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2014年11月19日 輸血情報 1410-140 赤十字血液
輸血情報 1410-140 赤十字血液センターに報告された非溶血性輸血副作用 −2013年− 2013年の1年間に、医療機関において輸血による副作用・感染症と疑われ、赤十字血液セン ターに報告された症例のうち、最も報告数の多い非溶血性輸血副作用についてお知らせします。 輸血副作用・感染症報告件数(医療機関から報告された数、輸血との関連性なしとされた症例も含みます。) ■ 報告件数の推移§ 年 1,609 2005 1,579 30 265 4 2006 1,591 37 191 2007 1,626 2008 1,544 22 149 2 2009 1,541 25 98 2010 1,579 2011 1,597 14 2012 1,595 12 131 1 2013 1,515 500 28 女 688人 250 5 0 1,809 ∼9 0 10代 ●2013年の非溶血性副作用報告数は1,515件であり、 輸血による副作用・感染症報告総数1,662件の91.2% を占めていました。 ●副作用の症状が重篤と判断されたものは、1,515件中 703件(46.4%) でした。 ●副作用発症患者は、男性827名、女性688名、年齢分布 の中央値は67歳(0∼101歳) でした。 1,713 2 1,740 1,662 1,500 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代 100代 ■ 報告の内訳§ (2013年) 1,720 1,706 6 96 人 1,823 1,666 3 26 98 21 125 500 男 827人 1,881 153 5 25 1,000 1,939 293 7 2004 0 ■ 患者年齢分布(2013年) 9 § 複数に分類される場合は重複して集計しました。 2,000件 ■非溶血性副作用 ■溶血性副作用 ■GVHD疑い※ ■感染症疑い ※輸血後GVHDと確認された症例はありませんでした。 非溶血性輸血副作用(2013年) ■ 副作用の種類 ■ 使用製剤の種類 副作用の種類別の報告数及びその比率を下記に示します。このうち 重篤例が多い「アナフィラキシーショック」、 「アナフィラキシー」、 「血圧低下」、 「呼吸困難」、 「輸血関連循環過負荷(TACO)」及び「輸 血関連急性肺障害(TRALI)」が全体の44.2%を占めています。 TRALI**1.3% TACO*1.9% 蕁麻疹等 40.1% 65 29 呼吸困難 13.2% 血圧低下 6.1% 19 その他4.3% 200 92 608 44.2% 110 アナフィラキシー 7.3% 血小板製剤または赤血球製剤の使用による副作用が多く 報告されています。 複数の輸血用血液製剤 11.1% 168 血漿製剤 15.1% 229 合計 1,515件 218 アナフィラキシー ショック 14.4% *TACO 自社基準による評価 **possible TRALI症例を含みます。 5 洗浄赤血球製剤 0.3% 561 血小板製剤 37.0% 合計 1,515件 552 174 赤血球製剤 36.4% 発熱反応 11.5% 上記製剤には放射線照射製剤及び未照射製剤の両方を含みます。 《参 考》 【アナフィラキシー】 全身潮紅、蕁麻疹、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、呼吸困難等の複数の全身症状を示したもの。 【アナフィラキシーショック】 「アナフィラキシー」 に血圧低下を伴ったもの。 【血圧低下】 皮膚症状、呼吸困難等の症状を伴わずに血圧低下を示したもの。 【輸血関連循環過負荷(TACO:Transfusion associated circulatory overload)】 輸血に伴う循環負荷による心不全であり、呼吸困難、頻脈、血圧上昇などを認める。胸部X線で肺浸潤影など心原性肺水腫の所見を認めることがある。 輸血後6時間以内の発症が多い。 (2013年) ■ 使用製剤・症状別副作用報告数(頻度) 製 剤 供給本数 蕁麻疹等 発熱反応 血圧低下 アナフィラキシー アナフィラキシーショック 呼吸困難 TRALI TACO その他 計 血小板製剤 834,655 275件(約1/ 3,000) 156件(約1/ 44件(約1/ 19,000) 112件(約1/ 23件(約1/ 36,000) 50件(約1/ 47件(約1/ 18,000) 30件(約1/ 99件(約1/ 8,400) 31件(約1/ 53件(約1/ 16,000) 104件(約1/ 4件(約1/ 209,000) 6件(約1/ 1件(約1/ 835,000) 16件(約1/ 15件(約1/ 56,000) 47件(約1/ 561件(約1/ 血漿製剤 980,386 赤血球製剤※ 3,428,047 22,000) 120件(約1/ 8,200) 31,000) 4件(約1/ 245,000) 69,000) 13件(約1/ 75,000) 114,000) 22件(約1/ 45,000) 111,000) 51件(約1/ 19,000) 33,000) 15件(約1/ 65,000) 571,000) 2件(約1/ 490,000) 214,000) 0件 73,000) 2件(約1/ 490,000) 1,500) 552件(約1/ 6,200) 229件(約1/ 4,300) (カッコ内は対供給本数に対する頻度を表しています。) ※洗浄赤血球製剤、解凍赤血球製剤及び合成血液は除く。 上記製剤には、放射線照射製剤及び未照射製剤の両方を含み、2種類以上の製剤が使用された症例は除外しました。 供給本数に対する副作用報告頻度を使用製剤別にみると、血小板製剤が最も高く、約1,500本に1件でした。 使用製剤・症状別では、血小板製剤の「蕁麻疹等」が最も高く、約3,000本に1件でした。 ■ 副作用発現時間(発現時間不明例は除く) (2013年) 非溶血性副作用発現時間(輸血開始後) 副作用種類別に輸血開始から副作用発現まで の時間を示しました。副作用は、輸血開始直後 ばかりでなく輸血中、輸血終了後にも発現して います。輸血開始直後、輸血中及び輸血終了後 も患者さんの様子を適宜観察するように努めて ください。 血圧低下 81件 % 蕁麻疹等 501件 % 40 20 20 0 ∼10 ∼30 0 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 アナフィラキシー 99件 % 40 40 20 20 20 ∼10 ∼30 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 呼吸困難 166件 % 0 ∼10 ∼30 0 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 TRALI 19件 % 40 40 20 20 20 ∼10 ∼30 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 0 ∼10 ∼30 ∼30 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 アナフィラキシーショック 180件 ∼10 ∼30 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 TACO* 29件 % 40 0 ∼10 % 40 0 発熱反応 155件 % 40 0 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 ∼10 ∼30 ∼60 ∼120 ∼180 ∼240 ∼300 ∼360 ∼420 421∼ 分 *TACO 自社基準による評価 ■ TRALI及びp-TRALI報告件数の推移 医療機関から報告され、診断基準に基づいて評価 されたTRALI、possible TRALI(p-TRALI)の件 数です。 2013年のTRALIは9件、p-TRALIは10件でした。 またこの10年間のTRALIによる死亡が否定できな い症例は17件でした。2011年以降、死亡症例は 報告されていません。 年 2004 28 12 19* 2005 11 45 2006 2007 21 31 2008 14 16 2009 16 24 2010 9 2011 14 14 2012 6 0 p-TRALI 10 4 9 2013 TRALI 15 10 10 20 30 40 50 60 70 件 *1人の患者で2回発症(18件19症例) 輸血用血液製剤使用による副作用・感染症が疑われた場合 は、直ちに赤十字血液センター学術情報担当者までご連絡く ださい。また、原因究明のために、使用された製剤及び患者さ んの検体(使用前後)等の提供をお願いします。なお、使用さ れた製剤及び患者さんの検体は「血液製剤等に係る 及調査 ガイドライン」を参照のうえ保存してください。 医療関係者向け製品情報サイト URL http://www.jrc.or.jp/mr/top.html 《発行元》 日本赤十字社 血液事業本部 学術情報課 〒105-8521 東京都港区芝大門一丁目1番3号 *お問い合わせは、最寄りの赤十字血液センター 医 薬 情 報 担 当 者 へお願 い いたします。 1410