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少子高齢化が進むと労働力は本当に不足するのか

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少子高齢化が進むと労働力は本当に不足するのか
少子高齢化が進むと労働力は本当に不足するのか
企画調整室
客員調査員
小林
真一郎
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員)
1.はじめに
少子高齢化が進展すると、いずれは労働力人口が減少していくことが予想さ
れる。そうなると、産業活動の担い手が不足し、供給力不足に直面することに
なるため、日本の経済成長が阻害されることが懸念されている。特に最近では、
少子化が予想以上の速度で進んでいることもあって、例えば定年延長の導入や
社会保障制度の拡充を通じて女性の労働参加を促進させるといった方針が打ち
出されるなど、将来的な労働力の確保のための政策が喫緊の課題となっている。
労働力が減少する中で成長力を維持するためには、労働力を効率よく配分し、
また産業構造の転換を図ることによって、労働生産性を高めていくことが必要
であると考えられている。イノベーション(技術革新)を進めることで、労働
力の不足分を補うことができれば、日本の基礎的な成長力を維持することがで
きるという考え方である。このため、規制緩和や様々な改革を進めることが必
要不可欠であるとされている。
しかし、「労働力の減少」は必ずしも「労働力の不足」と同義ではない。場合
によっては、労働力が減少する中にあっても余剰労働力が発生する可能性はあ
る。必要な労働力を決定付けるのは飽くまでも「需要」の動向であり、少子高
齢化の進展による総人口の減少によって国内需要が縮小していけば、それに見
合って必要な労働力も減少していくであろう。また、海外経済の成長率が低水
準にとどまる局面では、外需による成長率の押し上げも期待できなくなる。最
近の世界的な景気の悪化により、国内では過剰労働力が拡大しつつあり、雇用
環境が急速に悪化している。また、将来的な世界経済の成長率に対して慎重な
見方が増えてきており、長期間にわたって過剰労働力が解消されない懸念もあ
る。
「需要」が十分に伸びなければ、これまで考えられてきた労働力不足への対
応策が、将来的にはむしろ大幅な過剰労働力を生み出してしまうことにもなり
かねない。ここでは、今後の可能性の一つとして、労働力が不足するのではな
1
経済のプリズム No66 2009.3
く、余剰となってしまう懸念はないか検討してみたい1。
2.経済成長と就業者数の関係
日本の総人口は既に減少に転じており、国立社会保障・人口問題研究所の中
位予測(出生中位・死亡中位)によれば、総人口は 2007 年の1億 2,777 万人か
ら 2025 年には1億 1,927 万人にまで減少し、生産年齢人口比率(総人口に占め
る 15~64 歳の人口の割合)は 2007 年の 65.0%から 59.5%まで低下すると予想
されている(図表1)。人口予測は5年に一度見直されているが、これまで想定
以上の速度で少子化が進み、予測はその都度、下方修正されてきており、実際
には中位予測よりも人口減少の速度が早まる可能性がある。
図表1
総人口の予測
%
75
億人
1.8
1.6
予測
70
65
1.4
60
1.2
55
1.0
50
65歳以上(左目盛)
15-64歳(左目盛)
0-14歳(左目盛)
生産年齢人口比率
0.8
0.6
45
40
0.4
35
0.2
30
25
0.0
60
70
80
90
暦年
2000
10
20
(注)生産年齢人口比率は総人口に占める 15-64 歳の人口の割合
(出所)国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口(平成 18 年 12 月推計)中位推計」
男女の各年齢における就業率2(15 歳以上の各年齢の総人口に対する就業者
の割合)が 2007 年時点から変動しないと仮定し、予想されている各年齢の人口
1
本稿の分析に当たっては、国民経済計算年報の 2007 年までの実績値を使用したため、既に
発表されている一部経済指標の 2008 年の実績値とやや乖離するものもあるが、中長期の動向
を考えるに当たっては無視できる範囲の乖離であると考えた。
2
15 歳以上の人口は労働力人口と非労働力人口に分類され、労働力人口はさらに就業者(雇用
者、自営業者、家族従業者の合計)と完全失業者に細分される。就業率とは 15 歳以上の総人
口に占める就業者数の割合である。なお、類似した数字として労働力率(労働参加率)がある
が、これは 15 歳以上人口に占める労働力人口の割合である。したがって、労働力率が高まる
と、就業者率も高まる関係にある。本稿では労働生産性の議論を行う関係上、失業者も含む数
字である労働力率ではなく、就業率を主に使用した。
経済のプリズム No66 2009.3
2
に掛け合わせて今後の就業者数を計算すると、景気変動の影響による就業者の
増減を考慮しなければ、2008 年から就業者数は着実に減少していく見込みであ
る(図表2)。具体的には、就業者数は 2007 年の 6,443 万人に対して、2025 年
には 5,632 万人にまで減少する計算になる。
図表2
各年齢の就業率が一定とした場合の就業者の予測
万人
7,000
予測
6,500
6,000
5,500
5,000
4,500
96
98
00
02
04
06
08
10 12
暦年
14
16
18
20
22
24
(注)各年齢の就業率×各年齢の人口の合計値、就業率は 2007 年の実績
(出所)内閣府「国民経済計算年報」、総務省「労働力調査」
国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口(平成 18 年 12 月推計)中位推計」
男女別の年齢別就業率の状態から分かるとおり、男女とも年齢が 60 歳を超え
ると就業率は急低下していき、女性では 30 代前後でいったん就業率が低下する
M字型のカーブを描く(図表3)。このため、将来的な就業者の減少を食い止め
るためには、短期間のうちに人口を増加させることができない以上、高齢者及
び女性の就業率(若しくは労働力率)を高めることが必要であると考えられて
いる。また、海外から移民や出稼ぎ労働者を受け入れることによって、直接的
に就業者数を増加させることも選択肢の一つとされている。
就業者数が減少した場合に懸念されているのが経済成長率の低下である。一
般に国内総生産(GDP)は各産業が新たに生み出した付加価値の合計として
定義されると同時に、国内総生産=就業者数×就業時間×労働生産性の関係に
ある。この場合の労働生産性とは、一人当たり・1時間当たりの付加価値額で
あり、数字が高いほど、より少ない労働投入量(就業者数×就業時間)で効率
的な経済成長を遂げることができることを示している。すなわち、何人の人間
が、何時間、どのくらい効率よく生産活動を行ったかによって、一国の生産量
3
経済のプリズム No66 2009.3
図表3
年齢別就業率(2007 年)
%
100
90
80
70
60
男性
男女計
50
40
女性
30
20
65-
60-64
55-59
50-54
45-49
40-44
35-39
30-34
25-29
20-24
15-19
10
0
歳
(注)就業率=就業者÷総人口×100
(出所)総務省「労働力調査」
が決定されることになる3。
就業者数が減少した場合に同額の生産量を維持しようとすれば、就業者の減
少分を就業時間の延長か、労働生産性を高めることで埋め合わせる必要がある。
さらに、生産量の伸びを従来のペースで維持しようとするなら、就業時間若し
くは労働生産性の伸びを就業者の減少率を上回るペースに高めなければならな
い。しかし、就業時間を延長することには限界があるため、現実的には労働生
産性の伸びを一定のペースに高めてやることで対応せざるを得ない。
それでは、一定の水準の経済成長率を維持するために、具体的にはどの程度
の生産性の伸びが必要なのだろうか。図表2の就業者数の将来予測を前提とし
た場合、毎年実質で2%の成長を維持しようとすれば、就業者数の減少ペース
が高まってくる 2012 年以降は毎年2%台後半のペースで生産性を伸ばし続け
ていく必要がある(図表4)。同様に、毎年実質で 1.5%の成長を維持するため
には2%強の生産性の伸びが、1.0%の成長では 1.7%程度の生産性の伸びが必
要である。
3
労働生産性には生産・営業設備の増加によって押し上げられる要素もある。成長会計の考え
方では実質GDP=TFP(全要素生産性)+資本(資本ストックの伸び×資本分配率)+労
働(労働投入量の伸び×労働分配率)として定義されることが一般的であるが、本稿では生産
量と労働力の関係を考えることが目的であり、単純に労働生産性=生産量÷労働投入量(生産
量=労働生産性×労働投入量)として考えた。なお、生産・営業設備が増加すれば、労働投入
量の増加がなくても生産量を増加させることが可能になるため、労働生産性の向上に寄与する
が、この場合、労働力が生産・営業設備に代替されるため、労働投入量の減少に寄与すると考
えられる。
経済のプリズム No66 2009.3
4
1980 年代後半から 1990 年代初頭のバブル期においては、労働生産性の伸び
は4%台を超えるなど極めて高い水準にあった。しかし、バブル崩壊後の 1990
年代半ば以降は急低下し、労働生産性は平均してみるとおおむね2%程度の伸
びで推移し、最近では1%台半ばまで低下している。これらの実績から判断す
ると、2%成長を維持していくことは厳しそうであるが、1.5%程度の成長を維
持することは、足元までの労働生産性をもう少し引き上げてやることで達成が
可能となる。推計値に幅はあるが、日本の潜在成長率が 1.5%程度であるとす
れば、労働生産性の伸びをもう少し高めていくことで、人口減少局面において
も潜在成長率の水準が大きく低下することは回避できることになる。
図表4
5
成長率を維持するために必要な生産性
%
予測
生産性(実績)
成長率2.0%
成長率1.5%
成長率1.0%
4
3
2
1
85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 15 17 19 21 23 25
暦年
(注1)生産性=生産量÷(労働時間×就業者数)
(注2)5年移動平均
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
もっとも、これまでの労働生産性の伸びは、企業において、より付加価値の
高い商品・サービスの開発・販売努力を行い、省力化・情報化のために積極的
に投資し、さらに厳しいリストラを行ってきた結果として達成された数字であ
り、これをさらに高めていくことは簡単なことではない。したがって、将来的
に日本が一定の経済成長を達成していくためには、就業者の減少ペースを少し
でも緩和させるための政策に加えて、企業が労働生産性をより高めていける政
策、例えば規制緩和や開発投資、技術革新のための支援などが必要になってく
る。
5
経済のプリズム No66 2009.3
ところで、最近の生産量4の中期的な伸び率(5年移動平均)をみると、2002
年以降の景気拡大期において伸び率が高まっており2%弱の水準にまで持ち直
しているものの、それでもバブル時と比べると明らかに水準は切り下がってい
る(図表5)。2008 年に入ってからの世界的な景気の悪化によってしばらくは
低成長が続くと考えられ、中期的にみても生産量の伸びは足元の実績よりも低
水準にとどまる可能性が高い。
図表5
5
実質GDP成長率と生産量の推移
%
生産量
実質GDP成長率
4
3
2
1
0
85
87
89
91
93
95
97
99
01
03
05
07
暦年
(注1)生産量は実質経済活動別国内総生産の小計
(注2)5年移動平均
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
生産量は、供給サイドから考えると各産業の生産量の合計値であるが、需要
サイドからみると各産業に対する需要量の合計値であると考えることができる。
生産量と需要量の間にギャップが発生することがあるが、在庫の増減で調整さ
れ、平均してみればおおむね一致した量となる。したがって、一方的に供給(生
産)したとしても、そこに需要が伴っていなければ在庫として積み上がること
になり、過剰な在庫が解消されるまでは供給が抑制されることになり、生産量
と需要量の間のギャップはしだいに縮小していく。
このため、労働生産性を高めれば自動的に生産量、すなわち需要が増加する
のではなく、需要に対する労働投入量の結果として事後的に労働生産性が求め
られるにすぎないことには注意が必要である。したがって、労働生産性の伸び
が一定である場合には、生産量の伸びが鈍化すれば、労働投入量の伸びが低下
4
経済活動別の国内総生産の実質値の合計であり、ほぼ実質GDPに相当する。
経済のプリズム No66 2009.3
6
することでバランスされているはずである。
図表6は、労働生産性が将来にわたって2%で推移し続けた場合、実質GD
P成長率(生産量)の伸び率の大きさによって、必要となる就業者がどう変動
するかを試算したものである5。
図表6
実質GDP成長率と必要な就業者の関係
万人
7,000
6,500
6,000
5,500
就業率×人口(標準ケース)
実質GDP成長率2.0%の場合
同1.5%の場合
同1.0%の場合
同0.5%の場合
5,000
4,500
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
16
18
20
22
24
暦年
(注)生産性を一定(2.0%)、労働時間を不変と仮定し、
就業者数=生産量÷生産性÷労働時間で算出
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
これをみると、実質GDP成長率が毎年2%の伸びを続けるためには、就業
者数は 6,440 万人程度が必要であり、図表2で試算した予想人口と就業率で求
められる就業者数(これを標準ケースと考える、以下同様)と比べると、2025
年時点では 800 万人以上の労働力が不足することになる。この場合、就業率の
上昇で対応していくことになるが、就業率が十分に上昇しない場合には、生産
設備の増強によって補うか6、供給力不足に陥り、結果的に毎年2%の伸びを維
持し続けることが不可能となってしまう。同様に、実質GDP成長率が毎年
1.5%の伸びを続けると、2025 年時点では 270 万人程度の労働力が不足する計
算になる。
一方、実質GDP成長率が毎年1%の伸びにとどまった場合、就業者の数は
5
労働時間の増減は、短期的な生産量や就業者数の増減に併せて調整することができるものの、
増減幅には限界があるため、2007 年時点の労働時間から変化しないと仮定した。
6
なお、既に述べたように、有効な設備投資が増加すれば、その分、就業者数の減少を補うこ
とが可能となる。また、設備投資の増加が不十分であれば、就業者の不足がより深刻になるで
あろうし、設備投資の増加がより大きかった場合には、就業者が余剰となる可能性もある。
7
経済のプリズム No66 2009.3
標準ケースと比べると下振れが続くことになり、2025 年時点では 240 万人程度
の就業者が余剰となる計算になる。さらに、毎年の実質GDP成長率が 0.5%
のペースまで減速した場合には、余剰就業者数は 2025 年時点で 700 万人程度ま
で膨らむと計算される。
以上の試算結果をまとめたのが図表7である。このように、労働生産性が大
きく変動しないことを前提とすれば、需要の増加ペースが小幅にとどまると、
労働力が不足するどころか、労働力が減少する中においても、その減少ペース
を上回って労働力が余剰となってしまうケースも想定される。
図表7
万人
800
標準ケースからのかい離幅
必要な就業者数(2.0%)
同(1.5%)
同(1.0%)
同(0.5%)
600
【余剰】
400
200
0
-200
-400
-600
【不足】
-800
-1,000
08
10
12
14
16
18
20
22
24
暦年
(注)生産性を一定(2.0%)、労働時間を不変と仮定し、
就業者数=生産量÷生産性÷労働時間で算出
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
3.労働生産性と就業者の関係
ここまでは労働生産性が最近のトレンドである2%程度で安定推移すると仮
定して議論してきたが、次に、労働生産性の水準が変化した場合、必要な就業
者数がどう変動するかについて考えてみよう(図表8)。例えば、生産量が毎年
1%と、現在考えられている潜在成長率よりも低水準で推移した場合、既に図
表7でみたとおり、2%の労働生産性が続けば、必要となる就業者数は図表2
の標準的な就業者数の予測値を下回って推移し、余剰就業者数は時間がたつに
つれて拡大していく。労働生産性が 2.5%、3.0%と更に高まっていくと、余剰
就業者数はますます増加していく。
経済のプリズム No66 2009.3
8
図表8
生産性が変化した場合に必要となる就業者数
万人
7,000
6,500
6,000
5,500
就業率×人口(標準ケース)
5,000
生産性(3.0%)
同(2.5%)
4,500
同(2.0%)
4,000
96 98
00 02 04
06 08 10 12
暦年
14 16
18 20
22 24
(注)生産量を一定(1.0%)、労働時間を不変と仮定し、
就業者数=生産量÷生産性÷労働時間で算出
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
労働生産性と労働投入量の過去の関係をみると、1980 年代の労働生産性の向
上は労働投入量の増加を伴っていたことが分かる。しかし、1990 年代初めのバ
ブル崩壊後の労働生産性の向上は、労働投入量の減少を伴うものであった。す
なわち、生産量の伸びが鈍化する中で、労働投入量を減少させることによって、
労働生産性の伸びを維持してきており、それ以前とは状況が大きく変化してい
る。2006 年になって労働投入量はようやく増加に転じているが、水準はかなり
低く、2007 年には再び減少している(図表9)。
図表9
労働生産性と労働投入量の関係
就業者数、億人・時
1,240
1,220
91年
生産性向上
1,200
1,180
労働投入量
減少
1,160
1,140
80年
1,120
1,100
07年
1,080
1,060
2,400
03年
2,800
3,200
3,600
4,000
4,400
4,800
労働生産性、円/人・時
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
9
経済のプリズム No66 2009.3
労働生産性の変動要因を労働投入量によるものと、需要要因(生産量)によ
るものとに分解してみると、1980 年代の労働生産性の向上は需要要因が大きく
プラスに寄与しているのに対し、労働投入量要因は小幅ながらマイナスに寄与
している(図表 10)。一方、1990 年代以降では、労働投入量要因のプラス寄与
(労働投入量の減少)が大きく、需要要因は 2002 年以降の景気拡大期を中心に
プラスに寄与しているものの、1980 年代と比べると寄与度は小さい。
図表 10
労働生産性と労働投入量の関係
前年差、円/人・時
250
うち労働投入量要因
うち需要要因
労働生産性増減額
200
150
100
50
0
-50
-100
81
83
85
87
89
91
93 95
暦年
97
99
01
03
05
07
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
さらに、労働生産性に対する労働投入量の寄与度を就業者要因と労働時間要
因に分解してみると、1980 年代は就業者が増加する一方で労働時間が縮小する
ことによって、労働投入量が減少している(図表 11)。一方、1990 年代になる
と、労働時間の短縮と就業者の減少の両面によって労働投入量が減少している。
労働時間の短縮については、1980 年代に週休2日制の導入開始や労働環境の
改善によって就業時間の短縮が進んだのに対し、1990 年代以降は企業が余剰人
員の削減を進める中でパートタイム労働者など非正規雇用の比率を高めていっ
たことが影響していると考えられる。また、就業者数については、1980 年代後
半以降のバブル期には企業が積極的に雇用を増加させたため、労働生産性を低
下させる要因となったが、1990 年代半ば以降は減少に転じたことで労働生産性
を高める要因となっている。これは、バランスシート調整が本格化する中で、
企業が過剰雇用の削減を進めたためであり、このリストラの結果として、企業
は少ない労働投入量でより多くの付加価値を生み出せるようになった(利益率
が向上した)と考えられる。
経済のプリズム No66 2009.3
10
図表 11
労働生産性に対する労働投入量の寄与度分解
前年差、人・時
4
3
2
1
0
-1
うち労働時間要因
うち就業者要因
労働投入量増減
-2
-3
81
83
85
87
89
91
93
95
97
99
01
03
05
07
暦年
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
今後も需要要因が縮小、減少した場合には、企業は引き続き労働投入量を減
少させることで、労働生産性の水準を維持しようとするであろう。既に述べた
ように、バブル崩壊後のバランスシート調整の中で、企業は雇用調整にも手を
付けており、さらに最近では、雇用者報酬に占める賞与の比率を高めるなど人
件費の変動費化を進め、非正規雇用者の割合を引き上げることによってコスト
の削減を図っている。これらの対応策は、生産量が減少した際には、雇用者や
労働時間を減らすことで労働生産性(企業にすれば利益率)を維持しようとす
ることに他ならない。
近年、企業経営は収益性をより重視する傾向にあり、この傾向は今後更に強
まっていくと予想される。このため、一国経済全体で考えても、生産量(需要)
の増減に連動して就業者数も増減する度合いが高まっていくと思われる。既に
足元の景気後退期において、非正規雇用者の削減など、企業は生産量の減少に
合わせて、雇用調整を速やかに実施できるようあらかじめ準備しておいた利益
率の維持策を実行に移しつつある。このため、生産量が減少した場合であって
も、労働生産性が低下することによって雇用が維持される(雇用を維持したた
め労働生産性が低下したとも考えられる)ことは期待しづらい。
労働生産性を向上させる(イノベーションを推進させる)といっても、生産
量の増加によるものなのか、それともリストラによるものなのかによって、就
業者数に与える影響は全く違う。企業が雇用を維持するためには、生産量を増
11
経済のプリズム No66 2009.3
加させることがまずは必要となってくる。言い換えれば、余剰となる就業者数
を発生させないためには、一定以上の需要の伸びが必要であり、政策的に労働
生産性を高めていく議論を行う場合には、需要動向の前提条件をどう考えるか
が必要不可欠である。
4.外需動向・企業の海外進出と就業者の関係
就業者の動向を考えるに当たっては、海外需要の動向及び、日本の製造業の
生産拠点の海外移転の動きを考慮に入れる必要がある。
企業部門(製造業)は、原材料や生産財の一部を海外から輸入し、それを加
工することで新たな付加価値(生産量)を生み出し、一部を在庫として保有す
る以外は、国内向けに出荷するか海外に輸出する。国内向け出荷と輸出の合計
のうち、輸出の占める割合が輸出依存度である。
2007 年度の製造業の業種別輸出依存度をみると、鉱工業全体で 21.6%であり、
日本の主力輸出品を構成する精密機械(52.2%)、電子部品・デバイス(34.1%)、
輸送機械(28.9%)、一般機械(28.1%)などの業種が高水準である。輸出が増
加すれば、それに見合った労働力が必要となってくるため、これら業種では輸
出に依存する就業者数も増えてくる(図表 12)。
図表 12
製造業の業種別輸出依存度(2007 年度)
鉱工業
繊維
パルプ・紙
化学
石油・石炭製品
窯業・土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
情報通信機械
電子部品・デバイス
輸送機械
精密機械
プラスチック製品
(2007年度)
0
10
20
30
(注)輸出依存度=輸出÷出荷合計×100
(出所)経済産業省「鉱工業出荷内訳表」
経済のプリズム No66 2009.3
12
40
50
60
%
日本全体での輸出依存度7の推移をみると、上昇傾向が続いており、特に 2002
年以降は世界経済の順調な拡大を背景に上昇ピッチが早まっている(図表 13)。
このため、輸出依存就業者(就業者数×輸出依存度で算出)の数も堅調に増加
し、前回の景気後退期の 2001 年時点での約 602 万人から 2007 年には約 927 万
人に達しており、国内出荷分も輸出分も労働生産性が同水準であると考えれば、
輸出増加の恩恵により 300 万人程度の就業者が増加した計算となる。この間、
就業者数は、6,476 万人から 6,444 万人と約 32 万人減少しており、輸出の増加
が雇用環境に及ぼした影響がいかに大きかったかがうかがえる。
もっとも、輸出が堅調に増加する中にあっても、企業は従来の生産拠点の海
外への移転ペースを緩めていたわけではない。海外生産比率は引き続き上昇傾
向にあり、2001 年の 14.3%から 2007 年には 18.3%まで上昇する見込みである
(図表 14)。
企業が海外生産比率を高めていくであろうことは、対外直接投資額の推移を
みても明らかである(図表 15)。対外直接投資額は増加傾向が続いており、2007
年度には過去最高額を更新している。
図表 13
国全体での輸出依存度と輸出依存就業者
万人
%
1,200
1,000
15
輸出依存就業者(左目盛)
12
輸出依存度(右目盛)
800
9
600
6
400
3
200
0
0
70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06
暦年
(注)輸出依存度=輸出÷(実質GDP+輸入)×100
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
7
生産量(実質GDP)=国内出荷+輸出-輸入の関係があるため、国内出荷と輸出の合計に
占める輸出の比率(輸出依存度)は輸出÷(国内出荷+輸出)=輸出÷(生産量+輸入)とし
て定義される。
13
経済のプリズム No66 2009.3
図表 14
35
海外生産比率(製造業)の推移
%
海外生産比率
30
海外進出企業ベースでの比率
25
20
15
10
5
0
83
85
87
89
91
93
95
年度
97
99
01
03
05
07
(注1)2007 年度は見通し
(注2)海外生産比率=現地法人売上高÷(現地法人売上高+
国内法人売上高)×100
(注3)海外進出企業ベースの海外生産比率=現地法人売上高÷
(現地法人売上高+本社企業売上高)×100
(出所)経済産業省「海外事業活動動向調査」
図表 15
18
対外直接投資額の推移
兆円
16
14
12
10
8
6
4
2
0
65
70
75
80
85
年度
90
95
(注)1996 年度以降は新基準、新基準は除く再投資収益
(出所)財務省「国際収支状況」
経済のプリズム No66 2009.3
14
00
05
海外現地法人の設備投資動向をみても、海外での生産能力の増強が図られて
いることが分かる。中でも輸送機械の設備投資額の多さが群を抜いており、続
いて電気機械でも恒常的に設備投資が行われている(図表 16)。
図表 16
海外現地法人の業種別設備投資(製造業)
兆円
4.5
4.0
3.5
輸送機械
化学
鉄鋼
電気機械
一般機械
製造業
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06
年度
(出所)経済産業省「海外事業活動動向調査」
このように、最近の傾向として、国内における企業の生産活動が輸出への依
存を強めると同時に、生産拠点を海外に移転する動きも続いている。このため、
短期的には、輸出が減少した場合、これまで増加してきた輸出依存就業者が余
剰になってくると考えられ、最近の世界経済の減速から判断すると、その可能
性が強まっている。さらに、中長期的には、海外生産比率が一段と強まってい
くと考えられ、それだけ国内の就業者が余剰となる可能性がある。企業も足元
で対外直接投資を増額させるなど、海外進出の動きを一段と強めている。2008
年に1ドル=90 円を割り込むまで円高が進んだが、こうした円高が定着するよ
うであれば、海外進出の動きが更に加速する可能性もある。
これらの状況から判断すると、いずれにしても、将来にわたって製造業に就
業者の増加を期待することは難しそうである。このため、余剰労働動力を発生
させないためには、非製造業がどれだけ就業者を増やせるのかにかかってくる。
5.産業構造の変化と就業者の関係
日本の産業別の生産量のシェアをみると、農業、鉱業、製造業のシェアが低
15
経済のプリズム No66 2009.3
下し、第三次産業(農業、鉱業、製造業、政府サービス、対家計民間非営利サ
ービス以外)のシェアが増加する、いわゆる産業のサービス化が進んできてい
ることが分かる(図表 17)。中でもサービス業8のシェアは大きく、2007 年時点
で 21.4%に拡大している。
図表 17
0%
20%
40%
産業別生産量のシェア
60%
80%
100%
農業・鉱業
70
製造業(素材型)
製造業(加工型)
80
建設
サービス
暦年 90
卸売・小売業
00
不動産
その他サービス業
07
政府その他など
(注)その他サービス業は運輸通信、金融保険、電気ガス水道の合計
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
さらに、製造業においては、素材型業種(繊維、パルプ・紙、化学、石油・
石炭製品、窯業・土石製粉、鉄鋼、非鉄金属の合計)のシェアが低下する一方
で、加工型業種(食料品、金属製品、一般機械、電気機械、輸送用機械、精密
機械、衣服・身回品、その他の合計)のシェアは増加している(図表 18)。中
でも、電気機械(白物家電、映像機器などの電気機械、パソコン、携帯電話な
どの情報通信機械、半導体、液晶などの電子部品・デバイスの合計)は、2007
年時点では全産業におけるシェアで 7.3%、製造業におけるシェアでは 30.2%
を占めるまでに拡大した。
8
サービス業とは公共サービス、対事業所サービス、対個人サービスの合計であり、具体的に
は、教育、研究、医療・保健衛生、介護、その他の公共サービス、広告業、業務用物品賃貸業、
その他の対事業所サービス業、娯楽業、放送業、飲食店、旅館、洗濯・理容・浴場業、その他
の対個人サービス業、自動車・機械修理といった様々な種類の業種が相当する。
経済のプリズム No66 2009.3
16
図表 18
0%
20%
40%
製造業の生産量のシェア
60%
80%
100%
70
食料品
繊維
パルプ・紙
化学
石油・石炭製品
窯業・土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送用機械
80
暦年 90
00
精密機械
衣服・身回品
その他
07
(注)その他サービス業は運輸通信、金融保険、電気ガス水道の合計
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
こうした加工型業種のシェアの拡大によって、製造業のシェアが最近再び拡
大している(図表 19)。これは、近年のIT関連財の生産の拡大や、世界経済
の高い成長率を反映して一般機械や輸送用機械などの輸出が堅調に伸びてきた
ためである。このため、日本の産業構造は、サービス化の動きに歯止めがかか
った形になっている。
こうした産業構造の変化の過程において、労働生産性と就業者数はどう変化
してきたのだろうか。まず、1990 年から 2000 年にかけての 10 年間の労働生産
性の伸び率(年率換算値)を業種別にみると、鉱業や建設業で労働生産性がマ
イナスとなったほか、パルプ・紙、一般機械など一部の製造業に加え、電気・
ガス・水道業や不動産業などの非製造業の労働生産性が低く、サービス業では
産業全体の平均値を下回っている(図表 20)。一方、製造業のうち電気機械で
は労働生産性の伸びが突出して高く、輸送用機械、精密機械、食料品などでも
高い伸びを記録している。また、非製造業では卸売・小売業や金融・保険業の
伸びが高い。
17
経済のプリズム No66 2009.3
図表 19
製造業、第三次産業の生産量のシェアの推移
%
%
65
35
製造業(左目盛)
第三次産業(右目盛)
30
60
25
55
20
50
15
45
40
10
70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06
暦年
(注)79 年までは 68SNA、80 年以降は 93SNA
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
図表 20
業種別の労働生産性の伸び率(1990 年→2000 年)
産業
農林水産業
鉱業
製造業
食料品
繊維
パルプ・紙
化学
石油・石炭製品
窯業・土石製品
一次金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送用機械
精密機械
その他の製造業
建設業
電気・ガス・水道業
卸売・小売業
金融・保険業
不動産業
運輸・通信業
サービス業
非製造業
(1990年→2000年)
-4
-2
0
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
2
%
4
6
8
これに対し、同期間の業種別の就業者の増減数をみると、農林水産業及び製
造業で就業者が減少しており、特に製造業では一部の業種を除いて大部分の業
種で減少している(図表 21)。中でも、電気機械においては、生産量に占める
経済のプリズム No66 2009.3
18
シェアの伸びが急速に高まっていった時期であったにもかかわらず、就業者数
は減少している。これら業種の減少分の受け皿となっているのがサービス業で
あり、就業者の増加の大部分をサービス業が占めている。建設業、卸売・小売
業、運輸・通信業といった業種でも就業者は増加しているものの小幅にとどま
っている。
図表 21
業種別の就業者の増減数(1990 年→2000 年)
産業
農林水産業
鉱業
製造業
食料品
繊維
パルプ・紙
化学
石油・石炭製品
窯業・土石製品
一次金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送用機械
精密機械
その他の製造業
建設業
電気・ガス・水道業
卸売・小売業
金融・保険業
不動産業
運輸・通信業
サービス業
非製造業
-400
(1990年→2000年)
-200
0
200
400
600
万人
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
1990 年から 2000 年にかけての 10 年間の労働生産性の伸びと就業者の増減数
の関係をみると、全産業では就業者、労働生産性の伸びともプラスであり、就
業者の増加を伴って労働生産性が伸びているようにみえる(図表 22)。しかし
業種別にみると、労働生産性の伸びと就業者の増減が反比例の傾向にある業種
が目立つ。例えば、最も労働生産性の伸びが高い電気機械や、比較的高い輸送
用機械や精密機械では就業者が減少している。その一方で、産業全体の平均よ
りも労働生産性の伸びが低いサービス業で就業者が急増しているほか、伸びが
比較的低い不動産業や電気・ガス・水道業、伸びがマイナスである建設業で就
業者が増加している。製造業全体でみれば就業者の減少と生産性の向上が進み、
その逆に非製造業全体では就業者の増加と生産性の伸び悩みが生じている。
19
経済のプリズム No66 2009.3
図表 22
労働生産性と就業者の関係(1990 年→2000 年)
%
8
電気機械
6
(1990年→2000年)
金融・保険業
4
2
卸売・小売業
精密機械
製造業
0
輸送用機械
産業
農林水産業
一般機械
その他の製造
業
電気・ガス・水道業
-2
建設業
鉱業
-4
-6
-400
サービス業 非製造業
不動産業
-200
0
200
400
600
万人
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
実際にバブル崩壊後の 1990 年代の企業経営を振り返ってみると、高い労働生
産性(企業経営に言い換えれば高い利益率)を保持している業種は雇用者数の
削減など思い切ったリストラによって労働生産性を高めてきたことが指摘でき
る。逆に、労働生産性が低い業種は、生産量の大きさに比べて多くの就業者を
抱え込んでいたために、労働生産性が低水準の伸びにとどまった可能性がある。
こうした傾向は 2000 年以降も続いており、2007 年までの7年間の変化でみ
ると、その傾向が一段と顕著になっている(図表 23)。すなわち、労働生産性
がほとんど伸びていないサービス業において就業者が 340 万人程度増加してい
るのに対し、労働生産性の伸びが極めて高い電気機械においては、30 万人程度
就業者が減っている。製造業全体でみれば就業者の減少と生産性の向上が進み、
非製造業全体では就業者の増加する一方で、生産性は引き続き伸び悩んでいる。
今後も日本の産業構造のサービス化が進むことを前提とすれば、相対的に生産
性の高い製造業から低いサービス業へ就業者がシフトすることは、避けられな
い流れであろう。この場合、一国全体での労働生産性の低下が進むことになり、
潜在成長力を押し下げる要因となってくる。しかし、就業者の維持を優先する
のであれば、労働生産性の低下を受け入れざるを得ないであろう。
経済のプリズム No66 2009.3
20
図表 23
労働生産性と就業者の関係(2000 年→2007 年)
%
16
14
(2000年→2007年)
電気機械
12
10
8
精密機械
一般機械
6
4
製造業
輸送用機械
鉱業
不動産業
2
0
-2
-4
-200
産業
建設業
石油・石炭製
品
金属製品
-100
サービス業
非製造業
0
100
200
300
400
万人
(出所)内閣府「国民経済計算年報」
6.おわりに
少子高齢化の進展の中で、本当に労働力不足に陥るかどうかは、結局は内外
需要の動向によるところが大きいと考えられる。しかし、内需については、少
子高齢化による総人口の減少が抑制要因となってくるため、高い伸びは期待で
きない。一方、外需については、短期的に輸出が回復して労働力が必要となる
局面もありそうだが、逆に輸出が減少した際には労働力が余剰となる。輸出依
存度が高まっている現在の産業構造では、その振幅度合いが以前に増して大き
くなっていると考えられる。さらに中長期的な視点で考えた場合には、海外生
産比率の上昇が国内での就業者の余剰をもたらす可能性がある。
このように、内外需要とも大きな伸びが期待できそうにない状況を前提とす
れば、労働力人口が減少する中においても、労働力が余剰となってしまう可能
性が指摘できる。産業構造の変化を考慮すれば、非製造業、中でもサービス業
が雇用の受け皿となることが期待されるであろう。しかし、非製造業において
就業者が増加すれば、産業全体の生産性の伸びが鈍化し、潜在成長率の低下が
進むことになる。もし非製造業で生産性の伸びが飛躍的に高まれば、それだけ
労働力が不要になることを意味している。
少子高齢化の進展を目の当たりにして、将来的な労働力不足をいかにして補
うかが議論の中心となりがちだが、需要の伸びが低いままであれば、労働力が
そもそも余剰となる可能性がある。将来的な対応策を策定するに当たっては、
21
経済のプリズム No66 2009.3
その可能性も考慮に入れ、労働力が不足する場合だけでなく、余剰となる場合
も想定しておく必要があるのではないだろうか。労働生産性の上昇を目指しな
がらも、結果的に、需要不足によってその低下を受け入れざるを得ない可能性
も否定はできないだろう。
経済のプリズム No66 2009.3
22
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