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敷地境界距離・火気離隔距離 の再検討結果

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敷地境界距離・火気離隔距離 の再検討結果
資料1-7
敷地境界距離・火気離隔距離
の再検討結果
一般社団法人日本産業・医療ガス協会
70MPa水素スタンドに係わる離隔距離設定の考え方(概要)
距離項目(目的)
定
義
火気取扱施設との距離
製造設備から漏洩した水素への火気
設備による引火を防止
水素に着火しない距離
根拠とデータ
着火しない=
LEL1/4以下となる距離=7.7m
距離
火気離隔距離
7.7⇒8m
①開口径0.2mmのデータ
敷地境界距離
製造設備から漏洩した水素による敷
地境界上の人・建物への影響を防止
(爆風圧・火炎長・輻射熱)
留意した事項
・拡散:有毒ガスの場合は拡散や許
容濃度を考慮する必要がある。
(水素は無毒)
製造設備からの漏洩水素が着火した
場合の人・建物への影響度が一定レ
ベル以下となる距離
一定レベルとは
爆風圧 敷地境界で、1kPa以下
火炎長 敷地境界までの距離以下
輻射熱 敷地境界で、1,256W/m2
40MPaスタンドでの距離設定方法に
準じて
敷地境界距離=6mと仮置
公道ディスペンサー距離=6mと仮置
②爆風圧: 0.4kPa(@6m)<1kPa
③火炎長: 3.4m<6m
④輻射熱: 1,256W/m2(@5m)<6m
敷地境界距離
⇒6m ※
②~④開口径1mmのデータ
出典: 高圧ガス保安協会,70MPa水素スタンド技術基準検討委員会報告書(平成24年2月)
※敷地境界距離<火気離隔距離であったが、敷地境界上に火気がある可能性があることから、最終的に敷地境界距離=8mとなった。
本検討においても同様の方法で火気離隔距離・敷地境界距離を設定する
1
火気離隔・敷地境界距離の決め方
現行の82MPa以下の水素スタンドの基準作りにおいては、
1. 実験
実験設備仕様や計測点の配置の決定のため水素ガス拡散挙動をあらかじめ予備検討する。
水素スタンドでの事故シナリオを想定し、漏洩・拡散、爆発、火炎実験を実施する。
2. シミュレーション
数値シミュレーションによって実験データを補完し、基準策定の定量的根拠を得る。
のような手順で検討がなされてきた。
本検討においては、以下の手順で0.84MPa液化水素漏洩時の影響度を評価した。
1. 水素漏洩量測定実験を実施し、0.2mmおよび1.0mm開口径からの水素漏洩量の圧力依存性を確
認した。
2. 過去のNEDOプロジェクトで得られた0.4MPa液化水素漏洩時の水素漏洩量実験データより、
0.84MPa時の水素漏洩量を予測した。
3. 予測された0.84MPa液化水素漏洩量を影響解析ソフト「PHAST」によって解析し、0.84MPa液化水
素漏洩時の1%濃度距離・火炎長・爆風圧1kPa距離・輻射熱1,256W/m2距離を算出した。
4. 過去のNEDOプロジェクトにおける屋外実験の値と比較し、安全サイドの結果となっていることを確
認した。
2
過去のNEDOプロジェクトで実施された漏洩・拡散、爆発、火炎実験
各種想定事故に対応させて、液化水素
圧力0.3~40MPa、開口径0.2~14mm
での漏洩・拡散、爆発、火炎実験が実
施された。
小さな開口径(0.2mm)からの水素漏洩に
ついては、実験室レベルの精密な実験も併
せて実施され、開口からの水素漏えい量が
別途測定された。
3
漏洩量測定実験
下図のような実験系で漏洩量測定実験を実施し、0.2~0.9MPa程度の圧力範囲における開口径0.2mmお
よび1mmからの水素漏洩量を測定した。
簡易な実験系での実験のため、得られた水素漏洩量をそのままただちに定量的取扱いはせず、まずは水素
漏洩量の圧力依存性のみを0.84MPa液化水素漏洩量の見積に用いることとした。
4
漏洩量測定実験結果 開口径0.2mm
開口径0.2mmからの水素流出量
0.035
3.27E-02
液化水素流量 g/sec
0.03
2.77E-02
0.025
0.02
過去NEDOプロ実験値
0.015
漏洩量測定実験結果
1.32E-02
0.01
0.005
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
液化水素圧力 MPaG
1
1.2
漏洩量は液化水素圧力に対し正比例し、噴出状態はガスと推測される。安全サイドに検討するため、より精
密に測定され、測定値の大きい過去のNEDOプロジェクトの実験値を1次外挿する
→ 0.84MPaG液化水素の0.2mm開口からの漏洩量を0.0277g/secと予測する。
2014年3月14日(金) 2013年度第4回液体水素スタンド基準整備検討会
5
漏洩量測定実験結果 開口径1.0mm
開口径1.0mmからの液化水素流出量
6
液化水素流量 g/sec
5
5.07
5.16
4
3
3.11
過去NEDOプロ実験値
漏洩量測定実験結果
2
1
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
液化水素圧力 MPaG
1
1.2
漏洩量は過去のNEDOプロジェクト実験値を良好に再現した。漏洩量は液化水素圧力に対し二次曲線とな
り、噴出状態は気液混相と推測される。
→ 0.84MPaG液化水素の1.0mm開口からの漏洩量を5.07g/secと予測する。
2014年3月14日(金) 2013年度第4回液体水素スタンド基準整備検討会
6
影響解析ソフトウェア「PHAST」によるシミュレーション
過去のNEDOプロジェクトにおいて実施されたものと同じシミュレーションが実施できなかったため、別途
DNV社製影響解析ソフトウェアPHAST6.7を用いたシミュレーションを一般財団法人消防科学総合センター
に依頼し、実施した。
・DNV社概要
DNV(DET NORSKE VERITAS)は1864年に設立されたノルウェーの船級協会であり、工業プラ
ント、船舶、海上石油開発設備などの管理について、海上および陸上における安全を確保するこ
とを目的に設立された自主 独立財団である。
ソフトウェア分野では、アメリカ、ヨーロッパを本拠地とし、化学工業および石油化学工業における
災害シミュレーション、危機分析、信頼性管理を目的としたソフトウェア開発・販売を行っている。
・PHAST概要
PHAST (Process Hazard Analysis Software Tool)は火災や爆発、急性毒性などの物理的影響
の評価ツールであり、プラント設計や各種のアセスメント、事故発生時の影響予測などを目的とし
て、世界的にも広く活用されている。
・一般財団法人消防科学総合センター概要
“当センターは、消防防災に関する科学的調査研究及び情報資料の収集・分析並びに消防防災
に関する情報の提供を行い、もって、消防防災に関する諸制度、技術、施設、設備等の普及・改善
に資するとともに、国民の生命、身体及び財産を保護し、社会公共の福祉の増進に寄与すること
を目的としています。”
(同センターHP「組織案内/設立目的」ページより抜粋)
7
影響解析ソフト「PHAST」について 実績
・国内外を問わず豊富な実績がある。
パンフレット掲載ユーザーのみで748社
例えば、
BP International, UK
Shell Oil Company, USA
Air Liquide, France
Total Fina Elf, France
Linde, Germany
Osaka Gas Company, Japan
US Army, USA
・
・
8
影響解析ソフト「PHAST」について 拡散の計算①
①拡散
ガス拡散モデルでは、蒸気雲の形成と拡散の過程において噴出エネルギー、重力の影響、気象
条件の影響が考慮され、ジェット拡散(Jet)、受動拡散(Passive)の各フェーズおよびその中間の
状態によって整理される。
各フェーズの態様は蒸気雲の質量や蒸気雲が持つ運動量などの値によって決まるが、拡散過程
においてこれらの値は変化し、プルームの上昇などの影響をもたらす。
このような質量や運動量といった変数は、定常状態での流出の場合は風下方向の距離の関数と
して整理され、瞬間的な流出の場合は風下方向へ進む時間の関数として整理される。なお風速 、
温度、圧力といった周囲の大気状態については、地表からの高度の関数として整理されている。
ある地点での拡散ガスの濃度は、Webberら によって提案された相似則により求められる。すなわ
ち、ガス濃度は風下方向及び風横方向の距離と、プルーム中心線上からの距離、時間(瞬間流出
の場合)の関数として得られる。
9
影響解析ソフト「PHAST」について 火炎長の計算
②火炎
ジェット火災による放射熱の影響は、Shellモデルにより算定する。Shellモデルは、火炎を風によっ
て傾いた1つの円錐台として扱い、その表面からの放射熱を求める手法である。
例えば、Chamberlain, G. A., 1987, Developments in design methods for predicting thermal radiation from flares, Chem. Eng. Res. Des.
v65 (1987) pp299-309.
火炎表面からの放射熱は、次式によって求められる。
10
影響解析ソフト「PHAST」について 爆風圧の計算
③爆発
ガス爆発の爆風圧はTNT等価法により算定する。TNT等価法は、実験に基づきTNT火薬量と爆風
圧、距離との関係から可燃性ガス量を等価なTNT火薬量に換算して爆風圧を求める簡易手法。
可燃性ガス量と等価なTNT火薬量は次式によって求められる。
爆風圧がある値となる距離は、次式で表される。
11
PHASTの解析結果と過去のNEDOプロジェクトの実験・計算結果との相関
φ0.2mm
1%濃度距離
火炎長
爆風圧@6m
輻射熱
1,256W/m2
距離
φ1.0mm
0.4MPa
0.84MPa
0.99MPa
40MPa
0.4MPa
0.84MPa
0.99MPa
40MPa
H15実験
2m以遠で
検知せず
-
-
6m
4m
-
-
15m以上
H17計算
0.89~
3.6m
-
-
-
20m以遠
-
-
-
PHAST
0.8m
0.9m
1.0m
解析不可
4.60m
5.24m
5.28m
(27.02m)※
H15実験
着火せず
-
-
-
1.2m
-
-
2.2m
H17計算
-
-
-
-
1.7m
-
-
-
PHAST
0.32m
0.40m
0.42m
解析不可
2.04m
2.35m
2.37m
(4.99m)※
H15実験
着火せず
-
-
-
45Pa
-
-
250Pa
H17計算
-
-
-
-
2kPa
-
-
-
PHAST
解析不可
解析不可
解析不可
解析不可
723Pa
745Pa
746Pa
(772Pa)※
H15実験
-
-
-
-
-
-
-
-
H17計算
-
-
-
-
-
-
-
-
PHAST
0.47m
0.59m
0.62m
-
3.02m
3.48m
3.51m
(7.39m)※
※ 実験値による漏洩量補正せず、PHASTでの計算流量から解析
・PHASTの解析結果は影響度を大きめに出力する(安全方向)傾向があるものの、過去NEDOプロジェクト
の実験値や計算値と比較的一致している。
・真値を求めるのではなく安全を担保できる値を求めるのが本検討の目的であるため、PHASTの利用は有
効である。
12
敷地境界距離・火気離隔距離の決定
漏洩量測定実験結果から得られた漏洩量を基にPHASTを用いて影響解析した結果、以下のような結果を
得た。
爆風圧
開口径
mm
状態
圧力
MPaG
流出量
g/sec
1%濃度
距離 m
0.2
LH2
0.84
0.0277
1.0
LH2
0.84
5.07
火炎長 m
1kPa距
離m
Pa@6m
0.9
-
-
-
-
5.57
745
2.35
輻射熱
1,256
W/m2
距離 m
3.48
上表の結果より、
火気離隔距離:2m※(0.2mm開口径から漏洩した場合の1%濃度距離より)
敷地境界距離:6m(1mm開口径から漏洩した場合の爆風圧・火炎長・輻射熱より)
を提案する。
※ 火気離隔距離については1mの提案も可能と考えるが、一般高圧ガス保安規則第18条第1項の定めによ
り貯槽の周囲2m以内においては火気の使用が禁じられているため、これに合わせることとした。
13
資料1-7-2
液化水素貯蔵型水素スタンドの追加安全対策
<ローリ、ローリ停車位置>
・警戒標
・車止め
・他の車両との接触事故を起こすおそれの
ない場所
・ローリと貯槽との適切な距離
・誤発進防止
・緊急遮断弁
・放出管を圧縮水素スタンド内の放出管に
接続
・危険又は損害を他に及ぼすおそれのない
よう少量ずつ廃棄
一般高圧ガス保安器則第7条の3第2項
圧縮水素スタンドの液化水素が通る部分、及び
液化水素貯槽に液化水素を充填する移動式
製造設備の離隔距離
敷地境界距離: 6m
火気離隔距離: 2m
<液化水素貯槽>
・貯槽間の距離
・可燃性ガスの貯槽であることが識別できる
措置
・貯槽の周囲の流出を防止するための措置
・防液堤内及び周辺の設備設置制限
・耐震設計
・同一の基礎に緊結・貯槽の沈下状況の測
定
・液化ガス貯槽の液面計等
・貯槽の配管に設けたバルブ
・貯槽及びその支柱の温度上昇を防止する
ための措置
・受入・送出配管に遮断装置
・二以上の安全装置(元弁が同時に閉まる
ことができない構造のもの)
・圧力リリーフ弁(当該安全装置が作動する
前に圧力上昇時に自動的に圧力を放出
するための装置)
・真空度を測定するための措置
・液化水素が通る設備の同一基礎上への
配置
・放出ラインに加温器設置
<蒸発器>
・送ガス蒸発器(大気熱交換式以外のもの)
の能力が不足したときに速やかに遮断す
るための措置
・液化水素が通る設備(貯槽、送ガス蒸発
器を想定)の同一基礎上への配置
<配管>
・配管の設置に対する措置
・配管等の接合
公
<障壁>
・液化水素貯槽及び蒸発器等の設置場所
とディスペンサーとの間の障壁
道
液化水素関連設備範囲
・赤字:追加の技術基準
・黒字:もともと存在する該当技術基準
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