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小学校理科における主体的問題解決力の育成に関する実践研究
小学校理科における主体的問題解決力の育成に関する実践研究 一理科と実生活の効果的な接続に関わってA Study on Enhancing Per丘Drmance of Problem Solving by Themselves in Science of Primary School -By Effective Connecting Science with Real Life - 東畠代次郎 Daijiro Higashibata 奈良教育大学大学院教育学研究科教職開発専攻 School of Professional Development in Education, Nara University of Education <あらまし> 日本の子どもの学力に関する国内外の調査では、 「理科の学習が楽しいと思 う子どもは多いが、大切であるという意識はあまり高くない」という結果が示され、理科教 育の改善を図る必要性が指摘されている。そこで、本研究では、理科と実生活をつなぐ教育 方法及び子どもが主体的に問題解決する学習環境を明らかにした。そして、授業実践を通し て、理科学習と実生活を関連させる力や主体的に問題解決する力の向上にむけてのそれらの 効果について検証した。授業実践は小学校6年生を対象として、 「問題解決を意識化させる 実践」 「問題解決過程を理解させる実践」 「実生活と問題解決をつなぐ実践」を行った。 結果として、主体的に問題解決する力を高め、理科を学ぶことの意義や有用性を実感させ るには、問題解決の過程の最後である結論の導出後に実生活と関連させる学習を継続して行 うことが重要であることが明らかになった。 <キーワード> 小学校理科 主体的 問題解決 実生活 有用性 1.研究の背景 小学校学習指導要領が改訂され、 2011年度から全 面実施された。中央教育審議会「幼稚園、小学校、 中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領 等の改善について(答申)」 (2008)は、教育内容に関 する主な改善事項の一つに「理数教育の充実」を示 している。そして、 「学校教育においては、科学技術 の土台である理数教育の充実が求められているが、 国際的な比較において、我が国の子どもたちは算 数・数学や理科について、学習に対する積極性が乏 しく、得意だと思う子どもたちが少ないなど学習意 欲が必ずしも十分ではない。また、希望の職業につ くために数学や理科で良い成績を取る必要があると 思う子どもが国際的に見て少ないことなど職業との かかわりに関する意識にも大きな課題がある。」と指 摘している。 そこで、同審議会は、このような状況を打開して いくために、理科の改善の基本方針として、 「理科を 学ぶことの意義や有用性を実感する機会をもたせ、 科学-の関心を高める観点から、実社会・実生活と の関連を重視する内容を充実する方向で改善を図 る。」ことを提案し、 「生活科の学習を踏まえ、身近 な自然について児童が自ら問題を兄いだし、見通し をもった観察・実験などを通して問題解決の能力を 育てるとともに、学習内容を実生活と関連付けて実 感を伴った理解を図り、自然環境や生命を尊重する 態度、科学的に探究する態度をはぐくみ、科学的な 見方や考え方を養うことを重視して」理科教育の改 善を図る必要性を指摘するに至っている。 日本の理科教育において、理科を学ぶことの意義 や有用性を実感させ、理科や科学-の関心を高める ために、問題解決能力の育成や理科学習と実生活と の関連などについて改善を図ることが、現在の大き な課題になっていると考えられる。 東畠 代次郎 村山(2009)も矢野と同様に上記の報告を受けて、 学校で学習する理科の内容と日常生活で見聞する科 学に対する知識との帝離という状況を改善するため に、理科の内容と日常生活の現象を関連付けること で児童の興味・関心を高めたり、理科で身に付けた 知識・技能を使って日常生活の現象を考察し、説明 する活動を取り入れたりする重要性を説いている。 以上のことから、理科教育では、これまでも問題 解決を重視して理科の内容と日常生活の事象とを関 連させた活動を大切にしてはきた。しかし、子ども に理科を学ぶ意義や有用性を実感させるには至って いない現状がわかる。 子どもに理科を学ぶことの意義や有用性を実感さ せ、生涯にわたって、理科や科学に関心をもち続け させるためには、子どもが主体的に問題解決する活 動を授業の中心に据え、理科の学習と実生活とのつ ながりを重視した小学校理科学習の在り方の研究が 必要となることが明らかになった。 2.先行研究と問題の所在 前節で指摘した課題に関しては、これまでに次の ような先行研究がある。 例えば、理科における問題解決については、 「知の 更新」 「知の創造」というような科学的な見方や考え 方を養う観点から重要視されなければならないこと が、矢野(2007)や日置(2009)から指摘されている。 一方、問題解決の重要性を指摘しつつかつ、学習 指導要債の基本的な考え方にそって、この点の必要 性を強調している先行研究として、角屋(2009)と森 本(2009)があげられる。 これら4つの先行研究で共通に指摘されている点 は、子どもが主体的に問題解決する活動を大切にし、 自ら問題解決できる力を高められるよう、理科の授 業を改善する必要があるということである。 また、上記問題解決の育成と関連はするがより焦 点化した指摘として、理科の学習や問題解決する力 は、理科だけで閉じるのではなく、実社会・実生活 と結びつかなければならないとする調査報告がある。 例えば、国立教育政策研究所(2004) 「平成15年度 小・中学校教育課程実施状況調査結果の概要」は、 小学校、中学校ともに、他教科に比べて学習-の意 欲は高いものの、理科の学習が大切であるという意 識は低いという結果を報告し、矢野(2007)は、この 報告の意味するものとして、理科学習と子どもの日 常生活との帝離があり、理科で学習したことをもと に見直したり、活用したりすることが少ないのでは ないかとしている。これからの理科学習を考える上 では実社会・実生活との結びつきを一層充実するこ とが求められると指摘している。 また、国立教育政策研究所(2007) 「平成17年度特 定の課題に関する調査報告(理科)」では、 「理科の 勉強が好きだ。 」 「理科の勉強は大切だ」 「理科を勉 強すれば、私のふだんの生活や社会に出て役立つ。 」 という質問に対して肯定的な回答(「そう思う」、 「ど ちらかといえばそう思う」)をした児童生徒の割合は、 いずれも小学校第5学年に比べて中学校第2学年の 方が低い。特に、 「理科を勉強すれば、私のふだんの 生活や社会に出て役立つ。 」に対する肯定的な回答は、 小学5年生で約7割、中学2年生で約5割と低い結 果であった(図1)。 3.研究の目的と方法 3. 1.研究の目的 そこで、本研究では、子どもに理科を学ぶことの 意義や有用性を実感させ、理科が好きな子どもを育 てるために、理科と実生活をつなぐ教育方法及び子 どもが主体的に問題解決する学習環境を明らかにす る。そして授業実践を通して、理科学習と実生活を 関連させる力や主体的に問題解決する力の向上にむ けてのそれらの効果について検証する。 3. 2.研究の方法 ①主体的に問題解決する理科学習モデルを開発し、 実践を評価するための評価表や、理科に関する意識 の変容を分析するためのアンケートを作成する。 ②授業実践をする対象の子ども(小学校6年生)に ついて、アンケート調査によって実態を把握する。 ③問題解決を謝ヒさせる実践、問題解決過程を理 解させる実践によって、理科学習における子どもの 問題解決過程を視覚化し、分析をする。 ④実生活と問題解決をつなぐ実践で、主体的に問題 解決する力の向上や、理科を学ぶことの意義や有用 性を実感させることに効果があるかを検証する。 (3)理科を勉強すれば.私のふだんの生活や社会にELlて役立つd 小学故第5学年 4.主体的に問題解決する理科学習モデルの開発 「研究の目的」で述べた課題の解決に向けて、先 行研究や学習指導要債、国レベルの調査(科学技術 振興機構理科教育支援センター(2009))等を基に、 本研究ではまず、子どもが「主体的に問題解決する 理科学習モデル」 (図2)を開発した。 開発に至る過程の詳細については、東畠(2011) 中学故第2学年 0% コそう思う Hそう思わtj:い 蝣サ@昔 4CI% 6Cn e0% 1 00s HどちらかとLtえばそう思う □どちらかといえばそう思わない Hわからtj:い rjその他 図1質問「理科を勉強すれば、私のふだんの生活 や社会に出て役立つ。 」 2 小学校理科における主体的問題解決力の育成に関する実践研究 が大切であるといえる。そこで、結論の導出後、以 下の二点について考えさせる学習活動を行う。 ・理科の学習で学んだことが、実際の自然の中で 成り立っていることはあるだろうか。 ・理科の学習で学んだことが、実際の生活の中で 役立てられていることはあるだろうか。 で述べている。 1-HJHJIIIIIHJllJ' i;bi[i-ll-¥j 5. 2.理科学習と実生活を関連付け、問題を兄いだ す力を育てる 理科学習と実際の自然や生活を関連付けられる ようになったら、学習したことを実生活と関連させ ながら,問題を兄いださせる学習活動を行う。 個人では問題を兄いだすことができない場合は、 教師が参考例を提示したりグループや学級で考え を出し合わせたりする、あるいは、子どもが考えを もつことができるような状況を設定するなどの手 立てが必要である。 評価としては、 「子どもの考え」 (ワークシート) を定量的(語嚢数のカウント等)と定性的(書いた ものの内容分析)の両面で分析する。 まず、そのために評価の規準が必要となるので、 理科と実生活を関連付け、問題を兄いだす力につい て、これまでの他の単元における子どもの姿を整理 して指標(表1)を作成した。 図2 主体的に問題解決する理科学習モデル 理科学習の主題は、子どもが身近な生活の中の自 然事象に親しむ中から問題意識をもち、主体的な問 題解決の過程を大切にした活動を行うことである。 問題解決を結論の導出で終わらせず、実生活につな げることで、子どもに理科学習と実生活とのつなが りを実感させ、問題解決の活動そのものを、より主 体的なものにすることを目指している。 その結果として、子どもは理科の有用性を実感す ることができ、理科が好きな子どもとして育つこと につながる。そして、子ども自らが身近な生活の中 の自然事象に親しみ問題意識をもち、主体的に問題 解決の活動をするというサイクルの構築に貢献でき、 主体的に問題解決する力を高めることができると考 えられる。そのために問題解決の過程を実生活とつ なぐ具体的な学習内容や学習活動が必要となる。 表1理科と実生活を関連付け、問題を兄いだす力 の評価表 5.主体的な問題解決力を育成する実践研究と評 価計画(理科学習と実生活をつなぐことで) 理科学習と実生活とをつなぐことは、理科学習の どの段階においても必要である。特に理科学習の導 入(学習の入口)と実生活をつなぐ手立てに関して は、これまでに多くの実践がされてきた。しかし、 学習を終えて、子どもが理科で学習したことを実生 活に活用するところは手薄であり、この点の改善が 必要であるといえる。そこで、主体的な問題解決力 を育成するために、結論の導出(学習の出口)と実 生活をつなぐ実践計画と評価計画を考えた。 理科と実生活を関連付け、問題を兄いだす力の評価表(ルーブリック) 理科と実生活を関連付け、問題を兄いだす力 A .理科で学 習したことを実生活と関連付けて、二つ以上の問題を兄いだすことができる0 B .理科で学 習したことを実生活と関連付けることができ、問題を兄いだすことができる0 C .理科で学 習したことを実生活と関連付けることができるが、問題を兄いだすことができない0 D .理科で学 習したことを実生活と関連 付けることができる0 E .理科で学 習したことを実生活と関連付けることができない0 5. 3.理科学習と実生活を関連付け、主体的に問題 解決する力を育てる 子どもが理科学習と実生活を関連付け、問題を兄 いだすことができるようになったら、その自ら兄い だした問題を解決させる学習活動を行う。しかし、 子どもが問題解決の能力を身につけていなければ この学習活動はできない。子どもの問題解決の能力 について実態把握をして、その実態に応じた指導を しなければならないと考える。 いずれにしても、 4.で示した「主体的に問題解 決する理科学習モデル」を基に、主体的な問題解決 の過程を大切にした理科授業を行う必要がある。 理科学習と実生活を関連付け、主体的に問題解決 する力についても評価の規準となる評価表(表2) を作成した。 5. 1.理科学習と実生活(実際の自然等)を関連付 ける力を育てる 「小学校学習指導要御牢説理科編」 (2008)は、実 感の伴った理解の三つ目の側面として「実際の自然 や生活との関係-の認識を含む理解」を示している。 また、 「理科の学習で学んだ自然の事物・現象の性 質や働き、規則性などが実際の自然の中で成り立っ ていることに気付いたり、生活の中で役立てられて いることを確かめたりすることにより、実感を伴っ た理解を図ることができる」と述べている。 まずは、子どもに理科の学習が実際の自然や生活 と関連していることを実感として認識させること 3 東畠 代次郎 6. 1. 「理科アンケート」による実態把握 理科に関する意識の実態を把握するために、 「理 科アンケート」 (表3)を行った。 結果の分析方法 は、 「そう思う」を4ポイント、 「どちらかというと そう思う」を3ポイント、 「どちらかというとそう思 わない」を2ポイント、 「そう思わない」を1ポイン トとして、項目ごとにポイントを平均して比較した。 ポイントの平均が高かった(3. 4ポイント以上) のは、質問(4)・(9)・(ll)である。 国立教育政策研究所(2007) 「平成17年度特定の課 題に関する調査報告(理科) 」児童生徒質問紙調査で は、質問(4)質問(ll)に肯定的に回答した児童 生徒の割合は、小学5年生で約9割、中学2年生で 約8割となっており、観察・実験やものづくりが好 きな児童生徒は高い割合を占めていると分析された が、本研究の対象児童も同じ傾向である。 ポイントの平均が低かった(2. 4ポイント以下) のは、質問(5)・(13)・(18)・(19)である。 質問(5)の結果から、理科に関して疑問に思っ たことや興味・関心をもったことがあっても、自分 から調べようとしない子どもが多いことがわかる。 理科の勉強が教師や教科書から与えられた課題を調 べる受け身の学習になっていると考えられる。 質問(13)の結果は、国立教育政策研究所(2007) 「平成17年度特定の課題に関する調査報告(理科) 」 児童生徒質問紙調査と同じように、肯定的に回答し た子どもの割合は観察や実験が好きな割合に比べて 低くなっている。このことから、与えられた課題を 与えられた方法で調べる理科学習をしていて、主体 的な問題解決になっていないことがわかる。 質問(18) (19)の結果から、子どもたちはあまり 理科学習と実生活を関連付けようとしていないとい うことがいえる。 表2 理科と実生活を関連付け、主体的に問題解決 する力の評価表 理科と実生活を関連付け、主体的に問題解決する力の評価表 理 科と実 生 活を 関連 付 け 、主 体 的 に 問題 解 決 をす る力 A .学 習 外 で 、理 科で 学 習 した ことを実 生活 と関 連 付 けて、問題 を兄 いだ し、問題 解 決 をす ることがで きるe B .理 科 で 学 習したことを実生 活 と関連 付 け て、問題 を兄 いだ し、問題 解 決 をす ることが で きる。 C .理 科 で 学習 したことを実生 活 と関連 付 け て、問題 を兄 いだ し、問題 解 決 をしようとしてい る0 D .理 科 で 学 習したことを実生 活 と関連 付 け て、問題 を兄 いだす が 、問 題解 決 をしようとしていな い。 E .理 科 で 学 習したことを実生 活 と関連 付 け て、問題 を兄 いだす ことが できな い D 5. 4.理科に関する意識の実態を把握し変容を分析 する 本研究を進めるにあたって、子どもが理科に関し てどのような意識を持つかはとても重要である。そ こで、子どもの意識の実態を把握するために「理科 アンケート」 (表3)を作成した。 アンケートの質問内容は、国立教育政策研究所 (2007) 「平成17年度特定の課題に関する調査報告 (理科) 」の「児童生徒質問紙調査(理科に対する児 童生徒の意識)」と同じ質問内容にした。このことに よって、本研究の対象児童と全国の児童との比較を することができる。さらに、本研究に必要な独自の 3項目を加えて質問内容を20項目とした。 このアンケートによって、子どもの実態を幸田屋し、 それに応じ指導計画や手立てを構築した。 また、学習前と学習後や、学期ごとにアンケート を実施して、子どもの意識の変容を分析しようと考 えた。 6.子どもたちの実態把握 小学校6年生の34人を対象として実践研究を進 めた。子どもの個性や能力は様々であり、理科に対 する意識や理科に関する能力、理科の学び方も違う。 一人一人の理科に関する実態把握をする必要がある。 表3 理科アンケート 理 科 ア ン ケ - ト 年 組 番( ど ) 月 日 千 あてはまると こ ろに、 C)印を つけてく ださ し 、 。 z> 蝣 管 つ 号 つ 恩 ー ラ ち b 1 理科の勉弓 金力 ヾ 好 きだ 0 理 科 の 勉 強 は大 切 だ 0 3 理 科 を勉 弓 会す 一 れ ば、 私 の ふ、 だ ん の 生5舌や 社 会 に 出て 役 立 つ 0 4 理科の勉弓 轟で、 観 察 や実 験 をす ることカ 号 好 きです カ 、 。 5 理科の勉弓 虫に関 す ることで、分 力 、 らない ことや 興 味 . 関′ むをもつた ことにつ いて 自分 か ら調 べ ようとして います か 0 6 理 科 の 時 間 に、自分 の 考 えや 調 べた ことを発 表 す.るの . ま楽 L L、 です 力 、 0 7 理 科 の 勉 強 で、実験 の結 果 を予 想 する ことは 好 きです 力 、 0 8 理科の勉弓 虫で、実験 の結 果 カ キ 予 想 と異 なった とき 、 そ の 原 医ー を調 べ ようとしてい ます か 0 9 理科の勉弓 轟で、動 物 や植 物 の せ 言 舌をする こと力 く 女 子 きです.力 、 。 10 理 科 で勉 弓 会してい ることを観 察 や 実 験 によって 自分 で確 カ、 め る ことかぐ 大 切 だと思 います か 0 ll 理 科 の 勉 弓 登で、 もの をつ く つ1= り道 具 を1吏つた り す ること力{女 子 き です 力 、 0 12 自分 の 考 え で、予 想 をして観 察 や実 験 をしてい ます カ 、 0 13 理 科 の 勉 弓 虫で、自 分 の考 え力 ヾ 正 しい 力 、 どうカ 、 を調 べ る1と め 、 観 察 や 実 験 の 方 法 を 自 分 で考 えようとしています か 0 轟で、 観 察 や実 験 の 進 め 方 や 考 え方 を 友だ ちと1扇力 して決 め る ようにして います 力 、 。 14 理 科 の 勉 弓 翁で、 観 察 や実 験 の 進 め 方 や 考 え方 力 ヾ まち 力 ヾ つて いな いカ 、 をふ、 L J 返 って考 えようと しています カ I 、 0 15 理 科 の 勉 弓 、 ら、 さらに 疑 問 力 号 でてく ること力 ヾ あ ります 力 、 0 16 観 察 や 実 験 の結 果 力 轟で、 観 察 や実 験 の 結 果 をもとに して、考 えた ことをまとめ ようとしてい ます 力 、 。 17 理 科 の 勉 弓 虫で学 ん1ご ことと生 活 を 関係 さ. t t て、 間荒 巨 を見 つ けよ うとしてい ます か 0 18 理 科 の 勉 弓 轟の 時 間 以 外 で、理 科 に 関係 の ある 問 題を角 軍 決 しようとしています カ、 。 19 理 科 の 勉 弓 20 理 科 の 勉 強 の 時 間 以 外 で、理 科 に 関係 の ある話 や遊 びをしようとして います.力 、 0 4 ち り 千 ラ カ、 思 カ、 忠 と わ と わ し、 え lま 2 ど そ つ t 、 し、 し、 え ーま t JL し、 小学校理科における主体的問題解決力の育成に関する実践研究 先に述べた「主体的に問題解決する理科学習モデ ル」と実態把握より、次のような実践計画に基づい て行われた結果を述べる。 まず、子どもに問題解決を意識化させ、次に、問 題解決過程を理解させる。その上で、実生活と問題 解決をつなぐ実践を行う。アンケートによる意識の 変容の結果や実践の成果については「10.成果と今 後の課題」で示す。 結果の予想をすること、結果はできるだけ表で整 理すること、結果と考察の違いを区別することを意 識させるようにした。 結果を表にすることで、比較しながら調べる・関 係付けながら調べる・条件に目を向けながら調べる などの問題解決の能力を高められると考える。 また、結果からわかったことや考えたことが考察 であるとすると、結果について詳しく考えようとす る子どもが増えた。 ③ 「結果から深く考察させる。」 他の班の結果や教科書に示されていることと異な る結果になった班に対して、それは失敗ではなく、 その結果が真実であると助言し、学級全員で誤差が 生じた原因を考えさせた。 子どもは自らの結果が他の結果と違った場合、失 敗と考えて思考を停止することが多いが、結果は全 て正しいと認め、その原因を考察させることで、科 学的な見方や考え方を高めることができた。 ④ 「問題解決の各過程を意識して自分の力で問題解 決をさせる。」 問題解決を意識して理科学習が進められるかを確 かめるために、問題解決の各過程を項目としてワー クシートを作成して、各自で考え書き込ませた。 問題解決を意識して理科学習を進められるように なり、仮説や考察、結論も、どのように考え文章に 表現すればよいのかがわかるようになった。 7.問題解決を意識化させる実践 「理科アンケート」による実態調査から、個人差 はあるものの、与えられた理科学習を受動的に進め ているということがわかった。そこで、理科は知識 を与えられるだけの学習ではなく、自ら問題解決し ながら進める学習であることを子どもに意識化させ る実践を行った。 7. 1.問題を兄いださせる経験 科学的な見方や考え方を養うには、まず、自然の 事物・現象に興味・関心をもたせ、そこから問題を 兄いださせる経験をさせなければならない。 そこで、 6年生の理科学習開きに、 「理科をもっと 好きになろう!理科的問題を考えよう!」として、 生活の中で理科的だと思われる問題を自由に考えさ せた。身近に理科に関する問題がたくさんあること に気づかせることが大切であるといえる。 7. 2.授業実践「ものが燃えるとき」 教科書の課題を参考にしながら、主体的な問題解 決を少しずつ意識できるように進めた。 7.2. 1.指導計画と指導ポイント 8.問題解決過程を理解させる実践 個人差はあるものの、どの子どもも問題解決を意 識して理科学習を進められるようになった。しかし、 理科学習における問題解決過程そのものや問題解決 の各過程がわかっていない子どももいた。そこで、 問題解決過程そのものや問題解決の各過程を理解さ せるための手立てが必要であると考えた。 指導計画「ものが燃えるとき」と指導ポイント(全9時間) 次 1 2 3 4 5 tN u E? 指 導 ポ イント .もの を燃 や した経 験 を振 り .疑 問 をもた せ 、問 題 を兄 い ださ.せる。 ;反7 )ろA .仮 説 を立 て させ る 0 … ① .どんな とき に、もの は よく .実 験 方 法 を考 えさせ る 0 燃 え るの だ ろうか 0 .糸畠臭 と薯 蜜 の 凄 い 鼻費 え させ る ^ …(亨) .缶 の 下 の ほ うに 穴 を開 け .前 時 の 疑 問 か ら仮 説 を立 て させ る0 るとよく燃 え るの は どうして .考.察 や 緒 言宙を考 え させ る 。 だ ろうカ、^ .もの が 燃 え る前 と燃 え た .予 想 や 結 果 にイメー ジ図 を活 用 させ 後 で は 、空 気 の 成 分 に違 い る 0 力号 あ るの 1ごろう力、^ W i& H S i^ e 元 一l 音 弓 .酸 素 に は 、もの を燃 やす .問 題 解 決 の 各 過 程 を意 畠 鼓して は た らき が あ るの だろ うか 0 自分 の 力で 問 題 解 決 をさせ る0 … ④ 8. 1.授業実践「植物のつくりとはたらき」 一人一人が主体的な問題解決をすることができ、 問題解決の各過程でどのように考え進めればいいの かを理解できるように、個人で考え整理する時間を できるだけ多く確保して、意見交流する際には考え るべきポイントを示しながら進めた。 1. 1. 1.指導計画と指導ポイント 7.2.2.実践の考察 ① 「仮説を立てさせる。」 与えられた課題をただ予想するのではなく、仮説 を立てさせた。しかし、仮説が立てられない子ども が多かったので、仮説の基本的な型を提示した。 提示した仮説の基本的な型は「∼すれば∼になる だろうと思う。なぜなら∼だと思うから。」である。 基本的な型を基にすれば自分で考えることができ た。考えられない子どもには、全員で意見を出し合 いながら考えた仮説をノートに写させた。 ② 「結果と考察の違いを考えさせる。」 指導計画「植物のつくりとはたらき」と指導ポイント(全9時間) :* 学習 内容 .植 物 に 関 して の 既 習 内 容 や 経 験 を振 りi反 ろ う^ .根 が 取 り入 れ た 水 は 、ど 2 こ を 通 っ て 、植 物 の 体 に 行 き わ た る の だ ろ うか n 1 相 違 ポイント . 観 察 や 実 験 が で き る 問 題 を考 え させ る 0 … ① . 結 果 の 見 通 しをも っ た 仮 説 の 立 て 方 を 理 解 させ る 0 . 実 験 計 画 の 立 て 方 を理 解 させ る O … ② .結 論 の 費 え方 を理解 させ るハ . 考 察 の 仕 方 を 理 解 させ 、仮 説 に つ な げ させ る 0 .葉 ま で 届 い た 水 は 、そ の . 結 果 と考 察 の 違 い を 理 解 させ る 0 3 後 ど うな る の だ ろ う か O . 自 分 で 実 験 方 法 を考 え させ る 0 野望蝣 M s& w m m & s a s f.、=.= 岳 lI .植 物 と 空 気 に は 、どん な . 根 拠 や 理 由 を 基 に した 仮 説 を 立 て さ せ る 。… ③ 4 関 係 が あ る の だ ろ うか ^ . 仮 説 と結 論 を 照 ら し 合 わ せ て 老 察 させ る ^ .植 物 は 日 光 が 当 た る と、 . 学 習 内 容 の つ な が りを 理 解 さ せ る 0 5 自 分 で 養 分 を つ くる の だ ろうか ^ 5 東畠 代次郎 ll.2.実践の考察 ① 「観察や実験ができる問題を考えさせるO 」 既習事項や生活経験から疑問をもち問題を兄いだ せるようにしたいと考えた。そこで、まず植物に関 して既習内容を振り返らせノートに絵や言葉で表現 させた(図3)。そし て、植物に関してこ れまでの学習や生活 を振り返って疑問や 不思議に思ったこと 心に観察や実験をしてい た(図4)O ここからも、子どもに とって自分自身で考えた 方法が、最も意欲をもっ て取り組めるということ がいえる。 図4 野草の観察 ③ 「根拠や理由を基にした仮説を立てさせるoJ 「ものが燃えるとき」や「ヒトや動物の体のつく りとはたらき」で空気の成分について調べたことを 振り返らせた,,Jまた、地球環境との関わりについて も考えさせた。それらを基にすると、ほとんどの子 どもが自分の力で仮説を立てられるようになったo を書カせたOその後、 各自で観察や実験が できる問題を考えさ 図3 既習内容の振り返り せ、学級全体でどの問題を解決するかを話し合った。 前単元「ものが燃えるとき」の導入段階に問題を 兄いださせたときより、数が多くなり内容もより具 体的になった,3 また、多くの子どもが、生活経験や 既習事項をもとにして、実際に観察・実験で検証で きるような問題を考えられるようになったO ② 「実験計画の立て方を理解させるO 」 実験方法を子ども自らに考えさせたかったので、 まず、各自で実験方法を考えさせたDそして、それ ぞれが考えた方法を発表させ、教師と子どもとの対 話の中で実験方法を創り上げたO . 「ヒ トは酸素 を吸 って 二酸 化炭素 を出す ため、空気 中 の二酸化 炭素が増 えるt1 この ことか ら、反対 に、植物 は、 二酸化炭素 を吸って酸素 を出 してい るだろ う.=.」 . 「ものを燃や した ら酸素 の割 合が減 って二酸 化炭素 の 割合が増 える0 この ことか ら、植 物 も酸素 の割合が減 つて、 二酸化炭素 の割 合が増 えるだろ うU」 何度も仮説を立て問題解決の学習を繰り返すこと で、根拠や理由を基にした仮説を立てられるように なり、問題解決の各過程も自分自身の考えを言葉に 表すことができるようになった。 (C:子ども、 T:教師) cl : 「根や茎や葉を切って水の通り道を調べよう。」 T : 「いい考えだね。だけど透明な水の通り道が確 かめられるかなB J 8. 2.実践の結果 実践による効果を検証するために、 「理科の学習の 進め方(問題角we を説明してください。.」 「結果と 考察と結論はどう違うが説明してくださいo」という 2点について記述させ分析を行った。 C2 : 「水に色をつければいいよ。」 T : 「そうだね)では、何で水に色をつけたらいい かなr,」 Cヨ: F水に絵の具を溶かしたらいいと思うよ。.」 T : 「絵の具でl瀬物が枯れるかもしれないれ」 C二, : 「それじゃあ、料理に使う食紅を使ったらいい と思うよ。.」 T : 「入れ物はどうすればいいかな臼」 Cl : 「ペットボトルがいい。,』 C3 : 「三角フラスコを使ってもいいかなo」 T : 「入れ物は各自で何を使うか決めて用意してく ださい,J植物はどうしようかなLIJ C, : 「自分が調べたい植物を使えばいいよ,J J T : 「それでは、植物も各自で用意してくださいo」 ◎ 「理科の学習の進め>/ (問題解決)を説明してください。. 」 ほとんどの子ども(30人)が、理科の学習の進め方を 問題解決の過程(仮説一方法-実験-結果一考察-結論-→ 疑問)を使って説明することができた しかし、説明が不 十分または説明できない了-ども(4人)もいた,.. ◎ 「結果と考察と結論はどう違うか説明してください。」 この質問でも同じような傾向がみられ、ほとんどの子ど も(30人)が、結果と考察と結論の違いを閉りして説明 することができ、説明が不「分または説明できない子ども (4人)もいたゥ 各実践での行動観察や記述分析と上記の結果から、 ほとんどの子どもが、問題解決過程そのものや問題 解決の各過程を理解することができたと考える.。 子ども自身に実験方法を考えさせ、その考えをつ なぎながら実験計画を立てることで、たとえ実験方 法が教科書と同じようになっても、子どもは自ら考 えた実験方法のもとに意欲をもって問題解決を進め られたと考えるrJ 観察しやすいホウセンカを用意していたが、子ど もたちは自らが登校途中や学校で採集した野草を熱 9.実生活と問題解決をつなぐ実践 主体的な問題解決を大切にした理科学習によって、 問題解決の様々な場面で実生活と関わらせて考える 子どもが増えたC.特に、仮説を考える場面、考察を 6 小学teM叫における主体1昌汀抵解決ノ)<r>iH.凱二間するX践m?. する場面、疑問を考える場面であるこ しかし、実生 活と関わらせてHH題解決できない子どももいる.コ そこで結論の導出(学習の出目)と実生活をつな ぐ実践を通して、主f軸勺に問題解決する力を高める とともに、子どもに聯4・を学ぶことの意義やjl-用性 を実感させる手立てを考えた。 ここでは、問題解決の過程を実生活と関連させて 考えるところまで(問題-・仮説-・方法-,実験-・結果 -考察-結論-実生活)として実践を行ったu 理科で学んだことが実生活に役立っていると意識で きるようになったといえる.。 ・雷「考察や疑問、実生活と関連させて仮説を立てさ せる:1」 うすい塩酸や石灰水などの7種類の水溶液をリト マス紙で酸性・中性・アルカリ性に分類させた後に、 子ど緑こ身のbJりの水溶液で調べたいものを選び分 類させた。その際に、前時の考察や疑問、実生活と 関適させて仮説を孜てるようにさせたu 子どもたちは、 「体に害にならない安全な水溶液 は中性であると思うので、料理に使うものは中性で ある。 」と仮説を立てたC.人の体に害がなく安全なも のは中性であると予想する傾向があるようである。 調べてみると酸性が多いことから、 Ef]性ではなく ても体に安全なものもあると見方や考え方が変わっ たコ 実生活と関わらせることでr身近な水溶液は酸 性が多かったコ だから中性の水溶液だけが安全とか ぎらない。Iとまとめることができた。 また、 「砂糖水は食べられるので中性であるが濃 くしていくと体に悪いアルカ リ性に変わるだろう.コ」と仮説 を立てた子どもがいた.,実際 に実験,(図6)してみると、 いくら濃くしても砂糖水は中 性のままであった.コ 結巣を交流することで、全 員が水溶液の潰さを変えても 性質は変わらないという見方 図6 実験の様子 や考え方をもつことができたp:, 9. 1.授業実践「水よう液の性質」 間瑚宰決U) 1サイクルを実生活と関連させるとこ ろまでととらえ、結論を導出した後に、学習内容や 結論などが、実ノ冒副こどのように関わり、どのよう に役立っているのかを考えさせたT: この実践によって、理科の学習と実生活を関連付 ける力を育てるとともに、学んだことを基に実生活 を見つめ直そうする態度を養いたいと考えたコ 9.1.1.指導計画と指導ポイント 指導計画r水よう液の性寛」と指導ポイント(全10時間) 吹 1 2 3 4 5 6 学習 内容 .水 よう液に関しての既習 内容や 経 験を振 り返ろう.3 .水 よう瀬は 、金 属を変化 させる ことができるのだろうかb .水 よう液に溶けた金属 は、どう なったの だろうか " l塩 酸以外 にも、金属を変 化させ る水よう液 はL あるのだろうかn .水 よう液は 、どんな仲間 に分け ることが できるの だろうか n 水 よう液には 、気 体が溶 けている もの もあるのだろうか P 指導ポイント .身近 な水溶液 と関わらせて、 問題 を見いださせ るD .学んだことを実生活 の事象 に 闇わ らせる0 .学んだ ことが実生 活に役 立つ ているか書えさせ るn …(T) .結論 を実生活 と関連させ 、次 の 問題解 決へ つな げさせるn .考察 や疑 問、実生 活と関連さ せて仮 説を立 てさせる ・ CZ ) .学んだことを基に、実生活 を見 つめ直させる^ 9.1.2.実践の考察 ㊨ `学んだことが実生凧こ役立っているか考えさせ るc-. 水音額夜が金属を溶かし質的に変化させることを学 んだ.この学んだことが実生活に役立っていること はないか考えさせたt.水音締夜が何かを溶かして実生 活に役立っているのではないかという事柄(図5) は挙げられたが、漠然とした言薬や役に立っていそ うだという言葉が多かったp 9. 2.授業実践「発電と電気の利用」 前単元「水よう液の性質Jと同様の実践をさらに 深めるとともに、ブラックボックスやホワイトボー ドなどを活用して、主体的に問題解決する力をより 高めたいと考えた.。 ).2. 1.指導計画と指導ポイント 指導計iqr発電とt気の利用」と指導ポイントl:全1叩蝣vrai! 指主 ■ポ イ ント lブラ ックボ ックスで 同 麺 触 決 へ の意 欲 をもた せ . モ タ. 紬 す と、電 気 をつ く る , … a ; 1 る ことが で きる の だろ うか n m 科 で学 ん だことが 使 わ れ て い る道 具 や事 象 券讃 云 * t * るL.A .閉 場 1肝 決 に ホ ワ イトボ- K を活 用 させ る の… 壇: . 自分 で電 気 をつ くって 、い ろ * 生 活 で 使 わ れ てい る物 を、詳 しく調 べ ること 2 い ろな もの に 使 って み ようc ▲一 *P ;t M * * * 5* サ TI . 自分 で つくった 電 気 をた くわ lホ ワ イトボ ー ドを活 用 して 、主体 的 に 開 港 解 決 3 え て つて み よっ. 電 流 .: よる発 熱 に つい て 調 4 .- 人一 人 に 主 体 的 に 間 聯 解 決 をさせ る .I. べ よ うI . 身の 匝】 りの 電 気 の 性 賞 や 働 .付 雲 を活 用 して 、哩 科 学 智 と.尖 生活 との 関 わ り 5 き.券j剛 m i一 ナ-, 詣 且 事 ・ H '-C .t う.▼ . U P * :; I:: l 乱 la ir . 電 気 を利 用 したも の づくりを L -草 ん t:.ことをもの づくりに活 用 させ る c. 6 H a l 次 図5 学んだことが実生活に役立っているか 7 アV 1 こ = . 再 実 験 や 発 展 的 実 験 を1 J い L レポ 一十 に まとめ ようA .単 7C の 学 習 を振 明 反り、再 検 id や 発 展 的な 実 J a をさせ る ′ 9.2.2.実践の考察 ・雷「ブラックボックスでP瑚練叫増欲をもたせる.,一 モーターを内蔵したロープウェイの模型(ブラッ クボックス)を動かせば発光ダイオード(LED) 水溶液が金属を溶かす事象は、子どもたちの身の 回りで実感としてと¥i-Xられるi>*>が少ない,, -7J、 し、水泊翰如t;何かを溶かすことで、自分たちの生活 に役立っているのだろうと考えられるようになった。 7 東畠 代次郎 が光る教材を提示した。 これによって、子ども たちはどういう仕組み で光るのかについて探 求心が高まり、仮説を 立て問題解決する意欲 図7 興味をもつ姿 を表現していた(図7)。 子どもたちにとってブラックボックスは魔法の箱 のように感じ、箱の中はどのようになっているのだ ろうと興味を持った。この興味が問題解決-の意欲 となり、自ら仕組みについて予想し仮説を立てるこ とができ、主体的な問題角材と-とつなげることがで きた。 ②問題解決にホワイトボードを活用させる。 各グループに仮説 を立てさせ問題解決 を行わせた。その際 に、仮説や実験方法 などをホワイトボー ドに書いて表現させ た(図8)。 グループ内で意見 交流しながら書いた り消したりする姿が 見られた。 ホワイトボードを 活用することは、問 題解決を進める上で 図8 ホワイトボードの活用 とても有効である。 その理由としては、 「書き表すことで、思考を明ら かにでき整理することができる」 「すぐに書き直せ るので、思考を再構築することができる」 「個人の思 考を互いに共有することができる」 「問題解決の道 筋を把握することができる」などが挙げられる。 ③「実生活で使われている物を詳しく調べることで、 次の仮説を立てさせる。 」 手回し発電ライトは手回し発電機のように回し続 けなくても光り続けることに、問題意識をもたせた。 実物を分解して内部の構造を調べる(図9)と、コ ンデンサーが使われ、そ こに電気が蓄えられてい るのではないかという仮 説を立てることができた。 実生活で使われている 物を詳しく調べることで、 コンデンサーに「自分で つくった電気を蓄えて使 図9 内部の様子 ってみよう。」という次の 問題解決につなげることができた。 10.成果と今後の課題 10.1.成果 本研究を通して、子どもたちは理科学習に関して 大きく成長することができたと考える。 研究の目的でもあるが、特に、次の三点について の向上がみられた。 . 理 科 学 習 と実 生 活 を 関 連 させ る力 の 向上 . 主 体 的 に 問 題 解 決 す る力 の 向 上 . 理 科 の 学 習 、 そ の もの に対 す る意 欲 の 向 上 理科学習と実生活とを関連付けることは、問題解 決のどの過程においても必要であるが、問題解決の 過程の最後である結論の導出後に実生活と関わらせ た学習を行うことで、主体的に問題解決する力をよ り向上させることができた。 また、理科の学習が身近な生活や将来の生活と関 わり役立っていると感じる子どもが増え、理科を学 ぶことの意義や有用性を実感させることに効果がみ られたと考える。 10. 1. 1.理科学習と実生活を関連させる力の向上 実践の評価として「理科と実生活を関連付け、問 題を兄いだす力の評価表」 (表2)を活用した。学習 中の子どもの言動、記述(ノート・ワークシートな ど)を観察・分析し、評価表をもとに一人一人の評 価を行った。 具体的には、 授業での発言 や記述からキ ーワードを抽 出し、その質 や量を評価表 のカテゴリー に即して分類 図10 理科と実生活を関連付け、 した。 問題を兄いだす力の変容 実践当初(4月) 、問題解決過程を理解させる実践 後(9月)、実生活と問題解決をつなぐ実践後(12 月)の評価をグラフ化(図10)し変容を検証する。 実践当初(4月)は、 「理科で学習したことを実生 活と関連付けることができない。」子どもが多かった が、実践後は全員が関連付けることができるように なり、ほとんどの子どもが「関連付けて、二つ以上 の問題を兄いだすことができる。」ようになった。 これらによって、実践を通して理科学習と実生活 を関連させる力は向上したと考える。 10. 1. 2.理科学習と実生活を関連させる力の向上 主体的に問題解決する力は、 「子どもが自分から 問題解決しようとする意識・態度」 「自分で問題解決 することができる能力」の二面性をもつと考える。 小学校理科における主体的問題解決力の育成に関する実践研究 A - n ∃ I S a 2 - 5 l . s O - 5 ■ I■ 4 」 ∃ 1 5 [ ∃ ■ 6 」 ∃ 1 [ ∃ 】 71月 ■ 291[∃ 〔 笠 間 〕 2 1 〔) 図13 理科アンケート結果 〔実践当初(4月) ∼実践終了後(12月)〕 しての意識や意欲が向上しているといえる。 実践前のポイントが特に低かった質問(5) (13) (18) (19)は実践を重ねるごとに右上がりに高くな った。ここからも「子どもが自分で問題解決しよう とする意識・態度」が向上していることがわかる。 質問(2)に着目して、その各回答人数の割合を 明らかにするためグラフ(図14)に表した。 「子どもが自分で問題解決しようとする意識・態 度」については、実践を重ねるごとに向上している と感じる。客観的な評価のためにアンケート調査(図 ll)を行った。肯定的な回答をした子どもは8割以 上であり、全体としては自分から問題解決をしよう とする意識・態度は高まったといえる。 図11 〔質問〕自分で問題解決することは楽しい。 図14 「理科の勉強は大切だ。」各回答人数の割合 「自分で問題解決することができる能力」について は、 「理科学習と実生活を関連付け、主体的に問題解 決する力の評価表」 (表3)を活用する。 実践当初(5月)、 問題解決過程を理 解させる実践後 (9月)、実生活と 12月 問題解決をつなぐ 実践後(12月)の 評価をグラフ化 (図12)し変容を 検証する。 図12 評価表による分類の結果 肯定的な回答をした子どもがほとんどで、その中 で「そう思う」と回答した子どもの割合も大きい。 これらの結果から、 「理科の学習、そのものに対す る意欲」は向上し、 「子どもに理科を学ぶことの意義 や有用性」を実感させることができたといえる。 10. 1. 4.理科における主体的な問題解決の過程の改 ;岳 Eヨ l=コ 実践によって、結論の導出と実生活を関連させる だけでなく、 「理科における主体的な問題解決の過 程」を実生活と関連させるところまで含める必要が あるということがわかった。 そこで、 「理科における主体的な問題解決の過程」 を改善した(図15)。 実生活と問題解決をつなぐ実践後(12月)には、 半数以上が「理科で学習したことを実生活と関連付 けて、問題を兄いだし、問題解決をすることができ る。」ようになった。また、保護者からも家庭で理科 に関係する会話が増えたという声をいただいた。 これらによって、実践を通して主体的に問題解決 する力は向上したと考える。 10. 1. 3.理科学習と実生活を関連させる力の向上 「理科アンケート」を4回実施し分析(図13)し た。全体的な傾向は平均をみると、実生活と問題解 決をつなぐ実践前よりもさらに高くなっている。 また、ほとんどの質問でも実践によってポイント がさらに高まっていることがわかる。理科全般に関 (節)理科.=おlナる主体的な問題角宰決の過程 ,<・'_ ^?i.甲嬰ssayra s要撃」 図1 5 理科における主体的な問題解決の過程の改善 実生活との関連によって問題解決の過程が次の問 題解決の過程-とつながることで、系統立った学び ができ、科学的な見方や考え方が養われると考える。 10. 1.5. 「理科学習(問題解決)」 「実生活」 「諸活 動の充実」の関連 本研究では、理科学習と実生活とをつなぐことで、 9 東畠 代次郎 主体的な問題解決の力を 高めたいと考えたが、そ の実践を進める上で、仮 説や考察などを考える活 動、結果を整理する活動、 考えを発表する活動、結 論をまとめる活動など言 語活動の充実の必要性を 実感した。 図16 主体的な問題解決 「理科学習(問題解決) 」 の力を高める三要素 http 7/www. nier. go.jp/timss/2007/gaiyou2007. pdf (参照日2010. 07. 16) ・国立教育政策研究所(2007) 「平成17年度特定の 課題に関する調査報告(理科) 」 http 7/www. nie r. go.j p/kaihats u/tokutei_rika/i ndex.htm (参照日2010. 07. 08) ・東畠代次郎(2009) 「 『科学って楽しいな』と実 感できる子どもを育てるための教育計画∼子 どもにとって科学を楽しむとはどういうこと か?の探究∼」ソニー科学教育プログラム ・東畠代次郎(2011) 「日本教育工学会研究報告集 と「実生活」と「語活 動の充実」の三つの要素が綿密に関連することで、 主体的な問題解決の力を高めることができるといえ る(図16)。 11(1)」.日本教育工学会 pp.63-70 ・日置光久、矢野英明、村山哲哉(2007) 「シリー ズ日本型理科教育 理科でどんな「力」が育つ か わかりやすい問題解決論」.東洋館出版社, 10. 2.今後の課題 今後は、各学年の学習内容について実生活とどの ように関連させられのかを整理するとともに、理科 学習に対する意欲が低下する子ども-の手立てや実 践の改善を図りたいと考える。また、 「理科学習(問 題解決)」 「実生活」と「諸活動の充実」との関連 について分析する必要があると考える。 pp.12-13、 pp.15-20、 pp.158-160 ・日置光久,猿田祐嗣(2007) 「シリーズ日本型理 科教育 理科の「授業」をどうつくるか 新し い理科授業論」.東洋館出版社 pp.142-157 ・日置光久,村山哲哉(2009) 「実感を伴った理解 を図る理科学習 小学校第5学年」.東洋館出 版社 pp.ll-12 ・文部科学省(2006) 「OECD生徒の学習到達度調 査(PISA) 2006年調査国際結果の要約」 ll.謝辞 本研究をまとめるにあたり、奈良教育大学教職大 学院の小柳和喜雄先生、山本吉延先生をはじめ、先 生方には、懇切丁寧なご指導をいただいたことに、 深く感謝いたします。 また、実践研究をさせていただいた勤務校の西井 久之校長先生をはじめ、教職員、学級児童、保護者 の皆様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 http 7/www. mext. go.j p /a_me nu/shoto u/gakur yokirchousa/sonota/07 1205/OOl.pdf (参照日 2010. 07. 02) ・文部科学省(2008) 「小学校学習指導要頒」.東京 書籍 ・文部科学省(2008) 「小学校学習指導要御牢説理 科編」.大日本図書 ・文部科学省(2011) 「小学校理科の観察,実験の 手引き詳細」 参考文献 ・科学技術振興機構理科教育支援センター(2009) 「平成20年度小学校理科教育実態調査及び中 学校理科教師実態調査に関する報告書(改訂 版)」 http 7/www. mext. go.j p /a_me nu/shoto u/new-cs /senseiouen/1304651.htm (参照日2011. 05. 16) ・森本信也,八嶋真理子(2009) 「子どもが意欲的 に考察する理科授業 小学校5年」.東洋館出 版社 pp.10 ・村山哲哉,星野昌治(2009) 「小学校新学習指導 要顔の授業理科実践事例集(3年4年) 」.小学 館 pp.5 ・新世紀型理科教育研究会 村山哲哉(2008) 「平 成20年版小学校新学習指導要頒 ポイントと 授業づくり理科」.東洋館出版社 pp.4 ・中央教育審議会(2008) 「幼稚園、小学校、中学 校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要顔 等の改善について(答申)」.文部科学省, http : //rikasMe n.j st. go.j p /inve stigatio n/cp se_re port_006B.pdf (参照日2010. 10. 07) ・角屋重樹,林四郎,石井雅幸(2009) 「小学校理 科の学ばせ方・教え方事典改訂新装版」.教育 出版 pp.16 ・国立教育政策研究所(2004) 「平成15年度小・中 学校教育課程実施状況調査結果の概要」 http 7/www. nier. go.jp/kaihatsu/katei_h 1 5什I 1 5!03001000000007001.pdf (参照日2010. 07. 06) ・国立教育政策研究所(2007) 「国際・数学理科教 育動向調査の2007年調査(TIMSS2007)国際 調査結果報告(概要) 」 pp.54-56、 pp.88-90 10