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1.92MB - 計量計画研究所

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1.92MB - 計量計画研究所
講習6:予測評価手法
講習6
予測評価手法
一般財団法人 計量計画研究所
都市交通研究室 加藤 昌樹
copyright 計量計画研究所
1
講習内容
講習内容
1.予測評価の目的
2.予測に際して留意すべき事項
3.交通需要予測に入る前に...
4.予測の手順(四段階推計法)
5.評価手法
copyright 計量計画研究所
2
1.予測評価の目的
1.予測評価の目的
(1)マスタープラン立案手順における予測評価
„ 都市交通マスタープラン立案の手順の中で、マスタープランの複数
代替案を評価し、これに基づき合理的に代替案を選択
„ このために、交通需要予測とこれに基づく評価指標算出が必要
copyright 計量計画研究所
3
1.予測評価の目的
(2)交通需要予測の位置づけ
„ 交通需要予測は、
問題の明確化と目標の設定
交通計画の策定プロセスに
おける予測の部分。
実態調査( データ収集)
„ プロセスの中で策定された
計画代替案を評価し、
代替案の選択を合理的に
行う一つの重要なステップ。
現況分析
代替案の設定
„ 計画策定の意思決定に際
し、代替案の説明性を高め
るために行われる。
フィードバック
交通需要予測
代替案の評価
計画の策定
copyright 計量計画研究所
4
1.予測評価の目的
(3)交通需要予測とは?
„ 交通需要予測によって表現
„ 前提条件によって
しようとする将来の交通需
要は、「将来はこうなるであ
ろう」といった固定的なもので
はない。
„ 計画代替案に対応した目
標年次の交通システムの状
態を描き出すもの。
交通需要の状態は
変わる!
„ 予測結果は、
論理性と客観性に優れた
モデルと
その前提条件との
セットで提示すべき!
予測の
前提条件
・社会経済状況
・目標年次
・交通施設別
整備状況
・ネットワーク条件
・料金等の政策
交通需要
予測モデル
予測結果
評価結果
・将来OD 表
・路線別交通量
・交通サービス
( 所要時間等)
・B/C
・交通サービス
の変化
・環境への影響
copyright 計量計画研究所
5
1.予測評価の目的
(4)予測結果を評価に活用するためには?
„ 代替案の内容を評価主体にとって理解しやすい評価指標に!
„ 代替案ごとの交通量だけでなく、
交通量に対応した交通サービスを表現することが重要!
„ 特に、現状の交通問題がどのように解消するか!
例えば・・・
・ バイパス道路の整備によって、
既存道路の交通量が○%減少し、
A地点からB地点の旅行時間が
○%短縮し、その時間短縮効果は・・・
・ ○○道路の新設によって、
これまで○時間かかっていた
A地域からB都市へのアクセスが
○分で可能となり、
その地域の経済効果は・・・
計画代替案
将来交通需要予測
各種評価指標
わかりやすい
評価指標
比較評価・選択
マスタープラン
copyright 計量計画研究所
6
1.予測評価の目的
(5)評価指標
„ 都市交通マスタープランにおける予測評価では、
都市交通マスタープランの目標水準指標が
主な評価対象
Æマスタープランの実現で目標水準が達成できるか?
„ 都市交通マスタープランの目標水準指標を評価可能な
予測モデルを構築することが必要
„ 都市交通マスタープランの立案手順において
目標水準指標を設定する際には、
予測評価の可能性も考慮して選定することが必要
(必ずしもすべてではなくとも、主要なものは)
copyright 計量計画研究所
7
1.予測評価の目的
●都市交通マスタープランの目標水準指標の例
目標
目標水準指標
選択の自由度の高い(公共交 □(一定水準の運行本数のある)鉄道駅まで○○分圏域の人口・面積の割合
通の利便性の高い)交通体系 □(一定水準の運行本数のある)バス停まで○○分圏域の人口・面積の割合
の形成
人とモノの 円滑な都市内交通の実現
モビリティ
確保
□道路混雑の程度(都市圏全域道路平均混雑度)
□道路の移動性(都市圏全域道路平均旅行速度)
□移動性の高い道路の比率(旅行速度○○km/h以上道路延長比率)
広域交通機関にアクセスしや □高速道路を利用しやすい人の割合(高速ICアクセス30分圏域人口比率)
すい交通体系の形成
□長距離優等列車の停車駅を利用しやすい人の割合
(中心駅アクセス30分圏域人口比率)
魅力あるアーバンライフを享 □長距離通勤者の割合(○○分以上通勤トリップ数比率)
受できる都市環境の形成
人々が豊か
に活き活き
と暮らせる
都市環境
中心市街地の活性化に資する □中心市街地へ行きやすい人の割合
交通体系の構築
(中心市街地アクセス○○分圏域人口比率)~公共交通・自動車
良好な居住環境に資する交通 □居住地域等を通過する非幹線道路の大型車割合(道路種類別車種構成)
体系の構築
防災性の高い都市構造の形成 □延焼を遮断できる広幅員道路の整備状況
(○○m以上の広幅員道路の市街地内密度)
環境負荷の軽減に資する交通 □自動車交通による環境負荷
体系の構築とコンパクトな都
(都市圏全域の自動車交通によるCO2、NOx、SPMの排出量)
地球環境に 市構造の形成
□自動車を利用せずに移動できるトリップ数の増減
対する負荷
(トリップ長ランク別トリップ数割合、トリップ長ランク別交通手段利用率)
の小さな都
徒歩・自転車・公共交通と
□環境にやさしい交通手段の利用状況(都市圏全域目的別交通手段別利用率)
市の視点
いった環境にやさしい交通手
段の利用促進
都市経営コストの小さな都市の視点
□公共投資及び維持・管理を要する一定人口密度以上の面積の変化
(夜間人口密度ランク別面積比率)
copyright 計量計画研究所
8
2.予測に際して留意すべき事項
2.予測に際して留意すべき事項
(1)予測を取り巻く環境の変化とそれへの対応
<社会・経済>
<対応方法>
低経済成長
量より質に着目した
交通需要の把握
人口減少
<制度>
高齢社会
厳しい国、地方の
財政状況
環境問題に対する
意識の高まり
多様な価値観、
ライフスタイル
客観的な
プロジェクト評価のため
の予測・評価手法
事業評価制度
計画の必要性を
客観的データに基づき
わかりやすく情報提供
情報公開制度
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9
2.予測に際して留意すべき事項
(2)交通需要予測の限界とその対応
① 使用データの限界
„ サンプル調査は必ず誤差を持つ。
② 外生条件の限界
„ 将来人口フレーム等の様々な不確実性が存在する。
③ 予測モデルの限界
„ 予測モデルは必ず誤差を持つ。
また、現在現れていない将来の構造変化を反映できない。
不確実性を考慮した予測結果・評価結果の提示
○ 様々な感度分析の実施
○ “予測値=計画値”からの脱却(今後の検討)
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10
3.交通需要予測に入る前に...
3.交通需要予測に入る前に...
(1)交通とは?
„ 人・物などをある場所から他の場所へ移動すること
交通需要: 人・物という交通主体の欲望あるいは
必要性の総量
供 給 : 交通需要に対して提供される交通機関の
量あるいは質
„ 交通需要の大部分が派生的交通需要
PTでは目的が重要
派生的需要:通勤・通学、レジャーなど、
目的地での活動を目的として発生する移動
本源的需要:ドライブ、クルージング、散歩など、
移動そのものを目的とした移動
copyright 計量計画研究所
11
3.交通需要予測に入る前に...
(2)トリップ(Trip)とは?
„ 人または車両が、ある目的を持って、
起点から終点へ移動する場合に、
その一方向の移動を表す概念。
„ または、その移動を定量的に表現する際の単位。
„ パーソントリップ調査(PT調査)は、
人のトリップを計測する交通実態調査。
„ 道路交通センサス 自動車起終点調査は、
自動車のトリップを計測する交通実態調査。
1トリップ
(
乗
車
降
車
バ
ス
停
バ
ス
停
到
着目
地的
地
(
出
発
地
乗
車
駅
降
車
駅
copyright 計量計画研究所
12
3.交通需要予測に入る前に...
(3)ゾーンとは?
ゾーニングとは?
„ 交通需要予測を行う際、対象地域を複数のゾーンに区分。
„ これを「ゾーニング」と呼び、区分されたエリアを「ゾーン」と呼ぶ。
„ ゾーンは、集計、分析、予測の地域単位であると同時に、
都市計画や都市交通計画における計画単位でもある。
(例) ある地域を3つのゾーンに区分
3
2
1
:ゾーン中心
※ゾーン中心
ゾーンから発生する交通は、
全てこのゾーン中心から発生するもの
として取り扱う
copyright 計量計画研究所
13
3.交通需要予測に入る前に...
(4)OD表とは?
„ トリップデータを集計し、どこから(起点)、どこへ(終点)、
どれくらいの量のトリップが移動しているかを表にしたもの。
D
O
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン1
450
180
220
850
ゾーン2
180
330
130
640
ゾーン3
220
130
280
630
合計
850
640
630
2,120
※ OD表は、目的別(通勤、通学、業務など)や
交通機関別(鉄道、自動車、バスなど)にも作成
copyright 計量計画研究所
14
3.交通需要予測に入る前に...
(5)ネットワークデータとは?
3
ノード
2
リンク(ノード間の線)
ゾーン中心
ゾーンアクセスリンク
(ゾーン中心とノードの間の線)
1
copyright 計量計画研究所
15
3.交通需要予測に入る前に...
(6)交通需要予測を行うにあたって
„ 将来の人の一人一人の行動がわかれば交通需要予測は簡単
Æそんなのわかるわけない!
„ 住んでいる人、住んでいる街により、
交通行動、トリップパターンは異なる
Æ何か普遍的な関連性、関係式はないか?
<普遍的な関係式を探せ>
・ 高齢者と若者、どっちが外出回数が多い?
・ 免許を持っている人と持っていない人、どっちが車を利用する割合が高い?
・ 都心など企業が集積している場所は業務交通が多い?
・ 人がたくさん住んでいる住宅地もトリップが多い?
copyright 計量計画研究所
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3.交通需要予測に入る前に...
住んでいる人の行動
交通需要量
街の構造
普遍的な関係式
(モデル)
現況の交通データ(PT調査データ)に基づいて、
交通行動の特性をモデルによって表現
トリップ目的の概念を導入した方が
より行動を明確に表現しやすい
copyright 計量計画研究所
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4.予測の手順(四段階推計法)
4.予測の手順(四段階推計法)
(1)予測を行う前に決定すべき事項
① 目標年次
„
長期:概ね10~20年後
■
短期:概ね1~5年後
② ゾーニング
„
„
„
代替案としてのネットワークの細かさとの整合性
ゾーン単位の関連データの収集可能性
同一ゾーン内での地域特性の均質性
例)東京都市圏PT調査:小ゾーン、計画基本ゾーン、中ゾーン、大ゾーン
③ 予測対象(予測のカテゴリー区分)
„
トリップ目的
例)仙台都市圏PT調査:通勤、通学、帰宅、私事、業務
„
交通手段 (代表交通手段、鉄道端末交通手段)
例)仙台都市圏PT調査: 《代表》徒歩・二輪、自動車、バス、鉄道
《端末》徒歩、二輪車、バス、自動車、P&R
copyright 計量計画研究所
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4.予測の手順(四段階推計法)
(2)将来交通需要予測の方法と手順
„ 将来交通需要予測では、
目標年次(概ね20年後)の交通需要量を推計
„ “四段階推計法”を用いて、
目的別代表交通手段別OD交通量を推計した後、
これを道路ネットワーク、公共交通ネットワークに配分し、
リンク別(幹線道路区間や鉄道駅間)交通量を推計
„ そのために必要な一連の予測モデルを
PT調査データ等を用いて作成
copyright 計量計画研究所
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4.予測の手順(四段階推計法)
●四段階推計法とは?
【開発の経緯】
„ 1950年代にアメリカで開発され、
広島都市圏(1967年)、東京都市圏(1968年)の
パーソントリップ調査において本格的に適用。
„ その後全国に普及し、様々な改良が加えられ現在に至る。
【基本的な考え方】
„ 都市圏全体で発生する総交通量を4つのステップに分けて
推計し、最終的には幹線交通施設の交通量を予測。
„ 交通需要の全体動向をつかむための実用的な方法。
copyright 計量計画研究所
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4.予測の手順(四段階推計法)
●四段階推計法の手順
t
t
j
i
i
j
zone
zone
„ どこで
発生・集中
するか?
生成交通量の予測
人口、土地利用等
の想定
発生・集中交通量の
予測
tij
i
j
„ どこへ行くか?
(目的地?)
分布交通量の予測
道路&公共交通
ネットワーク
t i jm
„ 何を使うか?
(交通機関?)
i
交通機関分担の予測
j
配分対象となる
自動車(公共交通)OD表
t i jmr
i
道路(公共交通)
ネットワーク
„ どこを使うか?
j
(経路?)
配分交通量の予測
copyright 計量計画研究所
21
4.予測の手順(四段階推計法)
生成交通量の予測
人口、 土地利用等
の想定
発生・集中交通量
の予測
分布交通量の予測
道路&公共交通
ネットワーク
交通機関分担の予測
配分対象となる
自動車( 公共交通) OD表
道路( 公共交通)
ネットワーク
配分交通量の予測
copyright 計量計画研究所
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4.予測の手順(四段階推計法)
●PT調査と道路交通センサスに基づく予測方法
人の生成交通量予測
車の生成交通量予測
人口、 土地利用
等の想定
人口、 土地利用
等の想定
人の発生・集中
交通量予測
車の発生・集中
交通量予測
人の分布交通量予測
車の分布交通量予測
交通機関分担
交通機関分担は
を考慮してい
ここで予測しない
ない
交通機関分担の予測
配分対象となる
自動車OD表
配分対象となる
自動車OD表
道路ネットワーク
配分交通量の予測
PT調査における交通需要予測
(四段階推計法)
道路ネットワーク
配分交通量の予測
道路交通センサスにおける
交通需要予測(三段階推計法)
copyright 計量計画研究所
23
4.予測の手順(四段階推計法)
(3)将来交通需要予測モデルの作成手順
予測対象の選定
モデルの選定
パラメータの推定
モデルの検証
計画対象とする交通施策
È
交通がどのように変化?
・発生場所? ・手段? ・経路? ・・・
交通需要に影響する要因とその関係
È
計画対象とする交通施策が表現可能な
モデル・変数を選択
重回帰分析、最尤推定法など
È
パラメータの符号や統計的説明力をチェック
現況再現性?
モデルの感度?
copyright 計量計画研究所
24
4.予測の手順(四段階推計法)
●四段階推計法の手順
【標準的な手順】
生成交通量の予測(総量)
第1ステップ
発生・集中交通量の予測
分布交通量の予測
第2ステップ
交通機関分担交通量の予測
第3ステップ
配分交通量の予測
第4ステップ
copyright 計量計画研究所
25
4.予測の手順(四段階推計法)
【第1ステップ】生成交通量の予測
都市圏の総交通量を
予測する。
O
D
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン1
?
?
?
?
ゾーン2
?
?
?
?
ゾーン3
?
?
?
?
合計
?
?
?
この部分の将来値(⽣成交通量)を予測
copyright 計量計画研究所
26
4.予測の手順(四段階推計法)
【第1ステップ】発生・集中交通量の予測
ゾーンから
発生する交通量、
集中する交通量を
予測する。
O
D
ゾーン
i
Oi
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
ゾーン1
?
?
?
ゾーン2
?
?
?
ゾーン3
?
?
?
合計
合計
ゾーン
j
Dj
交通はどこで
発生・集中するか?
この部分の将来値
(発⽣交通量)を予測
⽣成交通量
この部分の将来値
(集中交通量)を予測
⽣成交通量は推計済み
copyright 計量計画研究所
27
4.予測の手順(四段階推計法)
生成交通量、発生・集中交通量の予測モデル
„ 原単位法
„ 生成モデルで採用される例が多い
„ 交通発生の主体、関連施設、経済指標等に関する
単位当り発生量を原単位とし、
これにより将来の交通需要を予測する方法
„ 関数モデル法
„ 発生・集中モデルで採用される例が多い
„ ゾーン別指標より多変量的にモデル式を構築し、
これにより将来の交通需要を予測する方法
copyright 計量計画研究所
28
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
生成モデル・発生集中モデルの例
○生成交通量予測モデル(原単位法)
将来生成交通量(都市圏居住者の総トリップ数)
= 1人あたり発生トリップ数×将来人口
個人属性によりカテゴリー化
社会構造の変化の考慮 原単位の安定性 将来人口の予測可能性
○発生・集中交通量予測モデル(関数モデル法)
トリップ目的別に人口関連指標を説明変数とする回帰モデル式
ex. 通勤目的の場合
発生交通量=a + b×(就業人口)
集中交通量=c + d×(従業人口)
a,b,c,dはパラメータ
copyright 計量計画研究所
29
4.予測の手順(四段階推計法)
【第2ステップ】分布交通量の予測
ゾーン間の交通量を
予測する。
アウトプットは、
OD表。
O
D
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン
i
j
qij
ゾーン3
合計
┓
┃
ゾーン1
ゾーン2
どこに行くか?
目的地はどこか?
発⽣交通量
┃
┛
ゾーン3
合計
ゾーン
┗━━
集中交通量
━━┛
⽣成交通量
⽣成交通量、発⽣・集中交通量は推計済み
copyright 計量計画研究所
30
4.予測の手順(四段階推計法)
分布交通量の予測モデル
„ 現在パターン法
„ 現在の交通分布特性を将来の分布特性に反映させる方法
„ 将来に対する発生・集中交通量の伸び(成長率)によって
ゾーン間交通量を予測
„ 成長率の推定式は、一般的に、
収束計算を行うフレーター法が用いられる
„ グラビティモデル
„ ニュートンの万有引力の法則を適用(アナロジー)した方法
„ ゾーン間の交通量が
各ゾーンの質量に相当する発生・集中交通量と
ゾーン間の距離抵抗(距離、所要時間、料金など)とによって決まる
と考えるモデル
copyright 計量計画研究所
31
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
分布モデルの例
○グラビティモデル
α
Tij =
k , α , β :パラメータ
d ij :ゾーン間の距離
β
k ⋅ Gi ⋅ A j
f (d ij )
f
:距離抵抗を表す関数
ゾーン
1
2
3
・・・・・
j
・・・・・・
N
発生量
1
2
3
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
Tij
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
?
G1
G2
G3
・
・
GN
A1 A2
A3
・・・・・・・
Aj
・・・・・・
AN
T
・
・
i
・
・
N
集中量
・
・
Gi
copyright 計量計画研究所
32
4.予測の手順(四段階推計法)
【第3ステップ】交通機関分担交通量の予測
ゾーン間の交通量を
交通機関別に分ける。
アウトプットは、
交通機関別OD表。
⾃動⾞
ゾーン
qrailij
ゾーン
鉄道
j
i
qcarij
道路(自動車)
どの交通機関を
使うか?
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
鉄道
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン1
バス
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン1
徒歩・⼆輪
ゾーン2
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
ゾーン1
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン2
ゾーン3
合計
ゾーン3
合計
合計
合計
copyright 計量計画研究所
33
4.予測の手順(四段階推計法)
交通機関分担交通量の予測モデル
„ ゾーン間の交通機関別の交通条件(LOS;サービス水準)を用いて
各交通機関の分担率を算出し、交通機関別OD表を作成
„ 交通機関分担モデルには、
・分担率曲線を用いた方法
・犠牲量モデル
・集計ロジットモデル
・非集計モデル
等がある
„ 近年は、集計ロジットモデル、非集計モデルの適用が一般的
„ ロジットモデル
„ 現況のデータからロジットモデル式を構築し、
将来の交通機関別の交通条件をモデルに代入することによって
将来の交通機関分担率を予測
copyright 計量計画研究所
34
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
交通機関分担モデルの例
○ロジットモデル
集計ロジットモデル:2つの交通手段選択(鉄道、自動車)の場合
鉄道の利用率は次式で与えられる
„
P鉄道=
exp(V鉄道)
exp(V鉄道)+exp(V自動車)
V :それぞれの交通機関を利用する際の効用
V=α0+α1X1+α2X2+・・・・+αpXp
X1,X2・・・・Xp 説明変数(時間、費用 など)
copyright 計量計画研究所
35
4.予測の手順(四段階推計法)
【第4ステップ】配分交通量の予測
ネットワーク上で
路線別の交通量を予測する。
ゾーン
i
どの経路・どの路線
を使うか?
ゾーン
j
copyright 計量計画研究所
36
4.予測の手順(四段階推計法)
配分の前に...自動車OD表の作成
„ 交通機関分担のステップで求めた自動車利用トリップ(人ベース)
を自動車交通量(台ベース)に変換
„ 自動車利用OD表(人ベース)を平均乗車人数で除して、
自動車OD表(台ベース)を推計
„ 自動車利用トリップは、代表交通手段自動車トリップだけでなく、
公共交通端末自動車トリップも含めることに留意
„ PT調査で捕捉されていないトリップや、捕捉率が悪いトリップは、
道路交通センサスデータ等を用いて補完・補正
„
„
補完対象トリップ(例)・・・営業用貨物車、空車タクシー、
営業用バス、都市圏外居住者のトリップ
補正対象トリップ(例)・・・自家用貨物車、実車タクシーのトリップ
※補正の必要性をチェックし必要に応じて
※代表交通手段とは、一つのトリップの中で複数の交通手段を使っている場合、その中の代表的な交通手段
(予め優先順位が決まっており、通常は、鉄道→バス→自動車→二輪→徒歩の順)
37
copyright 計量計画研究所
端末交通手段とは、代表交通手段の前(アクセス)・後(イグレス)の交通手段
4.予測の手順(四段階推計法)
配分交通量の予測モデル(自動車)
„ 等時間配分法(分割配分、利用者均衡配分)
„ Wardropの第一原則(等時間原則)に従った配分手法
„ 厳密な均衡解として推計する方法 Æ 利用者均衡配分法
„ 近似解法として、OD表をn回に分割して配分 Æ 分割配分法
☆これまでの実務では、分割配分法が一般的に適用されてきた
★近年のPT調査では、利用者均衡配分法の適用が多くなっている
„ 転換率モデル
„ 道路公団や首都高速道路公団などで適用されてきたモデル
„ 高速道路の利用率(転換率)と一般道路の利用率を計算
„ その転換率から、高速道路と一般道路の交通量を推計する方法
copyright 計量計画研究所
38
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
これまでの配分手法(分割配分)に関する問題
„ これまでの実務では、容量制限付分割配分法を適用
① 分割配分は、利用者均衡配分の近似的な手法であり、
本来の等時間原則の配分原理の理論的根拠が明確でない
② 分割回数や分割比率は配分結果に影響を及ぼす
Æ 分割回数や分割比率の違いによって、
得られる配分交通量が違ってくる
③ 分割配分は、交通施策の評価をする上で重要な
所要時間の推計には必ずしも適さない
copyright 計量計画研究所
39
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
なぜ、利用者均衡配分なのか?
① 等時間原則という合理的な仮定に基づいた、理論的なモデル
② 分割回数や分割比率等の恣意的なパラメータがなく、
理論的に説明できる
③ 一つの統一的な理論のもとで、
多様な政策評価が可能なモデルへの拡張性が高い
④ 設計要素によって定まる道路特性を反映した
リンクパフォーマンス関数を設定することにより、
比較的精度の高いゾーン間所要時間を推計できる
⑤ 交通施策によるリンク交通量や所要時間の変化を
適切に予測できる
など
※ 東京都市圏、中京都市圏、仙台都市圏、北部九州都市圏、
静岡中部都市圏、西遠都市圏など、
主要な都市圏のPT調査では、既に利用者均衡配分を採用!
copyright 計量計画研究所
40
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】
配分方法による結果の違い
問 題
ルート1
所要時間:t1=5+0.1・f1
地域O
地域D
ルート2
所要時間:t2=10+0.025・f2
ルート3
OD間交通量=200台
所要時間:t3=15+0.025・f3
All-or-Nothing法
利用される経路の旅行時間は
みな等しい!
利用されない経路の旅行時間
はそれより大きい!(均衡状態)
分割配分法(5分割)
利用者均衡配分法
200台、25.0分
100台、15.0分
80台、13.0分
0台、10.0分
100台、12.5分
120台、13.0分
0台、15.0分
0台、15.0分
0台、15.0分
copyright 計量計画研究所
41
4.予測の手順(四段階推計法)
【参考】なぜ、利用者均衡配分が
これまで実務で適用されなかったか?
① 分割配分は、長年使っており、わかりやすく、操作性がよかった
Æ 必要に応じて、結果を操作できる・・・?
② 難しい理論や計算処理が必要となるため、
一般に説明することが難しかった
Æ 海外では、すべて利用者均衡配分を適用
③ 計算機の処理に非常に時間がかかった
Æ 計算技術や計算機の急激な発展により、
これまで難しかった複雑な計算処理が、
簡単なプログラムと実務上問題のない時間で処理可能に
Æ 現在では、都市圏単位の配分も、
数分~数時間で計算可能
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4.予測の手順(四段階推計法)
平成15年8月
土木学会より出版
平成18年7月
土木学会より出版
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4.予測の手順(四段階推計法)
配分交通量予測モデル(公共交通)
都市圏
仙台
西遠
(第3回)
宇都宮
(第2回)
対象交通機関・OD
鉄道(含む地下鉄)
(全日)
配分方法
駅間選択モデルを用いて
駅間OD表を作成し、
これを路線に配分
バス(全日)
最短経路に全量配分
鉄道(全日)
最短経路に全量配分
バス(全日)
最短経路に全量配分
鉄道(含む新交通)
(全日)
最短経路に全量配分
バス(全日)
系統を考慮し、
最短経路に全量配分
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4.予測の手順(四段階推計法)
(4)将来交通需要予測の実施
„ 設定した将来交通需要予測の前提条件
(将来人口配置、将来交通ネットワーク)に基づき、
作成した交通需要予測モデルを用い、
将来交通需要を推計
„ 予測の各段階(生成、発生・集中、分布、分担、配分)で
予測値を吟味し、予測値が妥当かどうかチェック
„ 自動車交通量については、特に自動車OD表の段階で、
道路交通センサスの将来予測値と比較チェックし、
その違いが、目標年次や人口フレーム等の前提条件の違いから
想定される範囲内かどうかを確認
Æ大きく異なる場合は、その理由を明らかにしておくことが望ましい
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5.評価手法
5.評価手法
(1)評価の考え方
公共事業の効率性、透明性
市民
わかりやすい評価指標で
計画代替案を評価
公表
アウトプット(整備水準)指標
È
アウトカム指標
費用便益分析(B/C)、需給バランス(混雑度)、
アクセシビリティ指標、環境・エネルギーに関する指標
など、多様な側面から評価
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5.評価手法
(2)評価指標の例(第4回東京都市圏PT調査)
3つの基本目標
施策導入の効果
評価指標
面混雑度1.0以上の台キロ(一般道路)
自動車渋滞の解消
走行速度25km/h以上の道路延長
(一般道路)
東京都市圏の
活動を支える
鉄道利便性向上
駅アクセス1.5km以上の人口割合
モビリティの向上
60分以上通勤トリップ
速達性の向上
広域連絡拠点から60分以内の
延べ従業人口
道路における安全性 自動車免許保有人口あたり
の確保
年間交通事故件数
安全で快適な 災害に強い都市構造 帰宅支援者数
の実現
暮らしと
広幅員道路密度
交通環境の実現
ピーク時鉄道混雑率150%以上の
快適に移動できる
人時間
公共交通機関の充実
自動車・鉄道利用不便者数
環境にやさしい 自動車交通による
二酸化炭素(CO2)の排出量
交通体系の構築 環境負荷の低減
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3.都市交通マスタープランの立案手順
●都市圏構造と交通施策を組み合わせた
複数シナリオの予測・評価(第4回西遠都市圏PT調査)
交通施策の実施
目標像
理想像
シナリオ3
交通施策
水準3
拠点・公共交通軸
集積型
都市圏構造
将
来
(
概ね 20年後 )
シナリオ2a
交通施策
水準2
拡散型
都市圏構造
シナリオ2b
交通施策
水準2
趨勢型
都市圏構造
交通施策
水準3
集約型
都市圏
構造
シナリオ2 c
交通施策
水準2
拠点・公共交通軸
集積型
都市圏構造
交通施策
水準2
シナリオ1
交通施策
水準1
拡散型
都市圏構造
拡散型
都市圏構造
交通施策
水準1
趨勢型
都市圏構造
拠点、 公共交通軸
周辺に集積
集約型に
誘導
都市圏構造
資料:第4回西遠都市圏総合都市交通体系調査報告書/4 将来予測編 48
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3.都市交通マスタープランの立案手順
予測・評価結果の例(第4回西遠都市圏PT調査)
„ シナリオ1は、都市圏構造が拡散型となり、現況より道路整備が進み、バスのサービスレベルが減少するた
め、自動車の構成比が増加し、その他の交通の構成比が減少する。
„ シナリオ2aは、バスのサービスレベルが現状維持の水準に戻り、道路整備によるバスの走行性が向上する
ため、自動車やオートバイの構成比はほとんど変化せず、バスの構成比が現況より増加する。シナリオ2bは、
都市圏構造が趨勢型となるが代表交通手段構成比に大きな変化が見られない。シナリオ2cは、都市圏
構造が集積型となり、拠点・公共交通沿線地域に夜間及び従業人口が集積するため自動車の構成比
が減少する。
„ シナリオ3は、都市圏構造は集積型となり、道路整備はシナリオ2a、2b、2cより進まず、公共交通サービ
スレベルは向上するため、各シナリオの中で自動車の構成比は最も小さくなり、鉄道、バスの構成比は最も
高くなっている。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2.7% 1.7%
68.3%
現況
2.4%
13.6%
70.0%
2.9% 9.2%
13.8%
70.0%
2.9% 9.2%
13.8%
70.0%
2.9% 9.2%
13.8%
2.2%
66.3%
シナリオ3
鉄道
図 都市圏交通シナリオ別
代表交通手段構成比
1.8%
シナリオ2c
2.8%
2.8% 8.9%
1.8%
シナリオ2b
2.5%
71.2%
1.8%
シナリオ2a
2.5%
15.2%
1.2%
シナリオ1
2.5%
2.8% 9.3%
バス
自動車
オートバイ・バイク
3.5% 10.4%
自転車
徒歩
14.8%
資料: 第4回西遠都市圏
総合都市交通体系調査
報告書/4 将来予測編
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5.評価手法
●第4回西遠都市圏PT調査での評価の表現例
出典:第4回西遠都市圏PT調査「都市交通マスタープラン」パンフレット
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5.評価手法
„ 自動車交通からのCO2(二酸化炭素)排出量
前提条件
モデル
都市圏構造
生成
予測結果
評価結果
(都市圏全体)
人口配置
発生・集中
(各ゾーン)
車種別・走行速度別
のCO2排出原単位
分布
道路区間別の
CO2排出量の算定
(ソーン間)
幹線交通ネットワーク
評価対象範囲の
CO2排出量を集計
分担
(交通機関)
配分
(経路・区間)
道路区間別の
車種別交通量・速度
自動車からの
CO2(二酸化炭素)
排出量
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5.評価手法
„ 拠点から○○分以内の延べ夜間人口・従業人口
前提条件
モデル
予測結果
評価結果
生成
(都市圏全体)
人口配置
発生・集中
(各ゾーン)
ゾーン別
夜間人口・従業人口
分布
幹線交通ネットワーク
拠点から各ゾーンへの
所要時間を集計
拠点から○○分以内
のゾーンを抽出
(ソーン間)
拠点から○○分以内
の延べ
夜間人口・従業人口
分担
(交通機関)
配分
(経路・区間)
鉄道駅間速度、
道路区間別速度
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5.評価手法
(3)評価指標の算出方法の例
„ 道路・鉄道網整備による鉄道混雑率・自動車走行速度の変化
前提条件
モデル
予測結果
生成
鉄道駅間交通量と
輸送容量(ピーク時)
から混雑率を算定
(都市圏全体)
道路・鉄道網の整備
(あり/なし)
発生・集中
(各ゾーン)
分布
(ソーン間)
ゾーン間LOS
(整備あり/なし)
※ LOS:交通サービス水準
(距離、所要時間、料金など)
LOSが向上した
方向(整備した方向)
のODが増加
評価対象断面の
鉄道混雑率を集計
評価対象断面の
ピーク時鉄道混雑率
※ 整備あり・なしそれぞれの交通
需要予測を行い結果を比較
分担
(交通機関)
LOSが向上した
交通機関の
分担率が上昇
※ 整備あり・なしそれぞれの交通
需要予測を行い結果を比較
ネットワーク・容量等
(整備あり/なし)
評価結果
配分
(経路・区間)
鉄道駅間や
道路区間別の
交通量・速度
評価対象範囲の
道路区間別速度を
集計
自動車走行速度の
変化
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5.評価手法
(4)PTデータ活用における予測評価手法
„ 都市交通計画の策定、都市交通施策の提案・妥当性への活用
計画等
総合交通体系計画
道路網計画
広域的
な計画
鉄道計画
新交通・モノレール・
LRTの計画
TDM計画
駅前広場計画
地区
レベル
の計画
駐車場計画
大規模開発地区
関連交通計画
データ活用内容
○現況問題、計画課題把握のため
の現況分析
○交通需要推計+計画案の評価
=OD交通量を用いた広域的な
交通量配分など
○同上
○TDM施策の有効性分析
○交通需要推計+計画案の評価
=PT調査に基づく係数を
用いた地区レベルの評価
※マニュアルに基づく検討
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5.評価手法
„ 都市計画以外の部局における活用
分析等
地球環境負荷の予測評価
環境
大気環境の予測評価
データ活用内容
○交通需要推計結果に基づく評価
=交通量配分の活用など
騒音・振動等の予測評価
被災者の把握
防災
災害時の対策検討
福祉
・
医療
○時刻別の被災者数の把握
=滞留人口の活用など
○災害時を想定した交通需要の検討
=交通量配分の活用など
医療・福祉施設の立地検討 ○利用者分布、交通特性を考慮した
施設立地検討
医療・福祉施設などへの
○移動制約者の施設アクセスの検討
アクセス検討
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5.評価手法
●近年の特徴的なデータ活用
„ 滞留人口と移動人口
Æ トリップの「出発時間~到着時間」間は「移動中」、
「到着時間~出発時間」間はその場所に「滞留中」
„
„
商業地分析への活用
防災対策への活用(帰宅困難者)
„ 経路に着目したシミュレーション
Æ 自動車の交通量配分と同様に“配分”計算を適用
„
災害時の徒歩による帰宅シミュレーション
„
„
滞留場所を出発地、自宅を目的地とするOD表を作成し、“配分”
災害時の徒歩・自動車による避難シミュレーション
„
滞留場所を出発地、避難先を目的地とするOD表を作成し、“配分”
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