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全国の地方新聞 - 大阪経済大学
全国の地方新聞 提出年月日:2011 年 1 月 25 日 学部:経営情報学部 指導教員:草薙信照 学籍番号:075029 クラス:4 年 61 組 29 番 氏名:檜山貴士 目次 はじめに 研究概要・方法.. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. 1 第1章 .. .. . .. .. .. .. .. . .. ..2 新聞業界の現状.. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. 1.1 全体の売上. .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . ...2 1.2 .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. ..3 大手新聞の割合.. .. .. . .. .. .. .. 1.3 支社ごとの発行部数.. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. ..5 1.4 . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. ...6 メジャー紙の世帯当たり部数.. .. 第2章 地方新聞とは.. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .12 2.1 地方紙とは. .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. ..12 2.2 .. . ...13 日本新聞協会会員社一覧.. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. 第3章 各地域の世帯数と発行部数の比率. .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. ..15 3.1 . ..15 全国の割合と考察.. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. 3.2 近畿地方の地方紙とメジャー紙の比率.. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. ..17 3.3 地域別に見た特徴.. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . ..19 第4章 . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . ..20 考察.. .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. ..21 あとがき.. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. 参考文献、web サイト.. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. .21 全国の地方新聞 はじめに 研究概要 まず、今回のテーマである「全国の地方新聞」を選んだ目的動機は、約 2 年間に及ぶ新聞社での アルバイトがきっかけだ。よく社員の方が「大手新聞社に未来はない。」と愚痴をこぼしていたのが 気になり、「大手がだめなら地方はどうなのか」と思いこのテーマで調査することした。 個人的には、少なくとも社会人や家庭のある家には1部ぐらい取っている新聞はあるだろうと思 っている。おそらくこれは大多数の人が考えることだと思われるのだが、それは朝日新聞や毎日、 読売、日経といったメジャー紙に限った話である。では、地域に密着した地方新聞はどうなのかと 考えた。これらの理由から、このテーマに沿って研究を行う。 研究方法 研究対象地域を全国とし、各都道府県の世帯数と地方新聞を比較して、いったいどれくらいの割 合で読まれているのかを研究する。新聞の発行部数については、各新聞社のホームページ、または 日本新聞協会などが発表しているデータを参考にする。それらを CSV ファイルで作成し、ArcGIS を用いてマップを作る。そこから各都道府県の購読割合、メジャー紙との比較、地方によっての特 徴を考察する。また、発行部数などのデータは全て平成 21 年度のものとする。 1 全 全国の地方新聞 聞 第1章 新聞業界の現 現状 体の売上 1.1 全体 最近よ よくニュースで でも取り上げ げられるが、 、新聞業界全 全体の景気は は決してよく くない。グラ ラフ(図 1 参照)を見 を見てもらえば えばわかるよう うに、徐々に に売上が下が がってきてい いる。 図 1:業界全 全体の売上 参考:日本 本新聞協会ホ ホームページ この原 原因の1つと として考えられ れるのが、ネ ネットが普及 及して携帯や やパソコンな などで簡単に に情報が手 に入るよ ようになったか からだという うものだ。結 結果として、 、新聞の購読 読者数が激減 減し、売れな ない新聞に 広告を出 出しても意味が がないので広 広告もインタ ターネット広 広告に市場を を奪われてし しまっている るわけであ る。簡単 単に言うと、わ わざわざ新聞 聞を取るのが が面倒になっ ってしまって ているのだ。 。このように に新聞業界 は非常に厳 に厳しい状況に置かれてい いる。 しかし し、ネットで取 取り上げられ れる多くのニ ニュースは 国内、政治 治、芸能、ス スポーツ、海 海外 とい った大ま まかなニュース スばかりで、 、地域の細か かい情報を手 手に入れるこ ことは難しい い。そこでこ これからは 地域密着 着型の地方紙の のほうが売上 上は上がると という見解も もある。 グラフ フを見てみる ると、平成 17 年度には売 売り上げが少し上昇してい いるように思 思える。この の原因を探 るために に、平成 17 年にあった出 年 出来事を調べ べてみた。結 結果、JR 福知 知山線の脱線 線事故、愛・ ・地球博開 催、アメ メリカでのハリケーン発生 生など、大き きなニュース スは多く見ら られたものの の、直接的な な原因とな りそうな なものは見られ られなかった。 。 2 全国の地方新聞 1.2 大手新聞の割合 今回のテーマは地方新聞なのだが、その前に大手新聞社、つまりメジャー紙はどうなっているの かを見てみることにする。対象の新聞は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新 聞の5紙である。なお、発行部 数は朝刊夕刊セットとして数 産経新聞 える。 図 2 を見てみると、まず、1 日本経済新聞 番の売り上げを誇るのが読売 新聞。発行部数 10,016,735 部。 読売新聞 普及率は約 20%。続いての 2 位は朝日新聞である。発行部数 は 7,955,595 部、全国世帯数に 毎日新聞 全国世帯数 52,877,802 2009年10月 対して約 20%の普及率である。 3 位は毎日新聞の 3,593,867 部、 そ し て 日 本 経 済 新 聞 の 朝日新聞 3,032703 部 、残る最下位は産 経新聞の 1,633,219 部となっ ている。 図 2:5 大メジャー紙の発行部数の割合 参考:総務省住民基本台帳・各新聞社ホームページ なぜメジャー紙の発行部数にこれだけのバラつきがあるのかを調べてみたところ、新聞そのもの の内容などが大きく関係しているようである。 まず、1 位の読売新聞は日本を代表する新聞の一つで 1000 万部を超える朝刊の発行部数はイギリ スのギネスブックが認定する世界一の記録となっている。 他のメジャー紙にはない「医療情報部」があり、癌についての連載や、健康常識など医療につい て深く掘り下げた記事を読むことが出来る。しっかりとした社論を軸に作られているのが特徴で、 政策に関するニュースなどでも個々の記者による見解の違いが紙面に出てくることが少ない。ニュ ースを迅速・的確に報道するのみにとどまらず、積極的な問題提起など、新しい報道の形を確立し ている。スポーツやエンターテイメント記事も充実しており、バランスのとれた紙面が広く支持さ れている。そういったことからこのような発行部数を誇っている。ただし「勧誘がしつこい」など の不評が多くある。 朝日新聞は 2007 年春に紙面を大幅にリニューアルし、ニュースをより分かりやすく、より身近な テーマに紙面の読みやすさを追求している。1 面には「朝の 1 分、ニュースがわかる」をキャッチ フレーズに重要なニュースを凝縮したインデックスを追加。暮らしや経済に影響する政策から掘り 下げていく新ページ、難しいニュースをわかりやすく解説する記事など、忙しい人や、初めて新聞 を購読する人にもやさしい紙面構成となった。そのため、幅広い年齢層の読者から人気があり、発 行部数にも大きく貢献していると考えられる。ただし「左に寄りすぎ」という多くの批判があるこ とも事実である。 3 全国の地方新聞 毎日新聞は日本で最も古い歴史を誇る新聞で、戸別配達を世界に先駆けて実施した。 「顔の見える 新聞」を目指し、署名記事の多様化を進めている。特徴的な記事は、常識や社論にとらわれず、各 記者が自由な視点で主張するコラム「記者の目」などがある。また、科学環境部を設置し、環境問 題の報道に力を入れている。庶民派のイメージで楽に読むことができる。しかし、他紙との圧倒的 な違いは「内容が全体的に薄い。」それは、新聞の分厚さにも表れている。全国紙を読む以上、読者 としてはできるだけ多くのニュースを取り入れたいのだが、それが毎日では厳しいことから発行部 数に関しては読売や朝日には大きく差をつけられている。 日本経済新聞は、世界最大の発行部数を誇る経済紙。世界の景気や経済政策のニュースを軸に、 金融・証券情報や産業界の動向、企業から発信される情報を専門記者が深く掘り下げて提供してい る。急成長を続ける中国、インドに関する記事も充実、週末の紙面には「消費面」による話題のサ ービスやヒット商品の紹介があるなど、世の中のトレンドを意識した情報も多くある。特に経済面、 企業面の情報の充実度は他を寄せ付けない。最近は、資産運用や医療・健康関連の情報、文化や芸 術面の情報を強化。更なる紙面の充実を図っている。しかし、これだけ充実した内容にも関わらず、 発行部数は読売や朝日の約半分だ。その原因として「記事が読みにくい」という声が圧倒的に多い ようである。他紙はだんだんと文字を拡大化しているが、日経にそのような配慮はないことなどか ら、途中で読むことに疲れて、購読をやめる読者が多いようである。そのため、年配の読者からも 好まれない。 残念ながら最下位となってしまった産経新聞の考察をする。価格が安いことが魅力なのだが、逆 に「内容がつまらない」という厳しい声が圧倒的に多い。また、革命思想的なものを感じることか ら「極端に右すぎる」との意見も多くある。また、産経新聞には北海道・西部の支社が存在しない ため、地域紙面の扱いが他社に比べて劣っている。これらのことが発行部数に大きく影響している ようである。 これらのことから、購読料やネームバリューは関係なく、いかに読者のことを考えて新聞の内容 が組まれているかによって発行部数が伸びるかどうかということがわかる。 4 全 全国の地方新聞 聞 1.3 支社 社ごとの発行 行部数 次にメ メジャー5紙の の支社ごとの の発行部数に について見て てみる。ただ だし、産経新聞 聞に関しては は北海道・ 西部支社 社が存在しない ないため、東京 京・大阪のみ みとなってい いる。 読売 売新聞 朝日新聞 北海道 北 東京 東 毎日新聞 名古屋 名 日本経済 済新聞 大阪 大 西部 西 産経 経新聞 図 3:メジャー紙 紙の支社ごと の発行部数 各社ホームペ ページ 参考:各 全社に に共通していることは、ど どれも東京や や大阪の発行 行部数が全体 体のほとんど どを占めてい いるという ことだ。ビジネスの中 中心というこ ことが主な原 原因だと考え えられる。ま また、産経新 新聞に関して ては、北海 道は東京 京支社版、西部 部は大阪支社 社版が空輸さ されて販売さ されている。 。 図3を を見てみるこ ことで、東京や や大阪といっ った都市部で での発行部数 数が全体に大 大きく影響す することが わかる。 5 全国の地方新聞 1.4 メジャー紙の世帯当たり部数 ここでは、各都道府県の世帯数に対する各メジャー紙の発行部数の割合をマップ化し、それぞれ の新聞社に地方別の特徴はあるのかを考察する。 表 1 全国のメジャー紙の発行部数 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 世帯数 2,637,145 565,347 499,351 891,573 416,787 395,308 740,993 1,093,512 740,353 752,614 2,827,608 2,498,476 6,160,440 3,832,776 837,457 382,789 435,912 269,072 330,911 804,784 732,298 1,413,428 2,822,885 710,875 487,389 1,096,291 3,821,714 2,293,683 545,391 423,263 224,026 273,450 766,961 1,209,084 637,020 316,542 404,585 622,441 347,102 2,129,522 305,260 606,559 718,259 500,649 493,192 778,579 541,444 読売新聞 233,557 28,078 57,628 72,062 36,889 64,965 72,119 443,214 198,660 250,703 1,079,117 880,922 1,400,249 1,074,441 112,424 84,737 19,544 13,764 41,678 66,136 22,106 92,325 89,306 58,965 141,132 198,416 915,450 543,778 130,899 121,668 27,479 39,278 85,608 143,475 187,023 10,126 58,618 78,661 10,194 401,665 32,168 71,759 57,029 62,365 36,288 33,717 450 朝日新聞 151,758 24,746 37,746 86,609 37,693 66,473 74,572 202,229 82,215 100,500 618,081 548,585 1,186,734 962,644 70,290 10,243 12,218 10,854 33,508 60,581 60,536 105,885 261,291 122,489 112,873 193,313 771,176 493,413 147,226 97,827 17,280 24,167 80,898 125,523 167,262 14,791 58,607 70,173 10,197 342,349 22,556 62,487 43,059 54,496 47,405 25,138 1,304 6 毎日新聞 66,204 7,689 12,822 12,449 11,378 22,905 41,433 129,678 44,786 54,862 266,709 193,429 333,089 176,753 26,241 1,739 2,217 3,126 11,517 16,789 21,620 54,880 84,406 72,947 68,778 97,173 573,708 237,612 147,760 76,116 8,726 12,712 27,766 29,547 136,712 12,690 19,950 21,115 4,169 305,431 17,846 44,269 14,418 28,735 24,202 6,156 320 日本経済新聞 53,389 11,424 12,961 36,329 9,449 12,796 25,050 46,844 31,246 29,465 163,263 188,034 631,585 295,469 36,455 16,633 18,345 11,213 13,001 34,013 29,466 73,525 146,263 28,931 28,735 61,461 245,976 132,620 41,589 14,455 6,984 7,702 32,050 59,952 20,787 3,697 16,058 28,229 8,391 88,163 8,498 14,019 17,567 12,799 10,273 17,022 6,845 産経新聞 1,035 2,590 3,718 8,319 2,812 3,304 5,159 59,252 31,919 2,780 70,274 105,449 280,532 90,314 9,696 792 1,107 1,922 5,044 5,927 598 18,682 2,318 8,480 21,752 24,203 534,531 93,769 89,007 42,279 2,312 1,992 10,671 14,648 1,161 1,822 7,740 6,599 1,100 4,337 462 794 1,187 627 391 579 227 全国の地方新聞 [読売新聞] 発行部数1位の読売新聞は、都市中心というよりも、その周辺の地方の割合が高くなっているこ とがわかる。東京や大阪へ出勤する人が多く住んでいるところに力を入れているようだ。また、中 部地方の一部で割合が低くなっているが、それは中日新聞の存在が影響していると考えられる。 都道府県 読売新聞 / 世帯数 0.00 - 0.05 0.06 - 0.10 0.11 - 0.15 0.16 - 0.25 0.26 - 0.40 図 4 読売新聞 7 全国の地方新聞 [朝日新聞] 朝日新聞も読売新聞と同様に都市周辺の地方の割合が高い。その中でも朝日新聞は近畿地方に力 を入れているように見える。マップを見比べてみると、発行部数1位の読売新聞と比べると東北地 方で多少の違いがあるようだが、全体的には1位の読売新聞と共通点が多くあるように見える。 都道府県 朝日新聞 / 世帯数 0.00 - 0.05 0.06 - 0.10 0.11 - 0.15 0.16 - 0.25 0.26 - 0.40 図 5 朝日新聞 8 全国の地方新聞 [毎日新聞] 毎日新聞が主に力を入れているのはどうも近畿地方中心のようだ、読売新聞や朝日新聞とは違い 東京周辺の割合はそこまで高くはない。どうやら、東京周辺での発行部数が全体の順位に大きく影 響しているようである。 都道府県 毎日新聞 / 世帯数 0.00 - 0.05 0.06 - 0.10 0.11 - 0.15 0.16 - 0.25 0.26 - 0.40 図 6 毎日新聞 9 全国の地方新聞 [日本経済新聞] 日本経済新聞の場合、先ほどとは少し違う点があるようだ。主に割合が高いのは都市周辺のみで、 それ以外で高い所はあまり見られない。やはり、経済新聞ということもあってなのか、ビジネスマ ンが多く住んでいる地方で多く読まれていると考えられる。 都道府県 日本経済新聞 / 世帯数 0.00 - 0.05 0.06 - 0.10 0.11 - 0.15 0.16 - 0.25 0.26 - 0.40 図 7 日本経済新聞 10 全国の地方新聞 [産経新聞] 最下位の産経新聞。やはり、北海道・西部支社が存在しないためか、割合の高い地方が東京・大 阪周辺に固まってしまっている。北海道・中部・九州での割合の低さが最下位という結果に影響し てしまっていると考えられる。 都道府県 産経新聞 / 世帯数 0.00 - 0.05 0.06 - 0.10 0.11 - 0.15 0.16 - 0.25 0.26 - 0.40 図 8 産経新聞 11 全国の地方新聞 第2章 2.1 地方新聞とは 地方紙とは 新聞は大きく分けてメジャー紙と地方紙の 2 種類がある。 一方、地方紙も 2 種類ある。まずブロック紙。北海道、中日、西日本などといった発行地域が複 数の府県を含む広域にまたがり、発行部数の多い地方紙のことを言う。もうひとつが県紙。これは メジャー、ブロックを除く、発行エリアが一府県の全域にわたる新聞を言う。これらは基本的に「日 本新聞協会」という協会の会員社になっている。日本新聞協会とは、新聞倫理綱領を制定し実践す る自主組織として、全国の新聞、通信、放送各社が 1946 年 7 月 23 日に創立した文部科学省所管の 社団法人である。それに属する新聞社が全国に散らばっている。(次ページ図 9 参照) 今回は日本新聞協会の会員社のみを対象に調査をしているのだが、もちろん非会員社もある。そ の理由の 1 つとして「宗教・政党」と関係がある。主に宗教や政党を軸とする新聞のことを「機関 紙」と呼ぶ。例として、聖教新聞という創価学会の出版部門・発行機関紙がある。この新聞社に関 しては、独立の法人格を持たないため、法人税の課税については、他の一般紙を発行している新聞 社と違い、宗教法人の収益事業として軽減税率が適用されている。そういった新聞社は日本新聞協 会にしないのではなく、できないのである。 また、近畿圏で例を挙げるとすると「大阪日日新聞社」という大阪の地方紙があるのだが、非会 員だ。そして、滋賀県には滋賀報知新聞という新聞社があるのだが、ここも非会員である。理由と して、まず大阪日日新聞に関しては、もともと新聞倫理網領に遵守することを好まない新聞社であ ったと言われている。そのため、日本新聞協会に属していなかったと考えられる。さらに、以前ま では「ザ・プレス大阪」という新聞社が発行元だったのだが、2008 年 2 月 1 日に新日本海新聞大阪 支社と合併。同日より、発行元が「新日本海新聞社 大阪本社」となった。 滋賀報知新聞に関しても同じような理由が考えられる。ただし、非会員者に関しては、日本新聞 協会が制定するさまざまな賞与を受けることができないなどの条件がある。つまり、独立した新聞 社なのである。ちなみ非会員者には、聖教新聞、世界日報、しんぶん赤旗、日刊ゲンダイ、東海日 日新聞、有明新報、滋賀報知新聞、奄美新聞、宮古新報、八重山日報 12 などがある。 全国の地方新聞 2.2 日本新聞協会会員社一覧 ここでは、各都道府県の日本新聞協会に会員社の所在地、発行部数をマップと表を用いて紹介す る。なお、滋賀県の滋賀報知新聞、大阪府の大阪日日新聞は非会員だが、今回は参考として紹介す る 沖縄タイムス社琉球新報社 北海道新聞社 苫小牧民報社 室蘭民報社 函館新聞社 宮古毎日新聞社 八重山毎日新聞 陸奥新報社 北羽新報社 秋田魁新報社岩手日報社 荘内日報社 山形新聞社 河北新報社 新潟日報社 米沢新聞社福島民報社 福島民友新聞社 いわき民報社 北國新聞社 上毛新聞社 日刊県民福井福井新聞社 長野日報社 埼玉新聞社 市民タイムス 島根日日新聞社 電波新聞社東京新聞 岐阜新聞社 山陰中央新報社 千葉日報社 南信州新聞社 京都新聞社 静岡新聞社 山陽新聞社 奈良新聞社 中国新聞社 伊勢新聞社 四国新聞社 山口新聞社宇部日報社 夕刊三重新聞社 徳島新聞社 愛媛新聞社 西日本新聞社 熊野新聞社 高知新聞社 佐賀新聞社 紀伊民報社 大分合同新聞社 長崎新聞社 熊本日日新聞社 宮崎日日新聞社 南日本新聞社 南海日日新聞社 図 9 各都道府県の新聞社の分布図 13 釧路新聞社 全国の地方新聞 表 2 日本新聞協会の会員社リスト 社名 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 北海道新聞社 室蘭民報社 釧路新聞社 苫小牧民報社 函館新聞社 東奥日報社 陸奥新報社 岩手日報社 岩手日日新聞社 河北新報社 秋田魁新報社 北羽新報社 山形新聞社 荘内日報社 米沢新聞社 福島民報社 福島民友新聞社 いわき民報社 茨城新聞社 常陽新聞新社 下野新聞社 上毛新聞社 桐生タイムス社 埼玉新聞社 千葉日報社 東京新聞 電波新聞社 日本農業新聞社 水産経済新聞社 神奈川新聞社 新潟日報社 北日本新聞社 北國新聞社 福井新聞社 山梨日日新聞社 日刊県民福井 長野日報社 南信州新聞社 市民タイムス 岐阜新聞社 静岡新聞社 中日新聞社 中部経済新聞社 東愛知新聞社 伊勢新聞社 夕刊三重新聞社 ※滋賀報知新聞社 京都新聞社 ※大阪日日新聞 神戸新聞社 奈良新聞社 紀伊民報社 熊野新聞社 新日本海新聞社 山陰中央新報社 山陽新聞社 岡山日日新聞新社 中国新聞社 島根日日新聞社 山口新聞社 徳島新聞社 四国新聞社 愛媛新聞社 高知新聞社 宇部日報社 西日本新聞社 佐賀新聞社 長崎新聞社 熊本日日新聞社 大分合同新聞社 宮崎日日新聞社 南日本新聞社 南海日日新聞社 沖縄タイムス社 琉球新報社 八重山毎日新聞 宮古毎日新聞社 所在地 札幌市中央区大通西 3-6 室蘭市本町 1-3-16 釧路市黒金町 7-3 苫小牧市若草町 3-1-8 函館市港町 1-17-8 青森市第二問屋町 3-1-89 弘前市下白銀町 2-1 盛岡市内丸 3-7 一関市南新町 60 仙台市青葉区五橋 1-2-28 秋田市山王臨海町 1-1 能代市西通町 3-2 山形市旅篭町 2-5-12 鶴岡市馬場町 8-29 米沢市門東町 3-3-7 福島市太田町 13-17 福島市柳町 4-29 いわき市平字田町 63-7 水戸市北見町 2-15 土浦市真鍋 2-7-6 宇都宮市昭和 1-8-11 前橋市古市町 1-50-21 桐生市東 4-5-21 さいたま市北区吉野町 2-282-3 千葉市中央区中央 4-14-10 千代田区内幸町 2-1-4 品川区東五反田 1-11-15? 台東区秋葉原 2-3 港区六本木 6-8-19 横浜市中区太田町 2-23 新潟市西区善久 772-2 富山市安住町 2-14 金沢市南町 2-1 福井市大和田町 56 甲府市北口 2-6-10 福井市大手 3-1-8 諏訪市高島 3-1323-1 飯田市育良町 2-2-5 松本市大字島立 800 番地 岐阜市今小町 10 静岡市駿河区登呂 3-1-1 名古屋市中区三の丸 1-6-1 名古屋市中村区名駅 4-4-38 豊橋市新栄町鳥畷 62 津市本町 34-6 松阪市外五曲町 15 大津市梅林 1 丁目 3-25 京都市中京区烏丸通夷川北入少将井町 239 大阪市中央区博労町 2 丁目 6-8 神戸市中央区東川崎町 1-5-7 奈良市法華寺町 2-4 田辺市秋津町 100 新宮市新宮 3563-4 鳥取市富安 2-137 松江市殿町 383 岡山市北区柳町 2-1-1 岡山市北区蕃山町 3-30 広島市中区土橋町 7-1 出雲市里方町 545 下関市東大和町 1-1-7 徳島市中徳島町 2-5-2 高松市中野町 15-1 松山市大手町 1-12-1 高知市本町 3-2-15 宇部市寿町 2-3-17 福岡市中央区天神 1-4-1 佐賀市天神 3-2-23 長崎市茂里町 3-1 熊本市世安町 172 大分市府内町 3-9-15 宮崎市高千穂通 1-1-33 鹿児島市与次郎 1-9-33 奄美市名瀬長浜町 10-3 那覇市おもろまち 1-3-31 那覇市天久 905 石垣市字登野城 614 番地 宮古島市平良字西里 403 番地 ※は非会員社 14 発行部数 1,171,056 112,930 56,000 60,000 22,510 259,000 50,000 230,000 55,600 481,000 260,000 49,000 214,000 18,700 14,398 250,000 65,000 14,940 122,044 80,000 319,967 310,000 17,800 160,000 188,000 601,029 295,000 400,000 64,000 224,654 490,000 250,000 350,000 210,096 210,518 40,165 70,000 22,800 67,300 170,000 693,000 2,763,602 94,700 50,000 110,715 16,000 20,000 510,000 7,750 560,000 342,800 38,000 8,500 170,000 180,000 465,500 20,000 720,000 67,000 84,000 310,000 206,000 321,000 382,500 48,750 1,031,297 135,690 196,057 485,955 497,147 238,754 432,150 25,920 408,898 405,054 14,708 16,455 全国の地方新聞 第3章 各地域の世帯数と発行部数の比率 3.1 都道府県別の比較 ここでは、各都道府県の世帯数に対する地方紙の発行部数の割合のデータをもとに考察をする。 地方によってのバラつきがあるか、割合が高い地方の特徴などを調査する。 図 10 を見てみると、東京や大阪近郊に比べて、都市郊外のほうで色が濃くなっていることが分か る。つまり、都市部ではメジャー紙を読む人の数が多く、田舎の地域地方新聞を購読する人が多い ようだ。 都道府県 合計発行部数 / 世帯数 0.00 - 0.10 011 - 0.30 0.31 - 0.50 0.51 - 0.70 0.71 - 1.00 図 10:各都道府県の世帯数と地方紙の発行部数の割合 15 全国の地方新聞 第 1 章で述べたように、メジャー紙では日本国内の大まかなニュースや、海外のニュースを知る ことはできるが、地域の細かい情報を得ることは難しい。そのため、このような結果が出たと思わ れる。一応、全国紙でも「●×版」と称して各地域の情報を載せるページは存在する。しかしその分 量は少ないし、地域の区分も比較的大きい。逆に地方紙は AP 通信・時事通信などの通信社や、所 属する・契約を結んでいる全国紙から「全国版ニュース」の配信を受けているので、全国レベルの ニュースにも事欠くことはない。どうしても「専門の地方紙」と比べれば「全国紙」が、地方で引 き合いが少なくなってしまうため、このような結果が出たと考えられる。 また、1.4 の図 4∼8 のメジャー紙の割合を見てわかるように、北海道、愛知、九州の発行部数は 東京、大阪に比べて少ない。これは 3 大ブロック紙の存在が大きく影響しているとようだ。ブロッ ク紙は県紙に比べて全国規模のニュースの量が豊富で、なおかつ地域のニュースも充実している。 そのため、メジャー紙にも引けを取らない割合を誇っていると考えられる。また、都市部から離れ た日本海側、太平洋側の地方で割合が高いのは、メジャー紙よりも地方のニュースが豊富にあるこ とと、世帯数が少ないことが影響しているようである。 16 全 全国の地方新聞 聞 3.2 近畿 畿地方の地方 方紙とメジャ ャー紙の比率 率 ここか からは、近畿地 地方のメジャ ャー紙と地方 方紙を比較し して考察する る。 読売新聞 朝日新聞 日本経済新 新聞 毎日新 新聞 産経 経新聞 地方 方紙 1 地方 方紙 2 三重県 58,9665 122,48 89 28,,931 72,947 7 8,480 1 10,715 滋賀県 141,1332 112,87 73 28,,735 68,778 6 21,752 2 220,000 京都府 198,416 193,313 61,,461 97,173 9 24,203 2 5 10,000 大阪府 915,4550 771,17 76 245 ,976 57 73,708 53 34,531 7,750 兵庫県 543,7778 493,413 132 ,620 23 37,612 93,769 9 5660,000 奈良県 130,8999 147,22 26 41,,589 14 47,760 89,007 8 3442,800 和歌山県 県 12,16668 97,82 27 14,,455 76,116 7 42,279 4 338,000 16,000 8,500 三重県 県 滋賀県 県 読売新 新聞 朝日新 新聞 京都府 府 日本経 経済新聞 大阪府 府 毎日新 新聞 産経新 新聞 兵庫県 県 地方紙 紙1 地方紙 紙2 奈良県 県 和歌山県 県 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図 11 :近畿地方の の比率 [三重県]三重県の地方 方紙は伊勢新 新聞(約 110 0,715 部)、夕刊三重新聞 夕 聞(約 16,0000 部)の 2 紙である。 紙 地図上の の円グラフで では青色が伊勢 勢、水色が夕 夕刊三重とな なっている。 。グラフを見 見ればわかる るように、 三重県で で最も多く読まれているの のは朝日新聞 聞である。地 地方 2 紙を合 合わせると朝 朝日と同じぐ ぐらいの部 数が購読 読されている ることが分かる る。しかし、 し、三重県も他 他の府県に比 比べると田舎 舎なので、も もう少し地 方紙の数 数が多いと私は予想してい いたのだが、 、あまり期待 待通りではな なかった。 [滋賀県]第 2 章でも も述べたよう うに、滋賀県 には日本新聞 聞協会の会員 員社はないの のだが、今回 回は参考の ために非 非会員社の滋賀 賀報知新聞をデータに入 入れた。グラ ラフをみると と、滋賀県は はほとんどメ メジャー紙 が占めて ていることがわ わかる。滋賀 賀報知新聞の の発行部数は は約 20,000 部。メジャー 部 ー紙全体のデ データに沿 うように に朝日と読売が が多く読まれ れている。 17 全国の地方新聞 [京都府]京都府の地方紙といえば、比較的知名度もある京都新聞である。グラフをみるとおもしろ い結果が出た。京都新聞の発行部数は約 510,000 部。府内ではメジャー5 紙を抑えての 1 位であっ た。京都府の約 50%の世帯が購読していることになる。そもそも、京都には歴史的な文化財が多く 存在し、また多数の大学が設置されている特性から、歴史・文化関係の記事や大学の記事が多い。 また、仏教各宗派の現状をまとめた記事や連載なども厚く、他の地方紙とは趣きが異なる。それら のことから、京都に留学に来た外国人や、年輩の方まで人気があるようだ。つまり、京都に住み、 京都が好きな人たちが多く購読しているようである。 [大阪府]世帯数では断トツの大阪府。ここでも非会員社の大阪日日新聞のデータを引用する。しか し、グラフを見ても地方紙を示す青色が見当たらない。大阪日日新聞の発行部数は約 7750 部。全体 の 2%という極めて低い数字だった。やはり大阪は関西の情報の発信地。メジャー紙を読めば大阪 の情報はだいたい入ってくるので、そこまで地域に密着した新聞はそこまで需要がないということ だろう。 [兵庫県]少し前にテレビドラマ化された神戸新聞がある。発行部数は約 560,000 部であった。兵庫 県は神戸をはじめとする繁華街も多くあるため、そこまで地方紙は読まれてないと考えていたが、 実は先ほど述べた京都新聞よりも約 50,000 部多いのである。やはり、地方紙の中でも知名度も高く、 テレビでも特集されたため売り上げが伸びたようだ。ただ、兵庫県でも 1 位は朝日新聞。神戸新聞 は 2 番目に多く読まれているという結果になった。 [奈良県]京都と同じく、歴史的な文化遺産が多く存在している奈良県。結果も京都府と少し似た結 果が出た。奈良県の地方紙は奈良新聞。発行部数は約 342,800 部である。ここもメジャー5 紙を抑 えての 1 位となった。私が考えるには、多くの文化遺産が存在する地域に住む人は、自分の住んで いる地域が大好きで多くの情報を求めるのではないかと考えられる。 [和歌山県]和歌山県の地方紙は紀伊民報(約 38,000 部)と熊野新聞(約 8,500 部)である。グラフ上 ではそれぞれ青色と水色になっている。和歌山県も比較的田舎なので、地方紙が多く読まれている と予想していたが、全く逆であった。和歌山に住む人はそこまで自分の住む地域に興味がないのだ ろうか。少し心配になる結果が出た。 18 全国の地方新聞 3.3 地域別にみた特徴 今回は近畿地方に注目して調査したのだが、近畿地方以外にも非常に高い割合で地方紙を購読し ている都道府県がある。例えば、徳島県の地方紙、徳島新聞の発行部数は約 310,000 部、なんと全 世帯の約 90%が購読していることがわかった。この割合は全国1位である。その原因として徳島県 人が先祖からの土地に対する執着心や郷土意識が強く、地方紙への愛着を生んでいることが考えら れる。 2 位以下は福井新聞(福井県)の約 80%、日本海新聞(鳥取県)の約 75%、北國新聞(石川県) の約 70%、高知新聞(高知県)の約 70%と続く。いずれも本州の日本海側、四国の太平洋側と中央 から距離的に離れた地域のため、ニュ−スの鮮度で地方紙がメジャー紙に比べて優れていることが 結果につながっていると考えられる。また、福井、鳥取県のように中央から孤立色が強い経済圏で あることが地場企業、地場経済の重要性を高めることになり、それが地元紙を有利にさせている面 もあるようだ。 図 10 の地図を見てわかるように都心から離れた地域が地方紙を読んでいる割合が高い。それはメ ジャー紙には載っていない細かい情報を得るためだと先ほども述べたが、それ以外にも、世帯数が 少ないので自然と割合が高くなるという理由もあると考えられる。 地方紙の内容としては、日本経済全体に関するニュースや国際面はその多くが共同通信社・時事 通信社などから提供された記事を掲載することが多い。ただし、販売地域内出身の政治家やスポー ツ選手もしくは販売地域内に本社や大規模工場をもつ企業をクローズアップして記事を掲載するこ とがある。そういったところも、地方紙の魅力であると考える。よって、関東や近畿では全国紙の シェアが大きく(一部地域に例外あり)、地方紙の読者層は全国紙程大きくはない。しかし、他の地 方では圧倒的なシェアを誇っていると考えられる。 19 全国の地方新聞 第4章 考察 全体の考察として、まず読者に愛される新聞とは何か。それは、読者の立場に立って作られた新 聞である。その要素として「内容の面白さ」「内容量」「見やすさ」などがある。逆にあまり読まれ ない新聞は、見づらい、内容量が少ない、思想を押しつけるものであると考えられる。これらはメ ジャー紙に関してのことだが、そこで地方紙はいかに地域の特徴を生かし、読者の気持ちを考えて 新聞を作るかが重要である。そういった取り組みをしっかりしている新聞社は確実に成果を上げて いるはずである。京都新聞や、徳島新聞などがいい例である。 地域の歴史や特徴によって内容の濃さは変わってくると思うが、地域住民の心をつかむと考える と、やはり地方紙のほうが有利なはずである。そのため、今回の調査の結果のように、都市郊外の 地域では地方紙が多く読まれている。その分、全国のニュースと地域に密着したニュースをバラン スよく掲載しているブロック紙は多くの購読者数を誇っていると考えられる。 メジャー紙は地方の住民よりもビジネスマンを主なターゲットにしているようである。やはり、 全国的な情報を掲載しているだけに地方の情報に深くまで手をつけることは難しいため、東京や大 阪などのビジネス街で働く人たちのことを考えた内容構成にしている。その効果が図 4∼8 にも表れ ている。 新聞業界全体の傾向としては、ますます若者の新聞離れは激化の一途を辿ると考えられる。現在 では普通の携帯電話だけでなく、スマートフォンも続々と登場しており、さらに情報の収集が楽に なってきている。ネット社会の進化は止まる気配がなく、このままでは新聞社も情報をネット掲載 中心にならざるを得ない。そうなると、新聞の購読者はますます減少し、ネットのニュースそのも のが有料になる可能性もある。新聞は言わば古くからある文化の一つであるので、それがなくなる というのは私としてはあまり好ましくない。 そのためにも、売り上げが落ちている新聞社に関しては、好調の新聞社を手本として記事を作る べきである。その好調の新聞社というのが、まさに今回のテーマである地方新聞ではないかと考え られる。メジャー紙は自らの思想にとらわれた、我が強いイメージを持つ人は多い。売り上げが急 激に落ちている新聞社は、そういったプライドを捨てるべきである。もう、プライドでは切り抜け られない時代はすぐそこまでやってきているのかもしれない。 20 全国の地方新聞 あとがき… まず、このテーマにたどり着くまで時間がかかってしまった。はじめからこの新聞というテーマ を思いついていればもっとスムーズに作業ができたはずだと思うと悔いが残る。ただ「地方新聞」 に関しての知識はほとんどゼロに近い状態からのスタートだったので、作業を進めるにつれて様々 なことを知ることができた。なかなか思うように進まずイライラする時もあり、やっとできたと思 い提出しても跳ね返され、先が見えず途方に暮れる。まさに「喜怒哀楽」の卒業研究だった。それ でも、こうして最終的に完成までたどり着けたのも草薙先生のサポートがあってのことだというの は言うまでもない。草薙先生、本当にありがとうございました。 史上最悪の就職氷河期と卒業研究が重なったことでほかの年代の人たちよりも濃い大学 4 回生を 過ごせたと自負している。これから社会に飛び出す自分にとっては、学生のうちにこういった苦悩 だらけの課題に取り組むことができたことは、非常に大きな財産となったはずだ。 参考文献… 日本新聞協会ホームページ http://www.pressnet.or.jp/ 掲載地域と発行部数:メディアデータ 新聞広告データアーカイブ 総務省 住民基本台帳 http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/busu/busu01a.html http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/data03/01.html http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/17216.html 各新聞社ホームページ 21