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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

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知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
あまみ
中 央
しらさぎ
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2064 号 2014.8.24 発行
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京都地裁公判、
「累犯障害者」取り調べ映像を法廷で公開へ
産經新聞 2014 年 8 月 22 日
自動車盗を繰り返したとして、常習累犯窃盗罪に問われた重度の知的障害を持つ京都市
内の男(37)の第4回公判が21日、京都地裁(後藤真知子裁判官)で開かれた。検察
側は、取り調べの様子を録音・録画した映像を証拠として請求する方針を示した。映像は
9月26日の次回公判で採用され、公開される見通し。
映像は、弁護側が捜査段階の男の供述調書の内容に「飛躍がある」として、内容が信用
できるかどうかを争うために、検察側に証拠請求するよう求めていた。
男をめぐっては今回の事件の前に起こした自動車盗についても常習累犯窃盗罪に問われ
ており、1審京都地裁が昨年8月に無罪とした後、2審大阪高裁が今月12日に懲役2年
の逆転有罪を言い渡し、弁護側が上告している。
宮崎)虐待やいじめ受けた心をケア 日向に県初の施設
大畠正吾
朝日新聞
2014 年 8 月 22 日
児童心理治療施設に利用される旧東郷小校舎=日向市東郷
町山陰辛
虐待やいじめなどで心が不安定になった子ども
たちを支援する「児童心理治療施設」の起工式が2
1日、日向市東郷町の旧東郷小学校であった。共同
生活と学校、心理治療などを組み合わせた県内初の
専門施設で、来年4月に開所する。
施設名は「ひむかひこばえ学園」。日向市などで
六つの老人福祉施設を運営する社会福祉法人「清風
会」(瀧井修理事長)が開設する。整備費約3億円
のうち約2億円を国と県が補助する。
2011年に閉校した3階建て校舎を改修し、1、2階に心理治療室や子どもたちの部
屋36室を整備。3階には小中一貫校「東郷学園」の分校が来春開校し、教職員9人が配
置される。
スイス、安楽死目的の渡航者急増 4年で1・4倍
共同通信 2014 年 8 月 22 日
【ジュネーブ共同】安楽死を遂げるためスイスに渡航した重症患者らの数が、2008
年の123人から12年の172人へと4年間で約1・4倍に急増したとの調査結果を、
チューリヒの研究機関が21日までに、英専門誌ジャーナル・オブ・メディカル・エシッ
クスに発表した。
急増の詳しい原因は不明だが、スイスでは医師が薬物を処方し、死を選んだ患者が自ら
使用する「自殺ほう助」が事実上認められており、支援する団体も存在する。
08~12年に31カ国の計611人(23~97歳)が安楽死の目的でスイスに渡航。
平均年齢は69歳で約6割が女性。神経疾患の患者が多数を占めていた。
家族の介護で虐待、8人に1人
畑山敦子
朝日新聞 2014 年 8 月 21 日
介護が必要な高齢者の世話をする家族らのうち、およそ8人に1人が放置や暴言などの
虐待経験がある――。そんな調査結果を労働組合の中央組織・連合が公表した。担当者は
「深刻な結果。介護する家族の負担軽減や、相談体制をつくっていくよう国に求めたい」
としている。
調査は2~4月、自宅で介護する人の意識を調べるため、5160人を対象に実施。1
441人から回答があり、そのうち40歳以上の1381人について分析した。介護を受
ける人との関係では「子どもまたはその配偶者」が76・3%を占めた。
地方議員の会が質問状
連合が調査「相当深刻」
佐賀市障害者不採用問題
佐賀新聞 2014 年 08 月 22 日
佐賀市の職員(左)に質問状を手渡す「障害者の自立と政治参加
をすすめるネットワーク」のメンバー=佐賀市のアイスクエアビ
ル
佐賀市が職員採用試験で身体障害者枠を受験した男
性(25)に合格通知を出した後、不採用にした問題で、
障害のある全国の地方議員約40人でつくる「障害者の
自立と政治参加をすすめるネットワーク」が21日、市
に公開質問状を提出した。
質問は、障害者採用の目的や求める能力のほか、合格
通知を出した後の面接でトイレに1人で行けるかどうか質問した理由など32項目。9月
12日までの回答を求めている。
メンバーの古庄和秀・大牟田市議は「今回の問題は障害に対する無理解が原因。障害の
ある議員がもの申すことで、市が障害者への理解に目覚めてくれたら」と話した。
ふうせんバレーをパラ五輪に
北九州発祥、公開競技目指す [福岡県]
西日本新聞 2014 年 08 月 22 日
健常者と障害者が一緒に競技できる「ふうせんバレー」。その魅
力を2020年の東京パラリンピックで世界に発信できるか…
北九州市発祥で障害者と健常者がチームを組む「ふう
せんバレーボール」を、2020年の東京パラリンピッ
クの公開競技としての実施を目指す取り組みに、日本ふ
うせんバレーボール協会(同市)が本腰を入れている。
7月には、同市出身の舛添要一東京都知事に要望書を提
出。東京五輪と合わせて開かれる障害者スポーツの世界的舞台へ、協会関係者は「誰でも
できる北九州発のスポーツの魅力を世界に伝えたい」と張り切っている。
通常のボールの代わりに、直径40センチの風船状の「ふうせん」を使う競技は198
9年、同市の重度身体障害者の故荒川孝一さんが発案。車椅子などの障害者と健常者を組
み合わせた6人制で、全員が少なくとも1回ずつラリーをして相手側に返す▽自力でボー
ルを追えない人は健常者が介助-などのルールがある。視覚障害者に配慮し、ふうせんに
は鈴が2個入っている。
北九州市の後押しもあり、翌年から全国大会を同市で毎年開催。現在は九州や大阪など
から、幼児から80代の選手約500人が参加するまでに規模が広がった。最近の国内競
技人口は「約千人で全国に約50チームある」(協会関係者)。長崎県で今秋、国体と合わ
せて開催される「全国障害者スポーツ大会」では、2008年の大分大会に続いて2度目
の公開競技に採用された。
東京五輪・パラリンピックの誘致成功を受けて、協会は今年に入って、競技やルールを
説明するパンフレットを3万部作成し、全国に情報発信中。4年前にはスタッフをドイツ
へ派遣して競技を紹介したこともある協会は、海外での知名度向上もにらむ。全国障害者
スポーツ大会長崎県事務局の江湖知恵子さんは「スポーツをしながら車椅子の人の介助な
ども学べる一石二鳥の競技。多くの人に知ってもらいたい」と、パラリンピック効果を期
待する。
今後は北九州市をはじめ各地で公開試合を行うなど、さらに積極的なPRを図る予定。
協会の林英之会長(61)は「障害の垣根を越えて親しまれる競技に育てたい。
(最終的な)
目標は正式種目」と意気込んでいる。
特別支援教育の充実を県に要請
市民団体
佐賀新聞 2014 年 08 月 22 日
特別支援教育の充実について県の担当者に要請する市民団体のメ
ンバー(右)=佐賀県庁
障害者と家族らでつくる市民団体「障害者(児)の生
活と権利を守る県連絡協議会」
(興梠多津子会長)は21
日、特別支援教育や障害者福祉の充実を求める要請書を
佐賀県に提出した。
要請書は9項目。発達障害のある児童が増加傾向にな
っているため、通常学級と特別支援学級に支援員を増加
することや、ろう学校と盲学校での専門性のある教師の育成、公共交通機関のバリアフリ
ー化の推進などで、10月30日までの回答を求めている。対応した県障害福祉課の今村
盛史課長は「各担当課で検討して回答したい」と答えた。
虐待児童救うには「逃げていい」伝えて
「家を出ても生きられる」
中日新聞
2014 年 8 月 22 日
「恐怖の感情や体の異変に耳を傾け、親に対して『違う』と思ったら行動
して」と呼びかける恒松大輔さん=東京都清瀬市のあすなろ荘で
つらかったら、逃げていい-。東京都西東京市で先月、父親か
ら虐待されていた中学二年の男子が自殺した事件。学校は暴力に
気づいていたが、男子生徒が「大丈夫」と答えていたため、児童
相談所に伝えていなかった。子どもたちが危険から逃れるには、
何が必要なのか。当事者や支援者の声から考えた。 (竹上順子)
児童養護施設で暮らす男子高校生は、中学生のとき、父親の暴
力や監視に耐えかねて家出した。警察官に補導されたが、事情を
話すと児相へ通告してくれた。一時保護された後、児童養護施設
へ。当時を振り返って「もっと早く逃げれば良かった」と話す。
小学校や中学校でも、あざなどから虐待に気づいた教師はいた。
しかし父親に言い負かされたり脅されたりしたようで、児相まで
話がいかなかった。男子高校生も当時は「施設は怖い所」とのイメージを父親から植えつ
けられ、助けを求められなかった。
「縛られている子、相談できない子は多いと思う」と男子高校生。自身の経験から「学
校の先生は知識不足。小さな子は特にかわいそう。いっそ警察に相談した方がいい」と話
す。つらい過去だが「僕が話すことで、家を出られる子がいれば」と語ってくれた。
「子どもには『家を出て生きられる』という発想がない。ひどい目に遭っていても、そ
ういうものだと思っている子も多い」
。十五~二十歳の若者が暮らす都内清瀬市の自立援助
ホーム「あすなろ荘」ホーム長の恒松(つねまつ)大輔さん(40)は話す。
過去の入居者には、親に暴力をふるわれて友人宅に逃げ込み、友人の親から児相に連絡
がいった人や、追い詰められて上階の部屋から飛び降り、病院から保護されたケースも。
恒松さんは「児相の存在を知らなかった子がほとんど。どこに助けを求めればいいかとい
う肝心な情報が届いていない」と指摘する。
子どもシェルターなどを運営する「カリヨン子どもセンター」事務局(文京区)の石井
花梨(かりん)事務局長(31)も「幼少期からの恐怖や支配関係が固定化し、逃げ出せ
ない子は多い。特に十代の男の子は、SOSを出すのが苦手と感じる」と話す。
シェルターは弁護士会や児相と連携し、虐待を受けた子を緊急保護。数カ月間、社会福
祉士ら専門家がケアをしながら、その後の生活環境を整える。ネットや教師、友人の親へ
の相談でシェルターを知る子もいるが、自傷や非行、犯罪行為から虐待が分かり、保護さ
れるケースも少なくない。
石井さんは「殴られることや、ご飯も
まともに与えられないことはおかしい、
子どもにも人権があると、学校でも伝え
てほしい」と訴える。恒松さんは「自分
が悪いから暴力を受けると思っている子
も少なくない」と、被虐待児の自尊感情
の低下を問題視する。
つらいときはどうすればいいのか。恒
松さんは「中学校の先生に言えなかった
ら小学校の先生に相談するなど、自分が
言いやすい人を探して」と提案する。石井さんは「とにかく誰かに聞いてもらいたいとき
は、チャイルドラインに電話をかけてもいい」とアドバイスする。虐待の相談は、自治体
の子ども家庭支援センターや児相で受ける。シェルターは、東京弁護士会の「子どもの人
権110番」から=表。
障害者や高齢者、食事を共に10年 京都・八幡のグループ
京都新聞 2014 年 08 月 22 日
おしゃべりしながら調理する「こむぎ」の会員たち(八幡市八幡・市立
福祉会館)
京都府八幡市内の身体障害者や家族、1人暮らしの高齢者
ら地域の人々が昼食やパン作りを通じて交流するグループ
「こむぎ」が発足から10年目を迎えた。調理や食事を共に
して絆を強め、「知的障害を持つ娘との会話が増えた」「1人
暮らしの寂しさがまぎれる」と、口づてで仲間の輪が広がりつつある。
八幡市立福祉会館(同市八幡)の調理室に月1回集まり、会員が和食を中心にしたおか
ずや、おやつのパンを一緒に作り、昼食をとっている。
代表の橘佐代美さん(64)=同市西山=が、義母の介護を通じて知り合った主婦や、
障害者とその家族ら12人で、2005年4月、男山公民館で活動を始めた。調理しなが
ら介護や介助の悩みを話し合い、
「子どもに手作りのおやつを与えたい」と参加する若い母
親もいる。公民館の耐震化工事で活動場所を一時、近くの生涯学習センターに移し、昨年
4月から現在の場所になった。会員は4倍近くに増え、45人になった。
中尾安子さん(72)=同市男山=は、知的障害を持つ三女の明子さん(40)と発足
当初から参加している。以前は家に閉じこもりだった明子さんだが、こむぎのメンバーと
会話を楽しみ、調理をする中で自信を持ち、市内のNPO法人で活動するようになったと
いう。
橘さんは「手作りすることや食べることで、元気を分かち合う仲間を増やしたい」と話
している。問い合わせは八幡市社会福祉協議会TEL075(983)4450。
【
ロボスーツで歩行実演 動作を支援、岐阜市の松岡整形導入
岐阜新聞 2014 年 08 月 22 日
ロボットスーツHALを紹介する佐伯憲さん(左端)=
岐阜市長旗町、ハートステージ鳳
◆認知症予防教室で説明
岐阜市東金宝町、松岡整形外科・内科リハビ
リテーションは、脳卒中などで半身まひとなっ
た人らの歩行や立ち座りなどの自立動作を支援
する「ロボットスーツHAL」を、県内の医療
機関で唯一導入している。21日に市内で開い
た月例の転倒・認知症予防教室で地域住民に披
露した。
筑波大発のベンチャー企業サイバーダインが生産するHALは下半身に装着、体を動か
そうとする際に脳から伝わる微弱な電気信号を読み取り、歩行などをサポートする。太も
もや尻など左右計10カ所にシール状の電極パッドを付け、腰と太もも、すねのベルトで
体に固定。備え付けの靴を履くことで重心のかかり具合も把握できる。
松岡整形はまひなどで歩く能力が低下した人のリハビリに昨年12月から活用。脳血管
障害などを患った8人が訓練で用い、1カ月間で立ち座りの時間短縮や歩行速度の改善が
見られた人もいるという。
予防教室は同市長旗町の特別養護老人ホームハートステージ鳳で開いた。松岡整形の理
学療法士佐伯憲さんが「重心のかかり具合をモニターで確認しながら筋肉の使い方を再学
習できるのが利点。HALを外して歩けるようになることを目指している」と説明した。
HALを着けた立ち座りや歩行の実演もあり入居者や地域住民ら30人が興味深そうに見
入っていた。
社福で初、伸こう福祉会が“いい会社”大賞- 革新性や成長力など評価
キャリアブレイン 2014 年 8 月 21 日
神奈川県で特別養護老人ホーム(特養)などを運営する
社会福祉法人伸こう福祉会(足立聖子理事長)は、独特の
ビジネスモデルを確立して持続的な成長を続ける“いい会
社”に贈られる今年のグレートカンパニー大賞を受賞した。
同賞は、船井財団が主催する「グレートカンパニーアワー
ド」の 1 つで、社会福祉法人が受賞したのは初めて。ビジ
ネスモデルの革新性や、継続的に業績を伸ばしている成長
力などが評価された。
【松村秀士】
表彰される足立理事長(21 日、東京都内)
伸こう福祉会は、株式会社だった 1986 年、空き家となった企業の独身寮を安く借りて改
装し、老人の家「グラニー鎌倉」を開設。これにより、入居料を以前より 10 分の 1 に抑え
ることを可能にした。98 年には品質マネジメントシステム規格の ISO9001 認定を業界で初
めて取得。99 年に社会福祉法人に移行し、現在は神奈川県を中心に特養やグループホーム、
有料老人ホームなどの 39 の介護施設のほか、8 の保育施設を運営している。
また、従業員やその家族、利用者を交えたミュージカルの公演のほか、寝具メーカーと
の共同による「皺になりにくいシーツ」の開発などを行っている。こうしたビジネスモデ
ルの革新性や他企業との積極的な協働、17 期連続で増収という成長力などが評価され、大
賞に選ばれた。
21 日には授賞式が東京都内で開催された。式後に講演した足立理事長は、外国人の社員
を積極的に採用していると説明。現在、5%程度の外国人社員の比率を、10 年後に 20%ま
で高めたいとの考えを示した。さらに、「外国人社員から各国の良い生活習慣を学び、われ
われが提供するサービスに生かしたい」と意気込みを語った。
グレートカンパニーアワードは、社会性や教育性、収益性を兼ね備えた企業を表彰し、
企業の社会的意義を広めるために 2010 年から開催。大賞のほか、顧客感動賞、ユニークビ
ジネスモデル賞などがあり、今回は 6000 社を超える企業が選考対象となった。
澪標 ―みおつくし―
高瀬舟から見る終末期医療
にしさか腎・泌尿器科クリニック院長 西阪誠泰
大阪日日新聞 2014 年 8 月 22 日
「それが罪であらうか。殺したのは罪に相違ない。しかしそれが苦か
ら救ふためであつたと思ふと、そこに疑が生じて、どうしても解けぬの
である」
森鴎外の高瀬舟にある、同心庄兵衛の率直な思いだ。それは、剃刀(かみそり)で自殺をは
かり、首に刺さったまま苦しむ弟を見かねて、その剃刀を抜いたために死に至らしめた喜
助が、罪を負ったことへの疑念である。
この腑(ふ)に落ちない問題は、これまでの医療現場にも、いくつかの安楽死事件として流
れてきた。医療技術の進歩による延命治療の向上は、人の最期の姿を変え、何も施さない
本当の自然死が自然でなくなり、何らかの延命治療を行った結果の死が自然となった。そ
して、人生の最期を耐え難い苦痛で苦しむ末期患者に対する延命治療も、その意義が曖昧
なまま経過してきた。人権が守られるべく法のもとでの、終末期医療の齟齬(そご)とも言え
る。
1991年にあった東海大学安楽死事件の判決では、安楽死について、(1)苦痛を長引か
せないという目的のため、行われていた延命治療を中止して死期を早める消極的安楽死(2)
苦痛を除去・緩和するための措置をとるが、同時に死期を早める可能性が存する間接的安
楽死(3)苦痛から免れさせるため意図的且(か)つ積極的に死を招く措置をとる積極的安楽死
-の三つの定義が挙げられた。この事件や喜助の行為は、積極的安楽死に相当もしくは関
連するもので、許容される要素はあるが、現在でも刑法上殺人罪になる。
しかし、ここにきて、特に高齢者の終末期医療において、個人の死生観を尊重する考え
方、つまり尊厳死とその自己決定権についての議論が高まってきている。医療界からは既
に、日本老年医学会による胃ろうなどの人工栄養に関する指針、日本救急医学会、日本集
中治療医学会、日本循環器学会の3学会共同による人工呼吸器、人工心肺装置停止の選択
肢を含めた延命治療の中止に関する指針、日本透析医学会による血液透析療法の終末期患
者に対する見合わせに関する提言が示されている。
これらは消極的安楽死に相当するものと考えられるが、生命の質への尊厳を前提とし、
患者、家族の意思の尊重と、医療側の倫理的責任の上に成り立つものである。それに、障
害者や認知症などの社会的弱者や立場に関係なく公平なもので、また、決して過剰な治療、
無駄な治療という打算的な観点から作られたものではない。
終末期医療については、超党派の議員連盟による「尊厳死法案」の国会提出の動きもあ
る。法制化は当然不可欠なものであり、まずは踏み出さなければならない。尊厳死の言葉
の定義や、頑(かたく)なな人権関連の総論的議論はもう十分である。
殆(ほとん)どの人が、いずれ向き合うことになるこの問題は、それぞれ個人レベルで考え
るべきである。そして、終末期医療で遭遇する現場の事例を一つ一つ積み上げて、その時
代の医療技術、社会背景、倫理に裏打ちされた法整備のもと、新たな終末期医療の在り方
を確立していくことが重要である。そうすれば、庄兵衛の疑念も少しは晴れるかもれない。
(にしさか・のぶやす 大阪市淀川区)
筋痛性脳脊髄炎とは
患者の苦境理解して
神奈川新聞 2014 年 8 月 22 日
横になったまま移動できる車いすに乗った篠原三恵子さん=東
京都東久留米市
頭痛、微熱、筋肉痛、脱力などの全身症状と思考力、
集中力の低下など認知機能障害が続き、社会生活が困難
になる「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CF
S)
」
。厚生労働省は本年度、聖マリアンナ医科大難病治
療研究センター(川崎市宮前区、遊道和雄センター長)
に委託し、初の実態調査「慢性疲労症候群患者の日常生
活困難度調査事業」を行う。国内には30万人前後の患者がいると推定されており、その
現状と調査の課題を追った。
篠原三恵子さん(56)=東京都東久留米市=が異常を感じたのは1990年8月、一
時帰国していた日本から留学先の米国に戻る飛行機の中だった。
「頭の中が濃い霧がかかったようになり、思考力、集中力が低下して、空港に迎えに来
た友人の言葉も理解できなかった」
カリフォルニア州サクラメント郊外の家に着き静養したが、筋力の低下、激しい睡眠障
害、微熱、喉の痛み、全身の筋肉痛が続き、衰弱した体は鉛のように重い。
「何とか週1回、
買い物に行くと、残り6日は寝込んだままだった」
医者に行っても明確な診断がなされず、治療も進まない。さまざまな代替医療を試した
り、サプリメントを飲んだりしたが、変化はなかった。
ようやく正式な診断が出たのは1年半後。サンフランシスコの医者を紹介され、特別な
血液検査をしたところ、ウイルス感染を示す値が異常に高く、「慢性疲労症候群(CFS)」
と診断された。しかし、原因も治療法も不明とされ、症状に改善は見られなかった。
その後に移り住んだカナダでの病気の名称は「筋痛性脳脊髄炎(ME)」だった。「カナ
ダでは患者会に参加し、情報交換ができた。患者さんは社会保障も受けていた」
。しかし9
5年、高熱を伴う感染症に襲われ、
「1カ月後に症状は治ったが、歩けなくなり、外出は車
いすになった」
。
翌96年に日本に帰国。
「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」を理解してくれる医師が見
つからない。患者仲間もいない。症状はさらに悪化し、風邪をひくと1、2カ月は治らず、
軽い下痢が3、4カ月も続くこともあった。2005年に夜も寝られないほどひどいせき
が1カ月続いた後、
「ほとんど寝たきり状態になった」。専門医探しも諦め、代替医療を試
しては失望する繰り返しが続いた。
わずかな支えは身体障害者と認定され、福祉サービスを受けることができたことだった。
「行政と交渉を2年続け、横になったまま移動できる車いすが07年に認められた。もし
途中で諦めていたら外出もできず、患者会の発足もなかっただろう」と振り返る。
転機が訪れたのは08年。初めて患者4人と会い、会をつくりたいと話し合った。そこ
に、カナダにいた長女から慢性疲労症候群の実態を取材したアメリカのドキュメンタリー
映画「アイ・リメンバー・ミー」を紹介された。日本でも上映したいと翻訳を始め、映画
に感動した映画監督の有原誠治さんが字幕版制作に協力を申し出てくれた。
10年、篠原さんと有原さんを共同代表に患者会「慢性疲労症候群(CFS)をともに
考える会」を結成。
「アイ・リメンバー・ミー」のDVDも完成し、上映会も始めた。反響
は大きく、患者や支援者の輪が広がっていった。12年に患者会はNPO法人「筋痛性脳
脊髄炎の会(通称ME/CFSの会)
」に発展。篠原さんが理事長、有原さんが副理事長と
なり、会員は約280人になった。
会の最大の成果が初の実態調査だ。国への働き掛けが実り、14年度予算に盛り込まれ
た。調査によって患者の苦境を理解してもらい、診断基準・治療ガイドラインの確立、障
害者総合支援法の対象疾患になることなどを願っている。四半世紀に及ぶ闘病生活を振り
返り、篠原さんは「少しでも病気への理解、研究が進んでほしい」と話した。
患者会のホームページは、http://mecfsj.wordpress.com/
◆診断に混乱と誤用も
「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」は、中枢神経系の機能異常や調節障害、広範な機
能障害を症状とする後天性の神経系疾患だ。通常はウイルス感染後に発症し、過去に米国
や英国で集団発生も起きている。終生続く障害を引き起こす可能性のある深刻な疾病だ。
世界の有病率は10万人当たり約400人(日本は約300人)で、日本の患者は24
万~38万人と推定されている。多くの患者が職を失っているとみられるが、その実態は
よく分かっていない。国による実態調査、家庭や職場における日常生活の困難度などの調
査は今回が初めてだ。特に課題となるのは重症患者の掘り起こしだ。
日本では難病法、障害者総合支援法の対象疾患になっておらず、専門の医師は限られる。
患者が一般の医療機関を受診すると、貧血や肝臓疾患、内分泌疾患などが疑われ、これら
の検査では異常が見つからないため、精神科を紹介されてしまう事例が多いという。
患者会「筋痛性脳脊髄炎の会」理事長の篠原さんは「医師からは精神的な問題と片付け
られ、会社や学校では『怠けている』という偏見にも苦しめられる」と語る。
重症患者は通院も困難なため、医療機関も患者の存在、実態を把握していない可能性が
ある。障害者手帳を取得している人も少ない。
「10年間、専門医に診てもらえず、寝たき
りで引きこもったまま亡くなった重症患者さんもいる」と篠原さん。患者の家族、友人に
調査のことを知ってもらえるかが重症者の掘り起こしの鍵だ。
患者を苦しめた一因には、病名と診断基準の混乱もあった。
重度の身体障害を引き起こす患者が多いことから、ヨーロッパやカナダでは「筋痛性脳
脊髄炎」と呼ばれ、診断基準も積み重ねられてきた。ところが、1988年の国際学会で
「慢性疲労症候群」との名称が採用され、診断基準の幅も広がった。その結果、うつ病や
その他の疾患での慢性疲労状態との区別が曖昧になり、診断に混乱と誤用をもたらしたと
いう(13カ国でつくる国際専門委員会)。「慢性疲労症候群の原因はうつ病」との誤った
考え方も流布した。
近年は研究が進み、ウイルス感染との関係や脳、自律神経系、免疫系、遺伝子発現など
で異常が起きていることなどが確認された。そのため名称は「筋痛性脳脊髄炎」が適切、
正確とされ、カナダの診断基準を軸に国際的な診断基準づくりが進んでいる。
今回の実態調査は、日本の診断基準づくりにも貢献することが期待されている。聖マリ
アンナ医科大難病治療研究センターの遊道和雄センター長は「診断を受けていない場合で
も、連絡をしてもらえれば医療機関として専門医を紹介し、そこで『筋痛性脳脊髄炎/慢
性疲労症候群』と診断されれば、調査対象に加えさせていただく」と話しており、広く患
者の掘り起こしを進めたいとしている。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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