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鳳龍弐号の開発から運用まで - UNISEC 大学宇宙工学コンソーシアム
UNISEC総会 鳳龍弐号の開発から運用まで 2012年7月22日 九州工業大学 修士1年 岩井 俊輔 1 KIT Satellite Horyu2 目次 衛星開発プロジェクト概要 高電圧技術実証衛星「鳳龍弐号」 開発経緯 運用状況 今後の予定 2 KIT Satellite Horyu2 鳳龍プロジェクトのあゆみ 2006年 鳳龍一号 鳳龍プロジェクト始動 開発開始 2010年 完成 ×打ち上げ無期限延期 2011年 鳳龍弐号 鳳龍弐号 相乗り決定 開発開始 2012年 完成 鳳龍弐号 打ち上げ成功 運用開始 3 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号の特徴 1, 鳳龍一号のバス機器の引き継ぎ +新規提案ミッション 2, 大多数が民生品のみで構成 3, 環境試験は本学の設備を利用 →九州工業大学 宇宙環境ラボラトリ 超小型試験センタ 4 KIT Satellite Horyu2 宇宙環境技術ラボラトリ 宇宙環境に耐えるモノづくり 真空チャンバ 熱真空試験 振動試験器 振動試験 衝撃試験器 衝撃試験 作ったモノをすぐ試す 安全かつ高信頼度の開発を実現 5 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 大型化・多機能化 高電圧化・大電力化 放電事故発生 C JAXA http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2008/1202.html http://iss.jaxa.jp/iss_faq/pict/iss_solararray2.jpg 6 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 放電発生の可能性 160V以上発電必須 リスクが高い 7 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 300V発電 高電圧技術実証衛星「鳳龍弐号」 高電圧技術実証 ・高電圧 高電圧発電アレイ ・アーク放電 ・単一ミッションに最適 ・リスク許容 放電抑制技術 8 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 300V発電 300V発電 ・1MWクラスの衛星を目指す ・発電電圧世界一(ギネス申請予定) ・放電環境づくり 放電抑制技術の軌道上実証 ・透明フィルム ・半導電性コーティング 放電抑制フィルムの劣化試験 宇宙発電の高電圧化に貢献 9 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 ELF 九州工業大学で開発された受動型電子エミッタ 電子エミッタ 素子表面から電子を放出(電界放出)を行い、帯電緩和を行う ELFサンプル トリプルジャンクション 電界が集中しやすい 電子が放出しやすい 6cm 50μm 3cm 特徴 受動素子のために 電源等は不要 小型 軽量 25μm 絶縁体 銅 ELFの断面図構成図 10 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号ミッション背景 Trek 3G 民生用表面電位計測器を超小型衛星搭載用小型計測器に改良 1G 2G 11 3G KIT Satellite Horyu2 鳳龍ミッション背景 SCAMP (SCAMP)Surrey CAMera Payloadの略のCMOSカメラモジュール SCAMPの諸元 C328-7640 質量 4g レンズ性能 焦点距離f=4.63mm 28mm 型番 光の強さF=2.8 視野角 57deg 20mm IR cut filter搭載 使用電力 電圧3.3V 出力形式 640×480(VGA)のJPEG画像 1枚当たり約30Kbyte以下 12 KIT Satellite Horyu2 高電圧技術実証衛星 鳳龍弐号 諸元 サイズ 30cm立法 重量 7kg 運用予定期間 1年 投入軌道 傾斜角 98° ミッション 発電電圧世界一 低軌道で世界初の300V発電 放電抑制実証 フィルム、コーティングによる放電抑制効果の実証 帯電緩和 電子エミッタの軌道上実証 帯電観測 民生用表面電位計軌道上計算 デブリ観測 デブリセンサによるデブリ観測 カメラ撮影 SCAMPのよる地球撮影と撮影画像を用いた地域貢献 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号の開発経緯 STM Structure Thermal Model 2010年9月~12月 2012年5月18日 H-2Aで打ち上げ成功 BBM Bread Board Model ・構造、熱試験モデル ・ブレッドボード回路設計 2011年1月~4月 FM 9月~2012年3月 Flight Model ・EMの不具合解決 ・環境試験 ・全体の統合試験 EM Engineering Model 運用開始 EM v2 14 5月~8月 KIT Satellite Horyu2 運用状況 打ち上げから受信まで 同 2時29分 分離成功 分離直後の鳳龍弐号の様子 2012年5月18日 0時53分打ち上げ 種子島 ファーストパスで CWビーコン信号の確認に成功 15 KIT Satellite Horyu2 運用状況 CWビーコン信号の受信、FM送受信の成功 地上局と衛星の電波送受信成功 (アマチュア免許取得) バス系(OBC系、通信系、電源系)の健全性を確認 運用開始1ヶ月後 CWビーコン信号 バッテリ電圧 バッテリ電流 バッテリ温度 通信機温度 など FM 信号 CWビーコン信号の値が変化しない 地上局からのコマンドを受け付けない 太陽電池電圧 太陽電池電流 ジャイロセンサ DCDC値 など 復旧方法の模索とFTA(Fault Tree Analysis)の作成 16 KIT Satellite Horyu2 故障解析 想定される故障箇所 Main CPU H8の故障 H8に付属する周辺機器の故障 想定される原因 南大西洋異常帯通過時に放射線による シングルイベットアップセット(SEU) 鳳龍弐号OBC基板 南大西洋異常帯 17 SAA・・・放射能が異常発生しているエリア KIT Satellite Horyu2 故障解析 OBC基板を対象に宇宙環境模擬試験を行う 熱サイクル試験 恒温槽を利用して600サイクルの熱を加えた 結果: 異常なし 帯電試験 スペースチャンバにOBC基板を入れ、高エネルギー電子模擬の 電子ビームを照射 結果: 帯電と放電を確認。直接の原因かどうかは再検討 放射線試験 OBC基板に放射線を照射する予定 18 KIT Satellite Horyu2 故障時 運用 全パスでCWビーコン音を取得し、衛星の”生存”を確認 リセットコマンドを送り続ける FMダウンリンクコマンドを送る 効果なし 1ヶ月後 CWに変化あり!鳳龍弐号再起動 再起動時、バッテリ電圧がほぼ0 充電を待つために周回待機 早急にミッションを行う準備を行う 19 KIT Satellite Horyu2 SCAMP (カメラミッション)の最新情報 鳳龍弐号からの最新撮影写真 20 KIT Satellite Horyu2 ミッション開始 メインミッション 300V発電 Mode1 初期動作確認モード Mode7 Film劣化試験モード 25秒間で電位と基板温度を測定 60分間で放電試験抑制用フィルムの 劣化軌道上実証 Mode2 60分間で300V発電を行う 300V発電試験モード Mode3, 4, 5 放電試験モード ベアアレイ フィルム抑制 コーティング抑制 60分間で300V発電を行う 各種太陽電池で放電検出 21 KIT Satellite Horyu2 メインミッション 300V発電結果 軌道上で安定的に300V発電することに成功 世界一達成!! 衛星表面電位計測素子により 衛星は約-300Vに沈んでいる ことを確認 放電環境の構築に成功 22 KIT Satellite Horyu2 鳳龍弐号の今後の予定 電子エミッタフィルム(ELF)、表面電位計 (Trek 3G)の軌道上実証試験 300V各種放電試験モード 故障原因の解明 23 KIT Satellite Horyu2 ご清聴ありがとうございました 初期運用を手伝っていただいた各大学、ありがとうご ざいました。 24 KIT Satellite Horyu2