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大成建設株式会社 【建設業】
大成建設株式会社 【建設業】 主要な事業内容 : 土木事業、建設事業、開発事業 従業員数 : 約8,250人(うち女性 約1,299人) 女性管理職比率 : 課長級 1.0 %、部長級 0.2 %、役員 0 % 従業員構成(人) 6,951 1,299 ― ― 正社員(男性) 正社員(女性) 契約社員(男性) 契約社員(女性) 女性活躍推進に向けた取組経緯と推進体制の整備 労働力人口の減少が想定される中、優秀な人材確保への対策が重要な課題となっていたことから、女性活躍推進 に取り組むこととした。 女性の活躍推進を社の重要課題として位置づけ、2007年に人事部内に「女性活躍推進室」(現:「人材いきい き推進室」)を設置。 採用に関する取組 【 基幹職としての女性の採用数拡大 】 • 女性技術者をアニメ化した広告や、ホームページや各種就職情報誌に女性社員を積極的に紹介する等の取組を 実施。 • 2003年に初めて女性総合職を新卒採用し、2007年より女性基幹職(総合職・専任職)の採用が本格化。以 降、新卒採用の女性比率は約20%となっている。 • 採用は技術系(土木工学、建築工学出身者など)が8割を占め、事務系が2割程度。技術系を多く必要とする 会社なので理系女子を採用したいが、母数自体が少ないため、確保が課題となっている。 配置・育成・教育訓練に関する取組 【 職域拡大に向けた取組(建設現場や営業職への女性社員の配置) 】 • 建設現場においては、施工管理と事務管理が主な業務となるが、その双方に女性を積極的に配置。2006年と比 較して、2014年には現場で働く女性の数は14名から140名と約10倍となっている。 • 女性用トイレや更衣室の設置、女性向けの軽量な安全帯やヘルメット、作業服の用意等、ハード面の環境を整備。 • 取組当初、施工管理業務に就く女性は数名程であったが、現在は副所長という重責を担う女性社員も出てきた。 • 事務管理業務についても、今までは男性社員が大半であったが、女性の基幹職採用の本格化に伴い、現在では 多くの女性社員が担当している • 女性の営業職への配置は以前は0名であったが、2014年には20名となった。配属に当たっては男性社員と同様に 導入研修を実施するほか、事前に先輩男性営業職社員が、発注者を含め関係者に会社の方針を説明する等の 環境整備にも取り組んでいる。 • 女性は出産・育児期に仕事をスローダウンせざるを得ないが、その前の時期に仕事の面白さを感じてもらうことがその 後のキャリアへの意欲に重要であると考えており、早期の育成を管理職に呼びかけている。 【 短時間勤務者に対する業務の工夫 】 • 建設工事は工期も人数も限られているため、現場で短時間勤務者の配置は簡単ではないが、建設現場でも工事 の進捗により時間が左右されることの少ない、工務や積算・コスト管理等の様々な業務を切り出し、短時間勤務 者も配置している。 【 海外への女性社員の派遣 】 • 海外にも職域を広げ、海外勤務を希望する女性社員を積極的に派遣。派遣先はこれまで8か国となり、1人で4か 国の現場勤務を経験した女性技術者もいる。 継続就業に関する取組 【 勤務地変更制度の導入 】 • 結婚・出産を理由に退職する社員は減ってきたが、配偶者の転居等を理由に退職する社員は依然として存在した。 • そこで、勤務地限定の社員が配偶者の転居等により入社時の勤務地では継続就業が困難となった場合、退職せ ずに転勤できる勤務地変更制度を2010年に導入。配偶者の転勤のほか、介護事由での希望も可能であり、この 制度を利用することで、退職することなく働き続ける社員が増えている。 【 キャリア選択制度の導入 】 • 総合職で入社した社員が、結婚や親の介護等によりライフスタイルを変更せざるを得ない場合に対応すべく、勤務 地限定社員に変更することができるキャリア選択制度を導入している。 【 パートナーと考える仕事と生活の両立支援セミナーの開催 】 • 社員の仕事と家庭の両立には、社員の配偶者などパートナーの理解・協力が不可欠と考え、2012年から社員とそ のパートナーを対象としたセミナーを実施。パートナーとの協力関係をできるだけ早期に作り上げる観点から、結婚前 のカップルや独身者も参加できるようにした。また動画配信も行い、参加できない社員も自宅で視聴できるように。 • セミナーでは、女性社員が仕事と家庭を両立させるためには、男性の家事・育児への参画が重要であることについて 啓発するなどしている。 • 参加した女性社員の配偶者からは、「自分の妻が仕事に対してこんなに前向きだと思わなかった」「自分の妻の仕事 に対する思いを知れてよかった」という声が上がっている。 【 育児サポートプログラムの実施 】 • 育児をしている社員が、安心して育児をしながら仕事を継続することができるように、産休・育休の取得から復職まで だけでなく、その後の仕事と育児の両立も含めた長いスパンでのサポートを目的としたプログラム。 産休前 産前休暇 (下記➀) (下記②) 出産 産後休暇 育児休業 (下記②) (下記➁・③) 職場復帰 ① 産休・育休前の三者面談(産休・育休1ヶ月前:本人・上司・人事) • • 制度の確認、休業中の過ごし方、連絡体制、復帰予定等を話し合う。 また、所属部署や担当業務に関する情報の継続的な発信の有無等も確認し合い、休業中も会社とのつながりを 保ち、安心して休むことができる環境を整えている。 ② 休業中のスキル維持・向上支援、育休者ミーティング • 安心して職場復帰するためには、職場との継続的な情報交換に加え、能力開発も必要であると考え、休業中の業 務スキルの維持向上を希望する社員に対し、自宅で学習可能なスキルアップ教材の貸し出しやその費用補助を • 行っている。 育休者同士のネットワークづくりや、先輩社員から仕事と育児を両立するためのアドバイスを受ける機会を持てるよう に、年に2回、育休者を対象としたミーティングを実施。遠方により参加できない社員に対しては、動画配信も行い自 宅でも視聴できるようにしている。 ③ 復職前の三者面談(復職1~2ヶ月前:本人・上司・人事) • 復職後の業務内容や託児の状況、勤務時間、不安に感じていることを話し合う。 • 本人と上司の双方が、復帰後も密なコミュニケーションを取りながら仕事ができるよう支援している。 女性の積極登用・評価に関する取組 【 登用目標の設定 】 • 2014年には、「2020年に女性の管理職数を3倍にする」という数値目標を掲げた。 • グループリーダーや室長等のライン管理職に女性を任用。2012年7月には初めての女性部長が誕生し、作業所で も副所長が誕生するなど、指導的役割を担う女性社員が増加している。 【 評価制度の改正 】 • 産休・育児休業・介護休業等による休職中の人事評価を行わず、復職後の昇級審査には休業前の評価を通算 する制度へと改正。(ただし、休職期間については評価ポイントが加算されないため、昇級に、休職の影響は多少 あるが、復帰後の評価次第で早期に昇級する社員も出てきている。) • また、意欲ある社員の昇級速度を速める評価制度へと改正した。(2011年度より人事制度を見直し、意欲ある 社員に対する処遇を改善したことから、そのモチベーションの向上に繋がっている。) 【 女性リーダーの育成に向けた研修の実施 】 • 2008年から、女性リーダーを育成するための各種研修を実施。 • 2012年からは、選抜した女性社員を対象に、次世代リーダー育成研修を実施。男性多数の組織の中で女性が能 力を発揮するために必要な行動や思考法を教えるとともに、受講者同士や活躍する先輩社員とのネットワークづくり にも寄与している。受講者からは、「将来リーダーになった時の、部下への叱り方・認め方を学べた」「将来像が明確に なった」という声が上がっている。 女性の再雇用・中途採用に関する取組 【 ジョブリターン制度の導入 】 • 従来、出産・育児や配偶者の転居に伴い、やむを得ず退職する社員がいたが、会社にとって大きな損失であることか ら、退職者を再雇用する制度を2008年に導入した。(再雇用に当たっては、会社での求人の必要が発生した際 に、登録者リストの中から、資格や業務経験、勤務地などの要望のマッチする者にアプローチを行い、本人もその求 人を希望する際は、選考試験を受け、合格すれば再雇用となる。) • 妊娠・出産、育児、介護、配偶者との同居が事由による退職で、3年以上の勤務経験があれば、再雇用制度の対 象となり、ほぼ毎年、この制度を利用して社員が復職している。 女性が活躍しやすい職場風土改革に関する取組(性別役割分担意識の見直し等) 【 全役員・社員に対する意識調査の実施/女性社員に対する個別ヒアリングの実施 】 • 女性活躍推進に向けた課題を分析するため、全役員・社員を対象に意識調査を実施。意識調査は、「女性にも 長く働いてほしい」、「結婚・出産後も仕事を続けやすい」、「雑務は女性という考えはない」、「女性管理職へ抵抗は ない」、「仕事の成果や充実感を持てている」、「目標になる女性がいる」、「セクハラ・パワハラはない」、「男女公平に 評価している」などといった項目について、Yes/Noで答えるアンケート形式で行った。 • また、全女性社員の3分の1程を対象に個別ヒアリングを実施。個別ヒアリングでは、現在の仕事やこれからの働き 方に対する意識などについて質問をするとともに、異動可能な業務に就いている社員に対しては、ジョブローテーション に対する考え方についても質問を実施した。 • 意識調査・個別ヒアリングの結果、仕事への意欲に関し、男性社員の多くは「女性社員は現状の仕事で満足してい る」と考えていたが、女性社員の約4割が「もっとやりがいのある仕事をしたい」と考えていることがわかった。同時に、 「失敗するのが怖い」「上司のサポートがあれば頑張れる」という意見も多く、男女の思考の違いも明らかになった。 【 女性社員を部下に持つ管理職に対する研修の実施 】 • 前述の意識調査・個別ヒアリング結果をもとに、意識改革の一環として、女性社員を部下に持つ男性管理職の約 7割に対し研修を実施し、女性活躍推進への会社の方針を伝えるとともに、女性社員の能力と意欲を引き出すた めのマネジメントスキルを学んでもらった。近年は、その中でも特に、基幹職の女性社員の上司を対象に、男女間の 思考の違いや特性を活かしたマネジメント、ハラスメントにならない指導法についての研修を行っている。 • また、会社のスタンスは「男女均等」であったが、女性社員に対する配慮をどこまでするかという点に悩んでいた。そこで、 女性社員にヒアリングを行った結果、「男性と同じように扱ってほしい」という声が多数上がったため、管理職研修等 において管理職への共有を図った。 • 会社としては女性社員に、出産・育児の前に様々な仕事を経験して、「仕事は面白い」と思ってもらいたい。そのため、 管理職に対して、「女性社員には、ライフイベントを迎える前に、成長実感を持てる様な仕事経験を与えてほし い」というメッセージを発信している。 【 ハンドブックの配布 】 • ダイバーシティや、ワーク・ライフ・バランス等についてのハンドブックを全社員に、また「仕事と育児を両立する部下のマ ネジメントハンドブック」を該当する社員の上司に配布し、職場環境の見直しや、誰もが持てる力を十分に発揮でき るいきいきとした職場づくりを目指している。