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高山市都市基本計画 (PDF 7.7MB)
高山市都市基本計画 高 山 市 目次 1.はじめに----------------------------------------------------------------- 1 1)策定の趣旨------------------------------------------------------------- 1 2)目的------------------------------------------------------------------- 2 3)役割------------------------------------------------------------------- 2 4)位置づけ--------------------------------------------------------------- 3 5)対象区域--------------------------------------------------------------- 4 6)目標の時期------------------------------------------------------------- 5 2.現状と課題--------------------------------------------------------------- 6 1)現状------------------------------------------------------------------- 6 2)広域的位置づけ---------------------------------------------------------22 3)まちづくりの課題-------------------------------------------------------23 3.まちづくりの方針---------------------------------------------------------24 1)まちづくりの基本理念---------------------------------------------------24 2)将来都市像-------------------------------------------------------------25 3)まちづくりの方向-------------------------------------------------------26 4)将来フレーム-----------------------------------------------------------28 4.全体構想-----------------------------------------------------------------29 1)土地利用の現状---------------------------------------------------------29 2)土地利用の基本方針-----------------------------------------------------31 5.地域別構想---------------------------------------------------------------33 1)地域区分の設定---------------------------------------------------------33 2)地域別の方針-----------------------------------------------------------35 6.分野別方針---------------------------------------------------------------39 1)主要用途の配置方針-----------------------------------------------------39 2)都市施設整備の方針-----------------------------------------------------42 3)自然環境保全の方針-----------------------------------------------------51 4)都市環境形成の方針-----------------------------------------------------52 5)景観形成の方針---------------------------------------------------------53 6)都市防災の方針---------------------------------------------------------55 7.計画の推進---------------------------------------------------------------57 1)市民・事業者・市の役割分担---------------------------------------------57 2)関係機関との連携-------------------------------------------------------57 3)計画の見直し-----------------------------------------------------------58 1.はじめに 1.はじめに 1)策定の趣旨 本市では、平成6年3月に都市計画法の改正により当初の都市基本計画を策定しました。 その後、平成13年3月、安房トンネルの開通や東海北陸自動車道飛騨清見インターチェ ンジの開設をはじめとする様々な社会情勢の変化に対応するための見直しを行い、計画に 掲げる土地利用や都市施設整備等の方針に即した各種施策を積極的にすすめてきました。 見直し後9年の経過により、社会情勢も変化し、人口減少、少子高齢化の急速な進展、 地球温暖化対策への関心の高まり、高度情報通信社会の到来、交流人口の増加、地方分権 の推進、国や地方の財政状況の悪化など今まで以上の取り組みを必要とする課題やあらた な課題が生じてきています。 また、平成17年2月1日の周辺9町村(丹生川村、清見村、荘川村、宮村、久々野町、 朝日村、高根村、国府町、上宝村)との合併、平成19年9月の中部縦貫自動車道高山イ ンターチェンジの開設、平成20年 7 月の東海北陸自動車道の全線開通など、市を取り巻 く環境は大きく変化しています。 このような社会情勢の変化やあらたな課題に的確に対応するため、あたらしい都市計画 区域に対応した都市づくりの方針となる都市基本計画を策定します。 1 1.はじめに 2)目的 都市基本計画は、都市の将来像や整備方針を明確にするとともに、市民・事業者にわか りやすい形で提示することにより、市民・事業者・市がそれらを互いに共有しながら実現 していくことを目的としています。 3)役割 都市基本計画の役割として次のようなものがあります。 ①都市の将来像の明示 都市の将来像を示し、市民と市が共有するまちづくりの目標を設定します。 ②都市計画の方針 将来像を実現する手段の一つとしての都市計画の決定、変更の方針を示します。 ③都市計画の総合性・一体性の確保 個々の都市計画の相互関係を調整し、総合的かつ一体的な都市づくりを可能とします。 ④市民の理解・合意形成の促進 都市の課題や方向性について市民の理解・合意形成をはかることにより、具体の都市 計画の決定・実現が円滑に進むことが期待できます。 2 1.はじめに 4)位置づけ 都市基本計画は、都市計画法第18条の2で「市町村の都市計画に関する基本的な方針」 として位置づけられており、 「市町村の建設に関する基本構想」(高山市総合計画)並びに 岐阜県が策定する「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」 (高山都市計画区域マスタ ープラン)に即して策定することとされています。 市は、この都市基本計画に基づき、個別の都市計画の決定・変更、事業の推進等をはか っていきます。 高山市第七次総合計画 高山都市計画区域の整備、 開発及び保全の方針 ・市町村の建設に関する基本構想 ・基本計画 即する 即する その他広域的な計画 高山市の分野別計画 等 整合する 高山市都市基本計画 図 1-1 高山市都市基本計画の位置付け 3 1.はじめに 5)対象区域 この計画は都市計画区域(約190k ㎡)を対象とし て定めます。 図 1-2 4 都市計画区域 1.はじめに 6)目標の時期 この計画はおおむね20年後の都市の姿を展望して定めます。 5 2.現状と課題 2.現状と課題 1)現状 (1)人口動向 ①人口 国勢調査結果による人口の推移を見ると、平成12年までは緩やかに増加していまし たが、平成17年には減少に転じ、地域別に見ると、丹生川地域、国府地域ではわずか ではありますが、増加傾向で推移しています。 高山地域の市街地部では、人口集中地区の人口は平成2年をピークに減少しています が、地区面積はほぼ横ばいとなっており、市街地の密度が薄くなり、郊外部への拡散が 進行しています。 資料:国勢調査 図 2-1 人口の推移 資料:国勢調査 図 2-2 6 人口集中地区(DID 地区)の人口と面積の推移 2.現状と課題 ②世帯数 世帯数は微増傾向にありますが、1世帯あたりの人員は減少傾向にあり、核家族化が 進行しています。 資料:国勢調査 図 2-3 世帯数の推移 ③年齢別人口 年少人口は減少傾向にあり、構成比も下がっています。一方、老年人口は増加してお り高齢化率は平成17年で23.9%に達し、県平均より高くなっています。 資料:国勢調査 図 2-4 年齢別人口の推移 7 2.現状と課題 (2)土地利用 ①地目別面積 森林が市域の 90%以上を占め、次いで農用地、道路、宅地の順となっています。経 年的に見ると、宅地は横ばいとなっており、農用地は減少傾向となっています。 ②用途地域 高山市の中心部約1,568ha に、土地利用の純化と利便性の向上をはかるため、 用途地域を定めており、構成は住居系66.7%、商業系6.8%、工業系26.5% となっています。 資料:岐阜県統計書 注)地目別土地利用面積は、主要5項目を記載してあるため、各項目の計と総面積は一致しない。 H17 合併以降については、地域別データなし 図 2-5 土地利用の推移 用途地域区分別面積の状況(H22 年 4 月 1 日現在) 資料:都市整備課 8 2.現状と課題 2.現状と課題 図 2-6 現況用途地域図 9 2.現状と課題 2.現状と課題 図 2-7 土地利用現況図 10 2.現状と課題 (3)産業構造 ①産業分類別就業者数 就業者数は減少傾向にあり、産業別の就業者数をみると、第1次、第2次産業の就業 者が減少し、第3次産業の就業者が増加しています。 資料:国勢調査 図 2-8 産業分類別就業者数の推移 11 2.現状と課題 ②商業 市全体として、商店数、従業者数、商品販売額ともに減少傾向にありますが、国府地 域においては、従業者数、商品販売額が増加しています。 資料:商業統計 注)H17 合併以降については、地域別データなし 図 2-9 12 商店数、従業者数、商品販売額の推移 2.現状と課題 2.現状と課題 大規模小売店舗の状況は、平成 19年現在で、18店舗となって おり、小売業の総商店数1,45 4店舗の約1%を占めるのみです が、売り場面積は64,957㎡ で、小売業の総売り場面積158, 252㎡の約41%を占めていま す。 図 2-10 大規模小売店舗分布図 13 2.現状と課題 ③工業 市全体として、事業所数については減少傾向にありますが、製造品出荷額については 平成 15 年から、従業者数については平成17年から増加に転じています。 資料:工業統計(H7~H20) ※ 岐阜県データのうち H7 年~H15 年は従業者数 3 人以 下の事業所を含み、H16~H20 は従業者数 4 人以上の 事業所を対象 資料:工業統計(H7~H20) ※ 岐阜県データのうち H7 年~H15 年は従業者数 3 人以 下の事業所を含み、H16~H20 は従業者数 4 人以上の 事業所を対象 資料:工業統計(H7~H20) ※ 岐阜県データのうち H7 年~H15 年は従業者数 3 人以 下の事業所を含み、H16~H20 は従業者数 4 人以上の 事業所を対象 図 2-11 事業所数、従業者数、製造品出荷額の推移 14 2.現状と課題 ④観光 観光客の入込み数は年間約400万人で、その内高山地域へは約300万人の入込み があり、外国人観光客の入込み数が増加しています。 資料:高山市観光統計 注)H16 年までは、旧高山市数値 図 2-12 観光客入込み数の推移 資料:岐阜県観光レクリエーション動態調査 注)H17 以降については、地域別データなし 図 2-13 15 外国人観光客数の推移 2.現状と課題 ⑤農業 農家戸数、耕地面積は減少傾向にあります。農業粗生産額の推移は微増傾向にあります。 資料:農林業センサス、岐阜県統計書 注)H17 合併 地域別データなし 図 2-14 資料:岐阜県統計書 農家戸数の推移 注)H19 調査より樹園地及び牧草地の調査データなし(普通畑に含む) 図 2-15 耕地面積の推移 資料:H7~H18 岐阜県統計書、H19 以降 図 2-16 農務課 注)H17 合併以降については、 地域別データなし 農業粗生産額の推移 16 2.現状と課題 ⑥林業 林家戸数は約4,600戸で経営規模が5ha 未満の零細な林家が約半分を占めてい ます。 資料:農林業センサス 図 2-17 林家戸数の推移 ⑦畜産業 家畜飼育農家は約300戸で、年々減少しています。 資料:H7~H16 岐阜県統計書、H17 以降 農務課 図 2-18 17 家畜飼育農家数の推移 2.現状と課題 2.現状と課題 (4)都市施設 ①道路網 主要道路は東海北陸自動 車道、中部縦貫自動車道の 高速交通網を始め、国道4 1号、国道158号など国 道7路線、主要地方道高山 清見線、主要地方道高山上 宝線等県道25路線などに より道路ネットワークが形 成されています。 都市計画道路は24路線、 約87kmが計画決定され ており、その整備率は平成 21年度末現在で、約26 %となっています。 図 2-19 道路・交通網現況図 18 2.現状と課題 ②公園緑地 公園は平成22年度当初現 図 0-1 在、都市公園・地区公園合わ せ市全体で73箇所、約12 4ha が開設されています。 図 2-20 公園緑地現況図 19 2.現状と課題 2.現状と課題 ③上下水道 上水道の普及率は平成2 凡 例 1年度末現在、水道事業、 簡易水道事業を合わせ市全 体で約99%となっていま す。 図 2-21 上水道整備現況図 20 2.現状と課題 2.現状と課題 下水道の普及率は平成2 1年度末現在、公共下水道、 特定環境保全公共下水道、 農業集落排水などを合わせ 市全体で約94%となって います。 図 2-22 下水道整備現況図 21 2.現状と課題 2)広域的位置づけ 「高山区域都市開発区域建設計画」、「岐阜県都市政策に関する基本方針」など関連する 計画からみた高山市の位置づけや役割、都市像は次のようになっています。 (1)広域市町村圏からみた位置づけ ・飛騨地域の中心都市 ・都市機能の集積地 ・交通結節点 (2)県からみた位置づけ ・民俗文化をテーマとする国際交流拠点 ・歴史や文化、景観を活かした観光・交流都市 (3)中部圏からみた整備及び開発の基本的方向 ・歴史や文化を生かした観光・交流都市づくり ・地場産業の高付加価値化、ブランド化 ・飛騨地域の玄関口としての都市整備 ・交通ネットワークの整備 地域特性に応じた目指すべき都市像の例 7 具体的な都市像は、今後、県・市の総合計画等を踏まえ都市計画区域ごとに議論 ■ 圏域による分類 ■ 都市の拠点性による分類 飛騨圏域 観光客と市民がふれあ う活力と賑わいある都市 中心都市 中心市街地の賑わいを創出し、 拠点機能が充実された都市 周辺都市 日常生活に必要な都市機能への アクセシビリティが確保された都 市 中濃圏域 単独都市 岐阜圏域 工場進出が適正な地域 の活力につながる都市 持続可能な生活圏を維持できる 都市 賑わい空間と生 活空間が共存す る都市 西濃圏域 県西部の拠点としての機 能が集積する都市 東濃圏域 産業・観光で隣県と連携し ながら発展する都市 【本編:p59~p73】 図 2-23 ※ この図示はあくまで概念的なものであり、それぞれの都市計画 区域を「中心都市」「周辺都市」「単独都市」と決定しているわけ ではない 出典:岐阜県都市政策に関する基本方針 【本編:p75~p77】 広域から見た都市像 22 1 2.現状と課題 3)まちづくりの課題 本市が抱えるまちづくりの課題と、それに対応する整備課題について整理すると以下の ようになります。 【まちづくりの課題】 ○広域的な役割、要請 ・民俗文化をテーマとする国際交流拠点 ・歴史、文化、景観を活かした観光交流都市 ・飛騨地域の中心都市、都市機能の集積地 ・人、物、情報の結節点 ○社会情勢 <都市構造> ・住工等の用途の混在 ・郊外部における宅地化の進行 ・中心市街地の空洞化 ・合併による行政区域の拡大 ・町並みを構成する町家の減少 ・農山村風景の減少 <社会構造> ・人口減少時代の到来 ・少子化、高齢化の進展 ・核家族化の進展 ・高度情報通信社会の到来 ・コミュニティ機能の低下 ・交流人口の増加 <産業構造> ・地場産業の低迷 ・大型店の進出 ・空き店舗の増加 ・担い手不足による農用地減少、山林荒廃 <都市施設> ・市内中心部での交通混雑、渋滞の発生 ・上下水道未普及地区の存在 ・市街地での緑の不足 <地球環境> ・地球温暖化 ・異常気象、頻発する自然災害 <財政状況> ・国及び地方自治体の財政状況の逼迫 ○今後、高山市が重点的に取り組むべき課題 (高山市第七次総合計画後期計画策定に係る 市民アンケート調査結果から上位4項目) ・雇用の場の減少 ・医療・福祉サービスの不足 ・急激な高齢者の増加 ・地域経済の低迷 23 【整備課題】 ・都市機能の集積 ・中部縦貫自動車道の整備促進 ・主要幹線道路、生活道路の整備 ・良好な景観の保全・創出 ・歴史的、文化的資源の保全・活用 ・郊外部における秩序ある土地利用 ・交流施設等の整備活用促進 ・観光関連施設等の整備 ・中心市街地の活性化 ・歩いて暮らせるまちづくり ・ユニバーサルデザインに配慮した環境整備 ・情報通信技術の活用 ・人口の定着化、若者の流出防止 ・子育て環境の整備 ・福祉施設の整備・充実 ・持続可能な地域公共交通システムの構築 ・産業基盤、流通基盤の整備促進 ・雇用の創出・企業誘致の推進 ・既存ストックの活用、民間活力の導入 ・農林業のあらたな担い手の確保 ・農地、緑地、里山・自然環境などの保全 ・公園緑地の整備 ・駐車場の整備、有効活用 ・河川の整備と活用 ・計画的な上下水道の整備 ・都市防災対策の強化 ・用途地域内の都市的土地利用促進 ・用途地域に応じた土地利用の純化 ・森林の保全及び適正管理 ・農用地の堅持 3.まちづくりの方針 3.まちづくりの方針 1)まちづくりの基本理念 高山市第七次総合計画後期計画に定める基本理念を受け、次のように定めます。 「住みよいまちは 行きよいまち」 この基本理念は、豊かな自然環境と長い歴史に培われてきた伝統を活かしながら、誰も が住みやすく、住みたくなるような落ち着いた定住環境と多くの人々が集い、ふれあえる ようなにぎわいのある交流環境の整備をすすめるという今後のまちづくりの基本的な考え 方を示したものです。 24 3.まちづくりの方針 2)将来都市像 高山市第七次総合計画後期計画に定める都市像を受け、次のように定めます。 『やさしさと活力にあふれるまち 「飛騨高山」』 この都市像は、本市のあるべき姿として、やさしさとゆたかなこころに包まれながら、 多くの交流人口や活発な産業活動によるにぎわいのもと、子どもからお年よりまで誰もが すみよさを実感し、元気で、安全で、安心して暮らすことのできるまちでありたいという 思いをあらわしたものです。 25 3.まちづくりの方針 3)まちづくりの方向 『やさしさと活力にあふれるまち「飛騨高山」』という将来都市像実現のため、これま での都市基本計画におけるまちづくりの方向を受け、次のように定めます。 (1)快適で便利なまちをつくる 計画的な土地利用による快適な都市空間の形成とともに、各種都市施設の整備による生 活や移動に便利なまちづくりをすすめます。 主な整備課題 都市機能の集積、土地利用の純化、農地・緑地・里山・自然環境の保全、主要幹線道路・ 生活道路の整備、都市施設(上下水道、公園、河川、駐車場等)の整備、情報通信技術の 活用 (2)温かいまちをつくる 多種多様な交流、ふれあいが可能であるとともに、ユニバーサルデザインに配慮した誰 にもやさしい温かいまちづくりをすすめます。 主な整備課題 交流施設等の整備活用促進、歩いて暮らせるまちづくり、子育て環境の整備、福祉施設の 整備・充実、ユニバーサルデザインに配慮した環境整備、持続可能な地域公共交通システ ムの構築 (3)自立したまちをつくる 飛騨地域の中心都市としての機能を備えるとともに、産業活動が活発でにぎわいのある 自立したまちづくりをすすめます。 主な整備課題 中心市街地の活性化、既存ストックの活用、民間活力の導入、産業・流通基盤の整備促進、 雇用の創出・企業誘致の推進、農林業のあらたな担い手の確保 26 3.まちづくりの方針 (4)個性のあるまちをつくる 自然や伝統文化など地域の資源を保全・活用した個性のあるまちづくりをすすめます。 主な整備課題 良好な景観の保全・創出、歴史的・文化的資源の保全活用、農地・緑地・里山・自然環境 の保全 (5)気持ちの良いまちをつくる 自然環境や景観の保全、あらたな景観の創出、都市防災対策の強化などにより気持ち良 く安心して生活できる(滞在できる)まちづくりをすすめます。 主な整備課題 農地・緑地・里山・自然環境の保全、良好な景観の保全・創出、公園緑地の整備、ユニバ ーサルデザインに配慮した環境整備、都市防災対策の強化 27 3.まちづくりの方針 4)将来フレーム 高山市の人口は、国勢調査によると平成12年までは増加傾向を示していましたが、平 成17年には減少に転じました。 国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成18年12月推計)によれば、平成17年 から平成42年までの25年間に、全国で約10%の人口減少が予測されています。 こうした人口減少時代を迎える中ですが、この計画においては「住みよいまちは 行き よいまち」という基本理念に基づき定住環境と交流環境の整備をすすめ、高山市第七次総 合計画後期計画に定める目標人口9万5千人の達成をめざすとともに、観光客年間500 万人、外国人観光客年間30万人の誘致をはかることとします。 (1)定住人口 単位:人 平成17年 (2005年) 平成26年 (2014年) 高山市第七次総合計画目標年次 行政区域内 96,231 95,000 都市計画区域内 73,832 73,000 用途地域内 52,813 53,000 ※平成17年人口は国勢調査による。なお、平成17年用途地域内人口は平成20年度 都市計画基礎調査による。 (2)交流人口 単位:千人 平成17年 (2005年) 観光客数 うち外国人観光客数 平成26年 (2014年) 高山市第七次総合計画目標年次 4,257 5,000 90 300 ※平成17年数値は高山市観光統計による。 28 4.全体構想 4.全体構想 1)土地利用の現状 本市は合併により2,177. 67k㎡という広大な面積を有す る市となりました。市域の90% 以上は森林で占められ、山や川、 渓谷、谷、峠などで地理的に分断 され、標高差も2,000mを超 えるなど、地形的にも大きな変化 に富んでいます。 都市計画区域を土地利用の側面 から分類すると、市街地区域、田 園区域、森林区域の3つの区域に 大別することができます。 図 4-1 土地利用現状図 29 4.全体構想 (1)市街地区域 市街地は、JR 高山駅を中心にコンパクトにまとまっており、古い町並みの残る宮川東 側の地区、商店街や官公庁等が集積する宮川西側から JR 高山駅にかけての地区、新たな 商業地・住宅地となっている駅西から国道41号にかけての地区及びその周辺部の住居系、 沿道商業系、工業系の用途から構成されています。 (2)田園区域 市街地区域を取り囲む地域や国道41号、国道158号などの幹線道路沿いに位置する 地域は、農地と住宅地の混在した田園居住地となっています。農業振興地域や比較的傾斜 の緩やかな里山から構成されていますが、虫食い的な住宅地の開発も見られます。 (3)森林区域 森林を中心に形成される自然資源の豊富な地域です。農業関連施設の整備や林道整備な ど農林業系の事業が展開されるとともに、国立公園や保安林等の指定によりその保全がは かられています。 30 4.全体構想 2)土地利用の基本方針 都市計画区域の一体性を確保し、住みよい生活環境の実現と秩序ある発展をはかるため、 各区域の特性に応じ、それぞれの目的に沿った有効な土地利用をすすめます。 また、良好な住環境を保全するため、建築物の形態規制を適切に運用することにより、 地域にふさわしい建築物の誘導をはかります。 (1)市街地区域 ・土地利用の純化をはかり、秩序ある市街地の形成に努めます。 ・高山市及び飛騨地域の中心として、商業、業務、公共施設など都市機能の集積や強化を はかります。 ・ユニバーサルデザインの考え方に基づき、誰にもやさしいバリアフリーのまちづくりを すすめます。 ・歴史的資源、文化的資源の保存と活用をはかるとともに、伝統文化と調和した美しい都 市景観の創出をはかります。 ・ 幹線及び生活道路の整備や緑あふれる空間の創出、まちなかの空間を活用した公園の整 備など、都市基盤の整備をすすめます。 ・市街地の拡散を防止し、にぎわいのある商業空間の形成と中心市街地の活性化をはかり ます。 ・豊富な地域資源を活用した観光拠点の整備及び充実により、観光産業の振興をはかりま す。 (2)田園区域 ・農地や自然環境と調和した居住環境の整備をすすめます。 ・市街地区域と連絡する道路の整備などアクセスの向上をはかることにより、一体性を確 保するとともに、日常生活の利便性の向上をはかります。 ・無秩序な開発や安易な農地転用を抑制します。 ・優良農用地の確保や集団化、遊休農用地や耕作放棄地の解消、農用地の適正な活用に向 けた指導など農用地の有効活用をすすめます。 ・自然環境や農山村景観の保全をはかります。 ・中部縦貫自動車道のインターチェンジ周辺等においては、企業立地など交通の利便性を 活用した土地利用をすすめるとともに、居住環境や自然環境、景観に配慮した適正な土 地利用をはかります。 31 4.全体構想 (3)森林区域 ・木材の生産や水源かん養、災害防止、温室効果ガスの吸収による地球温暖化の防止など 多面的な機能を持つ豊かで美しい森林を保全するため、森林の無秩序な開発の抑制をは かります。 ・施業の団地化や森林境界の明確化など計画的な森林整備による適切な整備・保全をはか ります。 ・自然とのふれあいや自然を学ぶ場など生活に潤いとやすらぎを感じることのできる場の 整備をすすめます。 ・林業と建設業などの異業種連携や都市部の自治体や企業などとの連携による温室効果ガ スの吸収源となる森づくりをすすめます。 ・分散する集落と他地域を結ぶ道路網の整備や集落における環境整備をすすめます。 32 5.地域別構想 5.地域別構想 1)地域区分の設定 地域の区分は、市街地の形成過程、都市機能の配置、土地利用の状況、交通条件などか ら次のように設定します。 (1)中心市街地 JR 高山駅を中心に、宮川東側の三町周辺から駅西側の苔川にかけての地域 (2)周辺市街地 中心市街地の周辺部で、用途地域が指定されている地域 (3)郊外部 周辺市街地の外周に広がる田園区域及び森林区域 (4)インターチェンジ周辺地域 中部縦貫自動車道の高山西、高山、丹生川(仮称)の各インターチェンジ周辺及び国 道41号高山国府バイパスと国道41号の交差点(国府町地内)周辺の地域 33 5.地域別構想 図 5-1 地域区分図 34 5.地域別構想 2)地域別の方針 前項の区分により地域ごとの整備方針を定めます。 (1)中心市街地 ①地域特性と課題 JR 高山駅を中心とした商業・業務機能や観光資源が集積している地域であるととも に、交通の結節点にもなっています。宮川の東側には、重要伝統的建造物群保存地区を はじめとする歴史的な町並みが形成されています。 多くの市民や観光客が訪れる地域ですが、人口の減少や空き家・空き店舗の増加など 中心市街地の空洞化が進行しているため、都市基盤の整備や商店街の活性化、都市機能 の集積、まちなか居住などをはかる必要があります。 また、良好な都市景観の形成や木造建築物が密集している地区の防災機能向上も課題 となっています。 ②整備方針 ・飛騨地域の中心として商業機能・情報発信機能・交流機能・居住機能などを備え、人 が住み、集まり、交流する活気にみちた空間の形成をすすめます。 ・住宅の新築・改築や集合住宅の建替えに対する助成、不動産所有者と連携した空き家 の活用など利便性が高いまちなかでの居住をすすめます。 ・高山駅周辺においては土地区画整理事業等により、都市計画道路や駅前広場などの公 共施設の整備、商業・業務施設の拠点的な整備、良好な住環境の整備など飛騨の玄関 口としてふさわしい拠点の形成をすすめます。 ・パークアンドライド方式の導入による流入交通の抑制など市街地の渋滞対策について 検討します。 ・歴史的な町並みが形成されている川東地区においては、その景観に配慮した修理修景、 防災対策、寺院群を巡る周遊ルートの整備などにより、周辺地区も含めた歴史的町並 みの再生、歴史的風致の向上や居住環境の整備をすすめます。 ・生活に身近な道路や安全な歩行者空間の整備、緑あふれる空間の創出、市街地景観の 保全、まちなかの空間を活用した公園の整備など歩いて楽しめる都市基盤の整備をす すめます。 ・住宅、公共公益施設、商業施設など様々な都市機能が集積した集約型の市街地の形成 をはかることにより、にぎわいを創出するとともに、過度に自動車に依存しない、高 齢者や環境にもやさしい、歩いて暮らせるまちづくりをすすめます。 35 5.地域別構想 (2)周辺市街地 ①地域特性と課題 中心市街地を取り囲む地域で、国道41号や宮川に沿って南北に延びる平坦地と東 部・西部の丘陵地からなる地域です。住居系の土地利用が中心ですが、工業系や沿道商 業系の土地利用も見られます。 用途地域の指定により目的に応じた土地利用がすすめられていますが、低未利用地の 存在や用途の混在も見られるため、効率的な土地利用をはかるとともに、必要な都市施 設の整備などにより居住環境の向上をはかる必要があります。 また、緑豊かな里山や風致の保全も課題となっています。 ②整備方針 ・住居系、工業系の用途指定に沿って用途の純化をはかり、秩序ある土地利用をすすめ ます。 ・環状線など周辺市街地間を結ぶ道路や生活に身近な道路整備をすすめます。 ・中心市街地の周辺部では、商業と調和のとれた活気とにぎわいのある高密度な住宅地 の形成をはかります。 ・北部と南部地域では、幹線道路沿いの生活利便施設等と調和のとれた中密度な住宅地 の形成をはかります。 ・東部と西部の丘陵地では、里山などの緑地を保全しながら、低密度で自然豊かな住宅 地の形成をはかります。 ・国道41号や国道158号の沿線など準工業地域の用途が指定されている地区におい ては、特別用途地区の指定により大規模集客施設の立地を制限し、中心市街地の活性 化に配慮するとともに、交通渋滞などによる環境悪化の防止をはかります。 ・市街地を取り囲む丘陵地や城山、松倉、北山、東山の風致地区などは、市街地に潤い をもたらす貴重な緑地であるため、その保全をはかります。 ・下切の工業集積地及び匠ヶ丘、東部工場団地は、周辺の住宅地や自然環境と調和をは かりながら今後も工業系の土地利用をすすめます。 36 5.地域別構想 (3)郊外部 ①地域特性と課題 周辺市街地の外周に広がる地域で、農用地や豊かな自然環境の中に集落が点在してい る地域です。 市街地に隣接する地区や道路整備の進んだ地区では虫食い的な宅地化の進行が見ら れ、農用地や自然環境の保全及びそれらと調和した良好な居住環境の整備をはかる必要 があります。 ②整備方針 ・優良な農用地の確保や集団化、遊休農用地や耕作放棄地の解消、農用地の適正な活用 に向けた指導など農用地の有効活用をはかるとともに、田園景観・森林の保全、自然 との共生を基本とした土地利用をすすめます。 ・無秩序な土地利用により優良な農用地や良好な景観が阻害されるのを防ぐため、農業 振興地域整備計画と都市計画の見直しを一体的に行います。 ・道路、上下水道等の都市施設が未整備の地区においては、自然環境との調和をはかり ながら地区の実情に応じた居住環境の整備に努めます。 ・歴史的な街道や街道沿いの農山村集落などの景観の保全・活用をすすめます。 ・棚田の再生と保存など美しい農山村景観の保全をすすめます。 ・丹生川、清見、国府地域の中心地区については、それぞれの地域の拠点として、公共 施設の整備などにより日常生活の利便性の向上をはかり、良好な居住環境の整備をす すめます。 37 5.地域別構想 (4)インターチェンジ周辺地域 ①地域特性と課題 中部縦貫自動車道の整備が進展し、平成16年11月には高山西 IC が開設され、平成 19年9月には市街地の玄関口となる高山 IC が開設されました。高山 IC から丹生川 IC (仮称)についても、調査等が進められています。また、高山 IC から国府町金桶地区に かけては、国道41号高山国府バイパスの工事がすすめられています。 これらのインターチェンジやバイパスの周辺地区においては、交通の利便性が飛躍的 に向上し、交通量の増加や開発圧力の高まりなど、大きな環境の変化が予測されます。 交通の利便性を活用するとともに、周辺の居住環境や自然環境、景観に配慮した適正な 土地利用をすすめる必要があります。 ②整備方針 ○高山西 IC 周辺地区 ・交通の利便性を活用し、企業立地など産業の集積をめざした土地利用をすすめます。 ・無秩序な開発により、周辺の居住環境や自然環境、景観が阻害されないよう土地利用 の規制を行います。 ・地域のにぎわいの拠点としての道の駅がもつ道路情報や観光情報などの発信機能、休 憩機能、販売機能の強化と活用をすすめます。 ○高山 IC 周辺地区 ・交通の利便性を活用し、企業立地や流通業務拠点整備など産業等の集積をめざした土 地利用をすすめます。 ・主要地方道高山清見線や県道名張上切線の沿線では住宅、店舗等が立地し宅地化が進 行していますが、無秩序な開発により周辺の居住環境や自然環境、景観が阻害されな いよう土地利用の規制を行います。 ・国道41号高山国府バイパスや県道名張上切線などインターチェンジへのアクセス道 路網の整備をすすめます。 ○丹生川 IC(仮称)周辺地区 ・交通の利便性向上を見据え、企業立地など産業の集積をめざした土地利用をすすめま す。 ・無秩序な開発により、周辺の居住環境や自然環境、景観が阻害されないよう土地利用 の規制を行います。 ○高山国府 BP 周辺地区 ・交通の利便性を活用し、企業立地や秩序ある沿道商業の形成など産業の集積をめざし た土地利用をすすめます。 ・無秩序な開発により、周辺の居住環境や自然環境、景観が阻害されないよう土地利用 の規制を行います。 38 6.分野別方針 6.分野別方針 1)主要用途の配置方針 (1)住居系 ①現状 住宅地は、中心市街地に近接している地域で高密度、高層化していますが、その他の 周辺市街地では比較的低密度となっています。 ②配置方針 ・住宅地においては地区の環境や特性を考慮するとともに、市街地内部の機能分担を踏 まえながら、住環境の向上をはかります。 ・中心市街地の商業・業務地の周辺は高密度、河川や道路周辺の平坦地は中密度の住宅 地とし、歴史的景観地域と調和した住宅地の形成をはかります。 ・平坦地を取り囲むかたちで位置する緩やかな丘陵地の住宅地においては、緑地などの 自然を可能な限り残し、良好な低密度の住宅地の形成をはかります。 ・現行用途地域内の人口密度やまちなか居住の促進という観点からは、住居系用途地域 の拡大は不要と考えられますが、市街地に隣接し宅地化が進行している地区について は、今後の交通条件や開発動向などを考慮し、用途地域の指定も含め土地利用の規制 について検討します。 (2)商業系 ①現状 商業地は、中心市街地の JR 高山駅周辺から三町筋にかけての地域及び国道41号、 国道158号などの幹線道路沿いに形成されています。 ②配置方針 ・JR 高山駅から三町筋にかけての商業・業務集積地は、飛騨地域の表玄関として位置 づけられる地区であるため、商業機能・情報発信機能・交流機能などを備えた質の高 い商業・業務拠点の形成をはかります。特に商業系においては、最寄り品から買い回 り品までを対象とする商業機能の強化により、安全で快適な買い物空間・歩行者空間 の確保をはかります。 ・国道41号、国道158号などの幹線道路沿いにおいては、中心市街地の活性化や円 滑な交通の確保、生活環境の保全のため、大規模な集客施設の立地を制限し、中心市 街地の商業機能を補完する秩序ある沿道商業地区の形成をはかります。 39 6.分野別方針 (3)工業系 ①現状 工業地は下切周辺や匠ヶ丘、東部工場団地に形成されています。 ②配置方針 ・下切周辺や匠ヶ丘、東部工場団地については、今後とも工業地として位置づけます。 ・中心市街地周辺の住工混在地区において土地利用現況に乖離が見られる部分について は、今後、工業系地域と住居系地域の再編など用途地域の変更を検討します。 ・中部縦貫自動車道のインターチェンジや国道41号高山国府バイパス周辺の地区にお いては、交通の利便性を活用し、産業の集積をめざした土地利用をすすめます。 (4)緑地 ①現状 市街地の周辺は緑が豊かで、里山や遠くの山々の緑を見ることができます。 ②配置方針 ・市街地を取り囲む城山、松倉、北山、東山などの緑地は、古い町並みなどの歴史的景 観の背景としてまちの表情を形成しているとともに、身近に自然に接することのでき る市民の憩いの場として親しまれており、今後も積極的な保全をはかります。 40 6.分野別方針 図 6-1 土地利用方針図 41 6.分野別方針 2)都市施設整備の方針 (1)交通施設 広域的な交流や物流の利便性の向上、中心市街地の交通渋滞緩和、通過交通の迂回、主 要拠点間の連携確保、安全で快適な生活道路の確保などをはかるため、道路網の整備は重 要です。 また、高齢化の進展や多くの観光客が来訪することなどを考慮すると、道路網の整備の ほか、自動車を運転しない子どもや高齢者、観光客など誰もが安心して安全で快適に利用 できる持続可能な地域公共交通システムの構築や利便性の向上、歩行者空間の整備などが 重要となります。 こうしたことを踏まえ、ユニバーサルデザインに配慮するとともに、防犯など安全性に も配慮しながら、鉄道の機能強化促進やバス交通の充実、歩車共存型道路の整備をすすめ るなど多様な交通手段の利便性の向上をはかります。 ①道路体系 ○広域幹線道路網 ・東海北陸自動車道4車線化や中部縦貫自動車道など高速交通網の整備を促進し、広 域高速交通体系の確立をはかります。 ・宮峠のトンネル化など国道41号石浦バイパスを含む地域高規格道路高山下呂連絡 道路・国道41号高山国府バイパス及び地域高規格道路富山高山連絡道路など広域 幹線道路の整備を促進します。 ・地域間の道路交通の円滑化を図る地域間連絡道路網(環状道路や放射状道路)の整 備をすすめます。 ○市街地幹線道路網 ・中心市街地への流入車両の抑制や通過交通の迂回を目的とした市街地環状道路(内 環状線、外環状線)の整備をすすめます。 ・内環状線と外環状線を連絡する放射型の幹線道路整備をすすめます。 ○都市計画道路網 ・社会情勢の変化や交通量、環境、景観、道路密度などを考慮し、必要に応じて路線 の追加・廃止、計画幅員や経路の変更などの見直しを行います。 ○市街地内道路 ・歩道・歩車共存型道路の整備、踏切の拡幅改良、誘導ブロックや知らせるあかりシ ステムの設置などユニバーサルデザインに配慮した人にやさしい道路の整備をす すめます。 42 6.分野別方針 ・電線類の除去、沿道修景、生態系に配慮した樹木の植栽など景観と調和した親しみ のもてる道路の整備をすすめます。 43 6.分野別方針 図 6-2 広域幹線道路網図 44 6.分野別方針 図 6-3 市街地幹線道路網図 45 6.分野別方針 ②公共交通 ○バス交通 ・日常生活における身近な移動手段を確保するとともに、市民が自立した生活を送る 上で、必要となる移動を実行できる環境の提供や、観光面にも配慮した幹線バス、 中心市街地バス、地域バスなどの整備・運行事業をすすめます。 ・宣伝活動や意識啓発など利用増加に向けた取り組みにより、バス路線の確保をはか ります。 ・大都市圏や主要空港・鉄道駅などと結ぶ高速バス路線の充実を促進します。 ○観光バス ・観光バスの中心市街地への進入は、交通渋滞の要因となることから、駐車場への適 切な誘導や中心市街地バス交通の充実、中心地における大型車の駐車場利用中止の 検討など進入を抑制するための対策をはかります。 ・高山祭などの特定日には、郊外に設けた臨時駐車場と中心市街地とを連絡するシャ トルバスの運行を行います。 ○鉄道 ・JR 高山本線の輸送力と利便性の向上をはかるため、運行時間の見直し、ユニバー サルデザインに配慮した駅舎や車両の整備などを関係機関に要望するとともに、利 用増加に向けた宣伝活動や意識啓発を行います。 ・主要な玄関口となる JR 高山駅周辺の整備をすすめます。 ○その他 ・公共交通により移動手段を確保することが著しく非効率な地域においては、地域公 共交通とは別の方法による移動手段の確保を検討するとともに、地域が独自で行う 移動手段確保の取り組みに対する支援を行います。 ・飛騨エアパークの多目的活用をすすめます。 ③駐車場 ・駐車場の整備にあたっては、既存ストックの有効活用を基本とし、公共と民間の役割 分担をはかりながら計画的な整備を行い、周辺の景観との調和やユニバーサルデザイ ンに配慮したものとします。 ・市街地への観光車両の進入を抑制するため駐車場の整備を行い、パークアンドライド の拠点として活用することを検討します。 ・地域 FM 放送やインターネットなどによる情報提供、駐車場案内システムの充実や主 要幹線道路における案内標識の配置をすすめるなど、利用率の低い駐車場へ適切に誘 導することにより既存駐車場の有効活用をはかります。 46 6.分野別方針 (2)公園・緑地 公園や緑地は人々に潤いと安らぎを与える身近な憩いの場であり、気持ちの良いまちづ くりに欠かせないものです。防犯などの安全性にも配慮しながら地域の資源や特性を活か した特色ある公園づくりや緑地の保全・創出・活用に努めるとともに、市民、事業者、行 政が一体となって緑化をすすめます。 ①市街地の公園・緑地 ・道路や河川沿いに植栽を行うなど、地区の特性に応じた緑化による緑の増加及び緑の ネットワークの形成をはかります。 ・工業地周辺においては、緩衝地帯となる緑地の配置をはかります。 ・歴史と調和した緑や里山の緑の保全をはかります。 ・緑と歴史の香りに包まれ、多くの人が交流しふれあえるよう特色ある緑(天然記念物、 保存樹等の貴重な自然資源等)の活用をはかります。 ・まちなかの空間を活用した公園の整備を行います。 ・市民や事業者の協力による花壇・生け垣の設置や植樹などを促進します。 ②郊外部の公園・緑地 ・農林業地や谷川の保全をはかります。 ・緑と歴史の香りに包まれ、多くの人が交流しふれあえるよう特色ある緑(天然記念物、 保存樹等の貴重な自然資源等)の活用をはかります。 ・自然や歴史など地域の資源や特性を活かした公園緑地の整備を行います。 ・自然公園の森林の保全をはかります。 (3)上・下水道 上水道は市民生活に欠くことのできない施設であり、下水道は清潔で快適な生活環境の 実現と流域の水質保全にとって重要な施設です。 安全で安心な水の安定供給と生活環境の向上及び流域の水質保全をはかります。 ①上水道 ・安全で安心な水を安定供給するため、水源の保全と確保をはかるとともに、浄水施設、 配水管など水道施設の計画的な更新や耐震補強整備を行います。 ・未給水地区及び低水圧地区の解消をはかります。 ・施設の統合や有効活用など地域の特性に応じた水道施設の整備を行います。 ②下水道 ・生活環境の向上と流域の水質保全をはかるため、公共下水道、特定環境保全公共下水 道、農業集落排水、浄化槽整備など地域の特性に応じた施設整備や統合を行います。 ・老朽化した施設の更新や耐震補強整備など適正な維持管理を行います。 47 6.分野別方針 (4)河川 河川や水辺は都市環境を構成する重要な要素のひとつであり、宮川などは市街地のシン ボル的な存在にもなって身近な憩いの場として市民生活に潤いを与えています。 その一方で、河川の流域ではこれまで幾度となく水害に見舞われ、甚大な被害が発生し ています。 安全性及び親水性の確保、多自然川づくりを基本とした河川環境の整備をはかります。 ①安全性の確保 市街地内を流れる主要な河川において洪水による浸水被害に対応するため、河道掘 削・築堤などの河川改修と、ダム・調節池などの洪水調節施設を効果的に組み合わせた 施設整備を促進するとともに、豪雨時の浸水想定区域などを示すハザードマップの作成、 自動起動防災ラジオなどの多様な媒体による迅速な情報提供や水防資機材の整備など 地域の防災力向上をはかります。 ②親水性の確保 市街地内の河川は、周辺環境と調和した水辺空間の形成などにより親水性の確保をは かるとともに、河川沿道の緑化などをすすめ、水と緑の調和をはかります。 ③水質浄化 水環境の保全・創出をはかるため、多くの水生生物が生息し、水辺に近づきたくなる ような河川を目指し、生活排水処理施設の整備や地域による美化活動、水質調査の実施 などを通じて水質の浄化をはかります。 ④主要な河川の整備方針 ○宮川 市街地の中心部を流れる本市のシンボル的河川であり、河道掘削・築堤などの河川 改修や公園、水辺の散策路等の河川環境整備をすすめてきました。 今後も「宮川流域における総合的な治水対策プラン」に基づき、治水整備や防災対 策をすすめるとともに、宮川緑地公園など水辺空間の適正な維持管理により親水性の 確保をはかります。 ○川上川 市街地外縁部の西側を流れ、周辺が田園地域から構成される自然豊かな河川であり、 河道掘削、築堤などの河川改修が行われてきました。 今後も「宮川流域における総合的な治水対策プラン」に基づき、河川改修による治 水施設の整備を促進するとともに、サイクリング道路の適正な維持管理等により気軽 に水と緑と田園風景に親しめる河川空間の形成をはかります。 48 6.分野別方針 ○大八賀川 市街地外縁部の東側を流れる河川で、これまで河道掘削などの河川改修が行われて きました。 今後も「宮川流域における総合的な治水対策プラン」に基づき、ダム建設など治水 施設の整備を促進するとともに、周辺の田園風景と調和した水と緑に親しめる河川空 間の形成をはかります。 ○江名子川 市街地東部から中心部へ流れる河川で、河道掘削などの河川改修が行われてきまし た。 今後も「宮川流域における総合的な治水対策プラン」に基づき、調節池建設など治 水施設の整備を促進するとともに、近年の洪水時の流量増加は上流部における開発等 の影響が考えられるため、優良な農用地の保全、間伐等森林の適正な施業管理により 上流域の保水機能の維持をはかります。 また、下流部においては、水質浄化に加え、歴史的な町並みと調和した河川空間と して親水性の確保をはかります。 ○苔川 市街地内を流れる河川であり、河道掘削などの河川改修が行われています。 今後も「宮川流域における総合的な治水対策プラン」に基づき、河川改修による治水 施設の整備を促進するとともに、親水性の向上や緑化、水質の浄化など環境整備に努 めます。 (5)その他都市施設 上記のほか、必要な都市施設の適正な維持管理及び整備・更新を周辺環境に配慮しなが ら計画的にすすめます。 ①し尿処理施設 公共下水道などの整備を推進し、処理量の減少をはかるとともに、施設の適正な維持 管理を行います。 ②ごみ処理施設 資源循環型社会への転換をはかるため、市民意識の啓発に努めながら、ごみの減量化 と資源化に積極的に取り組むとともに、施設の適正な維持管理及び整備を行います。 ③市場 流通の円滑化をはかるため、施設の適正な維持管理及び健全な運営を行います。 49 6.分野別方針 ④と畜場 獣畜処理の適正化をはかるとともに、地域環境の保全及び公衆衛生の向上に努めなが ら、施設の適正な維持管理をはかります。 ⑤火葬場 施設の適正な維持管理と整備を行います。 50 6.分野別方針 3)自然環境保全の方針 北アルプス(飛騨山脈)の山並みや丘陵、宮川などの河川、平坦部の農地など水と緑の 豊かな自然に恵まれており、これら自然資源の保全に努めるとともに、豊かな自然環境を 実感できるような活用をはかります。 (1)森林の保全と活用 ・森林法や自然公園法等の規制により自然環境の保全に努めるとともに、自然との共生 に配慮しながら、スポーツやレクリエーション、自然とのふれあいの場としての活用 をはかります。 ・森林は、大気浄化、保水(災害防止)、自然景観など都市環境を維持する公益的な機 能を有しているため、無秩序な伐採・開発を抑制するとともに、必要な開発について は機能の復元や代替措置を講ずるなど、適切な指導により自然環境の保全をはかりま す。 ・国立公園などの自然公園区域の日本を代表する山岳景観など、その魅力を広く発信す るとともに、自然環境を保全しつつ、適切な利用の促進をはかります。 ・林業と建設業などの異業種連携や都市部の自治体や企業などとの連携による温室効果 ガスの吸収源となる森づくりをすすめます。 (2)緑地等の保全 ・ 「緑を守り育てる条例」に基づく自然環境の保全や緑化の推進、「美しい景観と潤いの あるまちづくり条例」に基づく適切な指導など、豊かで美しい森林、里山、緑の保護・ 保全をすすめます。 ・市街地及びその周辺の樹林地は、風致地区などの法規制や緑の保全契約制度などによ り保全をはかります。 (3)生物多様性の保全と啓発 ・様々な生態系が関わりあって自然環境が保たれているとする「生物多様性」について、 積極的に保全をすすめるとともに、広く市民に啓発をはかります。 ・河川の整備においては、自然生態系が維持されるよう構造・工法に配慮するとともに、 下水道などの整備により水質の保全をはかります。 ・貴重な植物群生地や野生生物生息地などの保存活動をすすめます。 51 6.分野別方針 4)都市環境形成の方針 市街地内の緑地の保全・創出や、誰もが不自由なく活動できるユニバーサルデザインに 市街地内の緑地の保全・創出や、誰もが安全で安心して活動できるユニバーサルデザイ ンに配慮した空間づくりなどにより、障がいの有無、年齢などにかかわらず、誰にもやさ しく潤いと安らぎの感じられる都市環境の形成をはかります。 (1)安全で快適な都市空間づくり ・歩道・歩車共存型道路の整備、踏切の拡幅改良、誘導ブロックや知らせるあかりシス テムの設置などユニバーサルデザインに配慮した人にやさしい道路の整備を行いま す。 ・電線類の除去、沿道修景、生態系に配慮した樹木の植栽など景観と調和した親しみの もてる道路の整備をすすめます。 ・公共交通機関の利用やまちなかでの移動が円滑に行えるよう、駅やまちなかの一体的 な整備をすすめます。 ・多目的トイレの設置などユニバーサルデザインに配慮した公的施設の整備をすすめま す。 ・民間施設におけるバリアフリーへの取り組みに対する助成や認定制度による普及啓発 を行うなど、ユニバーサルデザインに配慮した施設の整備をすすめます。 ・街路樹整備などの緑化推進や水辺環境の整備など、水と緑のある潤いのある都市空間 の創出をはかります。 ・「ポイ捨て等及び路上喫煙禁止条例」に基づく適正な指導等により、ポイ捨て等及び 路上喫煙を防止し、環境の美化や快適な生活環境の確保をはかるとともに、国際観光 都市にふさわしい美観の維持をはかります。 (2)地球環境にやさしい都市づくり ・地球温暖化の抑制等に資するようごみの減量化、資源化をすすめるとともに、省エネ ルギー型のライフスタイルを促進します。 ・公共交通機関の利用促進や歩行者環境の充実により、過度に自動車に依存しない都市 の構築をはかるとともに、意識の啓発を行います。 ・環境共生型モデル住宅を活用した啓発、地域産材の利用や屋根の遮熱塗装に対する助 成、省エネ効果のあるエコ住宅に対する助成を行うなど環境に配慮した住宅建築を促 進します。 ・ペレットストーブやペレットの購入に対する助成を行うなど木質バイオマスの利用を すすめます。 ・太陽光発電システムの導入や LED などの省エネ機器への切替えなど環境に配慮した 公共施設の整備を行います。 ・流出抑制や地下水の涵養、水質の改善などを目的とした雨水貯留浸透施設の設置につ いて検討します。 52 6.分野別方針 5)景観形成の方針 地域の自然、歴史、文化などと人々の生活や経済活動などとの調和のなかで息づいてき た美しい歴史的景観、農山村景観、市街地景観が残っています。 「高山市景観計画」に基づき、こうした良好な景観を今後も保全するとともにあらたな 景観の創出をはかります。 また、世界文化遺産登録への取り組みをすすめます。 (1)市街地景観 ・身近な緑となる里山を保全するとともに、市街地からの眺望景観の維持に努め、自然 や歴史、伝統文化との調和を意識した格調高い都市景観の創出をはかります。 ・高山駅周辺の中心商業地は、飛騨地域の中心として都市的サービスの提供という役割 があることから、歴史的資産と高次商業などの都市機能との共存をはかり、古さと新 しさの融合による飛騨高山にふさわしい良好な都市景観の創出をはかります。 ・伝統的建造物群保存地区、市街地景観保存区域は、保存計画に基づく修理、修景事業 などにより保存・復元をはかります。 ・伝統的建造物の保存のため、防災対策の充実をはかるとともに建築規制の緩和に向け た調査を行います。 ・地域の良好な景観や伝統文化の維持向上を図るなど世界文化遺産登録への取り組みを すすめます。 (2)農山村景観 ・田園景観は昔からの風景であり、古い町並みと同様、貴重な空間として次世代に引き 継ぐよう保全をはかります。 ・食料生産基盤である優良農用地を保全するとともに、河川、樹林地、集落などと一体 となった景観の維持、保全をはかります。 ・地域固有の文化と歴史を保有しながら形成・維持されてきた棚田や伝統的な農家住宅 など良好な農山村景観の保全をはかります。 ・無秩序な宅地化が想定される地域については、特定用途制限地域の指定などにより適 正な土地利用をはかり、良好な田園空間の形成をすすめます。 ・景観計画に基づく景観重点区域の拡大など、地域住民との協働により良好な景観形成 をはかります。 53 6.分野別方針 (3)建築物等の規制と誘導 ・高度地区など建築物の高さ規制による、市街地からの眺望景観の維持など地区の特性 にあった景観の形成をはかります。 ・屋外広告物の集合化や統一化など適正な規制と誘導により沿道の修景や良好な都市景 観の創出をはかります。 ・民間施設の整備が地区の特性にふさわしい形態、意匠、色彩となるよう「美しい景観 と潤いのあるまちづくり条例」に基づき、適切な指導を行います。 ・景観と調和した建築物の整備や看板などのサインの設置、緑ある修景行為など優れた デザインの創出に対しては景観デザイン賞で顕彰します。 ・生けがきや塀の設置、周囲の景観と調和し環境にも配慮した屋根の塗装・鋼板吹替、 沿道修景、植栽など景観保全活動に対する助成を行い、都市の緑化を促進します。 (4)良好な景観の創出 ・公共施設や道路、河川などの公共空間の緑化推進などにより良好な都市景観の創出を はかります。 ・道路等の整備にあたっては、電線類の除去、沿道修景、生態系に配慮した樹木の植栽 など景観と調和した親しみのもてる整備をすすめます。 ・往来と出会いの場として横丁やまちの庭、まちの縁側の整備を行うなど、まちなかに おけるあらたな景観の創出を行います。 ・地域固有の歴史や伝統を反映した住民の活動とその活動が行われる良好な市街地景観 (歴史的風致)を次世代に継承するため、歴史的風致の形成上重要な建造物の復原・ 修理等を行うとともに、歴史や文化を支えてきた街道を伝統文化に包まれながら楽し く歩けるような空間の創出をはかります。 54 6.分野別方針 6)都市防災の方針 まちづくりの最重要項目の一つは安全であることであり、安全で安心して暮らせる「災 害に強いまちづくり」を推進する必要があります。 「高山市地域防災計画」に基づく防災対策を推進し、土地利用の規制・誘導、避難路・ 避難所等の都市施設整備及び建築物やライフラインの耐震化など総合的なまちの防災構造 化をすすめます。 また、「高山市国民保護計画」に基づく武力攻撃事態に対応できる体制を併せて整備し ます。 (1)土地利用の規制、誘導 ・農地や森林の適正な保全や管理を通じて、農地や森林が持つ保水機能の維持をはかり ます。 ・避難所の見直しや土砂災害危険箇所、豪雨時の浸水想定区域などを示すハザードマッ プの作成及び建築相談時における情報提供などにより、浸水や土砂災害発生の危険性 を考慮した建築の規制・誘導、防災意識の高揚をはかります。 ・土砂災害特別警戒区域内での宅地分譲や社会福祉施設などを目的とする特定の開発に ついては、開発許可制度による新たな開発の抑制をはかります。 ・開発行為や建築の際の雨水貯留浸透施設設置などによる流域の流出抑制対策について 検討します。 (2)都市施設の整備 ・台風や集中豪雨による河川の氾濫を防止するため、河道掘削・築堤などの河川改修と、 ダム・調節池などの洪水調節施設を効果的に組み合わせた施設整備を促進します。 ・崖崩れや土石流などのおそれがある危険箇所について、急傾斜地崩壊対策事業や砂防 事業などにより計画的に整備をすすめます。 ・地域の特性に応じて流雪溝や雪崩防止施設の整備をすすめます。 ・都市公園や緑地、都市計画道路など防災空間の確保をはかります。 ・災害時の避難路となる道路等の整備や、橋りょうの耐震化をすすめます。 (3)建築物などの防災対策 ・木造住宅などの耐震診断及び耐震補強工事に対する助成を行い、建築物の耐震化を促 進します。 ・公共施設やライフライン施設、指定避難所などの耐震補強整備を行います。 ・建築物などの耐震・不燃化やブロック塀の倒壊防止など防災対策に関する市民意識の 高揚をはかります。 ・建物が密集した市街地における建替えなどに際しては、火災や地震に強い住環境づく りに取り組むよう指導を行います。 55 6.分野別方針 ・アスベスト除去に対する助成を行います。 ・土砂災害特別警戒区域など土砂災害のおそれがある区域では、構造規制などにより建 築物の防災対策を促進します。 (4)防災体制の充実 ・避難所の指定や避難方法の周知など避難誘導体制の整備を行うとともに、災害時要援 護者(子ども、高齢者、障がい者など)の状況把握や災害時に受入が可能となるよう な施設整備など災害時要援護者対策の充実をはかります。 ・除雪計画に基づき市民と行政が互いに協力し、地域ぐるみでの秩序ある雪またじをす すめます。 ・伝統的建造物群保存地区や市街地景観保存区域については、「三町防災計画」などに より地域の防災対策をすすめます。 ・多様な媒体による情報発信を行うとともに災害情報システムの導入や自動起動防災ラ ジオの普及をすすめるなど迅速な情報提供をすすめます。 56 7.計画の推進 7.計画の推進 都市基本計画の将来都市像実現に向けたまちづくりを着実に推進するため、市民や事業 者などの主体的な取り組みと理解・協力のもと、市民と行政の協働によるまちづくりをす すめます。 1)市民・事業者・市の役割分担 (1)市民の役割 ・都市基本計画に即した適正な土地利用をはかります。 ・市民一人一人がまちづくりに関心を持ち、まちのあり方やまちづくりの方法について知 識を身につけ、自らがまちづくりの主役であるという意識の向上をはかります。 (2)事業者の役割 ・都市基本計画に即した適正な土地利用をはかるための活動や事業実施に努め、地域住民 など関係者の合意形成を得るために積極的な情報の公開に努めます。 ・効率的で実効性の高いまちづくりを促進するため、自発的な創意・工夫によるまちづく りへの参加をはかります。 (3)市の役割 ・市民や事業者などへ都市基本計画の有意性を積極的にPRするとともに、まちづくりに より多くの人々が参加できる機会の拡大を行います。 ・道路整備など市が主体となって実施する各種事業や土地利用規制に対する理解と協力を 得ながら、計画的なまちづくりを行います。 ・都市計画案の策定にあたっては、住民説明会や縦覧などの手続きを通じて広く市民の意 見を聞くなど、市民の意向を計画に反映させるための取り組みを行います。 ・地区計画の申出制度や都市計画提案制度、まちづくり協定など住民発意によるまちづく りの制度について情報提供し、市民と協働して地域の特性に応じた地域にふさわしいま ちづくりをすすめます。 2)関係機関との連携 ・都市施設の整備などまちづくりを計画的、効率的にすすめるために、国や県、関係事業 者などとの連携、協力をはかります。 57 7.計画の推進 3)計画の見直し ・本計画は、長期的視点に立って都市の将来像や都市計画の基本的方向性を示したもので すが、近年の社会情勢はめまぐるしく変化することから、計画の内容と現実に乖離が生 じた場合などには、必要に応じて計画の見直しを行います。 58