Comments
Description
Transcript
01 税務運営方針(PDF:382KB)
税務運営方針 139 平成19年度 税務運営方針 第Ⅰ 基 本 方 針 1 信頼される税務行政の推進 地方交付税や国庫補助金が大幅に削減される中で地方財政は厳しさを増しており、貴重な自主財源である税収 の確保に向けた一層の努力が求められている。また、三位一体の改革の一環として、平成19年度からは所得税か ら個人住民税へ税源が移譲され、本県では県と市町村合わせて215億円程度の移譲が行われるなど、税源移譲が 現実のものとして進展し、今後はさらに県税の重要性が増していく。 こうした状況を税務職員一人ひとりが常に意識し、税務行政の公平・適正な執行と厳正な服務規律の確保に努 めることにより、納税者に信頼される税務行政の推進に努めていくものとする。 2 自主納税の促進 納税者が租税の意義を認識し、自ら進んで適正な申告・納税を行うことにより自主的に納税義務を遂行するこ とは、税務運営の基本をなすものである。 このため、県民に対して、あらゆる機会を通じて、税に関する理解・認識、知識の普及を図るとともに、納期 内納税、自主納税について啓発と指導を実施することにより、滞納の未然防止に努める。 また、納税者の利便性向上の観点から、納税者が税を納付しやすい納税環境の整備を図っていくものとする。 3 滞納整理の強化 県税の滞納繰越額を圧縮を図ることは、厳しい財政状況の中、貴重な財源を確保する上でも、また、納税秩序 を維持する上でも極めて重要な課題である。 このため、課税や収納管理部門との緊密な連携を図りながら滞納発生の初期の段階で集中的な滞納整理を行う ことにより、滞納件数を圧縮するとともに、個別案件ごとに進行管理を徹底して、限られた人員の中で、滞納整 理を効果的に進めていくものとする。 また、高額、悪質な滞納者に対しては、財産調査を的確に把握し、強固な姿勢で滞納処分を行うものとする。 第Ⅱ 重 点 事 項 1 税収確保対策の着実な実施 本年度の税収確保対策については、税収確保対策会議において決定する、数値目標を明示した税収確保実施計 画に基づき、着実に実施することとし、進行管理を徹底すること。特に、今年度実施することとしているタイヤ ロックを活用した自動車の差し押さえや捜索、インターネット公売については、早期かつ積極的な実施に努める ものとする。 2 市町村と連携した個人住民税の徴収の強化 平成18年度から実施している県職員の派遣徴収は、平成19年度をもって終了する見込みであるが、今年度は仕 上げの年として当該事業の実績をあげていかなければならない。また、税源移譲などにより、個人県民税の県税 に占めるウェートが高まる中で、市町村との連携の重要性が一層増しており、今後の連携のあり方を市町村とと もに研究する組織を設立し、年度末までに平成20年度以降の体制を整備する。 140 税務運営方針 3 総合県税事務所と自動車税事務所の統合 事務の効率化を図るため、総合県税事務所と自動車税事務所が平成20年4月に統合することとなっているが、 これに必要な諸手続を着実に実施するとともに、統合のメリットを最大限引き出せるよう、税務課、総合県税事 務所、自動車税事務所で構成する準備会を設置し、調整検討を行う。 第Ⅲ 個 別 事 項 1 公正、公平な税務行政の推進 (1)適正な課税と確実な徴収 ① 課税客体捕捉の徹底と適正・迅速な課税 県民に対し、公正・公平に負担を求めることは税の基本原則であり、この原則を貫くことが適正な自主 申告と納税の推進につながるものである。 このため、厳正な税務調査や課税資料の早期収集を常に心がけ、課税客体捕捉の徹底と適正・迅速な課 税に努めるものとする。 また、課税直後や滞納となった初期あるいは滞納整理着手時点などにおいて、課税部門が課税内容の説 明とともに納税のしょうよう(慫慂)に努めることは、確実な徴収に資するものであることから、徴収部 門と緊密な連携の下、こうした納税しょうようにも積極的に取り組むものとする。 ② 早期着手、早期整理による確実な徴収 適正に課税しても確実に納付されなければ税負担の公平は確保されない。 従って、常に滞納状況や財産状況の把握に努め、処理方針を定めた上で、実態に即した滞納処分を執行 するとともに、差押え財産の換価を随時行い、滞納額の圧縮に努めるものとする。 特に、高額滞納事案については、徹底した財産調査を速やかに行い、この調査結果に基づき処理方針を 明確化し、租税債権の保全措置を講ずるとともに厳正な滞納処分を執行するものとする。 また、悪質・常習滞納事案に対しては、徴収部門のみならず課税や収納管理部門が一体となり、十分な 準備の下、法令に基づく適正手続きによって、迅速かつ的確に対処していくものとする。 (2)自主納税意識の高揚 ① 税務広報の推進 納期内納税及び自主納税は税の基本であることから、あらゆる機会を通じて納税者の納税意識の高揚を 図ることが不可欠である。 このため、国や市町村、納税奨励関係団体との連携を密にしながら、効果的かつ効率的な税務広報を行 うとともに、課税・徴収・収納にわたるあらゆる段階において、税務職員一人ひとりが納税者の理解を得 るよう努め、自主納税意識の高揚を推進するものとする。 特に、既定予算の範囲内でより効果的な広報ができるようパンフレット、新聞広告及びラジオスポット 等の既存の媒体のみならず納税通知書等の裏面の活用なども含めた幅広い広報媒体の選択など様々な検討 を十分に行い、時宜を得た有効な広報に努めるものとする。 また、県税ホームページの一層の拡充を図るなど、IT化の進展にも配慮したきめ細やかな税務広報を 推進していくものとする。 ② 租税教育の推進 次代を担う児童・生徒が租税の意義や納税の義務等について正しい理解と認識を深めることは極めて重 要であることから、山梨県租税教育推進協議会(会長:山梨県教育長、事務局:甲府税務署)等の関係機 関と協調し、税に関する学習資料の作成など、長期的な視野に立った効果的な租税教育を実施し、租税に 対する理解の拡大を図るものとする。 特に、県下の小学校6年生及び中学校3年生に配付する租税教育用教材については、教育関係者の意見 を聴きながら、教育現場で活用しやすい内容となるよう、その充実に努めていくものとする。 税務運営方針 141 また、こうした租税教育をより効果的に推進していくことを目的に、学校教育の場で直接、児童・生徒 を教育する教員を対象として、県総合教育センターが平成13年度から開始している「租税教育研修会」に対 しても、県租税教育推進協議会と連携して、その充実に向け一層、協力していくものとする。 (3)事務執行体制の確立 ① 税務職員としての心構え 税務職員は、県財政を支える重要な使命を担っているという職務の重要性を自覚するとともに、常に節 度と品位の保持に努め、厳正な態度で事務処理に努めるものとする。 特に、税務職員は高度な専門的知識と経験を必要とすることから、各種研修会への積極的参加や日常業 務を通じての自己研鑽を積み重ねて、職員一人ひとりが常に、関係諸法令の理解と税務関係の専門的知識 や技能の習得に努めるものとする。 ② 効果的な税務研修の実施 経済、社会の構造的変化や税に対する県民の関心の高まりなどを背景に税を取り巻く環境が一段と厳し くなってきているとともに、経済のグローバル化に伴い税務行政そのものの高度化・専門化が加速してき ている。 一方、税務経験年数の少ない職員が年々増加してきている中で、公平・公正かつ適正・迅速な税務事務 の執行を維持していくためには、税務職員一人ひとりの税務事務の遂行能力の向上が不可欠であり、課税 から徴収にわたる法的知識や専門的ノウハウなどのスキルアップを図っていくことが極めて重要となって きている。 このため、税務職員一人ひとりの経験年数に応じた効果的な税務研修を実施し、その資質の向上を図っ ていくため、次のとおり税務研修を実施するものとする。 (税務研修の内容) (1)税務職員としての知識の習得 ① 新任税務職員研修 (2)税務職員としての課税・徴収事務のスキルアップ ① 税務組織内部研修 (専門研修として、収納管理、滞納整理、各税目ごとに職場研修を実施) ② 外部講師を活用した税務職員研修 ③ 派遣研修 ・関ブロ税務職員研修((財)地方財務協会) ・徴収事務研修(全国地方税務協議会) ・不動産評価研修(全国地方税務協議会) ・軽油引取税調査事務研修(全国地方税務協議会) 直税課税研修(全国地方税務協議会) ④ 長期派遣研修 自治大学校税務専門課程徴収事務コース(6週間)への派遣研修 ③ 納税者に対する接遇及び説明責任の徹底 県民の税務行政に対する信頼を確保するため、職員一人ひとりが納税者等に対して、常に親切かつ誠意 を持って接するよう努めるものとし、苦情や相談については、相手の立場をよく理解した上で分かりやす い納得のいく説明を行い、一方で、悪質な滞納者に対しては厳正な姿勢で臨むなど、状況に応じた適切な 対応を行うものとする。 特に、徴税は地方自治体の持つ最大の公権力行使であることから、納税者に対する説明責任の徹底が不 可欠であるので、例え感情的な問い合わせがあったとしても、沈着冷静な態度で説明責任を全うすること を常に心がけるものとする。 142 税務運営方針 また、交渉相手が滞納者であったとしても、常に節度と品位を保ち、冷静かつ毅然たる態度で応対する ことが重要である。 ④ 税務組織内の連携体制の強化 事務の執行に当たっては、総合県税事務所及び自動車税事務所は相互に緊密な連携を図るとともに、既 存の組織概念にとらわれず、常に改革と創意工夫を念頭に全所的な立場から組織の弾力的・機動的な運用 に努めるものとする。 また、事務所内の課税、徴収及び収納管理の各部門間はもちろん、税務職員相互の連携体制の確立は、 公正・公平な税務行政を推進する上からも、また、効率的、効果的に税収確保を図る上からも必須の条件 であることから、管理監督の立場にある者は、こうした連携体制の確立に努めるものとする。 ⑤ 効率的な事務執行管理の推進 総合県税事務所及び自動車税事務所においては、課税、管理及び収税の各部門毎に日常の業務内容につ いて常に見直しや改善を行いつつ、実態に即した効率的な事務執行計画を策定し、これに基づき税務事務 を執行するものとする。 また、管理監督の立場にある者は、この計画に基づく適切な執行管理を実施し、税収確保に最大限の努 力を傾注するものとする。 併せて、税制度が高度化・複雑化してきているとともに、一人一台パソコンを活用した新税務システム が稼働し、税務データの入力処理など税務事務処理がコンピュータシステムによって行われる頻度が一段 と高まったことから、処理漏れや処理忘れ等がないように、管理監督の立場にある者は充分留意して進捗 管理を行うとともに、常に、職員の状況に目を配り、コンピュータでの処理に一人悩んでいる職員がない ように、適宜、適切なフォローを行うなど充分な配慮に心がけるものとする。 ⑥ 関係機関との連携強化 関係機関とは常に密接な連携を図り、協力体制の強化に努めることとする。 国及び市町村とは、資料及び情報の交換はもとより、調査事務の分担、徴収事務の相互援助等を行うこ とにより、三者が一体となって税収の確保に努めるものとする。 なお、個人県民税については、市町村との一層の連携を図り、市町村の効率的な徴収を支援していくも のとする。 2 課税に関する事項 (1)直税関係 ① 個人県民税 ア 個人県民税の調定に当たっては、唯一の資料である市町村からの個人県民税の賦課徴収に関する報告 書の内容を精査するとともに、調定に過誤のないよう市町村の指導に当たるものとする。特に、住所地 以外の市町村に家屋敷等を所有する者に対する課税漏れ等がないよう、適正な課税を市町村に要請する ものとする。 イ 市町村からの払込額及び徴収状況に関する報告については、その内容の精査及び確認を十分行い、払 込期限の遵守など適正な事務処理が行われるよう市町村の指導に当たるものとする。 ウ 徴収取扱費の算定及び交付に当たっては、個人県民税の賦課徴収に関する法令に留意し、的確な事務 処理に努めるものとする。 ② 県民税利子割、県民税配当割及び県民税株式等譲渡所得割 国税の関係書類の閲覧を効果的、効率的に実施し、特別徴収義務者の適正な申告指導に努めるものとす る。 ③ 法人県民税及び法人事業税 ア 法人を取り巻く経済社会環境の変化に伴い、法人の移動が激しくなることが予想されるので、税務官 署、都道府県、市町村その他関係機関との連携を一層密にし、新設法人や不申告法人等の実態把握、申 告指導を引き続き積極的に行うものとする。 税務運営方針 143 イ 課税客体である法人等を正確に把握するため、法人の基本マスターは、申告書、諸届、現地調査など により、常に最新のデータを維持するよう努めるものとする。 ウ 外形標準課税対象法人に対して、計画的に調査を実施し、適正な課税に努めるものとする。 ④ 個人事業税 ア 課税客体である個人の事業の把握に当たっては、税務官署及び市町村との連携を密にし、的確かつ公 正な課税を行うものとする。 イ 所得税の申告により課税するものについては、所得税の申告書、税務官署の決定処分等の課税資料の 収集と蓄積を図り、課税客体に対する資料を充実させるものとする。 ウ 個人事業税の課税対象になるか否かについての業種判定に当たっては、法令等を熟知し、課税上の均 衡を失しないよう的確な判定を行うものとする。 エ 自主決定により課税するものについては、事業者への諸計算書類等の報告書類の提出依頼を行うとと もに、所得税の決算書類の転写を励行することによって、課税資料の蓄積を図り、適正な課税に努める ものとする。 オ 徴収部門との連携を密にし、課税客体に関する情報を相互に共有するよう努めるものとする。 ⑤ 不動産取得税 ア 広報 納税者の不動産取得税制度の理解不足から生ずるトラブルを防止するため、広報などを活用し、広く 県民に対して不動産取得税制度の周知を図り、不動産取得税に対する納税意識と制度の正しい理解の普 及に努めるものとする。 イ 滞納の未然防止 滞納の発生が予想される取得者については、課税段階から資産状況等の把握に努め、課税の時期を早 めるなど、徴収担当との連携を一層密にすることとする。 また、一定額を超える高額課税物件について、事前に税額と課税時期を納税義務者に連絡し、納期内 納付を指導するなど、高額滞納の抑制に努めるものとする。 ウ 原始取得 原始取得に対する課税に当たっては、市町村との連携を密にし、課税客体の確実な捕捉に努めるとと もに、県が評価を担当する大規模建築物については、早期に評価し、課税事務の迅速化、効率化を図る ものとする。 エ 承継取得 承継取得に対する課税に当たっては、特に、中間登記省略物件について、「中間登記省略に係る不動 産取得税の事務処理要領」に基づき着実に調査を実施し、課税客体を的確に捕捉し、適正な課税に努め るものとする。 オ 平成18年度税制改正への的確な対応 土地・住宅に係る税率の引き下げ措置が延長(住宅以外の家屋に係る税率の引き下げは経過措置を設 けて廃止)されたことから、この適用について遺漏のないようにすること。 ⑥ 自動車税及び自動車取得税 自動車税及び自動車取得税は、納税義務者数が多く、最も県民に身近かな税目であり、特に、自動車税 については景気に左右される要素が少なく県税の中で一定の税収が安定的に見込まれるものである。 自動車税及び自動車取得税は県民の関心度も極めて高い税目であり、定期賦課時のみならず車検時など 年間を通じて県民から問い合わせや苦情などが寄せられる。 このため、多くの県民が納税義務者である点を常に意識しつつ、適正かつ円滑な事務処理を行い、県民 からの問合せに対しては適宜、適切な対応に努めるものとする。 併せて、課税客体が膨大でしかもその移動も激しいことから、関係機関及び関係団体との連携にも意を 用い、効率的な事務の執行に努めるものとする。 ア グリーン化税制の適用については、特に留意の上、遺漏のないよう努めるものとする。 144 税務運営方針 イ 自動車の種類、年式、型式等は多種多様なので、自動車税の税率の適用並びに自動車取得税の課税標 準の決定及び控除税率の適用に当たっては、慎重かつ適正に処理するものとする。 ウ 証紙による徴収については、適正な処理が行われるよう関係団体を指導するものとする。 エ 総合県税事務所の徴収部門との連絡を密にするとともに、長期滞納者の調査及び課税保留自動車の車 両確認を早期に行い、課税客体とならない自動車については、課税除外の処理を行うなど、課税の適正 を期するものとする。 オ 商品自動車については、計画的に実態調査を行い、課税の適正化に努めるものとする。 カ 身体障害者等に対する減免については、減免対象者の現況調査を定期的に行うなど適正な処理に努め るものとする。 キ 自動車所有者、自動車販売業者及び自動車整備業者に対し、あらゆる機会を通じて適正な登録と申告 の指導に努めるものとする。 ク 納税通知書の返戻分については、市町村の協力を得て住所調査を十分に行い、完全送達に努めるもの であるが、数年度にわたって返戻になっている課税客体については、課税保留等の処理を行うなど、効 率的な事務の執行に努めるものとする。 ケ 平成18年度の自動車税から、県域を超えた自動車の転出入における自動車税の月割計算が廃止された ことから、引き続き納税者への周知徹底を図るとともに、継続車検時に必要となる納税証明書の取扱等 について、適正な処理に努めるものとする。 ⑦ 鉱区税 鉱区台帳の整備を励行し、適正な課税に努めるものとする。 ⑧ 狩猟税 関係部局との一層の連携により、適正な課税に努めるものとする。 (2)間税関係 ① 地方消費税 賦課徴収については、当分の間、国が消費税の賦課徴収の例により、消費税と併せて行うこととされて いるが、消費税及び地方消費税の滞納の未然防止を図るため、関係機関との連絡調整に努めるものとする。 ② 県たばこ税 関係機関及び関係団体との連絡調整を密にし、たばこの県内購入の促進に努めるとともに、納税義務者 に対する指導を十分に行い、課税の適正化に努めるものとする。 ③ ゴルフ場利用税 施設の規模等により適正な等級決定を行うとともに、時宜を得た調査の実施によって、利用人員、利用 料金等を的確に把握し、適正な課税に努めるものとする。 また、納税者から特別徴収したゴルフ場利用税を特別徴収義務者が滞納することは、納税者が納めた税 が県に納入されないまま当該特別徴収義務者の手元に滞留していることに他ならないことであり、これを 放置することは租税制度を根底から覆すことに繋がることから、課税部門においても徴収部門と緊密な連 携のもと、当該特別徴収義務者に対する納税のしょうようを強化するものとする。 ④ 軽油引取税 混和等による脱税行為を防止し、課税の適正化を図るため、次の調査事項に積極的に取り組むものとし、 調査計画策定に際しては、個々の石油販売業者等の状況を考慮して調査対象業者等の選定を行い、効率的 な税務調査を実施するものとする。 また、脱税の端緒を発見した場合又は通報等があった場合には、帳簿調査や反面調査(取引先調査)な どの徹底した調査を他に優先して実施し、課税標準量の捕捉に努めるものとする。 特に、特別徴収義務者が納税者から特別徴収した軽油引取税が確実に納入されるよう、課税部門におい ても徴収部門と緊密な連携の下、当該特別徴収義務者に対する納税のしょうようを強化するものとする。 ア 石油販売業者については、定期的に品質検査等を実施するものとし、中でも第三者販売店について、 各種の情報等に留意しながら効果的な調査に努めるものとする。 税務運営方針 145 イ タンク等の貯蔵施設を所有する大口需要家については、その把握に努め、品質検査等を計画的に実施 するものとする。 ウ 警察の行う交通指導取締りと共同して、大型ダンプ等を対象とした路上抜取調査を実施し、混和軽油 等不正燃料の販売及び消費の防止を図るものとする。 また、調査を行うに当たっては、本県独自に実施するものの他に、日時を決めて、関東各県等で一斉に 行う広域調査にも取り組むこととする。 エ 免税軽油については、制度の適正な運用を図るため、免税証の交付に際し、使用機械等を確認のうえ 適正な交付数量の承認を行うとともに、免税証の交付を受けた免税軽油の引取り等に係る報告書の提出 を義務付け、大口消費者に対しては計画的な実態調査を実施し、用途外使用の防止を図るものとする。 オ 軽油の取引は広域的に行われることから、一部の悪質な業者が組織的かつ広範囲にわたって不正燃料 を流通させる事件も増えている。このため、常に情報の収集及び実態の把握に努めるとともに、他の都 道府県との調査及び情報提供に関する協力を強化していくものとする。 カ 軽油の品質検査については、クマリン除去の混和軽油等が流通しているとの情報もあるため、状況に 応じて、従来のクマリン検査以外の分析方法についても実施していくものとする。 キ 地方税法の改正により、不正軽油に関する罰則が強化されてきたところであり、今後も引き続き、リー フレット等に基づき広く県民に向けて、積極的に周知活動を行っていくものとする。 ク 違法な混和軽油などの不正軽油は、軽油引取税の悪質な脱税行為であるのみならず、環境等にも重大 な影響を与えるものであることから、業界団体、税務・県警・消防・環境の県機関及び山梨運輸支局で 構成する「山梨県不正軽油対策協議会」を設置し、不正軽油の撲滅に取り組んでいるところである。本 年度は、不正軽油撲滅啓発用横断幕の設置などによるPR活動を実施するとともに、総合県税事務所に設 置した不正軽油110番の活用を図りながら、路上抜取調査及び販売店調査を強化し、不正軽油の発見の 徹底と流通の阻止に向けた「不正軽油撲滅作戦」に取り組んでいくものとする。 ケ 最近の犯則事件の実情について学ぶため、他の自治体の職員を講師として、犯則事件の調査事例に関 する研修会を開催する。 (3)県税の特別措置 県では、産業の振興等を図るため、特定の地域に進出する企業等に対して、条例による税制面での特別措 置を講じている。 この事務処理に当たっては、適正な処理を行うことはもちろん、県の関係部局及び関係市町村との連絡を 密にするとともに、該当企業に対しても制度内容等の周知を徹底し、条例の趣旨に沿った適正期間内に確実 に処理するものとする。 3 徴収に関する事項 厳しい財政状況が続く中で、県税収入の確保を図ることはもちろん、公平・公正な税務行政の推進には、課税 した税を確実に徴収するという毅然とした取り組みの実施が不可欠であり、一人ひとりの職員が常にこうした意 識を持って、計画的に徴収事務を遂行していくものとする。 特に、法定期限等に拘束された事務執行が前提となる課税部門と異なり、徴収部門においては、個々の案件に 対する滞納整理の方針、手法、スケジュール等を自らが企画・立案・管理していくことになることから、滞納整 理の方針や手法をまず決定した上で、その実施のための地区別、滞納者別その他の妥当性のある区分けにより、 合理的な徴収計画を策定するとともに、この進捗管理や方針等の見直しを常に行いながら、効果的・効率的な事 務執行に努めていくものとする。 また、滞納処分を行うに当たっては、個々の滞納事案の態様に沿って処理することになるものの、滞納事案の 重大性に比例して、当該滞納処分が社会通念上からしても是認される程度・内容等であることが原則であり、少 額な滞納事案に対するよりも、高額な滞納事案に対する滞納処分の程度・内容等が厳しいものとなるのは当然で あることから、こうした滞納事案の重大性に比例した妥当な滞納処分がなされるよう常に留意して、滞納整理の 進捗管理を行っていくものとする。 146 税務運営方針 (1)現年課税分の滞納事案への対応 滞納額の圧縮を図るためには、まず、現年課税分に対する確実な徴収が重要であることから、次の点に留 意した取り組みを行うものとする。 ① 滞納の未然防止のための取り組み 滞納整理の原点は、滞納の発生を未然に防止することにあることから、課税部門との緊密な連携の下、 滞納の未然防止を図るよう努めるものとする。 特に、法人二税及び軽油引取税について税務調査に基づく修正申告を受理する場合又は更正若しくは決 定処分を行う場合や、不動産取得税や個人事業税などの賦課決定に係る税目で比較的高額な事案の納税通 知書を発付する場合には、課税部門の職員も納税のしょうようを行い、滞納の未然防止に努めるものとす る。 また、納期限までの納税が見込めないものについては、課税部門の職員の協力を得て、納付計画等につ いての指導の徹底を図るものとする。 ② 的確な納税指導の実施 納税指導は厳正な態度で早期に実施し、納税者との摩擦や相互不信を避けるためにも、折衝内容を適切 に記録するものとする。 また、納付約束による分割納付等については、決算書の提出を求める等により納付能力を的確に把握し た上で対応するものとし、約束不履行の場合には速やかに滞納処分を執行するものとする。 特に、高額滞納事案で納付約束による分割納付となっている場合は、差押え又は担保の徴求を行うなど 租税債権の保全を図るものとする。 ③ 厳正な滞納整理の実施 的確な納税指導の実施によっても納税がない事案に対しては、課税部門と徴収部門との緊密な連携の下 に速やかに情報を収集し、早期着手、早期整理を図るものとする。また、滞納者の不動産や預貯金等の財 産調査を綿密に行い、滞納額等を考慮して、換価容易な適切な財産を選択し、速やかに差押えを行うもの とする。 特に、納期内納税の促進、公平な税負担の原則を維持するため、延滞金の徴収は確実に行うものし、こ れを減免する場合にあっては、法律上当然に免除されるもの及び山梨県県税収納管理事務処理要領(平成 元年3月31日付け税第3-20号、総務部長通達)に規定する県税事務所長等の裁量により免除(減免)さ れるものに該当するもの以外は、減免の対象とはならないので、滞納者に対して厳格な対応を行うものと する。 ④ 一斉文書催告等の実施 滞納整理の円滑な実施を図るため、計画的に、一斉文書催告、滞納者の態様に即した臨戸徴収、財産調 査、差押え及び差押え財産の換価など、実効性のある滞納整理を行うものとする。 また、高額滞納事案についても、破産手続きが開始されるなど経営が破綻した場合や納付約束に基づき 確実に分納が継続されている場合を除き、一斉文書催告や随時の文書催告を実施するものとする。 なお、現年課税分の高額滞納事案で、滞納者の態様に即して差押不動産の換価処分が必要なものについ ては、計画的にこれを公売するものとする。 (2)滞納繰越分への対応 滞納繰越分については、既に納税指導が実施されているものであることから、破産手続きが開始されるな ど経営が破綻した場合や納付約束に基づき確実に分納が継続されている場合などを除き、納付がなければ直 ちに滞納処分に着手すべきものであり、処理方針を明確にした上で、滞納者の財産調査を再度綿密に実施す るなど、厳格・厳正な滞納処分を実施していくものとする。 併せて、納期内納税の促進、公平な税負担の原則を維持するため、延滞金の徴収は確実に行うものとする。 なお、財産調査の結果、差押えるべき財産がないことが判明した場合等には、要件該当性等を勘案の上、 滞納処分の執行停止を行うものとする。 税務運営方針 147 (3)高額滞納事案への機動的な取り組み 高額滞納事案に対しては、特に、税の公平を確保する観点からも、適正、迅速な滞納整理が不可欠である ことから、預貯金、債権及び不動産等について綿密な財産調査を適宜実施し、租税債権の保全を確実に行う とともに、処理方針を明確化した「特別徴収計画」を策定し、当該滞納者の態様に応じた滞納整理を行い、 自主納税が見込めない場合は直ちに厳格・厳正な滞納処分を実施していくなどの機動的な取り組みが必要が ある。 このため、総合県税事務所においては、所内での連絡調整、情報交換、他部門からの協力など十分な連携 体制を整え、この特別徴収計画の円滑な実施を図るとともに、特別徴収計画及びその進捗状況について、定 期的に税務課に報告するものとする。 (4)悪質、常習の滞納者への対応 悪質、常習の滞納者に対しては、公平・公正な税務行政を推進する上で、毅然とした取り組みが重要であ ることから、課税部門と徴収部門とが緊密な連携の下、速やかに情報を収集し、早期着手、早期整理に向け た取り組みを一層、強化していくものとする。 (5)特に留意すべき個別税目 ① 個人県民税 個人県民税は、県税収入に占める割合が大きい税目であるが、賦課徴収に関する事務を市町村が行って いることから、一定水準の徴収率が期待できない市町村については、賦課徴収実績、徴収事務の実施状況 を把握のうえ、市町村課との連携を図る中で、差押えの実施、延滞金の徴収などの徴収強化を要請すると ともに、地方税法第41条第3項の規定による必要な援助として、本年度も、共同一斉催告や共同臨戸など を実施していくものとする。 また、市町村の意向を確認した上で個人の住民税に係る徴収を県が引き継ぐ、地方税法第48条に基づく 直接徴収の拡大に努めるものとする。 なお、この直接徴収の実施に当たっては、徴収率の低下が懸念される市町村長に強く働きかけを行う。 ② 自動車税 自動車税については、継続車検時に納税すれば良いという意識が依然としてあるため、納期内納税を一 層促進するとともに、滞納整理の実施に当たっては、給与支払請求権、預貯金など財産の発見に努め、自 動車を含めて積極的に差押えを行うものとする。 また、滞納者の捕捉が困難なケースもあることから、自動車税に限らず各課税部門の保有するデータ等 の活用を図ることにより、滞納者の捕捉に努めるとともに、捕捉困難な場合は、所在不明による執行停止 の措置又は課税部門における所要の措置を講ずるものとする。 ③ 不動産取得税 不動産取得税は、1件当たりの滞納額も高額であり、徴収困難となる事例も多く見られることから、滞 納整理に当たっては、早期着手に努め、資産の分散が行われる前に差押え等の適切な措置を講じ、確実な 債権確保を図り、調査を行った結果、換価する財産等が無いことが判明した場合は、適切な処理を行うも のとする。 なお、滞納整理への早期着手のためには、不動産の取得後の早期課税が必要であることから、課税部門 においても課税の迅速化に向けた取り組みを行うとともに、課税部門と徴収部門とが緊密な情報交換等を 行い、不動産取得税の滞納額の圧縮に努めていくものとする。 ④ 軽油引取税 軽油引取税は、納税義務者から預かった税金を特別徴収義務者が納入する特別徴収制度であることから、 滞納が発生することは税の公平性を著しく損なうものであり、課税部門と連携して滞納の未然防止に努め ることはもとより、徴収猶予を認めるに当たっては、担保の提供を免除する場合の地方税法施行令に定め る要件に該当するか否かの判断を厳格に実施し、この要件に該当しない場合は確実にその猶予に係る金額 に相当する担保を徴するものとする。 148 税務運営方針 ⑤ ゴルフ場利用税 ゴルフ場利用税についても特別徴収制度であることから、軽油引取税と同様に滞納の未然防止に努める ことはもとより、滞納が生じた場合は速やかな滞納整理を行うものとする。 4 共同調査及び犯則取締りに関する事項 (1)共同調査 総合県税事務所長は、軽油引取税において、次のような税務調査の必要が生じたときは、総務部長に協議 し、総務部長の指示に基づき税務課と共同して調査に当たるものとする。 ① 犯則調査が必要とされるもの。 ② 多額の更正・決定が見込まれるもの。 ③ 広域的な調査が必要とされるもの。 ④ 総合県税事務所長が特に必要と認めるもの。 (2)犯則取締り 納税義務者が「偽りその他不正な行為」によって、租税を免れ又はその還付を受けることを構成要件とす 4 4 4 る「ほ脱犯」や、特別徴収義務者がその義務を怠り、徴収・納付しなければならない税額を納付しないこと を構成要件とする「不納入犯」などに対する犯則調査は、次の基準により対象者を選定するものとし、調査 の実施に当たっては、総務部長に協議し、総務部長の指示に基づき税務課と共同して調査に当たるものとす る。 ① 脱税額が多額であること。 ② 犯則事件として処理しなければ、他の納税者又は特別徴収義務者に悪影響を及ぼし、税の公平が保てず、 適正な課税に支障をきたすこと。 ③ 徴税吏員が質問検査権を行使して行う通常調査に応じないこと。 5 収納管理に関する事項 課税及び徴収部門との緊密な連携を図るとともに、各地域県民センター窓口との連絡を密にし、正確かつ円滑 に事務処理を執行するものとする。 特に、収納管理事務の性格上、その処理に時間的な制約を受けることが多いことから、常に事務の簡素化に配 慮し、処理時間の計画的な調整を行うとともに、事務の平準化に努めるものとする。 また、窓口業務は、納税者の利益や税務行政に対する信頼感に直接影響することを十分認識し、親切かつ丁寧 な対応と迅速かつ的確な処理に努めるものとする。 6 税務システムの運用維持管理に関する事項 税務システムの運用及び維持管理に当たっては、円滑かつ効果的な運用に努めるとともに、税制改正等に伴う システム修正においては関連部門と緊密に連携して的確に対処するものとする。 (1)システムの運用 ① システムの運用に当たっては、担当間の連絡を密にし、円滑かつ効果的な運用体制の確立に努めるもの とする。 ② 職員への端末操作支援に万全を期すとともに、システム使用者の側に立った端末操作マニュアル等、運 用に必要なドキュメントの整備を図るものとする。 ③ 安定した税務システムの稼働のためサーバ及び端末装置等の適切な管理に努めるものとする。 ④ データの取扱い及び機密保持には十分に留意するとともに、データの適切な保管、管理を実施するもの とする。 ⑤ 平成19年度は特に税務システム情報セキュリティ実施手順書の作成を行うものとする。 (2)システムの維持管理 ① 税制改正に伴うシステム修正においては、法人税申告書の様式変更に伴う修正が予定されていることか 税務運営方針 149 ら、課税部門、徴収部門と緊密に連携しながら的確に対応するものとする。 ② 税収確保特別対策に関するシステムへの要望事項については、迅速に対応するものとする。 ③ システム改善要望への対応に当たっては、より一層効果的なシステムとなるよう、優先度等も考慮しな がら、改善を実施していくものとする。 ④ 平成19年4月に運用開始された新財務会計システムとの連携については、作業部会等を通じて連絡を密 にし、両システムの効率的な連携が図られるよう調整を図っていくものとする。