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ÿþM icrosoft W ord
平成 23年 度 戦略 的 基 盤技 術高 度 化 支援 事業
「ファーメントミクス(統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 )による
黒 茶 ポリフェノールの生 産 と素 材 化 技 術 の開 発 」
研究開発成果等報告書
平成 24年 3月
委託 者 九 州 経済 産 業 局 ○
委託 先 一 番 食品 株 式 会社
目
第1章
次
研究開発の概要
事業管理者
第2章
・・・・・・
1
・・・・・・
7
・・・・・・
11
・・・・・・
15
・・・・・・
19
一番食品(株)
茶葉の最適発酵制御条件の検討
九州大学大学院農学研究院
第3章
実用規模培養装置による発酵制御条件の検討
福岡県醤油醸造協同組合
第4章
黒茶ポリフェノールの抽出と素材化技術の検討
一番食品(株)
第5章
黒茶ポリフェノールの医学的評価
(株)レオロジー機能食品研究所
第6章
全体総括
・・・・・・
事業管理者
一番食品(株)
23
第 1章
研 究 開 発 の概 要
事業管理者
1.1
一番食品株式会社
研 究 開 発 の背 景 ・研 究 目 的 および目 標
「茶 」は 「 不 発 酵 茶 」 と「 発 酵 茶 」に 大 別 され 、緑 茶 は 「 不 発 酵 茶 」に 分 類 される 。他 方 、 「 発 酵
茶 」は 小 区 分 として 「 前 発 酵 茶 」 と「 後 発 酵 茶 」 に分 類 される 。前 者 「 前 発 酵 茶 」に はウーロ ン 茶
(半 発 酵 茶 )や 紅 茶 ( 全 発 酵 茶 )が 含 まれる 。こ の「 前 発 酵 茶 」 の 発 酵 とは、微 生 物 が 関 与 しない
茶 葉 由 来 の酸 化 酵 素 による「酸 化 反 応 」である。後 者 「後 発 酵 茶 」にはプーアル茶 (好 気 発
酵 )や 阿 波 番 茶 ( 嫌 気 発 酵 )、碁 石 茶 ( 好 気 ・ 嫌 気 発 酵 ) などが 含 まれる 。こ の「 後 発 酵 茶 」の 発
酵 とは、微 生 物 が関 与 した発 酵 を言 う。
本 研 究 開 発 は 、 こ の 「 後 発 酵 茶 」 の 研 究 に 端 を 発 し て い る 。す なわ ち 、 平 成 1 9 年 度 か ら 2 0
年 度 にかけて実 施 した経 済 産 業 省 委 託 の地 域 資 源 活 用 型 研 究 開 発 事 業 において、本 共 同
研 究 体 は福 岡 県 の 地 域 資 源 である八 女 茶 を原 料 に、後 発 酵 茶 の実 用 生 産 に成 功 し、商 品 化
した(商 品 名 「発 酵 黒 八 女 茶 」)。その発 酵 過 程 で、原 料 茶 葉 に含 まれるポリフェノール類 より新
たに 生 成 す る 「 黒 茶 ポ リ フ ェノール 」 を 見 出 し、そ の 一 部 が ヒト 赤 血 球 変 形 能 の 低 下 抑 制 、す な
わち血 液 循 環 能 改 善 効 果 を 示 すこと 、およびα- グルコシダーゼ阻 害 活 性 とリパーゼ 阻 害 活 性
を有 することを発 見 した。(特 願 2009-068709)
本 研 究 開 発 では 、茶 葉 を 原 料 とし新 規 「 黒 茶 ポ リフェノー ル」 を 含 む 高 品 質 で多 様 な機 能 性
食 品 素 材 を 製 造 す る 高 度 な 発 酵 制 御 技 術 の 開 発 を 目 的 と して い る 。 こ の 発 酵 技 術 は 微 生 物
(麹 菌 、乳 酸 菌 など)や酵 素 といった生 体 触 媒 を組 み合 わせて活 用 し、有 用 物 質 を発 酵 生 産 す
る統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 「ファーメントミクス」である。
こ の 発 酵 技 術 で は 、 茶 葉 の 麹 菌 酵 素 あ る い は 酵 素 製 剤 な ど に よ る 分 解 と 、「 黒 茶 ポ リ フ ェ ノ
ー ル 」 へ の バ イ オ コ ン バ ー ジ ョン を 効 率 的 に 進 める た め 、 目 的 成 分 で あ る 「 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル 」
に連 動 した 「 指 標 」 を 選 定 し、発 酵 条 件 の 最 適 化 を 行 なう 。同 時 に 発 酵 物 、抽 出 物 、試 作 素 材
などの医 学 的 評 価 を行 い、生 体 機 能 性 の観 点 からも発 酵 条 件 の的 確 性 を検 証 する。
本 研 究 開 発 の「 黒 茶 ポ リフェノール」は、赤 血 球 の“しなやかさ”を向 上 させ、微 小 血 管 におけ
る 血 液 の 循 環 能 を 向 上 させ る 機 能 を 有 してい る こ とが 判 明 してお り 、こ れに 加 えて肝 解 毒 効 果 、
腎 機 能 向 上 効 果 などの生 体 機 能 性 が 期 待 でき ることから、多 様 な生 活 習 慣 病 やメタボリックシ
ンドロームに対 応 した機 能 性 食 品 素 材 として茶 飲 料 以 外 の需 要 も期 待 される。
-1-
1.2
研究体制
1.2.1
研究組織
一番食品株式会社
再委託
福岡県醤油醸造協同組合
再委託
株式会社レオロジー機能食品研究所
再委託
国立大学法人九州大学大学院農学研究院
総括研究代表者(PL)
九州大学大学院農学研究院
教授 園元 謙二
1.2.2
副総括研究代表者(SL)
㈱レオロジー機能食品研究所
所長 藤野 武彦
管 理 体 制 (平 成 23年 度 )
①事 業 管 理 者
一番食品株式会社
代表取締役社長
研究開発部 次長
(業務管理者)
研究開発部 課長
財務部 部長
(経理担当者)
財務部経理課 課長
福岡県醤油醸造協同組合
再委託
株式会社レオロジー機能食品研究所
国立大学法人九州大学大学院農学研究院
②再 委 託 先
福岡県醤油醸造協同組合
理事長
副理事長
(業務管理者)
専務理事
(経理担当者)
総務部 次長
技術部
-2-
株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所
(業務管理者)
所長
代表取締役社長
研究部
生理部門
(経理担当者)
管理部
第1生化学部門
第2生化学部門
免疫部門
国立大学法人九州大学大学院農学研究院
総 長
農学研究院長
生命機能科学部門
(業務管理者)
微生物工学分野 教授
(経理担当者)
農学部経理係 係長
1.2.3
研 究 者 氏 名 (平 成 23年 度 )
1) 総 括 研 究 代 表 者 (PL)
氏 名
園元 謙二
所 属 ・役 職
国立大学法人九州大学大学院農学研究院 教授
2) 副 総 括 研 究 代 表 者 (SL)
氏 名
藤野 武彦
所 属 ・役 職
株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 所 長
3) 事 業 管 理 者
一番食品株式会社
①プロジェクト管 理 員
氏 名
所 属 ・役 職
吉野 貴唯
研究開発部 次長
田中 俊昭
研究開発部 課長
奥村 俊二
財務部経理課 課長
大賀 和孝
財務部経理課 主任
-3-
②研 究 員
氏 名
所 属 ・役 職
吉野 貴唯
研究開発部 次長
田中 俊昭
研究開発部 課長
3) 再 委 託 先
福岡県醤油醸造協同組合
氏 名
所 属 ・役 職
野田義治
専務理事
植木達朗
技術部 部長
片岡由希子
技術部 研究員
案浦謙二
技術部 研究員
株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所
氏 名
所 属 ・役 職
藤野 武彦
所長
馬渡 志郎
顧問
佐藤 亜弥
研究員
坂本 哲也
研究員
国立大学法人九州大学大学院農学研究院
氏 名
所 属 ・役 職
園元 謙二
生命機能科学部門
善藤 威史
生命機能科学部門 助教
折居 千賀
生命機能科学部門
-4-
教授
学術研究員
1.2.4
協 力 者 (研 究 推 進 委 員 )
氏 名
所 属 ・役 職
備 考
(外 部 推 進 委 員 )
小川 勝
久保田
中央技術環境研究所
朗
岡田 早苗
代表
アドバイザー
福 岡 県 農 業 総 合 試 験 場 八 女 分 場 茶 チーム長
アドバイザー
東京農業 大学 応用生物科学部 教授
アドバイザー
(内 部 推 進 委 員 )
園元 謙二
九州大学大学院農学研究院 教授
総括研究代表者
藤野 武彦
株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 所 長
副総括研究代表者
野田 義治
福岡県醤油醸造協同組合 専務理事
吉野 貴唯
一番食品株式会社 研究開発部 次長
1.3
1.3.1
成果概要
茶 葉 の最 適 発 酵 制 御 条 件 の検 討 (九 州 大 学 大 学 院 )
発 酵 茶 の熱 水 抽 出 液 を 薄 層 クロマトグラフ ィー に供 した結 果 、微 生 物 発 酵 によって 生 成 する
黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )は、従 来 のカテキン類 とは R f 値 、呈 色 の有 無 や発 色 パターンが大
きく異 なっていた。そこで、 1 H-NMR や
13
C-NMR といった各 種 NMR、質 量 分 析 法 を用 いて同 化
合 物 の構 造 を解 析 、同 定 した。
次 に、X成 分 を 簡 易 かつ効 率 的 に生 成 するため液 体 発 酵 系 の検 討 を行 ったがX成 分 の生 成
は見 られなかった。しかし、半 固 体 発 酵 では Aspergillus 属 菌 A株 においてX成 分 の生 成 が見 ら
れ た 。 そ こ で 同 菌 株 を 用 い て 半 固 体 発 酵 を 行 い 、 各 種 成 分 の 変 化 を 調 べ た と こ ろ 、 EGCG 、
EGC、没 食 子 酸 の増 減 に伴 いX成 分 の生 成 が見 られた。
1.3.2
実 用 規 模 培 養 装 置 による発 酵 制 御 条 件 の検 討 (福 岡 県 醤 油 醸 造 協 同 組 合 )
X成 分 の生 産 性 は、原 料 茶 葉 の種 類 および加 熱 温 度 の影 響 を受 けた。数 種 の要 因 を組 み
合 せた発 酵 試 験 の結 果 から、 Aspergillus 属 菌 の生 産 物 (酵 素 など)がX成 分 生 産 の主 要 因 と
考 えら れ た 。 Aspergillus 属 菌 A 株 と同 属 の B 株 の X成 分 生 産 性 は 異 なり 、B株 は A 株 よ り も 高
い生 産 性 を示 した。
次 に 、 培 養 装 置 を 用 い た 半 固 体 発 酵 に よ る X 成 分 の 生 産 を 試 み 、半 固 体 発 酵 法 は 固 体 発
酵 に比 べ固 形 分 あたりのX成 分 生 産 性 が高 いことを確 認 した。EGCG 添 加 Czapek培 地 による
培 養 試 験 において、EGCG から EGC、没 食 子 酸 、X成 分 が産 生 することを確 認 した。半 固 体 発
酵 では、発 酵 初 期 に菌 体 量 が上 昇 すると共 に EGCG が消 失 し EGC が低 下 した。次 いで、菌 体
量 に変 化 はないがX成 分 は上 昇 した。
-5-
1.3.3
黒 茶 ポリフェノールの抽 出 と素 材 化 技 術 の検 討 (一 番 食 品 )
発 酵 茶 葉 からの X成 分 の抽 出 ・ 素 材 化 技 術 と して、熱 水 抽 出 法 お よび 樹 脂 処 理 法 につ いて
工 業 生 産 ラ イ ン を 用 い た 検 討 を 行 い 、 共 に 実 用 レ ベ ル で確 立 した 。こ の 内 、樹 脂 処 理 法 に よ り
X成 分 が 粗 精 製 状 態 となった抽 出 画 分 ( 黒 茶 ポ リフェノール素 材 )を 得 た 。また、熱 水 抽 出 物 お
よ び 樹 脂 処 理 画 分 の 機 能 性 とし て 血 液 循 環 能 ( ヒ ト 赤 血 球 変 形 能 ) を 評 価 した 結 果 、 樹 脂 処
理 画 分 に高 い改 善 効 果 を確 認 した。
長 期 保 存 試 験 により、食 品 ( 乾 燥 物 ・水 溶 液 ) 状 態 でのX成 分 の成 分 的 な安 定 性 を確 認 し、
機 能 性 食 品 素 材 としての利 用 適 性 についても良 好 な評 価 を得 た。
更 に 、 様 々 な 食 品 形 態 や カ テ ゴリ ー に 適 合 し た 商 品 展 開 を 図 る た め 、 黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル 素
材 を用 いた製 品 モデルとして、飲 料 やタブレット・カプセル・ゼリーなどを実 用 レベルで試 作 した。
1.3.4
黒 茶 ポリフェノールの医 学 的 評 価 (レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 )
発 酵 茶 葉 からX成 分 を効 率 的 に抽 出 ・分 取 するため、既 に特 許 取 得 済 みの技 術 をもとに
検 討 し、X成 分 の結 晶 化 まで成 功 した 。また、熱 水 抽 出 物 について 急 性 経 口 毒 性 試 験 、復
帰 突 然 変 異 試 験 、小 核 試 験 の動 物 安 全 性 試 験 を行 い、全 ての試 験 項 目 で陰 性 となった。
緑 茶 抽 出 物 ではA A P H に よる ヒト 赤 血 球 変 形 能 の 低 下 抑 制 は 見 られなかった が 、 発 酵
茶 の 熱 水 抽 出 物 は 赤 血 球 変 形 能 の 低 下 を 抑 制 した 。 また 、 肥 満 と Ⅱ型 糖 尿 病 モ デル ラッ
ト に おいて 、摂 食 量 を 有 意 に 増 加 させたが 、 逆 に 有 意 に 体 重 増 加 率 を 抑 制 した 。 肥 満 と Ⅱ
型 糖 尿 病 マウスモ デル において 摂 食 量 を 有 意 に増 加 させ、インスリ ン濃 度 の上 昇 を 抑 制 す
る傾 向 がみられた。
発 酵 茶 抽 出 物 は、糖 尿 病 モデルラットにおいて統 計 的 に有 意 な血 糖 値 上 昇 抑 制 効 果 、中
性 脂 肪 低 減 効 果 、お よ び肝 ・ 腎 機 能 の 改 善 傾 向 、赤 血 球 変 形 能 改 善 傾 向 を 示 した 。また、遺
伝 的 に 糖 尿 病 を 発 症 す る マウ ス に お い ても 、 明 ら か な 血 糖 値 上 昇 抑 制 効 果 が 見 ら れ た 。 更 に
高 血 圧 自 然 発 症 ラットにおいて統 計 的 に有 意 な腎 機 能 の改 善 効 果 、血 圧 上 昇 抑 制 効 果 、コ
レステロールの代 謝 改 善 効 果 、および肝 機 能 の改 善 傾 向 が見 られた。
X成 分 は、遺 伝 的 に糖 尿 病 を発 症 するマウスにおいて、明 らかな血 糖 値 上 昇 抑 制 効 果 を 示 し
た。更 に、高 血 圧 自 然 発 症 ラットにおいて投 与 1週 後 から、血 圧 上 昇 抑 制 傾 向 を示 した。
1.4
当 該 研 究 開 発 の連 絡 窓 口
一番食品株式会社
研究開発部
TEL:0948-26-1689
田中俊昭
FAX:0948-26-1698
E-mail:[email protected]
-6-
第 2章 茶 葉 の最 適 発 酵 制 御 条 件 の検 討
国立大学法人 九州大学大学院農学研究院
2.1
プロジェクト全 体 における本 研 究 開 発 部 分 の位 置 づけ
こ れ ま でに 当 研 究 チ ー ム が 固 体 発 酵 茶 に 特 異 的 に 含 まれ る こ と を 見 出 し た 「 黒 茶 ポ リ フ ェ ノ
ール(X成 分 )」の同 定 を行 うことで、X成 分 に関 する情 報 だけではなく、安 全 性 や生 理 活 性 機 能
に関 する情 報 の提 供 に繋 げる。
また 、 効 率 的 に X 成 分 を 生 産 す る た めの 最 適 発 酵 制 御 条 件 に 関 す る 検 討 の 一 つ とし て 、 液
体 発 酵 系 あるいはそれに準 じる発 酵 系 の確 立 による発 酵 プロセスの効 率 化 を目 指 す。これら
の こ とよ り 、X 成 分 の 効 率 的 生 産 あ る い は 発 酵 茶 に 含 まれ る そ の 他 機 能 性 成 分 に 関 す る 情 報
提 供 に寄 与 する。
2.2
2.2.1
研究成果
黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )の同 定
本 課 題 では 、 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル ( X成 分 ) の 構 造 を 解 明 す る に 当 た り 、 まず X 成 分 が 白 色 結
晶 であり、分 子 量 276、構 造 式 は C 1 4 H 1 2 O 6 であることが明 らかにした。そこで、X成 分 同 定 のた
め、発 酵 茶 抽 出 液 を薄 層 クロマトグラフィー (TLC)に供 し、定 性 分 析 を 行 った。X成 分 の 標 品 は
レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 にて精 製 および結 晶 化 されたものを用 いた。
発 酵 茶 葉 の エ タノール ある い は メタノー ル 抽 出 液 を シ リ カゲ ル 薄 層 プ レ ート ( Whatman Silic a
Gel 60A)に 負 荷 し、溶 媒 (クロロ ホルム: 酢 酸 エチル:ギ酸 = 4:5 :1)に て展 開 後 、UV 検 出 お よ
び発 色 試 薬 を用 いた呈 色 の有 無 、色 および R f 値 (移 動 度 )による比 較 を行 った。発 酵 茶 に含 ま
れるX成 分 および精 製 X成 分 は R f 値 を 0.57 に示 し、UVによる検 出 、 p -アニスアルデヒド、およ
び ジ フ ェ ニ ル ア ミ ン 、 10 % H 2 SO 4 に よ る 呈 色 が 見 ら れ た が 、 他 の カ テ キ ン 類 と は 異 な り 、 2 %
FeCl 3 では呈 色 を示 さなかった(表 1、図 1)。従 って、X成 分 はカテキン類 とは構 造 的 に異 なる可
能 性 が示 唆 された。
表 1.茶 葉 および発 酵 茶 由 来 各 種 成 分 におけるTLC分 析 結 果
-7-
X成分
(Rf=0.57)
2% FeCl3
p-アニスアルデヒド
ジフェニルアミン
図 1.各 種 発 色 試 薬 におけるX成 分 の呈 色
更 に、レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 にて発 酵 茶 よ り同 成 分 の 抽 出 、精 製 および結 晶 化 を 行 い 、
1
H-NMR ( 500 MHz in C 4 H 8 O 2 ) 、 1 H-NMR ( 重 水 添 加 ) 、 1 3 C-NMR ( 126.5 MHz in C 4 H 8 O 2 ) 、
13
C-NMR(DEPT 135)、二 次 元 NMR( 1 H- 1 H COSY, 1 H - 1 3 C HMQR、 1 H - 1 3 C HMBC、NOESY)
によ る 解 析 を 行 っ た 。そ の 結 果 、検 出 され た 全 てのピー ク を 帰 属 し、X 成 分 の 構 造 を 次 の よ うに
決 定 した(図 2)。
図 2.黒 茶 ポリフェノール X成 分 (4,4a,10,10a‐テトラヒドロ‐7,
9‐ジヒドロキシ‐4‐メチレンピラノ[3,2‐b][1]ベンゾピラン‐2‐カルボン酸 )の構 造
2.2.2
茶 葉 を 用 い たスラリーおよび液 体 発 酵 に関 する検 討
従 来 の 固 体 発 酵 系 で は 最 適 発 酵 制 御 条 件 の 検 討 に お い て 、 発 酵 の 管 理 や 検 討 の た めの
条 件 設 定 が難 しいという問 題 があった。工 業 的 にも発 酵 プロセスの改 善 あるいは簡 略 化 は今
後 の 事 業 化 お よ び 製 品 化 に 際 し て重 要 となる こ とが 考 えら れ た 。そ の た め 、構 造 お よ び 一 部 の
機 能 性 が明 らかにされたX成 分 を指 標 に、固 体 発 酵 系 から液 体 発 酵 系 への移 行 に関 する検
討 を試 みた。
以 前 の 検 討 で試 験 管 小 スケール スラリー( 半 固 体 ) 発 酵 に てX成 分 の 生 成 が 見 られ たた め 、
バッフルフラスコを 用 い たスラリ― 発 酵 および 茶 葉 を 煮 出 した 茶 汁 ( 茶 熱 水 抽 出 液 ) のみを 用 い
た液 体 発 酵 系 の検 討 を行 った。発 酵 には福 岡 県 醤 油 醸 造 協 同 組 合 より提 供 された
Aspergillus 属 A 株 を用 いた(第 3 章 参 照 )。
発 酵 は滅 菌 した茶 葉 スラリー培 地 に同 菌 の胞 子 懸 濁 液 を接 種 し、好 気 発 酵 を 35℃で 1 週
間 行 った後 、嫌 気 発 酵 を 30℃で 1 週 間 行 った。殺 菌 処 理 およびその他 条 件 は福 岡 県 醤 油 醸
造 協 同 組 合 の発 酵 条 件 に準 じた。茶 汁 培 地 は熱 水 を用 いて抽 出 した後 、濾 過 により茶 葉 を 取
り除 いたものを用 いた。7 日 目 および 14 日 目 に発 酵 物 をサンプリングおよび抽 出 し、HPLC にて
X成 分 の定 量 を行 った。凍 結 乾 燥 重 量 を 求 めた後 、乾 燥 発 酵 茶 葉 1g 中 のX成 分 量 を求 めて
比 較 した。
-8-
本 課 題 で 検 討 し た 発 酵 条 件 は 、 ( 1 ) スラ リ ー 発 酵 系 、 ( 2 ) 茶 汁 液 体 発 酵 系 であ る 。 な お 、ネ
ガ テ ィブ コ ン ト ロ ー ル と し て 菌 を 接 種 し ない ス ラ リ ー お よ び 茶 汁 培 地 を 用 意 し 、 同 様 の 条 件 で 発
酵 を行 った。
結 果 を図 3 に示 す。バッフルフラスコを用 いたスラリー発 酵 系 においてもX成 分 の生 成 が見 ら
れた。スラリー発 酵 14 日 目 における乾 燥 発 酵 茶 葉 1g 当 たりのX成 分 生 成 量 は、(1)スラリー発
酵 系 においては 0.87mg であった。また、嫌 気 発 酵 を行 った 14 日 目 にX成 分 の減 少 が見 られた。
しか し、茶 汁 のみ を 用 い た液 体 発 酵 系 ではX成 分 の 生 成 は 見 られ なか った。このこ とより 、発 酵
茶 におけるX成 分 の生 成 に関 しては茶 葉 由 来 の各 種 成 分 だけではなく、茶 葉 の有 無 もまた何 ら
かの影 響 を及 ぼしている可 能 性 が示 唆 された。
これらの結 果 より、発 酵 茶 にお けるX成 分 の 高 効 率 生 産 におい て 茶 葉 を用 いた スラリー発 酵
X 成分 (m g /1 . 0g 乾燥発酵茶葉)
系 への移 行 が可 能 であり、更 にはその有 効 性 が示 唆 された。
1.6
7日目
14日目
1.2
0.8
0.4
0
コントロール
スラリー発酵
液体発酵
図 3.スラリーおよび液 体 発 酵 系 におけるX成 分 生 成 量
2.2.3
スラリー発 酵 における各 種 成 分 の 経 時 変 化
スラ リ ー 発 酵 に て X 成 分 の 生 成 が 見 ら れ た こ と か ら 、カ テ キ ン を は じめ と した 茶 葉 、 発 酵 茶 由
来 各 種 成 分 の経 時 変 化 を調 べた。滅 菌 した茶 葉 スラリー培 地 に Aspergillus 属 A 株 を接 種 し、
発 酵 を行 った。発 酵 は好 気 条 件 で 30℃、30 日 間 振 とう培 養 を行 った。1 日 おきに発 酵 物 をサン
プリングし、濾 過 滅 菌 後 に HPLC を用 いてX成 分 および各 種 成 分 を定 量 した。
結 果 を図 4 に示 す。 同 発 酵 系 において、EGCG の減 少 に伴 い、EGC および没 食 子 酸 (GA)
の増 加 後 、それらの減 少 に伴 いX成 分 の生 成 が見 られた。EGCG は発 酵 開 始 直 後 より減 少 、3
日 目 にはほぼ消 失 していた。また、X成 分 は 3 日 目 より生 成 が見 られ、14 日 目 に最 も高 い値 を
示 した(12.71mg/1g 乾 燥 発 酵 茶 葉 )。14 日 目 以 降 に見 られたX成 分 の減 少 は EGC をはじめと
した茶 葉 由 来 成 分 が栄 養 源 として早 期 に消 費 されたため、X成 分 もまた同 様 に消 費 された可
能 性 が考 えられる。
これらの結 果 より、X成 分 の生 成 には没 食 子 酸 、EGC、EGCG が関 与 している可 能 性 が示 唆
された。
-9-
図 4.スラリー発 酵 系 における各 種 成 分 の経 時 変 化
2.3
研 究 成 果 のまとめと今 後 の 取 り組 み
発 酵 茶 に 含 まれ る 黒 茶 ポリフ ェノー ル( X成 分 ) の 構 造 決 定 を 行 っ た 。その 結 果 、従 来 のカ テ
キン類 とは異 なる構 造 の新 規 化 合 物 であることが明 らかになった。
茶 葉 を 煮 出 した茶 汁 を 用 いた液 体 発 酵 系 ではX成 分 の 生 成 が 認 められなかった。このため、
茶 葉 の 有 無 に よる 影 響 が菌 の 生 育 にも 関 与 す る可 能 性 が 示 唆 された 。しかし 、半 固 体 発 酵 系
であるスラリー発 酵 系 を 新 たに 確 立 するこ とができた。従 来 の固 体 発 酵 と比 較 すると 、X成 分 の
生 成 量 やコスト 的 な面 に おいて解 決 するべき点 も 多 い。しかしそれらの問 題 を 解 決 することで 発
酵 制 御 が 容 易 に なり 、 X 成 分 の 効 率 的 か つ 安 定 な生 産 の た めの 検 討 を 円 滑 に 進 める こ とが で
きると考 えられる。その他 、抽 出 から製 品 化 に 至 る工 程 のスリム化 、原 材 料 のコスト 削 減 を 図 る
など製 造 過 程 に関 しても大 きく寄 与 することが期 待 される。
本 研 究 にお い て 、茶 葉 由 来 のポリフ ェノール お よび 製 品 としての 発 酵 茶 に つい て 様 々な知 見
が得 られた。これらをもとに、今 後 の事 業 化 や機 能 性 食 品 として更 なる発 展 が期 待 される。
- 10 -
第 3章 実 用 規 模 培 養 装 置 による発 酵 制 御 条 件 の検 討
福岡県醤油醸造協同組合
3.1
プロジェクト全 体 における本 研 究 開 発 部 分 の位 置 づけ
黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル は 茶 葉 を 原 料 と して 生 産 さ れ る 。 現 在 想 定 し て い る そ の 製 造 工 程 は 、 原
料 受 入 ⇒原 料 処 理 工 程 (加 熱 )⇒ 発 酵 工 程 ( 黒 茶 ポリフェノール産 生 )⇒一 次 精 製 工 程 ( 固 液
分 離 、 濃 縮 、 成 分 調 整 ) か ら 構 成 さ れ 、 「 黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル 原 液 」 を 製 造 し 、 外 注 加 工 し て 食
品 素 材 とする。
本 課 題 で は 、 黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル 、 特 に X 成 分 の 生 産 に 対 す る 原 料 処 理 条 件 、 発 酵 工 程 に
関 連 する要 因 (食 品 用 酵 素 製 剤 、 Aspergillus 属 菌 、乳 酸 菌 )の影 響 、原 料 処 理 における加 熱
時 間 の 影 響 と発 酵 工 程 ( 半 固 体 発 酵 )に おけ る 生 産 条 件 の 最 適 化 を 検 討 する 。更 に 、実 験 室
レベルから実 用 規 模 へのスケールアップ のための発 酵 試 験 を行 う。
3.2
3.2.1
研究成果
原 料 茶 葉 の 加 熱 処 理 の検 討
原 料 茶 葉 の 加 熱 処 理 工 程 が 、一 般 細 菌 数 低 減 、 茶 葉 可 溶 化 率 、黒 茶 ポ リ フ ェノール ( X成
分 )の生 産 性 に与 える影 響 について検 討 した。
その結 果 、加 熱 時 間 の長 さは 100℃と 100℃以 上 の間 では一 般 細 菌 数 低 減 と茶 葉 可 溶 化
に大 きな差 は無 かった。一 方 、X成 分 の生 産 性 は、加 熱 温 度 の影 響 を 受 け 100℃以 上 <100℃
の関 係 にあることが判 明 した。
3.2.2
茶 葉 の 分 解 ・可 溶 化 条 件 の検 討
原 料 茶 葉 の 可 溶 化 およ びX成 分 の 生 産 性 に 対 する、食 品 用 酵 素 製 剤 、 Aspergillus 属 菌 、
乳 酸 菌 の関 係 を検 討 した。食 品 用 酵 素 製 剤 と Aspergillus 属 菌 は、茶 葉 をほぼ同 程 度 可 溶 化
したが乳 酸 菌 には可 溶 化 作 用 を認 めなかった。X成 分 は、 Aspergillus 属 菌 単 独 または乳 酸 菌
と共 に作 用 させた場 合 にのみ生 産 され、特 に後 者 で最 も多 く生 産 された。一 方 、食 品 酵 素 製 剤
単 独 、乳 酸 菌 単 独 、食 品 用 酵 素 製 剤 と乳 酸 菌 の組 み合 せでは、X成 分 は生 産 されなかった。
これらの結 果 から、 Aspergillus 属 菌 の生 産 物 (酵 素 など)がX成 分 生 産 の主 要 因 で、乳 酸 菌
はこれを促 進 しているものと推 察 した。
3.2.3
市 販 種 麹 菌 の茶 葉 由 来 黒 茶 ポリフェノール生 産 性 評 価
X成 分 の 生 産 に関 連 する因 子 をL8 直 交 実 験 ( 半 固 体 発 酵 )により評 価 し、茶 葉 の加 熱 条 件
の 影 響 を 検 討 した 。茶 葉 によ り X成 分 の 生 産 性 は 異 なり 、加 熱 条 件 も 影 響 を 及 ぼす 。更 に 、市
販 種 麹 菌 の Aspergillus 属 菌 、 Monascus 属 菌 、 Rhizopus 属 菌 などを用 いてX成 分 の生 産 性 を
評 価 した結 果 、 Aspergillus 属 菌 でX成 分 の生 産 が認 められた(図 1)。加 えて同 じ Aspergillus
- 11 -
属 の種 麹 菌 でもその生 産 性 は異 なり、 Aspergillus 属 菌 B株 が A 株 よりも高 い生 産 性 を示 した
(図 2)。
次 に 、小 型 培 養 装 置 ( 半 固 体 発 酵 )による X成 分 の 生 産 を 試 みた とこ ろ 、茶 葉 発 酵 物 当 りの
生 産 量 が固 体 発 酵 と同 程 度 であることを確 認 した。
100
X成分量比(%)
80
60
40
20
0
A株
B株
C株
D株
E株
F株
G株 Monascus Rhizopus
属菌
属菌
Aspergillus属菌
図 1.市 販 種 麹 発 酵 による茶 葉 からのX成 分 生 産 試 験
X成分量比(%)
100
80
60
40
固体発酵
半固体発酵
20
0
A株
B株
Aspergillus属菌
図 2. Aspergillus 属 菌 A 株 、B 株 の固 体 発 酵 、半 固 体 発 酵 によるX成 分 生 産 量
- 12 -
3.2.4
実 用 規 模 培 養 装 置 による発 酵 制 御 条 件 の検 討
半 固 体 発 酵 と固 体 発 酵 の両 発 酵 法 で Aspergillus 属 菌 B株 がA株 に比 べてX成 分 の生 産 に
適 し て い た 。 エ ピ ガ ロ カ テ キ ン ガ レ ー ト ( EGCG ) 添 加 Czapek 培 地 に よ る 培 養 試 験 に お い て 、
EGCG からエピガロカテキン(EGC)、没 食 子 酸 ( GA)、X成 分 が産 生 することを確 認 した(図 3)。
培 養 装 置 を用 いた半 固 体 発 酵 では、発 酵 前 期 に菌 体 量 が上 昇 すると共 に EGCG が消 失 し、
EGC が低 下 した(図 4)。次 いで、発 酵 後 期 では菌 体 量 に変 化 ないがX成 分 は上 昇 した(図 4)。
GA
X
EGCG
EGC
EGCGからEGC,GA,X成分ができる
GAからX成分はできない
図 3.EGCG 添 加 Czapec 培 地 に接 種 した Aspergillus 属 菌 により生 成 された GA、
mg/g
EGC およびX成 分
34
32
30
28
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
EGCG (mg/g)
EGC (mg/g)
X(mg/g)
菌体量(mg/g)
0
2
4
6
8
10
発酵経過日数
12
14
図 4.培 養 装 置 で半 固 体 培 養 した発 酵 物 の発 酵 期 間 中 の EGCG、EGC、
X成 分 および菌 体 量 の変 化
(体 量 は乾 燥 発 酵 物 中 のグルコサミン量 を測 定 )
- 13 -
3.3
研 究 成 果 のまとめと今 後 の 取 り組 み
茶 葉 から黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )を 生 成 する優 良 な Aspergillus 属 菌 を 選 抜 し、これらを
用 い た 固 体 発 酵 お よ び 半 固 体 発 酵 の 両 発 酵 法 に お い て 生 産 さ せ る こ とが 出 来 た 。 フ ラ ス コ 試
験 に お い て 茶 抽 出 物 を 発 酵 系 へ 添 加 す る こ とで X成 分 量 が 増 加 す る こ とを 確 認 した 。 更 に 、 小
型 培 養 装 置 を用 いた半 固 体 発 酵 においても同 じ結 果 が得 られた。
なお 、こ こ では X成 分 の 生 産 方 式 としては 、大 量 発 酵 が 容 易 で既 存 の 醸 造 機 械 の 活 用 が 可
能 な固 体 発 酵 方 式 が現 時 点 で実 用 的 な方 法 と判 断 し、第 4章 の黒 茶 ポリフェノールの抽 出 ・
素 材 化 試 験 用 の試 料 を 固 体 発 酵 法 で調 整 し、一 番 食 品 に提 供 した。
半 固 体 発 酵 法 のスケールアップ 技 術 には 課 題 が残 るものの、効 率 的 なX成 分 発 酵 生 産 法 と
し ての 可 能 性 が 示 さ れ た こ と か ら 、 今 後 、 中 型 お よ び 大 型 培 養 装 置 に お け る 最 適 培 養 条 件 を
確 立 する。
原料茶葉
茶 葉 の種 類
加熱条件
発酵生産
【大 型 培 養 装 置 】
・ Aspergillus 属 菌
・ 乳酸菌
・ 発酵条件
(固 体 ・半 固 体 培 養 )
黒 茶 ポリフェノール
(X 成 分 )
図 5. 黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )生 成 のスケールアップ 技 術
- 14 -
第 4章 黒 茶 ポリフェノールの抽 出 と素 材 化 技 術 の検 討
一番食品株式会社
4.1
プロジェクト全 体 における本 研 究 開 発 部 分 の位 置 づけ
本 プロジェクトにより開 発 を行 う 高 濃 度 の 黒 茶 ポリフェノール(X成 分 ) を含 有 する茶 発 酵 物 よ
り、同 成 分 の工 業 的 な抽 出 ・素 材 化 技 術 を確 立 する。
また 、得 ら れ た 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル 素 材 に つ い て 、 成 分 的 安 定 性 お よ び 食 品 素 材 と し ての 加
工 適 性 等 を 評 価 し、更 にこれを用 いた製 品 モデルの試 作 を行 うことで、研 究 終 了 後 に速 やかに
事 業 化 ・商 品 化 へと移 行 させる。
4.2
4.2.1
研究成果
発酵黒八女茶
当 研 究 チ ー ム では 、 平 成 1 9 年 度 か ら 2 0 年 度 に 実 施 した 経 済 産 業 省 委 託 地 域 資 源 活 用
型 研 究 開 発 事 業 に お い て 麹 菌 を 用 い た 固 体 発 酵 茶 であ る「 発 酵 黒 八 女 茶 」 を 開 発 ・ 商 品 化 し
た(図 1)。本 課 題 では、この生 産 方 法 をモデルとして開 発 された高 濃 度 黒 茶 ポリフェノールを含
有 する固 体 発 酵 茶 を用 い、黒 茶 ポリフェノールの抽 出 ・素 材 化 技 術 に ついて検 討 を行 った。
図 1.発 酵 黒 八 女 茶 (商 品 外 観 と発 酵 茶 葉 )
4.2.2
黒 茶 ポリフェノールの素 材 化 技 術 の 確 立
本 課 題 では 発 酵 茶 葉 よ り X 成 分 を 抽 出 ・ 精 製 し 、 素 材 化 す る 技 術 の 開 発 に 当 た り 、 福 岡 県
醤 油 醸 造 協 同 組 合 が 選 定 した 菌 株 を 用 い 、 同 組 合 が 固 体 発 酵 法 によ り 中 規 模 スケ ー ル で生
産 した発 酵 茶 葉 を原 料 素 材 として用 いた(第 3章 参 照 )。
黒 茶 ポ リ フ ェノー ル の 素 材 化 試 験 は 、 食 品 素 材 か ら の 成 分 抽 出 を 専 門 とす る A 社 が 保 有 す
る工 業 的 抽 出 ラインを用 いて実 用 規 模 にて実 施 した。
ここでは、黒 茶 ポリフェノールの素 材 化 技 術 として、熱 水 抽 出 法 (発 酵 茶 葉 を熱 水 抽 出 し、噴
霧 乾 燥 に より 粉 末 化 ) 、および 樹 脂 処 理 法 ( 乾 燥 茶 葉 を 熱 水 抽 出 し、 これ を 樹 脂 処 理 して得 ら
れた画 分 を 噴 霧 乾 燥 に より粉 末 化 )の2通 りで検 討 した。樹 脂 処 理 法 の主 な工 程 を 図 2に示 す。
熱 水 抽 出 法 については、樹 脂 処 理 工 程 を経 ない以 外 は基 本 的 に樹 脂 処 理 法 と同 様 である。
図 2の 工 程 にお いて 採 取 した 熱 水 抽 出 液 お よ び樹 脂 処 理 画 分 ( 賦 形 材 添 加 前 )を 粉 末 化 し
た試 料 についてポリフェノール分 析 を行 った結 果 を図 3に示 す。
- 15 -
図 3.抽 出 画 分 のポリフェノールクロマトグラム
図 2.黒 茶 ポリフェノールの
・
樹脂処理工程
図 3 よ り 、ポ リ フ ェノー ル 成 分 に 限 定 し て考 察 す れ ば 、熱 水 抽 出 物 は X 成 分 の 濃 度 が 高 い が 、
カテキン類 やカフェインなどの共 存 物 も多 いことがわかる。一 方 、樹 脂 処 理 画 分 はX成 分 がほぼ
単 独 な粗 精 製 状 態 にあることがわかる。
熱 水 抽 出 法 お よ び 樹 脂 処 理 法 は 共 に 工 業 生 産 に 移 行 す る こ とは 可 能 であ り 、黒 茶 ポ リフ ェ
ノールの含 有 濃 度 レベルに応 じた素 材 化 技 術 として確 立 することができた。
4.2.3
黒 茶 ポリフェノール素 材 の機 能 性 評 価
前 項 で得 られた発 酵 茶 の熱 水 抽 出 物 、樹 脂 処 理 画 分 (黒 茶 ポリフェノール素 材 )について血
液 循 環 能 (ヒト赤 血 球 変 形 能 )の改 善 効 果 を評 価 した(図 4)。
図 4.抽 出 画 分 の血 液 循 環 能 改 善 効 果
図 4 の 通 り 、発 酵 茶 の 熱 水 抽 出 物 お よび 樹 脂 処 理 画 分 に は 、共 に 血 液 循 環 の 改 善 傾 向 が
認 めら れ 、こ の 内 、 樹 脂 処 理 画 分 が 最 も 効 果 が 高 か っ た 。す なわ ち 、 樹 脂 処 理 に よ り X 成 分 を
粗 精 製 状 態 にすることで同 効 果 が更 に高 まることが示 された。
- 16 -
以 上 よ り 、 樹 脂 処 理 画 分 は X 成 分 が ほ ぼ 単 独 で存 在 し、 高 い 水 溶 性 と、 生 体 調 節 機 能 と し
て血 液 循 環 能 改 善 効 果 を 有 しているた め 、機 能 性 食 品 素 材 としての 利 用 適 性 が 高 く 、本 研 究
プロジェクトの目 的 物 である黒 茶 ポリフェノール素 材 として適 合 したものであると考 えられた。
4.2.4
黒 茶 ポリフェノールの安 定 性 評 価
X成 分 に つ い て 、各 種 食 品 状 態 での 成 分 的 安 定 性 を 評 価 す る た め 、以 下 の 2 試 料 を 用 い た
長 期 保 存 試 験 を実 施 した。X成 分 濃 度 の経 時 変 化 を図 5に示 す。
■発 酵 黒 八 女 茶 (乾 燥 物 試 料 )
先 行 製 品 「発 酵 黒 八 女 茶 」(1.5g/ティーバッグ1袋 )を24ヵ月 間 、25℃ で保 管 した。定 期 的
にサンプリングし、発 酵 茶 葉 に100倍 量 の熱 水 を加 えて85℃で20分 間 抽 出 した。
■発 酵 黒 八 女 茶 ドリンク(水 溶 液 試 料 )
発 酵 黒 八 女 茶 ドリン ク( 1 本 50 0ml 当 たり 発 酵 茶 葉 4g を 使 用 ) を 17 ヵ 月 間 、2 5℃ で保 管 し、
定 期 的 にサンプリングした。
図 5より、X成 分 は乾 燥 物 状 態 では濃 度
減 少 は認 められず、極 めて安 定 性 が高 い
ことが確 認 された。
水 溶 液 状 態 では、X成 分 は12カ月 目 で
20%程 度 の濃 度 減 少 が認 められたが、
比 較 的 安 定 に残 存 していた。
従 って、X成 分 は安 定 性 の観 点 からも
種 々の食 品 形 態 に対 応 した機 能 性 食 品
素 材 として利 用 性 が高 いと考 えられた。
4.2.5
図 5.X成 分 の安 定 性 評 価
黒 茶 ポリフェノール素 材 を用 いた製 品 試 作
本 研 究 で 開 発 を 行 う 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル 素 材 に つ い ては 、 別 に 実 施 した ヒト 臨 床 試 験 や 第 5
章 の 動 物 試 験 など の 医 学 的 評 価 の 結 果 よ り 、抗 メタボリッ クシ ン ドロー ム 効 果 、心 臓 血 管 病 の
リ ス ク 低 減 など 有 効 な 生 体 調 整 機 能 の エ ビ デ ン ス が 得 ら れ て い る 。 こ の こ と は 、 黒 茶 ポ リ フ ェ ノ
ール 素 材 を 効 果 的 に 摂 取 す る こ とに よ り 、国 民 の 健 康 維 持 ・ 向 上 に 大 きく 寄 与 す る こ とが 期 待
できるものである(図 6)。
図 6.黒 茶 ポリフェノール素 材 による心 臓 血 管 病 リスクの低 減
- 17 -
本 研 究 では、これらの医 学 的 エビデンスに基 づき 、開 発 した発 酵 茶 および黒 茶 ポリフェノール
素 材 を 用 いて、① 発 酵 茶 葉 ( 乾 燥 ・ 粉 砕 加 工 品 )、②抽 出 エキスパウダー 、③ゼリー、④ドリンク、
➄ カプセル・タブレットといった種 々の製 品 モデルを実 用 レベルで試 作 した(図 7)。
す なわ ち 、こ れ ら の 試 作 品 は そ れ ぞ れ 、① 食 品 原 料 素 材 、② 機 能 性 食 品 素 材 、③ 明 ら か 食
品 、④ 健 康 飲 料 、➄ 機 能 性 ・ 健 康 食 品 とい っ た あ ら ゆる 食 品 形 態 や カ テ ゴリ ー に 対 応 した も の
であり、黒 茶 ポリフェノール素 材 の応 用 範 囲 が極 めて広 いことを示 すものである。
図 7.黒 茶 ポリフェノール素 材 を用 いた製 品 モデル
4.3
研 究 成 果 のまとめと今 後 の取 り組 み
本 研 究 で は 、 フ ァ ー メン ト ミ ク ス ( 統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 ) に よ る 黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル の 効
率 的 生 産 技 術 として 、 麹 菌 を 用 い た 茶 葉 の 固 体 発 酵 法 を 確 立 させ た 。これ と並 行 して、更 なる
生 産 性 の向 上 を目 指 した半 固 体 発 酵 (スラリー発 酵 )法 について第 2章 、第 3章 で示 された通 り
現 在 も検 討 が進 められているところである。
また 、 茶 発 酵 物 に 含 ま れ る 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル の 素 材 化 技 術 と し て は 、 平 成 2 1 年 度 に 実 用
規 模 での 熱 水 抽 出 お よ び 粉 末 化 技 術 を 確 立 し 、更 に 平 成 2 3 年 度 に は 樹 脂 処 理 に よ る 抽 出 ・
精 製 技 術 も確 立 した。
す なわ ち 、 本 研 究 で は 発 酵 技 術 と し て 、 ① 固 体 発 酵 法 と ② 半 固 体 発 酵 ( スラ リ ー 発 酵 ) 法 、
また抽 出 ・素 材 化 技 術 として、③熱 水 抽 出 法 と④樹 脂 処 理 法 を検 討 し、本 年 度 中 に①、③およ
び ④ の 技 術 を 確 立 した 。 茶 発 酵 物 の 生 産 性 、 物 性 お よ び 成 分 組 成 、 更 に 次 章 の 医 学 的 評 価
の 結 果 を 指 標 として 、こ れらの 生 産 技 術 を 適 切 に 組 み 合 わせる こ とで 、黒 茶 ポリフ ェノール を 高
濃 度 含 有 し、かつ優 れた生 体 調 節 機 能 を有 する機 能 性 食 品 素 材 の開 発 が可 能 である。
本 研 究 では 、確 立 した 固 体 発 酵 技 術 と抽 出 ・ 素 材 化 技 術 により 得 ら れた黒 茶 ポリフェノール
素 材 を 用 い た タブ レ ッ ト や 飲 料 等 、 数 種 の 製 品 モ デ ル を 実 用 レ ベ ル で 試 作 し て お り 、 そ の 事 業
化 は極 めて現 実 的 な段 階 に達 している。
本 研 究 事 業 の 終 了 後 は 、速 や か に 開 発 した 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル 素 材 お よび 各 製 品 モ デ ル に
ついて、一 番 食 品 の通 信 販 売 事 業 を中 心 に商 品 化 、事 業 化 への展 開 を図 る予 定 である。
- 18 -
第 5章 黒 茶 ポリフェノールの医 学 的 評 価
株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所
5.1
プロジェクト全 体 における本 研 究 開 発 部 分 の位 置 づけ
発 酵 プロセス技 術 により生 産 された機 能 性 食 品 素 材 の生 体 機 能 性 について、医 学 的 手 法
により、抗 メタボリック シ ンドローム 効 果 、血 液 循 環 能 ( ヒト 赤 血 球 変 形 能 ) 改 善 効 果 、お よび 抗
毒 性 効 果 等 を評 価 する。
こ れ に よ っ て 、 目 的 機 能 性 に 対 応 し た 指 標 を 設 定 す る と 共 に 、 製 造 プ ロ セス の 最 適 化 と 、そ
れ ぞ れ の プ ロ セス 制 御 の 精 密 化 を 促 進 す る 。 また 、 安 全 性 試 験 を 行 うこ とで ヒト へ の 効 果 評 価
を行 う上 での知 見 を得 る。
5.2
5.2.1
研究成果
抗 メタボリックシンドローム 効 果
1) 茶 抽 出 黒 物 の 効 果
(1) 9 週 齢 の肥 満 Ⅱ型 糖 尿 病 モデルラット(ZDF ラット)に、発 酵 茶 の熱 水 抽 出 物 (以 下 、黒 茶
抽 出 物 )0.65%を含 有 する固 型 飼 料 を 4 週 間 自 由 摂 取 させた。対 照 群 には固 型 飼 料 のみを
自 由 摂 取 させた。その結 果 、12 週 齢 において、試 料 投 与 群 が有 意 に低 体 重 を示 した。
(2) 5 週 齢 糖 尿 病 モデルマウス(KK-Ay マウス)に黒 茶 抽 出 物 0.4%と 0.05%アスコルビン酸 を
含 有 する飲 料 水 を自 由 摂 取 させ、対 照 群 には 0.05%アスコルビン酸 飲 料 水 を自 由 摂 取 させ
た。その結 果 、有 意 な血 糖 値 の低 下 、総 コレステロール、中 性 脂 肪 の低 下 が見 られた。
(3) 9 週 齢 自 然 発 症 高 血 圧 ラット(SHR ラット)において、黒 茶 抽 出 物 ( 0.65%)を含 む固 型 飼
料 を投 与 した群 と、黒 茶 抽 出 物 を含 まない固 型 飼 料 を投 与 した対 照 群 とを比 較 した。その
結 果 、 黒 茶 抽 出 物 投 与 群 で 統 計 的 に 有 意 な 著 明 な 血 圧 低 下 が 認 めら れ た 。 また 、 肝 機 能
の有 意 な改 善 と、有 意 な脂 質 代 謝 の改 善 (HDL コレステロールの上 昇 )が見 られた。
2) 黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )の 効 果
(1) 5 週 齢 糖 尿 病 モデルマウス(KK-Ay マウス)に、発 酵 茶 熱 水 抽 出 物 より抽 出 、精 製 (結 晶
化 ) した 黒 茶 ポ リ フ ェノ ー ル ( X 成 分 ) 0.01 % と 、 0.05 % ア スコ ル ビ ン 酸 を 含 有 す る 飲 料 水 を 自
由 摂 取 させ 、対 照 群 に は 0.05% アスコ ルビ ン 酸 飲 料 水 を 自 由 摂 取 さ せた 。その 結 果 、統 計
的 に有 意 な血 糖 値 の低 下 、総 コレステロール、中 性 脂 肪 、尿 素 窒 素 の低 下 が見 られた。
- 19 -
(2) 9 週 齢 自 然 発 症 高 血 圧 ラット(SHR ラット)において、精 製 X成 分 (0.013%)を含 む固 型 飼
料 を投 与 した群 と、X成 分 を含 まない固 型 飼 料 を投 与 した対 照 群 とを 比 較 した。その結 果 、X
成 分 投 与 群 で血 圧 低 下 傾 向 が認 められた。
5.2.2
抗毒性効果
1) 黒 茶 抽 出 物 の 効 果
(1) 8 週 齢 の汎 臓 器 異 常 モデルラット(STZ 投 与 ラット)において、黒 茶 抽 出 物 (0.65%)含 有
固 型 飼 料 を 3 週 間 自 由 摂 取 させた。その結 果 、対 照 群 に比 し血 糖 異 常 高 値 、中 性 脂 肪 異
常 高 値 を 統 計 的 に 有 意 に 防 止 した 。 また 、 肝 機 能 悪 化 、 腎 機 能 悪 化 、 赤 血 球 変 形 能 の 悪
化 を防 止 する傾 向 を示 した。
(2) 第 4 章 で述 べられているように、ヒト赤 血 球 酸 化 モデル(AAPH 負 荷 )において、黒 茶 熱 水
抽 出 物 は赤 血 球 変 形 能 の改 善 傾 向 を示 した。一 方 、緑 茶 抽 出 物 では全 く効 果 が見 られな
かった。
2) X成 分 の効 果
(1) 8 週 齢 の汎 臓 器 異 常 モデルラット(STZ 投 与 ラット)において、精 製 X成 分 を 0.013%含 有
する固 型 飼 料 を 3 週 間 自 由 摂 取 させた。その結 果 、X成 分 投 与 群 で統 計 的 に有 意 ではなか
ったが、肝 機 能 悪 化 、腎 機 能 悪 化 、赤 血 球 変 形 能 の悪 化 を防 止 する傾 向 を示 した。
(2 ) ヒト 赤 血 球 酸 化 モ デル(AAPH 負 荷 )に お いて 、精 製 X成 分 は 有 意 に 赤 血 球 変 形 能 悪 化
を防 止 した。
5.2.3
赤 血 球 変 形 能 に対 する効 果
1) 黒 茶 抽 出 物 の 効 果
(1) 汎 臓 器 異 常 モデルラット(STZ 投 与 ラット) において、対 照 群 に比 し赤 血 球 変 形 能 の悪 化
を防 止 する傾 向 を示 した
(2) ヒト赤 血 球 酸 化 モデル(AAPH 負 荷 )において、有 意 に赤 血 球 変 形 能 の悪 化 を抑 制 した。
- 20 -
2) X成 分 の効 果
(1) 汎 臓 器 異 常 モデルラット(STZ 投 与 ラット) において、対 照 群 に比 し赤 血 球 変 形 能 の悪 化
を防 止 する傾 向 を示 した。
(2) ヒト赤 血 球 酸 化 モデル(AAPH 負 荷 )において、有 意 に赤 血 球 変 形 能 の悪 化 を抑 制 した。
5.2.4
黒 茶 抽 出 物 およびX成 分 の安 全 性 について
1) 黒 茶 抽 出 物 につい て
(1) 急 性 経 口 毒 性 試 験
試 験 群 には 2000mg/kg の用 量 の検 体 を、対 照 群 には溶 媒 対 照 として注 射 用 水 を雌 雄 ラット
に単 回 経 口 投 与 し、14 日 間 の観 察 を行 った。その結 果 、観 察 期 間 中 に死 亡 例 は認 められなっ
たことから、検 体 のラットにおける単 回 経 口 投 与 による LD50 値 は、雌 雄 ともに 2000mg/kg 以 上
であるものと考 えられた。
(2) 復 帰 突 然 変 異 試 験
黒 茶 抽 出 物 の突 然 変 異 誘 起 性 を調 べる目 的 で、「医 薬 品 の遺 伝 毒 性 試 験 に関 するガイド
ラインについて」(平 成 11 年 11 月 1 日 医 薬 審 第 1604 号 )の別 添 「遺 伝 毒 性 試 験 ガイドライ
ン」に従 い、 Escherichia coli WP2 uvrA 及 び Salmonella typhimurium TA 系 4菌 株 を用 いて復
帰 突 然 変 異 試 験 を 実 施 した 。検 体 に つ い て 、 313 ~ 5000 μ g/ プ レ ー ト の 用 量 で 試 験 を 行 っ た 。
その結 果 、復 帰 変 異 コ ロニー数 の増 加 は 認 められなかった。以 上 のこ とから、本 試 験 条 件 下 に
おける検 体 の突 然 変 異 誘 起 性 は、陰 性 と結 論 した。
(3) 小 核 試 験
黒 茶 抽 出 物 についてマウスによる小 核 試 験 を 行 った。試 験 群 には 2000mg/kg/day を 24 時
間 間 隔 で 2 回 経 口 投 与 し、2 回 目 投 与 の 23~24 時 間 後 に骨 髄 塗 抹 標 本 を作 製 した。1 個 体
当 た り 2,000 個 の 幼 若 赤 血 球 ( IE ) を 観 察 し 、 そ の 中 に 含 ま れ る 小 核 を 有 す る 幼 若 赤 血 球
(MNIE)出 現 率 (%)を算 出 した。また、全 赤 血 球 数 を 1 個 体 につき 1000 個 以 上 観 察 し、全 赤
血 球 中 に占 める IE の割 合 [IE(%)]を求 めた。これらより、骨 髄 幼 若 赤 血 球 に対 する小 核 誘 発
性 ( 染 色 体 異 常 誘 発 性 )および 骨 髄 細 胞 増 殖 抑 制 作 用 につい て 検 討 した 。その 結 果 、陰 性 対
照 群 (媒 体 )と比 較 して、被 験 物 質 群 の小 核 出 現 率 に有 意 な増 加 は認 められなかった。
- 21 -
2) X成 分 について
急性経口毒性試験
試 験 群 には 150mg/kg の用 量 の検 体 を、対 照 群 には溶 媒 対 照 として注 射 用 水 を雌 雄 ラット
に単 回 経 口 投 与 し、14 日 間 の 観 察 を行 った。そ の結 果 、観 察 期 間 中 に 異 常 及 び死 亡 例 は認
められなかった。このことから、検 体 のラットにおける単 回 経 口 投 与 による LD50 値 は、雌 雄 とも
に 150mg/kg 以 上 であるものと考 えられた。
5.3
研 究 成 果 のまとめと今 後 の 取 り組 み
3 年 間 に当 研 究 所 が行 った研 究 成 果 を総 括 すれば以 下 の通 りである。
1)発 酵 茶 の医 学 的 有 効 性 を抗 メタボリックシンドローム効 果 、抗 毒 性 効 果 、血 液 循 環 能 改 善
効 果 を 中 心 に 検 討 し た 結 果 、 そ の 全 てに 有 効 性 を 示 し た 。 特 に 、 糖 尿 病 、 高 血 圧 症 、 肥 満
症 に著 明 な効 果 を示 した
2 ) 発 酵 茶 よ り 本 研 究 の 指 標 成 分 であ る 黒 茶 ポ リフ ェノー ル( X成 分 ) を 抽 出 ・ 精 製 ( 結 晶 化 ) す
る事 に成 功 した。それが新 規 物 質 である事 は第 2 章 で述 べられている通 りである。
3 ) X成 分 単 独 の 医 学 的 有 効 性 は ク ルー ド の 発 酵 茶 熱 水 抽 出 物 とほ ぼ 同 様 であ っ た 。この こ と
は 発 酵 茶 の 医 学 的 有 効 性 の 重 要 な 部 分 が X 成 分 に 起 因 す る も の である 事 を 示 してい る 。ま
た 、X成 分 が 緑 茶 に は 存 在 しない こ と、ヒト 赤 血 球 変 形 能 改 善 効 果 が 緑 茶 には なく 、発 酵 茶
には 認 められ た こ とより 、上 記 医 学 的 効 果 の ほ とんどは 発 酵 茶 固 有 の もの である 事 を 示 して
いる。
4)発 酵 茶 およびX成 分 の安 全 性 について、法 定 の動 物 安 全 性 試 験 を行 った結 果 、安 全 性 に
全 く問 題 は見 られなかった。
以 上 の 結 果 か ら 、 本 発 酵 茶 が メタボ リ ッ ク シ ン ドロー ム 、スト レ ス 毒 性 、 血 液 循 環 不 全 ( 脳 梗
塞 、 心 筋 梗 塞 ) が 最 大 の 健 康 課 題 となっ てい る 時 代 状 況 に 対 応 した 優 れ た 機 能 性 食 品 とな る
ことを示 し、またその事 業 化 が大 いに期 待 されるものである。
今 後 も 、当 研 究 チーム によりファーメントミク ス を駆 使 して生 産 され た 発 酵 茶 試 料 や 製 品 モデ
ルについても機 能 性 エビデンスを確 立 するための医 学 的 評 価 を行 っていく予 定 である。
- 22 -
第 6章 全 体 総 括
事業管理者
6.1
一番食品株式会社
研 究 の背 景 ・目 的
本 研 究 チームでは 、平 成 1 9 年 度 から20 年 度 に実 施 した経 済 産 業 省 委 託 の 地 域 資 源 活 用
型 研 究 開 発 事 業 において、福 岡 県 の地 域 資 源 「八 女 茶 」を原 料 に、微 生 物 発 酵 茶 の実 用 生
産 に 成 功 した 。その 過 程 で、茶 葉 に 含 まれるポ リフェノール 類 より 生 成 する新 規 成 分 「 黒 茶 ポリ
フ ェノー ル 」 を 見 出 し、そ の 一 部 が ヒト 赤 血 球 変 形 能 の 低 下 抑 制 ( 血 液 循 環 能 改 善 効 果 ) を 示
すこと、およびα-グルコシダーゼ阻 害 活 性 とリパーゼ阻 害 活 性 を有 することを発 見 した。
本 研 究 開 発 では、生 体 触 媒 ( 微 生 物 、酵 素 )を 組 み 合 わせ、有 用 物 質 を発 酵 生 産 する統 合
微 生 物 発 酵 制 御 技 術 「 フ ァ ー メン ト ミ ク ス 」 に よ り 、 茶 葉 を 原 料 と し「 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル 」 を 含 む
高 品 質 で多 様 な機 能 性 食 品 素 材 を製 造 する高 度 な発 酵 制 御 技 術 の開 発 を目 的 とする
6.2
研 究 の概 要
本 研 究 では 、発 酵 技 術 として 茶 葉 の 麹 菌 発 酵 あるいは 酵 素 等 に よる 分 解 と、目 的 成 分 であ
る黒 茶 ポリフェノール( X成 分 )へのバイオ コンバ ージョン を 効 率 的 に 進 めるため、本 成 分 に 連 動
した「指 標 」を選 定 し、発 酵 条 件 の最 適 化 を検 討 した。
また 、 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル の 構 造 決 定 を 行 うと 共 に 、 発 酵 茶 葉 、 抽 出 物 、 試 作 素 材 など の 医
学 的 評 価 を行 い、生 体 機 能 性 の観 点 からも発 酵 条 件 の的 確 性 を検 証 した。
6.3
6.3.1
実施内容
茶 葉 の 最 適 発 酵 制 御 条 件 の 検 討 (九 州 大 学 大 学 院 )
発 酵 茶 葉 に 含 まれる 黒 茶 ポリフ ェノール ( X成 分 )の 構 造 決 定 を 行 っ た 。その 結 果 、X成 分 は 、
従 来 のカテキン類 とは異 なる構 造 を有 する新 規 化 合 物 であることが明 らかになった(図 1)。
次 に、X成 分 を簡 易 かつ効 率 的 に生 成 するため液 体 発 酵 系 の検 討 を行 ったがX成 分 の生
成 は見 られなかった。しかし、半 固 体 発 酵 では Aspergillus 属 菌 においてX成 分 の生 成 が見 られ
た。そ こで 、同 菌 株 を 用 いた 半 固 体 発 酵 にお け る各 種 成 分 の 変 化 を 調 べた 結 果 、EGCG 、EGC、
没 食 子 酸 の増 減 に伴 いX成 分 の生 成 が見 られ、半 固 体 発 酵 技 術 確 立 のための指 標 を得 た。
従 来 の固 体 発 酵 と比 較 すると、X成 分 の 生 成 量 やコスト的 な面 において解 決 するべき点 も多
いが、これらの問 題 を 解 決 することで発 酵 制 御 が容 易 になり、X成 分 の 効 率 的 かつ安 定 な生 産
のための検 討 を円 滑 に進 めることができると考 えられた。
図 1. 黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )の構 造
- 23 -
6.3.2
実 用 規 模 培 養 装 置 による発 酵 制 御 条 件 の検 討 (福 岡 県 醤 油 醸 造 協 同 組 合 )
黒 茶 ポリフ ェノール ( X成 分 )の 生 産 性 は 、原 料 茶 葉 の 種 類 お よび 加 熱 温 度 の 影 響 を 受 け た 。
市 販 種 麹 菌 9種 の中 から、茶 葉 からX成 分 の生 成 に適 した2種 の優 良 な Aspergillus 属 菌 を選
抜 した(A株 、B株 )。 Aspergillus 属 菌 A株 と同 属 のB株 のX成 分 生 産 性 は異 なり、B株 はA株 よ
りも高 い生 産 性 を示 した。
こ れ ら を 用 い た 固 体 発 酵 お よ び 半 固 体 発 酵 の 両 発 酵 法 に お い て X 成 分 を 生 産 さ せ る こ とが
でき、半 固 体 発 酵 法 は固 体 発 酵 法 に比 べて固 形 分 当 たりのX成 分 の生 産 性 が高 いことを確 認
した(図 2)。
また、エピ ガロカテキンガ レート (EGCG) を 発 酵 系 へ添 加 するこ とで X成 分 の生 産 量 が 増 加 す
ることを確 認 し、更 に小 型 培 養 装 置 を用 いたB株 による半 固 体 発 酵 においても同 様 の結 果 が
得 ら れ た ( 図 3 ) 。 こ の こ とか ら 、 半 固 体 発 酵 法 は スケ ー ル ア ッ プ 技 術 に 課 題 が 残 る も の の 効 率
的 なX成 分 の発 酵 生 産 法 としての可 能 性 が示 された。
現 段 階 でX成 分 の 実 用 的 な生 産 法 として 、大 量 発 酵 が容 易 で既 存 醸 造 機 械 の活 用 が 可 能
な固 体 発 酵 法 で、X成 分 の抽 出 ・素 材 化 試 験 用 の発 酵 茶 葉 を調 整 し、一 番 食 品 に提 供 した。
100
60
mg/g
X 成 分 量 比 (%)
80
40
固体発酵
半固体発酵
20
0
A株
B株
34
32
30
28
26
24
22
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
EGC (mg/g)
X(mg/g)
菌体量(mg/g)
0
Aspergillus属菌
2
4
6
8
10
12
14
発酵経過日数
図 2. Aspergillus 属 菌 A、B 株 の固 体 発 酵 、
半 固 体 発 酵 によるX成 分 生 産 量
6.3.3
EGCG (mg/g)
図 3.半 固 体 培 養 した発 酵 物 のカテキン類 、
/ X成 分 および菌 体 量 の変 化
黒 茶 ポリフェノールの抽 出 と素 材 化 技 術 の検 討 (一 番 食 品 )
発 酵 茶 葉 からの 黒 茶 ポ リフェノール( X成 分 )の 抽 出 ・ 素 材 化 技 術 として 、熱 水 抽 出 法 および
樹 脂 処 理 法 について工 業 生 産 ラインを用 いた検 討 を行 い、共 に実 用 レベルで確 立 することがで
きた 。熱 水 抽 出 法 に より 得 られた 熱 水 抽 出 物 は コスト および 収 量 の 点 か ら生 産 性 が 高 く 、一 方 、
樹 脂 処 理 法 に よ りポ リフ ェノール 成 分 として X 成 分 が 粗 精 製 状 態 となっ た 樹 脂 処 理 画 分 ( 黒 茶
ポリフェノール素 材 )を得 ることができた(図 4)。
上 述 の 熱 水 抽 出 物 お よ び樹 脂 処 理 画 分 の 生 体 調 節 機 能 として 血 液 循 環 能 ( ヒト 赤 血 球 変
形 能 )改 善 効 果 を評 価 した結 果 、樹 脂 処 理 画 分 が高 い効 果 を有 することを確 認 した。
長 期 保 存 試 験 により、食 品 ( 乾 燥 物 ・水 溶 液 ) 状 態 でのX成 分 の成 分 的 な安 定 性 を確 認 し、
機 能 性 食 品 素 材 としての利 用 適 性 についても良 好 な評 価 を得 た。
更 に、様 々な食 品 形 態 に適 合 した 商 品 展 開 を 図 るため、黒 茶 ポリフェノール素 材 を用 いた 製
品 モデルとして、タブレット、カプセル、ゼリーおよび飲 料 などを実 用 レベルで試 作 した(図 5)。
- 24 -
図 4.抽 出 画 分 のポリフェノールクロマトグラム
6.3.4
図 5.黒 茶 ポリフェノール素 材 の製 品 モデル
抗 黒 茶 ポリフェノールの医 学 的 評 価 (レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 )
発 酵 茶 の 医 学 的 有 効 性 を 抗 メ タボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム 効 果 、 抗 毒 性 効 果 、 血 液 循 環 能 ( ヒ ト
赤 血 球 変 形 能 ) 改 善 効 果 を 中 心 に 検 討 した 結 果 、そ の 全 てに 有 効 性 を 示 した 。 特 に 、 糖 尿 病 、
高 血 圧 症 、肥 満 症 に著 明 な効 果 を示 した。
本 課 題 では、発 酵 茶 より本 研 究 の指 標 成 分 である黒 茶 ポリフェノール(X成 分 )を抽 出 ・精 製
(結 晶 化 )する事 に成 功 した。それが新 規 物 質 であることは6.3.1項 で示 された通 りである。
X成 分 単 独 の医 学 的 有 効 性 はクルードの発 酵 茶 熱 水 抽 出 物 とほぼ同 様 であった。このこと
は発 酵 茶 の医 学 的 有 効 性 の重 要 な部 分 がX成 分 に起 因 するものである事 を示 している。また、
X成 分 が緑 茶 には存 在 しないこと、ヒト赤 血 球 変 形 能 改 善 効 果 が緑 茶 にはなく、発 酵 茶 に認 め
られた事 より、上 記 医 学 的 効 果 のほとんどは発 酵 茶 固 有 のものである事 を示 している。
更 に、発 酵 茶 および X成 分 の 安 全 性 について 、法 定 の 動 物 安 全 性 試 験 を 行 った 結 果 、安 全
性 に全 く問 題 は見 られなかった。
以 上 の 結 果 は 、本 発 酵 茶 が メタボリックシ ンドロ ーム 、ストレス 毒 性 、血 液 循 環 不 全 ( 脳 梗 塞 、
心 筋 梗 塞 ) が 最 大 の 健 康 課 題 となっている 時 代 状 況 に 対 応 した 優 れ た 機 能 性 食 品 となる 事 を
示 し、またその事 業 化 が大 いに期 待 されるものである。
6.4
成 果 の優 位 性 、今 後 の展 望
本 研 究 開 発 では 、有 用 物 質 を 発 酵 生 産 す る 統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 「ファー メント ミク ス」
に よ り 、 茶 葉 を 原 料 と し 新 規 成 分 「 黒 茶 ポ リ フ ェ ノー ル 」 を 含 む 高 品 質 で 多 様 な 機 能 性 食 品 素
材 を製 造 する高 度 な発 酵 制 御 技 術 について検 討 を行 った。
①統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 「ファーメントミクスの」確 立
半 固 体 発 酵 はスケールアップ 技 術 に課 題 が残 るものの、効 率 的 な黒 茶 ポリフェノールの発 酵
生 産 法 として技 術 を確 立 させるための有 用 な指 標 が得 られ、その可 能 性 が示 された。今 後 も補
完 研 究 により中 型 および大 型 培 養 装 置 における最 適 生 産 技 術 を確 立 していく。
②黒 茶 ポリフェノールの機 能 性 食 品 ・医 療 分 野 への展 開
茶 葉 の微 生 物 発 酵 の過 程 で選 択 的 に生 成 される新 規 成 分 「黒 茶 ポリフェノール」について、
その構 造 (特 許 出 願 中 )、および医 学 的 機 能 を示 したことは、抗 加 齢 (アンチエイジング)研 究 の
- 25 -
観 点 か ら 学 術 的 な意 義 は 大 きい 。今 後 、 同 成 分 につ い て 更 に 詳 細 な代 謝 プ ロ セス 、医 学 的 機
能 および生 体 メカニズムを解 明 、実 証 することにより、医 療 分 野 への応 用 展 開 が期 待 される。
③黒 茶 ポリフェノールの事 業 展 開
上 述 の医 学 的 機 能 が実 証 された抗 加 齢 食 品 を 開 発 し、市 場 投 入 することは、脳 梗 塞 や心
梗 塞 など の 生 活 習 慣 病 の 予 防 や 治 療 に 対 す る 選 択 肢 が 広 が り 、国 民 の 健 康 の 維 持 ・ 増 進 に
大 きく 寄 与 す る こ と を 示 唆 して い る 。 黒 茶 ポ リ フ ェノー ル を 配 合 した 製 品 は 顧 客 4 万 人 を 擁 す る
一 番 食 品 の 通 信 販 売 事 業 を 中 心 とした事 業 化 を計 画 すると共 に、同 成 分 を 機 能 性 素 材 として
販 売 力 の強 い業 者 にも供 給 することで多 方 面 から新 規 市 場 を創 出 し、その普 及 に務 めていく。
以 上 の 技 術 課 題 へ の 対 応 、黒 茶 ポ リ フ ェノー ル に 関 す る 探 査 お よ び 事 業 化 モ デ ル の 検 討 を
今 後 も継 続 することにより、5年 後 を目 途 に本 研 究 開 発 成 果 の事 業 展 開 を目 指 す。
6.5
成果実績
①特 許 出 願
名
称 号 : 医薬用組成物
特 許 出 願 番 号 (特 許 出 願 日 ): 特 願 2011-088448(2011年 4月 12日 )
特 許 出 願 人 : 株 式 会 社 レオロジー 機 能 食 品 研 究 所 、福 岡 県 醤 油 醸 造 協 同 組 合 、
九 州 大 学 大 学 院 農 学 研 究 院 、一 番 食 品 株 式 会 社
②発 表 等
名 称 (発 表 者 ) : 食 品 開 発 展 2010 企 業 プレゼンテーション (一 番 食 品 )
発 表 日 : 2010年 10月 14日
題
目 : 地 域 資 源 の 高 付 加 価 値 化 と商 品 開 発 ~黒 麹 発 酵 !発 酵 黒 八 女 茶 ~
名 称 (発 表 者 ) : 食 品 開 発 展 2011 企 業 プレゼンテーション (一 番 食 品 )
発 表 日 : 2011年 10月 6日
題
目 : 産 学 官 連 携 による高 品 質 な黒 麹 発 酵 茶 の開 発 ~発 酵 黒 八 女 茶 ~
名 称 (発 表 者 ): 日 本 農 芸 化 学 会 2012年 度 農 芸 化 学 会 大 会 一 般 講 演 (九 州 大 学 )
発 表 日 : 2012年 3月 23日
題
目 : 発 酵 黒 八 女 茶 由 来 機 能 性 ポリフェノールX成 分 の構 造 解 析 およびその機 能 性
- 26 -
平 成 23年 度 戦 略 的 基 盤 技 術 高 度 化 支 援 事 業
ファーメントミクス(統 合 微 生 物 発 酵 制 御 技 術 )による
黒 茶 ポリフェノールの生 産 と素 材 化 技 術 の開 発
研究開発成果等報告書
平 成 24年 3月
委託者 九州経済産業局
〒812-8546 福 岡 市 博 多 区 博 多 駅 東 2-11-1
委託先 一番食品株式会社
〒820-8601 福 岡 県 飯 塚 市 伊 川 1115
TEL 0948-26-1689
FAX 0948-26-1698
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