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正社員登用事例集

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正社員登用事例集
平成26年度 地域中小企業の
非正規人材等確保・定着支援事業
中小企業のためのキラリ人材
活用・事例集
地域中小企業の非正規人材等確保・定着支援事業
企 業 の 将 来 を 担 う!
「 キラリ 人材」
発掘プロジェクト
採 用 企 業
& 就 職 決 定 者 イ ン タ ビ ュ ー
ここでは、
キラリ人材発掘プロジェクトを通じて、
実際に中途正社員としてキラリ人材を採用できた企業のご担当者と
就職決定した個人の方のインタビューをご紹介します。
企業様には人材採用と定着育成の取組み、
個人の方には今までの仕事内容や転職活動、
入社後の仕事内容などをお聞きしました。
インターンシップや障がい者雇用等の工夫を凝らした
採用活動。入社後も個々の事情に配慮したサポート
〈企業プロフィール〉
英光ライティング株式会社
所 在 地: 大阪府
業
〈採用担当者〉
代表取締役
種: 製造業
設
立: 1955年
(20代:2名、
30代:2名、40代:3名、残りは60代)
人員構成: 社員21名
電気機器の販売、
それらに附帯する
事業内容: 照明器具製造卸、
一切の事業
染谷 英太郎 さん
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ ベテラン社員のもとでゆっくり丁寧に指導
採用後はすぐに現場に入ってOJTで業務を覚えてもらいます。
指導は年配のベ
テラン社員が担当し、
入社してから一人前に仕事ができるようになるまでに約3年
程度を要します。
当社での作業には危険が伴うため、
まずは怪我をしない作業法
を徹底的に教え込みます。
当社は年配者が多く、
どんな人材が入社しても受け入れ、
育てていける風土が
もともとありました。
最近は若い人材を採用していることもあり、
年配の社員の、
1. 人材確保のための取組みと課題
若い社員に対する期待感が更に膨らんでいるように感じられます。
◆ 応募者一人ひとりに向き合う姿勢を崩さず採用活動
◆ 個々の事情に配慮した労働条件の緩和
当社では主にハローワークを利用して中途採用を行っており、
採用の際にはイ
子育て中の社員に対しては、
残業の免除等、
適宜要望に応えられるよう配慮し
ンターンシップも導入しています。
また、
学生時代の障がい者支援の経験から、
障
ています。
短時間勤務についても、
本人が希望すれば要望に応えるようにしてい
がいを持っている方でも問題なく働くことができると考え、
大阪府から認定され
ます。経営者自身も子どもがいるので、子育て中の社員の事情は、理解するよう
た
「障がい者サポートカンパニー」
として、
障がい者の雇用にも積極的に取り組ん
努めています。更に、子どもの事情による急な休みや早退時にも、他の社員でカ
でいます。
バーする等、
個別の対応ができる点は、
中小企業の良いところだと思います。
当社の業務には几帳面さが求められるため、
「ストイックに仕事と向き合える
基
人」
等、
求職者の人間性で採用の可否を判断します。
選考は1度の面接のみで、
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
本的に応募してきた方全てに対して社長自らが面談し、
決定しています。
◆ 合同説明会や職場見学会等、
手厚いサポートの下での採用活動に
◆ 地道な作業に従事する社員の定着が課題
実施機関からの紹介により、
「キラリ人材発掘プロジェクト」
に参加しました。
効果を実感
現在は、定着率が悪いという状況を改善することが課題であると考えていま
20名程度の求職者に当社のブース
本プロジェクトで参加した合同説明会では、
す。
定着率の悪さの要因としては、
当社が駅から離れたところにあるという立地
を訪問して頂き、
働く意欲の高い求職者の方々に出会うことができました。
また、
の悪さに加え、
入社した者に対して、
地道さの求められる業務内容の魅力を十分
職場見学会も実施し、
求職者の方々とより近い距離でコミュニケーションを取る
に伝えきれていないという点等が考えられます。
ことができ、
人材を確保する上でよい機会となりました。
従来のハローワークを通
じた採用に比べて、
本プロジェクトでの職場見学を経た採用は非常に先進的な
もので、
ぜひ今後の採用活動に取り入れていきたいと感じました。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
川村 隆晧 さん
年
齢: 25歳
性
別: 男性
採用職種: 製造職
経
験: 介護施設でヘルパーとして1年10ヶ月勤務した後、
退職し、
就職活動。
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
現場で先輩社員の指導のもと、
主に機械を使用して材料を曲げる作業を行っ
ています。
前職とは全く異なる仕事内容であり、
機械の使用方法を覚えるのが大
変だったり、
思うように作業ができない時もありますが、
先輩社員が優しく丁寧に
指導してくださいます。
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
Q. 今後の抱負を教えてください。
介護施設でヘルパーとして1年10ヶ月勤務していました。
目指していた製造業での就職が実現しました。
今後は、
職務に対して誠実な姿
勢を大切に、大変なことに直面してもギブアップせず、仕事を自分の物にしてい
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
2014年2月より就職活動を始め、
実施機関以外に、
ハローワークも利用して就
職活動を行っていました。
ハローワークで仕事を探す際には、
なるべく事前に企
業の雰囲気を知りたいという想いから、
職種に加えて、
職場見学があるかどうか
という点も重視しました。
きたいと思っています。
企 業 の 将 来 を 担 う!
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
創業以来女性を尊重する風土、
社員が長く働き続ける職場づくりを推進
〈企業プロフィール〉
株式会社コノエ
所 在 地: 東京都
業
〈採用担当者〉
取締役
鹿取 央嗣 さん
種: 小売業
設
立: 1955年
(うちパートタイム20名程度)
人員構成: 社員90名
男性40名程度、
女性50名程度
(13店舗)
、
悉皆業、
写真スタジオ、
事業内容: 呉服小売
着物レンタル、
着物ネット販売
1. 人材確保のための取組みと課題
◆ 事業拡大に向けて積極的な採用活動を展開、
人柄を重視した
選考を実施
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 月1回の研修とOJTにより育成、
実績に応じて処遇を決定
入社後は、
3日間の新人研修の後、すぐに各店舗に配属されます。その後は、継
続して月1回の研修に参加してもらいます。
採用者の給与水準は、主に前職の仕事内容、職歴、面接時の受け答え等から
決定しています。販売職の場合は、年齢に関係なく販売実績が良ければ給与が
上がる仕組みになっており、
基本給は、
前年の売り上げ等の成果に対して決めら
れます。
◆ 早帰りができる環境等、
社員が働きやすい環境づくりを徹底
女性社員のなかには育児休暇を取得した後も継続して働く人もいます。
創業者
でもある現在の会長の方針により、
女性社員を1人で社内に残さないこと、
遅くま
で残らず帰れる環境を作ることを厳守しています。時短勤務制度の利用者はま
当社では、
店舗や事業の拡大に伴って2013年から販売職の新卒採用を開始し、
だいませんが、
希望は出ているので今後検討したいと考えています。
これまでに26名採用しました。
中途採用も、
販売職をメインに毎年5~6名を採用
本社のある東京都豊島区は、
シングルマザーの支援に力を入れているため、
ハ
しています。
採用活動は、
民間の求人サイト等への掲載を主として行っています。
ローワークから、
就業を希望するシングルマザーの紹介が来ることもあり、
実際
(性格検査)
、
小論文、
集団討論、
中途採用では
採用試験は、
新卒採用ではDPI
に中途採用実績もあります。
DPI、集団面接を実施しますが、接客業ですので、人柄を重視して選考します。中
また、
職場の雰囲気を良好に保つことを目的として、
社長が自ら店舗を巡回す
途採用においては、
出来るだけ長く勤めてほしいとの思いから、
過去の転職回数
るとともに、
社員が定期的に提出する報告書を確認した上で、
状況に応じて人材
なども確認するようにしています。
正社員経験はあまり気にせず、
販売員として良
の入れ替えも行うようにしています。
さらに、
店舗の枠を超えて、
社員全体でのコ
好なコミュニケーションがとれる人材だと思えれば採用したいと考えています。
その他、
過去にはパートタイマーから正社員になった人材や、
毎年実施してい
るインターンシップの受入れから採用した人材もいます。
ミュニケーションの場として社員が集まり、
4月にお花見をしたり、年末に忘年会
(いずれも自由参加)
をすることもあります。
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
◆ 採用者の男女比の偏り、
入職後の定着率が課題
◆ 埋もれていた優秀な
「キラリ人材」
との出会いが期待できる
特に新卒採用を開始して以来、
非常に多くの人数を採用するようになりました
非正規社員として働いている方、
無職の方の中にも良い人材が埋もれている可
が、
面接重視の選考方法ではどうしても女性の採用が多くなり、
社員の男女比の
能性は十分にあるのですから、
こうしたプロジェクトを通じて、
良い人材に会えれ
偏りが課題であると感じています。
男性も一定数確保したいと考えていますが、
ば、
企業としても有益だと感じています。
中小企業として、
国がこのような事業を
販売職の募集では、
新卒も中途でも男性の確保は難しいというのが現状です。
実施してくれるのは非常に有難いので、
今後も継続的に支援して頂きたいと思い
また、
求人サイトへの情報掲載に対するコスト負担の大きさ、
社員の定着率の
ます。
また、
補助金をもらうという形式ですと、
事務作業が煩雑となるため、
今回
向上も課題です。
のように事業として参加できる方が、
我々企業にとっては気軽で良いと考えます。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
横田 さちよ さん
年
齢: 27歳
性
別: 女性
採用職種: 事務職
児童館の児童指導員
(契約社員)
として4年間勤務。
経
験: 大学卒業後、
その後、
父親の仕事を手伝いながら求職活動。
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
前職の会社では1年ごとの契約社員であったため、目標も1年ごとにしか設定
出来ず、
このままずっと児童指導員として勤めていてもスキルアップは望めないう
え、
いつ契約を更新できなくなるか分からないという不安がありました。
退職後は、
転職サイトを利用して就職活動を開始し、
正社員雇用を目指して、
中小から大企業まで、
職種も事務から営業から様々な職種に応募しましたが、
な
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
かなか採用には至りませんでした。
緊張しやすい性格で、
自分の言いたいことを
大学在学中に、中学・高校の教員免許を取得したことや、小学校・中学校で
うまく伝えられない場合もありましたが、
「新卒でなぜ正社員にならなかったの
のボランティア経験を通して、子どもに関わる仕事をしたいと考えるようになり
か」
と指摘されたり、
これまでの職歴では
「事務的なスキルがない」
と言われたこ
ました。大学卒業後は、児童館、院内保育室や学童保育室等を委託運営する民
ともありました。
事務職や営業職に応募した際には、
前職とのつながりを十分に
間会社に1年ごとの契約社員として入社し、児童指導員の仕事に4 年間従事しま
説明できなかったこともありました。
した。
ただし、
前職の会社では、
児童館などの職員は館長も含めて全員が契約社員
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
で、
正社員は、
本社の企画、
営業などの限られた部門で働く人のみでした。
また、
本社勤務で、
経理を担当しています。
労働条件、
職場の雰囲気など特に不満・
比較的大きな会社で、
契約社員ということもあり、
上司に対して意見を言う機会
不安もなく、
アットホームで、
よい雰囲気の中で勤務しています。
経理の仕事は全
や正社員への転換や職種転換への可能性は、
非常に少ないものでした。
くの未経験だったので、
入社前は非常に不安でしたが、
一からとても丁寧に教え
て下さるので、
現在は全く不安を感じていません。
採 用 企 業
& 就 職 決 定 者 イ ン タ ビ ュ ー
中小企業の現場(業務特性・やりがい)を的確にPR。
入職後は体系的な研修でスキル習得をサポート
〈企業プロフィール〉
株式会社サカヱ彫巧社
所 在 地: 大阪府
業
種: 製造業
設
立: 1975年
(役員3名、
正社員19名、
パートタイム5名)
人員構成: 社員27名
うち26名は中途採用
シール印刷用凸版、
樹脂版、
事業内容: 箔押し用凸版、
パッド印刷版
(平&ロール)
、
パッド印刷資材の製造、
表札の制作
〈採用担当者〉
専務取締役
大谷 哲央 さん
2. 人材の定着に向けた取組み
◆「国の助成金」
を活用することで人材の定着に寄与
採用後は、
「助成金」を活用した有期実習型訓練を設け、社員が講師となって
OJTで金属の加工の
新入社員を基礎から教育しています。
具体的な研修内容は、
実習を318時間、
DTP(PC関係)32時間、座学(企業ガイダンス、安全衛生、危険物
取扱、有機溶剤の作業法など)です。また、労働安全協会が国家試験の内容に
沿って実施する、
金属の性質、
コンピューター、
オペレーションなどの講習にも参
加しています。
研修終了後には卒業試験も課し、
修了後には工程管理の全体を把
握できるようなカリキュラムになっています。
平成21年以降に入社した全員に対し
本研修制度は6年前より取り入れており、
1. 人材確保のための取組みと課題
て実施してきました。
研修を取り入れたきっかけは、
国から助成金を受けられるこ
◆ 極力費用を抑えた採用活動を実施。
選抜時には、
職種の特性を鑑みて
とを知ったためでした。
中小企業の場合、
新入社員教育にかかるコストはかなり
人材を選定。
の負担になります。
しかし、
助成金を支給されることを知り、
新入社員教育を導入
当社ではこれまで、
ハローワーク、
大阪労働協会、
就労支援機関、
民間求人サイト、
してみたところ、
人材の定着に大きな効果をもたらすと実感したため、
継続するこ
会社ホームページなどを活用し、
極力費用を抑えた採用活動を展開してきました。
とになりました。
主な業務が、銅板を溶かし、版を作るなど非常に細かい作業を求められるた
め、
そういった作業が苦にならない人であること、
また、
有機溶剤を使用すること
◆ のびのびとモノづくりが出来るための企業風土
から、アレルギーのない人であることが最も重視される条件になります。同業他
社員には失敗を恐れて委縮しないで、
堂々とモノづくりをして欲しいと思って
経験の有無は求めません。
また、
過去の採用
社は全国で70社ほどしかないため、
います。
「失敗しても、上司がフォローをするので、失敗に恐れず挑戦して欲し
者の中には、
コンビニエンスストアでアルバイトとして就業していた者もおり、
そ
い。
」
そういった風土と環境づくりを大切にしています。
の者が、現在は当社の中心となって働いてくれているという実績があるので、正
当社のような業界で、
これほど長期に渡る研修を取り入れている企業は珍しい
社員経験も特に問いません。
と思います。
本音はすぐにでも働いて欲しいと思うものです。
しかし、
採用担当者
選考は1回の面接が中心になりますが、
選考の過程で現場を案内し、
筆と虫眼鏡を使
が従業員に研修の必要性を説明し、
理解してもらうことで、
周囲の社員の協力を
用してフイルムの傷を塗っていく作業を実際に体験してもらい、
適性を判断しています。
得ています。
社員自身が講師になるので、
協力体制は必須です。
◆ 応募者が少ないことに加えて、
人材の定着率が低いことが課題
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
当社は、
「暗い」
「汚い」
「きつい」
の所謂3Kが揃った現場であり、
かつ目を酷使
◆ 求職者とじっくり向き合った採用活動に効果を実感
するような細かい作業が多いため、
とても就業環境が良いとは言えません。
した
「キラリ人材発掘プロジェクト」
を通じた採用活動の場合、
面接実施時点でお
がって、
中途半端な気持ちで就業した者は
「合わない」
という理由で辞めてしまう
およその採用可否の判断を求められるハローワーク経由の採用活動に比べ、
求
場合が多く、
人材の定着が難しいというのが課題でした。
しかし、
この課題につ
職者を十分に検討したうえで選考に臨める点が良かったと思います。
実際に、
過
いては、
採用や研修に時間をかけることにより、
大方解決できたのではないかと
去の採用者で定着している人材は、
本プロジェクトのような方法で採用した人が
感じています
(研修については後述)
。
ただし、
依然として応募者は少なく、
人材の
多かったということもあり、
求職者とじっくりと向き合うことができる点が、
この事
確保が非常に困難です。
業の魅力であると感じています。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
仮屋 俊宏 さん
年
齢: 20代
性
別: 男性
採用職種: 生産工程
製造業でのライン業務、
販売職等、
正社員
経
験: メーカーでの営業職、
雇用や短期のトライアル雇用も含めて様々な業務を経験。
めて考えた際に、
時間をかけてじっくりとレベルアップして今後に繋げていけるよ
うな職種に興味があるのだと自覚し、
長期的なスパンで物事を取り組める製造
業への就業を希望するようになりました。
新卒時の就職活動では十分に時間を
5年後10
割くことができませんでしたが、
今回は1つの企業の情報を詳細に調べ、
年後の自分が働く姿をイメージした上で、その企業との相性を考えながら就職
活動に取り組むことが出来ました。
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
前職は日用洗剤を扱うメーカーで、
営業を担当していました。
最初の勤務先で
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
は製造業のライン業務を担当し、その後、営業職や販売職を半年ほど経験しま
現在は研修プログラムに沿って実習、
データ作成、
座学による知識習得に努め
直近では、
転職・就職
した。
正社員として1年4ヶ月程度勤務した経験もあります。
ています。
これほど充実した研修を提供してくれる会社は、
これまで勤務した中
活動と並行して、
ハローワークから紹介を受けた企業に3ヶ月のトライアル雇用
でありませんでした。
研修は難しい内容ばかりで、
覚えるのも一苦労ですが、
本プ
で就業していました。
ロジェクトで参加した即戦力化研修会
(企業理解のためのセミナー)
での安全講
習の内容や、
パソコンの知識を、
少しでも活かせたらと考えています。
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
社内の周りの方一人ひとりが非常に丁寧に教えてくれて、
些細なことでも聞き
20代のうちは自分にあった職種を見つけたいと考えていましたが、
30代を目前
やすい環境のなかで研修を受けています。
年齢層が幅広いにも関わらず、
上下関
にし、
安定した仕事に就きたいと思うようになりました。
自分が何をしたいのか改
係があまりなく、
とても和やかな職場環境です。
企 業 の 将 来 を 担 う!
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
社長自ら企業の魅力・ものづくりの魅力をアピールし、
入社後のギャップを防ぐ
〈企業プロフィール〉
有限会社笹木製作所
所 在 地: 山形県
業
種: 製造業
設
立: 1986年
人員構成: 社員9名
(医療器具、
ロボット部品、
事業内容: アルミニウム鋳造品の製造
打楽器部品、
サイレン部品、
建機部品、
トラック部品等)
〈採用担当者〉
代表取締役
笹木 浩二 さん
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 他社での勉強会に社員を派遣し、
人間力を育成
当社では、
今後も安定して事業を継続していくためには、
社員一人ひとりの能力や
向上心を育てることが重要であると考え、
人材育成に力を入れるようになりました。
現在は、他社で実施されている勉強会に当社の社員2名を毎回参加させてい
7~8社が参加します。テキストからテーマ
ます。
勉強会は月1回開催されており、
をいくつかピックアップし、
感想文を書くという内容で、
毎回様々な分野の話し合
いをしています。
自社の社員だけではなく、
他社の優れた社員と一緒に学べる場
1. 人材確保のための取組みと課題
に社員を参加させることで、
自身の至らない部分にも気付き、
社員に変化が現れ
るようになりました。
当社の社員が徐々に自ら育つこと、
人間性を尊重することの
◆ 一から学ぶ姿勢を重視し、
未経験者を採用
重要性に目覚めた結果、
作業内容の改善等、
業務にも良い影響が現れるようにな
当社は社員9名の小さな会社ですが、
数年に1人のペースで社員を採用し、
初歩
りました。
から育てることに力を入れています。当社では、一から学んでいける姿勢を持っ
た人材を採用したいと考えているため、
「未経験者」
の採用を行います。
応募して
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
くださった方全員に対して面接を実施し、
じっくり話をしたうえで採用の可否を
◆ 採用よりも企業アピールを優先事項として、
小規模座談会に参加
決めるようにしています。
「キラリ人材発掘プロジェクト」
の小規模座談会は、
履歴書等による求職者の情
報がない状態での面談でしたので、
まず当社に興味を持ってもらうことを第一に
◆ 零細企業での人材確保の難しさ
考え、
現場の従業員を連れて行き、
具体的な作業内容については直接、
担当者と
当社のように、
非常に規模が小さい会社で、
しかも
「鋳造」
という職種の求人に
求職者とで話が出来るようにしました。
座談会では、
当社のアピールに対する、
求
対して応募してくれる求職者の数は少ないうえ、
当社の希望に見合う素地を備え
職者の反応をダイレクトに感じることが出来ました。
た人材からの応募はなかなか見込めません。
優秀な人材の確保が大きな課題で
小規模座談会や職場見学のようなイベントへの参加は初めてでしたが、
企業と求
あると考えています。
職者とがお互いに話をして、
実際に会社に来てもらって、
見学して、
という段階を踏
んだうえで入社を決めてもらえるシステムは、
求職者に対する企業アピールの機会を
持てるだけでなく、
入社後のギャップを防ぐ効果もあり、
非常に良いと感じました。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
古内 甫典 さん
年
齢: 27歳
性
別: 男性
採用職種: 製造職
非正社員として様々な販売職を経験。
前職は携帯電話
経
験: 正社員、
の販売職に従事していたが、
転職を志し、
求職活動中に
本プロジェクトに参加。
以上がたち、
焦りを感じ始めていた頃、
地方のコミュニティ新聞の広告欄に掲載
されていた案内を見た妻に勧められ、
本プロジェクトの登録会に参加しました。
参加登録後、
小規模座談会に誘っていただきました。
座談会の後に実施機関
の担当者の方に声をかけていただき、
職場見学の案内を頂きました。
工場という
職場がどういうところなのか全く知らなくても参加が可能だったこと、
また応募
が前提ではなかったことから、
気軽に参加しました。
その後、
職場見学で実際に工場を見学し、
社長の話を伺ったところ、
やってみ
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
たいという気持ちが湧きあがりました。
更に職場見学への参加後、
応募に向けた
前職は携帯電話の販売職に1年弱従事していました。その前は、仙台の大手
決定打が欲しいと思っていた時に、
社長の講演会があると聞き、
参加した後に応
スーパーの布団コーナーの1スペースに自社製品を置き販売する仕事を2年程度
募を決めました。
経験しました。
その他にも様々な販売職の経験があります。
これまで、
本プロジェクトのような、
「企業の担当者と話した上で応募し就職す
る」
という流れでの転職を経験しておらず、
このような仕事の見つけ方もあるとい
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
うことを初めて知りました。過去の転職活動では、会社のホームページに掲載さ
前職の携帯電話販売店では毎日長時間勤務を強いられ、
家族と過ごす時間が
れている情報やインターネット上の口コミ等を応募の判断材料として使っていま
ほとんど持てなかったうえ、
職場で他の社員とのコミュニケ―ションもうまくいか
したが、
ホームページには良いことばかり書いており、
会社の本質が見えないとい
ず、
転職を考えるようになりました。
うことを実感していました。
当社はホームページがありませんでしたが、
職場見学
これまでずっと接客販売の仕事だけをやってきましたが、
どの店でも長くは続
により、
具体的な知りたい情報を得ることが出来たと思います。
かず、
自分は接客業に向いていないのではないか、
自分が興味を持てる仕事はな
んだろうと考え、
ハローワークで仕事を探し始めました。
しかし、
PCで求人情報を
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
チェックし、
興味のある求人を見つけて窓口へ行って話をしても十分な情報が得
2014年12月末に入社し、
1ヶ月程度たちました。過去の仕事は販売職ばかりで、
られず、
自分が続けられる仕事であるかどうかの判断基準を得られませんでした。
現在の平日ずっと勤務して土日休みという労
週休2日の平日休みであったため、
働形態にまだ体が慣れていない状況ではあります。
しかし、
同じ製品を扱う接客
Q.「キラリ人材発掘プロジェクト」にはどのように参加しましたか?
業とは異なり、
毎日様々な種類の製品を作る中で、
失敗できないという責任をひ
また、
それらはあなたの就職活動にどのように役立ちましたか?
しひしと感じています。
一方で、
失敗の原因と解決法を探ることで次に活かせる
自分がどんな業種に興味があるのか分からないまま、
就職活動開始から半月
という点が、
ものづくりの面白さだと実感しています。
採 用 企 業
& 就 職 決 定 者 イ ン タ ビ ュ ー
人材確保のターゲットを明確化することで、
求める人材像に合った求職者とのマッチングに成功
〈企業プロフィール〉
有限会社シーキングベストウェイ
所 在 地: 東京都
業
種: 情報通信業
設
立: 2003年
(年齢層は20代前半が主)
人員構成: 社員30名
男性26名、
女性4名
エンジニアによる技術支援
事業内容: IT系のシステム派遣、
〈採用担当者〉
代表取締役
原 元樹 さん
して働いている業界であるという点からも、
若年層の採用が主流になります。
通常の採用においては、
契約社員として入社してもらい、
入社後の研修を受け
とし、
まず
て知識が定着した後に正社員として雇用します。
採用職種は
「IT全般」
後に個々の関わりたい職種を見つ
はITの知識を幅広く理解してもらったうえで、
けてもらいたいと考えています。
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 未経験者も実務経験を積みながら成長
当社は、
何から何まで研修で学ぶのではなく、
自分で新しいことを身につける
1. 人材確保のための取組みと課題
能力が大切であると考えています。
1~2ヶ月の研修で基本的な知識を身に付けた後は、エクセルやワード
入社後、
◆ 確実な人員確保のためのターゲット選定
を使用した業務や、
システムのテスト業務やオペレータ業務など簡単にできる業
通信業界全体の需要の高まりに加え、
積極的に新規顧客の開拓を行っている
務から、
徐々に実務経験を積ませるようにしています。
当社では、
ここ数年で人員確保のペースを大きく上げ、
2014年には15名程度を中
途採用しました。
本来であれば経験者を採用し、
即戦力として働いてもらうのが
◆ コミュニケーションが希薄になりがちな労働環境への様々な対処
理想ではありますが、
資格や経験を持つ人材だけを求めていては、
需要に見合っ
当社の社員は、
派遣先での業務が中心になりますが、
実務中にわからないこと
た数の人材の確保は望めません。
そこで、
当社では、
アルバイト経験しかないが、
があれば、
電話やネットを通じて先輩社員に連絡を取り、
質問させるようにしてい
やる気があり、
人柄も良い若年層
これまで1つの就業先で長く就業していた人で、
2ヶ月に1度帰社日を設け、勉強会を1時間程度開催しています。勉強
ます。
また、
をエンジニアとして育成しようと考え、
若年層のフリーターをターゲットとして、
ハ
会は、
各自で持ちまわりを決め、
発表形式で行っています。
勉強会の後は、
社内で
ローワークやフリーペーパーの求人広告、
有料のインターネットの求人媒体等を
飲食を共にしながら、
社員間の懇親を深めています。
2014年度からはインターンシップ
利用して、
採用活動を展開してきました。
また、
制度も導入しました。
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
◆ 企業の希望する人材を選定して紹介を受けられるメリット
◆ 未経験者の育成を狙って若年層を採用
別のインターンシップ事業で付き合いのあった実施機関からの紹介で、
「キラ
採用の可否は社長または役員による面接で決定します。面接では、正社員経
リ人材発掘プロジェクト」
に参加しました。
験や学歴・ITスキルは重視しておらず、
コミュニケーション能力の高さや積極性を
重視しています。
従来のハローワーク等を通じた採用活動では、
当社が求めている人材である
「やる気がある若年層」
とは異なる人たちからも多く応募が寄せられますが、
本プ
また、
未経験者を採用し、
長期的に指導することを前提としているため、
年齢も考
ロジェクトでは、
求める条件に合い、
意欲やコミュニケーション能力も高い、
良い
慮せざるを得ません。
本来は年齢に関係なく採用を検討したいところではあります
人材を紹介して頂くことが出来ました。
20代後半から30代前半の人たちがリーダーと
が、
通信業界は概して年齢層が低く、
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
N さん
年
性
齢: 20代
別: 男性
採用職種: IT全般
地元で1年間接客業のアルバイトに従事した後、
経
験: 高校卒業後、
就職のため上京。
正社員として電気工事の現場を4ヶ月間、
コールセンター業務を4ヶ月間経験したが退職し、
求職活動を開始。
当社は、
当初2度の面接による選考
(1次面接:営業担当、
2次面接:社長)と聞い
ていましたが、
1次面接で採用を即決してくださり、意志決定の速さに好感を持っ
ただけでなく、期待してもらえているということも伝わり、素直に嬉しかったで
す。
研修制度がしっかりしており、
また、
同僚の年齢も自分と近いことが、
入社の
決め手となりました。
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
入社して2週間がたちますが、
社内の人たちがとても温かで、
アットホームな雰
高校卒業後、
1年間は地元で接客業のアルバイトをしました。その後、就職のた
囲気のなかで勤務しています。
未経験での入社のため、
今は分からないことばか
めに上京し、
正社員として未経験でもできる電気工事の現場で4ヶ月間、
コールセ
りですが、
やりがいを感じています。
ンター業務に4ヶ月従事しました。
また、
当社は、
同年代の方が多く、
入社後も共に研修を受けることができる環
前職で就業している時から就職
当社に入社するまでの離職期間は約1ヶ月で、
境が励みになりました。
同年代の存在は、
「自分と同じ世代でもこのように頑張っ
活動を行っていました。
ている人がいる」
という刺激になります。
同世代だからこそ共有できる価値観が、
結果的にモチベーションを上げることに繋がると感じています。
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
社会人としての経験が浅いため、
企業選定においては、
未経験者可であること
将来性という点から
を重視していました。
また、
人材の需要があるIT 業界に対し、
も興味を持ちました。
企 業 の 将 来 を 担 う!
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
雇用形態に関わらず職務や処遇を柔軟に設定し、
多様な人材を採用
〈企業プロフィール〉
成運株式会社
所 在 地: 宮城県
業
〈採用担当者〉
統括本部
統括本部長
小川 佳裕 さん
種: 運送業
設
立: 1999年
臨時雇用者55名
人員構成: 正社員45名、
正社員のうち35名は乗務員
(男性)
、
10名は営業事務、
管理業務等事務職に従事
臨時雇用者
(ほぼ女性)
は主にピッキング作業や、
古着の
仕分け作業に従事
事業内容: 貨物自動車運送業、
貨物運送取扱業、
貨物軽自動車運送業、
特定人材派遣業
1. 人材確保のための取組みと課題
を得られる場であること等を、
当社で働くメリットとして、
求職者に訴える必要が
あると感じています。
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 成果重視の給与体系
中途採用者の給与体系は、
年齢給と職能給から成ります。
成果に応じて格づけ
られる等級や号数に対応した給与体系を作ることにより、だらだらと長時間作
業することなく、
自然に社員が時間内に業務を効率的に終わらせ、
成果を上げる
ように努力するようになるというメリットがあります。
また、
雇用形態に関わらず、
貢献度の高い社員にはそれに見合う報酬を与える
ようにしているため、場合によっては臨時雇用者の方が、正社員よりも給料が良
いこともあります。
◆ 社会経験を積んだ中途採用をメインに採用活動を展開
当社では、
以前は主に業務委託形式で運送業務を展開していましたが、
昨今、
◆ 高齢者や女性も同等に働けるよう、
労働環境や条件を整備
荷主から直接受注するケースが増加していることを受け、今後の事業拡大を見
業務の内容や責任の有無に、
男女差や年齢差を設けてはいません。
むしろ、
や
込んで、
正社員や女性の雇用を増やしていきたいと考えるようになりました。
る気のある高齢者や、
バイタリティ溢れる主婦にも多くの期待を寄せています。
採用は、
既に社会経験がある人材を希望しているため、
中途採用をメインにし
2人以上が現場にいるようにシフトを組ん
ただし、
力仕事が発生する職場では、
ています。
ハローワークには常時求人を出していますが、
その他にも、
臨時雇用者
だり、
作業台の高さを考慮したりすることにより、
女性や高齢者が働きやすい職
の募集においては新聞の折込広告等を、
若年層の正社員の募集においては民間
場環境を作ることが重要であると考えています。
の求人サイト等を活用しています。
また、
臨時雇用者に対して長期休暇取得を認めたり、
子育て中の社員に対して
従業員のサービス精神の高さにこだわりを持つことが、
自社の差別化にもつな
時間に融通のきく働き方を認めるなどの取組みも進めています。
がると考えているため、
業務経験よりも、
様々な顧客と円滑なやり取りの出来る、
社会人としてのマナーが備わった人材を採用したいと考えています。
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
◆ 企業説明会を利用して求職者へ業界アピール
◆ 応募数の確保が最大の課題
通常の採用面接では、応募者の情報を手元に話を進めていきますが、本プロ
乗務員
(ドライバー)
への応募は非常に少なく、
人材確保がとても困難です。
当
ジェクトの小規模座談会では、
事前情報がない状態で応募者と出会いました。
応
社のような物流業は、
売る商品があるわけではないため、
アピール性に乏しく、
他
募者が自然体で企業と話が出来るため、
企業側も正確に応募者の人柄を判断出
社との差別化が根本的に難しいという実情があります。
まずは物流業界について
来たのではないかと思います。
実際に、
情報がない状態で話をした際、
応募者に
知ってもらうこと、
そして当社について知ってもらうことが重要であると考え、
例
抱いた印象は、
その後、
学歴や職歴などの情報が加味された後でもほとんど変化
えば大手企業の物流を支えていることをアピールする等の取組みを通じて、
求職
しませんでした。
者の興味を出来るだけ引き出すようにしています。
非正社員であった方を、
正社員で雇用することに対する不安もあまりありませ
また、
社員の賃金水準をなかなか上げられないことも、
応募が少ない要因の1
んでした。
当社のような中小企業では、
最初から直接正社員雇用した方が、
腰を
つであると認識しています。
給料が高くなくとも、
主婦や高齢者も十分に働く機会
据えて業務を習得できるという面もあるのではないかと思います。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
T さん
年
齢: 40代
性
別: 男性
採用職種: 倉庫管理
約4年間IT企業を経営していたが、
経
験: 約8年間自営業に従事した後、
倒産し、
求職活動を開始。
も、
年齢が原因なのか書類選考で落とされてしまい、
現在の年齢での転職の難し
さを実感していました。
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
荷物の入荷や出荷に伴う倉庫の管理・運営に主に携わっています。
業務を開始
して1ヶ月程度になりますが、
先輩から指導を受けつつ、
すでに自立的に仕事に従
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
事しています。
約8年間自営業に従事し、
その後約4年間、
IT企業を経営していましたが、会社
が倒産し、
求職活動を開始しました。
Q. 今後の抱負を教えてください。
初めて携わる内容ばかりで、
今はとにかく毎日楽しく仕事を進めています。
体を
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
よく動かすので、
お腹も減るしお酒も一層美味しく感じます。
これまでIT業界で働
転職自体が初めての経験だったため、
履歴書の書き方等、
初歩的なことを学ぶ
いていた頃には感じなかった喜びです。
今後は、
もっと物流業界の知識と体力を
ところから就職活動が始まりました。
自身の経営がうまくいかなかったIT 業界へ
身につけなければならないと思っています。
の転職は全く考えていませんでしたが、
営業経験があったため、
当初は営業職と
しての転職を希望していました。
また、
転職前までは収入が不安定だったので、
家
族のことも考えて正社員雇用を希望しました。
しかし、
ハローワークで求職をして
採 用 企 業
& 就 職 決 定 者 イ ン タ ビ ュ ー
人材育成制度や働きやすい環境を整備しつつ、
既婚女性や未経験者を積極採用
〈企業プロフィール〉
富士ネットワークス株式会社
所 在 地: 東京都
業
種: 情報通信業
設
立: 1997年
(正社員73名、
契約社員5名 男女比:男性64%、
人員構成: 社員78名
女性36%)
ITのアウトソーシングを柱に、各クライアント企業の課題
解決、
要望の実現化に取り組んでいるため、
お客様先に
常駐する業務が多い。
〈採用担当者〉
営業課
人材開発担当
河端 普憲 さん
事業内容: ITコンサルティング、
ソフトウェア開発、
システムインフラ
の設計、
構築・保守等、
平成9年の設立以来、
システム
エンジニアリングサービスの提供を中心に展開している。
ルしていくかが、
今後の採用活動における最大の課題であると考えています。
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 人材育成制度・処遇制度の充実
経験者の人材確保が難しいため、未経験者を採用しての、国家試験等の資格
3ヶ月から
取得の援助などを通じた人材育成制度を充実させています。
入社後、
半年程度研修生として知識の取得に励むと同時に、
受託の開発業務にも携わっ
ていただきます。
この期間は、
業務時間の8~9割を研修に当ててもらうことにな
ります。研修期間終了後に、年齢や経験等を考慮して等級や給与が決められま
す。
その後も、
資格の取得や実績を積むと給料がアップする体系を取ることによ
り、
社員のモチベーション維持に努めています。
1. 人材確保のための取組みと課題
◆ 育児中の女性も仕事を続けられるよう、
社内外の環境整備に注力
◆ 既婚女性、
未経験者も積極的に採用
業務の特性上、
プロジェクトの都合で長時間の残業が発生するケースもありま
就業人口が減っていく昨今において、
女性労働者の活用は今後ますます重要
すが、
時間の制約のある女性従業員をハードな職場へ配属することは、
避けるよ
となっていくと考え、当社では、その採用を積極的に推進しています。具体的に
うにしています。
現在は短時間勤務の社員はおりませんが、
労働時間に制限があ
は、
女性対象の企業説明会実施、
育児中の女性社員の勤務時間を弾力化する等
る場合は定時退社を奨励し、急な休みが発生した場合にも、他の社員に引継ぎ
の取組みを行っております。
主な求人職種はソフトウェア開発・運用などの技術
ができるような体制を整えています。また、お客様企業との良好な関係を活か
職ですが、
「キラリ人材発掘プロジェクト」
では特に女性の採用を念頭に、
営業職
労働時間に制限がある社員が働きや
し、
例えば週4日勤務を認めてもらうなど、
の募集を行いました。
すい環境を提供できるような取組みも進めています。
中途採用の場合は、
既にスキルや知識の備わった経験者を採用することが理
想ですが、そのような人材確保の競争は非常に激しいのが本業界です。このた
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
研修等を通して技術者とし
め、
当社では2009年ごろより未経験者も中途採用し、
◆ 求職者向けの会社パンフレットを作成し、
求職者へアピール
て育てていくよう方針を定めました。
未経験者の採用にあたっては、
書類選考、
一
求人を出すにあたり、
説明会の場だけでは伝えきれないこともあるので、
求職
次面接、適性検査、最終面接、というステップによる選考を実施し、最終的に人
者向けの企業PRのパンフレットを新たに作成しました。
「入社したい企業」
と思っ
柄・仕事や技術に対する熱意から可否を決定します。
過去の経験職種も選考基
てもらえるよう、パンフレットには「新入社員の就職体験記」を入れるなどして、
準の1つにはなります。
採用者は、
教育の必要性や報酬面を考慮し、
30歳前後の
試行錯誤しながら準備を進めました。
若手が多くなりますが、
男女の偏りはほぼありません。
◆ 一対一で企業の魅力を伝える効果を実感
◆ IT業界全体の深刻な人材不足
当社は公的機関を通しての採用が主ですが、
この場合、
求職者が企業を選択
これまでは、
主にハローワークや就職支援機関といった公的機関等を利用して
するための情報は求人票の内容のみで、
当社の魅力を十分に伝えきれていない
採用を進めておりました。
しかし、
技術系職種の人材確保は非常に難しく、
応募数
のではないかと感じていました。
本プロジェクトにおいては、
合同企業説明会な
は多くても採用には至らないケースが年々増加しています。
しかしこれは当社の
どで求職者と一対一で向き合い、
当社を知った上で就業を希望して頂けるため、
みの問題ではなく、
情報通信業界全体が人材不足に苦慮しており、
競争率が高い
双方向かつスムーズな採用活動を進めることが出来たのではないかと思います。
状況にあるためと考えています。
このような状況下で、
いかに当社の強みをアピー
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
S さん
年
齢: 30代
性
別: 女性
採用職種: 営業職
ユーザーサポートを経験。
その後、
専業主婦。
経
験: IT企業で営業、
いニーズに対応したIT技術を提供するソリューション営業なので、
特定のアプリ
ケーションやシステムを販売するシステム営業とは、
仕事の進め方や考え方、
使わ
れる専門用語に違いがあると感じています。
技術系の社員のフォローも行う立場
なので、お客様企業に常駐して仕事をする事が多い各社員の立場になって考え
る視点が必要になりますし、
採用にも関わることから、
就職活動中と違って
「面接
を行う立場」も経験し、多角的な視野を持てるようになってきたのではないかと
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
思います。
IT企業で営業1年、
ユーザーサポートを2年経験した後、
結婚を機に退社し、
約6
環境としては、
周りの人に聞きやすい雰囲気のある職場で、
お客様への提案な
年間、
家事・育児に専念していました。
どにあたってのアドバイスなども気軽に頂けます。また、以前働いていた企業で
22時まで残業するのが慣例のようにもなっていましたが、当社では反対に、残
は、
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
業を奨励しておらず、
従業員の多くが18時台で帰社します。
そのため、
自分も家事
専業主婦をしていた頃から、
もう一度IT企業で働きたいという想いが強く、
就
と育児の両立が可能であるだけでなく、
決められた時間内で業務に集中できる
職活動時にはIT企業に絞って活動を行いました。
というメリットがあり、
恵まれた環境下にいると実感しています。
研修と実務半々で業務を進めています。
同じIT企業でも、
今回はお客様の細か
企 業 の 将 来 を 担 う!
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
明確な企業ビジョンのもと、
中小企業で働く魅力を求職者にアピール
〈企業プロフィール〉
株式会社フチカ
所 在 地: 福岡県
業
〈採用担当者〉
常務取締役
吉田 智昭 さん
営業部
課長
林 正治 さん
種: 卸売業
設
立: 1960年
(男性23名、
女性12名)
人員構成: 社員35名
うち一級建築士資格保持者2名、
一級建築施工管理技士2名、
キッチンスペシャリスト3名、
増改築相談員1名
戸建住宅新築工事、
ビル及び住宅用
事業内容: 各種リフォーム工事、
セラミックタイルの販売、
ビル及び住宅の内・外装タイル工事、
住宅設備機器の販売並びに施工、
各種建築用石材の販売
営業活動エリア: 福岡・鹿児島を中心とした九州全域
す。
永続性を持たせるためにも、
若い人材を含め、
幅広い年齢層の人を採用する
ことが必要であると感じています。
また、
ハローワーク経由で応募してきた人材については全員を面接しなければ
ならないため、
時間的にコストがかかるという悩みもあります。
2. 人材の定着に向けた取組み
◆ 業界未経験者もOJTで急速に成長
入社後1週間はガイダンスを実施します。
その後は、
定期的に他社が実施してい
営業職の社
る研修に参加させることもありますが、
主にOJTで育成をしています。
員は、
入社後、
3ヶ月~半年で担当顧客をつけ、上司にバックアップしてもらいな
がら営業を開始します。
社員は、
入社後約1年で営業実績を出すまでに成長しま
1. 人材確保のための取組みと課題
◆ 採用イベントに積極的に参加し自社の魅力をアピール、
人事制度の整備
を推進
す。
営業成績による処遇の差は、
あまり設けていません。
担当が不公平にならな
いよう、
担当顧客や営業状況を頻繁に確認し、
担当先との状況を細かにチェック
したり、時には担当顧客を変更することで、全員の顧客対応力・サービスを高め
る機会を提供することを大切に考えています。
中小企業にとって、
新卒採用は非常に困難です。
当社ではこれまで、
主に大学
卒業後、
数年程度経過した若手の人材を多く中途採用してきました。
ハローワー
◆ 女性が働きやすい職場づくりを整備することで人材の定着を図る
クや合同説明会に積極的に足を運ぶ一方で、
ハローワークの担当者や社会保険
30代半ばの女性が働きやすいよう、
徒歩通勤圏に住む人へ家賃補助を出す制
労務士と相談しながら、
採用に関するガイドラインを作成したり、
給与や就業規
度等も導入しました。
現在1名の社員が育児休暇を取得しています。
短時間勤務
則等を変更したり等、
様々な努力をしながら、
人材確保に努めています。
等の利用についてはまだ実績がありませんが、
社会保険労務士と所定労働時間
の年間スケジュールを決め、
適切に運用が出来るための制度作りの取組みを進
◆ 正社員経験や業界での経験の有無ではなく、
本人の人柄や基礎教養を
重視した選考を実施
めています。
当社では現在までに、
ハローワークへの登録、
ホームページやネット媒体を主と
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
して、
ピーク時には新聞広告やタウン誌も利用し、
集中して人員確保を進めまし
◆「キラリ人材発掘プロジェクト」
参加の成果
募集職種は営業職が主です
た。
その結果、
直近1年半で12名を中途採用しました。
本プロジェクトでは既に多様な研修を受講した求職者の方、
しかも実施団体
が、
事務職での採用実績もあります。
優秀な人材を確保したいという想いから、
「当
の推薦を受けた優秀な方が応募してくれるという点で、コスト面でもメリットが
社が求める人材でない限り採用しない」
という点にはこだわりを持っています。
大きかったと思います。
面接には、
社長・専務・常務が同席します。
面接では、
求職者の過去の経験や資
本プロジェクトを通じて参加した合同面談会において、現在の就業決定者と
格の有無よりも、
とにかく人柄と基礎教養を重視しています。
本人の人柄や基礎
出会いましたが、
その際にも実施機関の推薦を信頼し、
スムーズに就業決定まで
教養は、
面接で少し話をすればすぐに分かるので、
選考開始から入社までの期間
進みました。長年培ったキャリアカウンセラーの方との信頼関係が、このような
は他社と比べても非常に短いのではないかと思います。
結果を生む最たる要因であったと感じています。
◆ 幅広い年齢層からの人材確保が目下の課題
採用における最大の課題は、
採用者の年齢構成のバランスであると考えていま
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
牛草 佑裕 さん
年
齢: 28歳
性
別: 男性
採用職種: 営業職
(接客)
、
その後離職中に不動産関係の企業で
経
験: ホテルでの契約社員
Q. 入社を決めた理由は?
合同説明会やその後の面接を通して、
ビジョン等の明確なしっかりした企業、
歴史のある地元に根づいた企業であると感じ、
入社を決意しました。
インターンシップを経験。
Q. 現在はどのような仕事を担当していますか?
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
現在は、
上司に同行してもらいながら、
企業に対して営業活動を行っています。
ホテルで接客業を経験していました。また、
「キラリ人材発掘プロジェクト」の
実施機関が実施する事業を通じて不動産関係のインターンシップに参加し、
事
Q. 今後の抱負を教えてください。
務処理と営業の同行を経験しました。
入社後まだ日は浅いですが、
業務を遂行する上で分からない点を徐々に理解
していく過程を経験する楽しさを、
日々実感しています。
今後は、
「この人に任せ
Q. 当社へ就職が決定するまで、
どのように就職活動を行っていましたか?
ておけば大丈夫」
と顧客から言われるような、
信頼される営業として活躍したい
人と接することが好きなので、営業職を希望していました。当社と出会ったの
と思っています。
は
「キラリ人材発掘プロジェクト」
の合同説明会でした。
採 用 企 業
& 就 職 決 定 者 イ ン タ ビ ュ ー
履歴書不要の小規模座談会で、
求職者の人間性を的確に判断
〈企業プロフィール〉
株式会社湯田牛乳公社
所 在 地: 岩手県
業
種: 食品加工業
設
立: 1966年
(製造職37名、
事務職・営業職18名)
人員構成: 社員55名
販売
事業内容: 牛乳・乳製品およびレトルト食品の製造、
〈採用担当者〉
学して幹部社員とも会ってもらい、
豪雪地帯の生活の厳しさ等ネガティブな面に
ついても率直に伝え、
今後働いていく環境等について理解していただいたのちに、
入社を決定してもらうようにしています。
また、
入社後の教育制度として特に決まっ
たものはありませんが、
企業の現況打破のために今何をすべきか、
共に考えられる
社員になってもらえるよう、
入社時には会社の方向性を丁寧に説明しています。
◆ 社員が団結して取り組める環境は中小企業ならでは
専務
溝渕 郁夫 さん
大企業とは違い、
個人の活動の方向性が会社自体の方向性に影響を与えるの
が中小企業であり、
その分、
仕事にやりがいも十分あります。
当社では、
これまで
1. 人材確保のための取組みと課題
の学校給食や量販といった牛乳の販売から、新たな付加価値の高い商品開発
し、
商品を通して会社の求めている協同の取組み先を探したり、
新しい販路を開
◆ 新規開拓をにらんだ営業人員の増強
拓することを推進しており、
これらに社員一丸となって取り組んでいく姿勢を、
企
昨今の少子化による人口減少、
更に牛乳の消費量や生産量の減少に伴い、
牛
業としてとても大切にしています。そのためにも、新しく入社する社員の方々が、
乳事業単体での企業存続が困難を極めるなか、
当社では新商品の開発や新規顧
率先して輪に入って活躍して頂ける環境づくりは必要不可欠であり、
社員同士が
客開拓に向けて、
新たな営業人員の確保を目指し、
採用活動を展開しています。
相手を尊重し受入れることやお互いへの気配り等、人としての思いやりを、経営
しかし、
当社のような中小企業は、
人材を選んでいる余裕はなく、
入社してから
陣は重視しています。
育てていかなければならないと認識しています。
そのため、
経験や資格よりも、
学
ぶ姿勢等、
求職者の人柄を重視して選考を行っています。
3.「キラリ人材発掘プロジェクト」で得られたこと
◆「キラリ人材」
に着眼する本プロジェクトの趣旨に共感
◆ 豪雪地帯での人材確保の難しさと定着率の低さが課題
採用に対して先に述べたような課題を抱えるなか、
既存の新卒採用よりも、
経
「地域に貢献できる、
地域から支持される企業」
という企業方針のもと、
雇用促
験値の高い社会人の採用に採用方針をシフトさせた方が良いのではないかと考
進のために地元採用を心掛けていますが、
牛乳という鮮度管理の難しい商品の
え、
「キラリ人材発掘プロジェクト」に参加しました。実際、当社でも時に、何らか
取扱いといった仕事の難しさに加え、
当社の位置する豪雪地帯では人材の確保
の事情があって才能を生かせずにいた優秀な社員が入社することがあります。
そ
は難しく、
採用活動には様々な課題を抱えています。
のような埋もれた人材に目を向けるという点において、
本プロジェクトの発想は
新卒採用では
「ふるさといわて定住財団」
が開催する集団面接会への参加によ
非常に新鮮なものであると感じました。
る採用活動を行っておりましたが、
新卒採用は景気の動向に大きく左右されるた
め、
なかなか良い人材に来てもらえないこと、
せっかく入社しても冬場の厳しさか
◆ 人柄を重視する選考方針にマッチした
「小規模座談会」
の形式
ら、
離職してしまう等の問題を抱えていました。
また、
ハローワークを通じた中途
「キラリ人材発掘プロジェクト」
では、
実施機関主催の
『小規模座談会』
に、
営業
採用は随時実施しておりましたが、
営業職への応募は少なく、
人材確保に苦戦す
係長も同席して2度参加しました。
求職者の職歴などの事前情報が先に手元にあ
る状況が続いていました。
ると、
どうしてもそちらに目がいきがちで、
相手を人間性で評価することが難しく
2. 人材の定着に向けた取組み
なってしまいますが、
事前情報がないまま求職者と面談できる本イベントは、
面接
を重視している当社にとっては、
良い形式であったと思います。
会社側としても人
◆ ネガティブ面も丁寧に説明し、
入社後のギャップを事前に縮小
材側としても、
お互い負担のかからない形で話ができ、
「話をしていけば良い人が
定着率の低さを改善するために、
入社志願者に対しては、
前もって工場を必ず見
いる、
良い会社がある、
良い機会、
大事な機会」
だと感じました。
〈雇用された方(キラリ人材)の声〉
H さん
年
齢: 20代
性
別: 男性
採用職種: 営業職
経
験: 営業職アルバイトの傍ら医療系・ビジネス系の専門学校を卒業
した後は、
ホテルでの接客業、
建設業での管理業務を経験。
前職では農業土木分野団体で臨時職員として勤務していたが、
正社員での就職を目指して本プロジェクトに参加。
担当しましたが、
再度サービス業にチャレンジしたいという想いが強くなり、
農業
土木分野の団体で臨時職員になりました。
そこでは、
「臨時職員」
という不安定な
雇用形態から脱却すべく、
正規職員を目指して社内採用試験を受け続けていま
したがうまくいかず、
1年程度経った頃に仕事仲間に誘われて、
「キラリ人材発掘
プロジェクト」
に参加しました。
Q. 今後はどのような仕事を担当する予定ですか?
Q. これまでに、
どのような仕事を経験していましたか?
臨時職員としての契約期間である3月末までは、
前職での勤務を全うしたいとの
高校卒業後は、
岩手から単身仙台に赴き、
資格取得を目指して医療系の専門
意向を会社に伝えたところ、
快諾して頂きました。
勤務は2015年4月より開始します。
学校に入学しましたが、
経済的な理由により帰郷した後、
アルバイトの傍ら盛岡
4月の業務開始前には、
工場見学に行く予定です。
2時間の見学中には、工程ラ
でビジネス系の専門学校に入学しました。
インに関する話、
基準に従った洗浄過程や機械の老朽化問題などの話もしてくだ
専門学校卒業後、
ホテルに就職し、
約半年程度接客業に従事しましたが、
ある
さるようです。
次に、
各部署の責任者による業務説明、
ビデオ視聴を経て、
営業係
事がきっかけで同社に対する信用を失ってしまったことから、
退職しました。
その
長の誘導のもとで、
試食と営業ターゲットに関する状況説明を受けるとお聞きし
後は、
従業員4名ほどの小規模な建設関係の会社で現場監督として管理業務を
ています。
活 用 ノ ウ ハ ウ 「 仕 掛 け 編 」
参
考
中途正社員の採用に向けた
「仕掛け」をいかにつくるか
ここでは、
特に中途採用で人をうまく採用していくための10の
「仕掛け」
を紹介していきます。
仕掛けとは、
うまくいくためのポイントです。
10のすべてを備えていく必要はないかもしれませんが、自社に足りないもの、
すべきことをここから拾い出してみましょう。
中途採用で効果をあげるための10 の「仕掛け」
❶ 経営幹部の間にコンセンサスを得ておく
❻ なぜ、注目されないのかを考える
社長と役員や管理職など経営幹部の間に、
「何か問題が生じるようなこ
中小企業が新卒や中途採用をしようとすると、
応募者の数などから、
大
とがあっても、
正社員の採用を続ける」
という合意形成を行う必要があり
企業の知名度やブランド力との差に愕然とすることがあるかと思います。
ます。多くの場合、採用に関してもリーダーである社長を支える仕組みが
そんなときは、
「なぜ、
当社は注目されないのか」
とその理由を考えてみま
できていないと、
正社員の採用を始めても、
きちんとした体制が出来上が
しょう。
同じ中小企業の中にも、
エントリーする人が増えている会社もあり
る前にゆきづまってしまいます。
「仕掛け」をつくるためには、少なくとも3
ます。
発信の仕方の違い、
アピールする内容や見せ方の違い、
お金のかけ
~5年は必要でしょう。
方の違いなど、
何がどのように違うのかを、
一度徹底的に、
具体的に考えて
❷ ベテランや古参の社員への説明を行い、
理解を得る
みましょう。
❼ 採用ターゲットの幅を広げる
中途で、
なおかつ正社員を採用するとなると、
それを好意的に受け止め
従来、
中途採用の主なターゲットとしていた同業、
あるいは同じ職種の
ない社員が現れることがあります。
ベテランや古参の社員の中には、
ポジ
経験者で、
できれば若手といった条件にこだわっていると、
少子化の時代
ションや立場を奪われるのではないかと不安を感じたり、
批判をする人も
には、
「そこそこの人材」
も採用できない恐れがあります。
これからはアルバ
出てきます。こうした状況をそのままにしておくと、採用から定着・育成の
イトやパート社員、
派遣社員などの非正規雇用の人にも採用の幅を広げ
各場面において、大きな壁となる恐れがあります。なぜ採用をしていく必
ていく必要があります。
要があるのか、
どのような戦略・方針があり、
どのような人材を必要とする
のかについて、
社内で十分な理解を得ておくことが重要です。
❸「戦略や方針との一致」にとらわれず、
柔軟に活動する
❽ 経営者自身や会社をアピールしていく
正社員の募集に応募してくる人は、基本的にその会社で腰を据えて働
いていきたいと思っているはずです。そうした人に入社しようと決心して
もらうためには、
業績や仕事の内容といった定常的な情報だけでなく、
経
例えば、
法人向けの営業力を強化するという方針があれば、
その分野の
営者の理想とする考えや会社の今後の姿、
理念などについても伝えて、
共
経験者を採用する必要があります。このように事業計画と採用活動は一
感を得るようにしていきましょう。
また、
マイナス面などについても正直に
致することが望ましいですが、
あまりにとらわれてしまうと、
せっかくの人
伝えるなどして、
入社後のミスマッチを減らしていく必要もあります。
材を見逃したり、
結局、
応募・採用がなかったということにもなりかねませ
ん。
採用の体制が軌道に乗るまでは、
柔軟に活動を進める必要もあること
❾ 定期的・計画的な採用にしていく
を覚えておきましょう。
いい人がいればとか、業績がよくなれば採用するといった断続的な採
「必要」で採用していく
❹「理想」ではなく、
仕事も人格もばつぐんの理想的な人を雇い入れたい―。
これは、
採用す
る際、
ほとんどの社長が思い描くことでしょう。
しかし、
採用力の弱い中小企業ではむしろ、
「どのような人が必要であ
用活動では、
いつまでたっても新たな採用の体制を生み出していくことは
できません。
多少苦しいときがあったとしても、
できるだけ定期的・計画的
な採用を心がけていきましょう。
中途で入社する人を皆で歓迎する
るのか」
と考えたほうが、
採用はうまく進みます。
なかなかめぐり合わない
中途入社の人に対しては、
全社員が関心を持ち、
さらに歓迎する姿勢を
将来の理想的な戦力よりも、
今必要な人をとっていくという割り切りも、
中
見せていきましょう。
中小企業では人間関係のよしあしが大きな影響を持
小企業の採用には必要な発想です。
ちます。
その人に関心を持ち、
接点を作り、
歓迎してくれる人が多いほど、
その採用は、
定着・育成につながっていきます。
❺「そこそこの人材」を「一定水準以上の人材」に
育成していく
学歴や成績、職歴や実績、人格面などのすべてにおいて「優秀」な人を
採用できれば理想ですが、
現実には難しいものです。
取れない人を追い求
めるよりも、
「そこそこの人材」を採用して、それを「一定水準以上の人材」
に育てる工夫やシステムを作り上げていくことの方が、
採用から活用に向
けた近道になるかもしれません。
企 業 の 将 来 を 担 う!
考
中途正社員の採用に向けた
「仕掛け」をグルーピングしてみる
前のページでご紹介した10の仕掛けを、
ここではお金や時間などといった要素ごとにどのように位置づけられるかを考え、
採用・実行に当たっての判断材料として提供していきます。
ぜひ、
自社の状況に当てはめていく際のヒントとしてください。
10の仕掛けを一時に実行に移す必要はありません。
既にできていることや、
必要ない事項ははずし、
今、
自社に必要なこと、
不足していることをピック
アップした上で、
それが複数あるならば優先順位をつけましょう。
自社の置かれている状況から緊急度を考えますが、
以下のような要素も勘案すると、
よ
り有効な方針となるのではないでしょうか。
1 実現や達成までの時期の長短
● 短期
(1年以内)
● 中期
(3~5年以内)
❶❷❹❻❽
❸❺❼❾
と新卒採用と通じる点も出てきます。
新卒を採る際の仕掛けとしても、
ぜ
ひ利用していくようにしましょう。
仕掛けの実現や達成までにかかる時間で区分けをしてみると、おおよ
そ上記のようになるのではないでしょうか。
以上のような区分以外にも、
例えば、
例えば❶は採用に関して説明をしていくことですから、
時間はさほどか
● 経営者の意識の変革や行動で実行などが容易なもの
かりませんし、❷は考え方の変更ですから、それ自体に時間は要しませ
ん。
また、
❶や❷に関して、
1年たってもうまくいかないようであれば、とて
も成功などおぼつかないことになります。
一方で、
❺は一定のシステムを構築し、
軌道に乗せる必要がありますか
ら、1年では無理かもしれませんし、❾も3年~5年続けられるかがポイン
❸、
❹、
❼、
❽、
❾など
● 社員の理解と協力が必要なもの ❶、
❷、
など
● 社内外の専門的な知識を必要とするもの
❺、
❻など
トとなる項目です。
というように、経営者の決断によってスタートを切ることができるものが
こうした整理をした上で、まず短期にできることから手をつけるのか、
かなり多いということにも気づかされます。
短期と中期を同時にスタートさせるのか、
などの方針を決定していくとよ
中途採用の新たな仕掛けづくりは、
実際に困っているのであれば、
まず
いでしょう。
は改善に向けてスタートを切り、
会社全体に新たな動きの開始を伝える
ことが重要になります。
2 一定以上のお金(予算)を必要とする「仕掛け」と、
そうでない「仕掛け」
● お金がかからない
● お金がかかる
❶❷❸❹❼❾
❺❻❽
それぞれの仕掛けづくりにかかるコストを正確に測ることはできませ
ん。
同じ対策でも会社により費用はさまざまでしょう。
しかし、
❶や❷、
などは基本的にお金のかかるものではありません
(食事代くらいかかるか
もしれませんが)
。
一方、
例えば❻などは、
経営者が考えるだけなら無料で
これまでとは違うことを全社員が感じることができれば、
❶や❷、
と
いった仕掛けも動き出していくはずです。
(1)経 営 幹 部や ベテラン社 員らに説 明し、中途 採 用で
入ってきた人を会社を挙げて歓迎すること
(2)どのような 人が 理 想 なのか、と思いをめぐらすの
では なく、自社ではどんな 人 が 必 要 であるか を 考
え、状況に応じて採用の幅を広げること
すが、
専門家に依頼して、
CIを新たに構築したりするとなればかなりの費
用と時間を見込まなければならないかもしれません。
費用はかけられるのか、どこまでならOKなのかについても、対策立案
上記のような施策であれば、
時間やお金、
エネルギーがあまり必要では
なく、
経営者の意思で早いうちにつくることができる
「仕掛け」
となります。
「仕掛け」
が出来ると、
会社や職場の雰囲気も大きく変わっていきます。
の際は検討していきましょう。
総務の担当者は成功体験をもとに採用に熱心に取り組むようになるか
3 採用全般に使えるか、中途だけに有効な「仕掛け」か
● 採用全般
● 中途のみ
❸❹❺❻❽❾
❶❷❼
参
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
もしれません。
社員たちの意識もしだいに変わり、
それは日々の仕事など
にも影響を与えていきます。
このように
「仕掛け」
を少しずつ浸透させたうえで、
ほかの
「仕掛け」
をつ
くる流れを考えてみましょう。
時間やお金が必要な
「仕掛け」
づくりは決し
て焦ることなく、
時間をかけてじっくりと取り組みましょう。
今回は
「中途採用に向けた仕掛け」
を考えていますが、
実はこれらの仕
また、
「仕掛け」
はいったんつくっても、
それで終わりではありません。
そ
掛けの多くは、新卒採用の際も当てはまり、使えるものなのです。❶や❷
の後も状況を見極めつつ、
リフォームをしたり、
バージョン・アップさせる
も新卒採用時に当てはめることは可能ですが、
中途採用は能力や年齢な
ことが必要です。
ど、
その都度対象となる要件が異なるため、
より大きな意味でのコンセン
これらの陣頭指揮をとるのは、もちろん経営者本人といえます。
「仕掛
サスや理解が重要になると考えられます。
また❼については、
中途採用時
け」
をつくることにより、
最も精神的にも、
肉体的に解放され恩恵を受ける
の対象枠を広げるということですが、
未経験者の採用という風にとらえる
のが経営者にほかならないのです。
活 用 ノ ウ ハ ウ 「 仕 掛 け 編 」
参
考
中途正社員の定着・育成に向けた
「仕掛け」をいかにつくるか
ここでは、
中小企業が中途採用で正社員の採用をした後、
定着率を高め、
育成をスムーズに進めるうえでの7つの
「仕掛け」
、
ポイントを紹介します。
定着・育成に向けて効果を上げるための7つの「仕掛け」
❶ 現場が納得する採用選考を行う
❺ 社員教育を継続する仕組みをつくる
中途採用が新卒採用と大きく違う点は、
応募者の
「経験」
や
「スキル」
な
互いに支え合い、
助け合える楽しい職場ならば、
定着率はしだいに上が
どに着眼することです。その人を雇い入れる現場の管理職などが、
「この
り、
多くの社員は仕事についてもっと学びたいと思うようになります。
人はうちの部署で使える」
「ぜひ、雇いたい」と思う人をこそ雇うべきなの
このような
「学ぶための土台」
ができ上がると、
社員教育を継続する体制
です。
が整い始めます。
社員教育は、
少なくとも2つに分けられます。
ところが、
中小企業の中には、
社長の一存で採用を決めてしまう会社も
1つは、
それぞれの部署で必要なスキルや知識などを教える
「専門的な
あります。
現場の意向を無視して入社させたとしても、
その社員が職場に
教育」
です。
もう1つは、
会社や業界、
さらに仕事をするうえでの考え方やマ
なじめず、
「使えない人材」
としてレッテルをはられ、
早々と辞めてしまうよ
ナーなどの
「基礎的な教育」
です。
前者はともかく、
後者については、
当面
うな、
不幸な結果になることがありえます。
現場が納得する採用選考をす
は社長が講師として教えるとよいでしょう。
社長にしかできないことでも
ることが大切です。
あるのです。
❷ 幹部・管理職を養成し、底上げを図る
中小企業の社長が現場の管理職の考えを尊重することなく、
採用を進
める理由の1つには、
幹部や管理職などを信用していないということがあ
ります。
まずは、
幹部や管理職たちを養成する仕組みをつくり、
底上げを図るこ
教育の効果が表れるには時間がかかるため、
一定の期間は継続するこ
とが大切です。
少々の問題があろうとも、
長きにわたり、
続ける仕組みをつ
くる必要があります。
❻ どのような社員になってほしいのか、
という思いを伝える
とが重要です。
この姿勢がないと、
社長一人で採用を行う状況のままにな
育成しようとする以上、
社長には、
このような人材になってもらいたいと
り、
定着率が低く、
育成もできない状態が続きます。
そしてついには、
組織
いう願望やイメージがあるはずです。
これを社員たちに繰り返し、
具体的
が疲弊してしまうのです。
に伝えていくのです。
いわば、
目標をみんなで共有するようにしていくので
❸ 経営理念などが浸透しやすい職場にする
す。
これができていないと、
社長の思いが空回りしてしまいます。
このような人材になってもらいたいという願望やイメージが伝わってい
定着・育成を進めるためには、
組織としての理念や、
それぞれの部署や
るかは、
育成や教育がうまくいっているかどうかを判断するときの基準に
社員の使命を意識させる仕組みをつくる必要があります。
もなります。
これらがあいまいなままでは、
組織として統一的に動くことができませ
ん。
各々の社員がバラバラな行動をとってしまい、
互いに支え合ったり、
助
❼ 社員への感謝を常に伝える
け合ったりして、深く意思疎通をしながら仕事をすることが難しくなりま
社員の多くは、
社長の苦しみを本当の意味では理解できないものです。
す。
やりがいや働きがいを感じることもなくなってしまうのです。
経営理念
雇う側と雇われる側の間には、
克服しがたい溝があります。
これは教育を
は、
定着・育成をするうえでの根幹になるものです。
その浸透を図っていき
しようとするとき、
心得ておくべきことです。
ましょう。
教育は、
どこかに強制的なものを含んでいる場合があり、
育成する人に
❹ 楽しい職場をつくる
よっては、
上から押さえつけるように、
教え込もうとすることがあります。
し
かし、教わる側はそのような姿勢には、敏感に反応します。会社への思い
経営理念を朝礼などの場で、
社員みんなで読み上げる姿がテレビや雑
が消えてしまう人もいます。むしろ、社長が社員らに感謝する姿勢を繰り
誌などで紹介されることがあります。
これはとても大切なことです。
返し見せていく中で、
一緒に学ぶようにしたほうが、
よい結果が早く表れる
しかし、日ごろから、職場が楽しいものになっていないと、理念は浸透
はずです。
しないものです。楽しいと思えない職場で、何かを学びたい、吸収したい
と思うでしょうか。
みんながバラバラな行動をとり、
助け合うこともない中で、
経営理念な
どを読み上げても、
社長の自己満足で終わってしまうことすらあります。
ま
ずは、
みんなが心を許し、
話し合える楽しい職場をつくることが必要です。
企 業 の 将 来 を 担 う!
考
中途正社員の定着・育成の
「仕掛け」をグループに分ける
前のページで、
正社員の、
特に中途採用をした後、
定着・育成を効果的に行っていくための、
7つの「仕掛け」を紹介しました。
ここでは、
それらを3つのグループに分けて考えてみます。
定着・育成には、
時間とエネルギー、
そして忍耐が求められます。
一方で、
社長などはプレイング・マネージャーとして日々の仕事を処理し、
対外的なつき
あいやさらには資金繰りまで視野に入れて奮闘します。
こういう状況では、
じっくりと時間をかけて社員の育成をすることは、
現実的に難しいものがあるでしょう。
そこで、
定着・育成をするうえでの
「仕掛け」
を
効率よくつくり、
負担をできるだけ少なくするために、
3つの観点からとらえなおしてみます。今後の方策が具体的に見えてくるかと思います。
1 定着か育成か、特にどちらに効果があるか
(この場合の定着は、
「3 年間の勤務」と考える)
● 定着
● 育成
❶❸❹❼
❷❺❻
2 効果が目に見える形で、
はっきりと表れるようになる時期
● 短期
(1年以内)
● 中期
(3~5年以内)
❶❻❼
❷❸❹❺
3 お金(予算)が少なくてもできる「仕掛け」と、
たくさんのお金を使わないとできない「仕掛け」
● 少ない
● たくさん
❶❹❻❼
❷❸❺
参
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
ここがねらい目!
1
3 3つの観点から、
左に挙げた ~ の
正社員の定着・育成に向けた7つ
の
「仕掛け」
を見つめると、
まず手をつけるべき、
取り組みやすい内容が浮
かび上がってきます。
それはつまり、定着に効果があり、短期かつ少ない予算で実施可能な
施策です。
「定着か育成か」
の場合は、
「定着」
のほうが先決です。
定着しな
ければ、
育成もないからです。
具体的には、
仕掛けの❶
「現場が納得する採用選考を行う」
や、
❼
「社員
への感謝を常に伝える」
などが挙げられます。
これらは、
比較的、
短い期間
で効果が表れます。
ただし、
「現場が納得する採用選考を行う」
ことは、
権限を委譲すること
を意味します。
社長の立場からすると、
なかなかできないことかもしれま
せん。
しかも一気に進めようとすると様々に無理が生じることも考えられ
ます。1つずつ、丁寧に幹部や管理職たちに権限を委譲し、その状況を踏
まえ、
さらに委譲を行うような流れにしてみたら、
いかがでしょうか。
「社員への感謝を常に伝える」
ことは、
多くの社長がすでに心得ている
ことかと思います。
今後は、
その思いを社員に具体的に伝えることを意識
してみることをお勧めします。
日々の職場や会議の場などで、
例えば、
この
ように話してみませんか。
「~のときに、
○○さんが~のようにしてくれて、
時間に間に合うことが
できました。
あのくらいにきちんと対応をしてくれると、
ありがたいです。
み
んなが助かりました」
。
このときのポイントとしては、
具体的な事実であること、
なるべく早く伝
えること、
そして、
感謝を示す言葉を盛り込むことなどです。
❶の
「現場が納得する採用選考を行う」
や、
❼の
「社員への感謝を常に
伝える」
などに取り掛かると、
何らかの効果が早いうちに表れることでしょ
う。
そして次に何をすべきかも見えてきます。
定着・育成には時間がかかりますが、
丁寧に進めていくと、
状況は確実
に変わり始めます。
そして
「仕掛け」
がいったんでき上がると、
確実に会社
がよい方向に動き始めるのです。
それを信じて、
焦らず、
前に進んでいきま
しょう。
活 用 ノ ウ ハ ウ 「
O J T 編 」
参
考
人材育成とOJTの基本的な考え方
ひとくちに人材育成といっても、
そのやり方や方法は様々です。
何か1つの方法が正解というわけではありません。
しかし、
人を育てるときに共通して心がけたい考え方や、
知っておきたい知識があります。
人材育成の三本柱とOJTの重要性
組織人の人材育成には、
企業の規模の大小に関係なく、
「人材育成の三
法は、
もちろんOJTです。
例えば、
先輩社員が新人を取引先との打ち合わ
本柱」
と呼ばれる、
次の3つの方法があります。
せに同席させたり、
職場の機器類の操作を教える、
かかってきた電話への
応対のアドバイス、
遅刻をしてきたときの注意指導などといったOJTは、
必
●
Off-JT(Off the Job Training : 職場外教育)
研修や講習会など、職場を離れた場で行う指導・教育の方法。授
業形式が多いため、
幅広い内容をたくさんの人に一度に指導できる。
●
OJT(On the Job Training : 職場内教育)
上司や先輩が仕事や職場生活を通じて、
部下・後輩へ仕事に必要
な知識やスキル、
態度や振る舞い方などを指導・教育する方法。
● 自己啓発
自ら課題と目標を設定し、
通学や通信教育の受講、
独学などの学
ぶ手段を考えて、計画的に取り組む勉強法。資格取得などの自己学
習が代表的。
要に応じて多くの職場で行われています。
企業が事業を継続・発展し、
目指す方向性や目標値を明確にしていくに
は、組織をそれなりの規模に大きくしていかなければなりません。人材育
成はそのために必要な重要な施策です。
しかし、
組織の成長に合わせる形で、
今いる社員を育成するだけでは、
組織はより以上の成長を望むことができません。
先輩社員が後輩に仕事を教えることで担当業務を移行し、
指導した先
輩社員が一段上の仕事を担当するという仕組みは、
OJTの定番ともいえる
やり方ですが、
現代はそんな悠長なことでは間に合わない場合も少なくあ
りません。変化に対応できるように、意識して人材も育成しなければなら
ない時代です。
1年前の知識やスキルを引き継がせるだけでは、競合企業
に遅れをとってしまいます。経営や事業展開に合わせて、何を教えてどう
育てるかを、
戦略的かつ柔軟に考える時代になったのです。
OJTはそうし
この3つの人材育成法の中で、最も仕事や職場の状況に合った育成方
た柔軟な対応が可能な育成方法です。
指導時の評価は人を伸ばすための動機づけになる
成長しようという気持ち
ないし、
変えてはいけないこともあります。
その最たるものが、
人を伸ばす
を引き出す動機づけの評
ための評価の方法です。
OJTは、個別に人材を育成・指導することが基本
価が大切なのです。
です。
育成対象者の能力や向き不向きをよく見ながら、
その対象者の能力
「ここまでできている
を引き出して育てていきますが、
このときに基本となる考え方が、
「理想レ
から、来月にはあそこま
ベルと現状のレベルの差に焦点を当て、
現状から理想に向かって能力を
で行こう」と励まして動
引き上げる」
というものです。
機づけを行っていけば、
ある能力を伸ばそうというときに、
上から目線で
「できない」
「下手」
「遅
多くの人は自ら成長しよ
い」
などとマイナスの評価をされ続けると、
誰でも気持ちが萎えてしまい、
うと取り組むようになる
成長への意欲を失います。
評価内容をエネルギーに変えて、
自ら
「できる
ものです。
理想
レベル
レベルの高さ
時代の変化に応じて育成の方法や手段が変わっても、
基本的に変わら
現実
レベル
下から差を
埋める
時間
(職務経験)
ようになろう」
「頑張ろう」と取り組む気持ちになることが必要です。自ら
OJTの中身とは
大きく
「仕事」
と
「日常行動」
の2つに分けら
現場のOJTで指導する内容は、
日常的な仕事の指導では、
どんな種類の仕事であっても、
現状レベルか
れます。
下の表は、
若手社員を指導するときの具体例を表に分けたものです。
ら知識やスキルを積み上げるようにして指導しますが、
目標を決めておき、
これらは、
育成対象者の成長にともなって、
内容もレベルも変わっていきます。
段階的に難易度を上げて、
最終的に目標を達成するように指導します。
もう1つの指導のポイントは、
できることを増やしていくことです。
いくつ
仕 事
[OJTの指導内容]
日常行動
●
各業務の5W2H
(目的、
重要性、
目標レベル、
期限など)
●
作業手順、
作業ルール、
事務処理
●
交渉のしかた、
受発注のしかた
●
報告・連絡・相談のしかた
●
書類や資料の作り方、
組織内の事務的なルール など
●
あいさつ、
身だしなみ、
態度
●
職場のルール、
時間と場所のエチケット
●
電話や来客への応対、
ビジネスマナー
●
チームワーク、
朝礼や引き継ぎなどへの参画姿勢
●
デスク周辺の整備、
備品の扱い方 など
かの引き出しをもたせてできることを増やし、
応用が利くよう促します。
[積み上げ式のOJT]
PLAN
第2 段階
PLAN
第1段階
PLAN
DO
現状レベル
CHECK
目標達成レベル
第3 段階
ACTION
DO
CHECK
ACTION
DO
CHECK
ACTION
企 業 の 将 来 を 担 う!
OJTの3原則
OJTを効果的に進めるためには、守るべき基本原則があります。これはOJTの中心的な担当ではなくても、組織人なら誰もが心がけたい原則といえます。
基本原則 ❶ 知っていることから入る
かな?」などと確認しながら話を進めていくようにします。対象者が指導
知らないことを教えていくのが教育の基本ですが、
いきなり自分のまった
内容をメモしているときは、
そのメモの速さに合わせてあげます。
く知らない内容を聞かされると、
誰もが混乱し、
不安を覚えるものです。
不安
作業スキルの指導などでは、
習得の速さに、
より個人差が出ます。
不器
な気持ちに引きずられると、
本来の理解すらままならなくなってしまいます。
用なタイプの対象者が、
「できない」
ことに引っ掛かって足踏みしていると
知識でもスキルでも、
知らないであろうことを、
いきなり、
頭から教え始
きは、
じっくり取り組もうと伝えて安心させ、
繰り返し、
マスターするまでつ
めるのではなく、
関連する、
当人が知っていそうな内容を導入に入れてい
き合っていきます。
くとか、
まず最初に、
「これ、
知っている?」
「これ、
見たことがある?」
といっ
た質問からスタートすれば、その後の指導・コミュニケーションがスムー
基本原則 ❸ 自尊心を尊重する
ズになります。仮に知らなくても、対象者は教える側に知らないことを伝
自尊心を尊重するコミュニケーションのポイントは、
“ほめる・ねぎらう”こ
えられるので、
不安を覚えることなく指導を受けられます。
とです。
対象者の行ったことや成果に対して、
具体的に
「ここがよくできてい
基本原則 ❷ 対象者の理解の速度に合わせる
る」
とほめていきます。
また、
指導時だけでなく、
仕事の報告や提出を受け
たときも、
「よく頑張った」
「ありがとう」
などの一言を必ず添えていきます。
OJTでは、対象者の理解・習得のペースに合わせることが大切です。こ
一方で、
仮に理由のあることだとしても、
頭ごなしに叱ることや、
大声で
れが、
個別指導の効果を最大限に引き出すポイントです。
説明内容を理解
怒鳴ること、
こきおろしや皮肉、
無視などは、
ハラスメント行為です。
さらに
しているかどうかを、アイコンタクトなどで探り、また、
「ここまでは、いい
「お前はダメなやつだ」
などと、
人格を否定するような表現もタブーです。
〈OJTのポイントⅠ〉効果的な接し方・教え方
自尊心を大切にし、
やる気を引き出すのに効果的な接し方と教え方をまとめました。
ぜひ、
役立ててください。
期待を伝える
メモをとらせる
全体から各論へ
手本を示し、
繰り返し練習させる
失敗談を
有効活用する
いつまでに、
どんな戦力として育ってほしいのか、
具体的な内容とともに期待感を伝えると、
相手の存在を
認めていることになり、
定着率の向上にも効果がある。
指導時や仕事の指示を出すときには、
必ずメモをとるように伝え、
相手の確認を確実なものとする。
そして、
メモしやすい速さで説明していく。
指導するときは、
「何をする仕事なのか」
と、
その目的を最初に伝え、
全体的な流れも説明する。
全体像を把
握させてから、
手段や手順などを具体的に伝えるようにする。
作業スキルなどの指導時には、
一通りの手順を説明してから手本を示していく。
その後に、
各段階での注意
点を伝え、
メモを見ながらでも構わないので、
実際にやらせてみる。
最初はうまくできなくても当たり前。
ス
ムーズにできないところをアドバイスしたり、
「もう1回やってみよう」
と言って練習させる。
とくに気を付けてほしい仕事などは、
失敗談などを伝えておくと具体的で効果がある。
上司や先輩が失敗
談を話すと、
失敗で落ち込んでいる対象者を立ち直らせることもできる。
〈OJTのポイントⅡ〉注意指導のコツ
叱り方1つで人は変わります。
成長を促すように叱りたいものです。
問題点を具体的に伝える
言い分を聴く
どのように改善すれば
よいかを考えさせる
態度や行動に問題があるときには、
ただ注意するのではなく、
「どこが問題なのか」
を具体的に指摘し、
「な
ぜ問題なのか」
をわかりやすく伝える。
問題やトラブルが起きてしまった後は、
反省することで、
失敗を繰り返さないようになる。
なぜそのようなこ
とをしてしまったのか、
言い分をよく聴くと、
反省に導くことができる場合が多くなる。
注意指導の締めくくりには、
具体的に
「どのように改善するか」
を本人に考えさせ、
それを表明させる。
これ
によって、
次から正しく行わねばという気持ちにさせることができる。
考
これだけは知っておきたい
参
「 キラリ 人材 」
発掘プロジェクト
〈企画・制作〉
キラリ人材!発掘プロジェクト支援センター
株式会社日本マンパワー
〒101-0042 東京都千代田区神田東松下町47-1
http://www.nipponmanpower.co.jp/company/
本活用・事例集は「中小企業庁・全国中小企業団体中央会」
が実施する補助事業「平成26年度地域中小企業の非正規人材等確保・定着事業」の補助を受けて支援センター「株式会社日本マンパワー」が制作いたしました。
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