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見る/開く - 岐阜大学機関リポジトリ

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見る/開く - 岐阜大学機関リポジトリ
Title
Study on the Functional Analysis of New Regulating Factors
Related to Adipogenesis( 内容の要旨 )
Author(s)
Yeon-Hee Hong
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第391号
Issue Date
2005-09-14
Type
博士論文
Version
none
URL
http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/3088
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏
名(本(国)籍)
(大韓民国)
Yton-HeeHong
学
位
の
種
類
博士(農学)
学
位
記
番
号
農博甲第391号
日
平成17年9月14日
学位授与年月
学位授与の要件
学位規則第3条第1項該当
研究科及び専攻
連合農学研究科
生物生産科学専攻
研究指導を受けた大学
信州大学
学
StudyontheFunctionalAnalysisofNew
位 論
文
題
目
RegulatingFactorsRelatedtoAdipogenesis
(脂肪細胞分化形成に関連する新規調節因子の機能的
解析に関する研究)
審
査
委
員
会
論
文
佐々木
晋
助教授
虚
尚
静岡大学
教
授
森
岐阜大学
教
授
伊
主査
信州大学
教
副査
信州大学
副査
副査
の
内
容
の
授
要
一
建
誠
藤
慎
一
旨
現在、脂肪組織の部位特異的発現、特に腹腔内脂肪組織過剰形成による肥満がメタポ
リックシンドローム発症の因子であるということに関心が集中している。脂肪組織の発
達は脂肪細胞形成(adipogenesis)と密接に関係し、それは遺伝子あるいは栄養、環境因子
等により複雑な機構によって調節されている。また、脂肪細胞はホルモン、成長因子、
サイトカインといった生理活性物質を産生・分泌し、自己分泌的手法により増殖・分化
が調節されてもいる。しかしながら、体脂肪の分布がいかに調節され、脂肪組織の部位
特異的進展に関与する鍵となる遺伝子がいかに発現するかは完全に解明されてはいない。
そこで、本論文は、肥満に関連する様々な問題の解決を導く標的因子を明らかにし、脂
肪細胞分化形成過程の分子メカニズムを明らかにするため、機能的ゲノム解析およびバ
イオインフォアテイクスを用いて、①脂肪分化形成過程における脂肪細胞特異的膜タン
パク質誠poge血の発現上昇、②短鎖脂肪酸である酢酸およびプロピオン酸による
GPCR43を介した脂肪細胞分化形成制御、③脂肪細胞分化形成過程におけるcl乱出血-6遺
伝子発現のアップレギュレーション、④脂肪細胞分化および脂肪蓄積における新規調節
因子FDRfについて論じたものである。本論文の内容は以下のように要約される。
最初に、データーベース、GenomehstituteofNorvartisResearchFoundadon(GNF)を用い
て、脂肪細胞に特異的に発現している新規遺伝子の機能的解析を行っている。このデー
ターベースによって探索した新規遺伝子は、マウスの4つの異なる部位の脂肪組織にお
ー43-
いて高い発現を示すこと、さらに3T3-Ll細胞の分化・形成を刺激することからAdipogenln
と命名した。さらなる解析はPnlR-γの発現を上向き調節するトログリ■タゾンが
Adipogeninをup-regulationすること、GFP融合タンパク質を用いた共焦点レーザー解析
によりAdipogeninが細胞膜に発現していること、3T3-Ll細胞においてAdipogeninの
siRNAノックダウンがAdipogeninのmRNAの発現量を減少させ、脂肪細胞分化過程を
抑制すること、さらに、AdipogeninmRNAレベルは高脂肪食給餌マウスの脂肪組織で高
い発現を示すことを確認している。以上の結果より、本論文はAdipogeninが脂肪細胞の
分化・形成に関与する調節因子の1つである可能性を示唆するものである。
次いで、短鎖脂肪酸、酢酸およびプロピオン酸をリガンドとするGタンパク質共役受
容体、GPCR41とGPCR43の脂肪細胞分化・形成過程に関与するか否かを検証している。
その結果、マウスにおいてGPCR43Il戊NAは他の組織におけるよりも脂肪細胞で高い発
現を示し、脂肪前駆細胞よりも成熟脂肪細胞で高い発現を示したが、GPCR41の発現は
検出されないこと、高脂肪食給餌マウスでその発現量は増加すること、3T3-Ll細胞の文
化に伴いその発現量が増加することを確認している。さらに、3T3-Ll細胞の酢酸および
プロピオン酸処理は脂肪細胞の分化を促進し、プロピオン酸はGPCR43の発現量を有意
に増加させること.、SiRNA処理はGPCR43の発現を減少させ、脂肪細胞分化を抑制する
こと、酢酸およびプロピオン酸は共にイソプレテレノール誘引脂質分解を用量依存的に
抑制することを観察している。以上の結果より、本論文は短鎖脂肪酸である酢酸および
プロピオン酸がGPCR41ではなくGPCR43を介する脂肪細胞形成過程において重要な生
理学的役割を演じている可能性を示唆するものである。
さらに、細胞のタイト結合に関与しているclaudin-6の脂肪細胞分化形成過程における
役割を検証している。Claud山一6遺伝子は4タイプの脂肪組織で異なった発現を示し、そ
れぞれの組織において高脂肪食給餌マウスで発現が上昇すること、加vf加においては、
3T3-Ll細胞の分化に伴って発現が増加し、S択NA処理によりその遺伝子の発現を減少さ
せると分化が抑制されることを確認している。以上の結果より、本論文はclaudin-6が脂
肪細胞分化・形成過程および脂肪蓄積における重要な調節因子であることを示唆するも
のである。
最後に、脂肪細胞分化の分子事象を明らかにするため、Di飴rentialdisplay法によって、
マウスの皮下および内臓脂肪組織において異なった発現を示す新規遺伝子を同定し、脂
肪蓄積調節因子、FDRFと命名している。このFDRFの発現は各部位の脂肪組織で発現
程度が異なっており、高脂肪食給餌マウスの脂肪蓄積増によりその発現が増加すること、
FDRFの発現はPPAR-γの発現に先行し、分化初期においてその発現が高いこと、さら
にsiRNAノックダウンによりFDRFの3T3-Ll細胞の分化能は減少することを確認して
いる。以上の結果より、本論文は脂肪細胞分化・形成における正の調節因子としてFDRF
が機能しており、脂肪蓄積を調節している可能性を示唆するものである。
上述したように、本論文は、脂肪細胞分化・形成過程に関与する遺伝子の生物学的あ
るいは生理学的役割といった面ではさらなる研究の余地を多く残しているものの、4つ
の新規遺伝子(Adipogenin,GPCR43,Claudin-6,FDRF)を同定し、一部分ではあるがそれ等
遺伝子の機能を解析しており、それ等が脂肪組織の発達と肥満の成因の解決を導く重要
ー44-
な標的因子であることを示唆するものであり、バイオナノディバイスの開発に一石を投
じるものと考えられる。
審
査
結
果
の
要
旨
本論文の公開学位論文発表会は、審査委員全員を含む関連教官や学生の出席のもと、平
成17年8月11日(木)午後3時より信州大学農学部において実施された。発表論文の内容は
以下の通りである。
本論文は、機能的ゲノム解析およびバイオインフォアテイクスを用いて、脂肪細胞分化
形成過程の分子メカニズムを明らかにすることにより、肥満に関連する様々な問題ゐ解決
を導く標的因子を明らかにしたものである。
最初に、データーベース(GNF)によって探索した脂肪細胞に特異的に発現している新
規遺伝子をAdipogeninと命名し、その機能解析を行っている。このAdipogeninはマウスの
4つの異なる部位の脂肪組織において高く発現すること、3T3-Ll細胞の文化形成を刺激し、
GFP融合タンパク質を用いた共焦点レーザー解析により細胞膜に発現していること、
3T3-Ll細胞においてAdipogeninのsiRNA処理により脂肪分化過程を抑制すること、さらに、
AdipogeninmRMレベルは高脂肪食給餌マウスの脂肪組織で発現が高いことを立証してい
る。これにより、Adipogeninが脂肪細胞の分化形成過程に関与する調節因子の1つである可
能性を示唆している。
次いで、短鎖脂肪酸をリガンドとするGタンパク質共役受容体、GPCR41とGPCR43が
脂肪細胞分化形成過程に関与するか否かを検証している。マウスにおいてGPCR43mRNA
は他の組織におけるよりも脂肪細胞で高い発現を示したが、GPCR41の発現は検出■されない
こと、高脂肪食給マウスでその発現は増加すること、3T3-Ll細胞の分化に伴いその発現畳
が増加することを確認。さらに、3T3-Ll細胞の酢酸およびプロピオン酸処葦酌ま脂肪細胞の
分化を促進し、プロピオン酸は_GPCR43の発現量を増加させること、そのsiRNA処理は
GPCR43の発現を減少させ、脂肪細胞分化を抑制すること、酢酸およびプロピオン酸は共に
脂質分解を抑制することを観察している。それにより、酢酸およびプロピオン酸がGPCR43
を介する脂肪形成過程において重要な生理学的役割を演じてい.る可能性を示唆している。
さらに、細胞のタイト結合に関与しているclaudin-6の脂肪細胞分化形成過程における役
割を検証している。Claudin_6遺伝子は4タイプの脂肪組織で異なった発現を示し、それぞ
れの組織において高脂肪食給餌マウスで発現が上昇すること、加v王加においては、3T3-Ll
細胞の分化に伴って発現が増加し、SiRNA処理によりその遺伝子の発現を減少させると分
化が抑制されることを確認している。それにより、Claudin-6が脂肪細胞分化形成過程およ
び脂肪蓄積における重要な調節因子であることを示唆している。
最後に、Difftrentialdisplay法によって、マウスの皮下および内臓脂肪組織において異な
った発現を示す新規遺伝子を同定し、脂肪蓄積調節因子、FDRFと命名している。この発現
は各部位の脂肪組織で発現程度が異なっており、高脂肪食給餌マウスの脂肪蓄積増により
その発現が増加すること、FDRFの発現はPnゝR-γの発現に先行し、分化初期においてその
発現が高いこと、さらにsiRNAノックダウンによりFDRFの3T3-Ll細胞の分化能は減少す
ることを確認している。それにより、脂肪分化形成における正の調節因子としてFDRFが
脂肪蓄積を調節している可能性を示唆している。
上述したように、本論文は、4つの新規遺伝子を同定し、それ等遺伝子の機能を解析して
ー45-
おり、それ等が脂肪組織の発達と肥満の成因の解決を導く重要な標的因子であることを立
証したものである。よって、慎重に審議した結果、審査員一同は全員一致で本論文が岐阜
大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値あるものと認めた。
【学位論文の基礎となる学術論文】
1)YH.Hong,D.Hishikawa,H・Miyahara,H・Tbzuki,YNishimura,C・Goto,K-C・Choi,YHokari,
Ynkagi,H-GLee,K-K.Cho,S-GRohandS.Sasaki・Up-regulationofadipogenin,anadipocyte
plasmatranSmembranePrOtein,duringadipogenesis・Mol・Cell・Biochem・ⅩXX‥1-9,2005・(accept)
2)YH.Hong,D.hishikawa,H・Miyahara,YNishimura,H・Thzuki,C・Goto,YSuzuki,H-S・Song,
K-C.Choi,H-GLee,S・SasakiandS-GRoh・Up-regulationoftheclaudin-6geneinadipogenesis・
Biosci.Biotech.Biochem.xxx*zzz,2005.(accept)
【既発表学術論文】
1)D.Hishikawa,削l噂,S-GRoh,H・Miyahara,YNishimura,A・Tbmimatsu,H・nuZuki,
C.Goto,M.Kuno,K-C.Choi,H-GLee,K-K.Cho,H.HidariandS.Sasaki,ldentificationofgenes
expresseddifferentiallyinsubcutaneousandvisceralfatofcattle,Plg,andmouse・
Physiol.Genomics,21:343-350,2005・
2)S-GRoh,Ynno】喝,D.Nishikawa,H.恥uzuki,M・Miyahara,YNishimur今,C・Goto,K-C・Choi,
H-GLeeandS.Sasaki,lnhibitionofGHsecretagoguereceptorantagonist,【D一旬S-3]-GHRP-6,
Inadipogenesisofovineandratadipocytes・Anim・Sci・J・76:381-386,2005・
3)C-WKim,K-TChang,Y-HnoI喝,W-YJung,E-J.Kwon,K-K・Cho,K-H・Chung,B-WKim,
J-G.Lee,J-S.Ybo,Y-S.KangandY-K.Joo,CDNAmicroarrayanalysisofthegene
expressionpro重Ieofswinemuscle・Asian-Aust・J・Anim・Sci・18:1080-1087,2005・
4)C-WKim,K-TChang,Yポ.HoI嘔,E-J.Kwon,W-YIJung,K-K・Cho,K-H・Chung,B-WKim,
J-G.Lee,J-S・Yto,Y-S・KangandY-K・Joo,Asian-Aust・J・Anim・Sci・18:933-941,2005・
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