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生態系に関する環境影響評価
京都大学大学院地球環境学堂教授
森本 幸裕
はじめに
筆者に課せられたテーマは「生態系に関する環境影響評価」であるが、たい
へん難しい課題である。本来必要とされる要件に対して、なかなか万全な対応
は本質的に困難ともいえる。また、筆者は日本のこの制度を監督する立場では
なく、制度として要求される水準を解説することはできない。ここでは、これ
まで関わってきたいくつかの環境アセス事例や、アセス手法に関連する研究成
果、さらにアメリカの事例や考え方も含めて、幅広く検討し、今後のよりよい
方向を見出していくための材料を提供したい。
生態系とは本来、ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物
的環境をまとめて、ある程度閉じた相互作用系として見る見方であり、あらゆ
る生物はもちろんのこと、無機的要素も含まれる。人間に直接的な影響の及ぶ
いわゆる公害に関わる環境要素に関する環境影響評価は、その評価目的が本来
的に明瞭なので、その方法や基準や目標についても論議がしやすいのに対し、
生態系についてはたいへん難しい。
その理由は(1)生態系自身がたいへん複雑であってかつ、未知の部分がた
いへん多いこと、特にそのダイナミックな挙動については複雑系といわれるよ
う に 、通 常 の 予 測 や 評 価 に な じ ま な い 点 も あ る こ と と と も に 、
( 2 )保 全 措 置 を
検討する際に、どの程度の影響なら許容されるかとか、守るべき自然環境の水
準 を ど の よ う に 設 定 す る か 、ひ い て は 、
( 3 )生 態 系 へ の イ ン パ ク ト が ど れ だ け
人類の福利に影響が及ぶかということを明瞭に示すことが困難な点にある。
そのため、法制化アセスで上位性、特殊性、典型性の観点から指標種を選ん
で生態系を評価する手法はひとつの考え方ではあるが、決定版とも言えない。
ここでは、まず、生態系評価には、種からのアプローチと生息環境、ハビタッ
ト、フィジオトープからのアプローチ、生態系の機能からのアプローチがある
ことを述べ、定量的評価手法として種群のハビタット希少性を評価する試案を
紹介する。さらに、生態系の定量評価に基づいた自然環境保全措置が実際に行
われているアメリカでのバンキングの実態を紹介する。
1.生態系の定量評価の必要性
従来型の、日本のアセスメントについては、はじめから事業実施が決まってお
り、これは「アセスメント」ではなく「アワスメント」ではないかという批判
1
が 根 強 く あ っ た 。こ の 原 因 の 一 つ は 、評 価 が 定 性 評 価 に な っ て い る こ と に あ る 。
す な わ ち 、影 響 が あ る か な い か と い う 結 論 に お い て 、
「 影 響 が な い 」あ る い は「 影
響が無視できる」という結論がほとんどで、これは定性評価であり定量評価と
はいえない。
このような批判を踏まえ、法制化されたアセスでは生態系の評価が必要にな
った。従来のアセスにおいては、話題となっている稀少種であるとか、大事な
植物、動物が存在するからこれは保全しなければならないという際に、最後の
手段としてそれらを移植するという対策がとられてきた。しかしこれが批判を
招く要因でもあった。私もこの移植について何度か専門家としての立場からコ
メントを求められたり指導を求められたりしたことがあったが、個体だけを移
植しても存続性が担保されない。その原因には、いくつかあり、立地条件が違
う と い う 無 機 的 な 面 以 外 に 、ト ー タ ル に 生 態 系 、す な わ ち 無 機 質 、有 機 質 、様 々
なプロセスを含めたシステムとしての評価、あるいは対策ということができな
かったという点があると思う。取り返しのつかないことを避けるという意味で
のアセスメントとすると、稀少な個体がなくなるというのは非常に大きな問題
であるからこれを大事にしなければいけないというのはもっともである。さら
に、これを補完するという意味での生態系の評価が必要ではないかと考える。
「アワスメント」ができなかった事例、すなわち定性評価で影響があるとされ
た 事 例 は 、 こ れ ま で に い く つ か あ っ た 。 古 い 事 例 で は 、 尾 瀬 道 路 ( 1971 年 )、
大 雪 山 道 路 ( 1973)、 小 笠 原 空 港 ( 1996,7)、 大 山 山 麓 ゴ ル フ 場 ( 1997) の よ う
な事例がある。最近の特徴として、必ずしも自然公園の特別地域であるとか、
天然記念物のように貴重ということが自明な地域ではなく、これまで法律的な
保護の手が加わっていなかった場所(白地地域)も課題となってきている。こ
れは生態系としての見方が必要であるということの裏返しではないかと考えて
い る 。有 名 に な っ た 事 例 と し て 、新 石 垣 空 港( ア オ サ ン ゴ 群 落 : 1989)、藤 前 干
潟 ( 干 潟 : 1999)、 三 番 瀬 ( 干 潟 : 1999)、 愛 知 万 博 ( 里 山 : 1999) の 事 例 が あ
る。最初の三つの事例は浅い海に関連した事例であり、浅海域と干潟、すなわ
ち海への問題である。もう一つの事例が里山の問題である。これまで浅い海と
か干潟というのは、自然がなくなってきたというのはよく知られた事実である
が、里山的なものを今後どう扱っていくのかということが、生態系の定量評価
にとって非常に大きな課題であろうといえる。
2.定量的評価の手法
(1)
HEP( Habitat Evaluation Procedure)
米国では定量的な評価を実施しなければならないということが合意されており、
古 く か ら い く つ か の 方 法 が と ら れ て き た 。 HEP 以 外 に も 複 数 の 定 量 化 の 手 法 が
2
ある。これらはインパクトがどの程度あり、それをどうすればどの程度、和ら
げられるかということ。また、どうしても避けられない影響があるとしたら、
それをどのように緩和するかということを定量評価する必要性による。対象地
以外のところにおいて生態系にプラスの措置をとることにより補償しようとい
う場合に、そちら側でどれだけプラスのことをできたのかということも評価し
なければいけないので生態系の定量評価が必須となった。
Habitat
( ハ ビ タ ッ ト )と い う の は 野 生 生 物 の 棲 み 場 所 、生 息 地 の こ と で あ る 。
ハ ビ タ ッ ト を 評 価 す る Procedure( プ ロ シ ー ジ ャ ー )、 す な わ ち 、「 手 順 」 が 付
い て い る こ と が 大 変 重 要 な 点 で あ る 。す な わ ち 、HEP は 決 め ら れ た 手 順 で あ り 、
学問的に唯一無二の真理を示しているものではなく、手続きとして担当者、行
政など、ステークホルダーが合意すれば良いというものである。つまり開発と
保 全 の 合 意 形 成 の ツ ー ル の Procedure と し て の 意 味 が 強 く 、 こ の た め に 誰 に で
も 理 解 で き る 言 語 と し て の Habitat Evaluation を 実 施 す る こ と に 特 徴 が あ る 。
重要なポイントとしては、野生生物を対象にした手法であり、無機的な条件は
対象にしていない。
HEP で は 、 チ ー ム が 必 要 と な る 。 こ れ は い わ ゆ る 開 発 か 保 全 か 、 い ろ い ろ な
意識を持った方が、例えばどのような指標種を選択するかという検討に加わる
ことに非常に重要な意味がある。
さ ら に 、 HEP の 重 要 な 特 徴 と し て 、 陸 域 の 場 合 は カ バ ー タ イ プ に よ り 分 割 区
域の輪郭線を引くという作業が、データセットとして基礎をなしているという
ことがある。事前に利用可能なデータセットを全部収集し、対象地域に生息す
る重要な生き物に関して既往にどのような研究があり、どのようなデータが得
ら れ て い る か と い う こ と を 全 部 踏 ま え た 上 で 、 こ の HEP を 実 施 す る わ け で あ る
が、この際に何を評価に使うかという評価種及びそのハビタットの選好性、適
性 ( SI) モ デ ル を 選 択 す る 。 こ れ が 生 態 系 の 定 量 評 価 の 方 法 論 と し て 重 要 な と
ころである。
こ の 場 合 の 単 位 と な る 生 態 系 の 影 響 、 こ れ は HU( Habitat Unit、 ハ ビ タ ッ ト ・
ユ ニ ッ ト ) で 評 価 さ れ る 。 こ の ユ ニ ッ ト と い う の は HEP に お け る 交 換 で き る 価
値であり、経済学の世界でいえば貨幣に相当するものである。それゆえ、貯金
も可能で、貯金したところから引き出しもできる。こういう思考の転換を迫る
よ う な 概 念 で あ る 。そ の HU が 基 準 年 度 に お い て ど れ ぐ ら い か 、目 標 の 年 度 に お
い て ど れ ぐ ら い か と 、 い く つ か の 年 度 に お い て 予 測 す る 。 カ バ ー タ イ プ は HEP
のベース図面になる。
その図面は植生、水系、地形などから総合的に判断して均質化したものをも
とに区分したものである。これは動物の立場から考えて重要な区分ということ
になる。基本的にわが国の各種データセットと比較して異なるのはこの点であ
3
ろう。特に植生について、わが国でもいわゆる植物社会学的な立場からの組成
か ら 評 価 さ れ た 全 国 の 植 生 図 が 整 備 さ れ て い る が 、こ の 場 合 は 組 成 で は な く て 、
実 際 に あ る 景 観 的 に 均 質 化 し た も の ご と に 分 け て 区 分 し た も の で あ る 。こ れ は 、
植生そのものや種の組み合わせそのものを問題とするよりは、ハビタットとし
ての動物の側から見た棲み場所のクオリティーを考えた際に、種組成も意味は
あ る が 、そ れ 以 上 に 相 観 的 特 徴 、例 え ば 優 占 種 の 生 活 型 や 木 の 高 さ で あ る と か 、
密度であるということが重要であるということに起因している。このような状
況を踏まえ、むしろ組成よりは構造的な目から見た均質なものを単位としてカ
バータイプを分けるということが非常に重要な特徴である。
HEP は 、 土 地 を こ の カ バ ー タ イ プ ご と に 評 価 し よ う と い う も の で あ る 。 す な
わ ち HU で 評 価 す る 。 50ha の 土 地 が あ っ た と し て 、 最 適 な ハ ビ タ ッ ト に 対 し て
餌 が 半 分 し か な い 場 合 は 25ha の 最 適 な ハ ビ タ ッ ト と 同 じ 価 値 を 持 つ と 考 え る
こ と に よ っ て 代 替 案 を 評 価 す る こ と が 可 能 に な る 。SI( Suitability Index)と
いうのは対象地について環境要因の適性度から評価した指数である。この餌、
水 、 植 生 な ど に 適 性 曲 線 を 求 め て 統 合 し て HSI( Habitat Suitability Index)
を求める。この際に課題となるのが、それぞれ適性曲線が異なるが、これらを
統合する方法として相加平均をとるのかあるいは相乗平均なのかという点であ
る。ものにより結果は異なるが、これは時と場合に応じて目標に対してどれが
一番説明できるか、という点で評価する方法が決定される。
また新しい課題が発生するごとに適性曲線を考え直す。これが可能なシステ
ム が HEP で あ る 。 二 番 目 に マ ル チ ハ ビ タ ッ ト 種 と い わ れ る も の で 、 あ る ハ ビ タ
ットだけではなくて複数の異なったハビタットを要求する種がいる。このマル
チ ハ ビ タ ッ ト 種 を HEP で ど の よ う に 評 価 す る か と い う こ と 、 あ る い は モ ザ イ ク
構 造 に 依 存 す る 種 を ど の よ う に 評 価 す る か ど か と い う こ と に つ い て は 、 HEP の
技術改良が進んでいる。次に問題になるのは空間スケールである。例えば樹冠
の疎密の度合いであるとか、種々詳しいところまで調べようと思うと手間がか
かる。事業レベルのスケールだと図に書くことができても、もう少し大きなス
ケールになると動物ハビタットはカバータイプの区分だけで難しいこともある。
空間スケールにどのようにうまく対応した適性曲線を考えるかという点も課題
である。
根本的に問題としてあるのが、次の二点である。一つは指標種を使うという
ことである。この指標種というのは、その種が特別な意味を持っているかどう
か と い う こ と と は 別 な と こ ろ か ら 判 断 す る 必 要 が あ る 。 HEP の 場 合 は 専 門 家 が
重 要 な 意 味 を 持 つ 。 HEP の チ ー ム を 組 む 時 か ら 始 ま る 。 よ く わ か ら な い 適 性 曲
線は専門家がこうだと書く。よくわからない場合でもこれまでの経験や蓄積、
天の声で書いてしまう。また、指標種をどうするかということに非常に根本的
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な問題がある。それから全種について対象とするわけにはいかず、限られた種
を対象とせざるを得ないところに本質的な問題がある。もう一つは、動物の生
息環境、ハビタットを評価する場合に、生息地の評価から推定するが、それは
ポテンシャルの評価である。実際にその動物が何匹いるかとか、何個体、いく
つの群れがいるかとか、そのような予測というよりは、むしろその場所の評価
を行っているという特徴がある。たとえばカスミサンショウウオを利用したポ
ピュレーションのダイナミックスをいくつかシミュレーションし、その絶滅確
率で開発の評価研究を行ったことがある。これは実際に絶滅する確率が、ある
開 発 と 、 そ れ を 例 え ば 1/3 に 縮 小 す る と か 、 代 替 案 と し て 池 を つ く る と ど う な
るかとか、複数のシナリオを設定し、実際にメタ個体群モデルをつかって、絶
滅確率によって影響を評価した。本来は生物への影響がどうなるかということ
を考えるときには、このような検討を行わなければいけないが、これを実施す
る に は デ ー タ を と る こ と も 大 変 で あ る 。 1 種 だ け で も 大 変 手 間 が か か る 。 HEP
の場合は個体数ではなく、その潜在的生息地で評価しようとする。
こ の よ う に 、 HEP に つ い て は 、 指 標 種 を ど う 選 択 す る か と い う 問 題 と 、 ポ テ
ンシャル評価が実際に個体群動態にとってどの程度意味あるか、という二つの
課題がある。
(2)
PHABSIM( Physical Habitat Simulation)
これまでに行われている定量的な評価手法のうち、二つの手法を紹介する。
一 つ は PHABSIM と い う 手 法 で あ る 。 Physical Habitat の Simulation と い う こ
とで、物理的な環境条件で生息環境を評価する手法である。この手法の考え方
も ポ テ ン シ ャ ル 評 価 で あ る 。特 徴 は 、物 理 環 境 だ け で 評 価 す る と い う 点 で あ る 。
例えば、ある河川の流れについて魚にとっての質を評価しようというものであ
る。従来、魚の個体群に対して用いられることが多い手法である。パラメータ
は川の水深、流速、堆積物、あるいはカバーの状態であるとか、カバーという
と厳密に言えば物理的ではないが、魚にとってはそのようなものである。基本
的 に は 流 れ は HEP に 類 似 し て お り 、 HEP と 異 な る 点 は 具 体 的 な デ ー タ を 全 部 収
集し適性曲線をできるだけ現地に即して設定していくということであり、対象
地 の 物 理 環 境 を 調 べ る 。 そ こ で 生 息 調 査 を 実 施 し 物 理 環 境 に 対 す る SI
( Suitability Index)を 求 め 、そ れ か ら ポ テ ン シ ャ ル ・ ハ ビ タ ッ ト を 評 価 す る
という流れである。それぞれのメッシュについて、1 から 0 までで評価する。
対 象 地 を 全 部 積 算 し 、 HEP に お け る HU( Habitat Unit) に 相 当 す る も の を 計 算
し、開発の影響、あるいは保全措置の影響、効果を評価しようという手法であ
る。
一般的に言えば、河川のフィジカル・ハビタットを調べて、それに対して実
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際どのような魚がどこで何匹いるかというデータをつくる。それを対照地点、
操作しないコントロール地点、実際作業をミティゲーションする地点の3種の
地点で計測すれば、保全措置の評価が可能である。筆者は水力発電による減水
区間で魚類生息環境の劣化がおこるのを、瀬淵構造に手を加えれば、影響を緩
和できるかどうかを、この手法で検討したことがある。このような事例ではど
れだけデータに再現性があるのかをはじめ、いろいろ問題があるが、傾向はそ
れなりに出てくる。環境アセスで自然環境保全措置を考える際に重要な点は3
種の地点で調べたことである。つまり、減水していないもともとの状態(リフ
ァ レ ン ス )で ど う か 、影 響 が あ っ た と こ ろ で 何 も 自 然 環 境 保 全 措 置 を し な い( コ
ントロール)の状態でどうか、保全措置をやったらどうなったか、それをやる
前とやる後はどうなったかというのをきっちり把握することが重要なのである。
いままでモニタリングというのはとにかく調べればいいということで、調査先
行型でやっている例が多いが、労多くして功少ない場合もあろうかと思う。意
味 の あ る デ ー タ を と ろ う と す る と 、こ う い う M-BARCI サ ン プ リ ン グ( Lake:2001、
森 本 2004) が 本 来 的 な も の と 思 う 。 実 際 に は 、 既 に リ フ ァ レ ン ス が な い な ど 、
無理な場合も多いが、このようなことを目標にしないと、不毛な論議が起こる
可能性も少なくない。
PHABSIM は 単 純 な 物 理 環 境 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 生 態 系 の 評 価 で あ り 、
単純なだけにいろいろなシナリオを考えて評価することが簡単にできるという
メリットがある。このような面からこれから川の魚以外にも応用が可能なので
はないかと思っている。
生態系の定量化の方法というのはなにも1種類だけではなくて、いろんな方
法 が 考 え ら れ て 良 い と 思 う 。 そ の 場 そ の 場 で 課 題 に な る Target Species( 対 象
種群)は異なり、生態系を保全しなければならない理由というものが、時と場
合によって変わってくる。それに応じて適切な定量評価の方法を考えていく。
これが大事なことである。
(3)
Hydrogeomorphic approach
湿 地 の 生 態 系 の 状 態 の 定 量 評 価 の 方 法 で 、米 国 陸 軍 工 兵 隊( US Army Corps of
Engineers 、 湿 地 の 開 発 行 為 の 許 認 可 権 限 を 有 す る 機 関 ) が 開 発 し た
Hydrogeomorphic approach( ハ イ ド ロ ・ ジ オ モ ル フ ィ ッ ク ・ ア プ ロ ー チ ) と い
う 手 法 で あ る 。 HGM と い う 。 こ れ は 生 き 物 に つ い て 直 接 評 価 す る こ と は 大 変 で
あり、むしろ無機的な条件、ジオモルフィックな立場から機能、ファンクショ
ン で 評 価 し よ う と い う 特 徴 が あ る 。 米 国 の 場 合 は 湿 地 の No Net Loss の 原 則 が
あり、湿地保全が水質保全法で守られており、この法律がこの手法を実施する
根拠になっている。ほかの湿地のアセスの方法と比べて最も異なるのは、全体
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と し て の 体 系 を 持 っ て い る 点 で あ る 。HEP、PHABSIM は そ の 場 限 り で 成 立 す る も
の で あ る 。 そ の 場 限 り と は 、 そ の 対 象 地 内 だ け で 完 結 す る も の で あ る が 、 HGM
の根本的なところは、湿地の成立する地質的な流れも含めて全部に分類体系が
できていることである。対象湿地が全米における湿地の分類体系から見ると、
一体どこに当たるかをまず調べるというのが大事な点であり、これはほかの方
法と全く異なるところである。二番目の特徴はリファレンスを使う点である。
PHABSIM で も 述 べ た よ う に 、 い わ ゆ る 開 発 等 の 影 響 を 受 け て い な い リ フ ァ レ ン
ス・サイトのデータが必要であると述べたが、リファレンスの湿地を評価し、
これに対して対象としている湿地がどれだけのものかという評価を行う。これ
は機能の評価をするものであり、これが二番目に大きな特徴である。要するに
湿地分類体系を持っているということと、リファレンス・サイトに対してどれ
ぐらいのものかというのを考えることが二つの大きな特徴である。
体系について少しだけ紹介する。例えば河畔に成立する湿地、あるいは凹ん
だ 地 形 に で き る 湿 地 、ス ロ ー プ に で き る 湿 地 、フ ラ ッ ト な 湿 地 な ど 、ハ イ ド ロ ・
ジオモルフィックなクラス、主要な水源の種類のクラスとか、いくつかのレベ
ルに分かれて体系化される。水の維持のされ方、その成因、どのようにして成
り立っているかという点とか、派生的な性質、このようにいくつかのサブクラ
スに区分される。
機能については、生き物が実際そこにいるかよりも無機的な機能を重視して
いる。窒素の固定、窒素の循環、栄養の循環、生物地球科学的な循環、全体と
しての生態系の健全性のように、機能といっても非常に細部にわたる機能から
全体としての働きまでいろいろあるわけであり、多くの機能を調べることで評
価しようというものである。
たとえば凹んだ地形にできる水溜まりのケースや、斜面にできる湧水湿地で
あるとか、あるいは川の横にあるとか、それぞれの湿地に対して一番良いリフ
ァレンスを決め、それに対して対象となるものを評価していこうというもので
あ る 。機 能 と い う の は ど う い う も の が あ る か 。
『ミティゲーション』
(森本幸裕・
亀 山 章 編 ) と い う ソ フ ト サ イ エ ン ス 社 ( 2001) か ら 出 版 し た 本 に 紹 介 し た 。
基 本 的 な 流 れ は 、Characterization と い う ア セ ス 対 象 と す る 事 業 の 特 性 を 明 ら
かにするフェーズ、アセスをするフェーズ、分析のフェーズという3つのフェ
ーズがある。
こ の 中 で 機 能 だ け で み て い る と 見 落 と し が ち な も の も あ る 。こ れ を 避 け る た め 、
例えばレッドフラッグ・フィーチャーズというものを考えており、もうそこは
触らないというようなことを、事前に対象とする事業の重要な課題としてチェ
ックすることになっている。レッドフラッグ・フィーチャーズというのは非常
に人為的な有害物質が蓄積しているような場所もあるが、自然環境の保護地と
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か、ラムサール条約で指定された重要な場所とかが挙げられている。
基 本 的 な 評 価 手 順 と し て は 、Functional Capacity( FC)、Functional Capacity
for Wet Area Assessment、 対 象 と す る 湿 地 の 状 態 に そ の サ イ ズ 等 を 含 め て 、 先
ほ ど 述 べ た HU み た い な 概 念 を 計 算 す る も の で あ る 。機 能 が 満 足 さ れ た ら 良 い と
いう考え方で、その計算により複数の場所を比較する。開発する前と後とでど
うなるか、そういう比較を機能評価で行う。開発する前はいくらで、開発直後
は機能は下がるけれども、ミティゲーションが始まるとだんだん回復する、ミ
ティゲーションをやらなかったらそのまま、という具合である。
実際に代償の行為、例えばある開発でなくならざるを得ない湿地の代わりに
別に湿地をつくるとしたときに、その湿地の機能というのが当然前より劣る可
能性が高い。その機能が劣るとしたら面積をその分多く確保することになる。
ど れ だ け た く さ ん 確 保 し た ら い い か と い う こ と に つ い て は Compensation Ratio
という概念がある。これは機能評価で算出される。
3.定量的解析の試案
こ れ ま で 紹 介 し た 手 法 は 主 に Physical Habitat が 基 準 に な っ て お り 、ポ テ ン
シ ャ ル を 基 準 と し て い る 。し か も 指 標 種 と い う の が HEP の 場 合 に は 重 要 で あ る 。
われわれが重要と考えるのはやはり生物種群であるが、非常に厳密なアセスを
大規模な面積で実施することは大変な労力を要する。例えば道路の線形を絞り
込むときに、詳しい生物分布調査を全域にわたって実施し、複数の代替案の検
討を実施することは不可能である。このような場合に複数の代替案を簡単に評
価できないものだろうか、というところからこのような手法を提案している。
一つの特徴は評価手順が割合簡単だという点である。この評価手順は現在の土
地評価図、これに対してハビタット・マトリックスを考える。これは景観生態
学でいうパッチ・コリドー・マトリックスのマトリックスではなく、種群がハ
ビタットをどう評価するかという組み合わせ評価図である。これによって各生
物群のハビタット価値図を作成する。これに対してハビタット依存度指数とい
う重みを乗じたもので全体の価値図を作成し、その後でインパクトがどのよう
なものかというのをこの図で検討しようという図面である。
図 -1 の 事 例 と し た 課 題 は 、高 速 道 路 の 路 線 変 更 計 画 に 伴 う 三 つ の ル ー ト の ハ
ビタット影響評価である。この際に、具体的に重要になる絶滅危惧種や稀少種
については一切考慮しない。何が問題になったかというと、実は湿地のあたり
を計画路線が通っており、実際に保全が課題になっているのは水辺の生き物で
あ っ た と い う 前 提 の も と で 行 っ た 検 討 で あ る 。 こ の と き 従 来 型 HEP を カ エ ル で
やったらどうかということもある。しかし高速道路の路線の生き物に対する影
響、生態系の影響というのは、いくらカエルが指標種的な意味を持つといって
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もそれだけで評価することはちょっとおかしいだろう。広い範囲であり、多様
な生物がいるためできるだけ全部評価したいということで、いわゆる生態学で
大まかな言い方として区分される四つに種群を分けて考えた。その一つがジェ
ネラリスト及びエッジ種である。ジェネラリストというのはどのようなハビタ
ットでもなんとか生息していける種をいう。本当に存在するかどうか、厳密な
意味ではなかなか存在しないのであろうが、考え方としてはそのような種であ
る。エッジ種、この場合は主に森林に対するエッジを考えており、比較的森の
スケールが小さくても出てくる種である。これまでに鳥の研究からエッジ種と
森林内部種に分けて評価すると、いろいろな法則性が成り立つということがわ
かっている。われわれも都市の断片化した緑地に対してどのような鳥がいるか
と い う こ と を か な り 長 い 間 調 べ て お り 、エ ッ ジ 種 と 内 部 種 で 分 け て 整 理 す る と 、
種数と生息地との関係を説明しやすい。このようなことが前提に、このような
区分になっている。それから草原種は米国でもいま課題になっている。植生遷
移の初期に出てくる鳥がだんだん減少しており、絶滅の危機に瀕しているとい
うことがアスキンズ氏の指摘によってわかってきている。
図1
この研究事例は、対象地にもともとある高速道路の規格を変更する際に、代
替ルートを二つ、独自に考えて評価したものである。自然環境の特別保留地に
対する保全ということが課題となっている高速道路ルートの影響評価の例であ
る。簡単に土地評価図を書いているが、これに対してハビタット・マトリック
9
ス は 表 -1 の と お り で 、 ジ ェ ネ ラ リ ス ト 、 エ ッ ジ 種 、 森 林 内 部 種 、 草 原 種 、 河 畔
及び水系種、四つの種群に分けたときに、先ほどの土地被覆の区分、市街地、
農地、草原、低木、森林、水、河畔林、裸地、お花畑、雪原、道路、これらに
対して彼らが棲めるかどうかという非常に高いハビタットの価値を持っている
か 低 い か 、 こ れ を HEP で の 適 性 曲 線 を 専 門 家 が 書 く よ う な つ も り で 評 価 し て い
る。
表1
この際に単にその種にとってどうかということではなくて、道路に隣接して
いた場合とそうでない場合というのは異なる。草原とか低木とかいろいろな区
分に対してそれぞれの生き物の反応というのをとりあえずまとめてみたという
こ と で あ る 。こ れ を も と に ジ ェ ネ ラ リ ス ト 及 び エ ッ ジ 種 、森 林 内 部 種 、草 原 種 、
河畔及び水系種にとってこの地域がどの程度意味あるか、という目安が一応書
ける。河畔及び水系種にとっては水辺しか意味がないとか、一方でジェネラリ
ス ト に と っ て は ど こ で も い い と い う 、あ た り ま え の 話 を 表 現 し た の が 図 -2 で あ
る。
10
図2
手順としては、ハビタットの価値図のメッシュ数からハビタット依存度指数
( HDI)を 計 算 す る 。HDI は そ れ ぞ れ の 種 群 に と っ て の ハ ビ タ ッ ト の 価 値 が 高 い
のがこれだけあり、低いのがこれだけあるという数値(メッシュ数)である。
これに対して、全域のなかで、個々の場所にどれだけ依存しているか、という
依存度指数が出てくる。河畔とか水系種というのが高くなってくる。このよう
なデータから重み付けをする。すなわち、何かインパクトがあった場合に、河
畔とか水系の種に対するインパクトというのは非常に限られたところにしか適
地がないのであるから、そこへのインパクトの持つ意味が非常に大きいためそ
の重み付けが大きくなる。エッジ種についてはそうではなくなる。これをもと
にして全体の全部の生物種群のハビタットの価値図というような図が書ける。
これら全部を積算すると、湿地の辺りの価値が高いという図が描ける。この価
値図を描き、道路の線を描く。道路の影響範囲は、一定の幅を考える。この幅
をどれぐらいにするかということはつぎのように検討する。つまり感度分析を
行うことができる。ある一定の幅について影響があるという具合に考えて、例
え ば 、表 -2 の よ う に バ ッ フ ァ ー の 幅 を 0m、90m、330m、990m で 考 え る 。た だ 道
路の幅だけで見たとき、それからバッファーをいくつかとってみたときなど、
いろいろ評価しているが、いずれを見ても、オールタナティブの1番目(代替
1)が比較的良いだろうというのが相対的な数値から明らかになった。すなわ
11
ち こ の 方 法 で は HDI、 ハ ビ タ ッ ト の 依 存 度 指 数 を 提 案 し た 。 言 い 換 え れ ば 各 生
物種群の重み付けをして、その重み付けをするときの指数として、利用可能な
生息地の稀少性を表現したいという目的で考えたものである。
表2
異なるハビタットバリューと道路影響幅によるハビタットインパクト
この提案の特徴の一つは、生物種群による評価というのはレッドリストとか普
通種を含めた評価が可能である点である。わが国では評価種を抽出する際に、
生 態 系 の 影 響 評 価 は 典 型 性 、上 位 性 、稀 少 性( 特 殊 性 )、に 基 づ く 評 価 が 行 わ れ
ているが、これを補うものではないかと考える。しかも予備的な段階で、土地
利用図があれば簡単に作成できるため、詳細な調査を行う前のスクリーニング
に役に立つのではないかと考えている。
利用上の注意点は、これらの数値が概算値であり微妙な差というのは意味がな
いことである。今回はバッファーを変えることで感度分析をやってみたが、入
力 変 数 の 値 を 変 え て み て い ろ ん な 反 応 を 見 る と い う 展 開 が 可 能 で あ る 。 HDI 指
数であれば簡単なため、利用しやすいのではないかと思っている。
4.ミティゲーションバンクとコンサベーションバンク
以 上 の 生 態 系 評 価 に 基 づ い て 、保 全 措 置 を 市 場 経 済 の な か で 行 う ス キ ー ム は 、
まだ日本で認知されていない。アメリカの事例について、PPTで示す。
文
献
・森 本 幸 裕・亀 山
章 編 : ミ テ ィ ゲ - シ ョ ン -自 然 環 境 の 保 全 ・ 再 生 技 術 、ソ フ
ト サ イ エ ン ス 社 、 2001
・藤田洋輔・森本幸裕:アメリカにおけるミティゲーションバンク事例研究、
日 本 緑 化 工 学 会 詩 33( 1): 266- 269、 2007
・今 西 純 一 、森 本 幸 裕 :高 速 道 路 予 定 地 選 定 の 一 般 的 指 針 と し て の ハ ビ タ ッ ト 影
響 評 価 の 試 み ,国 際 景 観 生 態 学 会 日 本 支 部 会 報 7(2), 41-49. ,2002
12
MBのメリット
MB
のメリット
ミティゲーション・バンキングとは
•
開発によるロスに備え、開発者だけでなく、
開発
よる
備え 開発者だけ なく
自治体、民間などが野生生物生息環境を復
元したり、創造したりする事業を債権化し、そ
創造
す 事業を債権
の債権を売買することができるようにしたシス
テムのことである。開発者はこの債権を買うこ
とで保全措置をしたとみなされる。開発の需
要が多ければ価格は上昇するし、自然回復
の成果がはかばかしくなければ価格は下落
するという、市場原理が働くことになる。
1.背景
生
態
工
学
的
意
義
1:個々の事業レベルを超えた、まとまったスペース
まとまったスペースを必要と
する種と生態系の保全
する種と生態系の保全。
2:火入れなど人家の近くでできない管理を必要とする生態
系の保全と復元。
3:急速に失われつつある里地生態系や絶滅危惧種など
重要拠点の事前確保。
重要拠点の事前確保
4 既に失われた氾濫原などにおける自然の計画的復元
4:既に失われた氾濫原などにおける自然の計画的復元
自然の計画的復元
自然の計画的復元。
社
会
的
意
義
1:開発のパワーで保全
開発のパワーで保全ができる。
開発の
ワ で保全ができる。
で保全
2:許認可手続きにおいて、バンク面積などを通して保全努
保全努
力が一般的に理解されやすい。
力が一般的に理解されやすい
3:専門技術蓄積
専門技術蓄積に役立つ。
専 技術蓄積 役立
4:開発前に保全措置
開発前に保全措置が開始できる。
off site mitigation out of kind mitigation
対象地外での代償ミティゲーションにクレジットを与えて、市場取引を
(森本幸裕2000:日本におけるミティゲーション・バンキングのフィジビリティについて)
1.背景
コンサベーション・バンキング(CB)
コンサベ
ション バンキング(CB)
ミティゲーション・バンキング
ミティゲ
ション
ンキング
対象
運用期間
クレジット
計算方法
コンサベーション・バンキング
ンサ
ション
ンキング
湿地
絶滅危惧種
ある時点で終了
永久的に保護
機能を評価する手法
HEP、
HEP
、WET
1 acre = 1 credit
Use, and Operation of Conservation Banks より作成)
1995: カリフォルニアDepartment of Fish and Game
Bryte Ranch Mitigation Bank
1998年以前 湿地(牛の放牧)
開発圧
ブドウ畑化
1998年より バンクとして管理
全体573
573 acres
•ミティゲーション・バンク
141.820 acres
= 157.846 credits
•コンサベーション・バンク
431 180 acres
431.
= 431.180 credits
住宅開発
(U.S. Fish and Wildlife Service (2003):Guidance for the Establishment,
3.結果
バンク運営
3.結果
• 2002~2005の総売上
計 $8,237,861(約
(約8
8億円)
7.3 credits
• バンク運営費用
護岸開発
MB 67.431 credits
CB 143.870 credits
カテゴリー
カテゴリ
ポイント
1)
保存面積(573 acres)
・1 acre = 0.002 points
573×0 002 = 1.146
573×0.002
1 146 で計算
1.146
2)
希少Vernal pool タイプ
0.000
3)
絶滅危惧種
(Lepidurus packardi,
packardi Branchinecia lynchi)
・2種=2ポイントで計算、調査がまだ完了していないの
で、さらにポイントが加算される可能性がある。
2.000
4)
特別に注意すべき稀少種
・調査がまだ完了していないので、さらにポイントが加
調査がまだ完了していないので さらにポイントが加
算される可能性がある。
0.000
5)
サイトの状況
・在来種の多様性と豊富度(最大
在 種
様
富
最 0.8)
・ハビタットの多様性(最大 0.6)
・物理的撹乱度(最大 0.4)
・移入種の蔓延度(最大 0.2)
0.800
0.600
0.300
0.180
6)
サイトの防御可能性
・隣接土地利用(最大 0.8)
・流域の完全性と防御可能性(最大 0.8)
・エッジ効果(最大 0.4)
0.700
0
700
0.600
0.350
平均 $17,641(約
(約180
180万円)
万円)/年
• 現時点で456
456年
年運営
できる資金がある
できる資金がある。
•
SAFCA (Sacramento Area
Flood Control Agency)による護
岸プロジェクト(Dry Creek etc.)
合計ポイント
Bank Value = 6.676 ÷ 6 = 1.113
Total Credits = 1.113 × 141.820 (acres of vernal pools /swales)
= 157.846
3.結果
1997年 CBとして運営開始
•コンサベーション・バンク
コンサベ ション バンク
3,267 acres
= 3,267
3 267 credits
6.676
3.結果
バンク運営
Kern Water Bank
1994年 水供給プロジェクト
3.結果
Vernal pool のクレジット計算
• 2003~2004の総売上
CB 156 credits
計 $628,000(約
(約6
6千万円)
4.50 credits
• バンク運営費用
平均 $5,282,016
(約5
(約
5億円)/年
• 基金を設立し、運営
基金
をサポートしている。
石油開発
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