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家庭用品品質表示法に係る告示の改正について
(資料2) 家庭用品品質表示法に係る告示の改正について 平成28年11月8日 消費者庁 表示対策課 家庭用品品質表示法について 家庭用品品質表示法は、指定した家庭用品の品質について表示すべき事項を定めている法律である。 法律 家庭用品品質表示法 政令 家庭用品品質表示法施行令 内閣府令 家庭用品(日常生活で使用される繊維製品、合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品のうち 政令及び内閣府令で指定するもの)についてどのような表示をすべきか定めるよう規定しているもの。 表示を義務付ける家庭用品について、具体的に品目を指定しているもの。 家庭用品品質表示法施行規則 政令の委任を受け、表示を義務付ける家庭用品について、具体的に品目を指定しているもの。 (社会の変化に柔軟にかつ迅速に対応する必要のある家庭用品は内閣府令で品目を指定) 告示 繊維製品品質表示規程 合成樹脂加工品品質表示規程 電気機械器具品質表示規程 雑貨工業品品質表示規程 指定された家庭用品について表示すべき具体的な内容を定めているもの。 1 更なる表示の適正化に向けた対応 ●家庭用品品質表示法 第1条 この法律は、家庭用品の品質に関する表示の適正化を図り、一般消費者の利益を 保護することを目的とする。 家庭用品品質表示法は、表示の適正化を図り、一般消費者の利益を保護することを目的としているが、 ・ライフスタイルの多様化により、品質を表示すべき家庭用品が変化していること ・欧米小売業の海外展開によりグローバルな商品が販売されているなど、より消費者に分かりやすい 表示が求められていること など家庭用品品質表示法を巡る状況は変化しており、一般消費者の利益を保護するため更なる表示 の適正化が必要である。 このため、規制改革実施計画の指摘も踏まえて、以下の考え方に基づいて内閣府令及び告示の改正 を行う。 今回の改正の考え方 ①消費者にとって分かりやすくなるよう新たに表示事項を追加し、表示内容の変更を行う ②安全性を十分に担保しつつ、合理的な方法で表示を行わせる 【参考】 規制改革実施計画(平成26年6月24日閣議決定)抜粋 事項名 規制改革の内容 家庭用品品質表示の国際整合化② (表示内容の見直し) 各品目の表示義務を、事業者の自主性を発揮させるとともに、消費者にとって正しく分かり やすい表示方法にする観点から、消費者が理解可能な必要最低限の表示内容とする。 家庭用品品質表示の国際整合化③ (表示・試験方法の見直し、海外への 情報発信) 消費者の利益の擁護及び増進の観点を基本としつつ、事業者のグローバル展開の促進を 一層図るため、諸外国における表示制度を参考として表示方法や試験方法を見直すととも に、家庭用品品質表示法(下位規範を含む。)を英文化する。 2 ①消費者にとって分かりやすくなるよう新たに表示事項を追加し、表示内容の変更を行う ・帽子に表示を義務付ける ・合成ゴム製器具に表示を義務付ける (府令及び告示改正) 帽子について、繊維の種類と洗濯表示(取扱い表示)の記載を義 務付ける。 【追加理由】 全国的に取扱方法や洗濯トラブルの 苦情が多く寄せられており、消費者ト ラブルを防ぐため。 表示例 綿 100% ㈱○○帽子 TEL 03-9999-9999 ・ズボンについて裏生地を表示事項に追加 (府令及び告示改正) シリコーンゴム製を含む合成ゴム製の食器や調理器具について 表示を義務付ける。 【追加理由】 シリコーンゴム製の器具等 が広く普及している実態を 踏まえ、これらの商品の取 扱方法を消費者に伝える 必要がある。 表示例 (告示改正) ズボンの裏生地を表示対象とする。 【追加理由】 消費者が商品の性能・保存方法・ 取扱方法を判断するために、裏生 地の表示を行う必要がある。 ※裏生地については他の繊維製品と同様に 混用率を省略し繊維名を列記する列記 表示を行ってもよい。 ・魔法瓶の対象範囲の拡大 表示例 表生地 毛 100% 裏生地 ポリエステル 50% キュプラ 50% 自然乾燥してください ○○繊維㈱ 東京都○○区○○町○ (府令及び告示改正) ステンレス製卓上用魔法瓶も対象とする。また、ステンレス製携 帯用魔法瓶であって保冷専用のものの表示項目に保冷効力の 表示を追加する。 【追加理由】 流通量が増え、消費者が表示を必要と する機会が増えたため対象範囲を拡 大する。また、保冷専用のステンレス 製携帯用魔法瓶が増加していることか ら、保冷効力を表示事項に追加する。 使用材料 シリコーンゴム 耐熱温度 230℃ 取扱い上の注意 ○火のそばに置かない旨 ○冷凍庫での破損やひび割れに関する旨 ○電子レンジを使用する際の注意事項 ○オーブンを使用する際の注意事項 ○臭い移りに関する旨 ○変色に関する旨 ○○××株式会社 TEL 03-9999-9999 改正前 ・マフラー等について家庭洗濯等取扱方法を 表示事項に追加 (告示改正) マフラー、スカーフ及びショールの表示事項に「家庭洗濯等取扱 方法」を追加する。 【追加理由】 素材の多様化により手洗い可能な 製品も流通していること、消費者 から洗濯に関する相談が寄せられ ていることから、「家庭洗濯等取扱 方法」を表示する必要がある。 表示例 毛 100% ○○繊維㈱ 東京都○○区○○町○ ・ガラス製卓上用 ・ステンレス製携帯用 改正後 ・ガラス製卓上用 ・ステンレス製携帯用 追加 ・ステンレス製卓上用 3 ①消費者にとって分かりやすくなるよう新たに表示事項を追加し、表示内容の変更を行う ・表示順の見直し (告示改正) ・強化ガラス製器具に「耐熱ガラスではない」旨 の表示を追加 (告示改正) 取扱い上の注意のうち、破損を防ぐための注意事項として、「耐 熱ガラスではない旨」の表示を義務付ける。 表示例 【追加理由】 品 名 強化ガラス製器具 強化の種類 全面物理強化 取扱い上の注意 ・急激な衝撃を与えない旨 ・耐熱ガラスではない旨 ・傷が付くような取扱いは避ける旨 ・破損した場合、破片が細片となって激しく 飛散する特性があるので注意する旨 強化ガラスと耐熱ガラスは 原料も目的も異なるが、消 費者は外見から両者を区 別することができない。 強化ガラスを耐熱ガラスだ と勘違いして使用した場合、 事故につながるおそれが あるため。 ○○××株式会社 東京都千代田区○○町××番地 TEL 03-9999-9999 縦、横、厚さ等の順番のとおりに表示しなければならないと規定 されているショッピングカート、たんす、机及びテーブル、椅子・腰 掛け及び座椅子、スプリングマットレス、ウレタンフォームマットレ スの寸法とスプリングマットレスの詰物の材料について、表示の 順番を任意とする。 ※浴槽蓋、袋、電気ロースター、電子レンジ、ティシュペーパー及びトイレットペー パー、障子紙、アルミニウムはくは、寸法表示が必要だが、もともと表示の順番 が定められていない。 【見直し理由】 製品の多様化により隙間収納家具やロングサイズマットレスなど が販売されており、消費者が求めている寸法を販売の際に先に 表示することを可能にするため。 表示例 表示例 材料 コイルスプリング ・毛布のたて糸の表示の追加 縦400mm 横300mm 厚さ25mm (告示改正) 表面部分(毛羽部分)のみ表示すればよいこととなっているが、た て糸も表示を義務付ける。 【見直し理由】 毛布のたて糸の素材により 価格や取扱方法が異なるため。 表示の順番は自由 (ショッピングカート、たんす等) (詰物 ウレタンフォーム、 フェルト(ジュート)) 表示の順番は自由 (スプリングマットレスの詰物の材料) 表示例 たて糸 よこ糸(毛羽部分) ウール 100% カシミヤ100% 4 ②安全性を十分に担保しつつ、合理的な方法で表示を行わせる ・寸法単位の見直し (告示改正) 寸法の表示単位はミリメートルと表示することとされているが、セ ンチメートルで表示してもよいこととする。 対象:ウレタンフォームマットレス、スプリングマットレス、机及びテーブル、 たんす、椅子、腰掛け及び座椅子 【見直し理由】 消費者により分かりやすくするため、ミリメートルに表示単位を限 定することをやめ、センチメートルでの表示単位も可能とする。 (海外ではセンチメートルでの表示単位が一般的) ・耐熱温度の試験開始温度の見直し 耐熱温度試験について、従来どおり50℃から行うことを原則とし つつ、原料の耐熱温度が明らかな場合は、50℃より高い温度か ら試験を始めてもよいこととする。 【見直し理由】 過去の試験結果から、例えばポリプロピレン(台所用のざる)の耐 熱温度は140℃ 、フェノール樹脂(プラスチック製の汁椀)の耐熱 温度は150℃ということが明らかであったとしても、現状では50℃ から試験を開始し10℃おきに試験を実施する必要がある。このた め、明らかに耐熱温度が高いことが分かっている、例えばポリプロ ピレンについては事業者の選択により80℃から試験が開始できる ようにするなど合理的な試験が行えるようにする必要がある。 ・人工皮革の表示の見直し ・家具の取扱い上の注意について表示方法の 見直し (告示改正) 取扱い上の注意は本体の特定部分に容易に離れない方法で表 示することとされているが、消費者が見やすい場所に表示できる よう、表示可能な場所を拡大し、また、明らかに該当しない注意 事項は省略できることとする。 【見直し理由】 取扱い上の注意を必ず本体に表示することとした結果、見づらい 場所に表示され消費者にとって表示の場所が分かりづらくなって しまっているため。 また、日当たりのいい場所で使うガーデンファニチャーに「直射日 光又は熱を避ける」旨を表示しなければならないなど、表示内容 が使用目的にそぐわない場合があるため。 (告示改正) (告示改正) 革及び合成皮革製の手袋、衣料の材料の種類について、人工皮 革(合成皮革のうちより天然皮革に似せて作られたもの)を合成 皮革と区別して表示することとしてきたが、靴、机及びテーブル、 椅子、座椅子及び腰掛けと同様に、人工皮革であっても「合成皮 革」と表示してもよいこととする。 【見直し理由】 合成皮革か人工皮革かの判別は難しく、現在は判別が困難な場 合でも人工皮革かどうかを判別して表示しなければならない品目 と判別しなくても「合成皮革」と表示すればよいという品目が混在し ている。しかし、合成皮革が人工皮革かで取扱い上の注意が大き く変わるわけではなく、分解してまで検査することを事業者に負担 させることは適切ではないため、いずれの品目においても人工皮 革の判別が不能な商品は合成皮革と表示することを可能とする。 改正前 合成皮革 「合成皮革」 人工皮革 「人工皮革」 改正後 合成皮革 「合成皮革」 人工皮革 「合成皮革」 「人工皮革」 5 ②安全性を十分に担保しつつ、合理的な方法で表示を行わせる ・ウレタンフォームマットレスの試験方法の 見直し (告示改正) ウレタンフォームマットレスの試験方法を、国際的に使われており、 かつ、より的確に測定できるものに変更する。 【見直し理由】 ウレタンフォームマットレスの試験方法について、国際整合性の 観点から日本工業規格が改正されたため。 ・魔法瓶の保温効力の表示の変更 (告示改正) 保温効力の試験時間について、24時間蓋を開けずに放置すると いう方法を削除する。 【見直し理由】 使用実態を鑑みると、24時間蓋を開けずに放置するということ は現実的ではないため。 6 ●その他の見直し 今回の改正に合わせて以下についても改正を行う。 改正事項 繊維の名称を示す用語の整理 (府令及び告示改正) 内 容 従来「指定外繊維」と表示していた繊維について、指定外繊維とはどのような繊維であるのか分か りにくいため、繊維の由来がわかるよう「植物繊維」、「動物繊維」等、消費者がよりイメージしやす い言葉を用いて表示できるようにするなど用語の整理を行う。 合成樹脂加工品の食事用、食卓用又は台所用の器具の材料の一部に使用されている「熱可塑性 エラストマー」はプラスチックとゴムの中間に位置する素材であり、熱を加えると軟化し冷めると元に 戻る性質があることから、台所用の「へら(スパチュラ)」等に使用され、その性質が生かされている。 しかし、現在は用語の指定がないため「TPE」、「エラストマー」等、表記がバラバラとなっている。こ のため、「熱可塑性エラストマー」を用語として指定することで統一を図る。 使用することのできる 用語の追加(告示改正) プラスチックの原料樹脂として「飽和ポリエステル樹脂」が用語として使われているが、これは消費 者がよく目にするペットボトルの材料である「PET(正式名称:ポリエチレンテレフタレート)」を含む 用語である。このため、消費者が材料をより理解しやすくするため、「飽和ポリエステル樹脂」に替え て「PET」及び「ポリエチレンテレフタレート」を用語とする。 家庭用の家具は無垢材よりも繊維板(中密度繊維板(MDF))が使われていることが多いが、通販 カタログや店頭POP広告においては繊維板に替えてMDFという用語が一般的に使用されている。 現状では繊維板と表記することとされているが、机、テーブル、たんす、椅子、腰掛け及び座椅子に おいて表示する用語として、繊維板に加えて一般消費者に馴染みのあるMDFと表示できることとす る。 スプリングマットレスの 表示の見直し(告示改正) 現在、スプリングマットレスのコイルスプリングの数・形状・材料の種類については、(例)「数:70 形 状:ちょうちん型ばね 材料の種類:SWRH57A・硬鋼線A種」と記載しなければならないが、どのよう な品質を表示しているのか消費者にとって分かりにくい表示となっている。また、スプリングマットレ スの品質はスプリングよりも詰物によって左右される場合もある。 このため、消費者により分かりやすくするため、例えば、「材料:コイルスプリング(詰物:ウレタン フォーム、フェルト(ジュート))」というように表示することとする。 表示事項名の統一(告示改正) 表示事項名について、かばんは「手入れ方法及び保存方法」、革又は合成皮革製の手袋、漆器類 は「使用上の注意」と記載することになっているが、これらを「取扱い上の注意」に統一する。 7