...

小電流 1A 型 DC-DC 変換器特性の測定と考察 変換器特性の測定と考察

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Transcript

小電流 1A 型 DC-DC 変換器特性の測定と考察 変換器特性の測定と考察
小電流 1A 型 DCDC-DC 変換器特性の測定と考察
(30 Jan. 2014)
「檜尾の里」風待プロジェクト
立川敏明,岡
琢磨,坂手克士
近年,市販されている降圧型 DC-DC 変換器(入力電圧 16 ~ 40 V)には,その定格電流
が 8A,3A および 1A 型のものがある。前報では,3A 型 DC-DC 変換器について,その特
性と応用について報告した 1)。今回は,1A 型 DC-DC 変換器 HPH12001M(スイッチング
周波数 ~35 kHz,出力電圧 5~24 V,定格電流 1 A)2)について,変換特性 (変換効率) を調
べたので,3A 型のものと比較しながら報告する。
図1
DCDC-DC 変換器の基本回路
降圧型 DC-DC 変換器の変換効率は,出力電力と入力電力の比で表される。この効率は,
理想的な場合は 100%となるが,実際にはそれ以下である。図1に,DC-DC 変換器の典型
的な基本回路を示す3)。降圧型 DC-DC 変換器理論によると,電圧変換は SW 周波数の周期
内の ON-OFF 時間分割によるパルス幅変調 (PWM) により行われ,図の SW1 素子の
ON-OFF 動作により入力側の電力の一部を出力側に転送する。この時,SW2 素子は SW1
素子の交替 SW となり,SW1 素子の OFF(ON) 時に ON(OFF) となりインダクターエネ
ルギーを放出(蓄積)する。通常,SW1 素子には P チャネル MOSFET(p-channel metal
oxide semiconductor field effect transistor)が,SW2 素子には N チャネル MOSFET か
SBD(Schottky barrier diode)が使用される(2 素子の並列接続もある)
。また,図示され
ていないが,MOSFET ゲート入力には,出力電圧を入力信号としたコントロール増幅回路
が設置されていて,この出力信号を用いる。
明らかに,電力損失は SW 素子でのロス,SWFET のゲート入力用コントロール回路の
電力使用,インダクターの抵抗ロス (トロイダルコイル内磁性体の透磁率損失も含む) ,お
よびコンデンサーの漏れ電流による損失等が存在し,そのため,変換効率は低下する。他
方,実物の DC-DC 変換器概観によると,SW 素子ヒートシンクの比較的大きな放熱器が目
立つので,SW 素子の発熱を伴う熱エネルギー損失が無視できないと予想される。
SW 素子での電力ロスは,主に,ON-OFF 過渡期の過渡電流によるものと4),素子の ON
抵抗に起因するものとがあり,前者は SW 過渡時間(20-130 nsec 程度)に比例し,後者は
SW 周波数の周期 (3-30 μsec 程度) 内のパルス ON 分割時間に比例する。以上,ここでは,
これらの損失項を考慮しながら,変換効率を考察する。
図2
DCDC-DC 変換効率の入力電圧依存性
図 2 に,出力電流をパラメータとして,DC-DC 変換器の変換効率の入力電圧依存性を示
す(出力電圧 12V)。図から,変換効率は測定範囲内で 60 ~ 90 %の値を示し,入力電圧の
増加と共に減少しており,減少の割合は低電流程大きい。また,出力電流変化に対しては,
電流増加につれて変換効率も増加している。これらの特性は,既に報告した 3A 型のものと
同様の傾向を示しているが 1),変換効率の最大値では,3A 型のものでは ~95%であったの
で,これと比較して若干少ない値である。
ここで,変換器効率の出力依存性を考察するため,変換器の一般論に着目する。降圧型
DC-DC 変換器理論によると,電圧変換は SW 周波数の周期内の ON-OFF 時間分割により
行われ,次の関係式によって決定される。3)
Vin =
Ton + Toff
Ton
•Vout
(1)
ここに,Ton ,Toff は,各々,SW1 の周波数周期内 ON 分割時間と OFF 分割時間とを表
し,Vin と Vout は,変換器への入力電圧と出力電圧とを表す。他方,SBD 等を含む SW2 は,
SW1 との交替 SW であるので,両 SW 素子の ON 時間の和は周期(定数)Ton + Toff となる。
eq (1)より明らかなように,出力電圧が一定の場合,変換器が要求する入力電圧は ON 分割
時間に逆比例する。すなわち,入力電圧が高いと ON 分割時間が短くなるのに比し,逆に,
SW2 素子には ON 電流が長時間流れる。従って, SW2 素子の ON 抵抗ロスにより,発熱(平
均温度上昇) ・ON 抵抗自身も増加し,電力ロスが増大すると考えられる。ここで,SW2
素子の ON 抵抗が SW1 素子のそれに比べて大きい場合(例えば SW1 素子が MOSFET で,
SW2 素子が SBD の場合等),前述の理由により入力電圧が高い程,変換効率は低下すると
考えられる。図 2 の結果は,この状況と定性的に一致しているが,今回用いた DC-DC 変換
器は,全体がブラックボックス化されているため(等価回路は示されてない),詳細は分か
らなかった。
図3
DCDC-DC 変換効率の出力電流依存性
図 3 に,図 2 のデータと同一であるが,入力電圧をパラメータとして,同変換器の変換
効率の入力電流依存性を示す。変換効率は,出力電流の増加と共に増加するが,約 0.5 A(定
格電流の 1/2 程度)程度までは急激に増加し,それ以上の電流で飽和する傾向にある。特に,
DC-DC 変換器の効率が約 85 %以上となる領域は,出力電流が約 0.5 A 以上となった。こ
のような変換効率の入力電流依存性は,3A 型のものでも同様な傾向が見られ 1),DC-DC 変
換器効率の一般的な特性と考えられる。
この原因として,DC-DC 変換器動作に伴うコントロール回路での使用電力,および,前
記したロス電流が消費される回路部品等が存在し,利用電流が小電流の場合には,相対的
に効率低下として強く表れたと考えられる。その結果,効率の電流依存性は,図 2 のよう
になったと推測される。
以上まとめると,DC-DC 変換器による変換効率の測定から,変換効率は出力電流と入力
電圧に依存することが判明し,変換器の一般的な特性であることが分かった。効率変化は,
DC-DC 変換器に内在する SW 素子の電力ロス,コントロール回路使用電力および回路部品
での電力ロスに起因すると考えられる。また,変換器概観とその考察から,大電力利用時
においては,比較的大きな SW 素子の発生熱が最も強く効率に関連していると推察される。
他方,小電力領域では,この発生熱のほかに,コントロール増幅器の使用微少電力も問題
になっている可能性がある。いずれにしても,効率の良い変換器に対しては,今後,より
ON 抵抗や過渡電流の少ない SWFET(IC) の開発が必要と思われる。
参考文献
1)
立川敏明,岡
琢磨,坂手克士;DC-DC 変換器を利用した高電圧 DC 電力伝送
http://www.megaegg.ne.jp/~tatutosi/newpage3.htm 27) (2013)
2) DC-DC 変換器 HPH シリーズマニュアル,
http://akizukidenshi.com/download/ds/shindengen/HPHxx00xM_rev1.pdf
3) 浜田
智 ; 電源 IC 応用ハンドブック
4) 原田耕介,二宮
保,顧
文
p21, p60 (2010) CQ 出版社
建 ; スイッチングコンバータの基礎 p92 (2012) コロナ社
Fly UP