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29P-0814
29P-0814 過敏性腸症候群の治療不応化因子に関する検討 竹内 義明 3 , 米山 啓一郎 3 , 増田 豊 1,3 ◯秋山 加菜 1 ,亀井 大輔 1 ,福本 慈 2 , ( 1 昭和大薬,2 昭和大病院薬,3 昭和大医) 【目的】過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)は、下痢や便秘などの 便通異常とそれに伴う腹痛・腹部不快などを呈する疾患である。対症療法以外の 効果的な治療法が確立されていないことから、治療は社会生活に支障をきたさな い程度の症状コントロールを目標としている。治療によって症状コントロールが 可能となる患者がいる半面、改善のみられない患者も存在する。そこで、本研究 では、IBS の治療による症状コントロールにおける不応化因子を捉えることを目的 として、IBS 患者について治療が奏功した群と不応であった群を比較・検討した。 【方法】2006 年 4 月から 2009 年 6 月までの間に昭和大学病院消化器内科におい て IBS と診断され、治療を受けた患者 21 名について診療録を調査し、単変量解析 および多変量解析にて不応化因子の検討を行った。 【結果・考察】下痢型 IBS 患者データを単変量解析及びロジスティック回帰によ る多変量解析にて検討したところ、鎮痙剤を投与している患者のほうが投与して いない患者より 24.0 倍改善しないリスクが高まるという結果が得られた。症例数 が少ないため、今後の更なる検討が必要だが、本結果より、IBS 患者に対する鎮痙 剤の投与は慎重に行うべきである可能性が示唆された。一方、鎮痙剤は IBS に対 して最も多く使われていること、鎮痙剤は一時的な対症療法として用いられるこ とから、鎮痙剤そのものが患者の改善に影響しているのではなく、その背景とし て、初診時の患者の重症度や性格などが関与している可能性も考えられた。将来 的には、IBS に関する前向きな研究として、職業、性格、他の疾患や服用薬、初診 時重症度などの改善への影響を検討していきたい。