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資料4-2 参考資料

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資料4-2 参考資料
資料3,1
オープンイノベーションによる研究開発力の強化
及び
技術人材の育成・流動化・活用
参考資料
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
1
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
我が国のイノベーション力の低下
○我が国企業の研究開発投資の対GDP比率は高いが、利益の創出につながっていない。
各国における企業の研究開発効率の推移
为要国における企業の研究費の対GDP比率'%(
'2006年度(
倍
'注(研究開発効率
4年後の企業セクターの付加価値'営業利益、人件費等(
総額と研究開発費との比。
50
'%(
3.0
2.5
45
46
仏
43
2.6
40
仏
42
英
40
日日
2.0
1.9
1.5
35
1.8
独
35
1.0
33
米
1.3
1.1
1.0
30
32
米
低迷
0.5
25
29
29
26
23
0.0
日本
米国
ドイツ
イギリス
フランス
中国
20
1981-85
(出典)文部科学省「科学技術指標2009」
23
1986-90
1991-95
1996-00 1998-2002
・研究開発効率(5年後の企業の付加価値総額との比)
出典:OECD statistics 2008-1 から作成
注1:平成14年度科学技術白書の手法を参考に、研究開発費及
び付加価値総額について現地通貨ベースで5年平均を取り、5年
の差を採って比を算出したもの。
2
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
先進国の再工業化競争
○グローバルな企業獲得競争のため、先進国は法人税率を約0/%、アジアも約2%引き下げているが、我が国は約3/%
で高止まりのままである。
各国の法人税率の推移
3/-58%
3/%
15-7/%
14-74%
13-52%
法人税率
1///年
1//8年
OECD
約23%
約15%
アジア
約17%
約14%
日本
31%
3/-58%
'出所(KPMG資料税理士法人資料等より経済産業省作成
'注(EU'0887年時点の04カ国(、OECD、アジアは単純平均'ただし、OECD諸国中、スイスは1//7年0月の税率を使用(
3
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の系譜
時代背景
085/年代~
088/年台後半
【高度経済成長~
学園紛争後~
バブル崩壊】
産学連携を巡る状況
・学問の自由、大学の自治の考え方の下、産学連
携に対する反発が強い中、一部の教員は企業と
密接に連携。
・キャッチアップ型の産業構造の中、大きな成果を
収めたケースも有り。
088/年代後半~
現在
・産学連携が大学のミッションの一つに位置付けら
れ、発明の特許化、ライセンシング体制等の整
備に着手。
【科学技術基本計画策定、
・共同研究、特許出願件数、ライセンス収入の増。
TLO法制定、国公立大
・ただし、多くの技術移転機関で体制的、財政的に
学独立行政法人化、知
厳しい状況。
財本部等体制整備】
現在
【0//年に一度の経済危
機】
・大学全体として成果を挙げるための体制へ移行
'TLOと知財本部、産学連携本部等の一体化(。
・特許も量より質を重視。
・特許のライセンシングより共同研究を重視。
○成果・利点
●課題・問題点
○制約が尐なく柔軟な連携関係。
●特定の企業優遇'新規参入者には障壁大(。
●成果が不透明'いわゆる「菓子折特許」(。
●優れた成果でも死蔵率が高い。
○産学連携への意識改革が進展。
○研究成果への公平なアプローチが可。
○論文以外の評価軸。
●特許出願自体が目的化。
●体制整備が不十分。
○実質的な成果を指向する意識が進展。
●共同プロジェクト、産学連携をコーディネー
トする専門人材の不足。
●産学連携を一体的に行う「場」の不足。
出所9関係者ヒアリングに基づき経済産業省作成
4
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携施策の変遷
都市エリア産学官連携促進事業
知的クラスター創成事業(第Ⅰ期)
文部科学省事業
知的クラスター創成事業(第Ⅱ期)
経済産業省事業
産業クラスター計画
地域イノベーション創出研究開発事業
地域新生コンソーシアム研究開発事業
地域イノベーション創出共同体形成事業
大学知的財産本部整備事業
産学官連携戦略展開事業
創造的産学連携体制整備事業
大学等技術移転促進事業
産学人材育成パートナーシップ事業
産学連携製造中核人材育成事業
大学発事業創出実用化研究開発事業
‘96
第
1
期
科
学
技
術
基
本
計
画
‘97
す大
る学
法の
律教
等員
等
の
任
期
に
関
第3期科学技術基本計画
第2期科学技術基本計画
第1期科学技術基本計画
‘98
‘99
大
学
等
技
術
移
転
促
進
法
産
業
活
力
再
生
特
別
措
置
法
承認TLO制度
'<大学等の研究成果の産業への移転を促進(
‘00
‘01
第
2
期
科
学
技
術
基
本
計
画
‘02
‘03
第
知
遠
推一
的
山
進回
財
プ
会産
産
ラ
議学
基
ン
(京 官
本
、
平
都連
法
沼
) 携
プ
ラ
ン 国が「知財推進計画」を策定
日本版”バイドール”条項
'<国の研究委託の成果を受託者へ帰属(
‘04
国
立
大
学
法
人
化
‘05
‘06
第
3
期
科
学
技
術
基
本
計
画
法人格の取得、承認TLOへの出資
特許の機関帰属 等
教
育
基
本
法
改
正
‘07
‘08
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
25
大学の役割として
社会貢献を明文化
5
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の進展状況'具体例(
○中外製薬では、産学連携による研究開発成果が为力製品となり、一製品あたり、年間数百億円規模を売
上げ。
中外製薬の産学連携成功例
売上高 ※
製品名
適応
上市
連携先
アルファロール
骨粗鬆症
0870年
1/+///
'1//1年(
ウィスコンシン
大学
シグマート
狭心症
0873年
08+2//
'1//4年(
東京大学
東京大学
'財(実験動物
中央研究所
大阪大学
'百万円(
ノイトロジン
好中球減尐症
0880年
28+1//
'1//6年(
アクテムラ
関節リウマチ
1//4年
06+2//
'1//8年(
※売上高9ピーク年あるいは直近
'中外製薬資料より(
6
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の成功事例①
第二世代高速OCT機'眼底像撮影装置(で世界に先行''株(トプコン ― 筑波大学(
;概要=
'株(トプコンと筑波大学との間で共同開発が行われ、平成19年7月に'株(トプコンが筑波大学から超高速のフーリエドメイ
ン方式の光断層映像法'OCT(の技術移転を受けて、世界最高級の性能を持った三次元眼底断層撮像装置を製品化した。
2次元眼底像撮影装置
網膜断層映像の例'黄斑円孔(
OCTと無散瞳眼底カメラの一体化。
フーリエドメイン方式により、従来方式より50倍高速でスキャン。
創 出
管 理
産学官連携のきっかけ
'マッチング(
学会における筑波大学の研究
発表に対して同様の研究を進め
ていた'株(トプコンが関心を持っ
たこと。大学内に人脈を持たない
同社は、知的財産統括本部の技
術移転マネージャーに相談。
知財管理
'特許化、知財保護(
特許出願9国内11件
「フーリエドメイン光断層
画像化法のための分光
器較正法に関する発明」
等
実施料収入924//万円
文部科学省資料より、大学連携推進課作成。
活 用
技術移転の概要
;技術への貢献=
・筑波大学が開発したフーリエドメイン方式の光断層映像法'OCT(は、従
来よりも格段に性能アップした超高速第二世代OCT装置。
・世界最高レベルの高速性と位置分解能を持った、生体組織の生きたまま
の計測を可能とするOCT装置。
・眼球の観察や皮膚組織の評価以外に、内視鏡にこの顕微鏡を組み込む
と、胃や肺の表層組織の観測、ガン組織の評価・診断等も可能になる。
;市場への貢献=
・第一世代OCT機では欧米に遅れを取った日本が、超高速第二世代OCT
機では世界に先行できることとなった。
・カラー眼底像とOCT像の同時取得により、撮影部位の特定が可能とな
り、検者の熟練度によらず経過観察時の再現性が高まった。また、医師
が自ら任意の位置で2次元画像から各断層像を切り出せることにより、思
いもよらない部位に微細な病変が存在することが明らかになった。
・従来不可能であった網膜各層ごとの可視化が可能となり、それを2次元
解析することによって新たな診断指針を構築できる可能性が広がった。
7
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の成功事例②
事例 東京大学 材料分野における技術移転 '光触媒を例に(
○研究成果の技術移転については、技術分野によって効果的な方法は異なることが多い。材料分野の研究成果を、製品に
結びつけるには、研究開発と用途開発を共に進めていく必要がある。
大学での研究成果を如何に
実業に結びつけるか
・用途開発
・生産設備
・販売ルート
既存設備
ルートの利用
企業と組む(産学連携)
TiO2
・タイル
・ガラス
・プラスチック
・布、紙 etc
東京大学大学院工学研究科 橋本教授レポートより引用
'http://network.tonio.or.jp/network/webfile/t2_27810747659a1b4924995fb7c063aec6.pdf#search=‘光触媒%20産学連携%20橋本’(
8
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の成功事例③
事例 大学発ベンチャー企業の例9ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)
 慶應義塾大学先端生命科学研究所'曽我教授ら(は、革新的な分析技術であるCE-MS法によるメタボローム測定技術※を世界
に先駆けて開発、特許化。※細胞内に数万種類以上あるといわれる代謝物質を短時間で一斉に測定できる分析技術
同技術をベースに慶大発バイオベンチャー企業「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社」を設立。
 メタボロームは我が国が強いバイオサイエンスの次世代基盤技術として、基礎から医療、食品、農業、環境、資源、エネルギーま
で幅広い産業分野への応用が期待。
 医薬品分野では中外製薬(株)等、発酵分野では味の素(株)・ミツカングループ、解析システム分野では米Agilent社と共同研究を
実施。特にバイオマーカー探索においては国立がんセンターや診断薬メーカー等と共同で研究開発を進めている他、独自開発も
行っており有望なバイオマーカー選出に成功するなど実績を積んでいる。
【慶應義塾大学発】
ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ
株式会社
設立年月日
2003年7月1日
資本金
506百万円
代表者
大滝 義博'代表取締役会長(
菅野 隆二'代表取締役社長(
为な事業内容
,創薬・診断技術開発支援事業
,発酵・食品生産技術開発及び機能
性食品開発支援事業
本社
山形県鶴岡市
従業員数
48名
出所9ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社HPより
;自治体、慶大先端生命研、HMTの知の融合=
山形県
鶴岡市
誘致、支援
知の創造
最先端技術の導入
農業総研との共同研究
アグリバイオ研究会
インキュベーション施設
慶應義塾大
先端生命研
最先端技術
知財創出
ヒューマン
メタボローム
テクノロジー社
新産業の創成
雇用創出
出所9「慶應義塾大学先端生命科学研究所のインテクチャルカフェへの取り組み」資料より抜粋
9
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学連携の成功事例④
事例 大学発ベンチャー企業の例9ナイトライド・セミコンダクター(株)
 徳島大学工学部'酒井教授(が開発した窒化ガリウム半導体を事業化するため産学共同ベンチャー「ナイトライド・セミコ
ンダクター(株)」を設立。
 同社が世界に先駆けて一部量産を手がけている紫外線LEDは、青色LEDよりも波長が100ナノメートル短く、光の三原
色を全て出すことが可能であるため、従来のLEDに取って代わる可能性があり、また白色発光に使用できるため、次世
代照明材料としても有望視されている。米投資ファンド・カーライルグループが日本で初めて投資。
【徳島大学発】
ナイトライド・セミコンダクター
株式会社
設立年月日
2000年4月13日
資本金
791百万円
代表者
村本 宜彦'代表取締役社長(
为な事業内容
,UV-LED waferの製造・販売及び輸出
,UV-LED chipの製造・販売及び輸出
,UV-LED lampの製造・販売及び輸出
,ライムライトシリーズの製造・販売及び
輸出入
本社
徳島県鳴門市
従業員数
10名
徳島大学ベンチャー支援
紫外線発光ダイオード
医療用分析装置向けなど広く方
とが期待される
出所9ナイトライド・セミコンダクター(株)HPより
10
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
我が国大学の世界における位置づけ
○我が国の大学は、研究論文に関しては質・量ともに欧州と互角な状況にある。
・为要国の論文数のシェア'量の面(
・为要国の論文被引用回数のシェア'質の面(
5.1% 11.6%
米国
29.7%
30.8%
日本
中国
イギリス
6.9%
ドイツ
8.1%
8.2%
8.6%
8.4%
その他
ドイツ
日本
フランス
11.0%
フランス
中国
その他
11.7%
出典9Thomson Scientific「National Science Indicators 1981-2006」より
・学問分野別の論文被引用回数'機関別世界順位91998~2008年
【物理学】'679機関中(
46.0%
7.8%
イギリス
6.0%
米国
【化学】'922機関中(
※' (内は前回発表の順位(
【材料科学】'621機関中(
【生物学・生化学】
'696機関中(
1 '1( 東京大学
3 '8( 京都大学
2'2( 東北大学
2 '2( 東京大学
8'00( 東北大学
4 '4( 東京大学
8'6( 大阪大学
15'14( 京都大学
11'11( 大阪大学
00'00( 大阪大学
05'03(東京大学
17'16( 大阪大学
15'15( 京都大学
06'04( 東北大学
06'04(京都大学
2/'2/( 東京工業大学
1/'08( 東京工業大学
08'07(東京工業大学
11
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
大学への資金の流れ'推移、国際比較(
企業から大学への資金の流れ
○大学における研究費に対する企業からの研究費額比率は、ここ数年横ばい傾向。
'研究費総額の増加に伴い、企業からの資金自体は増加している。(
○しかしながら、同比率について国際的に比較する場合、低い水準にある。'米国の約半分、ドイツの0.4(
;我が国の大学における研究費の推移=
年度
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
大学における研究費額'億円(
32,334
32,824
32,631
32,740
34,074
33,824
34,237
大学における研究費額のうち、
「企業」からの研究費額'億円(
875
884
908
879
935
963
1,002
占める割合'%(
2.71
2.69
2.78
2.68
2.74
2.85
2.93
;各国の大学における研究費の比較=
国名
'年度(
日本
'2007(
米国
'2006(
ドイツ
'2005(
フランス
'2005(
イギリス
'2005(
韓国
'2006(
中国
'2006(
ロシア
'2006(
大学における研究費額'100万米ドル(
28,498
49,091
10,599
7,414
8,702
3,578
8,000
1,234
総研究費額に対して
大学における研究費額が占める割合'%(
18.1
14.3
16.5
18.6
25.6
20.0
9.2
6.1
大学における研究費額のうち、
「企業」からの研究費額'100万米ドル(
834
2,400
1,499
122
400
490
2,925
362
上額の占める割合'%(
2.9
4.9
14.1
1.6
4.6
13.7
36.6
29.3
出典9総務省統計局「科学技術研究調査報告'平成1/年版(」
12
OECD 「Research and Development Statistics」
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
アンダーワンルーフ型で連携する場の不足
○国立大学法人等への施設整備費は、近年横ばい傾向だったが、10年度予算で減尐。今後も減尐傾向が予想される。
○産学官連携の効果的な推進のためには、産学官が一つ屋根の下で協働できる空間の整備が必要。
国立大学法人等施設整備費予算額'平成7年度~10年度(
当初予算額(財政融資資金)
億円
場を一体とした産学連携事例
~北海道大学 リサーチ&ビジネスパーク~
当初予算額'財政融資資金を除く(
1464
1404
1535
1500
1301
1217
1074
1013
1000
1082
882
848
901 896 906
996
826
921
834
1027
749
623
545
465 471 466 468
414 330
457
500
453 453 468 468 496 468 468
377
451 436 425 440 453
377
0
13
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
日米の産学連携の状況の比較
○1//2年から1//7年にかけて、我が国の大学特許ライセンス件数は米国と同等まで増加。
○それに比して日本のライセンス収入の伸びは鈍く、未だ日米の差が大きく隔たっているのが現状。
日米の大学特許ライセンス件数及びライセンス収入
7000
2500
米国 ライセンス収入
日本 ライセンス収入
米国 新規ライセンス件数
日本 新規ライセンス件数
6000
2070
2044
5000
4783
ラ
イ
セ 4000
ン
ス
件
数 3000
(
件
)
4932
2000
2054
4963
4507
ラ
イ
1500 セ
ン
ス
収
入
(
1000 百
万
$
)
4390
1385
1306
2872
2000
1283
1000
0
5306
5039
5109
54
185
2003
477
54
2004
63
2005
80
2006
77
収(
2
入0
デ0
ー8
タ年
は米
未国
公ラ
開イ
) セ
ン
ス
2007
出典9AUTM U.S. Licensing Activity Survey、文部科学省資料に基づいて経済産業省作成
500
98
0
2008
14
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
米国における技術移転の状況
米国の大学では、年間1,200億円を超えるロイヤリティーを得るところもあるが、「ホームラン特
許」'膨大なライセンス収入をもたらす特許(が支える部分も大きく、大きな収益を上げている大学
やTLOは一部に限定。多くの大学においては、米国でも赤字になる傾向。
 「大学の取得した特許の0/%程度が特許申請費用'約0万
ドル(を稼ぎ、0%程度が1万ドルから4万ドルを稼ぎ、/-0%
程度が費やした研究予算を上回り本当に成功した発明。
多くのTLOは大学から、ただで発明を譲渡されていてもライ
センス収入では事務経費をも稼ぎ出すことはできないので赤
字。研究費を含めたら大学の収支はより一層の赤字となるの
で、大学が営利研究団体としてやっていくことはできない。」
'宮田由起夫「アメリカの産学連携」P.129~P.129(
※実営業収入=実収入-運営経費
・実収入=総収入-他機関に還元した収入
・運営経費=給与支出(人件費)+特許経費*その他経費
$5,000,000
$4,500,000
$4,000,000
 大学には連邦政府・非営利財団・企業からの外部研究資金
を受け入れる事務組織ならびに産業界との交流を深める組織
がTLOとは別に存在する場合が多。TLOは、存在意義を示す
ためにライセンス収入に執着する。…TLO側では商業化を促
進して社会に貢献するためには大学が研究成果を特許として
保有し、企業に排他独占的にライセンスするという考えが強
く、これが企業側との軋轢を生む。'同P.156(
 '米国においても(大学の発明で多額のライセンス収入をも
たらすものはほとんどない。また、多くの大学において、TLO
の運営経費が、ライセンス収入をはるかに上回っている、とい
うのが実態。'原山優子「産学連携」P.21~P.22(
$3,500,000
$3,000,000
$2,500,000
$2,000,000
$1,500,000
$1,000,000
$500,000
$0
1992 1993
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000
Median Mean
2001 2002
図.米国の全TLOの実営業収入の平均値と中央値
出所:AUTM資料を元に経済産業省作成
15
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
中長期的次世代製品開発型
東京大学 Proprius21
○Proprius21は、共同研究を希望する企業が、共同研究を開始する「前段階」として、目に見える成果を出すために、大学と
協力して、①研究課題に最適なパートナー'研究者(を探索し、②研究テーマを絞り込み'個別活動(、③事前に共同研究
の実施計画を立案する'スロット活動(スキーム。
○2008年におけるProprius21のプロジェクト数は39であり、そのプロセスから直接及び間接的に創出した共同研究件数は
115件'東京大学における共同研究全体のおよそ0割(。
従来の産学連携共同研究の課題
従来の企業と大学の共同研究は、共同研究の出口・成果に対する認
識共有が見過ごされてきた。また、企業担当者と大学研究者の個人
的な交流関係に基づいているケースが多い。
Proprius21のイメージ図
…その結果発生した課題
● 特定の企業と特定の研究室との間で行う1対1の研究が大半であ
り、共同研究の規模は小規模なものが主体
● 研究課題・産学双方における責任の分担、目標成果が丌明確に
陥る
課題解決に向けた本取組のねらい
◆ 研究の成果に主眼を置く
◆ 共同研究に入る前の段階において企業と大学との間における徹
底的な議論と双方が合意できる共同研究計画を策定
↓
○ 企業のニーズに最適な研究テーマとパートナー(研究者)を
見つけることが可能
○ 出口を見据えた計画を策定することによって、アウトプット
に対する認識を産学双方で明確に共有することが可能
16
※イメージ図は東京大学HPより引用( http://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/proprius21/index.html )
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
中長期的次世代製品開発型
三菱電機'株(
○三菱電機(株)では、産学官連携を「次の次の次の製品」開発为体と位置づけ、自社及び連携する大学のリソースを効果
的に活用した産学連携に取り組むため、企業の個別部門と大学の教授との個別連携から、“組織連携”へ展開している。
○組織連携においては、共同研究の実施にとどまらず、社員を教授・准教授として派遣し、また長期インターンシップを導入
するなど人材育成にも積極的に取り組んでいる。
三菱電機
A部門
A教授
B部門
B部門
C部門
C教授
連携の形態9個別連携
産学連携事例
A教授
A部門
B教授
C部門
大学
学内連携
'複数教授(
三菱電機
'複数部門(
大学
東工大9パワーエレクトロニクス
■「次世代先端デバイス」で組織連携を実施中。为なテーマはパワーデバイス、
太陽電池、燃料電池など
■パワーエレクトロニクスに特化した研究拠点として準連携講座を設置
三菱電機から教授と准教授を派遣し、共同研究と教育を実施
■NEDO国プロ「革新的太陽光発電技術開発」を共同実施中
■ 組織連携テーマの博士課程を中心に長期インターンシップを導入
→
C教授
連携窓口
担当者
性能向上
BU为体
'次の製品(
現行製品の性能向上
短期
・高性能電源技術
・小型・低損失・低コスト化
中期
事業化に至る期間
・次世代パワーデバイス
・次世代パワーエレクトロニクス
・新材料
研究所
連携窓口
担当者
組織連携
産学連携事例
京都大学9セル生産ロボットシステム
■大学院 機械工学系のロボット、システム関連部門との組織的連携
■セル生産ロボットシステムにより、コスト競争力の高い生産システムを実現
ロボットシステムの構築と実証
①知覚 '計測・認識(
開発
アイテム
産学官連携为体
'次の次の次の製品(
R&D为体
'次の次の製品(
B教授
②行動計画 '最適化(
海外研(MERL)
三菱電機
京都大学
③動作実行 '制御(
海外研(MERL)
'8個のLED照明をもつ(
三菱電機
三菱電機
2次元センサ
大きなジャンプ
長期
マルチフラッシュカメラ
'新技術(
金属物体でも安定認識
ハンド
実証システム'モータ組み立てロボット(
対象ワーク
'M2ネジ(
17
ピッキングシステム
17
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
課題解決に向けたテーマ解決型
京都大学 蓄電池等研究開発拠点
○京都大学の高度な研究シーズを有効活用し、企業による蓄電池等の低炭素関連の研究・技術開発を効果的に
進める施設を整備。
;革新型蓄電池の開発研究=
事業主体:京都大学
場所:京都大学宇治キャンパス内
京大
反応の解明、
新材料指針
耐久性・寿命
環境・エネルギー開発拠点
企業連携
自動車
関連企業
安全性・信頼性
エネルギー
パワー
電池企業
蓄電池の革新
;ナノバイオ材料開発研究=
京都大学
計測
関連企業
'連携(
企業
新材料試験
産官学連携研究拠
点施設
エネルギー
関連企業
電池材料
関連企業
'連携(
オールジャパンの結集による集中体制
完全な施設内セキュリティ
On-the-Research-Trainingによる教育
我が国の電池産業の優位性の確保
環境・エネルギー分野の人材育成
参加予定企業等
自動車関連企業、電機関連企業、電池関連企業、関連大学 等
18
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
課題解決に向けたテーマ解決型
九州大学 水素センター
○九州大学のキャンパス内に水素関連材料の研究センターを整備。研究開発だけでなく、水素工学人材の育成
や水素エネルギー社会の普及に取り組んでいる。
九州大学
水素利用技術
研究センター
教育・人材育成
21世紀COE
プログラム
研究開発
'水素・燃料電池技術の
産学連携研究拠点(
'国内随一の「水素COE」(
水素工学コース
'世界初の水素分野の
修士コース(
九州大学新キャンパス
'“水素キャンパス”(
'世界最大級の水素教育研究拠点(
福岡水素人材
育成センター
'国内初の講習・実習
センター(
福岡水素エネルギー
戦略会議
'民間企業23/社以上
が会員(
外部資金による
研究開発プロジェクト・
実証試験など
'NEDO大型プロジェクトや実証試験など
多数受託(
福岡水素エネルギー近未来展、水素先端世界フォーラム
'参加者、毎年30000人強(
'水素分野の国際会議(
普及啓発
水素社会を支える人材
水素社会を可能にする技術
次世代エネルギー社会の実現
19
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
実践的人材育成型
大阪大学 Industry on Campus 構想
○大阪大学では、社会の多様な要請に応えて、社会の発展に資する学問領域の研究拠点を産業界と共同して大
学内に長期的に確保し、協働することにより、研究の充実と社会に貢献することを目指して、2006年から大
学と企業が協議し講座を運営する「共同研究講座」を開設。
○研究分野は、人文・社会・自然科学等全ての分野及び学際的領域に及ぶものとしている。
○1/0/年0月現在、11講座・部門を設置、総額22-1億円の研究費を獲得'0講座01ヶ月当り平均研
究費2+4//万円(。
従来の産学連携共同研究の課題
Industry on Campus構想を実現する新しい産学連携方式
●寄附講座では大学主体による講座運営となる
●共同研究では個別開発の研究に留まる
課題解決に向けた本取組のねらい
大学と企業が協議し、講座を運営
 産業化を見据えた研究内容・期間の設定
 研究内容に合わせた研究スタッフの配置
 知的財産、成果は共有
↓
大学と企業が協議し共同研究に専念することにより以下を実現
○自由な発想と状況への迅速かつ柔軟な対応
○産業界の基盤技術の維持と発展
○産業界の基盤技術と大学の先端技術の融合
○若手研究員の研修と活躍の場
阪 大
産業界等
研究者・施設・設備等を提供
資金・研究者・研究資料等を提供
・大阪大学
・出資企業'出向(
・その他の機関
共同研究講座・共同研究部門
●1年から0/年の設置
●共同研究に専念
●知的財産の活用を重視した取決め
●出資企業と大学が協議して運営
教授又は准教授 1名
'准教授~助教( 1名
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 選考
企業研究者
ポスドク、大学院生
兹任教授、准教授 etc.
事務員
※イメージ図及びグラフは大阪大学作成資料より引用
20
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
実践的人材育成型
函館高専 産学共同教育
○専攻科0年後期と1年前期の合わせて0年間、PBLで地域ニーズに取組む 。【地域貢献】
○その際、多様な専門性を持つ、企業退職技術者等を特専教授'マイスター(に任命する。【OB人材の活用】
○本プログラムを通して、納期意識・コスト意識・企画立案・進捗状況の把握手法など、実践的な技術者に要求される総
合力を学生に伝承する。【技術者教育】
【きっかけ】
高専専攻科生に企業が求めるのは、「納期やコストを意識して、グループリーダーとし
て、計画的に仕事を進めていける総合的スキルであると捉えた。
企業が求める総合的スキルは、企業人が教育するのがベストのはずである!
【プロセス】
○ 企業の退職技術者・現職技術者を規程により、特専教授'マイスター(に任命した。
→現在、多彩な専門性を持つ12名
○ 地域企業から技術課題などのニーズを吸い上げ、専攻科1年では専攻ごと'生産システム
専攻9機械、電気電子・情報工学出身者、環境システム専攻9物質、環境都市工学出身者(、
2年では専攻を融合して取組んでいる。
*出身学科を異にする学生がチームを組み、マイスターと共に地域中小企業のニーズに
取組む。
地域企業ニーズに取組みながら
マイスター群から総合力を伝承
コスト意識
マーケティング
技術
'スキル)
納期意識
グループ
内の責任
21
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
社会・地域ニーズ対応型
同志社大学 人文社会系産学連携
○産業界、官界、市民から期待される大学の社会的責任'University Social Responsibility9USR(として、産学官連携活動
を全学的活動に拡大して展開し、人文社会系産学官連携に関するニーズの発掘や知的財産管理への取組みなど、特に人
文社会系の産学官連携体制の整備と基盤強化を図る。
A.「人文社会系産官学連携研究紹介集」の作成
B.具体的取組
理工系とは異なり、文系分野では「どのような先
生がどんな研究をしているのか分かりにくい…」
という指摘有。このため、まちづくり・地域振興、
産業人材の育成、マーケティングなど、文系教
員が提供可能なシーズを10のカテゴリー別に分
かりやすく“見える化”し、産官学連携の具体事
例とともに掲載
a.”学び”と”観光”とを融合した「楽洛キャンパス」
の開催
c.一澤信三郎帄布と唐長の伝統的な文様をコラ
ボレーションした鞄の共同開発。ロンドンにおい
てシンポジウムとエキシビションを開催。
d.伝統産業を担う次世代を育成する「伝統産業
グローバル革新塾」
伝統産業に従事する若手経営者を対象にしたビ
ジネス教育を通じて、歴史ある京都の伝統産業
から「和」をベースとした文化ビジネスを創出。
e.京丹波の地域活性化「京丹波プロジェクト」
生協と共同で京丹波の特産品を使ったメニュー
の開発、黒豆の栽培、出張レストランの展開等。
単なるイベントから脱却し具他的に収益を生み
出す事業モデルへの成長を図る。
b.「京都伏見の酒蔵クラスター調査」
による同志社日本酒「七五三太」の制作
出所9同志社大学ホームページ
22
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
社会・地域ニーズ対応型
金沢大学 農商工連携の活用
○地域産業と有機的な結合ができてこその「地域イノベーション」。 「地域イノベーションの創出」のため、3つのステップ「創
造」→「具現化」→「事業化(商業化)」を展開。
○「将来開拓部門」と「戦略支援室」を新設し、従来取り組んできた自然科学系中心の産学官連携活動を、人文社会学系に
まで拡大。
■将来開拓部門と
戦略支援室の新設
■産学官連携による
農商工連携の取組事例
従来取り組んできた自然科学系中心の
産学官連携活動を人文社会学系にまで
拡大するため、「将来開拓部門」を設置、
また、他の既存組織との横串の連携を図
るため、「戦略支援室」を設置。地元企
業、地方自治体との連携を密にした産官
学連携を推進。
人文社会学系の教員と学生による
産学官連携活動
イノベーション創成センター
将来開拓部門
~産官学連携活動の拡大~
地域の高齢化により、生産量が激減してい
た輪島市三井町の地域野菜「細屋ごぼう」
を、地域一丸となって、復活させるプロジェ
クトを推進。
最終的な販路が問題となりがちな農商工連
携において、当初より、食品加工業者をマッ
チング。また、高齢の生産者を支援する意
欲のある地元土木建築業者とも連携した事
業を展開。
消えかかる地域野菜
土木建設業からの
農業参入
地元飲食を使いたい
食品加工業者
金沢大学
イノベーション創成センター
「細屋ごぼう」プロジェクト
地元飲食チェーンへの食材提供
人文社会学系ベンチャー企業設立
連携研究推進部門
~産学官連携を推進する~
知的財産部門
~知的財産活動を推進する~
起業支援部門
~大学発の起業・事業化を狙う~
炊き込みご飯の具材として商品化され、金
沢市内のビュッフェ式レストランで提供され
ている。
プロジェクトの中で、地元企業の地域ブラン
ド商標取得を支援する大学発ベンチャー企
業を、知的財産法を専攻する学生が設立。
23
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
社会・地域ニーズ対応型
福井大学による中小企業との連携
○教員と企業の代表者から成る派遣型高度人材育成センターを工学研究科内に設置し、厳選された大学院学生を企業に
長期派遣することで、産業の取り組みを理解し、自为的に問題を解決する素養のある高度専門人材を育成する。
○地域協賛企業の高度専門人材育成関連部門を横断的に連合した組織との密接な連携の下に、永続性のある派遣教育を
実践していく点が特徴の、新たなコンセプトのインターンシップ。
24
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
社会・地域ニーズ対応型
新潟工科大学による実践教育
○優秀な技術者を県内に排出できる場を創るため、地元自治体、企業、個人による設置財源02/億円を超える浄財によって
設立。
○実践力・想像力を養成するために、体験型教育に重点化。講義で学んだ知識を実践するために、充実した教育・研究設備
を利用した実験・実習を積極的に取り入れる他、卒業研究を重視した教育を実施。結果、高い学生満足度、就職率を実現。
○地元企業との共同研究
産学が一体となって、「除雪ロボット」、「海浜清
掃装置」など様々な共同研究を実施。また、学生
も共同研究に携わっており、日々の研究、実績は
地域産業の発展に確実に活かされている。
○インターンシップで現場を知る
卒業までに半数以上の学生が職業実習'インターン
シップ(を体験。実際の企業の現場を肌で感じること
は、将来の就職先を具体的にイメージするのに大変
効果的である。体験者の割合が52.5%で全国9位にラ
ンキングされている。'大学ランキング2008年版(
25
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
グローバル展開対応型
九州工業大学におけるバイオマスの国際実証研究にかかる国内・国際産学連携
○マレーシアにおける油ヤシのパームオイルの生成・活用について、国内外の産学官連携のリーダーシッ
プをとり、現地プトラ大学にサテライトオフィスを設置し、実証事業を実施中。
マレーシア現地の九州工大・
UPM・産総研の3者共同
「バイオマス研究センター」
'我が国の先端技術を実証(
パームオイル産業からの未利用バ
イオマスを利用した
・エタノール生産
・バイオマスプラスチック生産
・バイオマスプラスチック
のケミカルリサイクル
・有機肥料生産
・メタン発酵
・水素発酵
・ガス化発電
・温暖化ガス削減
東アジアに
成果が波及
東アジア
からの留学生
温暖化ガス
排出権
中近東・インド・バングラディシュ
からの留学生
アフリカからの
留学生
膨大で均一な
バイオマス
マレーシアプトラ大学'UPM)
産業総合研究所
バイオマスセンター
富山大学
三重大学
九州工業大学
我が国での
連携・協力機関
九州大学
北九州市立大学
福岡県工業技術センター
優れた技術
途上国からの
優秀な留学生
途上国で廉価
に開発された
機械装置
北海道大学
優れた教官
優れたアイデア
優れた連携体制
インドネシア
からの留学生
九州工業大学マレーシア
サテライト・オフィス
'※マレーシアはイスラムの先進国であり、多くのイスラム留学生を受入れ(
九州工業大学
エコタウン
実証研究センター
北九州エコタウンに位置する
我が国随一の環境技術実証
施設-ここでの研究テーマは
・食品ごみの資源化
'エタノール、乳酸、コハク酸(
・バイオマスプラスチックの
ケミカルリサイクル
・次世代バイオバイオマス
プラスチックの合成
・バイオプラの循環利用事
業の実証的研究
26
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
エフォートの制度・活用状況
○教員毎に学内での役割が分化しつつある中で、優れた教育や産学連携に積極的に取り組む教員に対し
て、人事・給与面で適切なインセンティブが付与されることは、教育等の質的な向上を図る観点から重要
○このため、教育、研究、社会貢献、学内管理等に対する教員の資源配分を大学が把握する「エフォート管
理」の導入と、これら各要素についての「評価を行うシステム」の導入が不可欠。既に一部の大学では、
学生指導実績、授業評価等を取り入れた教育評価等を導入済み
府省共通研究開発管理システム'e-Rad(におけるエフォート管理
【目的】
各プロジェクトに関わる研究者のエフォート率や、すでに獲得している資金の
総和等により、一部の研究者に消化しきれないほどの予算が集中したり、同一
研究者の同一課題に複数の競争的研究資金が偏る等不自然な予算獲得を事
前に把握
※エフォートとは・・・・第2期科学技術基本計画による定義によれば、「研究に携
わる個人が研究、教育、管理業務等の各業務に従事する時間配分」のこと
e-Radの入力画面
先進事例9岡山大学による取組事例
【目的】
・教員の意識改革と教育研究活動等の活性化を促す
・業績・活動状況と評価結果を公表することにより、
社会に対する説明責任を果たす
・評価結果を給与等の処遇に反映させる
【为な導入経緯】
平成14年度9試行実施
平成16年度9本格実施、評価センター設置
平成19年度9給与査定としての「教員人事評価」の実施
平成20年度9新たに「教員活動評価」として実施
【対象者】
すべての常勤教員'教授・准教授・講師・助教・助手(
【評価実施単位】
教員が所属する各研究科・学部等
【評価領域】
教員の活動を以下の3領域に分類し、評価
○教育活動
○研究活動
○社会貢献活動
○管理・運営活動
27
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
イノベーションを支える人材イメージ
 トム・ケリー&ジョナサン・リットマンは、イノベーションは一人の人間がなし得るものではなく、組織の中の
0/の人材やスキルが組み合わさったときに実現されるものであるとしている。 ' 「イノベーションの達人!」 (
1.人類学者
The Anthropologist
人間の行動を観察し、
組織に新しい情報や
発見をもたらす。
常に新しいアイディアの
プロトタイプを作り改善点
をみつける。
ブランドを培う
7.経験デザイナー
イノベーションチームメ
ンバーに良い仕事をし
てもらう場を提供する
4.ハードル選手
The Hurdler
土 台
サービスを超えたケア
を顧客に提供する
The Set Designer
情報収集
実 現
The Caregiver
The Experience Architect
顧客にオンリーワンの
体験を与え価値にする
“The Ten Faces of Innovation”
異文化や業界を探り
その要素を導入する。
The Experimenter
The Storyteller
8.舞台装置家
The Cross-Pollinator
2.実験者
10.語り部
9.介護人
3.花粉の運び手
障害物を乗り越え、
絶望の中にあって
希望を見出す
6.監督
The Director
役割9多彩な人材を集め
資源配置を行う
5.コラボレーター
The Collaborator
集団に活気を与え、
横断的な解決法を生み出す
28
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
知財・標準人材の育成と配置
各種コーディネーターを有機的に指揮する司令塔の必要性
 各省により、大学等知財人材、及び、技術移転人材の育成事業を実施
 今後、出口を見据えた研究開発体制に向けて、各種のコーディネーターを指揮する司令塔の存在が必要
研究の源流、発明の創出段階
権利化段階
技術移転段階
経済産業省
特許庁
大学知的財産管理体制構築支援事業
'平成14年度~(
特許流通促進事業
24大学
16名派遣
INPIT
大学知的財産アドバイザー
INPIT
'平成9年度~(
37TLO
44名派遣
INPIT
特許流通アドバイザー
'独(工業所有権
情報・研修館
産業技術フェローシップ事業
大学
知的財産本部
文部科学省
NEDOフェロー
71名
TLO
交
流
大学知的財産本部整備事業'平成15~19年度(
産学官連携戦略展開事業'平成20年度~(
文部科学省産学官連携コーディネーター
実務者・コーディネーター等
7/名
地方自治体
出所9国際特許流通セミナー2009「中小規模大学の知財マネージメントと知財本部組織の構築成功要因」 9
29
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
知財・標準人材の育成と配置
標準化分野における人材育成
大学・大学院における標準化人材育成の現状と課題
・工学教育の各分野、知的財産の科目に採用。
・国際的にも、大学における標準化研究、教育の取り組みが強化
今後は、一部の大学・大学院のみならず、多くの大学・大学院において標準化教育が行われることを期待。
9「標準化」関連講座設置大学・大学院
⇒ 「標準化」科目、講義の中で「標準
化」を一部でも扱っている国内の
大学・大学院は2/大学を超える。
'2008年インターネットによる調査(
9「標準化」特別講座
'H20Fy、H21Fy経済産業省の委託事業(
30
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
知財・標準人材の育成と配置
大学・大学院における標準化に関する講座の普及施策
•
平成1/年度は、経済産業省の委託事業により、東京工業大学、早稲田大学、関西学院大学、
東京理科大学、産業技術大学院大学において、標準化に関する講座を開設。平成10年度
は、早稲田大学、東京理科大学、政策研究大学院大学、産業技術大学院大学、木更津工業
高等専門学校で標準化に関する講座を開設。
平成20年度「企業経営戦略特論A,ビジネスソリューションとしての標準化」
カリキュラム 〔関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科〕
回
講 義 タ イ ト ル
平成20年度「イノベーションと標準化」カリキュラム
〔東京工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科〕
回
講 義 タ イ ト ル
1
オリエンテーション, 標準化の基礎
2
国際標準化の意義
3
ビジネス戦略と標準化
4
企業の国際標準化活動
5
ビジネスと標準化(事例:プラント計測)
6
ビジネスと標準化(事例:鉄鋼)
1
標準化の基礎,JISと品質マネジメント規格
2
国際標準化と国際規格の活用
3
事業戦略と標準化
4
先端技術と標準化
5
社内標準化とTQM~ISO9001の有効活用
6
社会システムと標準化
7
イノベーションと標準化(事例:CD-R)
7
イノベーションと標準化政策,まとめ,レポート発表,ディスカッション
8
イノベーションと標準化(事例:抗菌製品)
9
標準化と知的財産権
10
パテントプール
11
企業と認証制度
12
グローバルビジネスと認証制度
13
レポート発表・討議
14
討議・まとめ
■学生に対する標準化教育の必要性
⇒早期に標準化に関する幅広い知識を習得
する機会を得ることが重要
31
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
知財・標準人材の育成と配置
標準化分野における人材育成
■標準化人材育成をめぐるグローバルな環境変化
・経済のグローバル化による世界市場の一体化
・WTO/TBT協定成立による国際標準'ISO・IEC等(適用の義務化
・知財'特許権(を包含する国際標準の増加'情報分野9DVD等(
・マネジメント規格'ISO9000等(等の登場による標準の対象範囲の拡大
これまでの個別技術分野に精通した国際標準専門家のみでは対応できない可能性あり。
【標準化の知識の習得が求められる人材の鳥瞰図】
研究者
 企業人材
 国際標準専門家
→企業において研究開発、製品開発等に従
事し、規格原案の作成や、フォーラム・コ
ンソーシアム等への出席により標準化業
務にも携わっている人材
'企業・工業会・大学等(
'大学・研究機関(
→ISO、IECなどの国際会議に出
席し、実際に規格の策定に携
わる人材
→学識経験に基づ
いて標準化策定
プロセスに参画
する人材
→企業内で、事業戦略に携わる人材であっ
て、標準化の重要性を理解し、企業戦略
面から標準を扱うことを求められる人材
→マネジメント規格等の新たな標準を理解
し、適切な対処を求められる人材
延べ5000名が出席
→学生に標準化教
育を実施する人
材
 消費者
→消費者の視点に
よる規格の必要
性を判断する人
材
→消費財の品質の
あり方に対して
提言をする人材
学生'大学院生、大学生'事務系・技術系とも((
→将来、企業人材、国際標準化専門家、研究者になる人材
小・中・高・高専生
32
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
知財・標準人材の育成と配置
国際標準化人材育成支援等基盤体制強化事業
グローバル市場におけるプロイノベーションへ向けた取り組みにおいて、研究開発、知的財
産、国際標準化を連携させた戦略的取り組みは必須。
研究開発促進、知財人材育成、標準化人材育成を連携させて実施していくべき。
国際標準化人材育成支援等基盤体制強化事業の実施スキーム
≪ イノベーション25、国際標準総合戦略、知的財産推進計画2009 等≫
★国際標準の提案件数倍増
★欧米並みの幹事国引受
国際標準化戦略目標
2-
◆国際標準作成の専門家
' 0//人.2年間ペース(
◆国際リーダシップ人材
' 0//人.2年間ペース(
国際標準化人材育成支援等基盤体制強化事業
◆次世代の標準化人材
' 教 育 機 関・企業等 への標 準化教 育
の 導 入 ・ 普及(
標準化人材の育成
■標準化に関する知識確認ツールの構築
■国際標準化リーダーシップ研修
「企業人材一般」及び「標準専門家」向けの1カテゴリ ーで、
研修により習得した知識の確認ツ ールを作 成'将来的 には
「能力検定制度」の創設を念頭に置く(
国際会議進行、全体管理、ロールプレ
イ、国際幹事OJT等
■標準化基礎研修
■国際標準作成研修
■国際幹事等実務支援
標準化の基礎知識'各国の基準
認証制度、WTO、知財と標準、
強制法規と標準、ISO9000等(
国際規格案の作成方法'テンプ
レートの使用方法、ウイーン協定、
ISO/Guide類等(
ISO/TCサーバの使用方法、電子
投票方法等に関する個別支援
■標準化に関する教育体制
整備
標準化モデル教材のメンテナン ス・
高度化、小学校から大学等の教
育機関や企業等への普及、海外
機関との連携等
■国際標準化人材教育体制
整備
■国際標準化入門研修
ISO/IEC活動の基本手順、基本概要等
国際標準専門家の経験を活用で
きるよう、「標準化活用事例フォー
ラム」や、研修の実施
33
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
不実施補償・共有特許の問題
共有特許・・・・一つの特許を、複数の権利者が保
有している特許権。原則として権利者は単独所
有の場合と同様の権利を保持。但し、当該特許
権の持ち分の譲渡や通常実施権の許諾等につ
いては、他の共有者の同意が必要。
不実施補償・・・・自ら特許を実施することのない大
学等は、共有特許を保有していても、ライセンス
を自由に許諾できないため、利益が得られな
い。そのため、大学等は、共有相手の企業に、
不実施補償という名目で、補償金を求めることが
ある。大学側の硬直的な運用と、柔軟な契約を
求める企業側の間で見解の相違を生じさせ、産
学の共同研究の開始の際等の合意形成におい
て問題となるケースがある。
'参考(
A社9「産学連携の目的が、学内シーズを新事業に向かわせ産業
界を活性化することであること、これにかかる研究費用、特
許管理費用、事業化リスクを企業が負担していること、を考
慮すれば、一律に不実施補償を要求することは不合理。」
'不実施補償の概念図(
大学等
企業
共同研究
共同出願
共有特許
権利持ち分
「不実施補償」
ライセン
シング
権利持ち分
収益
自己実施
(
知
財
の
創
出
)
(
知
財
の
権
利
化
)
(
知
財
の
活
用
)
※企業側の同意が必要
B社9「とにかく研究契約に包括的な不実施補償を入れることに
固執する大学があり、交渉の用地がない大学があった。」
34
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
不実施補償・共有特許の弊害の解消
東京大学TLOの例
 東京大学における共有特許1件当たりのライセンス収入が、単独特許による収入の1/~2/
分の0。'単独出願907/万円.件、共有特許95-7万円.件(
→東京大学TLOは2006年度を境に共同出願を減尐する戦略に転換
 特許を実施しない大学にとって、ライセンシングに制約のある共有特許の取得は、成果普
及・活用促進に係る目的、収益確保の目的の両面においてメリットが小さい。
 大学等の知財戦略のあり方として、出願件数、特許件数等の増加を目指す方向から、質の
高い産学連携活動の一環としての知財活動へのシフトが求められる。
300
出願件数'件(
21
その他
共同出願
250
22
15
25
個人帰属
206
150
191
116
100
0
150
31
13
0
50
3
0
8
5
0
24
49
22
0
42
33
3
42
42
32
東京大学TLOライセンス等収入金の推移
4999
50000
東大単独
200
60000
共同出願の絞込
みによる減尐
東京大学TLO契約件数の推移
ラ イセンス等収入'万円(
350
コンサル等
共同出願
40000
11
44
59
6
5
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
ライセンス
収入は上昇
東大単独
243032
個人帰属
30000
2829
4176
20000
1178
3154
4386
10000
67
100
170
1930
1349
0
4574
7435
1153
2436
390
7138
12274
3250
1923
18156
5718
6560
6404
6798
2459
1400
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
'出典9山本貴史 東京大学TLO代表取締役社長「経済産業省平成10年度イノベーション環境整備研修 8月7日配付資料」(
35
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
不実施補償・共有特許の弊害の解消
産総研の例
 産総研では、共有知財の自己実施に関し不実施補償料を請求するという従前の原則を、次
の条件を満たす場合には、不実施補償料を請求しない運用を開始。
① 共同研究によって創出された共有知財であること。
② 実施の際、非独占で、かつ自己実施であること。
 共同研究等の契約においては、従前の硬直的なひな形や運用を改め、研究成果普及・活用
促進に資する共同研究のあり方を検討すべき。
《企業との共同研究で創出された共有の
知的財産の取り扱い》'産総研(
'出典9産総研HP http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070830/pr20070830.html (
36
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
強い知財をとるための専門家集団によるコンサルテーション支援体制の構築
【例2,19広域連携・TLO連携複合型の事例'金沢大学TLO・新潟TLO(】
 金沢大学TLO・新潟TLOを中核として日本海地域の6大学が提携。
 提携大学の医薬・薬学系の研究成果を創薬・実用化へつなぐことを目指し、企業でプロジェクト立ち上げ・管理
等を手がけてきた専門人材や、製薬企業でライセンシング・製品開発を手がけてきた専門人材を起用。
 また、ライフサイエンス分野に限らず、提携大学の研究成果のうち「出口'事業化(」に近い有望な発明を産業界
へ技術移転することを目指す。
金沢大学ティ・エル・オーが実施する産学連携活動
提携技術移転機関
・金沢大学ティ・エル・オー
・新潟TLO
提携大学
・弘前大学
・新潟大学
・新潟薬科大学
・富山大学
・金沢医科大学
・金沢大学
・石川県立大学
金沢大学ティ・エル・オーが手がけた産学連携の成果
○ これまでの原子間力顕微鏡は、1枚の画像を撮影するのに3分程度の時間がかかった。
しかし金沢大学の安藤教授らが発明した高速原子間力顕微鏡は、1枚の画像を撮影する
のに0.03秒しか要しない。したがって、例えば+人体内のたんぱく質やDNAの様子を動画
として観察できる。
○ この技術は、海外における展示会への出展や外国企業とのライセンス交渉といった金沢
大学ティ・エル・オーの全面的な協力により、日本企業はもとより、外国企業'Veeco社
'米(、 JPK社'独((にもライセンスされている。
高速原子間力顕微鏡
'なお、東大TLO等も今後、他大学の産学連携活動に事業を拡大する可能性有り。(
37
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
強い知財をとるための専門家集団によるコンサルテーション支援体制の構築
【例:広域TLOの事例'関西ティー・エル・オー(】
 関西TLOは、京都大学、立命館大学と知的財産マネジメントに関する包括的な連携関係を構築し、発明者へのヒアリン
グ、発明評価、マーケティング活動まで、一貫した業務を実施。
 また、新たに和歌山大学と知的財産マネジメントに関する包括的な連携関係を構築。和歌山大学内にも関西TLO和歌
山大学オフィスを設置。すでに具体的な成果をあげている。
 さらに、平成21年度から京都府立医科大学の知的財産マネジメント・産学連携業務を一括して独占的に受託。
関西TLOが実施する広域的産学連携活動
出所9関西ティー・エル・オーホームページ
関西TLOが手がけた産学連携の成果
38
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
出口までの絶え間ない支援体制
大学が参画する技術研究組合
組 合 名
登記年月日
次世代パワーデバイス
技術研究組合
H21.7.10
光ストレージ技術
研究組合
H21.7.28
水素供給・利用技術
研究組合
H21.7.31
技術研究組合次世代パ
ワーエレクトロニクス
研究開発機構
H21.8.4
※旧法にて設立
技術研究組合光電子融
合基盤技術研究所
H21.8.24
ステレオファブリック
技術研究組合
H21.9.15
産業用超電導線材・機
器技術研究組合
H21.9.24
分子動力学抗体創薬
技術研究組合
H21.12.25
スペースランド
技術研究組合
H22.2.5認可
(登記手続中)
グリーンフェノール・
高機能フェノール樹脂
製造技術研究組合
H22.2.5認可
(登記手続中)
組合名:光ストレージ技術研究組合
設立日:平成21年7月28日設立
組合員:日立コンシューマエレクトロニクス(株)、(株)三菱化学科学技術
研究センター、三菱化学メディア(株)、学校法人東京理科大学、
(財)光産業技術振興協会、特定非営利活動法人ナノフォトニクス工
学推進機構
事業費:(予定)初年度3億円(総事業費10億円)
事業の概要:高密度・高転送速度の光ストレージ技術の開発。
○ Blu-ray Disc(BD)等の光ディスク装置の省エネルギーや高信頼性の特長
を生かし、BDシステムよりも25倍以上の高密度の記録再生が可能で、かつ磁気ディスク装置と
同等な高転送速度の実現が期待できるホログラム技術を使った高速・大容量光ディスク装置の
実用化開発を行うことを目的とする。
組合名:分子動力学抗体創薬技術研究組合
設立日:平成21年12月25日
組合員:(財)バイオインダストリー協会 、富士フイルム(株)、中外製薬(株)
(国立大学法人 東京大学が加入予定。)
事業費:初年度:32百万円(総事業費:50億円(予定))
事業の概要:分子動力学抗体創薬に関する研究開発。
① がん及び感染症に対する抗体について、コンピューターシミュレーション技術により、親和
性を高めた人工抗体を設計・製造し、人工抗体とアビジンの結合体を作製する。
② アビジン(卵白に含まれる低分子糖タンパク)と特異的で親和性の高いビオチン(水溶性ビ
タミンの一種。VB7)と放射性核種、低分子薬等の結合体を作製する。
③ 以上の研究に必要なイメージング技術、熱力学解析技術、結晶構造解析技術等の基盤技術を
活用し、上記2つの結合体を用いた診断・治療法(人工抗体PET)を開発する。
注1)リストは新法下で認可された技術研究組合一覧
注2)赤枠は大学が組合員として参画している技術研究
組合(分子動力学抗体創薬技術研究組合について
は加入予定(平成22年2月現在)
39
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
地域における大学の在り方
○産学官連携による実用化を成功させるためには、産と学・官の間の信頼関係が前提。
○明確なコンセプト、目的のもとで、各々のリソースを活用・補完。
;産側のポイント=
○学・官の立場、意識の相違を理解する'論文・学会発表への理解等(
○成果のオープン化→多くの機関の参加により課題解決、異分野の連携により使う側の声
を反映した「売れる商品づくり」
;学・官側のポイント=
○中小企業が購入できない最先端の施設・設備の活用
○中小企業の製品に対する科学的な裏付けの付与、公的な信用力の活用
○プロジェクトマネジメント能力の強化'コーディネーター、リサーチアドミニストレーター等(
○最終製品化までのフォロー
○広域的なネットワークや人脈を活用した課題解決
○立地条件'企業が気軽に相談・連携を実施できる都心部に立地(
;産学官に共通するポイント=
○信頼関係の構築
○コンセプト・目的を明確化し共有する
「地域イノベーションプロジェクト集~研究開発事業成果事例~'平成11年2月9九州経済産業局(」、
「ものづくり中小・ベンチャー企業の産学官連携による技術開発“経験と知恵”事例集'平成03年2月9近畿経済産業局(」、
「中小企業産学官連携事例集'平成1/年4月9中小企業基盤整備機構(」
40
の事例よりとりまとめ
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
地域において大学・中小企業がうまくいく秘訣・分析
○教員と企業の代表者から成る派遣型高度人材育成センターを工学研究科内に設置し、厳選された大学
院学生を企業に長期派遣することで、産業の取り組みを理解し、自为的に問題を解決する素養のある高
度専門人材を育成する。
○地域協賛企業の高度専門人材育成関連部門を横断的に連合した組織との密接な連携の下に、永続性
のある派遣教育を実践していく点が特徴の、新たなコンセプトのインターンシップ。
41
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産総研の産学官連携制度
○多様な産学官連携制度を活用し、産業界、大学や公的研究機関等との連携強化を通じて、技術を社会に
還元。
産総研の産学官連携制度
42
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産総研の人材育成
○企業からのニーズが高い「組込みソフトウェア開発」の技術リーダーを養成するために、カリキュラムの設
定、教材の作成を経て、産総研内で座学・実習を開講して、即戦力の技術者を育成。
産総研における組込みソフトウェアの開発人材の育成拠点'組込み適塾(の創設
43
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産総研による製品性能の実証
○中小企業等の革新的な製品の市場導入を促進するため、産総研が製品にお墨付きを与える事業を実施。
44
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産総研ネットワークによる中小企業支援
○地域社会への窓口として、地域の支援団体・研究機関等と連携し、各都市の中心部にサテライトを整備。
45
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
地域における産総研・公設試の連携事例
○産総研技術を活用して地域中小企業の課題解決のため公設研研究者を招聘し、研究開発を実施。
地域産業活性化支援事業
46
Ⅰ-オープンイノベーションによる研究開発力の強化
産学官連携と金融界との連携強化
○産学官連携をより強固にし、イノベーションをより円滑に創出していくためには、資金面での充実が重要。特に地域中小企業
のもつ技術の事業化を推進していくためには、地域の金融機関との連携の深化、あるいは、金融機関の技術に対する目利
き能力の強化が重要。
地域金融機関との連携して産学連携を進めている事例'関東経済産業局(
「産学官金」連携プログラムの取組
1.地域金融機関の意欲的
な取組を応援
2.人材育成
3.本省等との協力による
企業支援環境の強化
4.更なる施策の浸透と深化
'0(施策・制度の徹底活用
'0(地域金融機関トップとの対話
'0(出張研修会
'0(地域力連携拠点
○経産局と地域金融機関との
幹部交流による、金融連携プロ
グラムへの参加協力の推進。
○経産局職員による地域金融
機関職員向け施策・制度研修
の推進。 '1/年度~901機関・
約6//名(
○中小企業向けワンストップ
サービスである地域力連携
拠点事業への地域金融機関
の参加。
○地域金融機関による中小企業支
援施策・制度の徹底活用の促進。'
ex-管内新連携認定案件のうち地
域金融機関による発掘・紹介945件
.156件(
'1(地域金融機関戦略ネットワ
ーク会議
'1(中小企業大学校と連携した
実践研修事業
'1(財務局との協力
'1(中小企業金融の円滑化
○財務局と協力した、地域
金融機関向け当省の施策・
制度説明会の開催。
○信用保証制度やABL保証、予約
保証制度等に関する適切な情報発
信と運用により、地域金融機関によ
る企業への貸付やその後のフォロ
ーアップをサポート。
○地域金融機関の幹部が一同
に会する会議を通じた、当局及
び地域金融機関間の組織的な
繋がり。'06年度~9計5回開催(
○第一線級の講師陣による幹部
人材向け合宿研修。10年度か
ら大学校の独自講座化が実現。
'1/年度~9年0回(
47
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
48
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学の果たす役割
○大学は、国及び地域の「知の拠点」として、政治、経済、行政、科学、産業、文化芸術の各分野において中心的な
役割を担う「人財」を育て、また、研究成果を社会に還元する役割と機能を持っている。
大学は新しい科学・技術、学術を産み出し、人材を産み出す場
日本の成長
新産業創出
優れた人財
研究成果の社会還元
卒業生が政治、経
済、産業、地域社会
など国内外で活躍
相乗関係
地域や市民
大 学
我が国の基礎体力の源
他の研究開発機関
産業、社会
研究資金
留学生
高校
49
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学の機能別分化の促進
;大学の機能別分化に基づいた評価と支援の徹底=
○ 今後、尐子化の中、現在7//存在する大学は、社会的にニーズ・価値のある大学のみが生き残る時代
に到達。各大学の独自の個性・特色等に基づいて、機能別分化が求められている'例として、①世界的研
究・教育拠点、②高度専門職業人養成、③幅広い職業人養成、④総合的教養教育、⑤特定の専門分野
の教育・研究、⑥地域の生涯学習機会の拠点、⑦社会貢献機能'地域貢献、産学官連携、国際交流等(
○ 上の各機能ごとに、評価基準や国が支援すべき内容・規模はそれぞれ異なる。今後、大学改革、特に
教育面の改革を確実なものにしていくためには、上の機能別分化に基づいた適切な評価と支援を合わせ
て行う必要がある。
○「我が国の高等教育の将来像'答申(」'平成17年1月28日、文部科学省中央教育審議会(
2-高等教育の多様な機能と個性・特色の明確化
・・・各学校においては+個々の学校が個性・特色を一層明確にしていかなければならない。・・・'略(
'2(大学の機能別分化
高等教育機関のうち+大学は+全体として下記の各種機能を併有する。
,世界的研究・教育拠点
,高度専門職業人養成
,幅広い職業人養成
,総合的教養教育
,特定の専門的分野(芸術+体育等)の教育・研究
,地域の生涯学習機会の拠点
,社会貢献機能(地域貢献+産学官連携+国際交流等)
・・・'各機能への(比重の置き方がすなわち各大学の個性・特色の表れとなる。各大学は+固定的な「種別化」ではなく+保有する幾つかの機
能の間の比重の置き方の違い(大学の選択に基づく個性・特色の表れ)に基づいて+緩やかに機能別に分化していくものと考えられる。
・・・・
50
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
中教審大学分科会の各部会での審議事項
;質保証システム部会=
○教育情報の公開の促進
・公表すべき情報の項目の分類と+それぞれの情報に応じた公表制度や公表促進の仕組みの導入
○設置基準+設置認可審査+認証評価の課題
・大学設置基準の定性的・抽象的な基準の具体化・明確化や+大学としての観念や大学教育の理念に包含され+共通に理解されて
いるルールの実定化'教員要件+施設・設備における定量的基準等(
・認証評価の適格認定としての位置づけに基づく見直し '設置基準との関係の明確化+設置認可審査との一貫性・体系性の保持(
;大学グローバル化WG=
○ダブル・ディグリーに関する検討
・海外の大学とのダブル・ディグリーに関するガイドラインの策定
○国際的な大学評価や海外発信の観点からの大学の情報公開の促進
・情報公開のガイドラインの検討
;大学院部会 =
○大学院施策の分野別の検証
・分野別にWGを設置し+これまで実施してきた制度改正や予算措置の大学関係者の認識+大学現場への定着+実施の状況とそれ
らの効果の検証
;大学規模・大学経営部会=
○財務・経営情報の公開の促進
・大学関係者による情報公開項目例等の作成
○社会人受入れの拡大方策
・社会人の学修目的・求める学修成果に答える教育プログラムの在り方
・学修成果の職業生活での適切な評価+活用の仕組み
;大学行財政部会=
○全国レベル・地域レベルのそれぞれの人材養成需要に対応した大学政策の在り方
・歴史的経緯や諸条件を踏まえた全国レベル・地域レベルにおける計画的な人材養成の現状と意義
・国公私立大学の設置形態別の役割と大学間の連携
'出所(中央教育審議会'第60回(資料
51
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
世界レベルで見た大学の研究・教育機能
○我が国は、論文数占有率は高い'第二位(が、論文の質的な面を示す指標のひとつである論文の被引用回数占有率を为
要五カ国で比較すると、我が国は第四位'6-5%(となっている。
○0論文当たり引用される平均回数が、国際的な平均から見てどのような位置にあるかを示す相対被引用度は、国際的な平
均を0とすると、日本は/-85であり、欧米の先進国と比べて低い。
;为要国の論文数占有率と被引用回数占有率の推移=
;为要国の論文の相対被引用度の推移=
出典9平成10年科学技術白書
出典9平成1/年科学技術白書
52
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学数、学生数等の推移
○ 平成15年度からの,
(ⅰ)設置基準に定める大学の要件を満たせば設置を認可する「準則主
義」に転換,
(ⅱ)「高等教育計画」に基づいて大学や学部の収容定員の増を抑制して
きた方針を,基本的に撤廃。
–
○ 20年前と比較して
大学は250校以上+学
生数は71万人増加。大
学・短大進学率はこの
間+36%→56%に上
昇。
大学数(校)
H21
96
86
増減 ▲10
39
92
53
時(学校数は平成13年,学生数は平成11年)より減少。
【入学定員の推移】
【学校数】
学生数(万人)
国立 公立 私立
H2
○ しかし,大学と短大を合計すると,学校数・入学定員ともにピーク
計
372
507
595
773
223
266
国立 公立 私立
51.9
62.2
10.3
計
大学・短
大進学率
6.4
155.
1
213.
3
36%
13.7
208.
7
284.
6
56%
53.6
71.3
20%
7.3
ピーク時
学校数
平成21年
(平成13年(
大学
669校
773校
短期大学
559校
406校
合計
1,228校
1,179校
70
万人
短大・私立
60
短大・公立
50
短大・国立
40
大学・私立
30
【入学定員】
大学
ピーク時
(平成11年(
52.5万人
短期大学
17.6万人
入学定員
合計
70.1万人
20
平成21年
57.3万人
8.3万人
65.6万人
大学・公立
10
大学・国立
0
H元
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
【'参考(大学数の人口+学部学生数との割合'国際比較( 】
我が国の人口を大学数で除すと,一大学当たり17万人となり,学部学生数を大学数で除すと,一大学当たり3,400人となる。大学当たりの人
口は,アメリカより多く,ヨーロッパより少ない。大学当たりの学部学生数は,欧米諸国より少ない。
日本
(2009)
アメリカ
(2006)
イギリス
(2006)
フランス
(2006)
ドイツ
(2006)
韓国
(2007)
人口(千人)
127,567
298,755
60,587
61,537
82,314
48,456
大学数(校)
748
2,629
169
94
383
223
在学者数(千人)
2,527
11,241
1208.6
1306.4
1,979
2,465
人口(千人)
大学数
170.5
113.6
358.5
654.6
214.9
217.5
3.4
4.3
7.2
13.9
5.2
11.1
学部学生数(千人)
大学数
(注)
日本: 四年制大学
アメリカ:総合大学と四年制大学(学生数には,大学院
と非学位取得課程を含む)
イギリス:大学と高等教育カレッジ
フランス:四年制大学
ドイツ: 大学と高等専門学校
韓国: 四年制大学
53
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
産業界に必須の学術'人材養成(領域ついて
'第4期科学技術基本計画立案に向けた政府研究開発投資の
あり方等に関する民間企業アンケート結果より(
○業種により異なるが、全体としては、電気・電子系、機械系の人材に量的不足の声が多い。
○人材の質的不足については、以下等の指摘あり。
・ 基礎部分をしっかり習得した人材。企業が求めるのは基礎力に裏打ちされた応用力
・ 自ら課題を提議し、それに向かって解決策を考えられる人材
・ 修士クラスで企業活動向き人材
・ 技術経営'MOT(、知的財産、プロジェクトマネジャー、人間工学・心理学の専門家 など
'学術領域について(
イノベーション政策の下では、先端的な知識の創造と次世
代人材の育成は一体不可分であることから、産業界の求
める人材ニーズを定量的に調査。右表における各学術領
域の大卒以上の技術系採用者数について、 ⓐ平成20年
度の割合'新卒・中途採用の合計(、ⓑ平成20年度実績に
対し本来理想とする割合、ⓒ中期的'第4期科学技術基本
計画期間である平成23~27年度を目安(に望ましい採用
構成の割合、を質問。
) ⓐ、ⓑ、ⓒのすべてに回答があったものについて、研究開発
投資額にて加重平均を行い集計。
30
; 全 体 =
25
20
20
①電気・電子系
(電気、電子、フォトニクス)
②数学・情報系(数学、統計、情報、
通信、ソフトウェア、知能)
③物理系(物理、素粒子)
④機械系(機械、造船、航空、精密、
システム制御)
⑤化学系(化学、応用化学)
⑥物質・材料系(金属、セラミック)
⑦農学・食品系(農学、食品、農芸、
微生物、林・水産、畜産)
22
平成20年度'実績(
⑦農学・食品系(農学、食品、農芸、微
生物、林・水産、畜産)
⑧生物・医薬系(生物、病理、生理、診
療、薬学)
⑨原子力・資源系(原子力、資源、鉱山、
地質)
⑩土木・建築系(土木、建築、都市計
画)
⑪経営工学(技術経営、プロジェクトマ
ネジメント)
⑫その他(人間工学、心理学、社会学)
平成20年度'理想(
中期的に望ましい構成割合
23 23 24
21
18 17 18
14 13 13
15
10
6 6 6
7 6 6
5 5 5
5
1.6 1.8 1.7
0.6 0.5 0.5
0.8 0.7 0.7
1.2 1.2 1.4
2.6 1.5 1.5
⑪経営工学
⑫その他
0
①電気・電子系 ②数学・情報系
③物理系
④機械系
⑤化学系
⑥物質・材料系 ⑦農学・食品系 ⑧生物・医薬系 ⑨原子力・資源系 ⑩土木・建築系
出典9第14回研究開発小委員会資料
54
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
人材育成における大学教育と企業側双方の問題
○企業は、技術系新人社員の学力、工学的基礎知識、理解度低下への懸念が強い。
○基礎学力低下の要因は、初等・中等教育と大学教育のミスマッチ、大学入試の多様化、学科統合の弊害
など多元的。

「技術系新人社員の学力、工学的基礎知識が低下していると思いますか」との設問への回答結果

“学力低下あり”との回答では、基礎知識の低下に加え、
• 「自分で考える力、知識の活用力が不足」 '26.6%(

“学力が低下しているとは言えない”との回答においても、
• 「個人差が拡大している」 '9.4%(
• 「言語力、教養、マナーが低下」 '9.4%(
• 「学力というより意欲が低下」 '4.7%(
との意見あり

基礎学力低下の为な要因として、
• 高校までの履修科目の削減による大学教育とのミスマッチ
• 大学入試負荷の削減による必要科目の未修了
など、高校までの教育負荷や大学入試の軽減が指摘されている。

工学的基礎学力の低下という観点においては、中学・高校の教育における数学と物理の教育の在り方が重要との
認識が強い。
出所9産業基盤を支える人材の育成と技術者教育
'1/0/年2月 産業競争力懇談会(
55
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
人材育成における大学教育と企業側双方の問題
○理系・文系別の平均年収を見ると、11~2/歳以外の年代については、理系より文系の平均年収の方が高くなってい
る。また、産業別・従業員数別に賃金水準の比較を見ても、金融保険業の収入が製造業、建設業の収入より高くなってい
る。文系と理系で年収の差が出ていることがわかる。
理系・文系各出身者の平均年収
大学卒の産業別賃金水準比較'正社員男性40-44歳、年収.総労働時間(
4.02
従業員1000人超
4.36
4.66
2.98
従業員100人超
3.09
4.19
2.44
従業員10人超
2.46
4.12
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
'単位9千円(
建設業
製造業
金融・保険業
出典92009「日本の光学技術者の地位向上」についての調査提言 社団法人日本工学会 調査提言小委員会資料 改編
56
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
人材育成における大学教育と企業側双方の問題
○産業界は、人材採用にあたって「学部・学科」や「大学時代の成績」をあまり重視していない。
出典91/0/年卒 内定状況及び採用活動に関するアンケート
' 1//8年8月 毎日コミュニケーションズ(
57
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
早期化する就職・採用活動
○現在、学生の就職・採用活動については、企業側には経団連の「倫理憲章」が、大学側には就職問題懇
談会の「申合せ」が、選考活動早期化の歯止めとして存在するが、ほとんど機能していない状況。
倫理憲章'抄(≪企業側≫
1-選考活動早期開始の自粛
卒業・終了学年の学生が本分である学業に
専念する十分な時間を確保するため、選考
活動の早期開始は自粛する。まして卒業・終
了学年に達しない学生に対して、面接など実
質的な選考活動は現に慎む。
経団連加盟企業約800社が
憲章を遵守する「共同宣言」に署名
申合せ'抄(≪大学側≫
'0(就職・採用活動の早期化是正につ
いて
学校教育上重要な時期である卒業学年当
初及びそれ以前は、学内及び学外で企業が
実施する採用選考のための「企業説明会」に
対して会場提供や協力を行わない。
(就職指導に積極的な大学も存在)
(外数に外資系企業等が存在)
企業側・大学側とも、取決めを守りにくい構造。
双方とも、取決めを守る「インセンティブ」を付不する仕組みを考えていくことが肝要。
58
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学進学と格差問題
○3年制大学への進学率については、両親の年収によって差がある。例えば、年収1//万円以下の家庭で
は進学率が17-1%に留まるに対して、01//万円超を越える家庭では51-7%に達している。
70.0
62.8
60.0
62.1
54.8
50.0
49.4
43.9
40.0
33.0
30.0
28.2
20.0
10.0
0.0
200万円以下…
200-400万円…
400-600万円…
600-800万円…
800-1000万円…
1000-1200万円…
1200万円超…
出典9高校生の進路と親の年収の関連について'1//4年度アンケート調査(
'1//8年6月20日東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター(
59
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学進学と格差問題'奨学金制度(
○学生納付金の国際比較を見ると、
①国立'州立(大学については、アメリカの大学では入学金が存在せず、実質的には日本のほうが高額
②私立大学については、アメリカの大学では学生納付額は高額だが、奨学金や授業料減免等の支援措
置が充実
○ アメリカにおいては、連邦政府が貸与・給付を含め多様な奨学金事業を実施しており、支援が充実と
いったことから、授業料の額のみで実質的な経済的負担の状況を比較できない。
'0( 国立大学の学生納付金の国際比較
国 名
入学料
授業料
年 額
備 考
日 本
'国立(
'2008(
有
有
'標準額'学部((
・入学料9
17-1万円
・授業料9
42-5万円
計 9
70-7万円
各国立大学は文部科学省令'「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(に定める
標準額の01/%の範囲内で授業料等の額を決定。
'2008年度においては、大学学部において、入学料・授業料は全国立大学で標準額と同額(
アメリカ
'州立(
'2005(
無
有
・授業料9
州外からの学生の納付額は左記より高い場合がある。
57-8万円
'1( 私立大学の学生納付金の国際比較
国 名
入学料
授業料
施設
整備費
日 本
'2007(
有
有
有
・入学料9
・授業料9
・施設整備費9
アメリカ
'2005(
無
有
無
'全国平均(
・授業料9
年 額
16-3万円
72-4万円
08-/万円
18/-3万円
'参考・ハーバード大学(
・授業料9
234-7万円
備 考
左記は平均であり、大学・学部により異なる。'金額は2007年(
「定価授業料」と大学独自奨学金や教育減税等を割り引いた「純授業料」の
平均'2006(
・公立3年制大学
・私立3年制大学
5,800ドル → 2,700ドル '24.6万円(
22,200ドル → 13,200ドル '120.1万円(
60
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学進学と格差問題'奨学金制度(
'2( 奨学金の国際比較
内
国 名
事 業
事業为体
対 象
総 額
日 本
'2009年(
貸与奨学金
①無利子
②有利子
受給者数
0人当年額
'独(日本学生支援
機構
学部生、院生
貸与
9,475億円
004万人
'32.8%(
無利子貸与
学部936.0~76.8万円
修士960.0~105.6万円
博士996.0~146.4万円
有利子貸与
学部936.0~144.0万円
大学院960.0~180.0万円
連邦
学部生
給付
1.4兆円
406万人
'平均(
27.9万円
連邦、大学
学部生、院生
給付
1,313億円
77万人
'平均(
14.9万円
スタンフォード
奨学金
連邦、
民間金融機関 等
学部生、院生
貸与
5.4兆円
'利子補給有(
51/万人
'利子補給無(
363万人
'平均(
利子補給有936.2万円'学部生(
82.2万円'院生(
利子補給無940.2万円'学部生(
115.6万円'院生(
連邦教育減税
連邦、州
保護者、学生、返
還者
減税
6,593億円
741万人
'平均(
7.7万円
連邦、大学
学部生、院生
貸与
1,268億円
40万人
'平均(
24.7万円
※給付なし
アメリカ
'2006年(
容
形態
ペル奨学金
ワークスタディ
'勤労修学奨学金(
パーキンス
奨学金
出典9「教育指標の国際比較'平成10年版(」等'文科省資料(
為替レートは、0ドル<111.75円
61
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
公的支援の不足'奨学金(
保護者等の収入と大学進学率について
○保護者の年収と大学進学率については、国公立大学でみれば年収による差は大きくないが、私立大
学・受験浪人については、保護者の収入に比例して、大学進学率が変化。
○また、県民所得と大学進学率においても、県民所得の多い地域での大学進学率は高い一方、県民所得
が低い地域では大学進学率が低い。
出典9大学受験パスナビ 今月の視点2009年8月0日更新分
http://passnavi.evidus.com/teachers/viewpoint/20090901viewpoint.html
62
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
公的財政支出の国際比較
○日本の高等教育への公的財政支出は、対GDP比では、OECD加盟国中で最下位となっている。'OEC
D平均0-/%に対して、我が国は/-4%(
63
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
一人当たりの高等教育支出'公的*私的(の国際比較
○我が国の高等教育段階への一人当たりの教育支出は、OECD並。
→ 公的財政支出が尐ない分、家計など「私的支出」で補われている状況
米ドル.人.年
24000
Tertiary education
22000
OECD average
20000
18000
16000
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
Russian Federation1
Turkey1
Slovenia
Brazil1
Chile
Mexico
Czech Republic
Estonia
Slovak Republic
Poland1
Hungary1
Israel
Korea
New Zealand
Germany
Portugal1
France
Spain
Finland
Australia
Ireland
Netherlands
Japan
Belgium
Italy1
Sweden
United Kingdom
Austria
Switzerland1
Denmark
Iceland
Norway
United States
Luxembourg1
0
教育機関経費'学校、大学、教育行政等(
①教育機関の公的教育支出
1. Public institutions only.
教育経費
【参考】OECDによる教育関係への支出についての整理
Countries are ranked in descending order of expenditure on educational institutions per student in primary education.
Source: OECD. Tables B1.1a. See Annex 3 for notes (www.oecd.org/edu/eag2009).
※教育機関側から見れば「収入源」
研究開発経費
②私的教育支出への公的補助
③授業料の私的支出
④大学での研究への公的支出
⑤企業からの研究資金
教育以外の ⑥給食、通学、寮などへの公的支出
※色塗りの①②④⑥が
サービス経費 ⑦サービスに対する私的支出
「公的財政支出」の区分
64
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
基盤的経費・競争的資金の現状
;参考=基盤的経費の推移'物件費(イメージ図
平成15年度
平成16年度
基盤的経費
基盤的経費
'为な内訳(
平成17年度
基盤的経費
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
効率化係数▲0%
基盤的経費
臨時的減額▲0-7%
基盤的経費
○学生の教育経
費
基盤的経費
基盤的経費
○教員の基盤的
な研究経費
基盤的経費
○建物や設備の
維持管理経費
など
教育・研究に必要な基盤的経費が圧迫
中期計画の達
成に必要な経
費
縮 減
法人化に伴い
必要となった経
費
法人化以前
法人化以前は必要のなかった消費税+労働安全衛生法
対応経費など
第1期 中期目標・中期計画期間
第2期
外国大学との学術協定の推進等の国際交流、地域・企業等と大学の知的資産や人的なネットワーク
を有効に活用した産官学連携、また、大学の環境対策や安全衛生への強化など
65
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
基盤的経費・競争的資金の現状
○ 我が国の競争的資金は増加しているが、米国に比較して約0.0/の規模
'米国はNIH91-6兆円、DOD9/-4兆円、NSF9/-3兆円、NASA/-3兆円等:1//4年(
○科研費の一件当たりの平均配分額は178万円であり、平成04年度の223万円をピークに減尐し続けている'採択率は
約1/%(。一方、米国の为要制度であるNSF、NIHでは、一件あたり、0///万円'約0万ドル(を大きく越える水準。
科学研究費'新規*継続(の0件あたりの平均配分額
'千円(
4,000
科学技術関係予算に占める競争的資金の割合'日米比較(
3,500
3,000
3,272
3,342
3,230
3,123
2,898
3,017
2,915
2,889
H19
H20
2,500
2,000
H13
H14
H15
H16
H17
H18
【参考】米国の为な研究助成機関の概要
米国科学財団'NSF(
機関名
予算総額
为な事業
研究助成
国立保健研究所'NIH(
6,084 百万ドル
※1
4,853 百万ドル
※1
研究グラント
教育人材開発
766
※1
トレーニング
研究施設設備
167
※1
職員給与等
282
29,312 百万ドル
※3
20,378 百万ドル
※4
770
※4
研究開発契約
3,270
※4
※1
所内研究
3,074
※4
4
※1
研究管理経費
1,373
※4
12
※1
その他
1,520
※4
申請件数
44,415
※2
58,714
※5
採択件数
11,145
※2
15,052
※5
国家科学審議会経費
監査室経費
採択率
1件あたりの
平均年間
支給額
25 %
142,800
ドル
※2
※2
26 %
352,768
ドル
※5
※6
※0
※2
※3
※4
※5
'総合科学技術会議「第9回基礎研究強化に向けた長期方策検討WG'H21.10.29(参考資料2より(
http://www.nsf.gov/about/budget/fy2010/pdf/03_fy2010.pdf
http://www.nsf.gov/about/budget/fy2010/pdf/o7_fy2010.pdf
http://www.nih.gov/about/almanac/appropriations/index.htm
http://www.report.nih.gov/nihdatabook/Charts/SlideGen.aspx?chartId=4&catId=1
http://report.nih.gov/success_rates/index.aspx
'上記の“Grants: Applications, awards, success rates, and total funding, by Institute/Center, mechanism, activity code, and funding source, FY 2008(
※6 グラントの総額は、※5中に記載'5,309百万ドル(。これを採択件数で除した。
66
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
グローバル化しない若手研究者
○これまでの経歴において移動経験がある者の割合は増えているものの、そのうち海外勤務経験者の割
合は0/%程度にとどまっており、近い将来、海外で研究を行う予定のある者もほとんどいない状況
○研究者の海外への派遣状況については、派遣者総数は増加傾向にあるものの、多くは短期派遣であり、
長期派遣について見ても近年は減尐傾向

これまでの経歴における移動経験及び海外勤務経験の有無


期間別派遣研究者数の推移
近い将来、海外で研究を行う予定の有無
出所9科学技術白書'平成10年版(
67
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
グローバル化しない若手研究者
○日本から海外へ派遣された研究者は増加傾向にあり、特に中国、韓国等アジア諸国への派遣が増加
○派遣者数は増加傾向にあるものの、多くは短期派遣であり、長期派遣は減尐傾向である

エリア別派遣者数

派遣先上位4ヵ国

機関別派遣研究者数
出所9国際研究交流の概況'平成07年度(
'平成10年2月 文部科学省(
68
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
グローバル化しない若手研究者
海外における研究者動向;米国における実態=
○近年は、インド、中国からの留学生数が増加
図9米国における出身国別留学生数
出典9総合科学技術会議 科学技術外交戦略タスクフォース第2回'平成21年9月15日(
資料1 アジアにおける日本の科学技術外交
69
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
グローバル化しない若手研究者
'参考(
出所9我が国の留学生制度の概要'文部科学省(
70
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
グローバル化しない若手研究者
○海外への流動性が低い理由は、帰国後のポスト問題、コネクション等の他、生活環境等にも要因あり
○流動性が増加した場合のデメリットとしては、ノウハウ流出の懸念等の他、退職金、年金等の制度面の問
題も挙げられる

国内から海外への流動性が低い理由

流動性が増加した場合のデメリット
出所9我が国の科学技術人材の流動性調査
'文部科学省科学技術政策研究所(
71
海外における研究者動向;中国人研究者=
○中国においては、科学技術力の向上を狙い、積極的な留学生支援策及び国外で活躍する優秀な自国の
人材の呼び戻し政策を講じている。
'留学支援策(
○ハイレベル留学生派遣計画
・・・中国のトップレベル大学の優秀な学生を選抜し、海外の一流大学へ国費留学させる計画'期間92007~2011年(
'国外人材呼び戻し政策(
○百人計画'1994-(・・国内外の優秀な研究者を中国科学院に年0//名程度奨招聘
○留学生創業圏'1994-(・・インキュベーターで留学帰国生の起業を手厚くサポート
図9中国における留学生・留学帰国数の推移
出典9中国統計年鑑
72
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
天才・奇才の発掘・育成への課題
○学校教育法においては、高等学校に1年以上在学し、大学の定める分野において特に優れた資質を有する者を大学
に「飛び入学」させることができる旨、規定されている。
○「飛び級制度」については、小・中・高校では現在制度として確立しておらず、大学においてのみ認められているところ。
飛び入学制度
平成11年度入試における飛び入学実施大学
大学名
千葉大学'国立(
名城大学'私立(
昭和女子大学'私立(
成城大学'私立(
エリザベト音楽大学'私立(
会津大学'公立(
実施学部
文学部・理学部・工学部
理工学部
人間文化学部・人間社会学部・生活科学部
文芸学部
音楽学部
コンピュータ理工学部
制度導入年度
平成10年度
平成13年度
平成17年度
平成17年度
平成17年度
平成18年度
※現在飛び入学制度を導入している大学は上記の5校のみで、
平成08年度までに飛び入学をした者は61名。
~飛び入学が普及しない要因~
'文部科学省の見解 出典92007年4月11日読売新聞夕刊(
'0(個人や大学へのメリットが明確でない
'1(条件にある「特に優れた資質」の判定が困難
'2(飛び入学で大学に進むと高卒の資格が得られず、大学を
中退した場合、中卒資格になってしまう
等
飛び級制度
【小中学生(義務教育)】
小学校・中学校の義務教育では生徒は平等に扱わなければならないという観点から、いかに優秀であろうと英才教育としての飛び級は認められていない。一部の私立
中において、成績優秀な生徒は国語・数学・英語等の特定教科に限って0学年上の授業を学習できるシステムを導入しつつあるが、この場合も在籍は学齢学年に置かれ
ている。小・中学校の義務教育では教育基本法・学校教育法により学齢と修業年限が決まっているので、飛び級や早期就学の制度の導入には法改正が必要である。
【高校生】
高校についても、基本的に飛び級は認められていない。'学校教育法により、高等学校の就業年数は、全日制については2年とされている。(一部高校において、成績
優秀な生徒に限って0学年上の授業を学習できるシステムを導入している例もあるが、この場合も在籍は学齢学年に置かれている。'学校教育法第45条(
【大学】
大学については、飛び級の形を取り入れた、早期卒業制度がある。早期卒業制度は、特に優秀な学生に限り、3年間以上の在籍で卒業を認めるものである。早期'3
年間で(に大学を卒業することにより、学費分の経費を使って海外留学などに充てることも可能。また、大学院へ進んだ場合は学部入学から5年で修士号を取得すること
ができる。'学校教育法第78条(
<参考例:名城大学の飛び入学、飛び級を使った事例>
一般的な場合
飛び入学
飛び級制度を
利用した場合
5年
小学校
5年
2年
中学校
2年
2年
高校
1年
飛び入学
3年
大学
2年
飛び級
大学院
73
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系離れ問題の現状
○理工系大学生の進路については、就職率は横ばいで推移しているものの、1985年に80.8%であった就職率は2008年
の58.5%に低下し、逆に大学院等への進学率が14.7%から34.5%まで上昇している。
理工系大学生の進路の変化
出典:中小企業白書(2009)74
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系離れ問題の現状
○1//2年以降の学部別一年次学生数の推移を見ると、尐子高齢化が続く状況の中で、学生の数の減尐自体は避けら
れないが、他の学部と比較して、特に工学部の入学者数がより厳しい角度で減尐している。
出典91//8「日本の光学技術者の地位向上」についての調査提言 社団法人日本工学会 調査提言小委員会資料
75
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系離れの進展
○理工系大学生数について全体としては大きな変化はないが、工学部に入学する学生数をみれば、0888年の00-6万
人から、1//6年に8-6万人と約1万人'06%(の急減。一方、医学・薬学系への入学は増加している。
全国の大学生数
うち 理学の大学生数
工学の大学生数
農学の大学生数
医学の大学生数
歯学の大学生数
薬学の大学生数
合計 理工系の大学生数
全大学生数に占める理工系大学生数について
1///年度
1//8年度
人数'人(
割合'%(
人数'人(
割合'%(
2,520,593
100
2,527,319
100
82,637
3.2
81,889
3.2
410,683
16.3
403,406
16
74,902
3
75,454
3
47,115
1.9
48,003
1.9
16,463
0.7
16,126
0.6
54,767
2.2
54,302
2.1
686,567
27.2
679,180
26.9
大学学部理工系学部への入学者数推移
'出典(文部科学省学校基本調査
76
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系離れの進展
○日本の中学1年生に対する国際調査の結果、数学の勉強は楽しい、理科の勉強は楽しいと、強く思うと答えた生徒は
尐なく、国際的な比較では下位に属する。理科離れ・工学離れは初等・中等段階など若い世代から起こっている。
数学の勉強は楽しいと答えた児童の割合(中学二年)
理科の勉強は楽しいと答えた児童の割合(中学二年)
77
出典9TIMSS1//6
出典9TIMSS1//6
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系離れの進展'国際学力オリンピック、PISA調査(
○国際科学オリンピックでは、近年、日本代表者がメダルを獲得している点やPISA科学的リテラシーの順位によれば45
カ国中4位であった点から、学力的には、世界では上位にある。米国・中国などは常に上位にランクされている。
○一方、同じくPISA調査において、子供の理科学習への意欲についてみれば、トップ2の国々と比較すると、我が国は、
理科の勉強のやりがい、理科実験の実施の面について、大きく务っている。
各国際オリンピック1//8年 日本の成績一覧
数学
生物学
化学
物理
地学
参加
参加
代表
金
国数
者数
者数 メダル
93
520
6
5
56
221
4
1
64
250
4
2
72
317
5
2
14
50
4
0
銀
メダル
銅
メダル
0
3
1
1
4
計
1
0
1
2
0
6
4
4
5
4
出典9各オリンピック公式ホームページ
国際数学オリンピック 国際順位の推移
'順位(
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
日本
中国
アメリカ
ロシア
出典9PISA科学的
リテラシーの調査
78
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系人材の進学・進路状況
○理工系人材の進学状況は、修士課程については、国立大学の約44%以上が進学しており、私立では約03%が進学
している。国立私立とも、文系の進学率を上回っている。また、博士課程については、国立大学の約14%が進学してお
り、私立では約05%が進学している。共通して、学費が安く、施設整備費のかからない国立大学の方が、修士・博士課
程への進学率が高い。
大学卒業生の修士課程への進学率
大学卒業者数 a
文系'人文・社会・教育(
理系'理学・工学・農学・保健(
工学部
文系'人文・社会・教育(
理系'理学・工学・農学・保健(
工学部
国公立大学
私立大学
大学院'修士(進学者 b
40,877
58,017
32,238
276,500
104,896
58,262
進学率'b/a(
7,677
32,198
20,987
9,513
14,806
9,899
18.8%
55.5%
65.1%
3.4%
14.1%
17.0%
修士課程卒業者の博士課程への進学率
大学院'修士(卒業者数 a
7,971
30,555
20,092
9,334
13,608
9,296
文系'人文・社会・教育(
理系'理学・工学・農学・保健(
工学部
文系'人文・社会・教育(
理系'理学・工学・農学・保健(
工学部
国公立大学
私立大学
大学卒業生の修士課程への進学者数
大学卒業者数
大学院'博士(進学者 b
進学率'b/a(
1,526
7,639
2,385
1,530
2,291
456
19.1%
25.0%
11.9%
16.4%
16.8%
4.9%
修士課程卒業者の博士課程への進学者数
大学院(修士)進学者
276,500
大学院(修士)卒業者数
大学院(博士)進学者
30,555
104,896
40,877
58,017
7,677
国立文系
※資料中単位は全て人
32,198
国立理系
7,971
9,513
私立文系
14,806
私立理系
7,639
1,526
国立文系
13,608
9,334
1,530
国立理系
私立文系
2,291
私立理系
出典9平成10年度学校基本調査
79
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系人材の進学・進路状況
○就業者は1//7年で55+757人で、直近4年間で00-0%増加している。その中で製造業への就職者数は、全体の伸びを
上回り、13-7%増で11+647人である。卸売・小売業、飲食店、宿泊業その他サービス業で0/~1/%の減尐を見せた一
方、金融・保険業が4年間で6割を超える伸びを見せ、 0+485人となっている。
出典91//8「日本の光学技術者の地位向上」についての調査提言 社団法人日本工学会 調査提言小委員会資料
80
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
理工系人材の流動性'実態(
○任期制、公募制の導入による人材の流動性の向上が高まり、特に若手の移動が増えているが、移動は
大学間が多い
○大企業の研究員の流動性は一般の企業人に比べ低い
○移動を阻害している要因としては、移動した人材の持つ知財等の扱い、移動してきた人材の画一的な処
遇、退職金・年金制度の違い等が挙げられる

研究組織別平均移動回数

転職経験の有無
JST ReaDにおける科学技術人材の流動性に関する考察
81
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
特定分野しか研究対象としない博士課程教育
○博士課程においては教育研究が狭い専門領域に入りすぎており'タコツボ化(、広い視野を持った人材が育ちにくい。
○早稲田大学では、様々な分野でキャリアアップを遂げ、その専門知識や技術が社会で一層有効活用されることを目指
し、実践的な研究人材の育成に取り組んでいる。
文部科学省中央教育審議会大学院部会'第32回('平成10年4月07日(資料より抜粋
;大学院部会におけるこれまでの意見=
○大学院教育では、研究者のみならず社会で役立つ人材を育成することが重要。欧米と比較すると、我が国は人社系の博士はまだまだ尐なく、会
社経営者等として活躍している人も尐ない。博士の活用に対する社会の民度を高めるとともに、大学院においてより社会で役立つ良い人材を輩出
することの双方が必要。
○博士課程の教育研究は狭い専門領域に入りすぎている。学生为体で自由なテーマ設定を可能にするなど、蛸壺型教育に陥らない体制を確立す
ることが必要である。博士課程で専門領域以外は分からないというような人材を育ててはいけない。
○大学院において、同系列の学部からの進学者だけでなく、他分野からの進学者も取り込んで、分野融合的な教育研究を実施するのは望ましいこ
とである。
早稲田大学実践的博士人材育成事業
若手研究者の意識改革
・理系若手人材の個別面談
・研究指導者・企業アンケートに
よる問題可視化
・キャリアパスガイドブックを作成
し意識改革促進
若手研究者の能力開発
・産業界から求められる人材育成
のために
・講演や研修会の実施。
・英語やプレゼンテーション能力
開発のプログラム
産業界との交流促進
・産業界との交流促進、ネットワー
ク構築
・内外の関連機関との連携強化
・外部委員会等の組織化
組織的・全学的な対応
・総長を中心とした、学内の教育
関連組織や教育関連組織との
有機的な連携を推進
・戦略的な対応
82
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
融合的人材の育成
○東京女子医科大学では、0858年に先端生命医科学研究所を設立し、医学部内に設置された工学研究の場として独創
的な研究開発および人材育成に取り組んできた。1//7年に東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究
教育施設'TWins(に移設し、新たな先端医療産業を切りひらく人材を育成するカリキュラムとして、東京女子医科大学バ
イオメディカル・カリキュラムは、工学系、薬学系等の技術者などを为な対象に、これらの人たちが日常業務に従事しなが
ら、医学全般についての系統的な知識を学べる講座を提供している。
東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設 (TWIns)
東京女子医科大学
先端生命医科学センター
TWIns 20,036m2 (2008年3月オープン)
再生医療、先端医療の教育研
究、関連するプロジェクトの拠
点。セルプロセシングセンター
'GMP対応、臨床研究用(、小動
物・大動物実験施設、オープン
MRI装備大動物用インテリジェン
ト手術室、分子生物学実験室、
生化学実験室、化学合成実験室
を含む。
メディカルイノベーションラボ
共同研究企業との産学連携促進エリア
早稲田大学
先端生命医科学センター
理工学術院、教育・総合科学
技術院をはじめ全学に開かれ
た先端医療医工学および生命
科学の教育、研究拠点。
共同スペース
-医学と工学の融合拠点-
2,750m2
組織培養や動物実験など、東京
女子医科大学、早稲田大学によ
る医療・理工学融合研究と新分
野の研究を推進するスペース。
◆東京女子医科大学バイオメディカル・カリキュラムの特徴
○実習研究から論文指導までの本格カリキュラム・・毎週木曜日午後と土曜日の講義、実習を通して、基礎、臨床医学ダイジェストを0年
間で学ぶことができます。医学と工学が融合した最新の先端医学、バイオメディカル分野を広く網羅
○先端医工学研究者と交流可能な学習環境・・2008年から東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設'通称
TWins(を利用した講義、実習等が行われています。
○学内外からの著名な講師陣・・他大学・病院・研究機関・企業から先端医学・バイオメディカル分野において第一線で活躍している約03/
名の講師を迎えている。
○異分野・競合企業受講生同士の本格交流・・医療・医療用具関連産業をはじめ、各種企業等から幅広く参入しており、企業の高度な社
員教育に大きな貢献。
83
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
教員への技術人材の転職事例
○特別免許状制度は、教員免許を所持していなくても、都道府県教育委員会の裁量により、特別免許状を
授与することにより、その者を教員として採用することができる制度である。この制度を利用することによ
り、高度な知識を所有する博士課程卒業者を、初等・中等教育の教師として迎え入れることも可能となる。
①特別免許状制度の概要
制度開始9昭和52年の教育職員免許法の改正により制度化。
制度の目的9大学での養成教育を受けていない者で、優れた知識や技能を有する社会人に免許状を与え+教員として
迎え入れることにより+学校教育の多様化への対応と、活性化をねらいとする'博士号取得者に限らない(
免許授与者9都道府県教育委員会
選抜方法9 都道府県教育委員会の行う教育職員検定による。検定内容は書類審査、面接、論文等、年齢制限、
保有資格等は各都道府県の判断'合否の決定に際し+学校教育に関する学識経験者等の意見聴取(
免許の範囲:授与した都道府県内のみで終身有効'平成19年の改正以前は4~0/年の有効期間有(
担任について9担任できる教科等についての制限は無い'平成0/年の法改正(
普通免許状への上進9平成12年の免許法改正により+特別免許状を有する教員が+3年以上の在職年数と所定の
単位'中・高の専修免許状の場合25単位(の修得により普通免許状を取得できることとなった
②特別免許状制度を活用した博士課程卒業者の教員としての採用事例
○秋田県9 1/年度4名、10年度0名採用。出身の内訳は、物理1名、生物1名、工学0名、農学0名となっている。
○岩手県9 10年度0名採用。出身の内訳は、理工学部が0名となっている。
84
現在の産学協働による教育プログラム開発事業'産業人材育成パートナーシップ(
○「産学人材育成パートナーシップ」での検討・方針を踏まえ、大学と産業界の協働による人材育成プ
ログラムの開発とその実証等を行い、産業界のニーズと実際の教育との間のミスマッチの解消や横断
的・制度的課題、業種別課題の解決に取り組む。
○ 平成20年度において、大学、高専等が66校、企業が239社参加。
個別分野への
具体的な取組
分科会
全
体
会
議
化学
機械
原子力
経営管理
サービス
人材
材料
資源
情報処理
金融人材
電気電子
バイオ
起業家
人材
【博士人材対策】
・課題発見力、課題解決力を重視した「博士課
程改革」
【学部人材対策】
・産業の最先端でも活躍できる人材のため、
基礎分野を理解できる「基礎教育の強化'学
部教育改革(」
【大学教員対策】
・「若手大学教員の企業派遣」による意識改革
制度的な取組
【大学改革】
・第3期'平成12年度~(科学技術基本計画への反映
85
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学の教育改革等の関係者・関与
最近の大学教育の改革等'推進体制・関係図(
【基本政策専門調査会「将来の産業社会の基盤を
支える科学技術系大学院生のための教育改革
H22.1】
大 学
【中長期的な大学教育の在り方について'諮
問(H20.9】
大学の質を保証し、社会からの信頼の向上を図
るため、大学教育の中長期的な在り方について、
次に掲げる事項を中心に検討していくことが必要
・社会や学生からの多様なニーズに対応する大
学制度、教育の在り方
・グローバル化の進展の中での大学教育の在り方
・人口減尐期におけるわが国の大学の全体像
について
【中長期的な大学教育の在り方に関する第一
次報告~大学教育の構造転換に向けて~
H21.6】
【中長期的な大学教育の在り方に関する第二
次報告H21.8】
公的な質保証システム、大学院教育、学生支援・
学習環境整備に関する審議経過を整理するととも
に、以下についても整理
・第一次報告で提言した内容を更に発展・充実
・第一次報告では論点整理にとどまった内容の
検討を具体化
・新たな課題の整理
大学規模・
大学経営部会
大学行財政
部会
大学グローバル
化WG
内閣府
(方
針
提
示
)
'提言(
文部科学省
(
諮
問
)
'連携(
(
協
力
)
(
報
告
)
中央教育審議会
'大学分科会(
産業人材育成
パートナーシップ会議
日本学術会議
'連携・協力(
'総合科学技術会議(
(
連
携
)
'連携(
経済産業省
【第3回産業人材育成パートナーシップ
全体会議-今後の方向性について論点①H21.7】
・産学対話の成果が大学教育におけ
る質保証の在り方に関する動きに反
映されるよう協力すべき
・産学協同による人材育成プログラムが
各分野における到達目標、コア・カリ
キュラムに反映されるよう協力を行っ
てはどうか
'詳細審議(
【大学教育の分野別質保証の在り方に関する審議
について'依頼(H20.5】
大学院部会
質保証システム
部会
学協会等における为体的な取組を促進するとともに、
大学の自己点検・評価又は第三者評価等の評価活動
の充実を図る観点から、学位の水準維持・向上など大
学教育の分野別質保証の在り方について審議を依頼
'審議中(
86
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
カリキュラム事例①
○産業界ニーズの高い高分子、化学工学の教育が十分でない大学教育の現状を改善するため、大阪大学
大学院工学・理学・基礎工学研究科工学計の修士・博士課程カリキュラムを開発し、実践的な教育の定着
を図る。
[実施機関]
国立大学法人大阪大学[12FYより自立運営] '受講生9約13/名(
[ねらい]
・高分子科学分野における産業界のニーズと大学院教育のミスマッチを解消する。
[内容]
●基礎・実践高分子教育'10FY開発、11FY実証(
教育プログラム
入門編
ポリマー材料 プ
ロセス入門
・産業界からのニーズの高い高分子科学・技術に関する修士課程学生を
対象とする教材を大学教員と企業研究者・技術者が協力して作成・講義し、
高分子の基礎から応用技術まで幅広く身に付けさせる。
高分子基礎研究
実例講座
実践プロセス
講座
ポリマー材料
実践講座 Ⅰ
'高分子設計から(
ポリマー材料
実践講座 Ⅱ
'材料加工技術(
企業における研
究開発事例
高分子物性研究実
例講座
高分子加工研究実
例講座
●集中交流型インターンシップ・研修'10FY試行、11FY実証(
・総合的な研究力を身に付けさせる博士課程学生を対象とし、若手教員と大学院生が企業訪問や合宿を通じ、企業の若手研究者と
研究内容を議論する中で交流を深める「集中交流型インターンシップ・研修」を実施する。
派遣型グループミーティング
[概要]
○若手教員と博士課程学生のグループで企業を訪問し、各自の研
究トピックスの発表と議論を通して、企業研究者と交流
○企業における研究のテーマ設定や開発の進め方、成果の実用化
に向けた具現化を理解させる。
[21FY 計2回試行]
・若手教員
・博士課程学生
課題設定力・解決力育成合宿
[概要]
○博士課程学生と企業研究者が
分野を定めて仮想的な共同研究
企画を作成
○企画のプレゼンテーションと議論
を通じて、研究課題の設定力・解決
力を育成するとともに、合宿を通じ
てこれらの議論を行うことにより
相互の交流・理解を深める
87
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
カリキュラム事例②
○産業界が求める人材像を参照し、最先端エレクトロニクス'デジタル家電(製品アーキテクチャ、最新無線
理論・計測、最新スマートフォン上の新機能デザイン&実装の2タイプの産学による実践的な教育プログ
ラムを2大学院で実証し、01/名の大学院生が受講。
[実施体制]
[取組概要]
管理法人9みずほ情報総研'株(
事務局9'社(電子情報技術産業協会
IT・エレクトロニクス人材育成検討会:産学による人材育成推進チームの
企業、大学が参画し、産学連携人材育成を推進
企業 (23社)
株式会社日立製作所
シャープ株式会社
パナソニック株式会社
富士通株式会社、
ソニーEMCS株式会社
株式会社ルネサステクノロジ
他
アンリツ株式会社
連携
教材提供
機材提供
講師派遣等
スキル要件
策定
22社参画
大学 (8大学)
慶應義塾大学
東京工業大学
電気通信大学 他
教材開発
プログラム開発
9社3大学参画
スキル要件・新卒人材像策定/教育設計での活用
IT・エレクトロ二クス分野の業界団体・加盟企業22社と関連学
科・専攻を有する大学との連携体制の立ち上げ
3つの実践教育プログラムを開発:単位認定科目として120名
大学院生が受講(21年度)
22年度には自立化・面的展開に向けた取組や教育ノウハウ移転
を通じて自立化・継続可能なカリキュラムと体制を実証予定
並行して、電気・電子分野の人材育成推進に向けた各種取組・
情報発信を実施
教育プログラムの開発・実証
【最新製品技術&マネジメントスキル】
先進エレクトロニクス製品アーキテクチャ講座
【短期集中型理論・応用&実践演習】
無線通信計測特別講義
【製品デザイン&実装演習】
実システム創造型プロジェクト
教育拠点:慶応義塾大学
協力企業:シャープ、富士通、ソニーEMCS、日立
教育拠点:東京工業大学
協力企業:富士通、シャープ、ルネサス、アンリツ
最新デジタル家電製品のアーキテクチャやメカニ
ズムを解説。技術面と併せ、マネジメントスキルにつ
いて理解を促進。
製品設計・開発で必須な無線通信理論と応用を
大学教員、企業技術者が教育
最新の情報家電プラットフォーム等の知識を習得
した上で、新たなユーザエクスペリエンスをデザイン
座学を主体とするが、実製品に触れる機会やマネ
ジメントスキルではチームでの演習なども
製品設計・開発の基盤技術である通信計測を最
新の無線通信計測機器に用いた演習を通じて実践
的な計測技術も習得
そのデザインを実際のスマートフォン(Android)上
で実装。これにより、新たな情報家電製品のデザイ
ン力と実践力を養成
大学院生等90名の受講
大学院生24名の受講
大学院生10名の受講
教育拠点:電気通信大学
協力企業:パナソニック、ソフトデバイス
88
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
社内での再教育の現状
○近年、労働費用に占める教育訓練費は増加傾向にあるものの、中小企業においては、低い水準の状態
が続いている。
 労働費用に占める教育訓練費の推移
出所9厚生労働省 雇用政策研究会資料
'平成08年0/月(
89
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学の教育にかかる評価の実態
○教員の教育面での業績評価を導入している大学は増加傾向にあるものの、まだ5割もの大学が未導入
の状況。
教員の教育面の業績評価の実施状況について'学部('大学数(
0
50
14年度
45
10
15年度
45
12
16年度
45
60
18年度
63
69
150
200
公立
私立
218
'平成08年度(
・大学の総数9631校
・教育面の業績評価の
実施数9校
実施割合
→ 約32%
154
177
◇教育面の業績評価の実施例
国立
127
156
32
350
088
138
25
300
076
130
22
250
050
106
16
17年度
19年度
100
208
出所9文部科学省「大学における教育内容等の改革状況について」より
'室蘭工業大学(9 多角的評価の実施、結果の公表等
教員による教育目標と達成度の自己評価、学生による授業評価、教育貢献評価、総合評価'教育、研究、社会国
際貢献、部局・大学運営(の4カテゴリーから成り立つ教員の教育活動に重きを置いた多角的評価を実施。評価結
果は各個人へ通知し、分析結果を報告書及びホームページ上で公表。
'近畿大学(9 教育面での業績評価と賞与への反映等
学校法人近畿大学教職員評価に関する規定に基づき、教員による教育業績、研究業績、管理運営活動、社会活
動等の各項目について自己評価を実施。評価委員会において審査し、評価結果を賞与支給時に反映。
90
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
国立大学法人評価と大学機関別認証評価
国立大学法人評価(中期目標達成状況評価)
大学機関別認証評価
評価対象機関
国立大学法人、大学共同利用機関法人
国立・公立・私立大学(短期大学を含む)、高等専門学校
評価の目的・
評価結果の利用
国立大学法人に対する評価制度は、大学運営の自主性・自立性
や教育研究の専門性を遵守しつつ、評価により、大学の継続的な
質的向上を促進するとともに、社会への説明責任を果たすことを
目的とする。(教育研究活動の中期目標等に対する業績評価及び
継続的な質的向上の促進 )
大学の教育研究水準の向上に資することを目的とする。 (大学
の教育研究活動等の質の保証)
評価結果は、次期以降の中期目標・中期計画の内容や中期目標
期間における運営費交付金等の算定に反映させる。
大学の教育研究活動等の状況について、国の認証を受けた機関
(認証評価機関)が、自ら定める評価の基準に基づき、大学を定
期的に評価し、その基準を満たすものかどうかについて社会に向
けて明らかにすることにより、社会による評価を受けるととも
に、評価結果を踏まえて大学が自ら改善を図ることを促す。
評価の方法
各法人ごとに定める中期目標・中期計画(教育研究)の達成度
及び分野別の研究業績等の水準について評価を実施
大学からの求めにより、大学評価基準(認証評価機関が定める
基準)に従って実施
評価の実施機関
国立大学法人評価委員会の要請を受け、(独)大学評価・学位
授与機構が実施
(独)大学評価・学位授与機構(国立・公立・私立)
(財)大学基準協会 (主に私立・公立)
(財)日本高等教育評価機構 (主に私立)
※ 大学は複数の認証評価機関の中から選択して評価を受ける(大学等の理念や特色
は多様であることから、個性輝く大学づくりを推進する評価の在り方に配慮すると
ともに、様々な評価機関がそれぞれの特色を生かして評価を実施することにより、
大学が多元的な評価を受けられるようにすることとしている)
評価の周期
中期目標期間(6年)
7年以内毎に評価を受ける
評価の範囲
教育研究の状況についての評価(管理運営については対象外)
大学の教育研究等(教育研究、組織運営、施設及び設備)の総
合的な状況について評価
根拠規定
【国立大学法人法】
国立大学法人評価委員会(文部科学省)の評価は、(独)大学
評価・学位授与機構に対し、国立大学の教育研究の状況について
の評価の実施を要請し、当該評価の結果を尊重して当該中期目標
の期間における業務の全体について総合的な評定をして、行わな
ければならない。
【学校教育法】
大学は、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令
で定める期間毎(7年以内毎)に、文部科学大臣の認証を受けた
者(認証評価機関)による評価(認証評価)を受けるものとす
る。
機構は、国立大学法人評価委員会から評価の実施の要請があっ
た場合には、遅滞なく、その評価を行い、その結果を評価委員会
及び当該国立大学に提供するとともに公表するものとする。
※このほか、以下の評価制度あり
・各事業年度に係る業務実績評価'必要がある場合には改善勧告(
・暫定評価'次期中期目標等や交付金算定反映のため4年度目に実施(
大学等の教育研究水準の向上に資するため、大学等の教育研究活
動等の状況について評価を行い、その結果について、当該大学等
及びその設置者に提供するとともに公表するものとする。
・専門分野別第三者評価'法科大学院など専門職大学院(
91
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
技術者教育プログラム認定制度
○我が国の大学等における教育の質を向上させ、それを客観的に評価するための仕組みとして、大学等の
高等教育機関で実施されている『専門工学教育プログラム'技術教育プログラム(』の審査・認定を行う。
③審査実施
専
門
学
協
会
②審査実施指定
④審査結果報告
①教育プログラム認定申請
⑤認定
(
(
工
学
系大
プ学
ロ
グ等
ラ
ム
)
J
A
B
E
E
日
本
技
術
者
教
育
認
定
機
構
)
協力関係
産
業
界
質の保証
優秀な人材輩出
※各大学からの申請に基づき、専門学協会が審査、JABEEが工学系教育プログラムの認定を行う。
92
Ⅱ-技術人材の育成・流動化・活用
大学間連携の動き'国内(
複数機関の連携による大学院設置の類型
0-連携大学院
・連携大学院とは+ 学外における高度な研究水準を持つ研究開発独法や民間の研究所等の施設・設備や人的
資源を活用して大学院教育を行う大学院のこと。
・連携先'研究開発独法や民間の研究所等(と大学院が連携して、研究者を育成していく制度。
・大学院の客員教員'併任(に連携先の職員が就任し、連携先で大学院生を学位取得まで指導。
例9産総研の場合、全国54大学の72の理工系の研究科等と協定締結。
1-連合大学院
・連合大学院とは、複数の大学が協力して教育研究を実施する大学院のこと。
・連合大学院の目的は、大学間で得意分野の講座を提供し合い、教育や研究の質を高めようというもの。
・大きく分けると、1つは修士課程のみを持っている大学同士が集まって、博士課程の大学院をつくり、研究の核
となる連合研究所を設置するもの。もう1つは、独立した大学院同士が、単位互換制度をとるもの。この場合、所
属する研究科の単位をある程度取らないと、制度を利用できないのが通常。
例9東京学芸大学、埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学による連合学校教育学研究科'为大学は東京学芸大学(
岩手大学、帯広畜産大学、弘前大学、山形大学による 連合農学研究科 '为大学は岩手大学(
2-共同設置型
・/7年の大学設置基準改正で、複数の大学が同一カリキュラムを編成し連名で学位を授与する学部・大学院の
共同設置が可能となった。
・早稲田大と東京女子医科大の大学院が共同で設置する「共同先端生命医科学専攻」の設置届を受理したのが
第一号'/8年7月末(。
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