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学研・教科の研究 97 第 号 ◎アスリートの歩みからみる, 保健体育・運動部活動を通じた教育のあり方……………………… 1 アスリートの歩みからみる, 保健体育・運動部活動を通じた教育のあり方 国際武道大学助教 眞鍋芳明 はじめに スポーツであると筆者は理解している。そこで,本 子供同士のいじめ問題,それに対する教育のあり 稿では,白井由紀子選手と敷本愛選手の二人の社会 方,家庭環境への対応,そして教える側である教師 人アスリートを紹介し,その歩んできた道から,ま 自身の早期退職や鬱病問題など,時代の流れととも さに健全な精神と健全な肉体を体現するための保健 に子供達への教育のあり方,考え方が大きく揺らい 体育ならびに部活動を通した教育指導のあり方を模 でいる。こうした問題をふまえた上で,平成24年4 索していきたい。 月からは新学習指導要領が全面実施(小学校は平成 ▼白井由紀子選手(左)と敷本愛選手(右) 23年から,高等学校は平成25年度入学生から実施) されているが,そのなかでの柱となるのが「生きる 力」の育成である。 かつて,古代ローマ帝国時代の詩人ユウェナリス (Decimus Junius Juvenalis, 60年ころ〜130年 ころ)が,「強健な身体に健全な魂があるように願 うべきなのだ(orandumestut sit men's sana in corporesano)」と謳った言葉は,現在では「健全 なる精神は健全なる身体に宿る」と曲解されている ようだが,新学習指導要領が定めた生きる力とは, まさに健全な精神と健全な身体の育成に他ならない のではないだろうか。そして,この健全な精神と健 全な身体の育成を目標とするのが保健体育であり, 1 学研・教科の研究 ◆白井裕紀子選手 は,運動=楽しいという図式を構築させることの重 要性を伺い知ることができる。 最初に紹介するのは白井裕紀子選手である。プロ フィールは後に記載するが,白井選手は陸上競技の ◎高校生時代 名門である国士舘大学を卒業した後,現在は養護学 こうして楽しく中学時代を過ごした白井選手は, 校の教員として勤務しながら,陸上競技(砲丸投 卒業当時に体育科が新設された滋賀県立草津東高等 げ)を続けている現役アスリートであり,2009年と 学校へと進学する。高校での競技成績は,それほど 2012年に日本選手権を制している日本女子砲丸投げ 目立った記録を残すことができなかったが,3年生 界の第一人者である。 の夏には,なんとか全国高等学校総合体育大会(以 下,インターハイ)に出場することができた。中学 ◎中学生時代 校3年生以来の全国大会出場であり,高校生アスリ 白井選手が陸上競技を始めたのは中学校であった。 ートにとっては夢の舞台でもある。しかし,結果は 滋賀県守山市立守山南中学校に進学した白井選手は, 予選敗退。中学校時代はただひたすら楽しいだけだ 走るのが大好きだったために陸上競技部に入部した。 ったが,高校における競技生活では自分で選んだ道 しかし,足はそれほど速くもないうえ,本人いわく で勝負し,挫折することの苦しさを知ったと語る。 「ぽっちゃりしていた」身体であったためか,顧問 インターハイ予選落ちという結果は,白井選手の心 からは投擲競技を勧められて砲丸投げと出会う。 に大きな悔しさとして残り,大学での競技続行を決 しかし,2年生になって竜王町立竜王中学校に転 意させる。 校すると陸上部が無かったため,バレーボール部に 所属することとなった。初めてのチームスポーツで ◎大学生時代 あり,しかも6人で行うバレーボール部に部員が経 高校卒業を控えた秋,当時の恩師からの後押しも 験者6人のみという部に,未経験者の白井選手が突 あり,せっかく大学まで競技を続けるのだから,日 如入部したものだから,疎外感を感じることもあっ 本一砲丸投げが強い大学に進学したいと願い,当時 たと語る。当時を振り返りながら白井選手は他人に 日本の女子砲丸投げトップ3までを独占していた国 遠慮したり,機嫌をとったりしながらスポーツをす 士舘大学への進学を決意する。しかし,日本トップ るのは精神的に大変苦しいものであり,自分がやり クラスの選手が多数在籍する国士舘大学の投擲ブロ たいことをしっかりとやれる友だち環境をつくるこ ックの練習に専門的な投擲の指導を受けたことがな との重要性を実感したという。そして3年生になり, い高校生がついて行けるはずもなく,いかんともし 陸上部が創部されることになったため,再度砲丸投 がたい競技レベルの差に大きなショックを受けるこ げの道へ進むことを決心する。なお,当時の顧問は とになる。 長距離走が専門であったが,熱心な指導により,見 特に衝撃を受けたのが,砲丸投げピットに引かれ 事に全国中学校体育大会(以下,全日中)へと出場 ているラインが15mからしかないことであった。当 できることになった。 時,白井選手の自己記録は12m台であり,引かれて ここで興味深いのは,全国大会の試合に関する記 いるラインの遙か手前までしか砲丸を投げることが 憶は定かではないが,開催地が北海道であるため, できないという事実に打ちのめされた。自分なりに 旅行として大変楽しかった記憶が強いということで 持っていた強い決意は入学早々に打ち砕かれ,自分 あった。中学時代は専門的指導者が居なかったもの はここにいてはいけないのではないかと思い悩んだ。 の,とにかく部活動が楽しくてしかたがなかったよ その時に声をかけてくれたのが陸上競技部の岡田 うである。むしろ,専門的な指導者がいなかったか 雅次監督であった。「大丈夫。裕紀子は裕紀子なり らこそ陸上競技を純粋に楽しむ余裕が生まれた可能 に頑張ればいいんだよ。兎と亀の話を知っているだ 性も十分に考えられる。今後の白井選手の競技人生 ろう? お前は亀なんだ。一歩一歩でいいから,確 を鑑みると,競技に取り組み始めた初期というもの 実に前に進もうじゃないか。」と,最も弱い1年生 2 であった白井選手を励ましてくれた。 いた学生時代とは異なり,社会人になってからの練 現在もそうだが,岡田監督は強い選手を中心に声 習は自分一人で行うものであったが,それでも自分 をかけるという指導はしない。投擲種目における全 で時間をつくり,練習も工夫することで自己記録を 国屈指の強豪校として知られる国士舘大学陸上競技 毎年更新することができた。 部において最も重視しているのは,競技力ではなく そして2004年からは,さらなる成長を求め,春, 競技に対する姿勢であると岡田監督は語る。そのた 夏,冬の長期休暇を利用して国士舘大学で合宿を行 め,岡田監督は常に一生懸命練習に取り組む選手に うようにした。闘病生活のために砲丸投げがやりた 声をかける指導スタイルをとっている。レベルの違 くても出来ない後輩,ずっと目標としていた憧れの う上級生について行こうと必死に頑張る白井選手の 先輩。様々な仲間から刺激を受け,ついに2009年に ひたむきな姿は,岡田監督の目にとまり,常に励ま 念願の日本一を達成する。全日中も,インターハイ しの声をかけてくれるようになった。 も予選落ちしてきた無名の「亀」は,大学を経て社 そして4年後には競技部を代表する選手にまで成 長し,強豪ひしめく関東インカレで3位入賞,日本 選手権でも6位に入賞する選手となった。 会人8年目にして大輪の花を咲かせた。 ただひたすら楽しかった中学時代,悔しさを学ん だ高校時代,岡田監督と出会い,競技者として大き く成長できた大学時代。そして,工夫とたゆまぬ努 力の大切さを学んだ社会人時代。再度日本一に輝い ◎社会人,そして日本一へ 「自分自身を成長させてくれた砲丸投げをもっと た社会人11年目の今年。歩みはゆっくりでも,確実 続けたい。」年を経るごとに砲丸投げと向き合いた に前に進むのが自分の持ち味。もう少しだけ砲丸投 いという気持ちは強くなり,社会人になってから滋 げを続けたいと,白井選手は笑顔で語ってくれた。 賀県に帰っても現役続行を決意する。多くの仲間が 白井由紀子選手 プロフィール 滋賀県守山市生まれ。 滋賀県竜王町立竜王中学校,滋賀県立草津東高等学校,国士舘大学体育 学部を経て滋賀県立スポーツ会館に勤務。2012年7月現在,草津養護学校 教諭。 専門は砲丸投げ。2009年,2012年と,二度の日本選手権優勝を誇る。 中学生にひと言! 自分は田舎育ちなので体動かす機会が多かったんです。自転 車での通学時間も長かったので,運動時間が勝手に増えていま した。 テレビゲームなどが普及している今の子供達には,こうした 運動する機会が少ないのかもしれません。なので,体を動かす ことの楽しさや大切さ,必然性を今一度提示してあげる必要が あると思います。これは子供がどうこうというよりも,指導者 側の問題だと思います。現代社会では,大人が運動する機会を つくってあげる必要があるのではないでしょうか。とにかく身 体を動かして遊ぶことは楽しいということを広げたいですね。 3 学研・教科の研究 ◆敷本愛選手 いろな所へ旅行に行けることのほうが楽しく,記憶 に残っていると語る。特に記憶に残っているのが, 次に紹介するのは,敷本愛選手である。専門は円 中学校3年生で出場した全日中(高知県開催)であ 盤投げであり,先輩である白井選手と同様に国士舘 り,引率してくれた担任の国語の先生とおいしい御 大学を卒業,現在はアーベントに所属し,2012年の 飯を食べたことだという。こうした,普段できない 日本選手権優勝者である。 経験をもたらしてくれる砲丸投げに敷本選手は熱中 するようになり,いつしか自分を表現し,他人から ◎中学生時代 認めてもらえるための手段へと変化していく。 敷本選手と陸上競技との出会いは,やはり中学校 そして,秋には国民体育大会(以下,国体)の広 であった。もともと身体は大きく,小学校6年生の 島県代表選手に選出され,少年Bクラス(高校1年 段階で,現在よりも体重が10㎏重い肥満体型だった 生以下)の砲丸投げに選手として出場することにな というから驚きである。一方,運動能力が突出して った。その噂を聞きつけてか,近隣の高校教員に赴 高いというわけではないが,男の子に混じって鬼ご 任していた,やり投げを専門とする先生が練習を見 っこをしたり,かけっこをしたりするのが大好きだ に来てくれるようになり,砲丸投げ選手へのステッ ったと語る。 プを踏み出すことになった。 こんなエピソードを聞いた。敷本選手が通ってい なお余談ではあるが,コンクリート製のサークル た広島県三次市立三良坂中学校は,当時バレーボー で行われる砲丸投げは地面との摩擦をコントロール ルが強かったために本人も興味を持っていたが,見 するために通常のランニングシューズではなく,ス 学をしたら,近所で怖かったお姉ちゃんがいたから ローイングシューズと呼ばれる専用の靴を履いて行 入部を取りやめたという。そして,コートの端でバ われる。全国大会に出場するような選手は,中学校 レーボール部ではない集団が非常に楽しそうにバレ 1年生の段階でスローイングシューズを履いて練習 ーボールをしていたため興味を持ち,声をかけると, を行うことも珍しくないが,敷本選手がこのスロー その集団は陸上競技部であったという。部活動は楽 イングシューズの存在を知ったのは,中学校卒業間 しむものだと考えていた敷本選手は,和気藹々とス 近の秋であったという。 ポーツを楽しんでいる雰囲気に惹かれ,陸上競技部 への入部を決めた。 ◎高校生時代 当時の三良坂中学校陸上競技部は,専門的指導者 こうして国体に出場したものの全国レベルの壁は がいたわけではない。敷本選手いわく,「近所の陸 厚く,9m程度の記録しか持っていない敷本選手は 上好きなおじさん」が週に数回コーチをしてくれて あえなく予選落ちしてしまう。しかし砲丸投げは楽 いたという状況であったようだ。白井選手と同様に しいものだと印象づけてくれた先生にもっと指導を 大きな身体をしていた敷本選手は,やはり砲丸投げ 受けたいと感じ,当時,先生が勤務していた広島県 を勧められて取り組むことになる。 立日彰館高等学校に進学する。その先生には一切相 筆者の時代もそうであったが,中学校における砲 談せずに進学したため,先生もビックリしていたと 丸の重さは,男子で4㎏,女子で2.7㎏であるため, のことだが,敷本選手もビックリしたのは,先生は 身体を鍛えてよい記録を出せるようになるというよ 産休のために学校に来ていないという事実であった。 りは,同年代のなかで大柄な選手が,技術を磨くこ しかしながら,当時やり投げの現役選手であった先 とでよい結果を残すというのが実情であった。 生は,臨月間際までウェイトトレーニングを行って この例に漏れず,素人ではあったものの身体だけ おり,同時に敷本選手の指導にもあたってくれた。 は大きかった敷本選手は砲丸を軽々と遠くへ運び, こうした周囲の協力は,ただ楽しいから練習するの 気がついたら全国大会への出場権を獲得していた。 ではなく,目標を達成するために努力をするという 敷本選手に当時を振り返ってもらうと,白井選手の 姿勢を身につけさせることになる。しかし,努力し 例と同じように,試合結果などよりも試合毎にいろ た者が全て報われるわけではないのが競技スポーツ 4 の面白くも残酷なところであり,敷本選手は1年次 りも遙かに遠い所へ砲丸を運ぶ。白井選手の入学時 からインターハイへと出場するが,全て予選落ちし と同様の状況ではあったが,白井選手と少々異なる てしまい,ようやく8位入賞ラインのランキングへ のは,入学前に岡田監督に声をかけてもらっていた と記録を伸ばして挑んだ3年次のインターハイにお という点である。高校生であった敷本選手に岡田監 いても,13位という結果に終わってしまった。 督は「君はエリートではない。最初は苦しい思いも 当時のことははっきりと覚えているようで,砲丸 あるだろう。でも,うちには君と同じような経歴を 投げの決勝を見ることもなく,泣きながらトレーニ もっていた白井という選手がいる。白井は努力を積 ング用のメディシンボールをサブグラウンドで投げ み上げてよい選手になった。君は第2の白井になる ていたと語る。そして,この涙のメディシンボール んだ。」と声をかけたという。 投げが,彼女の人生を大きく変えることになる。学 明るく積極的な性格に,こうした岡田監督からの 生募集のためにインターハイ会場を訪れていた岡田 アドバイスも受けていたため,競技レベルの違いに 監督の目に偶然とまったのである。陸上競技に対す ひるむことなく,強い先輩達に積極的にアピールし, る情熱を重視している岡田監督から「それほど悔し 一緒の練習に混ぜてもらうことも少なくなかった。 いのならば,うちに進学して借りを返さないか?」 こうした背景には,高校時代の恩師である先生の指 との誘いを受け,国士舘大学への進学を決意する。 導方針も反映されている。先生は「専門的なことは 大学にいってからで十分。私は基礎を徹底的にたた き込んであげる」という指導方針で敷本選手を育て ◎大学生時代 同級生の女子投擲選手は他に3人いたが,いずれ もインターハイで上位入賞を果たしているエリート てきたため,大学での専門的な練習は,とにかく楽 しかったという。 選手であり,さらにその上の先輩方はみな,自分よ 敷本愛選手 (次ページに続く) プロフィール 広島県三次市生まれ。 広島県三次市立三良坂中学校,広島県立日彰館高等学校,国士舘大学体 育学部を経て新潟アルビレックスランニングクラブに勤務。現在はアーベ ントに所属。 専門は円盤投げ。2012年日本選手権優勝。 中学生にひと言! 何事に対しても一生懸命取り組んでほしいと思います。 そしてご両親や指導者の方々は,それをしっかりと見て,褒 めてあげてください。たとえ思うような結果がでなくても頑張 っている子供には,その努力をしっかりと褒めてください。褒 めてくれる人がいるからこそ,子供は見守ってくれているとい う感情が生まれ,もっと頑張ってみようという気持ちになると 思います。誰だって最初は楽しくなりたくて,嬉しくなりたく てスポーツを始めるのですから。 5 学研・教科の研究 また,入学時にはもう一つの転機があった。砲丸 い思いを味わった高校時代。そして専門的かつ厳し 投げの名門であった国士舘大学にはすでに多くの有 いトレーニングを詰み,目標を達成する喜びを味わ 力な砲丸投げ競技者が在籍していたことと,敷本選 った大学時代。さらに競技者として自立し,自ら競 手自身が円盤投げにも興味があったということから, 技を続ける決意とともに,競技で得たものを自分の 砲丸投げと平行して,円盤投げの専門練習にも取り 人生に積極的に活かしている現在。こうしたポイン 組んだことである。その積極性が競技力向上に直結 トは二人に共通しており,また,それこそが生涯に し,サブ種目として始めた円盤投げで5m以上記録 わたって体育,スポーツを愛し,豊かな人間性と強 を伸ばす快挙を成し遂げる。その一方,1年生とし い身体を作り上げるための鍵ではないだろうか。 ての役割やルールまでほったらかして練習に取り組 む姿に,岡田監督は厳しい態度で接してきたという。 大学2年時の日本学生陸上競技対校選手権大会(全 そして,最後に現在も二人の指導にあたっている 岡田監督は以下のように締めくくってくれた。 カレ)で失敗をした時に,岡田監督からは,「自分 を支えてくれている人間,そしてもっと周りを見ら 「学校で一番になる,全国大会に出る,日本一に れるようになれ。マネージャーの仕事を手伝ってみ なる,オリンピックに出場する。どれもすばらしい ろ。」と伝えられ,数か月の間,皆が練習している ですよ。でもね,本当に大切なものはそこじゃない。 横でマネージャーの仕事をしたというエピソードも 競技結果はそれぞれにあるでしょう。その中で一番 聞かせてもらった。 大切なのは競技に取り組む姿勢であり,それによっ こうした様々な経験を積み重ねながら,大学4年 て培われる人間性なんです。強くても弱くてもいい 生で日本選手権2位という成績にまで登り詰めた。 んですよ。一生懸命情熱をもって競技に,体育に, スポーツに取り組む姿勢というのは,必ず何かを生 ◎社会人,そして日本一へ み出し,何かを残します。白井と敷本において私が しかし,いよいよ日本一を伺うレベルにまで到達 認めているのはそこなんです。強いから評価してい した社会人2年目に,日本選手権において痛恨の記 る訳ではない。彼女たちの強くなってきた過程,日 録無し(3ファール)を経験してしまう。「私は足 本一に到達するまでの過程に意味があるから高く評 下が見えていないときに必ず失敗する。あのときも, 価しているんです。今後もこうした雑草魂を忘れず 仕事と競技に対する甘えがあって失敗したと反省し にいて欲しいですね。」 ている。」と振り返る。 こうした反省を重ねながらも実力を伸ばして迎え 読者のなかには「お二人は中学生の時点で全国大 た2012年,日本選手権10連覇を成し遂げて無敵を誇 会に出場しているのだから,すでにエリートだ」と っていた室伏由佳選手を破り,ついに日本一の座に 感じる方もいらっしゃるかもしれない。しかし,岡 輝いた。 田監督の言うように大切なのは競技結果やレベルで 「よいときも悪いときも,岡田監督は見守ってくれ はない。近所で一番でも,日本で一番でも,スポー ている。 監督に見捨てられない限り私は頑張れる。」 ツや競技に取り組む姿勢は変わらないはずである。 と, 敷本選手はまっすぐな眼で語ってくれた。岡田監 何よりも楽しく,そして自分の目標に向かって情熱 督との強い信頼関係が,エリートではない敷本選手 をもって取り組むことが,健全な精神と肉体を育む を日本一へと導いたのだろう。 第一歩であり,体育・スポーツ界に課せられた使命 であると信じている。 以上,お二人の話を聞かせて頂いたなかで共通し て感じたものが,陸上競技に取り組む姿勢の変化で あった。運動,部活動そのものがとにかく楽しかっ た中学時代。目標に向かう努力を覚え,同時に悔し 6 世界 60 か国以上で売れている スポーツ作戦ボードアプリ 各 450 円 ※価格は予告なく変わることがあります。 全8種目 iPad 専用 バスケットボール,サッカー,ハンドボール,野球, バレーボール,テニス,バドミントン,卓球 部活動や授業での戦術指導,練習法の確認など, さまざまな種目の指導,学習に役立ちます! 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