。
グループで校舎を分担し、授業中などで調べられない場所は、
休み時間などを活用して調べる。
直前の休み時間に教室のブレーカーを落とし、
2時・停電になると困ることについて話し合う。
電気(灯り)などの他に、給食室の冷蔵庫や一部の調理器具
停電状態にしておくとよい。
も動かない。給食が作れない。・学校中のコンセント・電灯
電卓
予想とあっているか、なぜそうなっているか
・各グループが調べてきた場所の数を発表する。
考えさせる。
・数が多い場所を確認する。
次時のため、家庭でのコンセント・電灯の数
・調べた学校のコンセント・電灯の数を合計し、その多さから、 を調べること、いつ・どこで・何で電気を
使っているかを調べることを宿題にしておく。
自分たちの生活が電気によって支えられていることを実感さ
の数を予想する。
せる。
※時数が不足する場合は、教室、職員室、代
表的な特別教室を教師が調べた図を用意し、
1時間あつかいとすることもできる。
21
03
03
電気に「ありがとう」!
(第 3 ∼ 4 時/全 2 時限)
時 数
2
家庭や社会を支える電気
(1)時 間
ねらい
家庭や町で電気を使っている場面をまとめ、自分たちの家庭生活や社会生活が電気によってささえられていることが分
かる。
評価のポイント
・家庭生活で、あらゆる場面で電気が使われていること
・町でも、あらゆる場面で電気が使われていること
以上 2 点から、自分たちの家庭生活、社会が電気によってささえられていることに気付く。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1時・宿題にしてあったコンセント・電灯の数を発表する。
・コンセントがあることを知らなかった場所を発表する。
トイレ、エアコンの横、外用コンセント
・いつ・どこで・何で電気を使ったか発表する。それを一日の
時系列にまとめる。
・身の回りに電気を使うものがたくさんあることについて話し
個々のコンセントの数の比較ではなく、数の
多さに注目させる。
多様な用途にも注目させる。また、パソコ
ン・携帯など用途が増えていることも考えさ
せる。
合う。
高層住宅ではエレベーターや自動ドアもある。
・家庭生活は電気によって支えられていることを考える。
・町にも電気を使ったものがないか考える。
次時のために、町で電気を使っているものを
2時・町で電気を使っているものを発表する。
探すことを宿題にしておく。
街灯、看板の灯り、信号機、電車、エレベーター
・電気を使っていることに今まで気づかなかったことを発表す
る。
光る・動く・発熱するなど、用途の多様性に
も注目させる。
・停電になったらどうなるか考える。
病院など、停電に備えて自家発電の装備があ
阪神・淡路大震災の事例 東日本大震災の事例
・家庭生活だけでなく、社会自身が電気にささえられているこ
とを話し合う。
ることにもふれる。
可能なら電力会社に出前授業を依頼しておく。
・学校や家庭にどのように電気が届けられているか考える。
※時数が不足する場合は町の写真や絵を用意
し、それをもとに考えることで1時間あつ
かいとすることもできる。
22
電気に「ありがとう」!
(第 5 ∼ 6 時/全 2 時限)
時 数
電気はどこから
2
(1)時 間
ねらい
身近な電気が、様々な人々の工夫や努力によって計画的・協力的に作り出されて、学校や家庭に供給されていることが
分かる。
評価のポイント
・自分たちが使っている電気は、作られたものであることが分かる。
・電気を家庭や学校に届けるために、多くの人々が計画的・協力的に働いていることが分かる。
電気の供給に関わる仕事をする人に興味を持ち、電気エネルギーへの関心が高まることが期待される。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
2時間続きの出前授業として例示している。
手回し発電機
発電機を回す力のエネルギーによって、水
1時・手回し発電機による発電体験をする。
電気を作るのは思ったより大変なことを実感させる。
・火力発電や水力発電の演示用キットで、発電の原理を知る。
・発電所から家庭や学校まで電気を届ける道順を知る。
力、火力、原子力、風力の発電方法がある
ことを知らせる
火力発電や水力発電の演示用キット
各種発電所から家庭や学校まで電気を届ける
道順を示したパネル・プリント
・電線やガイシなどの実物を持ったりする。
作業に使う実物
・電気工事の時の装備を作業員が身につけ、説明する。
仕事上の楽しさや喜びにもふれるように。
・道具なども実際に手に取る。
・作業員の方へ質問をする。
引き込み用電柱の近くの民家へは事前に知ら
2時・発電所、高所作業などのビデオを見る。
・校内の引き込み用電柱などを使い、模擬作業をしてもらう。
・作業員の方へ質問をする。
・電気を家庭や学校に届けるために多くの人々が計画的・協力
的に働いていることを話し合う。
せておく。
※時数が不足する場合は、手回し発電の体験
は必ずさせたいが、教科書の図をもとに教
師が説明することで、1時間あつかいとす
ることもできる。
《活用可能な外部支援》
各電力会社の出前授業
新・エネルギー環境教育情報センターのホームページ http://www.iceee.jp/
INSS(原子力安全システム研究所)
NUMO(原子力発電環境整備機構)
エネルギー教育地域拠点大学、先行拠点大学
社会科見学のルートに発電所のPR館を入れる
JNCCA(地球温暖化防止全国ネット)
●その他参考資料等
佐島・高山・山下編『生活科・総合的学習 エネルギー環境教育の学習用教材』国土社、2004.
『教科学習におけるエネルギー環境教育の授業づくり[小学校編]』国土社、2009.
エネルギー環境教育関西ワークショップ 『持続可能な社会をめざす エネルギー環境教育の実践』国土社、2009.
立花禎唯他『改訂版 コピーしてすぐ使える まるごと社会科 3・4 年(下)』喜楽研、2014.
23
03
工業製品にかかわるエネルギー
04
(製品をつくるためのエネルギー)
対象学年
教科
単元
関連教科・単元
小学校
5
社会
社会(1)我が国の国土
ウ 公害から生活環境を守る
社会(3)我が国の工業生産
学年
時間数
3
目 標
関心・意欲・態度
自動車の生産から廃棄までに使われるエネルギーについて進んで調べようとする。
思考・判断・表現
工業生産における、省エネに配慮した取組について考え、自分なりの意見を持つことができる。
知識・技能
工業製品をつくり、使い、廃棄するまでに様々なエネルギーを利用していることを知る。
資料から、エネルギーの種類や数値などを読み取ることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
自動車が作られ、自分たちが使い、廃棄されるまでに、様々なエネルギーが大量に消費されていることを知り、エネルギー
を有効に使うためにどんな取組がなされているのか調べる。また、自分の生活とのかかわりを考え、省エネルギーの視点
を持つことができるようにする。
●単元における展開例の位置づけ
ア 様々な工業製品が国民生活を支えていること
時数1時限目は ア の中で、自動車の製造段階を学んだ後に取り扱う。
ウ 工業生産を支える貿易や運輸などの働き
時数2時限目は ウ の学習で運輸や交通網について学習した後に取り扱う。
時数3時限目は ア の内容と関連を持たせながら、時数2時限目の学習後に取り扱う。
展開計画 全 3 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
自動車を作るためにどんなエネルギーが使われているかな?
1
自動車工場で使われているエネルギーの種類を知る。
・自動車の製造段階と照らし合わせながら、使われているエネルギーを調べる。
・これらのエネルギーはどこから来るか調べる。
製品を運ぶためにどれくらいのエネルギーが使われているかな?
1
製品の輸送のために使われているエネルギーの量を調べる。
・製品を運ぶためにどのくらいのエネルギーがかかるのか、鉄道、船舶、トラックについて調べ、比較する。
どの自動車を選べばいいかな?
1
自分たちが車を利用し廃棄するまでのエネルギーについて調べる。
・車を利用するためのエネルギーや、廃棄するためのエネルギーについて具体的な資料を基に考え、自分の生活と関連づけ
ながら話し合う。
24
工業製品にかかわるエネルギー
(第 1 時/全 3 時限)
時 数
自動車を作るためにどんなエネルギーが
使われているかな?
1
時 間
ねらい
自動車工場で使われているエネルギーの種類を知る。
評価のポイント
・自動車工場では様々なエネルギーが使われていることを知る。
・エネルギーの源には様々な種類があることを理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
本時の課題を確認する。
自動車を作るためにどんなエネルギーが使われているかな?
自動車の製造の段階を振り返る。
①プレス ̶
②溶接
̶
③塗装
̶ ④組み立て ̶
・ワークシート①を使用する。
⑤検査
̶
⑥出荷
・視聴覚教材(TV やPC)で動画を提示する。
段階ごとにどんな仕事をするのか考える。
①プレス ̶
②溶接
曲げる
打ち抜く
溶かす
つなぐ
̶
教科書や資料集の製造段階を提示する。
③塗装
̶ ④組み立て ̶
⑤検査
流す
吹き付ける
運ぶ
持ち上げる
動かす
光らせる
̶
⑥出荷
動かす
運ぶ
(下の欄外の HPトヨタ「クルマこどもサイト」
に動画有り)
・発電の方法についてもふれる。
仕事をする力
=
エネルギー
→「使用する資料」第1時参照
「電源別の発電割合」
エネルギーのもとになるのは何かまとめる。
石油
ガス
水
電気
自動車ができるまでには様々なエネルギーが使われている
《活用可能な外部支援》
トヨタ「クルマこどもサイト」
http://www.toyota.co.jp/jp/kids/car/start.html
25
04
04
工業製品にかかわるエネルギー
(第 2 時/全 3 時限)
時 数
製品を運ぶためにどれくらいのエネルギーが
使われているかな?
1
時 間
ねらい
製品の輸送のために使われているエネルギーの量を調べる。
評価のポイント
・輸送には様々な方法があり、多くのエネルギーが使われていることを知る。
・省エネルギーの視点から輸送の方法について比較する事ができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
本時の課題を確認する。
・ワークシート②を使用する。
製品を運ぶためにどれくらいのエネルギーが使われているかな?
・教科書や資料集の輸送に関わる交通網の地図
を活用する。
輸送の方法を振り返る。
自動車
鉄道
船
・輸送量・速さ・価格等についてまとめさせる
飛行機
各輸送方法の特色(長所・短所)について、まとめる。
・国土交通省「エネルギー要覧」
(平成19 年度版より)
資料から輸送に関わるエネルギー消費量、輸送量について
読み取り、気付いたことをまとめる。
→「使用する資料」第2時参照
どの輸送方法がいいのかを話し合う。
(生鮮食品・精密機械・雑誌など)
・話し合いのポイントを提示する。
輸送量
はやさ
エネルギー消費量
製品を運ぶときには、製品の量や性質と、輸送方法の特徴や、
エネルギーの消費量などを考え、輸送方法を決めている。
26
工業製品にかかわるエネルギー
(第 3 時/全 3 時限)
時 数
1
どんな自動車を選べばいいかな?
時 間
ねらい
自分たちが車を利用し廃棄するまでのエネルギーについて調べ、省エネルギーの観点で自動車を選ぶことができる。
評価のポイント
・自動車を利用するとき、廃棄するときに使われるエネルギーの量を資料から読み取ることができる。
・省エネルギーの観点で製品を選ぶことができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
本時の課題を確認する。
・ワークシート③を使用する。
・1年間に走行する距離を、12,000kmと設定する。
どんな自動車を選べばいいかな?
・電卓を使用する。
・燃料消費率(燃費)について確認する。
燃料1リットルあたりの走行距離 =
燃費
・資料をもとに使用するガソリンの量を計算する。
例)燃費8km/ℓ・燃費15km/ℓ・燃費20km/ℓの車で1年間
に使用する量
自動車の廃棄について確認する。
自動車を捨てるときのゴミ
・車体を1,000kgと設定する。
「自動車リサイクル率」参照
= シュレッダーダスト
・グループごとに話し合う。
・資料をもとに自動車を廃棄するときに出るゴミの量を計算する。
例)リサイクル率75%・85%・95%の車ででるゴミの量
自動車の選び方について話し合う。
製品を選ぶ時は、便利さだけでなく省エネルギーのことも考
えて選ぶ。
《活用可能な外部支援》
公益財団法人自動車リサイクル促進センターHP
http://www.jarc.or.jp/automobile/manage/
27
04
04
工業製品にかかわるエネルギー
資 料
28
工業製品にかかわるエネルギー
資 料
29
04
04
工業製品にかかわるエネルギー
資 料
30
工業製品にかかわるエネルギー
資 料
31
04
04
工業製品にかかわるエネルギー
資 料
32
スローフードで省エネしよう
05
(地産地消とエネルギー問題)
対象学年
教科
小学校
5
社会
学年
単元
関連教科・単元
家庭D 身近な消費生活と環境
(2)環境に配慮した生活の工夫
社会(2)日本の農業や水産業
ア 食料品の輸入
時間数
5
目 標
関心・意欲・態度
地元産の農産物を調べることを通して、地域の農産物への関心を高める。
私たちが消費している食料生産物について、その生産地や輸送にかかるエネルギーなどに関心を
持って調べることができる。
生活に必要なものを購入するときに、産地などを意識して買い物しようとする。
思考・判断・表現
地元産と他府県や外国産の農産物をスーパーなどで調べ、新鮮さや安全性、輸送にかかるエネル
ギーやその影響などについて自分なりの考えを持つことができる。
知識・技能
地元の農家で生産されている農産物を知る。
地元産の農産物を消費することが、新鮮さや安全性に安心で、輸送にかかるエネルギー消費を抑
え、CO2 削減にもつながることなどを知る。
地元産の食材を購入する方法を調べ、スローフード(郷土料理)給食として、実際に購入 ・ 調理
する。
単元における視点
●展開例の趣旨
地元農産物を消費することは、そこにかかる輸送エネルギー、生産過程にかかるエネルギーの消費を削減する方法として
かなり有効と考える。また、この行動は私たちの生活に直結しており、学習し、意識化したことを実践的行動に移しやすい。
食生活を支える食材選びは、学習者(児童)から保護者に何らかの方法で伝わることが期待される。親子で一緒に買い物
に行き、椎茸を選ぶ場合においても、旬の地元産か地方産、外国産から買わなければならない。この学習を通して得た知識、
実践力からより賢い選択を家族で行うことにもつながると考えられる。また、主菜、副菜、汁物、デザートを考えることによっ
て、家庭科としてつけたい力にも迫ることができる。
●単元における展開例の位置づけ
社会科における農業の学習において自給率や食料の安全性、 輸送にかかるエネルギー消費や CO2 排出について学習した
後、地元地域で消費する農産物について、スーパーや「道の駅」、地元産販売所などに行き、その生産地や生産者、生産日(消
費期限)などについて調査する。本来消費するはずの農産物を地元産と外国産や他地域のものを比較して、フードマイレー
ジや CO2 排出量、輸送にかかるエネルギー消費などに換算する。トラック輸送の場合、軽油に換算し、空輸、航路なども
移動にかかる資源消費に換算する。
地元産の農産物を消費することが、エネルギー問題にも環境問題にも優しい生活スタイルであることに気付き、持続可
能な社会の実現のために有効な生き方であることを知り、材料調達を含めたスローフード(郷土料理)弁当作りなどを通
して、実践する態度を育てる。
34
スローフードで省エネしよう
展開計画 全 5 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
地元地域の農産物にはどんなものがあるのかな?
1
地元産農産物にどのようなものがあるか交流し、それを地元で消費することがどのようなメリットにつながるか考
える。
(1)地元の農産物にどんなものがあるか、知っていることを交流する。
( 同じもので他地域産、外国産のものも出す)
(2)地元農産物を消費することのメリットについて考える。
地元産農産物を調べよう!
1
地元のスーパーや販売所への取材を通して、地元農産物と地方産 ・ 外国産とのちがいに気付く。
(1)スーパーや販売所への取材計画を立てる。
( 地元農産物の種類、同じ農産物の産地・価格など)
(2)取材計画をもとに、スーパーや販売所で取材する。そこに出荷される生産者にもインタビューを行う。
(3)同じものでも地元農産物と地方産 ・ 外国産のちがいを見つけまとめる。
地元産を消費することのメリットを調べよう!
地元農産物と地方産 ・ 外国産の消費におけるメリット ・ デメリットについて探究する。
2
(1)調べる視点を明確にする。
( 自給率問題、 栄養価、 価格の違い、 フードマイレージ、 輸送距離、 輸送に伴う CO2 排出量、 エネルギー資源消費など)
(2)探究計画を立てる。
(3)探究活動を行う。
(4)情報をまとめる。
スローフード(郷土料理)弁当を作って、エネルギー消費を比べよう!
グループで協力して、スローフード弁当を作り、そこにかかるエネルギー消費を計算し、地方産の場合と比較する。
1
(1)地元農産物を利用した郷土料理を調べる。
(2)グループでお弁当のメニュー(主菜、 副菜、 汁もの、 デザート)を考える。
(3)どこでその食材を入手できるかを調べ、買い物に行く。
(4)一人一品を原則に、調理実習を行う。
(5)各グループで出来上がった料理を鑑賞( 味見)し、感想を交流する。
(6)自分たちの料理にかかったフードマイレージや輸送に伴う軽油消費、 CO2 排出量を、地方産 ・ 外国産の場合と比較する。
★(1)∼(5)については家庭科の時間を活用する
《活用可能な外部支援》
地元地域の郷土料理サークル(ふるさとの味を守る会など)
食料改善普及サークル PTA 料理サークル 郷土料理店
農業系NPO 地元農産物販売店
「エコ・クッキングノート」天然ガス教材・天然ガスセミナー事務局(日本教育新聞社内)
http://www.kyoiku-gas.com/top/index.html
●その他参考資料等
国土社「持続可能な社会をめざす エネルギー環境教育の実践」山下宏文 ・ 編 エネルギー環境教育関西ワークショップ ・ 著
国土社「エネルギー環境教育の理論と実践」佐島群巳、 高山博之、 山下宏文 編
国土社「エネルギー環境教育の実践」佐島群巳、 高山博之、 山下宏文 編
フードマイレージキャンペーン
food mileage.com http://www.food-mileage.com/calculator/
35
05
05
スローフードで省エネしよう
(第 1 時/全 5 時限)
時 数
1
地元地域の農産物にはどんなものが
あるのかな?
時 間
ねらい
地元産農産物への関心を高め、地元地域での農産物を地元で消費することに、どのようなメリットがあるのかを考える。
評価のポイント
・地元農産物の関心が高まったか。
・地元農産物を消費することがどのようなメリットにつながるかを考えたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
地元地域の農産物にはどんなものがあるのかな?
第一時では、地元産農産物への関心を高め、地元地域での農産物
農産物カード
を地元で消費することに、どのようなメリットがあるのかを考える。 日本地図
世界地図
(1)地元の農産物にどんなものがあるか、知っていることを交流す
る。
(同じもので他地域産、外国産のものも出す)
◆近くのスーパーで地元のおナスを売っていました。
◆無人販売所でほうれん草や小松菜が一袋 100 円で置いてあ
りました。
◆シイタケは熊本産と書いてありました。
◆中国産のシイタケは同じくらいの値段でも倍くらい入って
いました。
(2)地元農産物にどのようなイメージを持っているか交流する。
事前に家庭で消費している農産物や買い物に
行った時に店頭に並んでいる商品を意識して
おくように喚起しておく。
・栄養価について
◆他の都道府県から運ばれる野菜より近い分新鮮だと思います。 ・新鮮さについて
◆近くの畑で作っているので、安心感があります。
・輸送にかかる経費ついて
◆新鮮な分値段が高いと思います。
・輸送にかかるエネルギー負荷について
などの視点で考えさせる。
(3)それらの農産物を地元地域で消費することに、どのような良い
点 ・ 悪い点があるか考える。
◆運ぶ距離が短いから、新鮮な野菜が食べられる。
◆作っている人が身近にいるので安心して食べられる。
◆運ぶのに燃料(軽油(ディーゼル燃料))をそんなに使わない。
(4)地元産や地方・外国産の農産物について、スーパーなどで調べ
ていこうとする意欲を持つ。
(次時へ)
◆どのような農産物が私たちの地域で作られているのかもっ
と知りたい。
◆同じ野菜でも外国 ・ 地方産のものと地元産のもので、どの
ような違い(味、 鮮度、 農薬、 添加物…)があるか調べたい。
◆地方(外国)のものを私たちの町まで運ぶのに、どれだけ
の軽油やエネルギーが使われるのか知りたい。
36
スローフードで省エネしよう
(第 2 時/全 5 時限)
時 数
1
地元産農産物を調べよう!
時 間
ねらい
地元のスーパーや販売所への取材を通して、地元農産物と地方産 ・ 外国産とのちがいに気付く。
評価のポイント
・取材計画をたてることができたか。
・スーパーや地元農産物販売所などで取材活動ができたか。
・地元産と地方 ・ 外国産との違いを見つけようとしたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
地元産農産物を調べよう!
第二時では、地元のスーパーや販売所への取材を通して、地元農
産物と地方産・外国産とのちがいに気付く。
(1)スーパーや販売所への取材計画を立てる。
◆事前に訪問する店舗に依頼しておく。
◆インタビュー計画では、実際の場面を想定し、
台詞を書いて練習もしておく。
◆いつ
◆どこへ
◆だれと
◆取材内容(地元農産物の種類、 同じ農産物の産地・価格な
どのちがい、)
◆インタビュー内容(店員、 生産者、 お客さん…)
◆感想 ・ 意見 ・ 疑問
◆大型スーパーなどでは、午前中だと、地元
(2)取材計画をもとに、スーパーや販売所で地元農産物について
取材する。そこに出荷される生産者や購入されているお客さ
んにもインタビューを行う。
◆旬のものにどのような野菜があるかに気付か
◆農産物の種類、 産地、 生産者など
◆生産者へ…畑の場所、 輸送手段、
地元で売る思いなどを取材
◆お客さんへ…地元産購入の理由、
農家が出荷される場面に会えるときがある
が、店舗や農家に問い合わせておくことが
望ましい。
せる。
◆旬ではない野菜には、地方産や外国産のもの
が多く店頭に並んでいることにも気付かせる。
(3)同じものでも地元農産物と地方産 ・ 外国産のちがいを見つけま
とめる。
◆産地の違い
◆値段の違い
◆見た目の印象
◆農薬
◆生産日、 消費期限…
《活用可能な外部支援》
地元農産物を販売している直売店や、地元産コーナーを設置しているスーパーなど
37
05
05
スローフードで省エネしよう
(第 3 ∼ 4 時/全 5 時限)
時 数
2
地元産を消費することのメリットを調べよう!
時 間
ねらい
地元農産物と地方産 ・ 外国産の消費におけるメリット ・ デメリットについて探究する。
評価のポイント
・的確な調べる視点を持つことができたか。
・明確な動機をもとに探究活動ができたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
地元産を消費することのメリットを調べよう!
第三時∼四時では、地元農産物と地方産・外国産の消費におけるメ
リット・デメリットについて探究する。
(1)調べる視点を明確にする。
・調 べ る 内 容 を 絞 っ て い く 過 程 に お い て 、
個々の問題に対する動機を明確にさせる必
要がある。学習意欲や学習の終末(出口)
◆自給率をアップする方法
◆栄養価はどれくらい違うか
◆値段の違いはどれくらいか
◆フードマイレージはどれくらいかかっているか
◆輸送距離、 輸送に伴う CO2 排出量はどれくらいか
◆軽油などのエネルギー資源消費に換算すると…
にまで関係する。
(2)探究計画を立てる。
・行政農政課は普及活動を兼ねて、気軽に相
◆いつ
◆どこで
◆誰に
◆何を
◆どのような方法で
談に乗っていただけるので、連携しやすい。
・取材活動やインタビューする場合は、相手
(3)探究活動を行う。
先に、事前に学習のねらい、質問内容など
◆農政課の方にインタビュー
◆地元農家の方にインタビュー
◆農林水産省の方に取材
◆消費者(家族など)にインタビュー
◆図書館で調査
◆インターネットで調査
を伝え、取材の了解を得ておく。
・フードマイレージや輸送に伴うCO2排出量は
下記のHP を活用すれば容易に求めることが
できる。
・入手した知識や情報をプレゼンテーション
(4)情報をまとめる。
を前提にまとめる。
◆情報を整理する。
《活用可能な外部支援》
food mileage.com http://www.food-mileage.com/calculator/
都道府県(市町村)農政課への出前授業依頼
有機栽培農家(無農薬栽培農家、減農薬栽培農家、エコファーム)
地元農業系NPO
38
スローフードで省エネしよう
(第 5 時/全 5 時限)
時 数
1
スローフード(郷土料理)弁当を作って、
エネルギー消費を比べよう!
時 間
ねらい
グループで協力して、スローフード弁当を作り、そこにかかるエネルギー消費量を計算し、地方産の場合と比較する。
評価のポイント
・地元の郷土料理を調べることができたか。
・スローフード給食のメニューを考え、調理実習計画を立てることができたか。
・学習したことをもとに買い物ができたか。
・地元産と地方 ・ 外国産の消費の違いをまとめることができたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
第五時では、グループで協力して、スローフード弁当を作り、そ
こにかかるエネルギー消費を計算し、地方産の場合と比較する。
(1) ∼ (5) の調理実習は〈家庭〉を活用する
・地域に伝わる郷土料理が見つかりにくい場合
(1)地元農産物を利用した郷土料理を調べる。
◆自分たちの地域に伝わる郷土料理を調べる。
◆地元の郷土料理サークルの方などに、その地方に伝わる郷
土料理とその作り方を教えてもらう。
は、地元の農産物を利用した料理でも良い。
・内陸部で魚介類を入手しにくい地域でも、地
元農産物にこだわらせたほうが学習のねらい
に迫りやすい。
(2)グループでスローフード給食のメニュー(主菜、副菜、汁もの、
・地域の料理サークルなどと連携をとると進め
デザート)を考え、作り方を調べる。
やすい。
◆グループでメニュー(主菜、副菜、汁もの、デザート)を
決める。
・栄養のバランスを考えさせる機会にもしたい。
◆主菜、副菜、汁もの、デザートの調理担当者を決める。
(3)どこでその食材を入手できるかを調べ、買い物に行く。
◆グループごとに買い物計画(店、分量、値段、日時など)
を立てる。
◆買い物をする。
・「エコ・クッキングノート」などを活用する。
(4)一人一品を原則に、調理実習を行う。
◆エコクッキングを心がけ、調理実習を行う。
(5)各グループで出来上がった料理を鑑賞(味見)し、感想を交
流する。
(6)自分たちの料理にかかったフードマイレージや輸送に伴う軽油
消費、CO2 排出量を、地方産 ・ 外国産の場合と比較する。
◆ food mileage.com にアクセスし、自分たちのフードマイ
レージや消費軽油量、CO2 排出量を算出する。
◆店頭に並んでいた他地域の場合を算出する。
◆表 ・ グラフにまとめ、その違いから分かることをまとめる。
39
・地元産の場合でも輸送にトラックが使われて
いることが多く、フードマイレージの HP で
算出することが容易である。
05
国土と発電
06
対象学年
∼国土を活かした発電∼
教科
小学校
5
社会
学年
単元
関連教科・単元
社会(1)
国土の地形や自然条件と人々の生活
6年理科 B 生命・地球
(4)土地のつくりと変化
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
発電所の分布には大きな特徴があることに興味をもち,それは国土の地形や自然条件が関係して
いることに関心をもつ。
思考・判断・表現
発電所の分布の特徴を発電方法との関係から考えることを通して,国土の地形や自然条件をとら
える。
知識・技能
いろいろな発電方法を知り,発電所の立地を調べることを通して,島国である我が国の地形的特
徴や自然条件を理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
人々の生活は,住んでいる地形や自然条件と深くかかわっている。例えば,沿岸部と山間部では発達する産業も異なるだ
けでなく,風俗習慣も違っている。第5学年の社会科では我が国の産業や人々の暮らしを学習することを通して,我が国
の国土を理解するものである。そのような国土理解の視点として,発電所は重要な役割を果たすものと考える。なぜなら
発電所は,その発電方法によって立地が限定されるからである。換言すれば,その立地条件は同時に国土の特徴と深く関わっ
ているからである。
●単元における展開例の位置づけ
本展開例で用いている発電所は,「水力」「地熱」「風力」「火力」「原子力」である。これらの発電所を国土理解の視点とす
るのである。「水力」は豊かな水資源と河川を,「地熱」は,有数の火山国であること。「風力」は,季節風や貿易風を,ま
た「水力」との関係から夏季と冬季の気候の特徴をとらえることができる。「火力」「原子力」は,水蒸気を冷却するため
に沿岸部に分布していることから,我が国が島国であることをとらえることができる。また「火力」では,石油や石炭,
天然ガスを船で輸送していることからもとらえることができる。これは,輸出入の学習へとつなぐことができるだろう。
本展開例では「太陽光発電」は用いていない。太陽光発電は日照時間との関係が深いが角度や風力などとも関係しており,
太平洋側に多く分布することは分かるが,第5学年の国土理解には難しいと思われる。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.発電所によって,分布に違いがあるのはなぜだろう。
1
1 「日本の発電所の分布図」を観て,気がついたこと
2 学習問題の設定
発電所によって,分布に違いがあるのはなぜだろう。
3 それぞれの発電所の発電方法
2.発電方法によって発電所の分布が違うのはなぜだろう。
1
1 発電所の分布の想起
2 学習問題の設定
発電方法によって発電所の分布が違うのはなぜだろう。
3 発電所の分布を発電方法との関係
4 それぞれの発電所の分布と,我が国の国土の特徴
40
国土と発電
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
1.発電所によって、分布に違いがあるのは
なぜだろう。
時 間
ねらい
発電所の分布に特徴があることに気付き,発電方法を知ることを通して発電方法と分布との関係に問題意識をもつ。
評価のポイント
・発電所の分布の特徴をとらえているか。
・発電の方法を理解したか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1「日本の発電所の分布図」を観て,気がついたことを発表する。 ○次の分布図を提示すると分かりやすい。
・「日本の発電所−全画面地図」または,
「エレクトリ
○水力発電所=山間部に分布
○地熱発電所=山間部に分布(東北・九州地方に多い)
○風力発電所=沿岸部に分布(瀬戸内海には見あたらない)
カル・ジャパン発電所マップ」を提示する。
○「日本の発電所−全画面地図」も「エレクト
○火力発電所=沿岸部に分布
リカル・ジャパン発電所マップ」も,それぞ
○原子力発電所=沿岸部に分布
れの発電所ごとに提示することもできるので,
発電所ごとの分布を観察させれば,その傾向
がよく分かる。
※「日本の発電所−全画面地図」には風力発電
所の分布は記載されていない。
・風力発電所は沿岸部に多く分布しているが瀬
戸内海には見当たらないことに気付かせてお
くことで,季節風との関係をとらえやすくなる。
2 学習問題を設定する。
○考えの根拠も発表させてみる。
発電所によって、分布に違いがあるのはなぜだろう
・水力発電所は水に関係しているので川の近くにある。
・地熱発電所が東北や九州に多いのはなぜだろう。
・火力と原子力が沿岸部にあるのは,海との関係があるのだろうか。
○太陽光発電を除いて,発電は発電機を回すこ
3 それぞれの発電所の発電方法について調べる。
○水力発電=水が落下する時のエネルギーで発電機を回す。
とによって行われていることをおさえ,発電
○地熱発電=地熱(主に火山活動)による熱水のエネルギーを
機を回す方法をとらえさせる。
用いて発電機を回す。
○風力発電=風車など風の力を利用して発電機を回す。
○火力発電=石油,石炭,天然ガス,廃棄物などを燃やし水蒸
※各発電方法を詳しく教えるのではない。
○発電方法については各地の電力会社をはじめ
電気事業連合会等のホームページを参照する
気を発生させて発電機を回す。
○原子力発電=原子核分裂で生じる大量の熱で水蒸気を発生さ
せて発電機を回す。
とよい。
・それぞれの発電方法について示した図を用い
る。
4 発電所の分布と発電方法を整理しながら次時予告とする。
41
06
06
国土と発電
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
2.発電方法によって発電所の分布が違うの
はなぜだろう。
時 間
ねらい
発電所の分布の特徴を発電方法との関係から考えることを通して,国土の地形や自然条件をとらえる。
評価のポイント
・発電所の分布と発電方法との関係をとらえているか。
・我が国の国土の地形や自然条件を理解することができたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 発電所の分布図を見て,前時の学習内容を想起する。
○発電方法を確認させる。
2 学習問題を確認する。
○発電方法と発電所の分布を次の資料を提示し
発電所によって、分布に違いがあるのはなぜだろう
とらえさせる。
・水力発電所=地図上からダムの地図記号を探
3 発電所の分布を発電方法との関係から考える。
○水力発電所=落下する水の力を利用するので河川の近くの山
させる。
・地熱発電所=我が国の火山フロントを示した
間部に多い。
○地熱発電所=マグマの熱を利用しているので火山帯に建設し
地図と比較させる。
・風力発電所=季節風と偏西風の風向を示した
ている。
○風力発電所=季節風や偏西風や颪(おろし)など年間を通し
資料を提示する。
・火力発電所=石油,石炭,天然ガスを運ぶ船
て風が吹いている沿岸部に多い。
○火力発電所と原子力発電所=海水で水蒸気を冷却し,再び水
の画像を提示する。太平洋ベルトと火力発電
所の分布を比較させ,火力発電は工業地帯や
として利用するので沿岸部に多い。
・火力発電所=石油,石炭,天然ガスなどを輸入し,船で運ん
でくるので沿岸部に多い。また工業地帯や工業
地域の近くに多い。
・原子力発電所=安全面を考えて,市町の近くに建設されてい
地域の電源となっていることをとらえさせる。
・原子力発電所=原子力発電所の立地条件を提
示し,
安全面に考慮していることをとらえさせる。
※原子力発電所の立地条件
◇地震、風、津波、地滑りなどにより大きな事
ない。
故が発生しないと考えられるところ。
◇原子力発電所と公衆の居住する区域との間に
適切な距離が確保されているところ
(原子力規制委員会資料より)
4 それぞれの発電所の分布から,我が国の国土の特徴をまとめる。 ○発電所の立地条件から我が国の国土の特徴に
ついてとらえさせる。
①島国であること
①海に囲まれた島国である。
・周りを海に囲まれている。
(火力発電所より)
・石油,石炭,天然ガスなどのエネルギー源は海外から船で運
ばれてくる。
(風力発電所より)
・海上から吹く風をさえぎるものがないので,季節風や偏西風,
貿易風など風が安定して吹いている。
42
・輸出入のほとんどは船で行っている。
国土と発電
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
②日本列島の中心部には背骨のような山脈が続いている。
(水力発電所より)
②背骨のような山脈
・日本列島の中央部は山地,山脈が背骨のよう
・山地や山脈に降った雨や雪で川ができ,その水の力を利用し
て発電している。
に連なっている。
・日本列島は南北に長く,東西に狭い。よって
・日本列島は東西に狭いので,日本海や太平洋に流れる川は短
いが急流であるため水力発電に適している。
川は短く流れは急である。
・季節風と山地,山脈により,夏は太平洋側に
(風力発電所より)
降水量が多く,冬は日本海側に多い。それが
・山が多いので山から吹き下ろしてくる風にも,地域によって
いろいろな名前で呼ばれている(例:六甲おろし)。
我が国の豊かな水資源となっている。
・中国山地と四国山地に囲まれた瀬戸内海は四
季を通じて降水量が少なく,また風力発電機
を回すほどの風が吹かない理由である。
③火山が多い
③我が国は世界有数の火山国である。
・日本列島は環太平洋火山帯に属している。
(地熱発電所より)
・日本中に火山がある。地熱で生じた温泉を日本人は楽しんで
いる。
・火山特有の地形や景観は多くの国立公園や国定公園に指定さ
※この段階から,総合的な学習の時間「地熱発
電」へつなぐこともできる。
れている。
●その他参考資料等
〈発電所の分布〉
「日本の発電所−全画面地図」
http://map.ultra-zone.net/japan_power_plant
「エレクトリカル・ジャパン発電所マップ」
http://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-japan/
〈発電所の立地〉
「発電所はどこにあるの?四国電力」
http://www.yonden.co.jp/life/kids/teacher/siryou/pdf/forteacher _04.pdf#search='%E6%B0%B4%E5%8A%9B%E7%
99%BA%E9%9B%BB%E3%81%AE%E5%88%86%E5%B8%83'
〈火山に関すること〉
「一般財団法人国土技術研究センター JICE」
http://www.jice.or.jp/quiz/kaisetsu_13.html#01
「電気事業連合会」
http://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/water/index.html
〈原子力発電所の立地条件等〉
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/sekkei/sekkei2.html
《活用可能な外部支援》
各電力会社
43
06
日本の戦後復興を支えたエネルギー
07
対象学年
教科
小学校
6
社会
学年
単元
関連教科・単元
社会(1)我が国の歴史上の主な事象
ケ 戦後の国民生活の向上
時間数
10
目 標
関心・意欲・態度
戦後の復興の様子について意欲的に調べ、よりよい社会の発展について自分の考えを表そうとし
ている。
思考・判断・表現
高度経済成長の頃の生活の様子を、暮らしの豊かさと暮らしを支えるエネルギーとを関連付けて
考えることができる。また、環境に関する問題に目を向けることができる。
知識・技能
戦後,我が国が平和的・民主的な国家になるために様々な改革を行って復興してきたことやエネ
ルギー消費に支えられて経済発展してきたことを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
戦後わずかな期間で日本は経済発展を遂げている。1955 年から 1970 年代初頭までを高度成長期と呼んでいる。この時
期の経済成長率は年平均 10%に達している。国民総生産はわずか 15 年で 4 倍以上に拡大している。この世界に例を見な
い経済成長によって,日本は「経済大国」に発展していった。1964 年には東京オリンピックが開催され、復興の象徴とさ
れている。東京オリンピック開催年には東京・大阪間を 4 時間で走る東海道新幹線が開通した。また、1963 年には名神高
速道路の一部(栗東・尼崎)が完成し、1969 年には東名高速道路(東京・小牧)が開通した。こうして日本は高速大量輸
送の時代に入り、都市と農村の距離が縮小し、全国の均一化が進んでいった。このような社会背景の中、国民の生活は大
きく変化した。「三種の神器」と呼ばれる電気洗濯機,電気冷蔵庫,白黒テレビが急速に普及し,更に,1970 年代以降には「3
C」と呼ばれるカラーテレビ,自家用車,クーラーが普及し,物質の面で大変豊かになった。本単元では、このような経
済成長がエネルギー消費に支えられていることを捉えさせていきたい。また。東日本大震災からの復興などこれからの日
本の課題やよりよい発展について考えさせていきたい。
●単元における展開例の位置づけ
本単元は日本が独立を回復し、経済成長を遂げていく中で、人々の暮らしがどのように変化し、どのような問題が生ま
れたのかを具体的に調べ、考えさせていくことをねらいにしている。
展開例 1 は「戦争が終わってから,どのようなことがあり,日本は,どのように変わっていったのでしょうか。」という
単元全体の学習問題をつかむ段階と、戦後復興について調べる段階である。ここでは終戦直後の日本の様子と高度経済成
長期の日本の様子や今の日本の様子を比べさせることによって、工業生産量の変化、エネルギー生産量の変化、電気製品
の普及の様子への関心を高めたい。
展開例 2 は「東京オリンピックが開かれ、日本はどのように発展したのでしょうか。
」という学習問題である。当時の
「電気洗濯機,電気冷蔵庫,白黒テレビ」と国民生活について考えさせていきたい。さらに、発電所の建設の歴史にも触れ、
暮らしとエネルギーについて考えさせたい。
展開例 3 は「これからの日本は、どのような国をめざしていったらよいのでしょうか。」という学習問題である。現在の
日本が抱える問題や果たすべき役割について調べ,考えたことを話し合う内容であるが、国際関係に加えて、経済発展が
もたらした問題をエネルギー環境的な視点から考えさせていきたい。また、歴史の最終単元として実施する場合は、歴史
学習を振り返るような展開にしたい。
44
日本の戦後復興を支えたエネルギー
展 開計画 全 10 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
日本の独立と人々の暮らしの変化
4
終戦直後の日本の様子と,高度経済成長期の日本の様子、今の日本の様子を比べ、その復興の様子を具体的につかむ
ことができるようにする。
・戦後の日本がどのように変わったのかを 3 枚の写真を見比べたり、視聴覚映像を見たりして話し合う。
・日本はどのようにして戦後から立ち直ったのか、資料をもとにまとめて、発表する。
・戦後復興に果たした工業生産の役割について考える。
高度成長の中の東京オリンピック
2
東京オリンピックが開かれた頃の日本の国民生活の変化を、複数の資料をもとに具体的につかむことができるように
する。
・東京オリンピックが開かれた頃の様子について調べたことをまとめて、発表する。
・電気洗濯機,電気冷蔵庫,白黒テレビの普及率から、その当時の暮らし方を考える。
・国民の生活の変化とエネルギー生産量の変化のグラフと関連付けて考える。
・発電所建設年表で暮らしと電気の関連を考える。
暮らしの変化と新たな問題 これからの日本を考えよう
4
国内での変化の結果として生じてきた問題に目を向けさせ、これまでの学習を振り返りながらこれからの日本の目指
すべき方向への考えを深めることができるようにする。
・急激な工業化と社会発展の一方で起きた問題について調べて発表する。
・現在の日本が抱える問題や果たすべき役割について調べ,考えたことを話し合う。
・オリンピックに向けて発信していく日本のよさやに自分たちが望む未来の日本について互いに意見交流を図り、これからの
日本に対する自分の考えをまとめる。
45
07
07
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 1 ∼ 4 時/全 10 時限)
時 数
4
日本の独立と人々の暮らしの変化
時 間
ねらい
終戦直後の日本の様子と,高度経済成長期の日本の様子、今の日本の様子を比べ、その復興の様子を具体的につかんで
学習問題を立てることができるようにする。
評価のポイント
・戦後復興の様子について理解を深めたか。
(理解に関する目標)
・日本はどのようにして戦後から立ち直ったのか、進んで資料をもとにまとめて、発表することができたか。
(態度に関
する目標)
・戦後の日本がどのように変わったのかを資料をもとにして、具体的に考えをもち、話し合うことができたか。
(能力に
関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○戦後の日本がどのように変わったのかを3枚の写真を見比べた
り、ビデオを見たりして話し合う。
・戦後すぐの写真と1960年代ぐらいの写真、今
まちの変化について話し合い、学習問題をつくりましょう。
・戦後間もない時期や60年代、現在の日本の様
の写真を提示する。※資料集などを使用する。
子の具体的な比較を通して考えるよう助言す
る。
○学習問題を立て、学習を計画する。
・話し合ったことをもとにして、学習問題を立
予想される学習問題
☆日本はどのようにして戦後から立ち直ったのか調べよう
てるよう助言する。
・個人がテーマに基づき調べ学習を展開してい
☆日本の国民生活の変化を調べよう
く方法もある。
★戦後の国際関係はどのようになったのか調べよう
・本指導計画のテーマは☆なので★は後で扱う
☆暮らしの変化によって生じた問題を調べよう
ように計画する。
○学習問題を確認する。
単元全体の学習問題
戦争が終わってから,どのようなことがあり,日本は,どのよう
に変わっていったのでしょうか。
・予想を類型化することで、今後の学習の見通
○年表をもとに予想を話し合い、学習計画を立てる。
しがもてるようにする。
・日本は戦争のない平和な国になったのではないか。
・日本は国際社会にもどれたのではないか。
・日本は,オリンピックが開けるほど,世界に認められるように
なったのではないか
○次時の学習問題をつかむ。
○前時の学習内容を振り返り、今日の学習問題を確かめる。
戦争の後、日本ではどのような改革が行われたのでしょうか。
・日本国憲法の制定、3つの柱、男女平等、言
論思想の自由、軍隊の解散、財閥解体、女
性の参政権、教育制度などの戦後改革を調
べさせる。
46
日本の戦後復興を支えたエネルギー
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○戦後に行われた様々な改革によって国民の生活はどのように変
わったのか話し合う。
・新しく日本国憲法ができた。
・民主化することで、一人一人が国や生活をよくしようと考え行
動できるようになった。
・戦争のない平和な国に変わっていった。
・女性が選挙に参加できるようになったのも民主化の一つだ。
・教育制度が変わった。
○次時の学習問題をつかむ。
○前時の学習内容を振り返り、今日の学習問題を確かめる。
日本が世界の仲間にもどるまでには、どのようなことがあったの
でしょうか。
・「サンフランシスコ平和条約」や「国際連合
への加盟」「産業の復興」について調べ,年
表にまとめさせて、復興の様子を捉えさせる。
○第2次世界大戦後の世界の様子と日本の独立について調べたこ
とを基に話し合う。
・1951年に48か国と平和条約を結んだ。
・1952年に占領が終わり,主権を回復した。
・沖縄はまだアメリカに占領されたままだ。
・ソ連や中国などの国とは,平和条約を結ぶことができなかった。
・1956年に国際連合への加盟が認められた。
・アメリカの協力や国民の努力によって産業が復興し,生活が向
上した。
○次時の学習問題をつかむ。
○前時の学習内容を振り返り、今日の学習問題を確かめる。
産業の発展により国民生活にはどのようなよい変化があったので
しょうか。
○産業別の就業者割合の変化、工業生産量の変化、エネルギー生
産量の変化の様子を全員で確認し、戦後復興に果たした工業生
産の役割について考える。
年
1955
1965
1975
1985
就業者割合(国勢調査)
第1次 第2次 第3次
41.1% 23.4% 35.5%
24.7% 31.5% 43.7%
13.8% 34.1% 51.8%
9.3% 33.1% 57.3%
工業生産額の
変化
一次エネルギー
供給実績
6 兆 8 千億円
29 兆 5 千億円
127 兆 4 千億円
268 兆 5 千億円
2,800PJ
7,000PJ
15,500PJ
17,000PJ
PJ =原油約 25,800kl の熱量
・電化製品(三種の神器)の保有率が伸びたということは、買う
お金があったということなので、経済がよくなっていった。
・電気洗濯機の保有率が高くなったので、
その分働く時間ができた。
・アメリカとの貿易額が1番大きいので、日本の経済発展にはア
メリカが大きく関わっている。
・若い人のほうがたくさん働けるから、重宝されていたと思う。
まさに金の卵だ。
○次時の学習問題をつかむ。
47
・経済成長について調べ、本指導計画のテーマ
である「戦後復興に果たした工業生産の役
割」について考える。
07
07
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 5 時/全 10 時限)
時 数
1
高度成長の中の東京オリンピック(1)
時 間
ねらい
東京オリンピックが開かれた頃の日本の国民生活の変化を、複数の資料をもとに具体的につかむことができるようにする。
評価のポイント
・東京オリンピック開催前後の国民生活の変化についての理解を深めることができたか。(理解に関する項目)
・東京オリンピックの開催や産業の発展について進んで調べることができたか。(態度に関する目標)
・東京オリンピックの開催と,それに関連するできごとを調べ,当時の人々の気持ちについて考えることができたか。
(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○戦後の国際社会の変化や日本の独立について年表をもとに振り
返り、今日の学習問題を確かめる。
東京オリンピックが開かれ,日本はどのように発展したのでしょ
うか。
○東京オリンピックが開かれた頃の様子についてについて調べて
きた資料をもとにしてまとめる。
・東京オリンピックが開催されるまでの、国際
関係や国内の変化について年表を用いて確認
する。
・事前学習で資料を集めておかせるとよい。
予想される学習問題
・本や、写真集、記録映像などを活用する
・父母や祖父母から聞き取りをしたことをもとにする
○調べてまとめて分かったことを発表する。
・複数の資料をもとに便利になった家庭生活を
・地下鉄、高速道路、新幹線が整備されたので、移動時間が短く
捉えさせていきたい。
なり生活が便利になった。(国民)
・交通網の整備など様々な工事があったので、仕事が増え、給料
がもらえたので、生活が向上した人たちがいた。(国民)
・父母や祖父母の話を聞くなど具体的に生活を
つかまえさせたい。
・予算をたくさんかけていたので、それだけオリンピックにかけ
る思いが強かった。(日本)
・きれいな日本や発展した日本をアピールしたので、外国の人か
ら評価された。(日本)
・日本選手が活躍することで、日本人もやればできるという気持
ちをもてた。(国民)
○戦後日本が復興した様子を世界の人々に伝えるようなフリップ
づくりをする。
・絵や簡単な文でオリンピックに向けて日本が
戦後の復興を果たした様子が分かるようなフ
リップを作成させる。
○次時の学習問題をつかむ。
48
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 6 時/全 10 時限)
時 数
1
高度成長の中の東京オリンピック(2)
時 間
ねらい
東京オリンピックが開かれた頃の日本の国民生活の変化を家電製品の普及率をもとに考え、電力供給に結びつけて考え
ることができるようにする。
評価のポイント
・国民の生活の変化がエネルギー供給の努力に支えられていることへの理解を深めることができたか。
(理解に関する目標)
・人々の暮らしと社会の変化について、資料を活用したり、聞き取りを行ったりして進んで調べることができたか。
(態度に
関する目標)
・電気洗濯機、電気冷蔵庫、白黒テレビの普及率から、その当時の暮らし方について考えをもつことができたか。
(能力に関
する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○電気洗濯機,電気冷蔵庫,白黒テレビの普及率グラフを全員で
確認し、その当時の暮らし方を話し合う。
・掲示物に、電気洗濯機電気冷蔵庫、白黒テレ
ビの普及グラフや写真を用意する。
・話し合い後に、家庭におけるエネルギー利用
の変化グラフを提示する。
・テレビの普及率は、72年までは白黒テレビで73年からはカラー
テレビである。累計としてのテレビの普及率は68年以降100%
・一世帯あたりの電力消費量の推移グラフを用
意する。
に近い。
・
『かがやけ!みんなのエネルギー』を活用する。
○今日の学習問題を確かめる。
・電気事業連合会や資源エネルギー庁のホーム
家電製品の普及に伴い、電気使用量は上がりましたが、どのよう
に発電量を増やしていったのでしょうか。
○国民の生活の変化を電力消費量の変化の様子と関連付けて考える。
○発電所建設の歴史や、発電設備機械の推移を調べて、暮らしと
電気の関連を考える。
○次時の学習問題をつかむ。
49
ページを活用する。
07
07
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 7 時/全 10 時限)
時 数
1
暮らしの変化と新たな問題(1)
時 間
ねらい
急激な工業化と社会発展の一方で起きた問題や暮らしの変化によって生じたエネルギーや環境の問題についての考えを深め
ることができる。
評価のポイント
・高度経済成長が豊かさをもたらした側面とともに公害や、環境の問題が生じたことに対する理解が深まったか。(理
解に関する目標)
・急激な工業化と社会発展の一方で起きた問題について進んで調べることができたか。(態度に関する目標)
・社会発展の一方で起きた環境問題や「豊かな暮らし」を支えているエネルギー供給について自分なりの考えをもつこ
とができたか。(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○第1時に使用した3枚の写真を提示し、東京オリンピックが開か
れた頃の日本の国民生活の変化を振り返るとともに、今の生活
との違いを話し合う。
・戦後すぐの写真と1960年代ぐらいの写真、今
の写真を提示する。
60年代「三種の神器」(電気洗濯機,電気冷
蔵庫,白黒テレビ)
○今日の学習問題を確かめる。
急激な工業化と社会発展の一方で起きた問題や暮らしの変化に
よって生じたエネルギーや環境の問題を調べよう
70年代「3C」(カラーテレビ,自家用車,
クーラー)
現在「新・三種の神器」
○急激な工業化と社会発展の一方で起きた問題について調べたこ
とをまとめて発表する。
(デジタルカメラ・DVDレコーダー・薄型大
型テレビ)の写真を掲示する。
・発電電力量の推移グラフを掲示する。
予想される学習問題
・環境破壊に関する課題
・公害に関する課題
・エネルギー供給に関する課題
・都市の人口増加に関する課題
・農村に関する課題
○調べてまとめて分かったことを発表する。
○現在の生活と関連させて考える。
○次時の学習問題をつかむ。
・工業化による問題がつかめるような写真を提
示する。
・事前学習で資料を集めておかせるとよい
・石油危機を経て電力の安定供給を求めて原子
力発電が建設されたことを押さえる。
・東日本大震災前後での電源構成の違いについ
て考えさせる。
・その他の問題について考えていくことを予告
する。
50
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 8 時/全 10 時限)
時 数
1
暮らしの変化と新たな問題(2)
これからの日本を考えよう
時 間
ねらい
国内での変化の結果として生じてきた問題に目を向けさせ、これまでの学習を振り返りながらこれからの日本の目指すべき
方向への考えを深めることができるようにする。
評価のポイント
・日本は世界の中でも平和で豊かな国の一つになったが,東日本大震災からの復興をはじめ,人権,領土,社会保障など
の問題が残されていることに対する理解が深まったか。
(理解に関する目標)
・平和で民主的な国家の一員として,日本が抱える問題や,よりよい社会のあり方について考えようとしている。(態度
に関する目標)
・「豊かな暮らし」と「社会問題」との関係について自分なりの考えをもつことができたか。(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○前時までの学習内容を振り返り、今日の学習問題を確かめる。
・様々な改革が行われた。
・国民が努力して復興していった。
・国際社会にも認められるようになった。
・国をよくしていこうと努力していた。
・よりよい日本を目指したいという思いがあった
これからの日本は,どのような国をめざしていったらよいので
しょうか。
○現在の日本が抱える問題や果たすべき役割について調べ,考え
たことを話し合う。
・児童の生活経験や関心の傾向などを考慮して,
話し合う話題を決定するようにする。
〈国内の問題〉
・調べた事実に基づかせてこれからの日本のあ
・人権や差別の問題
り方を考えさせる。
・農村に関する課題・食料自給率の問題
・東日本大震災からの復興・原子力発電所事故の問題
・都市の人口増加に関する課題・エネルギー自給率の問題
・話し合いはグループで行ってもよい。その場
合は全体で報告会を行い、内容を共有する。
・環境問題
〈外国との関係に関する問題〉
・沖縄のアメリカ軍基地・領土をめぐる問題
〈世界の問題〉
・戦争、紛争と平和・核開発・環境
○調べてまとめて分かったことや自分の考えを発表する。
○次時の学習問題をつかむ。
51
07
07
日本の戦後復興を支えたエネルギー
(第 9 ∼ 10 時/全 10 時限)
時 数
2
暮らしの変化と新たな問題(3)
これからの日本を考えよう
時 間
ねらい
これまでの学習を振り返りながらこれからの日本の目指すべき方向への考えをさらに深めることができるようにする。
評価のポイント
・1964年の東京オリンピック当時の社会と今の社会との、暮らし方、エネルギー消費、環境配慮に関する考え方等の変
化に対する理解が深まったか。(理解に関する目標)
・PRフリップ作りを通して,よりよい社会のあり方について考えようとしている。(態度に関する目標)
・日本の未来について自分なりの考えをもつことができたか。(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・1964年オリンピックのPRフリップ作りを振
○学習問題を確認する。
オリンピックを前にして世界に日本をPRしよう。
り返る。
・日本のアピールポイントに目を向けさせる。
○アピールポイントを決める。
・一人一人が日本の歴史や今に触れながらこれ
①日本の歴史②日本の今③日本の未来とする。
からの日本についてプレゼンテーションをす
ることを伝え、意欲化を図る。
○紹介したい日本の史実や文化財を発表し合う。
・1960年オリンピックのPRフリップと比較で
○今の日本や未来の日本について前時の学習を振り返る。
○日本をPRするフリップを作る。
きるように作成させてもよい。
・電化製品の変化、町の変化、工業生産、電源
構成の変化等1960年代と比較したフリップを
作るようにさせ、半世紀の日本の成長を感じ
させる。
・「かがやけ!みんなのエネルギー」を活用し、
未来社会について考えさせる。
○一人一人がプレゼンテーションを行う。
・時間がなければ、掲示発表とする。
○学習を振り返る。
●その他参考資料等
「荘川桜に学ぶ」日本教育新聞
「かがやけ!みんなのエネルギー」 公益財団法人 日本科学技術振興財団
エネルギー資源に関する情報
石油連盟 h ttp://www.paj.gr.jp/
電力に関する情報
電気事業連合会 h ttp://www.fepc.or.jp/
原子力に関する情報
日本原子力文化振興財団 http://www.jaero.or.jp/
原子力百科事典 ATOMICA 一般財団法人 高度情報科学技術研究機構
52
〈理科〉
53
自然の力ってすごい!
08
(太陽や風のはたらき)
対象学年
教科
小学校
3
理科
学年
単元
関連教科・単元
理科 A 物質・エネルギー
(2)風やゴムの働き、
(3)光の性質
時間数
4
目 標
関心・意欲・態度
光や風の持つエネルギーに関心を持ち、与えられた条件以外の条件で光や風の持つエネルギーが
どのように変化するかなど、意欲的に実験に取り組む。
思考・判断・表現
どのように鏡を工夫すれば熱がより集まるかを考え、判断する。
風の強さの違いによって、働く力がどう変化するかを考える。
知識・技能
光は熱に変換することができることを感覚的にとらえる。
知識・技能風の力で物を動かせること(風のエネルギー)を知る。
単元における視点
●展開例の趣旨
風によって物が動いたり、太陽によって物が温まったりという日常的な現象をいつもとは違った角度で捉え追究すること
を通して、エネルギーが変換するというイメージを持つとともに、それらについての理解を図り、風や光のエネルギーに
ついての見方や考え方を持つことができるようにするのが、本授業案のねらいである。
●単元における展開例の位置づけ
第 3 学年のA物質とエネルギーの内容のうち(2)風やゴムの働き、(3)光の性質に相当する。
学習指導要領において、3 種類以上のものづくりを行うとされており、本授業案では、帆車とソーラークッカーの 2 種類
のものづくりを提案する。
展開計画 全 4 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
風のエネルギーってなんだ?
2
風が空気の流れであることを知り、風によって物体が運動することから風の持つエネルギーを感覚的にとらえる。
・どのようにしたら風が起こるのか、風の強弱はどのように変化するのかを、2 人 1 組で「うちわ」を使って体験する。
・台風などによる強風の被害や風車が回ることなどから、風によって物体が運動することを感覚的にとらえる。
・帆車を用いて競争を行う。帆が小さい場合、大きい場合でどのような違いがあるかを確認する。
光を集めてみよう!
1
鏡を用いて光の進路を変えられることから、光を集中させると①明るさ②温かさなどが変化することを学ぶ。
・校庭に出て鏡を使って光を反射させ、光を集中させたときに明るさや温かさにどのような変化があるかを確認する。
・集中させた光を手に当ててみて、使う鏡の数による違いなどで明るさや温かさにどのような変化があるかを確認し、光が熱
になっていることを捉える。
光で料理しよう!
1
ソーラークッカーを用いて,光エネルギーが熱エネルギーに変化するということをより身近な現象として感覚的に捉える。
・ソーラークッカーを用いて、実際に目玉焼きを調理してみる。
・ソーラークッカーがどのような時に特に役に立つかを考え、太陽からの光エネルギーの有用性を考える。
54
自然の力ってすごい!
(第 1 ∼ 2 時/全 4 時限)
時 数
2
風のエネルギーってなんだ ?
時 間
ねらい
風が空気の流れであることを知り、風によって物体が運動することから風の持つエネルギーを感覚的にとらえる。
評価のポイント
・どのようにしたら風が生じ、変化するかを説明できる。
・風が発生する条件を変えることで風も変化することを探求する場面で、様々な条件を試してみることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
使用する教材・資料:台風のニュース映像
〈第1時〉
等・うちわ
・台風の映像などを観賞
屋根や車などが動く様子を見て、強い風には物を動かす力があ
・車を投げ飛ばすことができるか、などと問
いかけることにより、日常的な概念と
ることを知る。
風の威力を関連して考えることができるよ
・うちわを用いて、風の性質を知る①
配布したうちわを使って、弱い風でも髪などの軽い物体ならば
うにする。
・どんな風にもエネルギーがあることをイ
動かすことができることを知る。
メージさせる。
・うちわを用いて、風の性質を知る②
どのように仰ぐと強い風を生み出すことができるのか、2人1組
・大きなうちわや小さなうちわも相当数準備
し、必要に応じて使わせる。
になって追究する。
帆車
〈第2時〉
使用する教材・資料:ボール紙 2 枚
(シャシー・
・帆車レース
帆車の帆の大きさを変化させることによって、どのように動き
帆 19cm × 10cm)
・ペットボトルキャップ 4
が変化するかをレースにより観察する。(風船を張り付けたり、
個・竹ひごとストロー 2 本ずつ(車軸)
・両
プロペRUN を用いると、うちわで風を送るだけでなく、車か
面テープ
・複数回レースを行い、一回目に勝った子の
ら出る風でも動くことを観察できる。)
条件は変えずに、うちわを大きくするなど
の工夫をして2回目のレースを行う。
《活用可能な外部支援》
プロペRUNキット
(「プロぺRUN」
で検索可)
http://www.kenis.co.jp/onlineshop/2012/05/1110715.html
55
08
08
自然の力ってすごい!
(第 3 時/全 4 時限)
時 数
1
光を集めてみよう!
時 間
ねらい
鏡を用いて光の進路を変えられることから、光を集中させると①明るさ②温かさなどが変化することをとらえる。
評価のポイント
・鏡をどのような向きにすれば、光路を変化させることができるのかを理解し、思った場所に光を集めることができる。
・鏡の枚数を変える・投影する壁から鏡までの距離を変えるなど、自分たちで工夫することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
使用する教材・資料:鏡、OHP
・鏡の向きと反射
OHPの光を影になっている壁に反射させ、鏡の向きと反射の角度
・本実験を通して、鏡を用いるが、落として
割らないように注意するとともに、反射さ
とを知る。
せた光を人に向けないようによく注意する。
・光を操ろう!
校庭に出て、太陽光を反射させその様子がどのように変化するか
を観察する。
・遠くの壁に充てた場合、2枚の鏡を用いた場
合など条件を変えてやってみるように促す。
・何人かのグループで光を反射させて的当て
などを行ってもよい。
・光を集めてみよう!
光を集中させ、それを手に当ててみて、光が熱になっていること
を捉える。
・使う鏡の数による違いなどで熱がどのよう
に変化するかを確認するよう促す。
56
自然の力ってすごい!
(第 4 時/全 4 時限)
時 数
1
光で料理しよう!
時 間
ねらい
ソーラークッカーを用いて、光エネルギーが熱エネルギーに変化するということをより身近な現象として感覚的に捉える。
評価のポイント
・光が熱になるということを理解し、光のエネルギーの有用性について考えることができる。
・光エネルギーの熱エネルギーへの変換を身近な現象として捉える事が出来る。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
使用する教材・資料:段ボール・アルミホイル
・ソーラークッカーの作成
斜めに切った段ボール箱にアルミホイルを綺麗に張り付ける。
光が中央に集まるように工夫して段ボールを組み合わせる。2
つ作る。
・非常に熱くなるので、火傷には十分に注意
する。
・アルミホイルを綺麗に張らなければいけな
・料理してみよう!
作ったソーラークッカーを日のあたる場所に置き、フライパンを
置いて、温まるのを待つ。このとき、もう一方のソーラークッ
い理由なども発問によって考えさせる。
・デモンストレーションとして、教員が食べ
カーではビーカーに入れた水を温め、温度を測る。フライパンが
てもいいが野外調理ということもあり児童
十分に温まったら、油をひき卵を落として、調理する。
には食べさせない。
《活用可能な外部支援》
足利工業大学総合研究センター(ソーラークッカーについて)
(「足利工業大学ソーラークッカー」
で検索可) http://www2.ashitech.ac.jp/crc/solar.html
57
08
明かりをつけよう
09
対象学年
教科
小学校
3
∼電気を通すもの通さないもの∼
理科
学年
単元
関連教科・単元
理科 A 物質・エネルギー
(5)電気の通り道
4 年理科 A(3)電気の働き
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
豆電球を点灯させるにはどうしたらよいかに関心を持ち、電気の通り道と電気の流れを意識する。
思考・判断・表現
物が電気を通すかどうか考え、判断ができるようになる。
豆電球の正しいつなぎ方を判断できるようになる。
知識・技能
回路を作成することができるようになる。
電気を通すもの、通さないものの特徴をまとめることができるようになる。
単元における視点
●展開例の趣旨
豆電球と電池をつないで、正しい回路を作ると電気のエネルギーが豆電球に使われ明かりがつくことを知り、電気が流
れるには、通り道がつながって「回路」ができていることが必要なことに気付かせる。
●単元における展開例の位置づけ
「電気の通り道」の単元は回路の考えを理解して、その後の電気及び電池の学習の基盤となるものである。
本展開例は学習指導要領「A物質・エネルギー」中のものづくりを含む内容として(5)
「電気の通り道」の学習を展開し、
ア、イを学ぶとともに今後の電気エネルギーについての関心を喚起することを狙った。
ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること。
イ 電気を通すものと通さないものがあること。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
豆電球をつけてみよう
豆電球と電池を使い回路を作る。
明かりをつけたり消したりできる装置を作る(ものづくり)
1
・第1時では電気の通り道を知る。(ショートについて最初に注意すること)
・回路はつながっている必要があることを知る。
・電池の+と−をつなぐ必要があることを知る。
・物作り: 電池と豆電球をつないだ後固定し、導線の間に物をいれると電気を通すか通さないか調べられる装置を次回作成す
るが、そのデザインを考える。
電気を通すか調べよう
1
電気を通すもの、通さないものについて調べ、回路について考える。
・第2時では明かりをつけたり消したりできる装置を作り、電気を通すものと通さないものについて知る。
・予想を立てさせる。結果をまとめさせる。
・実際に校庭や校内において、電気を通すもの、通さないものについて調べてみる。
58
明かりをつけよう
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
豆電球をつけてみよう
時 間
ねらい
電気の通り道を知る
評価のポイント
※光るために必要なエネルギーについてふれる
・豆電球の点灯には正しい回路が必要なことを理解できる。
・豆電球がつく⇒電気が通っているということを理解できる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
配布された豆電球と電池の絵が書かれたプリントに、つなぎ方を
考え、書きこむ。
豆電球と電池の絵が書かれたプリントを配布
配布された豆電球と電池で、プリントに考えたつなぎ方で豆電球
が点灯するか実際に調べる。
豆電球と電池を配布する。
豆電球が点灯したつなぎ方、点灯しなかったつなぎ方をノートに
書く。
ショートについての注意をして、やってはい
電池の+極と−極をつなぐことにより豆電球が点灯することを確
認し、電気の通り道「回路」についてまとめる。
用いる豆電球はソケットのついた導線付きの
する。
けないつなぎ方を教えておくこと。
もの。ソケットにしっかりはまっているのかを
確認すること。
※発展 ソケットのない裸豆電球と導線によって点灯についての
観察を行う。
まとめ 豆電球が点灯するためには電池のエネルギーが必要で、
また回路となっていることが重要である。
次時限には、電気を通すか通さないか調べる装置を作成するため、
時間の終わりにデザインを考えておく。
59
09
09
明かりをつけよう
(第 2 時/全 2 時限)
時 数
1
電気を通すか調べよう
時 間
ねらい
電気を通すもの、通さないものについて知る。
評価のポイント
・電気を通すもの、通さないものがあることを理解する。
・実際に様々な物に関して電気を流し、通すか、通さないかの判断ができるようになる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
本時は、電気を通すもの、通さないものがあることを学習する。
豆電球、ワニ口クリップ、電池、テープ、箱
電気を通すか、通さないか調べる装置を作成する。
箱に絵を描くなどの時間を作ってもよい
どのようなものが電気を通すのか考える。
児童たちにまとめさせ気付かせる。
配布されたハサミ、アルミホイル、サランラップなどで、教
室内で電気を通すもの、通さないものについて調べる。
(グルー
プで行い、プリント等にまとめる)
電気を通すもの
電気を通さないもの
⇒ グループで共通項をあげる。
⇒ グループで共通項をあげる。
終了時に調べてきたものを黒板に板書し、先
生がまとめる。
どのようなものが電気を通し、通さないのか予想をたてた後、実際
に校内、校外へ場所を移し実験を開始する。
60
どうしたら電気の働きを大きく
できるかな?
10
(電気のはたらき)
対象学年
教科
小学校
4
理科
学年
単元
関連教科・単元
理科 A 物質・エネルギー
(3)電気の働き
5年理科 A 物質・エネルギー(3)電流の働き
6年理科 A 物質・エネルギー(4)電気の利用
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
豆電球の明るさを変化させることに興味・関心を持ち、電気の働きについて進んで調べる。
思考・判断・表現
乾電池のつなぎ方と流れる電気の量の関係を、乾電池の中に入っている電気を水に置き換えて考
えることができる。
知識・技能
乾電池の数やつなぎ方を変化させると、豆電球の明るさが変化することから、電気の働きの大き
さが違うことを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
どうしたら豆電球の明るさとモーターの回り方をより大きくすることができるかを調べていく中で、「明るさ・回り方」
と「乾電池の数」を関係付けていく。また、「乾電池の数」だけでなく、「乾電池のつなぎ方」にも関係付けていく。
さらに、乾電池の中に入っている電気を水に置き換えて考えることにより、視覚的に電気の働きや性質について理解で
きるようにする。 これらの活動を通して、乾電池のつなぎ方によって、働きが大きくなる場合と、働きは大きくならなく
ても長持ちする場合があることに気づかせ、電気の働きを「エネルギーの活用」という視点から捉えられるようにしていく。
●単元における展開例の位置づけ
「電気の働き」の単元は、直列つなぎと並列つなぎを扱うものであり、この後の「電流の働き」「電気の利用」の学習の
基盤となるものである。
本展開例は、学習指導要領A物質・エネルギー(3)電気の働き「乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ、
乾電池や光電池の働きを調べ、電気の働きについての考えをもつことができるようにする。ア 乾電池の数やつなぎ方を
変えると豆電球の明るさやモーターの回り方が変わること。」の2時間と位置づけ、電気の働きや性質についての考え方を
養うことをねらいとする。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
乾電池の数と働き
1
乾電池のつなぎ方と働く量の関係を知る
・豆電球の明るさをより大きくするための乾電池2個のつなぎ方を考える
・直列つなぎと並列つなぎについて理解する
「直列」と「並列」どちらが長持ち?
1
電池が長持ちするつなぎ方を知る
・直列つなぎより並列つなぎの方が長持ちすることを、乾電池の中に入っている電気を水に置き換えて考える
62
どうしたら電気の働きを大きくできるかな?
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
乾電池の数と働き
時 間
ねらい
乾電池のつなぎ方と働く量の関係を知る
評価のポイント
・豆電球の明るさをより明るくするための乾電池2個のつなぎ方に関心を持ち、進んで調べようとしているか
・「豆電球の明るさ」と「乾電池の数やつなぎ方」とを関係付けることができたか
・直列つなぎと並列つなぎについて理解することができたか
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
電気の働きを大きくするにはどうしたらよいか考える。
〈用意するもの〉
・乾電池1個のときの豆電球の明るさを確認する
・+極と−極を変える→電流には向きがあることに気付く
・豆電球の明るさをより明るくするにはどうしたらよいか考える
・豆電球の明るさをより明るくするための乾電池2個のつなぎ方
を考える
・考えた方法で実験→乾電池1個と2個のときの豆電球の明るさ
の違いを比べる
単 3 電池、電池 BOX、豆電球(ソケット含)
、
実験結果をまとめる。
・乾電池1個のときと明るさがあまり変わら
・わかったことを簡単に発表する
・電球がつかないつなぎ方があることに気付く
・つなぎ方により明るさに違いがあることに気付く
・つなぎ方の説明→「直列つなぎ」と「並列つなぎ」について説
明を受ける
・どれも乾電池を2個使っているのに、どうして違いが出るのか
意識する
次時の課題
・直列つなぎと並列つなぎの違いを調べよう
・電池が長持ちするつなぎ方を調べよう
63
みの虫クリップ、発光ダイオード
※発光ダイオードは、+極と−極を変えると
全く点灯しないので、電流には向きがある
ことを感じさせやすい
・いろいろなつなぎ方を考えさせる
ないつなぎ方があったことに気付かせる
10
10
どうしたら電気の働きを大きくできるかな?
(第 2 時/全 2 時限)
時 数
1
「直列」と「並列」どちらが長持ち?
時 間
ねらい
電池が長持ちするつなぎ方を知る
評価のポイント
・並列つなぎの利点を知ることができたか
・電気の働きや性質について理解できたか
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
「直列つなぎ」と「並列つなぎ」どちらが長持ちするか、水を
使って比べてみる。
・前時の乾電池を使った実験で分かったことを発表する
→電池1個・直列つなぎ・並列つなぎの豆電球の明るさに違い
があったことを想起する
・実験装置
・方法の説明
・実験
実験結果をまとめる。
・直列つなぎと並列つなぎで水の勢いに違いはあったか?
→電流の強さが違うことを理解する
・直列つなぎと並列つなぎ、どちらが先に水がなくなったか?
→並列つなぎの方が長持ちすることを理解する
・乾電池は使っていると、働きが弱くなり、いずれ働かなくなる。
これより、使い終わった乾電池が増える
→ゴミを出さないためにはどうしたらよいか考える
発展学習
・実際に乾電池を使って、直列つなぎと並列つなぎどちらが長持
ちするか観察・実験する
64
・どれも乾電池を2個使っているのに、どうし
て違いが出るのか意識付けをする
※添付の「実験の手引き」参照
・次世代エネルギーである光電池や風力発電、
燃料電池など に目を向けさせる
どうしたら電気の働きを大きくできるかな?
ワークシート
実験の手引き
65
10
10
どうしたら電気の働きを大きくできるかな?
ワークシート
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66
いろいろな電池を作ろう
11
(身近なものを使った電池作り)
対象学年
教科
小学校
4
理科
学年
単元
関連教科・単元
理科 A 物質・エネルギー
(3)電気の働き
3年理科 A 物質・エネルギー (5) 電気の通り道
4年社会 (3) 資源の有効利用(飲料水、電気、ガス)
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
電池について関心を持ち,進んで電池作りに取り組もうとする。
思考・判断・表現
電池のつなぎ方や電池の材料と,流れる電気の大きさの違いを関係づけて考えることができる。
知識・技能
身近なものを利用して電池ができることを知り,電池を製作してその働きを調べることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
この学習は,第4学年の理科「電気の働き」の発展として,身近なものを利用した電池作りを行い,その働きを調べるこ
とが主なねらいである。
理科の学習では乾電池と光電池について扱い,電気の働きについて学ぶが,ここでは,果物電池や木炭電池などを製作
することを通して,電池にはいろいろな種類があり,身近なものを使って電池が作れる(電気エネルギーが得られる)こ
とを理解させたい。
また,いろいろな電池の電流の大きさを測定したり,電流を大きくするための工夫を考えて実験をしたりすることを通
して,発電について興味・関心を高めることができる。
●単元における展開例の位置づけ
第4学年 A 物質・エネルギー
(3)電気の働き
乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを調べ,電気の働きについての考えをもつこ
とができるようにする。
ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が変わること。
イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること。
本展開例は,イ)の後に果物電池や木炭電池などを作り,その働きを調べることで,材料によって電流の大きさに違いが
あることを理解させ,大きな電流を流す方法に気付かせる。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
身近なもので電池を作ろう パート1
1
果物電池をつくることを通して,身近なもので電池をつくることができることを知る。また,電池によってはたらき
(電流の大きさ)に違いがあることに気付く。
・どのようなものを使えば,電池ができるかを考える。
・果物を使った電池を作る。
・電子オルゴールやモーター,豆電球につなぎ,電池のはたらきを調べるとともに,検流計で電流の大きさをはかる。
身近なもので電池を作ろう パート2̶いろいろな電池を作ろう̶
1
いろいろな種類の電池作りを行うことで,いろいろな材料で電池が作れることを知る。また,電流の大きさを大きく
するにはどうすればよいかを実験を通して考える。
・3つのコーナーに分かれて,いろいろな種類の電池を作る。
・電子オルゴールやモーター,豆電球につなぎ,電池のはたらきを調べるとともに,検流計で電流の大きさをはかる。
・電流の大きさを大きくするためには,どうすればよいかを考える。
・電流の大きさを大きくするための実験を行う。
68
いろいろな電池を作ろう
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
身近なもので電池を作ろう パート1
時 間
ねらい
果物電池をつくることを通して,身近なもので電池をつくることができることを知る。また,電池によってはたらき
(電流の大きさ)に違いがあることに気付く。
評価のポイント
・身近なもの(果物や野菜)を使って電池が作れることを理解する。
・果物電池には,音や光を出したり,動かしたりするはたらきがあり,電流の大きさを測ることによって,電流の大きさ
には違いがあることに気付く。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・電池のまわりが金属でできていることから,
身近なもので電池を作ろう
1.どのようなものを使えば,電池ができるかを考える。
鉄と答える児童が多く,本時の電池の材料
・鉄を使う。
については答えられる児童は少ないと思わ
・薬品の液を使う。
れる。
・何を使えばよいか分からない。
〈果物(野菜)電池の材料〉
グレープフルーツ,レモン,トマト,ダイ
2.果物や野菜を使った電池を作る。
コン等の果物や野菜,銅板,亜鉛板,導線
・身近な果物や野菜と金属があ
〈電池以外の材料〉
ればつくることができる。
電子オルゴール,
モーター,
豆電球,
検流計
(電
・切った果物(野菜)に銅板と
流計)
亜鉛板を差込み、各々に導線
をつなぐ。
・モーターや豆電球に比べ,電子オルゴール
は小さな電流で作動するため,電池のはた
3.電子オルゴールやモーター,豆電球につなぎ,電池のはたら
きを調べるとともに,検流計で電池の電流の大きさをはかる。
らきを確認することができる。
・実験で使った果物は,金属イオンが溶け込
んでいるので,後で食べたりしないよう,
注意する。
4.分かったことや気付いたことを発表する。
・切った果物に違う種類の金属をつけると,電池になることが分
かった。
・モーターは回らなかったけど,電子オルゴールの音は鳴った。
・果物や野菜によって電流の大きさが違っていることが分かった。
5.次時の学習の予定と次時までの準備について,話を聞く。
69
・果物以外でも電池ができることを知らせ,
試してみたい材料を持ってきてもよいこと
を伝える。
11
11
いろいろな電池を作ろう
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
身近なもので電池を作ろう パート2
1
−いろいろな電池を作ろう−
時 間
ねらい
電池作りを3つのコーナーに分かれて行うことで,電池にはいろいろな種類があることを知る。また,電流の大きさを
大きくにはどうすればよいかを実験を通して考える。
評価のポイント
・実験を通して,電池には,いろいろな種類があることを理解する。
・電流の大きさを大きくする方法について気付くことができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・電池をつくるための材料を持ってきた児童
いろいろな電池をつくろう
を確認しておく。
1.前時を振り返り,本時の課題を確認する。
2.3つのコーナーに分かれ,ローテーションしながら,いろい
ろな種類の電池を作る。
・木炭電池コーナー(備長炭などを使う)
・スプーン電池コーナー(金属スプーンなどを使う)
・チャレンジコーナー(自分で用意した材料を使う)
〈木炭電池の材料〉
木炭(備長炭)
,キッチンペーパー,アルミ
ホイル,食塩水,導線
〈スプーン電池の材料〉
金属スプーン2本,アルミホイル,キッチ
(1)電池をつくる。
ンペーパー,食塩水,導線
(2)電子オルゴールやモーター,
〈チャレンジコーナーの材料〉
豆電球をつないではたらき
銅板,亜鉛板,フィルムケース,水(食塩
を調べるとともに,検流計
水やジュースなどでも可)
で電池の電流の大きさをは
〈電池以外の材料〉
かる。
電子オルゴール,
モーター,
豆電球,
検流計
(電
流計)
【木炭電池の作り方】
【スプーン電池の作り方】
導線
キッチンペーパー
木
アルミホイル
炭
① 食塩水を染み込ませたキッチン
ペーパーで備長炭を巻く。
② その外側にアルミホイルを巻く。
③ 炭とアルミホイルに導線をつなぐ。
70
いろいろな電池を作ろう
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
3.電流の大きさを大きくするためには,どうすればよいかを考える。
・乾電池と同じように直列つなぎにすればいい。
・材料を変えてみればいい。
4.電流の大きさを大きくするための実験を行う。
5.分かったことや気付いたことを発表する。
●その他参考資料等
[関係機関連絡先]
・一般財団法人 新・エネルギー環境教育情報センター
http://www.iceee.gr.jp/index.html
[参考]
・「理科 おもしろ実験・ものづくり完全マニュアル」 左巻健男編著 東京書籍
・「ふしぎ体感,科学実験」壇上慎二/オンライン自然科学教育ネットワーク著 講談社
・理科実習助手のための実験準備マニュアル/実験編/第5章おもしろ科学/8いろいろな電池
http://www.hyogo-c.ed.jp/ rikagaku/jjmanual/jikken/j05frame.htm
・斎藤の部屋(理科)HomePage /身近な物質で電池を作ろう
http://sai.ooiso.net/r19/990818/000.html
71
11
電流のパワー!
12
(電流のはたらき)
対象学年
教科
単元
関連教科・単元
理科
理科 A 物質・エネルギー(3)電流の働き
小学校
5
学年
時間数
3
目 標
関心・意欲・態度
電磁石の導線に電流を流し、電磁石の強さの変化を調べ、電流のはたらきについて関心をもち、
モーターが生活に欠かせないことを認識する。
思考・判断・表現
電磁石の現象を流れる電流の強さや方向、導線の巻き数によって磁力の性質の現れ方に違いがあ
ることをとらえ、その特徴をもとにして電磁石の特性についてとらえることができる。
知識・技能
電流の流れている巻き線は、鉄芯を磁化する働きがあり、電流の向きが変わると電磁石の極が変
わることを知る。電磁石の強さは、電流の強さや巻き数によって変わる性質がある事に目を向け
ながら実験をすることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
電流には磁力を発生させ、物を動かす働きがあり、モーター等電気機器の多くで使われていることを知り、私たちの生
活の中における電流のはたらき ( 電磁石 ) の必要性や利用価値について気づかせる。
背景として、電流には磁力を発生させ、物を動かす働きがある現象を利用することで、私たちの生活に役立ち、欠くこ
とのできないものであることを認識させる。そして、その現象を有効に利用することで今後の生活がさらに豊かになって
いくことに気づかせる。
●単元における展開例の位置づけ
この単元では、発展的内容の扱いになっているが、身の回りの電気機器に電磁石の現象を利用したコイルやモーターが
多く使われていることに気づき、生活の中で役立っていることを認識することで、エネルギー環境教育として充実する。
さらに、モーターが回る時にどのように力がはたらいて動いているのか考えていくことで、電流のはたらきを利用しても
の作りが行われていることへの関心を喚起することをねらった。これを従来の単元の導入部かまとめに持ってくることが
可能である。
展開計画 全 3 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
身の回りの電気機器を分解しよう
1
使えなくなった電気機器を分解して、いろいろな部品が使われていることを観察する。
・使えなくなった電気機器(扇風機、CDラジカセ、パソコン、ビデオデッキ、ドライヤーなど)を分解する。
・分解した電気機器を観察する。
・観察したことを話し合い、いろいろな部品があることに気づかせる。
分解したいろいろな電気機器を観察しよう
1
分解したいろいろな電気機器の共通点と相違点を比べる。
・分解した電気機器の内部の共通点と相違点を観察する。
・観察した共通点と相違点を話し合う。
・電気機器にモーターがあることに気づかせる。
モーターを調べよう
1
モーターを分解して中を観察したり、教師が提示するクリップモーターを見たりして、電流には磁力を発生させ、物
を動かす働きがあることを知り、私たちの生活の中でどのように役だっているのか考える。
・モーターを分解して中を観察する。
・教師が作ったクリップモーターを提示して、回る時にどんな力がはたらくのかイメージした後に話し合う。
・電流には磁力を発生させる現象(電磁石)があり、モーターのように物を動かす働きがあることを知る。
・どんな点で私たちの生活の中で役立っているのか考える。
72
電流のパワー!
(第 1 時/全 3 時限)
時 数
1
身の回りの電気器具を分解しよう
時 間
ねらい
使えなくなった電気機器を分解して、いろいろな部品が使われていることを知る。
評価のポイント
・電気機器は、電流を流すことによって動くことを理解する。
・電気機器には、コイルやモーターなどいろいろな部品があることを理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
使えなくなった電気機器(扇風機、CDラジカセ、パソコン、ビ
デオデッキ、ドライヤーなど)を分解する。
事前に使えなくなった電気機器(コイルや
モーターが含まれている物)や、ドライバー
等分解する道具を用意する。
(下記「活用可能な外部支援」参照)
分解したい電気機器の種別ごとにグループを
作る。
観察記録はワークシートを使用する。
電流が流れることで電気機器が動くことに注目
させる。
コイルやモーターなど様々な部品に注目させ
る。
分解した電気機器を観察する。 観察したことを話し合い、いろい
ろな部品があることを確認する。
《活用可能な外部支援》
廃品回収業者、電気屋、
ゴミ焼却場、学校や生徒の家の廃棄品などによる調達が考えられる。
73
12
12
電流のパワー!
(第 2 時/全 3 時限)
時 数
1
分解したいろいろな電気機器を観察しよう
時 間
ねらい
分解したいろいろな電気機器の共通点と相違点を比べる。
評価のポイント
・分解した電気機器には、共通点や相違点があることを理解する。
・分解した電気機器には、必ずモーターやコイルがあることを理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
分解した電気機器の共通点と相違点を観察する。
前時に自分が分解した電気機器以外の電気機
器を観察して、同じ所や違う所をポイントに
観察させる。
観察した共通点と相違点を話し合う。
観察記録はワークシートを使用する。
それぞれの電気機器にコイルやモーターがあることに着目して観
察する。
どの電気器具にもコイルやモーターがあるこ
とに着目させる。
それぞれの電気器具のモーターには、大きさ
や形に違いがあるが、必ず導線や鉄芯、磁石
がふくまれていることに気づかせる。
観察して分かったことをまとめる。
74
電流のパワー!
(第 3 時/全 3 時限)
時 数
1
モーターを調べよう
時 間
ねらい
モーターを分解して中を観察したり、教師が提示するクリップモーターを見たりして、電流には磁力を発生させ、物を
動かす働きがあることを知り、私たちの生活の中でどのように役だっているのか考える。
評価のポイント
・モーターを分解することで、コイルに電流を流すと磁力が発生し、その反発する力によってモーターが動いていること
に気づく。
・電流には磁力を発生させ、物を動かす働きがある現象を利用することで、私たちの生活が便利になり豊かになっている
ことを理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
モーターを分解して中を観察する。
マブチモーターを使用する。
2人で1つのモーターを分解する。教師が
モーターの中身を開けやすくしておく。
モーターは、コイル、鉄芯、磁石でできてい
ることに気づかせる。
ワークシートにクリップモーターが回る時に
は、どんな力が働くのかイメージさせる。
教師が作ったクリップモーターを提示して、回る時にどんな力が
はたらくのかイメージした後に話し合う。
クリップモーターの制作は、「その他参考資
料等」のURL参照。
材料例:エナメル線0.5φ:60cm フェライ
ト磁石15φ×8t:1個 支えピン(真鍮線0.5
φ):2個
発砲スチロール台:1個 ビーズ:2個
カッター、セロテープ、マジックインキ、単
三乾電池、電池ケース
電流には磁力を発生させる現象(電磁石)があり、モーターのよ
うに物を動かす働きがあることを知る。
どんな点で私たちの生活の中で役立っているのか考える。
75
クリップモーターの掛図を使ってどんな力が
はたらくのか話し合わせる。有効に利用する
ことで今後の生活がさらに豊かになっていく
ことに気づかせる。
12
12
電流のパワー!
●その他参考資料等
新学力観に立つ理科授業モデル 30 選 武村重和編著 明治図書 1995
授業実践 DB(「授業実践 DB」で検索可)
:http://homepage2.nifty.com/KurokawaRika/jissen_db.htm
〈クリップモーター制作 URL〉
http://www.gijyutu.com/kyouzai/denki/clip.html(「かんたん快速クリップモーター」で検索可)
http://www.megrokai.or.jp/megurokai/houkoku/kousaku/motor/clipm otor.html
(「目黒会について/地域交流/子供工作教室/クリップモーターの作り方」で検索可)
http://www.megrokai.or.jp/megurokai/houkoku/kousaku/motor/clipm otor.pdf
キット販売:平成ラヂオ店「クリスタル」
http://www4.ocn.ne.jp/ kongozan/clip-s.htm
(「教材用クリップモーター体験キット」で検索可)
76
電流のパワー!
〈第 1 時 ワークシート〉
1
77
12
12
電流のパワー!
〈第 2 時 ワークシート〉
2
78
電流のパワー!
〈第 3 時 ワークシート〉
3
79
12
電磁石のはたらきとおもちゃ作り
13
対象学年
∼ペットボトルモーターを作ってみよう∼
(電流のはたらき)
教科
小学校
5
理科
学年
単元
関連教科・単元
6年理科 A 物質・エネルギー
(4)電気の利用
5年理科 A 物質・エネルギー
(3)電流の働き
時間数
4
目 標
関心・意欲・態度
電磁石の性質や働きに関心を持って物作りに取り組んだり、その性質や働きを利用したものやそ
の工夫に興味を持つことができる。
思考・判断・表現
電磁石の強さと電流の強さを導線の巻き数、電磁石の極の変化と電流の向きを関係付けて考える
ことができる。
知識・技能
電磁石の強さの変化を調べる工夫をし、導線などを適切に使って、計画的に実験や物作りをする
ことができる。
電流の流れている巻き導線は、鉄心を磁化するはたらきがあり、電流の向きが変わると、電磁石
の向きが変わることを理解できる。
電磁石の強さは、電流の強さや導線の巻き数によって変わることを理解できる。
単元における視点
●展開例の趣旨
電磁石の導線に電流を流して電磁石の強さの変化をその要因と関係付けながら調べ、電流のはたらきについての見方や
考え方を持つようにするとともに、見出した問題を追究したりものづくりをしたりする活動を通して、電流のはたらきを
多面的に追究する能力を育てる。
●単元における展開例の位置づけ
〈電磁石を利用したおもちゃ作り〉
おもちゃ作りの場面では、前時までに追究したことや学習したことをもとに、設計図をかき、創作活動に入っていく。
すこし創作活動が進んだところで予定通りのところや、うまくいかないところを仲間と話し合っていきたい。そこから新
たな情報を得たり、さらなる課題を見つけたり、続きの創作活動につなげていく。この場面を本時とする。
展開計画 全 4 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
モーターを利用したおもちゃの設計図を作ろう
1
既習の知識技能を生かし、どのような仕組みでモーターが回転するかを考えながら、モーターを利用したおもちゃの
設計図をつくることができる。
・モーターを使用している電気製品を想起する。
・モーターの仕組みを知る。
・モーターを利用したおもちゃの設計図を作る。
ペットボトルモーターを作ろう
2
モーターが回る仕組みを理解しながら、ペットボトルモーターを作る。
・ペットボトルモーターの作り方を聞く。
・ペットボトルモーターを作る。
・電流を流し回転させ、問題点を探す。
ペットボトルモーターを見せ合おう
1
作成したペットボトルモーターを見せ合い、うまくいった点や苦労した点を話し合うことにより、問題点や改善点に
気付くことができるようになる。
・作成したペットボトルモーターを動かす。
・ペットボトルモーター作成でうまくいったことや苦労したことなどを話し合う。
80
電磁石のはたらきとおもちゃ作り
(第 1 時/全 4 時限)
時 数
1
モーターを使ったおもちゃの設計図を作ろう
時 間
ねらい
既習の知識技能を生かし、どのような仕組みでモーターが回転するかを考えながら、おもちゃの設計図をつくることが
できる。
評価のポイント
・モーターの仕組みを理解しているか。
・モーターを活用したおもちゃの設計図になっているか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
モーターを使ったおもちゃの設計図を作ろう
第1時では、既習の知識技能を生かし、どのような仕組みでモー
ターが回転するかを考えながら、おもちゃの設計図をつくる。
家庭で使用している電気製品を思い出し、電
(1)モーターを使用している電気製品を想起する。
・家庭の電気製品で、モーターが使用されていると思われる
ものを出し合う。
・鉛筆削り、扇風機、モーターカー、掃除機、DVD、ラジコン、
カセットデッキ・・・
気が何に利用されているか考えさせる。
ここでは、電気製品にモーターが装備されて
いるか否かは深めない。
モーターの分解模型などを準備する。
(2)モーターの仕組みを知る。
・分解したモーターで仕組みを確認する。
・コイルの巻数の多さや回転軸などをよく観察する。
・回路として電気の通り道も確認する。
(3)各自自由にモーターを利用した好きなおもちゃの設計図を作る。 設計図ではモーターの回転がどのように伝わ
・作りたいおもちゃを想起し、モーターとのつながりを考え
ながら、おもちゃの設計図をつくる。
るかがイメージできるようにする。
設計図ではモーター部分は詳しく書かなくて
もよい。
※ここでは、各自設計図を考える事で、モーターの動力をどう伝
えるかを学習し、実際に作成はしない。
(別時に取り組んでも良い。
)
《活用可能な外部支援》
青少年科学センターや科学館などの出前授業あるいは現地での講座
81
13
13
電磁石のはたらきとおもちゃ作り
(第 2 ∼ 3 時/全 4 時限)
時 数
2
ペットボトルモーターを作ろう
時 間
ねらい
モーターが回る仕組みを理解しながら、ペットボトルモーターを作る。
評価のポイント
・電気の通り道 ( 回路 ) を意識しているか。
・電磁石の仕組みを理解しているか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
ペットボトルモーターを作ろう
第2∼3時では、モーターが回る仕組みを理解しながら、ペット
ボトルモーターを作る。
(1)モーターの作り方を知り、ペットボトルモーターを作る。
+−ペットボトル(PB)モーターの作り方
① ペットボトル(PB)の蓋の中央に竹串が回転できる穴をあける。
② PB の肩から2cm 下の部分で上下部二つに切断する。
③ ストロー、釘、エナメル線、竹串で図のような電磁石を作る。
④ PB の底中央に、竹串が軸として回転しやすいくぼみを作る。
⑤ PB 底から2cm の位置に、
対称になるようリード線を張り、
電池ソケッ
トにつなげる。
⑥ 電磁石が回転するように、竹串軸につけたエナメル線を図のように
テープで固定し、リード線と触れる部分に紙やすりをかけておく。
⑦ フェライト磁石を PB の外部 2 ヶ所に両面テープで対象に固定する
(コ
イルの鉄心が通る位置)
⑧ 電流を流しながら接点や軸などを微調整し、よく回転する位置を探す。
材料:ペットボトルかジュース用透明蓋付き
カップ(丈夫な方がよい)
、エナメル線、リー
ド線、 ストロー、焼きなましの釘(カップの内
径より数ミリ小さい)
、フェライト磁石(強い
タイプ、一人二つ)
、長い竹串、テープ、電池、
スイッチ付き
電池ケース
電源は 1.5 Vの乾電池 2 本程度。しかし、電源
装置を使用するため最大 6 本分程度にまでは
電圧を上げることが可能となる。
他の作成例(参考)
・
「教材研究のひろば ペットボトルモーター」
で検索
・
「ペットボトルを使って簡単 強力モーターを
作ろう」で 検索
82
電磁石のはたらきとおもちゃ作り
(第 4 時/全 4 時限)
時 数
1
ペットボトルモーターを見せ合おう
時 間
ねらい
作成したペットボトルモーターを見せ合い、うまくいった点や苦労した点を話し合う。
評価のポイント
・モーターや回路の仕組みを理解し、失敗例をもとにその要因を考えたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
第4時では、作成したペットボトルモーターを見せ合い、うまく
いった点や苦労した点を話し合う。
◇ 作成したペットボトルモーターをみんなの
前で試行回転させることによって、全体で
回転しない場合とする場合の原因追究の場
(1)作成したおもちゃを見せ合う。
・電源装置につなげ、作成したモーターを回転させる。
面となる。
◇ 失敗例から様々な要因を考えさせ、回路の
仕組みやモーターの仕組みなどを再認識さ
せる。
◇ 学習した用語を使用させることを意識する。
(2)モーター作成でうまくいったことや苦労したことなどを話し
合う。
・学習した用語(コイル、巻き数、電流・・・)を使い、成功例
や失敗例を出し合う。
・失敗例の原因をみんなで考える。
・更に改良したい点なども話し合う。
●その他参考資料等
山下宏文 編、エネルギー環境教育関西ワークショップ 著「持続可能な社会をめざすエネルギー環境教育の実践」 国土社
佐島群巳、 高山博之、 山下宏文 編「エネルギー環境教育の理論と実践」 国土社
佐島群巳、 高山博之、 山下宏文 編「エネルギー環境教育の実践」 国土社
83
13
私たちのくらしと空気
14
対象学年
∼化石燃料と二酸化炭素∼
教科
小学校
6
理科
学年
単元
関連教科・単元
理科 A 物質・エネルギー
(1)ものの燃え方と空気
総合的な学習の時間
時間数
3
目 標
関心・意欲・態度
「物の燃え方と空気の学習」を通して二酸化炭素の存在に気づき、地球温暖化等、環境とのかか
わりで石油・石炭など化石燃料から二酸化炭素が排出されることに関心をもち、進んで調べよう
とする。
思考・判断・表現
石油・石炭の燃焼後の気体や、ガソリン車のマフラーから排出される排気ガスには二酸化炭素が
含まれることから、化石燃料と二酸化炭素の関係について考え、環境にやさしいエネルギー利用
の在り方を調べ、身のまわりのエネルギー利用形態について特徴をまとめる。
知識・技能
持続可能な社会を構築するには、温室効果ガス(二酸化炭素等)の削減をめざし、電気自動車や
水素と空気中の酸素を活用する燃料電池車等、環境にやさしいエネルギー利用について理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
物の燃え方と空気に関する本単元は、児童は物が燃えるしくみについて関心をもち、炭素が含まれる物質が燃えるときに、
空気中の酸素が使われ二酸化炭素が生成されることを理解する。地球温暖化防止や限られた資源エネルギーを大切に利用
するという「持続可能な社会の実現」に向けて、大気への二酸化炭素排出削減や環境にやさしいエネルギー利用の在り方
について考えることのできる資質を小学生の段階から育成したい。
●単元における展開例の位置づけ
単元における位置づけとしては、物の燃え方と空気の関係について理解した後、発展学習として位置づけ、熱や電気などは、
高い比率で化石燃料を燃やしてつくり出されていることや、その結果、大気中に大量の二酸化炭素が排出されて地球温暖
化の原因となっていることを理解させたい。石油由来である灯油の燃焼やガソリン車の排気ガス調べ実験等を行うことで、
具体的に二酸化炭素の存在に気づかせたいと考える。
展開計画 全 3 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.化石燃料の燃焼と二酸化炭素
石炭や石油など化石燃料燃焼により、二酸化炭素が実際に発生しているかを石灰水白濁等により調べ、化石燃料と二
酸化炭素の関係について話し合うことができる。
2
・教師による地球温暖化の現状や仕組みに関する映像提示を視聴して、環境問題に気づく。
・温室効果ガスとしての二酸化炭素の存在に気づく。
・化石燃料を燃焼させ二酸化炭素をたくさん排出している工業例について発表したり、私たち市民が、生活の中で二酸化炭素
を多く排出している事例について話し合う。
・実際に化石燃料を燃焼させ、二酸化炭素が発生するか実験を通じ確かめる。また、地球温暖化を防止するための方法につい
て話し合う。
2.地球温暖化と環境にやさしいエネルギー利用
1
二酸化炭素排出を削減し、地球温暖化を防止するためにはどのような発電やエネルギー利用形態があるか、外部専門
講師の話やプレゼンテーション資料を視聴し、環境問題や解決策について考え、関心をもつ。
・専門講師による地球環境にやさしいエネルギー利用や再生可能エネルギーに関する講話を聴き、再生可能エネルギーについ
て関心をもつ。
・各種再生可能エネルギーのメリット、デメリットをノートにまとめ、わかったこと、地球温暖化防止へ向けて自分たちが取
り組むべきことについて意見を発表し合う。
84
私たちのくらしと空気
(第 1 ∼ 2 時/全 3 時限)
時 数
2
1.化石燃料の燃焼と二酸化炭素
時 間
ねらい
化石燃料である石油由来の灯油燃焼実験や、ガソリン自動車の排気ガスに二酸化炭素が実際に発生しているか石灰水白
濁等により調べ、化石燃料と二酸化炭素の関係について話し合うことができる。
評価のポイント
「ものの燃え方と空気」の単元で学習した石灰水による二酸化炭素の検出方法を活用し、化石燃料燃焼後の気体に二酸化
炭素が含まれることを確認することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○地球温暖化による環境問題に関する写真などを見て、大気中の
二酸化炭素の存在や影響について知る。
◇世界の地球温暖化による環境問題に関する
写真や、気温と二酸化炭素の相関グラフ等を
・地球温暖化のしくみについて理解する。
提示する。地球温暖化の仕組みについて解説
・温室効果ガスとしての二酸化炭素について気づく。
する。
○化石燃料を燃焼させ二酸化炭素を排出している事例にについて
話し合う。
◇火力発電の仕組みや化石燃料別の二酸化炭
素排出量を紹介する資料や図を準備する。
・石油・石炭・天然ガス等を燃料とする火力発電
・ガソリンや軽油を燃料とする自動車
○実際に化石燃料を燃焼させ、二酸化炭素が発生するか実験を通
じ確かめる。
・燃焼さじの上で灯油を燃やし、石灰水の入った集気瓶の中へ
入れ二酸化炭素の発生を確認する。
・校舎の外でガソリン車のマフラーから排出される排気ガスを
石灰水を入れたペットボトルに通し、二酸化炭素の存在を確
認する。
○二酸化炭素排出を削減して、地球温暖化を防止する取り組みに
ついて話し合う。
・再生可能エネルギーの利用と原子力の利用
・ハイブリッドカー・電気自動車・燃料電池車の利用
85
排気ガスを石灰水入ペットボトルに
通す実験
14
14
私たちのくらしと空気
(第 3 時/全 3 時限)
時 数
1
2.地球温暖化と環境にやさしい
エネルギー利用
時 間
ねらい
二酸化炭素排出を削減し、地球温暖化を防止するためにはどのような発電やエネルギー利用形態があるか、外部専門講
師の話やプレゼンテーション資料を視聴し、環境問題や解決策について考え、関心をもつ。
評価のポイント
地球温暖化を防止するためには、二酸化炭素を削減し地球環境にやさしいエネルギー利用の実例がわかり、利用形態の
メリット・デメリットをノートにまとめることができる。再生可能エネルギー利用等について自分の意見を発表するこ
とができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
◇専門講師と事前打合せを行い、提示や説明
○専門講師の話やプレゼンテーション資料を視聴する
・化石燃料である石油・石炭・天然ガス・ウランなどの可採年数
をしていただく内容について協議する。
◇専門講師に提示していただく資料等はでき
を知る。
・日本のエネルギー自給率は6%であり、かなり低いということ
るだけ最新の信頼できるデーターをお願い
する。
を知る。
・温室効果ガス削減へ向けた、地球環境にやさしいエネルギー利
用の実際について知る。
・各種再生可能エネルギーや原子力利用には、メリットやデメ
リットがあることを知る。
○二酸化炭素排出削減に向けた再生可能エネルギー利用と原子力
発電利用のメリット・デメリットをノートにまとめる。
・班で話し合い、ノートや表にまとめる。
○班で話し合った内容を全体で発表し合い、持続可能なエネル
ギー社会をめざすためにはどうすべきか意見交換を行う。
・地球に負担をかけないための省エネルギー、少資源国である日
本は「創エネルギー」への取り組みが大切であることに気づく。
・持続可能なエネルギー社会をめざし、自分たちができることに
ついて意見を交換をする。
資源エネルギー庁ホームページ資料
◇持続可能なエネルギー社会へ向けた地球温
暖化防止という視点で話し合うよう助言す
る。
◇地球に負担をかけない省エネルギーと少資
源国日本の現状から創エネルギーの大切さ
についても気づかせ、意見交換を図る。
86
電気の利用∼電気の変身 !!
15
対象学年
∼エネルギーの変換∼
教科
小学校
6
理科
学年
単元
関連教科・単元
3年理科 A 物質・エネルギー
(5)電気の通り道
4年理科 A 物質・エネルギー
理科 A 物質・エネルギー(4)電気の利用
(3)電気の働き
5年理科 A 物質・エネルギー
(3)電流の働き
時間数
7
目 標
関心・意欲・態度
手回し発電機やキャパシタ(コンデンサ)を使って、電気の利用の仕方について関心をもって調
べようとする。
思考・判断・表現
手回し発電機を使い電気をつくりだしたときの手応えの違いと、電気をキャパシタに蓄えて働か
せたときの様子から、エネルギー間の変換について体験的に捉えることができる。
知識・技能
手回し発電機などで電気をつくりだしたり、キャパシタに電気を蓄えたりできることや、身の回
りには電気の性質や働きを利用した道具があることを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
手回し発電機を使ってキャパシタに電気を貯め、貯めた電気を使う活動によって「電気が貯まった」ことを実感してゆく。
その中で、電子オルゴールや豆電球、モーターなどを働かせることによって、音、光、動き(回転)など電気の使われ方
には違いがあることに気づかせる。
キャパシタの中の電気の残量を、子供たちが見て確かめられるとわかりやすい。そのために、電圧計をレベルメーター
の代わりとして用い、展開例を作成した。
●単元における展開例の位置づけ
A物質・エネルギー
(4)電気の利用
手回し発電機などを使い、電気の利用の仕方を調べ、電気の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電気は、つくりだしたり蓄えたりすることができること。
イ 電気は、光、音、熱などに変えることができること。
※上記ア、イともに理科の内容そのものであるが、このねらいはエネルギー教育でのねらいとも合致する。ここでは、特に、
電気エネルギーを様々な形に変換するところに時間をかけて指導をしたい。
※ここは、単元全体がエネルギー教育のための中心になるべき単元である。その中で大事な部分を「展開例」として3コ
マ目以降に示した。
88
電気の利用∼電気の変身 !!
展開計画 全 7 時限 (具体的展開例はアミ掛け部分です)
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
電気はどんな働きに変わるのだろう?
1
電気は、回転、光、熱、音の4つの働きに変わることがわかる。
・身の回りにある電化製品とその用途を調べ比較する。
・電気は、回転、光、熱、音に変わることがわかる。
風が電気をつくる∼風力発電∼(モーターの付けられた電子オルゴールが鳴る秘密は?)
1
モーターが回転すると電気がつくられることを理解する。
・プロペラを付けたモーターに電子オルゴールをつけ、プロペラを回すことにより、電子オルゴールが鳴る。そこで、回転数
を変化させて電気のできる様子を調べる。このことから、モーターが回転することにより発電されることに気づくことがで
きる。(手回し発電機を使う活動につながる)
手回し発電機で、電気をつくろう。
2
手回し発電機でつくりだした電気は、乾電池などの電気と同じように様々な道具を動かせることがわかる。
・手回し発電機を使って電気をつくり、電子オルゴール、モーター、豆電球などを働かせてみる。
・乾電池と比べて、手回し発電機のメリット、デメリットをまとめる。
電気をためてみよう!(ここがポイント)
手回し発電機を使って、キャパシタに電気を貯める工夫をする。
1
・キャパシタに電気をどのように貯めるか工夫する。
(このとき、電圧計をレベルメーターとして使うと、どのくらい電気が
貯まっているかわかりやすい。)
・手回し発電機を回し続けても、一定以上メータがあがらない。(貯まる限界がある。)
・手回し発電機を速く回すと、早く貯めることができる。
※できたら太陽電池を使ってキャパシタに電気を貯めて、比較してもよい。
自分で作った電気を使おう!(ここがポイント)
2
キャパシタに貯めた電気を使う活動を通して、物によって電気の使われ方(消費電力)に違いがあることを理解する。
・電子オルゴール、豆電球、モーターなど、様々なものをキャパシタ1つを使って働かせる。
・それぞれが働いている時間、
キャパシタの電気の減り方から、
ものによって使われ方(消費電力)に違いがあることに気づかせる。
89
15
15
電気の利用∼電気の変身 !!
(第 3 ∼ 4 時/全 7 時限)
時 数
2
手回し発電機で、電気をつくろう。
時 間
ねらい
手回し発電機でつくりだした電気は、乾電池などの電気と同じように様々な道具を働かせることがわかる。
評価のポイント
・手回し発電機を使って電気をつくり、電子オルゴール、モーター、豆電球など働かせるとき、手応えに違いかあることに気づく。
・手回し発電機のメリット、デメリットを考えることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
手回し発電機を使って、電気をつくって、使ってみよう!
※手回し発電機を使って、豆電球、電子オル
豆電球を点灯させよう。
ゴール、モーターを働かせていく中で、回
・勢いよく回すと豆電球が切れてしまった。
・少しずつ回さないといけない。
す手応えの違いに気づかせる。
モーターを回してみよう。
・手回し発電機を速く回すと、勢いよく回る。
・ゆっくり回すと、モーターもゆっくりまわる。
・回す手応えは、豆電球より、軽いようだ。
電子オルゴールを鳴らしてみよう。
・同じ速さで回さないと音楽が不自然で聞き取りにくい。
・手応えは一番軽いようだ。
手 回 し 発 電 機 に、
モーターをつなげ
働かせる。
手回し発電機のメリット、デメリットを考えてみよう。
メリット 自分で電気がつくれる。
デメリット 一定の力で回すことが難しい。回すのをやめると電気
が流れない。電池みたいに電気を貯められないかな?
(電池のように自分でつくった電気を貯められるもの、キャパシタ
を提示。)
90
キャパシタ
電気の利用∼電気の変身 !!
(第 5 時/全 7 時限)
時 数
1
電気をためてみよう!(ここがポイント)
時 間
ねらい
手回し発電機を使って、キャパシタに電気を貯める工夫をする。
評価のポイント
・キャパシタに貯める電気には限界があることを知る。
・手回し発電機を、速く回すと、早く貯まることがわかる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
キャパシタに手回し発電機を使って電気を貯める。
・キャパシタ、電圧計、手回し発電機のつなぎ方を指導。
・手回し発電機を回すが、電圧計の針が一定以上あがらないこと
に気づく。
キャパシタに貯められた電気を使って確かめる。
・豆電球につなぐと点灯し、電圧計の針が下がることに気づく。
黒いコードは(−)
3V 端子につなぐ
キャパシタにもう一度電気を貯める。
手回し発電機を速く回すと、早くキャパシタに電気が貯まること
に気づく。
キャパシタに太陽電池で電気を貯める。
・手回し発電機と比較する
・太陽電池を増やしてみる。
・強い光と弱い光を比較する。
並列に電圧計をつなぐ
電気の貯まり方を手回し発電機と太陽電池とで比較する。
・太陽電池だと、手回し発電機に比べて電気を貯めることが大変だ。
91
15
15
電気の利用∼電気の変身 !!
(第 6 ∼ 7 時/全 7 時限)
時 数
2
自分で作った電気を使おう!(ここがポイント)
時 間
ねらい
キャパシタに貯めた電気を使う活動を通して、物によって電気の使われ方(消費電力)に違いがあることを理解する。
評価のポイント
電子オルゴールと豆電球、モーターをキャパシタを使って働かせ、働いている時間、電気の減り方に着目して、電気の
使われ方(消費電力)に違いがあることを理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
キャパシタに豆電球をつなぎ働かせる。
・豆電球をつなぎ、点灯時間を測定する。
・電圧計(キャパシタ内の様子をみるレベルメーター)から電気
の減り方にも着目させる。
(1分間位で消えてしまう)
キャパシタにモーターをつなぎ働かせる。
・モーターをつなぎ、回っている時間を測定する。
・電圧計から電気の減り方にも着目させる。
・5分位で回らなくなる。
豆電球を働かせる
モーターと豆電球を比較する
・モーターは豆電球に比べて、働く時間が長く、電気の使われ方
に違いがある。
電子オルゴールと豆電球を比較する
・電子オルゴールはモーターや豆電球に比べて、働く時間が長く、
電気の使われ方に違いがある。
・電圧計から電気の減り方にも着目させる。
モーターを働かせる
(発光ダイオードと豆電球の比較は次の展開例「電気の利用∼電気
の効率的な使い方∼」で行います。内容は連続しています。
)
電子オルゴールを働かせる
92
電気の利用
16
対象学年
∼電気の効率的な使い方∼
教科
小学校
6
理科
学年
単元
関連教科・単元
時間数
3年理科 A 物質・エネルギー
(5)電気の通り道
4年理科 A 物質・エネルギー
理科 A 物質・エネルギー(4)電気の利用
(3)電気の働き
5年理科 A 物質・エネルギー
(3)電流の働き
4
目 標
関心・意欲・態度
同じ電気の量でも、道具を工夫することにより、有効に利用できる事を進んで調べようとする。
思考・判断・表現
発光ダイオードが豆電球に比べ長く点灯する理由を、使われる電気の量や点灯する様子から考え
ることができる。
知識・技能
同じ電気の量でも、道具を工夫することにより、有効に利用できる事を理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
豆電球と発光ダイオードを、同じキャパシタに貯められた電気を使って点灯させる。両者の様子を比較することにより、
発光ダイオードが長く点灯する理由(豆電球に比べて熱くならない、少量の電気で点灯できる)に気づかせ、エネルギー
を有効利用する道具であることを理解させる。
また、キャパシタに貯めた電気を使って、ニクロム線に通したロウを溶かし落とす工夫をする。ニクロム線の太さを変
えることで、ロウの溶ける時間が変わることから、自分たちも道具を工夫することにより、エネルギーを有効に利用でき
ることを実感させる。
●単元における展開例の位置づけ
A物質・エネルギー
(4)電気の利用
手回し発電機などを使い、電気の利用の仕方を調べ、電気の性質や働きについての考えをもつことができるようにする。
ア 電気は、光、音、熱などに変えることができること。
イ 電熱線の発熱は、その太さによって変わること。
※この単元で、豆電球と発光ダイオードの点灯の様子を比べる活動、ニクロム線の太さを変えて、ロウを溶かし落とす時間を
比べる活動は、道具を工夫することによりエネルギーを有効利用できることを子供たちに実感させる上で重要である。
展開計画 全 4 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
キャパシタで発光ダイオードを光らせよう!
1
発光ダイオードが長く点灯するわけを豆電球と比較して考えることができる。
・発光ダイオードをキャパシタを使って点灯させ、点灯時間やその様子を豆電球と比較することで、発光ダイオードが長く点
灯する理由(豆電球に比べて熱くならない、少量の電気で点灯できる)を考える。
ニクロム線に通したロウを溶かし落とそう!
1
キャパシタを直列につないで、ニクロム線に通したロウを溶かし落とす方法を工夫することができる。
・ニクロム線に通したロウを溶かし落とすために、電池と同じように、キャパシタを直列につないで溶かし落とす。
キャパシタ1つでニクロム線に通したロウを溶かし落とそう!
2
キャパシタ1つの電気で、ロウを溶かし落とす方法を工夫することができる。
キャパシタ1つの電気でロウを溶かし落とすことにより、電気を有効利用した実感を味わう。
・ニクロム線の太さに着目し、細くした方がよいか、太くした方がよいか考え、溶け落ちるまでの時間を比べる。
・ニクロム線の太さを変えて、溶かし落とすことにより、自分たちも道具を工夫することにより電気を有効利用することがで
きる実感を味わう。
94
電気の利用
(第 1 時/全 4 時限)
時 数
1
キャパシタで発光ダイオードを光らせよう!
時 間
ねらい
発光ダイオードが長く光るわけを豆電球と比較して考えることができる。
評価のポイント
・発光ダイオードと豆電球を比較していく中から、発光ダイオードが長く点灯するわけを考えることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
キャパシタに発光ダイオードをつなぎ、豆電球の点灯の様子と比 ・明るさ、発熱など五感を大切にする。
較する。
(実験を行う前のキャパシタの電気の量を同一にするため、
電圧計をレベルメーターとして用いる)
○豆電球
・どこから見ても明るい。
・1 分位しか点灯しない。
○発光ダイオード
・上から見ると、豆電球と同じくらい明るい。
・10分以上点灯しているかも。(20分間くらい点灯していた。)
(電圧計の電気の減り方から予測する。)
豆電球
発光ダイオード
発光ダイオードは、豆電球に比べて長く点灯する理由を考える。
・豆電球は熱くなったけど、発光ダイオードは熱くならない。
・電気の減り方が、豆電球に比べて、すごく少ない。
発光ダイオードは、エネルギーを有効に利用する(消費電力が少
ない)道具であることを確認する。
電圧計の取り扱い
(キャパシタのレベルメーターとして使い、
中に貯まっている電気の量をとらえる。
)
95
16
16
電気の利用
(第 2 時/全 4 時限)
時 数
1
ニクロム線に通したロウを溶かし落とそう!
時 間
ねらい
キャパシタを直列につないで、ニクロム線に通したロウを溶かし落とす方法を工夫することができる。
評価のポイント
・ニクロム線に通したロウを溶かし落とす方法として、電池と同様に、キャパシタを直列につなぐ方法を考えることがで
きる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
ニクロム線に通したロウを、キャパシタを使って発熱させ、溶か
し落とす。
(ニクロム線 0.6 mm)
・キャパシタ1つをつないでも溶かし落とすことができない。落
とすための方法を考えよう。
・キャパシタを、電池のように、直列につなぐと電流量が増え溶
け落ちるかもしれない。
・キャパシタを使ってロウが溶け落ちる時間を調べる。
・キャパシタを、電池のように直列につなぐと、ロウを溶かし落
とすことができた。
・電流の量が増えると、落ちる時間が早くなった。
クロム線にロウを通し、
溶かし落とす
キャパシタを直列に 2 つつなぐ。
キャパシタの直列つなぎは、3 個以上だと、発
熱量が多くて危険である。
※電流計を使って確かに電流量が増えたこと
を確かめることも大切である。
96
電気の利用
(第 3 ∼ 4 時/全 4 時限)
時 数
2
キャパシタ1つでニクロム線に通したロウを
溶かし落とそう。
時 間
ねらい
キャパシタ1つの電気でロウを溶かし落とす方法を考えることができる。
キャパシタ1つの電気でロウを溶かし落とすことにより、電気を有効利用した実感を味わう。
評価のポイント
ニクロム線の太さに着目し、細くした方がよいか、太くした方がよいか考えることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
ニクロム線に通したロウを、キャパシタ1つで溶かし落とす方法
を考える。(ニクロム線 0.6mm)
・ニクロム線の発熱させる部分を少なくしたら、溶かし落とすこ
とができるかも。
・もう少しで、溶かし落とすことができそうだ。
ニクロム線を太くしたらどうなるか実験する(ニクロム線1mm)
・熱くなるところが多くなるから溶かし落とせるかも。
発熱部分を少なくする
ニクロム線を細くしたらどうなるか実験する
(ニクロム線 0.4mm)
・熱くなるところを少なくして、もっと熱くすることによって溶
かし落とせるかも。
太いニクロム線では、熱くなる前に、電気がなくなってしまった。
・細いニクロム線を使うと、ロウを溶かし落とすことができた。
もっと、細いニクロム線を使うとどうなるか実験する。
(ニクロム
線 0.2mm)
・もっと早く溶かし落とすことができるかも。
・ニクロム線が赤くなって、一瞬で解かし落とすことができた。
・キャパシタ1つで、道具を工夫することにより、ロウを溶かし
落とすことができた。
決まった電気の量でも、工夫すると発熱の仕方を変えられるこ
とを確認する。
ニクロム線が細いほど抵抗が大きい。
97
16
電化製品調べ
17
対象学年
∼かしこい電化製品の使い方∼
教科
単元
小学校
6
理科
理科
発電と電気の利用
学年
関連教科・単元
時間数
3 年理科「電気で明かりをつけよう」
4 年理科 「電気のはたらき」
5 年理科 「電磁石のはたらき」
5 年社会「私たちの生活と工業生産」
、「私たちの生活と環境」
4
目 標
関心・意欲・態度
家庭の電化製品で電気がどのように利用されているかに関心を持ち、その節電方法を調べている。
調べた節電方法を自分の家庭で試している。
思考・判断・表現
家庭の電化製品の電気の利用のされ方の分類方法を考える。
知識・技能
電化製品の電気のエネルギー変換がどのような種類なのか理解している。
電化製品の電気の使われ方を調べ、結果を記録している。
単元における視点
●展開例の趣旨
1950 年代後半、白黒テレビ ・ 洗濯機 ・ 冷蔵庫が、電化製品の『三種の神器』と呼ばれていた。1960 年代半ばのいざなぎ
景気時代には、カラーテレビ ・ クーラー ・ 自動車(3C)が、『新三種の神器』と呼ばれ、東京オリンピック(1964 年)を
境に家庭に普及していった。現在は、デジタル家電が普及し、LED 照明がリビングや街灯を照らしている。
テクノロジーが進み、電化製品の節電能力が『三種の神器』の頃より数段向上している。しかし、1990 年から 2012 年までに、
家庭(民生部門)のエネルギー使用量は 2.4 倍に増えている。産業部門は 1.2 倍、部門は 1.2 倍であり、エネルギー消費を
抑える生活スタイルが求められている。
そこで家庭の電化製品の利用方法に目をつけ、よく利用する電化製品や節電しやすい物を対象にその節電方法を調べ、家
庭を巻き込み節電生活に取り組んでいく。
●単元における展開例の位置づけ
『発電と電気の利用(啓林館)』(
『電気と私たちのくらし(東京書籍)』)は 3 学期に位置付けられており、小学校理科にお
ける〈エネルギー〉領域の総括的な学習であり、そのことを生活に結び付けた学習です。ここでは、単元学習後、学校で
得た知識を実際の家庭での電化製品利用に生かす活動をします。
いつも何気なく当たり前に利用している電化製品にどのような物が存在し、それはどのような電気エネルギーを利用して
いるのかを調べ、個々の電化製品の節電使用方法を調べていきます。さらに、自分だけの省エネ活動には限界があること
に気付かせ、効果的な家族への伝達方法を考えます。
学習したことを実生活に結び付けることによって、〈自らの生き方〉に問いかけていきます。
98
電化製品調べ
展開計画 全 4 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.家庭の電化製品
1
(1)どのような電化製品が我が家にあるか考える。(予想 ・ 課題設定)
(2)自分の家庭で使用している電化製品を調べる。(調査)
(3)調べた電化製品を発表交流する。
1
(1)みんなが出した電化製品を自分なりに考えて分類する。(予想)
(2)どのような電気利用がされているか考える。(課題設定)
(3)〈熱〉〈回転(モーター)〉〈音〉〈光〉などのエネルギー変換が為されていることに気付く。
2.電化製品における電気の使われ方
3.かしこい電化製品の使い方
2
(1)それぞれの電化製品の電力使用量(割合)を知り、省エネ利用方法を考える。(予想)
(2)電化製品をいくつかに絞り、省エネ利用方法を調べる。(課題設定・探求)
(3)調べた内容を発表交流する。
(4)自分の家庭でできそうなことを選び、家族に伝えるために効果的な方法を考える。
(5)各家庭での取組状況を交流し、新たな省エネ方法や効果的な伝達方法に気付く。
99
17
17
電化製品調べ
(第 1 時/全 4 時限)
時 数
1
1.家庭の電化製品
時 間
ねらい
家庭の各部屋にある電化製品を調べ、どのような電化製品が利用されているかに気付く。
(気付き)
評価のポイント
各家庭にある電化製品にどのようなものがあるか予想し、実際に部屋ごとの製品を調べ、ワークシートにまとめている。
また、誰がどの程度利用しているのかにも気付かせ、その利用の頻度を考えさせたい。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
(1)どのような電化製品が我が家にあるか考える。
(予想 ・ 課題設定)
留意点
・どの部屋に電化製品がたくさんあるか、少
◇各部屋にどんな電化製品があるか考える。
ないかを予想させる。
◇電化製品が多い部屋を予想する。
・だれが利用している電化製品かにも気付か
せる。
・どれくらいの時間使っているかにも気付か
せる。
(2)自分の家庭で使用している電化製品を調べる。(調査)
◇部屋ごとどのような電化製品があるかまとめる。
(3)調べた電化製品を発表交流する。
教材・資料
◇部屋ごとにまとめる。
ワークシート①〈電化製品調べ〉
・台所:照明,電子レンジ,ミキサー,IHヒーター,オーブン
レンジ,炊飯器,クーラー・・・
・リビング:照明,液晶テレビ,ステレオ,テレビゲーム,
マッサージ・・・
・お風呂:照明,湯沸かし器,バブルジェット
・子ども部屋・玄関・洗面所・トイレ・和室・寝室・・
100
電化製品調べ
(第 2 時/全 4 時限)
時 数
1
2.電化製品における電気の使われ方
時 間
ねらい
それぞれの電化製品が、どのようなエネルギー変換をされているかを考え、電気は多様な活用をされていることを認識
する。
(知識 ・ 理解)
評価のポイント
「光」 「音」 「熱」 「運動」 に変換されることは教科書の学習で理解しているため、
電化製品を分類したときに、
その根拠をはっ
きり説明できているかで理解度を判断する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
(1)みんなが出した電化製品を自分なりに考えて分類する。
(予想)
◇照明、TV、スタンドライト・・・
留意点
・〈音〉だけではなく、〈光〉や〈回転〉など
◇電子レンジ、オーブン、IHヒーター・・・
も一つの電化製品の中に利用されているも
◇クーラー、電気ストーブ、湯沸かし器・・・
のがあることにも気付かせる。
◇ステレオ、テレビ、スマートフォン・・・
・エレベーターや電気自動車のように、家庭
で使っていない電化製品にも気付かせ、ど
のようなエネルギー変換かを想像させる。
・電化製品の写真や絵を黒板に掲示し、変換
について説明しやすいようにする。
(2)どのような電気利用がされているか考える。(課題設定)
◇〈光〉:
教材・資料
電化製品の写真や絵のカード
◇〈音〉:
◇〈熱〉:
◇〈回転〉:
◇〈光〉+〈音〉:
◇〈光〉+〈熱〉:
(3)〈熱〉〈回転(モーター)〉〈音〉〈光〉などのエネルギー変換
が為されていることに気付く。
(4)家庭で利用していない製品を考え、そのエネルギー変換を予
想する。
◇エレベーター・・・〈回転〉
◇エスカレーター・・・〈回転・光・音〉
◇電気自動車・・・〈回転・光・音・熱〉
101
17
17
電化製品調べ
(第 3 ∼ 4 時/全 4 時限)
時 数
2
3.かしこい電化製品の使い方
時 間
ねらい
電化製品ごとの節電方法を調べ、各家庭で取り組むことを通して、暮らしの中の電気の使われ方を知り、省エネ(節電)
生活を継続する態度を培う。
(関心 ・ 意欲 ・ 態度)
評価のポイント
自分や家族がよく利用する電化製品に絞り、その節電方法を意欲的に調べようとしているか、効果的な家族への伝達方
法を考え、家族の協力を得ようとしているかなど、実践的態度で評価する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
(1)資料からそれぞれの電化製品の電力使用量(割合)を知り、
節電利用方法を考える。(予想)
◇テレビ:つけっぱなしにしない,主電源を消す,みんなで
見る・・・
◇クーラー:設定温度を上げる,うちわで過ごす,扇風機を
留意点
・節電方法を調べたい電化製品を数点に絞る
とき、その根拠を明確にさせる。
・具体的な節電方法を調べさせる中で、電気
代や電気使用量などの数値で伝える視点を
使う・・・
◇リビングの照明:電球を減らす,照度を下げる・・・
持たせる。
・主電源OFFや待機電力カット、照度を落とす
(2)電化製品をいくつかに絞り、節電利用方法を調べる。(課題
設定・探求)
◇取り扱い説明書を読む。
などすぐに取り組めることと、家族が協力
しないと成果が出ないことがあることに気
付かせる。
◇メーカーに問い合わせる。
◇エコワットなどを利用する。
教材・資料
ワークシート②〈節電調べ〉
(3)調べた内容を発表交流する。
◇〈熱〉
〈回転(モーター)
〉
〈音〉
〈光〉などに分類した電化製
品ごとにまとめる。
◇分類ごとの節電利用方法の共通点に気付く。
(4)自分の家庭でできそうなことを選び、家族に伝えるために効
果的な方法を考える。
◇家族の中で自分ひとりだけでは限界があることに気付き、家
族を巻き込むことに意欲を持つ。
◇家族に伝えるために効果的な方法を考える。
(5)各家庭での取組状況を交流し、新たな節電方法や効果的な伝
達方法に気付く。
102
電化製品調べ
●その他参考資料等
〈節電方法について〉
1 関西電力
2 経産省資源エネルギー庁
3 電力中央研究所
4 パナソニック
5 東芝
6 日立
7 シャープ
http://www.kepco.co.jp/home/shouene/way.html
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/gen eral/howto/
http://criepi.denken.or.jp/index.html
http://panasonic.co.jp/cs/info/setsuden.html
http://www.toshiba.co.jp/csqa/contact/support/info/setsuden.htm
http://kadenfan.hitachi.co.jp/about/attention/setsuden.html
http://www.sharp.co.jp/support/info_eco.html#n7
103
17
17
電化製品調べ
104
電化製品調べ
105
17
〈生活〉
107
太陽や風と遊ぼう!
18
対象学年
教科
小学校
2
生活
学年
単元
関連教科・単元
3 年理科
生活(6)身近な自然や物を使った遊びや遊びに使う物の工夫
A (2)風やゴムの働き
(7)動物や植物を育て、それらの育つ場所、変化や成長の様子 B (3)太陽と地面の様子
時間数
7
目 標
関心・意欲・態度
自然のエネルギーの存在に気づき、それを遊びに生かそうとする。
思考・判断・表現
太陽のエネルギーについては、あたたかさ、明るさを比べながら、その違いをみつける。動くお
もちゃを使って、遊びながら風の強さの違いがわかる。
知識・技能
自然のエネルギーの存在に気付き、
それを利用して、おもちゃを作ったり遊んだりすることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
まずは、自然のエネルギーの存在を知ることが必要である。そのためには、身近な運動場などで自然のエネルギーを体
感することが大切である。
太陽のエネルギーに関しては、学校の敷地の地図のプリントを用意し、どこが日向でどこが日陰になっているかを記入
させる。そのなかで、日向と日陰の違い(明るさ、暖かさ、湿り具合…)を観察させる。生えている植物や、見られる虫
などにも注意を向けさせる。なぜ、そのような違いが出てくるかを考えさせることで、太陽のエネルギーに気づかせるこ
とができる。また、学級園や植木鉢が日向にある理由も考えさせることができる。
風のエネルギーに関しても、まずは校庭で風車などを使って体感する。そして風で動くおもちゃ(本実践例では自動車)
を作ることで、そのエネルギーが利用できることに気づかせる。さらに本実践では自動車レースをすることで、工夫すれ
ば上手にエネルギーを利用できることにも気づかせる。
●単元における展開例の位置づけ
(6)身近な自然を利用したり、身近にある物をつかったりなどして、遊びや遊びに使う物を工夫してつくり、その面白
さや自然の不思議さに気付き、みんなで遊びを楽しむことができるようにする。
自動車レースでは、エネルギーの有効利用を考えさせる。
(7)動物を飼ったり植物を育てたりして、それらの育つ場所、変化や成長の様子に関心をもち、また、それらは生命をもっ
ていることや成長していることに気付き、生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにする。
太陽となかよしでは、動物や植物の育つ場所について、日向と日陰に分けて考えさせる。
展開計画 全 7 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
太陽となかよし
3
日向と日陰を比べて、日向は明るく暖かい、日陰は薄暗く涼しいことを、太陽の当たり方と結びつけて違いを指摘できる。
・学校の敷地図をもとに、日向と日陰をワークシートに記入する。
・日向と日陰の違いを、見たりさわったりして比べる。
・日向と日陰の違いを発表する。
風となかよし
1
身近な材料を使って、かざわや風車を作り、風と遊ぶことができる。
・身近な材料を使って、かざわや風車を作り、風のエネルギーを体感する。
自動車レース
3
身近な材料を使って、風で動くおもちゃを作り、工夫することでエネルギーを上手に利用できることに気付く。
・身近な材料で自動車のおもちゃを作る。
・速く走らせるためには、どうすればよいか考え工夫する。
・短距離と長距離の二つのレースを行い、工夫した自動車を走らせる。
108
太陽や風と遊ぼう!
(第 1 ∼ 3 時/全 7 時限)
時 数
3
太陽となかよし
時 間
ねらい
日向と日陰を比べて、日向は明るく暖かい、日陰は薄暗く涼しいことを、太陽の当たり方と結びつけて違いを指摘できる。
評価のポイント
・日向と日陰の違いを、言葉で説明できる。
・植物や虫の違いで、日向と日陰の違いが分かる。
・自分たちが育てている植物の花壇や植木鉢がなぜ日向にあるか説明できる。
具体的な学習活動・内容
1時
使用する教材・資料/指導上の留意点
・かげふみをする。
かげができる向きを確認する。
・学校の敷地図を持って校内をまわり、日向を赤、日陰を
青に色分けする。
中庭、運動場、校門付近など、グループに分けてもよい
日向・日陰を書きこむ学校の敷地図
よく晴れた日に行い、事前に日向と日陰の言葉
の意味を確認しておく。
・日向にあるもの、日陰にあるものを発表する。
2時
・日向と日陰の違いを比べるワークシートを持って、外へ
出てしらべる。
草花、生き物などグループに分けてもよい
日向と日陰の違いを比べるワークシート
目で見るだけではなく、さわったり、においを
かいだり五感でとらえさせる。
・日向や日陰で見つけたもの、違いについて発表する。
3時
・日向や日陰にあるもの、日向と日陰で見つけたもの、日
向と日陰の違いを確認する。
日向・日陰を書きこむ学校の敷地図、日向と日
・日向と日陰の違いがどうしておこるのか考える。
言葉は出さなくて良いが、自分達の経験をもと
・自分たちが育てている植物の花壇や植木鉢がなぜ日向に
あるか考える。
に、太陽のエネルギーの存在に気づかせる。
109
陰の違いを比べるワークシート
18
18
太陽や風と遊ぼう!
(第 4 時/全 7 時限)
時 数
1
風となかよし
時 間
ねらい
身近な材料を使って、かざわや風車を作り、風と遊ぶことができる。
評価のポイント
・かざわや風車が回るのは、風の力であることに気付く。
・風の強さによって回る速さが違うことに気付く。
具体的な学習活動・内容
1時
使用する教材・資料/指導上の留意点
風でものが動くことを確認する。
・風がある時はどんなことが起きるか考える。
・風がある時、かざわや風車はどうなるか発表する。
・画用紙・フイルムケースのフタ・竹串・ストローで簡単
な風車を作る。
『エネルギー環境教育の学習用教材』
p.9-10.
早くできた子どもには、羽に色を塗らせると
よい。
・外に出て、いろんな場所・いろんな方向で回してみる。
・どんな時によく回ったか発表する。
運動場の真ん中、校舎沿い、同じ場所でも向き
を変えてみて、回り方を比べる。
・風車を回した力は利用できないか考える。
風が強いとき、風の吹く向きに向けるとよく回
ることを確認する。
言葉は出さなくて良いが、風のエネルギーの存
在に気づかせる。
風力発電は知っている子どももいる。帆船やオ
ランダの風車など伝統的に利用されてきたこ
とを知らせる。
110
太陽や風と遊ぼう!
(第 5 ∼ 7 時/全 7 時限)
時 数
3
自動車レース
時 間
ねらい
身近な材料を使って、風で動くおもちゃを作り、工夫することでエネルギーを上手に利用できることに気付く。
評価のポイント
速く走らせるために、どのように工夫したかを説明できる。
具体的な学習活動・内容
1時
使用する教材・資料/指導上の留意点
・牛乳パック・洗濯バサミ・竹グシ、フイルムケースのフ
タを使って、簡単な動く自動車を作る。
・自動車レースをすることを知らせ、どのようにすれば自
動車が動くかを考えさせる。
坂を作る、団扇であおぐ、ゴムで走らせる、モーター
をつける
『まるごと生活科(2)
』p.160
手で押す以外のことを考えさせる。
位置エネルギー、風、ゴム、モーターが小学校
理科であつかうおもちゃの自動車の動力源で
ある。
2時
3時
・自動車を速く走らせるためにどのような工夫をするか発
表する。
いくつかの動力源を利用するのも可とする。
・自動車を速く走らせるために工夫する。
工夫するごとに試走し速さを確認する。
竹ヒゴ、画用紙、輪ゴムなど。
・自分が工夫したことを発表する。
速く走らないことに気付かせる。
・短距離(2∼3mほど)、長距離(教室の端から端まで)
の二つの自動車レースを行う。
勝敗だけでなく、友だちの工夫に目を向けさせ
・速かった自動車の、速く走れた理由について発表する。
また、より速く走らせるにはどのような工夫がいるか考
える。
工夫することでエネルギーを上手に利用でき
ただ帆を大きくするだけでは前につんのめり
る。
ることに気付かせる。
●その他参考資料等
佐島・高山・山下編
エネルギー環境教育関西ワークショップ
平田庄三郎
『生活科・総合的学習 エネルギー環境教育の学習用教材』国土社,2004.
『教科学習におけるエネルギー環境教育の授業づくり[小学校編]』国土社,2009.
『持続可能な社会をめざす エネルギー環境教育の実践』国土社、2009.
『コピーしてすぐ使える まるごと生活科(2)』喜楽研 h ttp ://www.kirakuken.jp/
111
18
〈家庭〉
113
ゆでる調理をしよう
19
対象学年
∼環境にやさしい調理∼
教科
小学校
5
家庭
学年
単元
家庭 B日常の食事と調理の基礎
(2)調理の基礎
関連教科・単元
時間数
家庭 D身近な消費生活と環境
4年理科 A(2)金属・水・空気と温度
8
目 標
関心・意欲・態度
・目的に応じたゆで方に関心をもち、調理をしようとしている。
・自分の生活と身近な環境に関心をもって、環境に配慮した生活をしようとしている。
思考・判断・表現
・調理の目的や材料に合った洗い方、切り方、ゆで方、食べやすさなどを考えたり、衛生で環境
に配慮した調理について、自分なりに工夫したりしている。
知識・技能
・ゆでる調理の特性や材料や目的に応じたゆで方を理解し、調理をすることができる。
・環境に配慮した調理の仕方について理解している。
単元における視点
●展開例の趣旨
ふだん食べている食事とは何かしらの調理されているものであることに改めて注目し、おいしく食事をするために調理の
重要性を意識させる。しかし、調理をするとエネルギーを使用したり、ゴミが出たりと、環境へ負荷をかけることになっ
てしまう。そこで、より環境に配慮した調理を行い、おいしく食事をするためにはどのような工夫ができるかを、ゆでる
調理の学習をすすめる中で気付かせて、調理への関心を高めていくとともに、実践していくための技能・理解を身に付け
ていけるようにする。
5年生の早い段階で環境に配慮した調理について学習することで、2年間を通して環境のことを考えて調理実習に望んで
いけると考える。
●単元における展開例の位置づけ
エコにゆでるための工夫として、野菜の切り方、ゆで方に注目させて、よりエネルギーを使わずに調理をする工夫を考え
させていく。野菜をゆでる中にも様々な工夫ができることに気づき、より良い選択をして調理が行えるようにする。
また、調理計画の段階では、片付け方にも注目させ、ゴミを減らすための工夫や洗剤の扱い方など取り上げ、調理実習や
家庭実践へとつなげていく。
展開計画 全 8 時限
時数
1
3
各時間の学習課題と主な学習内容
1.野菜を食べくらべてみよう
・ゆで野菜と生野菜(ゆで時間が短い野菜)をくらべ、どのような違いがあるかを話し合って、調理の重要性に気付く。
2.工夫してゆでてみよう
・野菜の切り方とゆで方に注目させて、工夫してゆでるための方法を探る。その際に、短い時間でゆでることがエネルギーの
削減につながることもふまえて、環境にやさしい工夫を考えていく。
3.ゆで野菜サラダ作りの計画を立てよう
1
2
1
・切り方、ゆで方以外の工夫として、片付け方を取り上げ、ゴミを減らす工夫やドレッシングなどの油よごれの処理の仕方、
洗剤の扱い方などについて考える。
・切り方、ゆで方、片付け方に分けて、どのように調理を行っていくか計画を立てる。
4.ゆで野菜サラダを作ってみよう
・前時までの学習から学んだこと生かして、調理を行う。
5.活動をふり返ろう
・題材のまとめとして自分の活動をふり返り、今後もより環境に配慮した調理を行えるようにしていく。
114
ゆでる調理をしよう
(第 1 時/全 8 時限)
時 数
1
1.野菜を比べてみよう
時 間
ねらい
ゆでる調理の特徴と材料や目的に応じたゆで方が分かる。
評価のポイント
生野菜とゆで野菜を比較することで、調理をする意味を理解することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 活動の見通しをもつ。身支度をする。
2 ゆでた野菜と生の野菜では、何が違うかを予想する。
・自分の生活経験を思い起こさせる。
・やわらかさが違う?
・予想をたてることで、どのような観点で野
・食べた感じが違う?
菜の変化を見ていけばよいかを意識させる。
・見た目が違う?
・量が減る?増える?
・予め指導者が用意をしておく。
3 野菜を食べ比べてみる。
・生食が難しい場合は、短時間ゆでて用意を
野 菜 … キ ャ ベ ツ・
する。
にんじん・玉ねぎ・
・見た目やかおり,食感など諸感覚を使って
サラダほうれん草
感じるようにさせる。
など
・感じたことをどんどん記入するように声かけ
をする。
・発表の際に比較できるように、野菜を少し
残しておくとよい。
4 試食をし,気付いた点をワークシートに記入する。
○実物を確認しながら、すすめていく。
○色・味・かさ・食感・時間に注目させる。
・玉ねぎは生だと辛い。
・ほうれん草の量がゆでると少ない。
・野菜の香りがしなくなった。
・生野菜とゆで野菜の変化から、なぜ「ゆで
5 全体で気付いた点を発表する。
・にんじんとキャベツはゆでたほうがやわらかくなった。
る」調理をするのかを考えさせる。
・ゆでることがどのような「おいしさ」につ
・ほうれん草は色が濃くなった。
ながるかに着目させる。
・玉ねぎはゆでたほうが辛さがなくなった。
・次時のゆで野菜へと生かせる部分や日常の
・ほうれん草とキャベツはかさが減った。
食事と関連させて考えられるようにする。
6 ゆでる調理の特ちょうをまとめる。
・ゆでるとやわらくなって、食べやすい。
・味が変わって,いろいろな料理が楽しめる。
・かさが減ったので,たくさん食べられる。
・野菜の種類によって、ゆでる時間が違う。
・料理は見た目も大事だから、色が濃くてカラフルな方が美味し
そうに見える。
115
19
19
ゆでる調理をしよう
(第 2 ∼ 4 時/全 8 時限)
時 数
3
2.工夫してゆでてみよう
時 間
ねらい
工夫してゆでるためにはどのような方法があるか考える。
評価のポイント
・目的や材料に合わせた調理の仕方を理解することができる。
・より環境にやさしい調理の工夫を自分なりに考えることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 野菜をゆでるときにどのような工夫ができるかを考える。
・ただゆでるのではなく、目的をもってゆで
られるようにする。
・野菜の切り方
・ゆで方
・野菜の食感(ゆでる時間)
2 短い時間でゆでるために、どのような工夫ができるか話し合う。 ・授業の限られた調理時間でつくるためには、
・野菜の切り方を工夫する。
早くゆであがる方がいいことにふれ、エコ
・早くお湯をわかせるようにする。
な調理に注目させる。
3 具体的な試し調理の方法を班で話し合い、予想をたて、調理
を行う。
・試し調理の際は、条件をそろえるために、
水の量と野菜の量を同じにして、ゆで時間
〈野菜の切り方〉
はふっとう後○分や竹串が通るまでなどと
・野菜の厚さ(大きさ)をかえる。
基準を決める。
厚さが 2 mmと 10 mmのもの
〈ゆで方〉
・水の量をかえる。
116
ゆでる調理をしよう
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・なべのふたをする。
・ガスの使用量を減らすことを意識させてい
く。
・火の強さをかえる。
・火が強すぎて鍋からはみだしている場合は、
エネルギーの無駄であることも気付かせる。
強火と弱火
・よりエネルギーを使わずに調理することが、
4 実験結果から、早くゆでられる方法をまとめる。
・野菜はうすく切ったほうが火の通りがはやい。
環境に配慮することにつながることをおさ
・お湯をわかすまでは、ふたをしたほうがいい。
える。
・火の強さは、なべの底からとび出ている部分はエネルギーのむ
だなので調節したほうがいい。
・野菜の量に合った水量でゆでることが大事。
117
19
19
ゆでる調理をしよう
(第 5 時/全 8 時限)
時 数
1
3.ゆで野菜サラダ作りの計画を立てよう
時 間
ねらい
調理実習にむけて、より具体的に調理計画をたてる。
評価のポイント
・前時に調べた工夫をふまえて、計画をたてることができる。
・切り方やゆで方以外も調理をするときに環境へ配慮できることがないかを自分なりに考えて工夫することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 前次で学習したことを振り返り、短時間でゆでる方法を確認する。
2 ゆで方や切り方以外にも環境に配慮できる点はないかを話し
合う。
・家庭ごみに占める生ゴミの割合表や生活排水
の資料 環境省「生活排水読本」
・なるべく生ごみがでないようにする。
・油よごれは古布で拭き取ってから洗う。
・洗剤を使いすぎない。
・桶を使ってため洗いをする。
・次回の調理実習に使用するため、生ごみ入れ
を作成すると意欲付になる。
・広告やリサイクル用紙を再利用した生ごみ入れ
・ごみを減らす工夫や節水の工夫を考えさせて
いく。
・家庭で行っているエコな工夫も思い出せるよ
うに支援をしていくとよい。
・ブロッコリーの芯も薄く切って調理する
・エネルギー削減や環境への視点が入るよう
3 調理計画を立てる。
・何種類もの野菜を1つの鍋でゆでられるように、入れる順番を
考えよう。固い物(根菜)から順番に。
・野菜の切り方は早く食べられるように、薄くしよう。
・ドレッシングを作るときは、作りすぎないように気を付けよう。
118
にアドバイスをしていく。
ゆでる調理をしよう
(第 6 ∼ 7 時/全 8 時限)
時 数
2
4.ゆで野菜サラダを作ってみよう
時 間
ねらい
試し実験をふまえて調理計画をたて、実践する。
評価のポイント
環境に配慮した調理をおこなうことができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 実習の準備をする。
・ガスの使用量を減らして
2 調理計画をもとに調理をおこなう。
・前回、作成した生ごみ入れを使用する。
・野菜を切る
・ゆで方や切り方を意識させていく。
・ゆでる
・食べきれる量を調理し、食品ロスが減らせ
・ドレッシングを作る
るように工夫させる。
「食品ロス」…食べられる状態であるにもか
かわらず廃棄される食品
3 試食をする。
・ちょうど良い固さにゆでられたか。
・片付け方も工夫ができることを思い出させる。
4 片付けをする。
・油よごれは古布でふいてから洗う。
・洗い桶を使って、ため洗いをおこなう。
・水を使いすぎない。
119
19
19
ゆでる調理をしよう
(第 8 時/全 8 時限)
時 数
1
5.活動をふり返ろう
時 間
ねらい
今までの学習から、環境に配慮した調理についてまとめる。
評価のポイント
調理実習をふり返り、環境やエネルギー削減の調理法について理解することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・ふり返りをおこない、今後の調理に生かし
1 実調理実習の様子をふりかえる。
ていく。
・野菜の切り方を薄くして、早くゆでられた。
・お湯をわかすときは、ふたをしたら早くふっとうした。
・節水するように心がけた。
2 今後、生活の中でどのように調理をおこなっていくかをまと
める。
・材料を切るときは、食べやすい大きさや厚みも考えて、切って
いくようにする。
・洗い物をするときは水を出しっぱなしにしないで、少ない水で
洗えるようにしていく。
・なべやフライパンの大きさに火の強さを調整して、ガスの無駄
遣いをしないように気を付ける。
●その他参考資料等
・東京ガス:キッズ東京ガス
・FOODACTIONNIPPON
・大阪ガス
・一般社団法人日本ガス協会
エコ・クッキング
http://syokuryo.jp/index.html
http://okids.chouriryoku.jp/
http://www.gas.or.jp/
120
・5年生の早い段階で、エネルギーや環境のこ
とを考えて調理をおこなうことで、2年間を
通して考えていくためのきっかけとしていく。
・まとめたことを教室に掲示するなどして、
今後の実習でも意識していけるようにする。
ゆでる調理をしよう
121
19
19
ゆでる調理をしよう
122
かしこい消費者になろう
20
対象学年
教科
小学校
5
家庭
学年
単元
関連教科・単元
時間数
家庭 A家庭生活と家族
家庭 D 身近な消費生活と環境
3・4 年 社会(3)ア 飲料水、電気、ガスの確保や
C(2)快適な住まい方
廃棄物の処理と自分たちの生活や産業とのかかわり
6
目 標
関心・意欲・態度
・自分の生活と身近な環境との関わりに関心をもち、物の使い方などを見直し、環境に配慮した
生活をしようとしている。
思考・判断・表現
・自分の生活を見直し、環境に配慮した物の使い方などについて考えたり、自分なりに工夫した
りしている。
・目的にあった物の選び方や買い方を自分なりに工夫している。
知識・技能
・環境に配慮した生活の工夫について理解し、基礎的・基本的な知識を身に付けている。
単元における視点
●展開例の趣旨
自分の家庭生活をふり返って物の使い方や買い方を考えることで、自分の生活を再認識し、より良い生活を目指していく。
その際に「消費者としての自覚」と「環境への配慮」を意識することで、持続可能な社会に向けて日々の生活の改善と家
庭での実践へとつなげていけるようにする。
●単元における展開例の位置づけ
「不用なものをいかそう」では、ごみを処理するにもエネルギーや費用がかかることをおさえて、安易にごみとして物を捨
てるのではなく再利用する方法を探れるようにする。
「かしこい買い物の仕方を考えよう」では、食品ロスや包装紙などのごみを減らす工夫や、エコマークなどの環境にやさし
い品物にふれ、購入の際にも配慮が必要なことに気付き、工夫ができるようにする。
展開計画 全 6 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.身の回りのものを見直そう
1
2
・自分の身の回りを見つめ、生活スタイルを再認識する。
・整理整とんを心がけることで、自分にとって必要なものと不用なものを意識する。
・物を大切に使うことがごみの削減につながることを理解する。
2.不用なものをいかそう
・自分が不用となったものでもすぐにゴミとして捨てるのではなく、他に生かす方法はないのかを考える。
・資源の分別や 3R などの工夫があることを理解する。
3.かしこい買い物の仕方を考えよう
2
1
・新しい商品を購入する際も、自分の生活や環境のことをふまえて品物を選んだり、買い物をしたりする必要があることを理
解し、どのような工夫ができるかを話し合う。
・品物を選ぶ際の目安として、様々なマークや表示があることを理解する。
4.かしこい消費者ってどんなだろう?
・今まで学習した内容をふまえて、
「かしこい消費者」とは、どのような人であるかを話し合い、今後、消費者としてどのよ
うに生活していくかをまとめる。
124
かしこい消費者になろう
(第 1 時/全 6 時限)
時 数
1
1.身の回りのものを見直そう
時 間
ねらい
自分の身の回りを見直すことで、生活スタイルや整理整頓について考える。
評価のポイント
・整理整頓をすることで、自分にとって必要な物と不用なものがあることを意識できる。
・物を大切に使うことは、ごみの削減や環境への負担を軽減することを理解できる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 散らかっている部屋の写真を見て、気付いたことを発表する。
・教科書にでている写真などを活用するとよい。
・床に物がおいてある。
・どこに何があるかわからない。
2 部屋が散らかっていて、困った経験がないかを考える。
・子ども達の経験から考えられるように、支援する。
・必要な物がみつからなかった。
・持っていることを忘れて、同じものを2つ買ってしまった。
・まだ使い終わっていないのに、新しいのを買ったことがある。
3 散らかった部屋だとなぜ良くないのかを考える。
・物を踏んでけがをしてしまう。
・どこにあるかが分からなくて、新しいのをまた買ってしまう。
・学校の落し物をみせて、これだけのものが最終的
にはごみになってしまう可能性があることに気付
かせる。
・どんどん物が増えて、ごみになってしまう。
4 整理整頓をして今持っている物を長く大切に使うことが、金
銭面だけでなくごみの削減へとつながり、環境やエネルギー
削減へとなることを理解する。
125
・自分のライフスタイルが社会や環境・エネルギー
消費にも影響を与えていることを実感できるよう
にする。
20
20
かしこい消費者になろう
(第 2 ∼ 3 時/全 6 時限)
時 数
2
2.不用なものをいかそう
時 間
ねらい
自分が不用になったものや家庭からごみとして捨てる物でも、さらにいかせることを理解する。
評価のポイント
・不用になったものをいかす工夫が考えられる。
・「3R」などの活動を知り、物をいかすことの必要性を理解することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 家庭からでるごみや自分にとって不用になった物は何がある
かを話し合う。
・事前に「家庭のごみ調査」などを家庭学習
で行っておくとすすめやすい。
・生ごみ
・包装容器
・服
・本
・おもちゃなど
2 その中で、ごみとして扱うのではなく、さらにいかせる方法
はないかを考える。
・生ごみは肥料にするのを聞いたことがある。
・自分たちの生活をイメージして、具体的に
考えられるように支援する。
・原料から作るよりも、リサイクルして作っ
・着られなくなった服は、親戚に譲っているよ。
たほうが低エネルギーであることを押さえ
・ペットボトルは市で資源として回収しているよ。
る。
・本はリサイクルショップに売っているよ。
・着られなくなった服を使って、クッションを作ったよ。
・「3Rまなびあいブック」
3 3 R について理解する。
・Reduce
・4Rや5Rもある。
・Reuse
・3Rの内容を具体例をあげて、理解できる
ようにする。
・Recycle
・リサイクルについては、再利用する方が一
から作るよりもエネルギーがかからないこ
とを伝える。
126
かしこい消費者になろう
(第 4 ∼ 5 時/全 6 時限)
時 数
2
3.かしこい買い物の仕方を考えよう
時 間
ねらい
買い物をするときから環境のことを考えて品物を選ぶことができないかを考える。
評価のポイント
・自分なりの根拠をもって品物を選ぶ際の工夫が考えられる。
・目的や品質、環境のことを考えた物の選び方ができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 新しい物を買うときも工夫が必要なことを理解する。
2 買い物のシミュレーションをする。
・ノートの実物があったほうが、子どもはイ
メージしやすい。
・どのノートを選びますか?
・子どもの実態によって、物や金額などはか
えてもいい。
A
〈グリーンマークがついたもの 110円〉
グリーンマーク…原料に古紙を規定の割合以
上利用していることを示すグリーンマーク
を古紙利用製品に表示し、古紙の利用を拡
大し、紙のリサイクルの促進を図ることを
目的としている。
B
〈キャラクターのついたもの 100円〉
・東京都消費生活総合センター
消費者教育読本「∼しっかり考え楽しく
チャレンジ∼さあ始めよう!自分でお買い
物」では、インターネットを使って、買い
物を体験することができる。
C
〈包装されているもの 3冊290円〉
・しっかり自分なりの根拠をもって品物を選
3 なぜそのノートにしたのかを発表する。
・Aはグリーンマークが付いていて、環境にやさしい。
・Cは安いけど、3冊も使いきれない。
・包装してあるとごみが増えてしまう。
127
ぶことが重要であることに気付かせる。
20
20
かしこい消費者になろう
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
4 品物に付いているマークも選ぶ際の参考になることを理解する。 平成26年版環境統計集4章物質循環(容器包
装リサイクル)4.30 家庭ごみ全体に占める
容器包装廃棄物の割合
5 普段の生活の中で、買い物のときに環境のために何ができる
かを考える。
・買い物袋をもっていくようにする。
・目的や品質、環境のことを考えた物の選び
方や買い物の仕方が理解できたかをおさえ
る。
・詰め替え用を活用する。
・表示をしっかり見るようにする。
・必要な分だけ買うようにする。
128
かしこい消費者になろう
(第 6 時/全 6 時限)
時 数
1
4.かしこい消費者って?
時 間
ねらい
今まで学習したことをふまえて、かしこい消費者とはどのようなことかをまとめる。
評価のポイント
消費生活を自分のこととして考え、環境に配慮した視点を取り入れて具体的に「かしこい消費者」としての行動や心構
えを考えることができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・消費者としての視点にたって、自分の生活
1 今までの学習をふりかえる。
を振り返れるようにする。
・整理整頓
・再利用
・買い物
2 班で「かしこい消費者」としての行動はどのようなことかを
話合い、発表する。
・物を大切にする
・ごみを減らす
・リサイクルなど資源を再利用する
・環境にやさしいものを買う
・長く使えるものを買う
3 今後、自分はどのように生活していきたいかをまとめる。
・買い物をするときは、エコバッグをもっていくようにしたい。
・ごみをあまり出さないようにするために、少し高くても長く使
えるものを選ぶようにする。
129
・自分のことだけでなく、環境にも考えて、
まとめられるようにする。
20
20
かしこい消費者になろう
●その他参考資料等
参考資料
・農林水産省
パンフレット「いちばん身近な『食べもの』の話」
・東京都消費生活総合センター
消費者教育読本「∼しっかり考え楽しくチャレンジ∼さあ始めよう!自分でお買い物」
・環境省
こどものページ「こども環境白書」
こども向け小冊子「3Rまなびあいブック」
・経済産業省
キッズページ「リサイクル」
パンフレット「なっトク、知ットク3R」
《活用可能な外部支援》
支援機関
・3R 推進団体連絡会
・ガラスびんリサイクル促進協議会
・PET ボトルリサイクル推進協議会
・紙製容器包装リサイクル推進協議会
・プラスチック容器包装リサイクル推進協議会
・スチール缶リサイクル協会
・アルミ缶リサイクル協会
・飲料用紙容器リサイクル協議会
・段ボールリサイクル協議会
・トンボ学生服(リサイクル工程キットの提供)
http:// www.3r-suishin.jp/
http:// www.glass-recycle-as.gr.jp/
http:// www.petbottle-rec.gr.jp/
http:// www.kami-suisinkyo.org/
http:// www.pprc.gr.jp/
http:// www.steelcan.jp/
http://www.alumi-can.or.jp/
http:// www.yokankyo.jp/InKami/
http:// www.danrikyo.jp/
http://www.tombow.gr.jp/
130
かしこい消費者になろう
131
20
これでいいの?冷暖房にたよる生活
21
(冷暖房にたよる生活の見直し)
対象学年
教科
小学校
6
家庭
学年
単元
家庭 C 快適な衣服と住まい
(2)快適な住まい方
関連教科・単元
時間数
3年理科 A 物質・エネルギー
(3)光の性質
11
目 標
関心・意欲・態度
限りある資源を大切に使おうとする意識をもつ。
思考・判断・表現
自分の生活を振り返り、電気やガス等のエネルギー消費を少なくすることが大切であることを理
解する。
知識・技能
省エネ生活の仕方が分かり、寒暖に合わせた衣服の着用の仕方ができる。
電気やガス等のエネルギーを大切に使う生活ができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
夏の暑さや冬の寒さを防ぐための合理的な着方が工夫できるようにする。暑さや寒さを防ぐための器具の活用を見直し、
電気やガス等のエネルギーに頼っていた生活から、風や水等の自然を生かした生活が工夫できるようにする。冷暖房に頼
らず、衣服の調節や自然のエネルギーを活用した生活を工夫することができるようにする。電気やガス等のエネルギーを
大切に使う生活を送ることができるようになる。
●単元における展開例の位置づけ
快適な住まい方の学習(8 時間取り扱い)に続き、時数 9 ∼ 10/11、11/11 で、省エネ生活の実践方法を理解させる。
冷暖房に頼っている生活から、衣服を調節したり、自然を効果的に活用したりして、省エネが生活の中で実践できるよう
になることをねらっている。
展開計画 全 11 時限 (具体的展開例はアミ掛け部分です)
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
涼しい住まい方
暑い季節を気持ちよく過ごすための衣服の整え方や住まい方が工夫できる。
4
・衣服のはたらきを知る。
・生活活動上、保健衛生上、暑さなど季節に応じた快適な着方が分かる。
・暑さや風通しについて考え、健康的で自然を生かした住まい方の大切さが分かる。
・涼しい着方や住まい方が工夫できる。
温かい住まい方
寒い季節を気持ちよく過ごすための、衣服の整え方や住まい方が工夫できる。
4
・温かい着方を知る。
・布の色、通気性、衣服の形、重ね着について知る。
・寒さ、換気、採光について知る。
・自然を生かした防寒、採光に気づく。
・温かい着方や住まい方が工夫できる。
これでいいの?冷暖房にたよる生活1∼電気やガスの使用を少なくする方法を調べよう∼
2
1
自然エネルギーを効果的に利用して、寒さや暑さを防ぐ方法を理解させる。
・自分の生活を振り返り、冷暖房に頼っていた生活に気づく。
・衣服の調節をしたり、自然のエネルギーを活用したりして、寒さや暑さを防ぐ生活の仕方が分かる。
これでいいの?冷暖房にたよる生活2
∼衣服の調節や自然のエネルギーを活用した住まい方ができるようにしよう∼
衣服の調節や住まい方を工夫して、省エネルギー生活ができるようにさせる。
・電気やガス等のエネルギーに頼る生活から、衣服の調節や自然エネルギーを使用した住まい方の工夫で、電気やガス等のエ
ネルギーを大事にした省エネ生活ができる。
132
これでいいの?冷暖房にたよる生活
(第 9 ∼ 10 時/全 11 時限)
時 数
2
これでいいの?冷暖房にたよる生活1
∼電気やガスの使用を少なくする方法を調べよう∼
時 間
ねらい
自然エネルギーを効果的に利用して、寒さや暑さを防ぐ方法を理解させる。
評価のポイント
・自分の生活が冷暖房に頼っていた生活であることに気付く。
・寒さや暑さを防ぐ省エネ生活の仕方を理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
電気やガスの使用を少なくする方法を調べる。
1.暑さを防ぐためにどんなことをしていたか話し合う。
(例)エアコンを使う。扇風機を使う。海水浴に行く。水浴び
をする。等
2.寒さを防ぐためにどんなことをしていたか話し合う。
例)エアコンを使う。ストーブをつける。電気カーペットを
使う。電気こたつに入る。床暖房にする。等
3.電気やガスに頼らないで暑さや寒さを防ぐためにどうしたら
よいか課題を立てよう。
○暑さや寒さを防ぐ着方や住まい方を考えよう。
○衣服で暑さ寒さを調節するために、どのような着方や住ま
い方をしたらよいだろう。
(1)暑さを防ぐために
①昔の人はどのように工夫していたのだろうか?
・着ている物の枚数をできるだけ少なくする。
・うちわや扇子を使う。
・庭や道路に打ち水をする。
・花にやり水をする。
・行水をする。水浴びをする。
・夕涼みをする。縁台を使う。
・すだれを使う。【直射日光を避ける】
・ 風鈴をつるす。水琴窟(すいきんくつ)。【奏でる音で涼
しさを得る】
②今は、どのような工夫をしているだろうか?
・汗を吸いやすい服を着る。
・涼しさを感じさせる型や色柄の服を着る。
・ハイテク素材を使ったグッズを使う。
・水分に反応してひんやりする涼感素材の服や帽子を使う。
・冷却ジェルパッドを使って寝る。
・風通しをよくする。
・グリーンカーテンをつくる。
・屋上庭園を作る。
・水を撒く。
133
○暑さや寒さを防ぐために電気やガスに頼っ
ていたことを理解させるため、今までの自
分の生活を振り返り、実態を把握させる。
○小グループ(3 人1組)になり、暑さや寒さ
を防ぐためにどのようなことをしていたか
話し合い、まとめさせる。
※ 3 人グループのよさ
①司会、記録、発表と3役をローテーションす
ることにより、一人が全ての役割を果たすこ
とができる。
② 3 人での話し合いは、疎外される児童がでず、
話し合いに入れない孤立児がでない。
③ 3 人という少人数なので、どの児童も発表
する時間が確保される。
○自分たちの生活を振り返って暑さや寒さを
防ぐため、電気やガスに頼っていたことにつ
いてまとめさせる。
○グループごとに調べたい内容を決め、課題に
沿って暑さや寒さを防ぐための工夫を調べ
させる。
※参考「水琴窟」
流水を利用した音響装置。滴り落ちる水が
琴の音色に聞こえるようにした。江戸時代
の庭師の考案。昔の人は、風鈴や水琴窟など、
音からも涼感を得ていたことに気づかせる。
○グループごとに暑さや寒さを防ぐために、昔
の人々が工夫していたことを調べさせる。
○家の人に聞いたり、アンケート調査を行った
りして、暑さや寒さを防ぐためにやっている
ことをまとめさせる。
○インターネットで検索したり、情報誌を見た
りして「今は、暑さや寒さを防ぐためのハイテ
クの被服素材があり、それを着用すれば、冷
暖房の使う量を減らせること」に気づかせる。
21
21
これでいいの?冷暖房にたよる生活
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
(2)寒さを防ぐために
①昔の人はどのように工夫していたのだろうか?
・囲炉裏に火をたく。
・たくさん着込む。綿入れを着る。
・厚手の下着や上着を着る。
・コタツに入る。
・縁側を使う。【日光の利用】
・雨戸を引く。
②今は、どのような工夫をしているだろうか?
・一番上に、風を通さない服を着る。
・温かい機能性の下着をつける。
・遠赤外線繊維が入った服を着る。
・密封性の高い窓にする。/二重窓にする。【部屋の保温】
・室内履きを履く。靴下を履く。
・厚手のカーテンやシャッターを下ろす。
(3)電気やガスの使用量を減らすための工夫には何があるだろうか?
・夏は、エアコンの温度設定を上げ、冬は、下げる。
(夏冬とも扇風機を併用すると暑さ寒さが緩和される)
・省エネの製品やエアコンを選んで買う。
・エアコンの使用時間を減らす。
・エアコンの掃除をこまめにする。
・エアコンのドライ機能を使う。
・白熱球は、蛍光灯に変える。発光ダイオード(LED)に
取り替える。
・掃除(ほこりを掃う)
○電気やガス製品の使い方で省エネできるこ
とを理解させる。
○調べたことを、図や表に表したり、絵やイ
ラストを使ったりして、まとめさせる。
※参考「冬仕様の下着」
・発熱し、保温する服
体から出る水蒸気を繊維が吸着、発熱す
る。繊維と繊維の間の空気の層が熱を逃
がさない。
・天然保湿成分「キトサン」入りの服
・健康肌着
体温を逃がさず、湿気を放出し、4層編み
の肌着(1枚で4枚分の温かさ)。
※参考「夏仕様の下着」
・吸放湿性と保温性のある下着
シリカゲルの約3倍の吸湿性があり、放湿
に伴う冷却機能もある繊維で出来ている
衣服。
・約2倍の吸収力、拡散性、蒸発性のある下
着吸汗、速乾性があるので、汗による肌
の纏わりつきが少ない。
4.課題を解決するために、どのようにしたらよいか、話し合おう。
(例1)家族やお年寄りに寒さを防ぐための昔の生活の工夫を聞こう。
(例2)インターネットで調べよう。
夏仕様、冬仕様の下着や衣服調べ
機能性のある下着や衣服
(例3)図書館へ行って、事典や参考となる本で調べよう。
5.電気やガスの使用を少なくする方法をまとめよう。
電気やガスに頼らないで生活する仕方は?
①自分たちで調べた「暑さや寒さを防ぐための生活の工夫」
をまとめよう。
②電気やガスの使用量を少なくするための工夫をまとめよう。
6.次時の学習について知る。
次時は、「グループ(3 人)が、ペアになって、寒さや暑さ対策
の省エネ生活について話し合う。」
例(最初の話し合い)
グループ A と B グループCとD
グループEとF グループGとH
(2 回目の話し合い)
グループBとC グループDとE
グループFとG グループHとA
○友達の発表も参考にして、自分でできる電
気やガスの使用を少なくする方法をまとめ
させる。
○次時は、2グループペアになって、まとめた
ことを発表することについて話す。資料作成
や発表のための練習をしておくように予告
しておく。
《活用可能な外部支援》
・各地の電力会社からの講師派遣、展示場見学
・各地のガス会社からの講師派遣、展示場見学
・各地の住宅会社からの講師派遣、住宅展示場見学
・各地の衣料会社からの講師派遣、会社見学
・省エネルギー普及指導員(財団法人 省エネルギーセンター)
134
これでいいの?冷暖房にたよる生活
(第 11 時/全 11 時限)
時 数
1
時 間
これでいいの?冷暖房にたよる生活 2
∼衣服の調節や自然のエネルギーを活用した住まい方ができるようにしよう
(暑さ、寒さを防ぐ生活 わたし流)∼
ねらい
電気やガスに頼らずに、自分たちで工夫できる暑さ、寒さ対策が分かる。
エネルギーに頼る生活から、衣服の調節や自然のエネルギーを活用した生活ができる。
評価のポイント
・電気やガス等のエネルギーに頼る生活から、衣服の調節や自然エネルギーを使用した住まい方の工夫が理解できる。
・電気やガス等のエネルギーを大事にした省エネ生活の仕方が理解できる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1.暑さや寒さを防ぐために、電気やガスに頼らずに生活する工
夫を発表し合う。
暑さや寒さを防ぐためにどんなことをしたらよいだろう。
① 3 人グループが 2 組ずつペアになり、一つのグループが自
分たちのエネルギーに頼らないくらしの工夫を話す。別の
1 組は、メモをとりながら発表を聞く。
② 3 人全てが話し終えたら、3 人の聞き手が順番に疑問を質
問したり、よかったことや初めて知ったことなどの感想を
話したりする。
③ 1 組の発表と協議が終わったら、話し手、聞き手のグルー
プが交換する。前のグループと同様に、話したり聞いたり
し合い、協議する。
④ 2 組の発表でよかったことを短冊に書き、黒板に掲示する。
2 組ペアずつのペア発表会が終わったら、別のグループとペ
アを交換する。
○小グループ(3 人1組)2 組でペアになり、
自分たちでできる暑さ、寒さ対策を発表した
り、聞いたりさせる。
※ 3 人グループ 2 組でのペア発表のよさ
①話し手 3 人、聞き手 3 人という少人数なので、
真剣に話し、聞くことができる。
②小さな声でしか話せない児童も、少人数なの
で、緊張することなく自分の考えを述べるこ
とが出来る。
③ 3 人の発表なので、短い時間で聞くことが
でき、聞いた質問、疑問、感想など聞き手
3 人全ての児童が述べられる。
④意見交換後、
「もっとよい方法がないか」
、
「こ
んなよい方法もある」など話し合いを深める
ことが容易に出来る。
2.電気やガスの使用を少なくする方法をまとめよう。
○クラス全部のグループがローテーションで
「自分流、暑さや寒さを防ぐための工夫」を広めよう。
きればよいが、クラスの人数や時間の制限が
(電気やガスに頼らないで生活する方法を広める。)
あるので、人数の実態に応じて、無理のない
①クラスのみんなに知ってもらおう。
範囲で、複数のグループと発表ができるよう
黒板に掲示された工夫を読み合う。
にする。
感心したこと、これならよいと思ったことについて発表する。
○黒板に貼られた短冊を使い、KJ法で、省エ
電気やガスの使用量を減らす方法についても話し合い、ま
ネの工夫をまとめていく。
とめる。
※ KJ 法:数多くある情報をグループ化して
②家の人に伝えるための 「手紙」 を書こう。
分類・図解し、解決策を見出す方法。
作成したパンフレットを使い、これからできる省エネ生活
○まとめた中から、特に実践できると考えたも
を家族に伝え、実践するように話す。
のを家族宛で手紙に書かせる。
電気やガスを使わないで暑さや寒さを防ぐ方法
電気やガスの使用量を減らす工夫
※1週間後、省エネ生活の様子を発表し合い実践を促す
※月 1 回又は月 2 回程度、定期的に省エネ生活実践報告会を行う
と実践が持続する
《活用可能な外部支援》
・各地の消費者センター講師派遣
・都道府県・市町村の環境保全課・環境課・省エネ対策課等の行政専門家派遣
・省エネルギー普及指導員
135
21
21
これでいいの?冷暖房にたよる生活
●その他参考資料等
「地球環境とわたしたちの暮らし―環境問題ってどんなこと?」住明 正 監修 実業之日本社
「みんなが知りたい!『環境問題』がわかる本」カルチャーランド著 メイツ出版
「環境問題を知りつくす本」山本 茂 監修 インデックスコミュニケーションズ
「子どもとはじめるエコライフ」熊澤幸子 監修 フレーベル館
「新版 子どもにできる地球にやさしい24時間」林 佳恵、天笠啓祐、根本悦子著 学陽書房
「ぼくらのエコロジカルあくしょん―みんなあつまれ!!こどもエコクラブ―」
(財)日本環境協会こどもエコクラブ全国事務局編 毎日新聞社
「イラスト版修理のこつ子どもとマスターする54の生活技術」三浦基弘、飯田 朗編 合同出版
「子どものためのエコロジー・ワークブック」リンダシュワルツ著 ブロンズ新社
136
総合的な学習の時間
〈特別活動〉
137
ほうしゃせんから体を守るために
22
対象学年
∼正しい手のあらいかたを身につけよう∼ 教科
小学校
1·2
学年
特別
活動
単元
関連教科・単元
時間数
ほうしゃせんからみをまもるために
正しい手あらいほうほうを身につけよう
1
目 標
関心・意欲・態度
放射線から身を守るために、放射性物質を体内に取り込まないようにするにはどうすべきか関心
をもち、手洗い体験に進んで参加しようとする。
思考・判断・表現
目に見えない放射線から身を守るには、手についた放射性物質をどのように取り除くか考え、手
洗い体験に積極的にチャレンジし、正しい手洗い方法を習得し、みんなで楽しく手洗い体操に参
加する。
知識・技能
放射線から身を守る方法の一つとして、放射性物質を取り除く望ましい手洗いについては、手の
ひら、手の甲、指間、手首などをていねいに洗う必要があることを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
本題材は、放射性物質から身を守るためにどうすればよいかを指導したいと考えて設定した。外部被曝 ・ 内部被曝等、放
射性物質から身を守るためには、手洗いとうがいが基本であり、最も大切である。小学校低学年児童特有の行動として、
校庭や公園の砂場などで土いじりや砂遊びをすることから、放射性物質が付着した土砂を手につけて持ち込むケースが想
定される。毎日の生活の中で、意識して簡単に実行することができる正しい手洗い方法について、楽しくかつ正しく学習
できる指導法を取り入れ、自主的に放射線から身を守ろうという態度を育てることをねらいとしている。
●単元における展開例の位置づけ
本時の指導にあたって、まず、手には多くの汚れが付着しているということをヨウ素デンプン反応による実験を行うこと
で意識させ、手洗いの必要性に気づかせる。また、洗ったつもりでも汚れは残っていることを知り、より汚れを落とすた
めには正しい方法で手洗いすることが大切であることに気づかせていきたい。同様に、手についた放射性物質も正しい手
洗いにより、汚れと一緒に洗浄できることを理解させたいと考える。
展開計画 全 1 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.放射線から体を守るには
ショート学活の時間に、教師の説明により放射線から身を守るためには手洗いやうがいが大切であることに気づく。
短学活
(事前指導)
学級指導
(事前指導)・放射性物質は校庭や公園など身の回りのあらゆる場所に存在することを知る。
・手についた放射性物質はていねいな手洗いで洗い流せることを知る。
・放射線から身を守るためには手洗いやうがいが大切であることに気づく。
2.正しい手洗い方法を知ろう
1
放射線から身を身を守るために、体験実験を通じ、正しい手洗い方法を理解し、手洗い体操に積極的に参加する。
・放射性物質を洗い流すためには、手のひら、手の甲、指間、手首まで、全てをていねいに洗わないと取り除くことができ
ないことを知る。
・手洗い体操に合わせて手洗いを行うと、きれいに洗浄できることに気づく。
3.みんなで手洗い体操をしよう
放射性物質を取り除くためにはていねいな手洗いが大切で、順序よくリズミカルに手洗い体操をするときれに洗い
短学活
(事後指導)
学級指導 流せることがわかる。
(事後指導)
・手洗い体操 DVD を視聴しながら手を洗う。
・手洗いの順序を理解し身につくことで、映像を観なくても、音楽のリズムに合わせて正しくて手洗いができる。
138
ほうしゃせんから体を守るために
(第 1 時/全 1 時限)
時 数
1
1.放射線から身を守る
時 間
ねらい
放射線から身を身を守るために、体験実験を通じ、正しい手洗い方法を理解し、手洗い体操に積極的に参加する。
評価のポイント
ヨウ素デンプン反応による実験に参加し、放射性物質を除去するには、手のひら、手の甲、指間、手首などをていねい
に洗わないと取り除くことができないということを、授業感想として発表することができる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○本時のめあては、放射線から身を守るために正しい手洗い学習
をすることをとらえる。
◇手洗い時間による汚れ落ちの様子を全員に確
認する。
○手洗いの実験を行う。
・手洗いする時間を5秒・10秒・15秒と区切り、汚れの落ち具合
をヨウ素デンプン反応により比較する。
・15秒洗った後、汚れの部分を確認する。特に、爪の中、指の間、
手の甲、手首の汚れに気づき、話し合う。
イソジン希釈液を使用した手洗い実験
◇正しい手洗いの方法を指導し、再チャレン
○養護教諭から正しい手洗いについて話を聞く。
ジさせ納得させる。
・正しい手洗いのし方について教わる。
※石けんを使わないと汚れがおちにくい。
※時間をかけ、こする回数を多くするとよくおちる。
※爪の中や指の間、手の甲、手首の汚れは、さらにていねいに
洗わないと汚れがおちにくい。
※きれいなハンカチで手を拭く。
○ユニセフ手洗い体操 DVD を見ながら、正しい手洗い方法で手
を洗う。
手洗い体操ダンス練習風景
○学習のまとめをする。
・放射性物質を洗い流すための正しい手洗いについて、発表する。
・学校や家庭生活で取り組んでいくことを確認する。
ユニセフ編集「手洗い体操 DVD」
139
22
22
ほうしゃせんから体を守るために
140
身のまわりの放射線を出す物を
測定器で測ってみよう
23
対象学年
教科
小学校
3·4
学年
特別
活動
単元
関連教科・単元
身のまわりの放射線を出す物を測定器で
測ってみよう
時間数
1
目 標
関心・意欲・態度
減塩調味料や化成肥料、キャンプのランタン用マントル、食品など、身の周りのものから放射線
が放出されているか、関心をもって簡易測定器で調べようとする。
思考・判断・表現
目に見えない放射線から身を守るには、簡易測定器のカウント音や線量値を記録し、現在の空間
線量や資料と比較することに関心をもち、線量の高低を判断する。
知識・技能
身の周りの生活圏には放射線を出すものがあり、線量は簡易測定器で測ることができることを実
験を通して理解する。放射性物質の個体によって放射線を出す力に違いがあることを知り、その
力の違いを放射能ということを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
放射能の高い物質や線量の高い場所から離れ、自分の身を守ることを理解させるためにこの学習を設定した。まずは教室
の空間線量を測らせ、放射線の単位を指導したい。また、身の周りには放射線を出す放射性物質が存在すること、それら
を簡易測定器により測ることができることを体験させたい。放出する線量は物質によって異なり、線量の高低を測定器の
数値やカウント音で確認できること、生活圏で線量の高いスポットが測定されれば放射線の影響を避けるために、その地
点に近寄らないことが身を守ることにつながることを理解させたい。
●単元における展開例の位置づけ
最初に簡易測定器の使い方を理解させる。その後、教室の空間線量測定を行い、放射線の単位について理解させる。身の
周りの生活用品や食品を測らせ、物質によって線量に違いがあることをとらえさせ、放射線を出す力である放射能の意味
を理解させる。放射線量の高い地点を「ホットスポット」といい、身を守るために近寄らないようにすることを理解させ
たい。
展開計画 全 1 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.身の回りの物を放射線測定器で測ってみよう
1
放射線から身を身を守るために、身の周りの物質から放出される線量を簡易放射線測定器により測定し、放射線量
の違いを理解する。あわせて線量の高いスポットに近寄らないようにする。
・簡易放射線測定器の取り扱い方を知る。
・教室の空間線量測定を行う。
・減塩調味料や化成肥料、キャンプのランタン用マントル、食品など、身の周りの物を測定する。
・物によって検出される放射線量に違いがあることを知る。
142
身のまわりの放射線を出す物を測定器で測ってみよう
(第 1 時/全 1 時限)
時 数
1
1.測定器で身の回りの放射線を
測ってみよう
時 間
ねらい
放射線から身を身を守るために、身の周りの物質から放出される線量を簡易測定器により測定し、放射線量の違いを理
解する。あわせて線量の高いスポットに近寄らないようにする。
評価のポイント
線量放射線測定実験に積極的に参加し、放射性物質の個体によって放射線を出す力に違いがあることを知り、その力の
違いを放射能ということを理解する。
「ホットスポット」とはどのような場所をいうのか理解する。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○本時のめあて、「身の周りの放射線を出す物を測って、違いを確
かめる」をとらえる。
◇測定器は実験班数分を揃えておく。測定サン
プルは事前に測定し、明らかに測定値が異な
・簡易放射線測定器の使い方がわかる。
る物を準備する。数がそろわない場合は測定
・教室の空間線量を測定する。
器台数に合わせて班編成を行い交替させて実
・減塩調味料や化成肥料、キャンプのランタン用マントル、ウラ
測させる。
ン鉱石、食品など、身の周りの物を測定する。
○測定サンプルを不透明トール紙コップに入れ、紙コップの位置
をランダムに移動し、再度測定して紙コップの中の物を当て、
放射能の意味を理解する。
・測定数値とカウント音から紙コップの中の物を当てる。
・物質により放射線を出す力(放射能)に違いがあることを知る。
放射線測定用サンプル
○放射線量の高い地点を「ホットスポット」といい、身を守るた
めに近寄らないことを理解する。
・学区内で放射線量の高い傾向を示す地域を教師から説明を聞く。
・今日の授業でわかったことについて発表し、まとめる。
不透明紙コップの中の物質を測定する
児童
143
23
大地の恵み
24
対象学年
∼地熱発電開発∼
教科
小学校
5·6
総合
学年
単元
関連教科・単元
大地の恵み
∼地熱発電∼
3・4 年社会 電気がとどくまで
6 年理科 大地のつくり
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
・世界でも有数な火山大国であるのに,地熱を利用した発電が少ないことに疑問をもちながら学
習を進める。
・地熱発電と国立公園や温泉との共存の可能性について関心をもつ。
思考・判断・表現
・世界の火山帯と日本列島の地理的環境との関係をとらえる。
・地熱発電と火山との関係から発電の仕組みをとらえ,再生可能エネルギーとして注目されてい
る地熱発電の長所や短所を考える。
・地熱資源量と建設技術,立地条件と国立公園との関係をとらえ改善策について考える。
知識・技能
・地熱発電の仕組みを知る。
・我が国は世界有数の火山国であり,世界第3位の地熱資源量をもっていることや,世界の70%
の地熱発電所建設を我が国の企業が行なっているという事実を知る。
・地熱発電所の立地と国立公園が重なっていることが大きな原因の一つとなっていることを知る。
単元における視点
●展開例の趣旨
我が国は環太平洋火山帯に属しており,日本列島は火山列島と評されるほど火山が多く存在する。その数は 110 箇所あり,
特に東北地方と九州地方に集中している。この火山の地熱によって作られた水蒸気を利用して発電機を回し電力を得るの
が地熱発電である。よって地熱発電所の分布も火山帯に沿って建設されている。地熱発電は再生可能エネルギーであり,
CO2 の排出量も少なく太陽光や風力のように天候や季節に左右されることもなく安定した電力を得ることができる。我が
国のような火山大国にとっては非常に有効な発電手段なのだがその数は少ない。
●単元における展開例の位置づけ
世界有数の火山国である我が国(世界の7%の火山がある)であり,地熱資源量も約 2300 万 Kw で,世界第 3 位を誇って
いる。近年,再生可能エネルギー開発で火山のある国々は地熱発電の開発に力を注いでいる。例えばアイスランドは我が
国よりも地熱資源量が少ないが地熱発電国家として知られている。また最近では,火山のない国でも地中深部の高温岩体
を用いる発電方法の研究開発を行っている。地熱発電の開発が進む世界の中で,我が国の地熱発電はマイナス方向である。
けれども世界中の地熱発電所の 70%が我が国の企業によるものである。世界第 3 位の地熱資源量を誇り,世界一の地熱発
電所を建設する力を持ちながら,わずかの地熱資源しか活かしていない。エネルギー自給率も無いに等しい状況にありな
がらである。なぜこのような矛盾が生じているのかを考えるための単元として開発した。
144
大地の恵み
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.地熱発電とは,どのような発電方法なのだろう。
1
1 地熱発電所の様子
2 火山と地熱発電
3 学習問題の構成
地熱発電とは,どのような発電方法なのだろう。
4 地熱発電の仕組み
5 世界の火山と地熱発電
2.我が国の地熱発電開発が遅れているのはなぜだろう
2
1 我が国の地熱発電と世界の地熱発電
2 我が国の地熱資源量と発電量
3 世界との地熱発電所のメーカーの国籍
4 学習問題の構成
地熱資源量は世界第 3 位であり,世界の地熱発電所はほとんどが日本製なのに,
我が国の地熱発電量が少ないのはなぜだろう。
5 学習問題に対する予想
6 地熱資源と国立公園地域
7 地熱発電所について考えたことを交流
145
24
24
大地の恵み
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
1.地熱発電の仕組み
時 間
ねらい
地熱発電所の立地条件と地熱発電のしくみ,我が国の地熱発電の実情についてとらえる。
評価のポイント
・地熱発電所の立地条件を理解できたか。
・地熱発電のしくみを理解できたか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 地熱発電所の写真から分かることや気が付いたことを発表する。 ⃝地熱発電所の特徴を表すものとして次の写
真を提示する。
・湯気を上げているもの。
・自然の中に位置していることが分かるもの。
⃝大量の湯気は煙ではなく,水蒸気が冷やさ
れたものであることを知らせる。
〈岩手県松川地熱発電所〉
1966 年に建設された日本最初の
地熱発電所
〈大分県八丁原地熱発電所〉
日本最大の地熱発電所
※蒸気を復水器で冷却し温水にする。その温
水を空気で冷却(これが地熱発電所の特徴
でもある湯気)し,蒸気を冷却する復水器
で使用する。
2 日本の火山と地熱発電所の分布から気がついたことや分かっ
たことを発表する。
○「日本の火山フロント」と「地熱発電所の
分布図」を用い,発電方法が火山と関係し
ていることに気付かせる。
※火山フロント【火山前線】
弧状列島に沿う火山帯の海溝側の縁の線。
火山はこの線より大洋側にはなく,線付近
で最も密に分布し,大陸側にいくほど少な
くなる。
(出典)独立行政法人国立環境研究所ホームページより引用
図 日本の地熱発電所
146
大地の恵み
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
3 学習問題を構成する。
地熱発電とは,どのような発電方法なのだろう。
4 地熱発電所の仕組みについて知る。
⃝地熱発電所の仕組みを描いた資料から, 次
のことをとらえさせる。
・純国産の再生可能エネルギー
・CO2排出量はとても少ない。
(CO2排出量は火力発電所の20分の1)
・水力と同様で燃料を必要としない。
・熱水と蒸気が出てくるが,発電機を回す蒸
気だけを取り出し,熱水はほぼ100%地熱貯
留層へ戻す。
5 世界の火山の分布から分かることを発表する。
⃝世界の火山分布から日本列島は環太平洋火
山帯に属し,世界有数の火山国であることを
とらえさせる。
・日本列島は環太平洋火山帯にある火山列島
であること。
・日本には110の火山があること。それは世界
の火山の約1割(7%)にあたること。
※世界の火山数:約1500
火山数ランキング
1位 アメリカ
174個
2位 ロシア
156個
3位 インドネシア 130個
平成 25 年度内閣府防災白書より
4位 日本
110個
5位 チリ
106個
火山のない国の方が多い。(2011年6月現在)
147
24
24
大地の恵み
(第 2 時/全 2 時限)
時 数
2.資源確保と自然保護
1
時 間
ねらい
我が国は世界第 3 位の地熱資源量と地熱発電用タービンの世界シェア№1を誇っているにも関わらず,自然公園法によっ
て地熱発電開発が制限されている事実を知り,資源確保と自然保護について考える。
評価のポイント
・我が国の地熱発電について地熱資源量と利用との関係をとらえているか。
・我が国の地熱資源のほとんどが国立公園内に分布していることをとらえているか。
・資源確保と自然保護との関係でエネルギー問題を論じているか。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 我が国の地熱発電と世界の地熱発電について知る。
○「世界各国の主な地熱資源量」の表と「地
熱発電設備容量」のグラフを比較させ,
世界の主な国の地熱資源量と発電量
国名
アメリカ
インドネシア
日本
フィリピン
メキシコ
アイスランド
ニュージーランド
イタリア
地熱資源量
Mw
地熱発電量
Mw
発電量
%
39000
27000
23000
6000
6000
5800
3700
1500
3112
1189
502
1967
887
665
769
863
約8
約4
約2
約 33
約 15
約 11
約 21
約 58
・地熱資源量は世界第3位である。
この事実から,地熱発電導入量を見せると,
児童はその低さをとらえるだろう。
○地熱資源量の表から,実際に地熱発電に使
われている発電量の割合を計算させてもよ
い。
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構より作成
2 我が国の地熱資源量に対して発電量が低いのはなぜか考えた
ことを発表する。
○世界の地熱発電所の画像から,考えたこと
を発表させる。諸外国の大規模な地熱発電
所の画像から児童は次のようにとらえるこ
とが考えられる。
・地熱発電所の規模に違いがあるのではない
世界最大出力を誇る
ナ・アワ・プルア地熱発電所
〈ニュージーランド〉
か。
・地熱発電の技術上の問題ではないか。諸外
国の方が地熱発電に関する関心や技術力に
高いものがある。
※以上のようなとらえは,次の学習活動の伏
ワヤン・ウィンド地熱発電所
〈インドネシア〉
線となっている。
148
大地の恵み
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
3 世界との地熱発電所のメーカーの国籍を表す円グラフから気が
ついたことを発表する。
○「地熱発電用タービンの世界シェア」より
世界では日本の技術が使われていることに
気付かせる。
⃝学習問題を構成する際に次のことをおさえ
ておく。
・地熱資源量は世界第3位
・世界の地熱発電所の約70%は日本製
・地熱発電量がとても低い。
4 学習問題を構成する。
〈学習問題〉
地熱資源量は世界第 3 位であり,世界の地熱発電所はほとんどが
日本製なのに,我が国の地熱発電量が少ないのはなぜだろう。
5 学習問題に対する予想を立てる。
○子どもなりの自由な発想を大切にしたいが,
・条件は整っているのに発電量が少ないのは技術的なものでなく別
事実をもとにした考えであることが重要で
あり,当て推量ではない。
の原因があるのかもしれない。
6 地熱資源と国立公園地域を比較した表から分かることや気が
付いたことを発表する。
⃝資料より地熱発電所の立地条件を満たす場
所のほとんど(約82%)が国立公園内にあ
ることをとらえさせる。
○自然公園法によって国立公園内では,樹木
を切ったり,建物を建てたりすることを禁
じられていることを知らせる。
・自然公園法の資料を用意しておくとよい。
7 地熱発電所について考えたことを交流する。
⃝再生可能エネルギーである地熱発電にも自
⃝「資源」か「自然」かの選択
然との共存という課題があることを知り,
⃝温泉と地熱発電の共存
資源確保という大切な課題と同様に自然保
護という課題も存在していることに気付か
せる。
149
24
24
大地の恵み
●その他参考資料等
〈地熱発電所の分布〉
http://www.jice.or.jp/quiz/kaisetsu_13.html
〈地熱発電所の仕組み〉
http://geothermal.jogmec.go.jp/geothermal/mechanism2.html
〈地熱資源量と発電導入容量〉
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/03/news013.ht ml
〈その他地熱発電について〉
日本地熱教会ホームページ
http://www.chinetsukyokai.com/information/sekai.html
資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/geothe rmal/explanation/mechanism/plant/
japan/005/
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
http://www.nedo.go.jp/content/100544822.pdf#search='%E5%9C%B0%E 7%86%B1%E8%B3%87%E6%BA%90%E9%
87%8F'
《活用可能な外部支援》
各電力会社
150
大地の恵み
151
24
放射性物質・放射能・放射線の違い
25
対象学年
教科
小学校
5·6
学年
特別
活動
単元
関連教科・単元
放射性物質・放射能・放射線の違い
∼ベクレルとシーベルトの意味∼
時間数
1
目 標
関心・意欲・態度
放射性物質・放射能・放射線、ベクレルとシーベルトの意味や違いについて、関心をもって理解
しようとする。
思考・判断・表現
放射性物質と懐中電灯の比較や、放射性物質とヒトとのキャッチボールロールプレイング体験を
通して、放射性物質・放射能(ベクレル)・放射線(シーベルト)の違いについて考え、明確に
説明する。
知識・技能
「放射線」は、
放射性物質から放出される粒子や電磁波であること、放射線を出す能力を「放射能」、
放射線を出す物を「放射性物質」であることを理解する。
単元における視点
●展開例の趣旨
意味が全く異なる放射性物質・放射能・放射線の違いを理解できるよう、展開例を工夫した。放射性物質から放射線が放
出されヒトへ影響を及ぼす様子をキャッチボールを行ったり、放射能とベクレル、放射線とシーベルトの関係を明確に理
解させるためにラミネートカードを使用するロールプレイングを取り入れるなど、体験を通して理解させる展開案になっ
ている。
●単元における展開例の位置づけ
放射線の単位や基準、さらには除染の意味、健康被害等についての理解、安全・危険の判断には、これら放射性物質・放射能・
放射線の区別、ベクレル・シーベルトの意味を理解することは基礎知識となる。よって、小学校高学年で指導することが
望ましいと考える。
展開計画 全 1 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.放射性物質・放射能・放射線の意味
1
放射性物質・放射能・放射線の意味の違いについて、ロールプレイングにより理解する。また、放射線の単位には、
放射線を出す能力(放射能)の単位「ベクレル」と放射線により身体が受けた影響を表す単位「シーベルト」があり、
目的に合わせて使い分けられていることを理解する。
・放射性物質と懐中電灯を並べて表した図を見て、放射性物質・放射能・放射線の違いを考える。
・野球のピッチャー役(放射性物質)
、キャッチャー役(ヒト)として、ロールプレイングを行う。放射線の放出側と放射
線を受ける側を演じる。
・首から提げた3連シートにより、放射性物質・放射能・放射線、ベクレル・シーベルトの違いを理解する。
152
放射性物質・放射能・放射線の違い
(第 1 時/全 1 時限)
時 数
1
1.放射性物質・放射能・放射線の
違いを知ろう
時 間
ねらい
放射性物質・放射能・放射線の意味の違いについて、ロールプレイングにより理解する。また、放射線の単位には、放
射線を出す能力(放射能)の単位「ベクレル」と放射線により身体が受けた影響を表す単位「シーベルト」があり、目
的に合わせて使い分けられていることを理解する。
評価のポイント
・ロールプレイングに参加し、放射性物質 ・ 放射能・放射線の意味がわかる。
・放射性物質を取り除くことを除染ということが理解できる。
・ベクレルとシーベルトの違いが説明できる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○放射性物質・放射能・放射線の意味の違いや単位について明確
にわかるようにすることがこの授業のねらいであることを把握
させる。
◇放射性物質・放射能・放射線と書かれたカー
ドを提示し、違いや意味を尋ねる。
・児童がこれらの言葉をどうとらえているか自由に発表する。
シーベルトとベクレルについても自分の考えを出し合う。
○ロールプレイングに参加して放射性物質・放射能・放射線の違
いをとらえる。
・ピッチャー役(放射性物質)とキャッチャー役(ヒト)になり、
ピッチャーからキャッチャーへ放射線に見立てたボールを強弱
ロールプレイングの様子
つけて投げる。
・投球の強弱は放射線を放出する能力(放射能)を表し、単位は
ベクレルであることを理解する。
・ヒトに当たった放射線の単位はシーベルトであることを首から
提げたカードで確認する。
○プロジェクターで映し出された放射性物質と懐中電灯の図をロー
ルプレイングと重ね合わせ、放射性物質・放射能・放射線の意味
の違いと単位を理解する。
投影シート
・様々な放射性物質から出ている線量を測定し、測定値の違いか
ら放射能の意味を理解する。
・今日の授業でわかったことを児童の発表でまとめる。
使用教材
153
25
未来のエネルギー
26
対象学年
30年後のエネルギー社会を考えよう∼
∼
教科
単元
小学校
関連教科・単元
国語(東京書籍)
社会(東京書籍)
6
総合
未来のエネルギー
理科(啓林館)
家庭(開隆堂)
学年
「未来に生かす自然のエネルギー」
「21 世紀に生きる君たちへ」
「日本と関係の深い国々」
「世界の平和と日本の役割」
「ものが燃えるとき」
「発電と電気の利用」
「暑い季節を快適に」
「考えよう これからの生活」
時間数
35
目 標
関心・意欲・態度
・エネルギー問題に関心を持ち、自分が考えたいテーマを見つけ、自ら課題を設定し、進んで探
究活動をしようとする。
・エネルギー問題から自分の生活を見直し、具体的に実践することができる。
思考・判断・表現
・再生可能エネルギーを多角的に比較検討することによって、自分自身の考えをまとめ、未来の
エネルギーについて考えを深めることができる。
・プレゼンテーションの内容について交流し、学習を深めることができる。
知識・技能
・現状の日本のエネルギー問題について知る。
・自らが考えたエネルギー社会を地域や行政、関係機関に発信することができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
わが国はかつて国産石炭や水力などの国内天然資源エネルギーの活用により、50 年程前には約6割の自給率を達成して
いたという。しかし、その後の高度経済成長の下でエネルギー需要量が急増し、石炭から石油への燃料転換が進み、石油
が大量に輸入されるとともに、石炭も輸入中心へと移行したこと等から、エネルギー自給率は大幅に低下した。さらに石
油ショック以降に導入された天然ガスや原子力の燃料となるウランについてもほぼ全量が海外から輸入されているため、
現在のエネルギー自給率は水力等わずか6%であるといわれている。これは、低いといわれる日本の食料自給率(カロリー
ベース)39%と比較しても、大幅に低い水準となっており、他の先進国と比べても低くなっているという現実がある。こ
の6%という数字を見ても、次世代を担う子ども達にエネルギー環境教育を通して、様々な観点からエネルギー問題を自
分の身近な問題としてとらえ、持続可能な社会を作っていくための素地を形成していくことが非常に重要である。
これまで身近な環境問題やエネルギー問題に気付き、課題を解決しようと行動する児童を目指して、生活科や総合的な
学習の時間にエネルギー環境教育に取り組んできた。4年生では、「リサーチ!エネルギーのひみつ」というテーマで、自
分達の生活に欠かせない電気というエネルギーがどのようにして作られて、自分達のもとに送られて使われているのかを、
出前授業での体験活動や科学博物館での展示物や火力発電所の見学などで学んだ。さらに、そのエネルギーを作ったり、使っ
たりするなかで発生した地球温暖化現象の課題を知り、これからわたしたちにできることは何なのかという問題提起にま
で発展させた。5年生の段階では、
「食の安全・安心」をテーマに掲げ、食料生産や食料輸送にかかるエネルギーや地産地
消の大切さなど、食を通してエネルギー問題に取り組んできた。6年生では、世界のエネルギー事情を知ることによって、
それぞれの国から日本にも活かしていけることを学び、これからの日本はどのようにエネルギー問題を考えていけばいい
か、自分なりの意見を持たせたい。また、今の自分達の行動すべきことを見つけ出し、実践する態度を育成できるように
したい。
154
未来のエネルギー
●単元における展開例の位置づけ
諸外国のエネルギー事情を学び、その特徴や日本との違いについて調べる。その国に適したエネルギー社会を構築して
いることに気付き、震災後の日本に適したエネルギーを考える。次に発電方法について、出前授業などを活用して、グロー
バルな視点(人口問題、自然環境、資源の枯渇、地球温暖化、放射能問題…)で学習を行う。さらに諸外国のエネルギー
社会を参考に、これから活用できそうな社会システムを考える。また、原子力発電についても考え、発電の 50%近くが賄
われていた実績や安全面への工夫、あるいは放射性廃棄物処理の問題などを知る。自分の追究テーマを見つけ出し、探究
活動を通して分かったことを自分の言葉でまとめ、それをプレゼンテーションし、仲間に伝える。互いに伝え合い、意見
を交流させていくなかでさらに考えを深め、高め合っていく。そして、調べたことや考えたこと、あるいは社会に提起し
たいことなどをまとめ、改めてプレゼンテーションの準備を行い、異学年、保護者、地域の方、行政・関係機関に発信する。
東日本大震災による原子力発電所の事故による影響は計り知れないものがあり、3年以上たった今も自分の住む家に帰
れない人がいるという現実がある。世界のエネルギー事情の現状を調べ、世界の国々は地域性や国の状況を踏まえ、どの
ようにエネルギーを運用しているのかを知り、持続可能な社会を作るためには何が必要で、自分達は何をしなければなら
ないのかを考え、実行していくこと、また、これからの社会のあり方を考えていく素地を養うことをねらいとしている。
展開計画 全 35 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
未来のエネルギーとの出会い
5
○学級全体で情報交換をする。
○出前授業によるエネルギーの基礎的な学習を行う。
○デンマークのロラン島のエネルギー事情を知る。
○再生可能エネルギーの資料の読み合わせをする。
調べたいことを広げ、絞り込む
6
○日本のエネルギー事情を知る。
○各国のエネルギー事情から日本に活かせることを探る。
○エネルギー社会の疑問点や矛盾点より課題設定を行う。
○調べる方法を考え、探究計画を立てる。
テーマについての探究活動
7
3
○出前授業の内容や資料を活用する。
○新聞記事やインターネットを活用する。
○図書館の利用、その他資料の収集を行う。
○書籍で調べる。
○インタビューを行う。
未来のエネルギー社会の構築
○調べたことをもとにエネルギー問題を解決する未来のエネルギー社会を考える。
○調べたことをもとにエネルギーを分析し、新しい未来のエネルギー社会の構築を考察する。
プレゼンテーションⅠ(学級全体や異学年、保護者、地域の方々に発表)
8
○調べたことを誰に伝えたいかを確認する。
○プレゼンテーションで何の資料を示すか決める。
○プレゼンテーションの内容について、自分の感じたこと、考えたことを交流し、練り合い、学習を深めていく。
プレゼンテーションⅡ(行政・関係機関に発表)
4
2
○自分が考えたエネルギー問題の解決策を分かり易く伝えることができる。
○住みよい街づくりを目指して、長岡京市の特徴を捉えたエネルギー政策を考える。
○自分たちの考えをまとめていく。
○行政・関係機関の方々を迎えて、自分たちのエネルギー問題の解決策を発表し、意見交流を行う。
学習をまとめる
○エネルギー問題についての自分の考えをまとめる。
○ 800 字程度の随筆(「ことばの力」育成プロジェクト 京都府教育委員会)
155
26
26
未来のエネルギー
(第 1 ∼ 5 時/全 35 時限)
時 数
5
1.未来のエネルギーとの出会い
時 間
ねらい
・自分たちの生活とエネルギーは密接な関係があることを理解する。
・社会問題としてのエネルギー問題に関心を持つ。
・知識の共有を目指し、エネルギーについて知っていることを出し合い、学習者が同じ知識を持ち、話し合う土台作りを
する。
評価のポイント
・エネルギーについて知識を出し合い、共通認識している。
・現状のエネルギーの発電方法を理解している。
・再生可能エネルギーである風力発電の特徴について理解している。
・再生可能エネルギーを選択した国、地域の事情を知る。
・再生可能エネルギーの種類を理解している。
・グループやクラスの話し合いに参加している。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○学級全体で情報交換をする。
留意点
・エネルギーのことについて知っていることを出し合い、共通認
識の基盤とする。
・エネルギー問題の話や生活を振り返らせなが
ら、4年生のときに学習したことを思い出さ
・ウェビングマップと模造紙を活用して、既習事項の知識を出し
せる。
合う。
教材・資料
○出前授業によるエネルギーの基礎的な学習を行う。また、4年
生時に学習した以外のエネルギーについて知る。
・関西電力の出前授業で発電方法について知る。
・ウェビングマップ・模造紙
※ウェビングマップにより知識のつながり、
広がりが一覧として表示される。また、模
現在日本で稼動している発電の仕組みや発電方法について方法
を知り、知識の土台作りを行う。
造紙により学習した実績を残す。
・DVD NHK「地球イチバン」
・三菱重工業の出前授業で風力発電の講習を受ける。風力発電の
メリット・デメリットを知り、再生可能エネルギーについて考
・「再生可能エネルギーの大研究」中谷内政之
監修(PHP研究所)
える。
支援機関
・関西電力・三菱重工業
○デンマークのロラン島のエネルギー事情を知る。
・再生可能エネルギーと原子力発電について考える。
○再生可能エネルギーの資料の読み合わせをする。
・再生可能エネルギーの資料提供をし、知識を広げる。
156
未来のエネルギー
(第 6 ∼ 11 時/全 35 時限)
時 数
6
2.調べたいことを広げ、絞り込む
時 間
ねらい
・様々な情報をもとにエネルギー問題について理解を深める。
・未来のエネルギーについて調べたいことを考える。
評価のポイント
・日本や世界のエネルギー事情を理解している。
・再生可能エネルギーのメリット・デメリットを理解している。
・疑問点や矛盾点を見つけている。
・探究活動をする見通しが持てている。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○日本のエネルギー事情を知る。
留意点
・日本のエネルギー構成を知る。
・日本のエネルギー構成の基礎知識を理解さ
・火力発電や原子力発電について基礎知識をもとに意見交流を
せる。
行う。
・4年生時の知識をもとに火力発電と原子力
・日本の原子力発電や原発事故の影響を知る。
発電について、意見交流することで自分の
考えを持たせ、疑問点や矛盾点を出させる
ようにする。
・原子力発電の善悪を判断するのではなく、
自分の考えを持たせる。
・前次で収集した情報を整理することで、自
分のこだわり、疑問点、矛盾点を出し、課
題設定へとつなげるようにする。
※原子力発電所のメリット・デメリットを把握し、今後の原子力
政策の方向性を議論する。
A:即時廃止
B:段階的廃止
C:推進
○各国のエネルギー事情から日本に活かせることを探る。
○エネルギー社会の疑問点や矛盾点より課題設定を行う。
○調べる方法を考え、探究計画を立てる。
157
26
26
未来のエネルギー
(第 12 ∼ 18 時/全 35 時限)
時 数
7
3.テーマについての探究活動
時 間
ねらい
・探究計画をもとに調べ、自ら設定した課題について理解を深める。
・豊かな情報をもとにして、考察の材料となるようにする。
評価のポイント
・探究計画に沿って活動をしている。また、計画の修正に応じて活動を進めている。
・課題について理解を深めている。
・効果的な追究方法を模索している。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○出前授業の内容や資料を活用する。
留意点
・資料やインターネットの文言をそのまま使う
のではなく、表現対象者に合わせて、プレゼ
○新聞記事や、インターネットを活用する。
ンテーションすることを理解させる。
・インターネットは全てが正しいとは限らない
○図書館の利用、その他資料の収集を行う。
ことをおさえる。
・新聞記事、書籍は情報の新旧に注意させる。
○書籍で調べる。
・インタビューに関しての注意事項
⇒先方には事前に連絡する。
⇒対応方法についての注意事項を指導する。
○インタビューを行う。
参考資料
・資源エネルギー庁ホームページ
(経済産業省)
・京都新聞
・読売新聞 他各紙
・書籍多数
158
未来のエネルギー
(第 19 ∼ 21 時/全 35 時限)
時 数
3
4.未来のエネルギー社会の構築
時 間
ねらい
・探究活動をもとに未来のエネルギー社会を考える。
評価のポイント
・情報をもとに考察することができている。
・現実に沿った自分の考えを持つことができている。
・自分たちの街の特徴をとらえた考えである。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○調べたことをもとにエネルギー問題を解決する未来のエネル
ギー社会を考える。
○調べたことをもとにエネルギーを分析し、新しい未来のエネル
ギー社会の構築を考察する。
・私たちの「長岡京市」の住みよい街づくりを考える。
留意点
・エネルギー問題を解決するために、現実に
沿った社会を考えさせる。
・自分たちの街である長岡京市について考えさ
せる。
・長岡京市以外で考察する場合はエリアを京都
府や日本国に広げる。(京都府、日本国の特
徴を考慮)
参考資料
・長岡京市の地図
・長岡京市ホームページ
159
26
26
未来のエネルギー
(第 22 ∼ 29 時/全 35 時限)
時 数
8
5.プレゼンテーションⅠ
(学級全体や異学年、保護者、地域の方々に発表)
時 間
ねらい
・学級全体や異学年、保護者、地域の方々にプレゼンテーションを行い、意見交流して、そのエネルギー問題について高
め合う。
評価のポイント
・交流対象者に合わせ、分かり易くなるように工夫をしている。
・自分の考えに根拠を交え、相手に伝えている。
・話し手の考えを聞き、話し手の考えを理解している。
・学び合ったことをノートに書き、自分の考えを見直している。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○調べたことを誰に伝えたいかを確認する。
留意点
・対象者によってプレゼンテーションの内容を考える。
・提示内容はできるだけ簡素にする。
・対象者によりプレゼンテーションの内容に変
化を加えることに気付かせる。
・説明はポイントを押さえる。
・プレゼンテーションの発表方法より、内容に
ついての意見交流を優先させたい。
○プレゼンテーションで何の資料を示すか決める。
・図やグラフの活用
・具体物の提示
○プレゼンテーションの内容について、自分の感じたこと、考え
たことを交流し、練り合い、学習を深めていく。
160
未来のエネルギー
(第 30 ∼ 33 時/全 35 時限)
時 数
4
6.プレゼンテーションⅡ
(行政・関係機関に発表)
時 間
ねらい
・行政・関係機関にプレゼンテーションを行い、意見交流して、そのエネルギー問題について高め合う。
・行政・関係機関に提言することで、社会への参画意識を向上させ、自覚と責任を持たせる。
評価のポイント
・交流対象者に合わせ、分かり易くなるように工夫をしている。
・前次の発表内容の改善ができている。
・行政・関係機関に自分の考えを表現できている。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○自分が考えたエネルギー問題の解決策を分かり易く伝えること
ができる。
留意点
・長岡京市の現状と現実に即した考えになるよ
○住みよい街づくりを目指して、長岡京市の特徴(市の状況、市政、
うに助言する。
地形、施設など)を捉えたエネルギー政策を考える。
・長岡京市を住みよい街にしていくために意見
交流しながら、自分の考えをまとめられるよ
うにする。
支援機関
・経済産業省近畿経済産業局
・長岡京市役所環境経済部
○自分たちの考えをまとめていく。
○行政・関係機関の方々を迎えて、自分たちのエネルギー問題の
解決策を発表し、意見交流を行う。
161
26
26
未来のエネルギー
(第 34 ∼ 35 時/全 35 時限)
時 数
2
7.学習をまとめる
時 間
ねらい
・個人探究やプレゼンテーションなどを通して、自らの成長や生き方にどのようにつながったかをまとめる。
評価のポイント
・探究活動やプレゼンテーション、行政・関係機関への提言を通して、身近なエネルギー問題に対して意識を高めている。
・エネルギー問題について、自分の考えを持っている。
・自らの生活とつなげて、これからの自分の生き方について考えている。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○エネルギー問題についての自分の考えをまとめる。
留意点
・発表内容や意見交流、資料などをもとに自分の学習したこと
を振り返る。
・これまでの資料や自分の考えを整理させ、
振り返らせる。
○ 800 字程度の随筆
・自分の生活とつなげ、自らの生き方につな
・エネルギー問題の解決について自分の考えを文章で表現する。
がるように考えさせる。
●その他参考資料等
・「再生可能エネルギーの大研究」中谷内政之監修(PHP 研究所)
他
・NHK「地球イチバン」∼自然エネルギー地球イチバンの島∼
・新聞各紙
・各出前授業の資料
・資源エネルギー庁ホームページ(経済産業省)
h ttp://www.enecho.meti.go.jp/
・長岡京市ホームページ http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/
・長岡京市地図 他
《活用可能な外部支援》
・経済産業省近畿経済産業局
・長岡京市役所環境経済部
・関西電力株式会社 京都支社
・三菱重工業株式会社
・日本風力発電協会
・日本風力エネルギー学会
・シャープ株式会社
・京都教育大学
・近畿大学原子力研究所
・NPO気象キャスターネ
162
未来のエネルギー
163
26
26
未来のエネルギー
164
原子力のゴミ
27
対象学年
∼高レベル放射性廃棄物∼
教科
単元
関連教科・単元
小学校
6
総合
原子力発電所のゴミ
社会
学年
時間数
2
目 標
関心・意欲・態度
我が国のエネルギー自給率と原子力発電の核燃料サイクルに興味・関心をもち学習を進めている。
核燃料サイクルの段階で出る「高レベル放射性廃棄物」の処分について意欲をもって考えている。
思考・判断・表現
我が国のエネルギー自給率の実情と核燃料サイクルとの関係について思考している。
「高レベル放射性廃棄物」の処分方法について最も適切な方法を考え判断している。
知識・技能
我が国のエネルギー自給率は低く,電力を確保するため核燃料サイクルを行い,核資源を有効に
使おうと工夫していることを理解している。
「高レベル放射性廃棄物」の処分は国民的課題でもあり,適切且つ安全な方法で処分しようとし
ている実情をとらえている。
単元における視点
●展開例の趣旨
エネルギー自給率の低い我が国では、電力を得るためにいかに効率よく発電機を回すかということが大切である。電力
を得るにも省エネの思考法が必要なのである。少ない燃料で多量の電力を生み出すことを考えれば、原子力発電は有効な
手段である。さらに使用済みの核燃料を再利用することを考えた。核燃料サイクルはエネルギー自給率が低いにも関わらず、
大量の電力を消費している我が国にとって当然考えられる方法である。しかし問題もある。
「高レベル放射性廃棄物」である。
これは核燃料サイクルの段階で出てくるものであり、核燃料として使用できるものではなく、しかも天然のウラン 235 の
放射線量に戻るまでには数万年の時間を要するものである。よって適切に且つ安全は方法で処分しなくてはならない。そ
れは電気エネルギーを使用して生活している我々の問題でもある。
●単元における展開例の位置づけ
東日本大震災後、原子力発電に疑問符が付けられた。再稼働に向けての努力が続けられている。また原発反対の声も大
きい。けれども「高レベル放射性廃棄物」は原発に反対しようが、例え原発を中止しようが、現実として存在しているの
である。この「高レベル放射性廃棄物」の事実を知り、その処分ついて考えることは、
「高レベル放射性廃棄物の処分問題
は、その重要性と緊急性を多くの国民が認識する必要があり、長期的な取組みとして、学校教育の中で次世代を担う若者
の間でも認識を高めていく努力が求められる」と日本学術会議が 2012 年 9 月 11 日付けの回答「高レベル放射性廃棄物の
処分について」の中で語っている通りである。
展開計画 全 2 時限
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
1.高レベル放射性廃棄物とは
1
1 我が国のエネルギー資源の自給率の低さ
2 核燃料サイクル
3 学習問題の設定 高レベル放射性廃棄物とは,どのようなものなのだろう。
4 「高レベル放射性廃棄物」について
5 「高レベル放射性廃棄物」の現状
2.高レベル放射性廃棄物の処分
1
1 前時の想起
2 学習問題の設定 「高レベル放射性廃棄物」はどうすれば安全に処分できるだろうか?
3 考えられる処分方法
4 現在までに考えられた処分方法
5 地層処分について
6 NUMO の働きについて
7 学習の振り返り
166
原子力のゴミ
(第 1 時/全 2 時限)
時 数
1
1.高レベル放射性廃棄物とは
時 間
ねらい
我が国のエネルギー自給率から核燃料サイクルの必要性に気付くとともに、処分すべき「高レベル放射性廃棄物」の存
在をとらえる。
評価のポイント
・我が国のエネルギー自給率と原子力発電の核燃料サイクルに興味・関心をもち学習を進めている。
・我が国のエネルギー自給率は低く、電力を確保するため核燃料サイクルを行い、核資源を有効に使おうと工夫している
ことを理解している。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 我が国のエネルギー資源の自給率を見て分かったことを発表
する。
○我国のエネルギーは自給率6%であるが、原
OECD諸国の一次エネルギー自給率比較(2012年:推計値)
子力を除くと4%であることに気付かせる。
・エネルギー自給率の低い我が国がエネル
ギー確保のために工夫できることは何かを
考えさせながら学習活動2につなぐ。
・石油等エネルギー資源を輸入する。
・無駄が無いようにエネルギーを使う。
2 原子力発電に使用される核燃料サイクルの図から気が付いた
ことを発表する。
○図中の「使用済み燃料」の語句に注目させ、
使った燃料をリサイクルして使用する工夫
をしていることをとらえさせる。
・核燃料を大切にリサイクルしながら使って
いても、最終的に処分しなければならない
「高レベル放射性廃棄物」という核のゴミ
が出ることに気付かせる。
3 学習問題を設定する。
〈学習問題〉
高レベル放射性廃棄物とは、どのようなものなのだろう。
167
27
27
原子力のゴミ
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
4 「高レベル放射性廃棄物」について知り、思ったことや考えた
ことを発表する。
○「高レベル放射性廃棄物」について次のこ
とを把握させる。
・使用済み核燃料からウラン235やプルトニ
ウムを取り出す時に出た廃液であること。
・この廃液をガラスで固めていること(ガラ
ス瓶に入れているのではない)。
・さらにステンレス(キャニスタ)で覆って
いること。
○製造直後のガラス固化体は、固化体表面に
おける放射線量が約 1,500Sv/h(20 秒弱で
100% の人が死亡するとされる量である)と
なるほど多量の放射能を有している。ガラ
ス固化体の放射能は時間とともに減衰する
・固化体表面の放射線量は約1,500Sv/h
(20 秒弱で 100% の人が死亡するとされる量である)
・燃料にするウラン鉱石の全量がもつ放射能と同量になるまで
が、1,000 年後のガラス固化体表面において
も約 20mSv/h の放射線量(人間が一生の間
に受ける自然放射線に相当する量を 4 時間
には数万年という時間を必要とすること。
で受ける程度のもの)である。さらに、ガ
・表面温度200℃以上で50年後100℃ほどになる。
ラス固化体の放射能が燃料の製造に必要な
ウラン鉱石の全量がもつ放射能と同量にな
るまでには数万年という時間を要する。こ
のように放射能は減衰しながらも長く存在
するため、ガラス固化体を長期間にわたっ
て人間の生活環境から安全に隔離すること
が必要となる。
(NUMO 高レベル放射性廃棄物地層処分の
技術と安全性―「処分場の概要」の説明資
料―2-10 より引用)
・核燃料を大切にリサイクルしながら使って
いても、最終的に処分しなければならない
「高レベル放射性廃棄物」という核のゴミ
が出ることに気付かせる。
○ 2014 年 4 月末現在「高レベル詩放射性廃
棄物」は、24800 本(約 25000 本)であり、
原子力発電を中止にしたとしても、
「高レベ
ル放射性廃棄物」は、現実として約 24800
本が存在していることを知らせる。
5 「高レベル放射性廃棄物」の現状を知る。
○高レベル放射性廃棄物をどうするかを考え
・24800本の高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)
168
させながら次時へつなぐ。
原子力のゴミ
(第 2 時/全 2 時限)
時 数
1
2.高レベル放射性廃棄物の処分
時 間
ねらい
自分たちなりに処分方法を考えることを通して、
これまで考えられてきた「高レベル放射性廃棄物」の処分方法を検討し、
現段階でもっとも適切な方法としての「地層処分」について理解するとともに、放射性廃棄物処分を計画的に適切に進
めようとしている NUMO の働きを知る。
評価のポイント
・「高レベル放射性廃棄物」の処分方法について最も適切な方法を考え判断している。
・「高レベル放射性廃棄物」の処分は国民的課題でもあり、適切且つ安全な方法で処分しようとしている実情をとらえて
いる。
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
1 「高レベル放射性廃棄物」について想起する。
○「高レベル放射性廃棄物」について次の点
をおさえておく。
・使用済み核燃料を再処理する際の廃液をガ
ラス固化したもの。
・元のウラン鉱石の同等の放射能になるまで
に数万年かかる。
・原子力発電を停止したとしても約25000本
存在している。
2 学習問題を設定する。
〈学習問題〉
「高レベル放射性廃棄物」はどうすれば安全に処分できるだろうか?
3 高レベル放射性廃棄物をどのように処分すれば良いか考えを
出し合う。
○児童の自由な発想で考えさせ、考えた方法を
交流させる。この場合、突飛な考えも出てく
ると思われるが、それも一方法として認める。
4 現在までに考えられた処分方法を知り、検討をする。
○各処分方法について話し合いながら次の点
に気付かせる。
①海洋投棄
①海洋投棄
海上から海洋底中に処分
廃棄物その他の投棄に係わる海洋汚染防止
②宇宙処分
に関する条約(通称:ロンドン条約)によ
ロケットにより宇宙空間へ処分
り 1993 年に全面禁止
③地層処分
②宇宙処分
数百メートルより深い地層中に埋設
ロケット発射の信頼性の問題、宇宙技術を
④氷床処分
有する比較的少数の国しか実施できない。
南極大陸などの氷床に処分
③地層処分
⑤超長期管理
安定な地層中に閉じこめることが、他の方
地表において超長期にわたり管理
法と比較して最も問題点が少ない。
169
27
27
原子力のゴミ
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
④氷床処分
南極条約により禁止となっている。氷床下
の状態がよく分かっていない。
⑤超長期管理
将来の世代にまでも廃棄物監視の負担を負
わせることになる。
5 現段階で考えられている「地層処分」について知る。
○ NUMO ホームページの「高レベル放射性廃
棄物 バーチャル処分場」の動画より、地
層処分について理解させる。
6 NUMOについて知る。
○ 原 子 力 発 電 環 境 整 備 機 構(Nuclear Waste
Management Organization ofJ apan = NUMO
ニューモ※)
・「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法
律」に基づき、2000年10月に経済産業大臣
の認可法人として設立された。
・原子力発電により発生する使用済燃料を再
処理した後に残る、高レベル放射性廃棄物
等の最終処分(地層処分)事業を行う。
○動画資料は NUMO のホームページを参照。
7 高レベル放射性廃棄物の処理について考えたことを交流し合
う。
170
○これまでの学習で学んだことを振り返り、考
えたこと思ったことを交流し合う。
原子力のゴミ
●その他参考資料等
参考資料
〈OECD 諸国の一次エネルギー自給率比較(2012 年:推計値)
〉
http://www.fe pc.or.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2014/07/30/hak usho1_1_20140728.pdf#search='%E6%97%
A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E8%87%AA%E7%B5%A6%E7%8
E%87'
〈核燃料サイクル〉
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2006html/1-2-3.ht ml
処分方式
概要
宇宙処分
ロケットにより宇宙空間へ処分
氷床処分
南極大陸などの氷床に処分
海洋底処分
海上から海洋底中に処分
超長期管理
地表において超長期にわたり管理
地層処分
数百メートルより深い地層中に埋設
評価
ロケット発射の信頼性の問題、宇宙技術を有する比較的少数の国しか実施できないことから、
不適切。
南極条約により禁止となっていること、大きな氷床の地球物理学的特性等に関する情報が限
られていることから、不適切。
ロンドン条約により禁止されていることから、不適切。
将来の世代にまでも廃棄物監視の負担を負わせることになるので、不適切。
安定な地層中に閉じこめることが、他の方法と比較して最も問題点が少なく、好ましい方法
である。
(総合エネルギー調査会原子力部会中間報告「高レベル放射性廃棄物処分事業の制度化のあり方」平成 11 年 3 月より)
http://www.rwmc.or.jp/disposal/high-level/2-2.html
〈高レベル放射性廃棄物 バーチャル処分場〉
http://www.enecho.meti.go.jp/category/elect ricity_and_gas/nucle ar/rw/rikai/virtual/top.html
〈NUMO について〉
http://www.numo.or.jp/
《活用可能な外部支援》
各電力会社
NUMO
171
27
エコ集会を楽しもう
28
対象学年
教科
小学校
4·5·6
学年
学級
活動
単元
関連教科・単元
学級活動(1)
議題名「エコ集会を開こう」
時間数
1
目 標
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
知識・技能
集会活動を開くことに関心をもち、みんなが満足できるような集会内容を考えようと
している。
「協力が必要な種目か。」、「みんなのよさが出せるか。」の観点で考えたり、友達の意見を聞いた
りして、話し合っている。
みんなの意見をまとめる話合い活動の進め方を理解している。
単元における視点
●展開例の趣旨
エネルギー環境教育は、身近な生活の振り返りを通して、エネルギー・環境問題に関心を持ち、それらに関する基礎的・
基本的な知識や技能を身に付ける、問題の解決のために必要なことは何かを考え、持続可能な社会の構築に向けて行動で
きる資質や能力の基礎を培うことを目標にしている。その学習においては体験的な学びや自主的実践的な活動も多く行わ
れている。学習の終末に、省エネ活動やリサイクル活動など「行動化」が図られていることも多い。こうした活動は児童
の学級・学校生活内で日常化されていくことも多い。エコ係などの係活動や代表委員会でのエコ宣言など、特別活動の中
で展開されていくことも多い。特別活動の取り組みは教科での学びを、日常生活の中に具現化させていくことができるの
である。特別活動の「なすことによって学ぶ」という指導原理や「児童の自主的,
実践的な活動」という特質を踏まえつつ、
タイミング良く議題を引き出し、集会へとつなげていきたい。
●単元における展開例の位置づけ
「○○集会をしよう」という提案はいろいろなきっかけでなされる。児童の遊び体験から提案される場合もあれば、
「磁石」
を学習した後の空き缶釣りゲーム、「ごみの分別」を学習した後の「アルミ缶積み大会」「ペットボトルボーリング」のよ
うに学習体験から提案される場合もある。また、高学年ならば、
「遊びを通して全校にエコを伝えよう。」という考えを持ち、
集会が提案されることもあるであろう。実際の集会はそれぞれの学級によって異なるが、本展開例は話し合い活動を通し
て「エコかるた大会をしよう」
「エコキャラクターカードゲームをしよう」「省エネビンゴ集会をしよう」という提案がな
されたと想定することにしたい。
エネルギー環境教育的視点としては、提案理由の共有化を図る際にどんな環境に配慮をしたゲームで楽しみたいのかを
明確にできるよう支援を行うようにしたい。
172
エコ集会を楽しもう
展 開計画 事前 4 回
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
話合いの計画作成(司会グループ)
事
前
「エコ集会」を開くねらいを理解し、話合いの柱を決めることができるようにする。
1
・提案理由を基に、話合いの計画を立てる。
事
前
「エコ集会」を開くことを伝え、集会の目的が共有できるようにする。
2
議題「エコ集会をしよう」の伝達
・「協力が必要な種目か。」「みんなのよさが出せるか。」という観点に合った遊び方を考える。
・提案理由に基づいた集会の進め方について考えを待つ。
・エコ集会の目的を伝える。(司会グループ)
集会案の掲示・伝達
事
前
出されたゲーム案が観点に合った内容となっているかどうか、考えをまとめておくことができるようにする。
3
・ねらいに沿って、自分の意見が出せるように、「どんな環境につながる集会か。」「協力が必要な種目か。」「みんなのよさが
出せるか。」という観点から、提案された種目について、様々な角度から検討する。
・出されたゲーム内容を掲示し、みんなに伝える。(司会グループ)
事
前
学級会の進め方の計画(司会グループ)
4
ゲーム内容を分類し、話合いの進め方を話し合う。
・提案された種目の共通点や相違点を明確にし、話合いの流れを考える。
173
28
28
エコ集会を楽しもう
(第 1 時/全 1 時限)
時 数
1
エコ集会を楽しもう
時 間
ねらい
環境行動を向上させていくことができる集会の進め方について話し合い、集団決定することによって、個人の環境行動
への関心を高めていく。
評価のポイント
・内容を理解し、協力し合って話合いを進めることができる。
(理解に関する目標)
・協力した活動ができるように、自分の意見を進んで発表したり、友達の意見を聞いたりしようとしている。
(態度に関
する目標)
・理由を付けて自分の意見を発表したり、友達の意見を観点に沿って聞いて判断したりして、話し合うことができる。(能
力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
⃝提案理由を全員で確認し、議題に沿って話し
1 はじめの言葉
合えるようにする。
2 司会団の自己紹介
○話合いの順序を確認することにより、何につ
3 議題の確認
いて話し合うのかを意識するようにさせる。
「エコ集会を開こう」
○自分の考えをまとめた学級活動ノートを基
4 提案理由の確認
に、理由を明確にして自分の意見を言える
5 話合いのめあての確認
ようにする。
6 決まっていることの確認
○話合いの観点を提示し、
「どんな環境につな
7 話合いの順序の確認
がる集会か。
」
「協力が必要な種目か。
」
「みん
8 話合い
なのよさが出せるか。
」を考え、いろいろな
【話し合うこと①】
方向から考えるようにする。
○どのようなことをするか。
○話合いの内容がそれた場合は、現在話し合っ
【話し合うこと②】
ていることを再確認する。
○どのような係がいるか。
○これまでの集会活動の経験を生かし、必要な
9 決まったことの発表
係を発表できるようにする。
10 話合いの振り返り
○「進んで発表したり、友達の意見を聞いたり
11 先生の話
しようとしたか。
」
「友達の意見を聞き、自分
12 終わりの言葉
の考えと比べて発表できたか。
」
「観点に沿っ
て、話し合えたか。
」について反省する。
174
エコ集会を楽しもう
展 開計画 事後 4 回
時数
事
後
1
事
後
2
事
後
3
事
後
4
各時間の学習課題と主な学習内容
集会の役割分担
集会の準備に進んで取り組もうとする。
・集会を行うために、役割の分担を行う。
集会の準備
自分の役割を、友達と協力してやり遂げる。
・分担ごとに、計画を立て、みんなの意見をまとめながら準備する。
「エコ集会」の実施
役割を自覚し、グループで協力しながら実践する。
・「エコ集会」を実施する。
「エコ集会」の振り返り
よかった点を発表し合う場や掲示する場を設け、今後も互いに協力しながら、学級集会を進めたり、諸問題を解決し
たりしていこうとする意欲を継続する。また、環境行動を継続、発信していく意欲を高める。
・「エコ集会」での活動を振り返る。
175
28
28
エコ集会を楽しもう
176
エコ集会を楽しもう
177
28
環境学習をまとめよう
29
(環境に配慮した製品を見つけよう)
対象学年
教科
単元
関連教科・単元
小学校
6
総合
時間数
3
総合的な学習の時間
学年
目 標
関心・意欲・態度
日常生活で見かける環境に配慮した施設や製品、活動について意欲的に調べ,環境に配慮した行
動について自分の考えを表そうとしている。
思考・判断・表現
環境に配慮した施設や製品、活動について、関連した環境問題と結びつけて考えることができ
る。また、環境行動に対する考えをもつことができる。
知識・技能
環境に関する配慮について、自然・生命、エネルギー・地球温暖化、ごみ・資源の観点から理解す
ることができる。
単元における視点
●展開例の趣旨
6 年生の「総合的な学習の時間」でのエネルギー環境の学習は、それまでの学習履歴を踏まえて計画していく必要がある。
6 年間の学習の中でエネルギー環境教育が意識的に展開されてきた場合と、そうでない場合にはその計画に違いが出てくる。
しかし、仮にエネルギー環境教育を意識的に展開してきていなくても、各教科の学習の中で「エネルギー」や「環境」に
ついては扱われてきている。そこで、これまでの学習履歴を掘り起こすような学習展開を取り入れた単元の構成を考える
ことにした。
また、小学校の最高学年としては、より進んだ環境行動が求められる。しかし、その一方でリサイクルや節電に取り組
むアクションは形式化し、どんな環境に配慮しているのかという意味を考えることなしに、
「エコ」だから取り組んだ方が
よい、と口にしていることも多く見受けられる。そこで、環境問題や環境行動を「自然・生命」
「エネルギー・地球温暖化」
「ごみ・資源」という観点から考えさせていくように学習を計画した。そして、環境への配慮は社会全体の取り組みである
ことに気づき、自分の生活の中で実践していく意識をより高めていくために、身近にある環境に配慮した製品や施設、活
動を調べていく学習を計画した。本単元計画は教科等で学習してきた環境についての学習を結びつけることによって短時
間でも実施できるように計画している。
展 開計画 事前 3 回
時数
各時間の学習課題と主な学習内容
環境問題の情報交換会をしよう
1
これまでに学習した環境問題について振り返るとともに環境を見る視点を整理する。
・これまでに学習した環境問題を思い出しカードに記入する。
・環境問題を「自然・生命」「エネルギー・温暖化」「ごみ・資源」のどの視点に当てはまるかを考える。
・学級全体(またはグループ)で発表し合い、知識を共有する。
環境に配慮した製品を見つけよう
1
身近にある環境に配慮した施設や製品、活動について、関連した環境問題と結びつけて考えることができるようにする。
・身近にある環境に配慮した施設や製品、活動を探す。
・探した施設や製品、活動がどのような環境に配慮しているかを調べる。
環境行動を発信しよう
1
環境に配慮した行動について自分の考えを表す。
・調べた施設や製品、活動が配慮している環境についての問題をよりよくしていくために自分でできる行動を考えて発信する。
178
環境学習をまとめよう
(第 1 時/全 3 時限)
時 数
環境問題の情報交換会をしよう
1
時 間
ねらい
これまでに学習した環境問題について振り返るとともに環境を見る視点を整理する。
評価のポイント
・既習の環境問題について理解を深めたか。
(理解に関する目標)
・進んでこれまでの学習を振り返り、環境問題を整理して発表することができたか。
(態度に関する目標)
・環境問題の視点に結びつけて、具体的に考えをもち、話し合うことができたか。
(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
・あらかじめエネルギー環境についての学習履
○単元のねらいをつかむ。
環境についての学習を振り返り、環境行動を発信しよう。
歴を整理しておく。
○ワークシートとカードにこれまで学習した環境問題を書き出す。
・環境問題の視点に沿って既習事項を整理して
また、環境問題の説明をワークシートに簡単に書く。
いくことを大切にする。
○何人かの発表を聞く。環境問題の視点について考える。
(発表例)森林伐採 異常気象 ごみ問題
○発表された環境問題を分類する方法(環境の視点)を知る。
(例) 森林伐採→・自然・生命
異常気象→・エネルギー・温暖化
ごみ問題→・ごみ・資源
○ワークシートに書いた環境問題を環境の視点に沿って分けて
みる。
・複数の視点に当てはまる環境問題があること
にも気がつかせるようにする。
○一人一人が知っている環境問題を発表し、黒板に掲示されたマッ ・全員が発表することにより、これまでの学習
プにカードを「自然・生命」
「エネルギー・温暖化」「ごみ・資源」
の知識定着を確認する。学級の実態に応じて
に分類しながら、マッピングしていく。
はグループ学習で進めてもよい。
○全員の発表が終わったら、学習の振り返りをワークシートに書く。
○次時以降の学習の進め方をつかむ。
次時
・児童がイメージできるように具体物を例と
身近にある環境に配慮した製品や施設、活動について調べよう。
179
して示すとよい。
29
29
環境学習をまとめよう
(第 2 時/全 3 時限)
時 数
1
環境に配慮した製品を見つけよう
時 間
ねらい
身近にある環境に配慮した施設や製品、活動について、関連した環境問題と結びつけて考えることができるようにする。
評価のポイント
・身の回りには環境に配慮した施設や製品、活動があることを知り、どのような環境に配慮しているかについての理解を
深めることができたか。
(理解に関する項目)
・身近にある環境に配慮した施設や製品、活動を進んで探し、調べることができたか。
(態度に関する目標)
・探した施設や製品、活動がどのような環境に配慮しているかを調べることができたか。
(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○単元のねらいと本時の課題を確認する。
・あらかじめ家庭学習で身近にある環境に配慮
学習課題
身近にある環境に配慮した製品や施設、活動について調べよう
○探してきた環境に配慮した施設、製品、活動をワークシートに
整理する。
した製品や施設、活動について見つけておき、
準備しておく。実物を持ってこられない場合
は写真や絵で示すようにする。
・前時のマッピングを振り返らせる。
・どのような環境に配慮しているのかを考える。
○探してきた環境に配慮した施設、製品、活動の中から詳しく調
べたい内容を一つ決め、発信したい環境行動を考える。
・発表内容が決まったら短冊カードに発表内
○選んだ施設、製品、活動や発信したい環境行動について詳しく
調べる計画を立てる。
童との重複をできる限り、避けるようにす
容等を記入し、掲示することによって他児
る。同じ製品でも、発信したい環境行動が
異なることもあることを助言する。
○計画に沿って選んだ施設、製品、活動について詳しく調べる。
・その施設、製品、活動のよさを調べるとと
もに、環境問題についても調べさせる。
・その施設、製品、活動のよさ
・その施設、製品、活動が配慮している環境の問題点
○発信したい環境行動を考える。
○次時の学習課題をつかむ。
環境行動を発信しよう
180
環境学習をまとめよう
(第 3 時/全 3 時限)
時 数
1
環境行動を発信しよう
時 間
ねらい
環境に配慮した行動について自分の考えを表す。
評価のポイント
・身の回りにある環境に配慮した施設や製品、活動についての理解を深め、様々な環境行動を考えることができることに
ついての理解が深まったか。
(理解に関する目標)
・進んで分かりやすい発信を考えて人に伝えようとすることができたか。
(態度に関する目標)
・調べた施設や製品、活動が配慮している環境についての問題をよりよくしていくために自分でできる行動を考えて発信
することができたか。
(能力に関する目標)
具体的な学習活動・内容
使用する教材・資料/指導上の留意点
○学習課題を確認する。
環境行動を発信しよう
・その施設、製品、活動を通して見える環境問
○環境発表会の進め方を確認する。
・日時
題についての発表よりも、その環境問題に対
・発表する相手
する環境行動の発表が中心になることを確認
・発表内容
する。
私が見つけた「環境に配慮した施設、製品、活動」の説明。
その施設、製品、活動を通して見える環境問題
私が考えたその環境問題に対する環境行動
○計画に沿って発表のための原稿や資料を作成する。
・細かく書き込んだ資料ではなく、絵や図、
表を資料として提示できるようにさせる。
○発表会を行う。
・お互いに発表の仕方の良さを見つけさせる。
○発表会や学習を振り返る。
・ワークシートを活用し学習全体を振り返ら
せる。
181
29
関連情報サイト
Ⅰ エネルギー教育に役立つ情報
Ⅱ 教材・機材の貸し出し機関
Ⅲ 学校への出前授業等実施機関
エネルギー教育に関連する情報サイトを掲載いたしておりますが、ご活用に
際しましては各関係先にお問い合わせまたはご確認ください。
183
Ⅰ エネルギー教育に役立つ情報
資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp
環境省
http://www.env.go.jp/
文部科学省
http://www.mext.go.jp/
新・エネルギー環境教育情報センター
http://www.iceee.jp
電気事業連合会
http://fepc.or.jp
(社)
日本ガス協会
http://www.gas.or.jp/
日本LPガス協会
http://www.j-lpgas.gr.jp/
石油連盟
http://www.paj.gr.jp
(一財)
石炭エネルギーセンター
http://www.jcoal.or.jp/
(国研)
新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO) http://www.nedo.go.jp/
(国研)
日本原子力研究開発機構
(JAEA) http://www.jaea.go.jp/
(一財)
省エネルギーセンター
(ECCJ)
http://www.eccj.or.jp/
(一財)
新エネルギー財団
(NEF)
http://www.nef.or.jp/
原子力発電環境整備機構
(NUMO)
http://www.numo.or.jp/
全国地球温暖化防止活動推進センター
(JCCCA) http://www.jccca.org/
(一財)
日本原子力文化財団
(JAERO)
http://www.jaero.or.jp/
(一社)
日本電気協会
(電気新聞)
http://www.denki.or.jp/
電気新聞
http://www.shimbun.denki.or.jp/publish/index.html
日本LPガス団体協議会
http://www.nichidankyo.gr.jp/
(一財)
エルピーガス振興センター
http://www.lpgc.or.jp/
(一財)
日本電機工業会
(JEMA)
http://www.jema-net.or.jp/
Ⅱ 教材・機材の貸し出し機関
北海道経済産業局
http://www.hkd.meti.go.jp/hokns/lend/index.htm
(エネルギーに関する実験セットの貸出し)
中部原子力懇談会
http://www.chugenkon.org/?cat=11
(エネルギー・環境教材の提供)
北陸電力
http://www.rikuden.co.jp/otetsudai/kyozai01.html
(教材の提供・貸出)
中国地域エネルギーフォーラム
http://www.cef.jp/goods/index.html
(学習教材の貸し出し)
九州エネルギー問題懇話会
http://q-enecon.org/kyozai/index.html
(教材の貸出)
184
Ⅲ 学校への出前授業等実施機関
出前授業では、地域や学年を限定している場合もあります。
電力会社の出前授業のURLでの対応は各電力会社によって異なります。概略を示す場合と、申し込みまで案内し
ている場合とあります。前者の場合は支社や事業所毎に実施している場合が主ですので、最寄りの電力会社各支
社・事業所のサービス部門などにお問い合わせください。
1.電力会社
北海道電力
(株) http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/energy/assist/index.html
(エネルギー・環境教育のお手伝い)
東北電力
(株)
http://www.tohoku-epco.co.jp/syakai/05.html
(エネルギー・環境教育への取り組み)
中部電力
(株)
http://www.chuden.co.jp/corporate/activity/education/demae/dem_menu/index.html
(出前教室)
北陸電力
(株)
http://www.rikuden.co.jp/otetsudai/demae01.html
(出前授業)
関西電力
(株)
http://www.kepco.co.jp/corporate/info/community/school/enesiga.html
(エネルギー教室)
中国電力
(株)
http://www.energia.co.jp/eland/demae/index.html
(出前授業)
四国電力
(株)
http://www.yonden.co.jp/life/kids/teacher/energy/index.html
(出前エネルギー授業)
九州電力
(株)
http://www.kyuuden.co.jp/mirai_demae_theme01.html
(出前授業)
沖縄電力
(株)
http://www.okiden.co.jp/corporate/society/eco_edu.html
(環境教育支援活動)
電源開発
(株)
http://www.jpower.co.jp/ecoene/contact/index.html
(エコ×エネ体験プロジェクト)
2.ガス会社
東京ガス
(株)
http://www.tokyo-gas.co.jp/kids/teacher/teacher4.html
(出張授業:学校教育支援プログラムの活用方法)
大阪ガス
(株)
http://www.osakagas.co.jp/company/efforts/ed/trip/
(出前授業:大阪ガスのエネルギー環境教育)
東邦ガス
(株)
http://www.tohogas.co.jp/learn/kids/delivery-class/
(学校の先生へ 東邦ガスの『出前授業』)
3.石油会社
出光興産
(株)
http://www.idemitsu.co.jp/csr/activities/local/
(社会・地域活動:体験学習・出前授業など)
石油連盟
http://www.paj.gr.jp/pai_info/topics/2009/04/28-000064.html
(石油講座)
185
はじめてのエネルギー教育
授業展開例集 小学校編
(2015 改訂版)
平成27年6月
発 行
経済産業省資源エネルギー庁
制 作
公益財団法人 日本科学技術振興財団
〒102-0091
東京都千代田区北の丸公園2番1号
TEL 03-3212-8489 / FAX 03-3212-8596
Email: [email protected]
http://www.energy-modelschool.jp/
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