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2.2 田原川
2.2 田原川 2.2.1 地域特性・河川環境に関する資料の収集整理 表 2.2.1~表 2.2.4 に示す資料の収集整理を行った。 表 2.2.1 地域特性・河川環境に関する資料 適 用 地理的位置づけ 資 料 与那国町史編集委員会事務局(編)(2002)町史第一巻,交響する島 宇宙日本最西端与那国島の地名と風土.与那国町役場,与那国町. 自然環境の特性 沖縄県八重山支庁農業水産整備課・財団法人沖縄県環境科学センター (2005)島仲、野底地区環境影響評価業務(与那国町)報告書. 与那国町史編集委員会事務局(編)(2002)町史第一巻,交響する島 民俗・風土 宇宙日本最西端与那国島の地名と風土.与那国町役場,与那国町. 与那原町役場資料 観光資源 表 2.2.2 重要な生物、地域を代表する生物の現状に関する資料 適 用 資 料 重要種 沖縄県 RDB,環境省 RL,水産省 RL 田原川の魚類,貝類, 島中・野底地区(与那国町)環境影響調査業務報告書:平成 16 年度, 甲殻類,鳥類,植物, 沖縄県八重山農林水産振興センター・農業水利課 水質 与那国島の自然環境 与那国空港拡張に関する環境影響評価関連報告書:沖縄県空港課 与那国島の植物 与那国島の植物:与那国町教育委員会 表 2.2.3 水環境の現状に関する資料 適 用 資 料 水質(上水水質) 与那国町下水道課水質検査結果 水質(生活環境項目) 島中・野底地区(与那国町)環境影響調査業務報告書:平成 16 年度, 沖縄県八重山農林水産振興センター・農業水利課 水質(COD,三態窒素, 与那国町教育委員会資料 オルトリン酸) 表 2.2.4 河川利用の現状に関する資料 適 用 上水利用 資 料 上水水取水状況資料:与那国町まちづくり課 2.2.2 現地調査の実施 多自然川づくり、環境整備の方向性の整理にあたり、資料収集整理結果にて不足する事項につ いて現地調査を実施し、資料を補完した。 (1) 現地調査項目・方法・時期等 田原川における現地調査内容を表 2.2.5 に示す。 表 2.2.5 田原川における現地調査の内容 水生動物 調査項目 調査方法 魚類 タモ網、投網、仕掛け、見つけ取 貝類 り、目視(潜水含む)によって分 甲殻類 布状況を把握する。 水生昆虫 ※ 1. 極力現地同定を行う。 調査時期頻度 夏季に 1 回 調査地点 田原川河川改修対象 全区間 水生植物 ※ 2. 一部夜間調査を含む。 重要種 湧水環境:チョウチンミドロの分 夏季に 1 回 布状況を把握する。 田原川河川改修対象 全区間 湿地環境:ミミモチシダの分布状 水質 況を把握する。 水温,pH, 現地採水し、室内分析する。 夏季及び秋季 下記 3 地点で実施す BOD,SS, の2回 る。 DO,塩素イ ・上流湧水池 オン ・灌漑排水路合流後 ・流量基準点 河床材料 河床材料の変化点において河床材 夏季に 1 回 料の状況を写真撮影する。 河川景観・河道状 河川景観の状況を写真撮影する。 況 瀬・淵、支川・排水の流入等を現 地で確認する。 田原川河川改修対象 全区間 夏季に 1 回 田原川河川改修対象 全区間 (2) 現地調査実施日 田原川における現地調査実施日を表 2.2.6 に示す。 表 2.2.6 田原川における現地調査の実施日 調査項目 調査実施日 水生動物 魚類,貝類,甲殻類,水生昆虫 平成 25 年 7 月 16 日~19 日 水生植物 重要種 平成 25 年 7 月 16 日~19 日 水質 水温,pH,BOD,SS,DO,塩素イオン 平成 25 年 7 月 18 日,11 月 2 日 河床材料 平成 25 年 7 月 16 日~19 日 河川景観・河道状況 平成 25 年 7 月 16 日~19 日 (3) 現地調査の範囲 田原川における現地調査範囲を図 2.2.1 に示す。 支川 採水地点(中流) 採水地点(上流) 採水地点(上流) 取水堰湛水部の流入端を上端、河口の水門直下を下端とし、取水堰、右支川合流点、およびながやま橋を各境に上流から取水堰 上流区間、上流区間、中流区間、および下流区間に分け、中流区間左岸側の湿地内水路にも調査区間を設けた。 図 2.2.1 田原川流域図および調査区・採水地点 2.2.3 田原川の概要 (1) 与那国島 与那国島は、日本最西端の島である。沖縄島から約 509 km、石垣島から約 117 km、台湾 島から約 111 km 離れている。年平均気温は 23.8℃である。冬季は日最大風速 10 m/s を超え る日が半数以上となる。与那国島は、周囲約 27.5 km、面積約 28.9 km2 の小さな島ではある が、最西端之地碑やテレビドラマ Dr.コトー診療所の跡地施設、遺跡説もある海底地形、環境 省の「日本の重要湿地 500」に選定されている樽舞湿地や田原川など、数多くの観光・景勝 地を有する。与那国島を象徴する特異な生き物としては、県指定天然記念物で日本最大の蛾 ヨナグニサン、町指定天然記念物の日本在来馬ヨナグニウマがあげられる。与那国町は、祖 納、久部良、および比川の 3 つの集落からなり、役場などがある祖納集落が町の中心的な役 割をもつ。 3.5 ナンタ浜 3.4 ティンダハナタ 祖納集落 3.3 田原湿地 樽舞湿地 3.2 田原水田 2.田原川 久部良集落 比川集落 3.1 宇良部岳 日本最西端之地碑 Dr.コトー診療所 与那国島および田原川流域の観光・景勝地位置図 与那国島 台湾島 111km 117km 509km 沖縄島 石垣島 Google マップ 与那国島の位置 最西端之地碑 図 国土地理院 (2) 田原川 田原川は、与那国島最高峰宇良部岳(標高 231 m)の山麓を源流とし、祖納集落の南側を 流れ、東シナ海に注ぐ流程 2 km 未満の小河川である。河口から約 600 m 上流までが感潮域 である。田原川は、多くの貴重な生き物の生息地となっている。国内では与那国島でしか生 息しないアオナガイトトンボ、トゲアシアメンボ、およびタイワンタガメなどが確認されて いる。アオナガイトトンボは、与那国島でも田原川上流の清流でしか確認されていない。貝 類では、ともに環境省の絶滅危惧種 I 類に指定されているスグカワニナとヨシカワニナをは じめ多くの種が確認されている。魚類・甲殻類もタメトモハゼやルリボウズハゼ、ツブテナ ガエビなどの貴重種が確認されている。田原川の水は、源流部の湧水が上水取水され、下流 部でも水田に汲み上げられており、人々の生活に欠かせないものとなっている。このほか田 原川流域は、次ページから示す通り与那国島の文化、信仰、自然、および歴史などが集約さ れている。一方、一部では集落や農地からの汚水・濁水の流入によってヘドロや悪臭が発生 し、ナイルティラピアやスクミリンゴガイなどの外来生物の定着も見られる。 開さく前後の田原川 開さく前 開さく後(明治 35 年ごろ) 河口がナンタ浜の東にある 河口が現在の位置に開かれる 1962 年の田原川 1976 年の田原川 1986 年の田原川 1994 年の田原川 (3) 田原川周辺 1) 宇良部岳(田原川源流) 山麓の湧水が田原川に注ぐ宇良部岳は、その山容の美しさをたたえて宇良部富士とも 呼ばれ、また、与那国島における御嶽信仰の集中点でもある。宇良部岳は与那国島本来 の植生が残されており、山頂部から南斜面の尾根部には、県内の分布が与那国島と沖縄 島北部の山地に限られるウラジロガシの林が発達している。宇良部岳ヨナグニサン生息 地は、県の天然記念物に指定されている。 2) 田原水田(田原川中流) 田原川流域に広がる水田地帯は、かつて密林の沼沢地で浮島の間を小舟で往来してい たと考えられている。田原水田は、水田として開拓されたのちも 50 年ほど前まで、大人 でも足が底に着かない深田もあり、小舟を用いて稲作が行われていたという。 3) 田原湿地(田原川下流) 田原川の南側にある田原湿地は、島内最良の野鳥観察ポイントとされ、植林されたマ ングローブ林などが多くの野鳥のねぐらになっている。なお与那国島は、国内有数の探 鳥地であり、日本産 6 割に相当する 300 種以上の野鳥が確認されている。 4) ティンダハナタ(田原川下流) ティンダハナタは、サンゴ礁の隆起によってできた高さ約 100 m の断崖絶壁であり、 祖納集落を一望できる天然の展望台でもある。ティンダハナタは、15 世紀末に実在した とされる女首長サンアイイソバが住んでいた場所とも言われている。サンアイイソバは、 伝説では乳房が 4 つあり、男 3 人よりも大きい巨体の女武士であったという。 5) 田原川河口およびナンタ浜 田原川の河口は、明治 22 年に新しく開削された。引き続き宅地として埋め立てが行わ れるまで、高波は現在の田原水田まで押し寄せていたという。河口に隣接する砂浜は、 ナンタ浜といい民謡「ナンタ浜」が生まれた場所である。 植林されたマングローブ林 田原川マングローブ林とティンダハナタ ティンダハナタ サンアイイソバの碑 祖納集落 田原川河口 ナンタ浜 田原川 ティンダハナタからの眺望 出典: 岩瀬博・松浪久子・冨里康子・長浜洋子(編)(1983)与那国島の昔話.同朋舎出版,京都. 沖縄県八重山支庁農業水産整備課・財団法人沖縄県環境科学センター(2005)島仲、野底地区環境影 響評価業務(与那国町)報告書. 宇山大樹(2011)野鳥の記録,与那国島.文一総合出版,東京. 与那国町史編集委員会事務局(編)(2002)町史第一巻,交響する島宇宙日本最西端与那国島の地名 と風土.与那国町役場,与那国町. 気象庁,http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/cdrom/report/html/7_1_1c.htm 2.2.4 重要な生物,地域を代表する生物の現状 (1) 魚類 1) 現地調査の結果 魚類の現地調査結果の概要を表 2.2.7、各調査区間における各種の出現状況を表 2.2.8 に示す。 表 2.2.7 田原川における魚類現地調査結果の概要 河川区間 調査結果の概要 取水堰上流区間 遊泳魚は外来魚グッピーのみであった。重要種はルリボウズハゼとカエルハ ゼが認められた。その他はカワアナゴ属であった。 上流区間 取水堰近くでは、ユゴイとオオクチユゴイが優占し、多数のナンヨウボウズ ハゼとルリボウズハゼに加え、重要種タメトモハゼも認められた。取水堰上 流区間と合わせ重要種の主な生息地となっていることから保全が望まれる。 他の区間内では外来魚ナイルティラピアが優占し、生物相も貧弱であった。 中流区間 外来魚カダヤシとナイルティラピアが優占した。カワアナゴ属と重要種オオ ウナギが比較的多く見られ、タネカワハゼやテングヨウジなども認められた。 湿地内水路区間 中流区間と同様にカダヤシとナイルティラピアが優占したが、周縁性魚類の ボラや一生を汽水域で過ごす重要種コモチサヨリも比較的多く認められた。 上流側で大型のオオウナギも見られた。 下流区間 ナイルティラピアが優占し、他の区間と比べ特に高密度で見られた。海水の 影響が強くゴマフエダイ、クロホシマンジュウダイ、および重要種ホシマダ ラハゼなど他の区間では認められない種が多かった。 表 2.2.8 現地調査での各調査区間における各種の出現状況 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 和名 オオウナギ ボラ コモチサヨリ カダヤシ グッピー テングヨウジ タカサゴイシモチ属 ギンガメアジ属 ゴマフエダイ オキフエダイ ヒメツバメウオ ユゴイ オオクチユゴイ ナイルティラピア カワアナゴ属 タメトモハゼ ホシマダラハゼ タネカワハゼ ミツボシゴマハゼ ルリボウズハゼ カエルハゼ ナンヨウボウズハゼ クロホシマンジュウダイ クロハギ属 24種 +:1~5、++:6~10、+++:11~ 下流 +++ ++ 湿地内水路 + +++ ++ +++ 調査区間 中流 ++ 上流 取水堰上流 +++ +++ + + + ++ + +++ ++ +++ +++ + ++ +++ +++ ++ +++ +++ +++ +++ + + + +++ +++ +++ ++ + + ++ + +++ ++ + +++ ++ + 15種 9種 9種 7種 4種 2) 田原川の魚類 既往文献と現地調査における確認種一覧を表 2.2.9、重要種の出現状況を表 2.2.10、お よび外来魚の出現状況を表 2.2.11 に示す。 魚類は既往文献では 9 目 23 科 52 種、現地調査では 7 目 16 科 24 種が確認され、外来 魚グッピーがはじめて記録された。重要種のオオウナギ、コモチサヨリ、タメトモハゼ、 ホシマダラハゼ、ルリボウズハゼ、およびカエルハゼは、既往文献、現地調査ともに認め られ、継続的に分布していると考えられる。 これらのうち特にルリボウズハゼとカエルハゼの希少性が高く、流程分布も限定的であ ることから、生息が認められた取水堰周辺の改修は慎重を要する。 取水堰下流は、ユゴイ、オオクチユゴイ、およびナンヨウボウズハゼも多数みられ、こ れら在来魚にとって良好な生息地であることが示唆される。 一方その他の区間は、外来魚ナイルティラピアが多数認められ、優占種となっていた。 表 2.2.9 魚類確認種一覧 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 目 科名 カライワシ イセゴイ ウナギ ウナギ ネズミギス サバヒー ボラ ボラ ダツ カダヤシ サヨリ カダヤシ トゲウオ スズキ ヨウジウオ タカサゴイシモチ 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 カレイ 53 9目 テンジクダイ アジ フエダイ クロサギ ヒメジ ヒメツバメウオ シマイサキ ユゴイ カワスズメ カワアナゴ ハゼ クロホシマンジュウダイ ニザダイ ダルマガレイ ササウシノシタ 23科 和名 イセゴイ ニホンウナギ オオウナギ サバヒー コボラ オニボラ ボラ コモチサヨリ カダヤシ グッピー テングヨウジ トゲナガタカサゴイシモチ ナンヨウタカサゴイシモチ セスジタカサゴイシモチ タカサゴイシモチ属 カガミテンジクダイ オニヒラアジ ギンガメアジ ギンガメアジ属 マルコバン ゴマフエダイ オキフエダイ ミナミクロサギ モンツキアカヒメジ ヒメツバメウオ コトヒキ ユゴイ オオクチユゴイ ナイルティラピア チチブモドキ テンジクカワアナゴ カワアナゴ属 タメトモハゼ ホシマダラハゼ ヒトミハゼ イワハゼ ノボリハゼ クチサケハゼ ミナミサルハゼ タネカワハゼ ミツボシゴマハゼ カスミハゼ タネハゼ インコハゼ ミナミヒメハゼ ミナミトビハゼ ミナミハゼ ルリボウズハゼ カエルハゼ ナンヨウボウズハゼ ツムギハゼ シマヨシノボリ ハゼ亜科の1種 クロホシマンジュウダイ クロハギ属 トゲダルマガレイ オトメウシノシタ 53種 既往文献:吉郷(2000)、増田・小野(1988) 学名 Megalops cyprinoides Anguilla japonica Anguilla marmorata Chanos chanos Chelon macrolepis Ellochelon vaigiensis Mugil cephalus Zenarchopterus dunckeri Gambusia affinis Poecilia reticulata Microphis brachyurus brachyurus Ambassis buruensis Ambassis interrupta Ambassis miops Ambassis sp. Apogon hyalosoma Caranx papuensis Caranx sexfasciatus Caranx sp. Trachinotus blochii Lutjanus argentimaculatus Lutjanus fulvus Gerres oyena Mulloidichthys flavolineatus Monodactylus argenteus Terapon jarbua Kuhlia marginata Kuhlia rupestris Oreochromis niloticus Eleotris acanthopoma Eleotris fusca Eleotris spp. Ophieleotris sp. Ophiocara porocephala Psammogobius biocellatus Glossogobius celebius Oligolepis acutipennis Oligolepis stomias Oxyurichthys visayanus Stenogobius sp. Pandaka trimaculata Acentrogobius janthinopterus Callogobius tanegasimae Exyrias puntang Favonigobius reichei Periophthalmus argentilineatus Awaous ocellaris Sicyopterus lagocephalus Sicyopus leprurus Stiphodon percnopterygionus Yongeichthys criniger Rhinogobius nagoyae Gobiinae Scatophagus argus Acanthurus sp. Bothus pantherinus Parachirus xenicus 既往文献 現地調査 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 52種 24種 表 2.2.10 魚類重要種の出現状況 No. 和名 1 2 3 4 5 6 7 ニホンウナギ オオウナギ コモチサヨリ タメトモハゼ ホシマダラハゼ ルリボウズハゼ カエルハゼ 7種 沖縄県RDL 環境省RDL 水産庁DB 情報不足 減少種 準絶滅危惧 絶滅危惧IB類 絶滅危惧IB類 絶滅危惧II類 絶滅危惧IB類 絶滅危惧IB類 絶滅危惧IA類 絶滅危惧IA類 3種 6種 1種 既往 文献 ● ● ● ● ● ● ● 7種 調査区間 下流 ++ 湿地内 水路 + ++ 中流 上流 取水堰 上流 ++ + ++ +++ 2種 2種 1種 2種 ++ + 2種 既往文献:吉郷(2000) +:1~5、++:6~10、+++:11~ 沖縄県 RDB:「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)レッドデータおきなわ」(沖縄県 2005 年) 環境省 RL:「環境省報道発表資料 第4次レッドリストの公表について(汽水・淡水魚類)(お知らせ).(別途資料 7)環境省第 4 次レッドリス ト(汽水・淡水魚類)(環境省 2013 年) 水産庁 DB:「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」(水産庁 1998 年) 表 2.2.11 外来魚の出現状況 No. 和名 1 カダヤシ 2 グッピー 3 ナイルティラピア 3種 特定 要注意 外来生物 外来生物 ● 1種 ● ● 2種 日本 W100 世界 W100 既往 文献 ● ● ● 1種 ● 2種 調査区間 下流 湿地内 水路 +++ 中流 上流 取水堰 上流 +++ +++ 1種 +++ 1種 +++ 2種 既往文献:吉郷(2000) +:1~5、++:6~10、+++:11~ 特定外来生物・要注意外来生物:「特定外来生物等一覧、要注意外来生物リスト」(環境省 2011 年) 日本 W100:「日本の侵略的外来種ワースト 100」(日本生態学会 2002 年) 世界 W100:「世界の外来侵入種ワースト 100」(国際自然保護連合 2001 年) +++ 2種 +++ 1種 1種 (2) 貝類 1) 現地調査の結果 貝類の調査結果の概要を表 2.2.12、各調査区間における各種の出現状況を表 2.2.13、 示す。 表 2.2.12 田原川における貝類現地調査結果の概要 河川区間 取水堰上流区間 調査結果の概要 腹足類(巻貝類)のみが出現し、取水堰の側面や転石にはアマオブネガイ科が、 河床にはヨシカワニナがそれぞれ優占する。重要種は 8 種が確認され、アマオブ ネガイ科(5 種)が優占する。外来種はスクミリンゴガイが記録された。 上流区間 腹足類(巻貝類)のみが出現し、河床や転石にはアマオブネガイ科やヨシカワニ ナが優占する。重要種は 10 種が確認され、そのうちアマオブネガイ科のオカイシ マキは上流区間の一部でのみ生息が確認されている。外来種はスクミリンゴガイ が記録された。 中流区間 腹足類(巻貝類)のみが出現し、河床や転石にはアマオブネガイ科やヨシカワニ ナが優占する。重要種は 12 種が確認され、アマオブネガイ科のクリグチカノコや カバグチカノコ、トウガタカワニナ科のヨシカワニナは多産する。外来種はスクミリ ンゴガイが記録され、卵塊も目立つ。 湿地内水路区間 腹足類(巻貝類)2 種が出現し、砂泥質の底質にはヌノメカワニナが、湿原植物の 水没した葉などにはオキナワミズゴマツボの生息が確認された。上記 2 種は重要 種である。 下流区間 腹足類(巻貝類)のみが出現し、河床や転石にはトウガタカワニナ科のヨシカワニ ナ等が優占する。重要種は 4 種が確認され、トウガタカワニナ科の複数種が多産 する。外来種はスクミリンゴガイが記録され、卵塊も目立つ。 表 2.2.13 現地調査での各調査区間における各種の出現状況 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 和名 アカグチカノコ クリグチカノコ カバグチカノコ クロズミアカグチカノコ ムラクモカノコ シマカノコ ドングリカノコ ツバサカノコ オカイシマキ イガカノコ イシマキ フネアマガイ スクミリンゴガイ ウスイロオカチグサ オキナワミズゴマツボ イボアヤカワニナ トウガタカワニナ ヌノメカワニナ スグカワニナ ヨシカワニナ クルマヒラマキ 21種 +:1~5、++:6~10、+++:11~ 下流 湿地内水路 調査区間 中流 + +++ +++ 上流 ++ ++ +++ + +++ + +++ + +++ + +++ +++ +++ +++ 6種 2種 +++ + +++ +++ +++ + +++ ++ +++ + +++ 17種 取水堰上流 + + ++ ++ +++ +++ + + + +++ +++ +++ +++ +++ +++ + +++ + +++ + 14種 +++ 10種 2) 田原川の貝類 既往文献と現地調査における確認種一覧を表 2.2.14、重要種の出現状況を表 2.2.15、 および外来生物の出現状況を表 2.2.16 に示す。 貝類は既往文献では 5 目 8 科 32 種、現地調査では 4 目 6 科 21 種が確認された。既往 文献で確認され、今回の調査で未確認であった種の多くは、汽水種であり、調査範囲外の 海岸周辺に見られる種である。また、今回の調査で、初めてトウガタカワニナ科のスグカ ワニナの生息が確認された。本種は沖縄県 RDB で絶滅危惧ⅠB 類に、環境省 RDL で絶滅 危惧Ⅰ類にそれぞれ指定され、田原川水系でも個体数(調査全体での生息確認数は 5 個体 未満)は少ないことから、生息域の保全は必須である。 貝類の出現種数は、中流域より上流側で多い傾向にあった。湿地内や下流では、中流域 から上流で優占するアマオブネガイ類が出現しないため、出現種数は少ない。 重要種は 16 種が確認された。それらは主にアマオブネガイ科とトウガタカワニナ科に 属する種である。重要種のうち、ヨシカワニナやスグカワニナは前述したように産地が限 られ、ヨシカワニナに関しては県内での最大規模の健全な産地であることから、生息地の 保全は必須である。 外来種として、今回の調査ではスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の生息が確認され た。本種は取水堰上流でも分布が確認されており、分布の拡大には留意する必要がある。 表 2.2.14 貝類確認種一覧 目 科 No. 1 アマオブネ アマオブネ 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 原始紐舌 タニシモドキ カワザンショウガイ 21 盤足 ミズゴマツボ 22 トウガタカワニナ 23 24 25 26 27 28 29 有肺 30 基眼 31 32 5目 サカマキガイ モノアラガイ ヒラマキガイ 8科 和名 ウコンアマガイ アカグチカノコ クリグチカノコ カバグチカノコ クロズミアカグチカノコ ムラクモカノコ シマカノコ ドングリカノコ ヒロクチカノコ コハクカノコ ツバサカノコ オカイシマキ イガカノコ カノコガイ ヒメカノコ ハナガスミカノコ イシマキ フネアマガイ ベッコウフネアマガイ スクミリンゴガイ ウスイロオカチグサ オキナワミズゴマツボ イボアヤカワニナ トウガタカワニナ ヌノメカワニナ ネジヒダカワニナ スグカワニナ ヨシカワニナ サカマキガイ ヒメモノアラガイ クルマヒラマキ ヒラマキミズマイマイ 32種 既往文献:増田・小野(1988)、天野(2003) ※1:タケノコカワニナ St. rufescens とされていたもの 学名 Nerita bensoni Neritina petiti Neritina squamapicta Neritina pulligera Neritina sp. Neritina variegata Neritina turrita Neritina plumbea Neritina cornucopia Neritilia rubida Neripteron subauriculata Neritodryas cornea Clithon corona Clithon faba Clithon oualaniensis Clithon chlorostoma Clithon retropictus Septaria porcellana Septaria lineata Pomacea canariculata Paludinrlla devilis Stenothyra basiangulata Tarebia granifera Thiara (Plotiopsis) scabra Melanoides tuberuculata Sermyla riqueti Stenomalania uniformis Stenomalania juncea Physa acuta Fossaria ollula Hippeutis cantori Gyraulus chinensis spirillus 既往文献 現地調査 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●※1 ● ● ● ● ● ● ● 32種 21種 表 2.2.15 貝類重要種の出現状況 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 和名 アカグチカノコ クリグチカノコ カバグチカノコ クロズミアカグチカノコ ムラクモカノコ シマカノコ ヒロクチカノコ コハクカノコ ツバサカノコ オカイシマキ イシマキ フネアマガイ ベッコウフネアマガイ オキナワミズゴマツボ イボアヤカワニナ ヌノメカワニナ ネジヒダカワニナ スグカワニナ ヨシカワニナ クルマヒラマキ ヒラマキミズマイマイ 21種 沖縄県RDL 環境省RDL 絶滅危惧II類 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 絶滅危惧II類 準絶滅危惧 絶滅危惧II類 絶滅危惧II類 準絶滅危惧 水産庁DB 準絶滅危惧 準絶滅危惧 希少種 準絶滅危惧 準絶滅危惧 絶滅危惧II類 減少種 減少傾向 情報不足 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 絶滅危惧II類 絶滅危惧IB類 絶滅危惧I類 絶滅危惧II類 絶滅危惧I類 絶滅危惧II類 情報不足 準絶滅危惧 14種 15種 減少種 4種 既往 文献 調査区間 下流 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●※1 ● ● ● 21種 湿地内 水路 +++ 取水堰 上流 + + ++ ++ +++ + + +++ +++ +++ + + +++ + +++ + +++ 12種 10種 8種 中流 上流 + +++ +++ ++ ++ + + + +++ + +++ +++ +++ +++ +++ 4種 2種 + +++ +++ +:1~5、++:6~10、+++:11~ 既往文献:増田・小野(1988)、天野(2003) ※1:タケノコカワニナ St. rufescens とされていたもの 沖縄県 RDB:「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)レッドデータおきなわ」(沖縄県 2005 年) 環境省 RL:「環境省報道発表資料 第 4 次レッドリストの公表について.(別添資料 7-6)貝類のレッドリスト」(環境省 2012 年) 水産庁 DB:「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」(水産庁 1998 年) 表 2.2.16 外来生物の出現状況 No. 和名 1 スクミリンゴガイ 2 サカマキガイ 3 ヒメモノアラガイ 3種 特定 要注意 日本 世界 既往 外来生物 外来生物 W100 W100 文献 0種 ● ● ● ● 1種 2種 1種 ● ● ● 3種 調査区間 下流 湿地内 水路 +++ 1種 0種 +:1~5、++:6~10、+++:11~ 既往文献:増田・小野(1988)、天野(2003) 特定外来生物・要注意外来生物:「特定外来生物等一覧、要注意外来生物リスト」(環境省 2011 年) 日本 W100:「日本の侵略的外来種ワースト 100」(日本生態学会 2002 年) 世界 W100:「世界の外来侵入種ワースト 100」(国際自然保護連合 2001 年) 中流 上流 +++ +++ 取水堰 上流 +++ 1種 1種 1種 (3) 甲殻類・水生昆虫 1) 現地調査の結果 甲殻類・水生昆虫の調査結果の概要を表 2.2.17、各調査区間における各種の出現状況 を表 2.2.18 示す。 表 2.2.17 田原川における甲殻類・水生昆虫現地調査結果の概要 河川区間 取水堰上流区間 調査結果の概要 地域の水源地であることから、底質の巻き上げ等に配慮し、節足動物の採 集を行わなかった。基本的には、取水堰下流(上流区間)と同様な甲殻類・ 水生昆虫類相を有するものと考えられる。 上流区間 瀬ではオニヌマエビが優占し、淵ではコンジンテナガエビが優占した。ま た、昆虫類もコカゲロウ属、ヒゲナガトビケラ科、ヒメドロムシ科、イト トンボ類など多様な分類群の生物が確認された。 中流区間 マングローブ周辺でイッテンコテナガエビやオカガニ類などの甲殻類を確 認し、それより上流左岸沿いの湿生植物の根本などでトンボ類幼虫を確認 した。マングローブ付近で重要種スベスベテナガエビを確認した。マング ローブは、ヤエヤマヒルギの気根が密生しており、人が内部まで入ること は困難であるが、そうした中に非常に多くのオカガニやミナミオカガニが 生息していた。河床は泥が厚く堆積しており、甲殻類・水生昆虫類相は貧 弱であった。 湿地内水路区間 水中部はアオナガイトトンボの幼虫が優占するが、その他の甲殻類・水生 昆虫類は多くはなく、貧弱な生物相を示した。湿地内水路の山側の斜面で 重要種のオオアシハラガニモドキの個体群を確認した。 下流区間 泥質の河岸部ではベニシオマネキが優占した。わずかに存在する植生帯の 根本でアオナガイトトンボやエビ類などが確認された。 表 2.2.18 現地調査での各調査区間における各種の出現状況 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 和名 コカゲロウ属の1種 アカナガイトトンボ アオナガイトトンボ リュウキュウベニイトトンボ アオモンイトトンボ アジアイトトンボ ギンヤンマ オオシオカラトンボ タイワンシオカラトンボ シオカラトンボ属の1種 タイリクショウジョウトンボ ホソミセスジアメンボ ヒゲナガトビケラ科の1種 ブユ科の1種 コマルケシゲンゴロウ ヒメドロムシ科の1種 端脚目の1種 オニヌマエビ イッテンコテナガエビ スベスベテナガエビ コンジンテナガエビ ヒラテテナガエビ ベニシオマネキ オカガニ ミナミオカガニ オオアシハラガニモドキ 25種 下流 ++ 調査区間※1 湿地内水路 中流 ● +++ ++ 上流 ++ ● ++ ● ● ● ● ● ● ● ● ++ ● +++ +++ + + +++ +++ +++ ++ + + + ++ + +++ +++ +++ 7種 +++ 6種 9種 11種 +:1~5、++:6~10、+++:11~ ●:現地で同定を行なっていないため個体数の情報が不明なもの 甲殻類・水生昆虫類類については、底質等の巻上げに配慮し、取水堰上流での採集は行わなかった。 2) 田原川の甲殻類・水生昆虫 既往文献と現地調査における確認種一覧を表 2.2.19、重要種の出現状況を表 2.2.20 に 示す。 甲殻類・水生昆虫類は既往文献では 10 目 23 科 41 種、現地調査では 8 目 16 科 26 種が 確認された。既往調査で確認され今回の調査で確認されなかった主な種は、トビケラ類、 ハエ類及びガムシ類などで、調査頻度・調査季節の違いを反映したものと考えられる。上 流区間を除くと調査対象区域の甲殻類・水生昆虫類群の多様性はあまり高くない。 重要種は既往調査も併せ 4 種が確認されている。アオナガイトトンボは、沖縄県 RDB で絶滅危惧Ⅰ類に、環境省 RDL で絶滅危惧 II 類にそれぞれ指定され、国内では田原川水 系にのみ生息していることから重要性は高い。湿地内水路で優占しており、上流区間と合 わせて重要な生息環境になっているものと考えられる。沖縄県 RDB で準絶滅危惧に指定 されているスベスベテナガエビは中流区間と下流区間で確認された。また、湿地内水路の 左岸側(山側斜面)において沖縄県 RDB で絶滅危惧 II 類に指定されているオオアシハラ ガニモドキのまとまった個体群を確認している。甲殻類及び昆虫類の外来種は確認されな かった。 表 2.2.19 甲殻類・水生昆虫類確認種一覧 No. 高次分類群 目 科名 和名 学名 既往文献 現地調査 ヒメシロカゲロウ ヒメシロカゲロウ属の1種 Caenis sp. ● コカゲロウ フタバカゲロウ属の1種 Cloeon sp. ● コカゲロウ属の1種 Baetis sp. ● ● アカナガイトトンボ Pseudagrion pilidorsum pilidorsum ● ● 5 アオナガイトトンボ Pseudagrion microcephalum ● ● 6 リュウキュウベニイトトンボ Ceriagrion auranticum ryuk yuanum ● ● 7 アオモンイトトンボ Ischnura senegalensis 8 アジアイトトンボ Ischnura asiatica 1 昆虫類 カゲロウ 2 3 4 トンボ イトトンボ ● ● 9 ヤンマ ギンヤンマ Anax parthenope julius ● ● 10 トンボ オオシオカラトンボ Orthetrum triangulare melania ● ● タイワンシオカラトンボ Orthetrum glaucum ● ● シオカラトンボ属 Orthetrum sp. タイリクショウジョウトンボ Crocothemis servilia servilia ● ミズムシ トカラコミズムシ Sigara distorta ● アメンボ 11 12 13 カメムシ 14 ● セスジアメンボ Limnogonus (Limnogonus) fossarum fossarum ● 15 ホソミセスジアメンボ Limnogonus (Limnogonus) hungerfordi ● 16 タイワンシマアメンボ Metrocoris esak ii Leptoceridae ● コタニガワトビケラ属の1種 Chimarra sp.1 ● 19 ムネカクトビケラ Ecnomus tenellus ● 20 イワトビケラ属の1種 Polycentropus sp. ● 17 トビケラ 18 ヒゲナガトビケラ ヒゲナガトビケラ科の1種 トビケラ ヒメトビケラ ヒメトビケラ属の1種 Hydroptila sp. ● 22 シマトビケラ ミヤマシマトビケラ属の1種 Diplectrona sp. ● 23 カクツツトビケラ コカクツツトビケラ属の1種 Lepidostoma sp. ● 24 チョウ ミズメイガ テンマクミズメイガ属の1種 Eoophyla sp. ● 25 ハエ ガガンボ ガガンボ科の数種 Tipulidae ● 26 カ ハマダラカ属の1種 AnopheIes sp. ● 27 ユスリカ ユスリカ科の数種 Chironomidae ● 28 ブユ ブユ科の1種 Simuliidae コマルケシゲンゴロウ Hydrovatus acuminatus タマケシゲンゴロウ Herophydrus rufus ● コウチュウ ゲンゴロウ 30 31 ガムシ ● ● ウスグロヒラタガムシ Enochrus uniformis ● 32 ミナミヒメガムシ Sternolophus inconspicuus ● 33 ヒメガムシ Sternolophus rufipes ● 34 タマガムシ ● 35 ● ● 21 29 ● ヒメドロムシ ヒメドロムシ科の1種 Amphiops mater Elmidae - コウチュウ目の数種(幼虫) COLEOPTERA ● ● 36 甲殻類 ワラジムシ ミズムシ ミズムシ科の1種 Asellidae ● 37 ヨコエビ - 端脚目の1種 Amphipoda ● ● 38 エビ ヌマエビ オニヌマエビ Atyopsis spinipes ● ● 39 ツノナガヌマエビ Caridina longirostris ● 40 リュウグウヒメエビ Caridina weberi ● 41 トゲナシヌマエビ Caridina typus ● イッテンコテナガエビ Palaemon concinnus 43 スベスベテナガエビ Macrobrachium equidens 44 コンジンテナガエビ Macrobrachium lar ● 45 ツブテナガエビ Macrobrachium gracilirostre ● 42 テナガエビ 46 ● ● ● ヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum 47 スナガニ ベニシオマネキ Uca chlorophthalma crassipes 48 オカガニ オカガニ Cardisoma hirtipes ● ● ミナミオカガニ Cardisoma carnifex ● ● オオヒライソガニ Varuna litterata ● 51 オオアシハラガニモドキ Neosarmatium fourmanoiri 52 イボショウジンガニ Plagusia tuberculata 49 50 イワガニ 10目 27科 52種 ● ● ● ● 41種 26種 表 2.2.20 甲殻類・水生昆虫類重要種の出現状況 No. 1 2 3 4 和名 アオナガイトトンボ スベスベテナガエビ ツブテナガエビ オオアシハラガニモドキ 4種 沖縄県RDL 環境省RDL 絶滅危惧I類 絶滅危惧II類 準絶滅危惧 準絶滅危惧 準絶滅危惧 絶滅危惧II類 4種 2種 水産庁DB 0種 既往 文献 下流 ● ● ● ++ + 3種 2種 調査区間 湿地内 中流 水路 +++ ++ + +++ 2種 +:1~5、++:6~10、+++:11~ ●:現地で同定を行なっていないため個体数の情報が不明なもの 甲殻類・水生昆虫類類については、底質等の巻上げに配慮し、取水堰上流での採集は行わなかった。 2種 上流 ++ 1種 (4) 水生植物 1) 現地調査の結果 水生植物の調査結果の概要を表 2.2.21、各調査区間における各種の出現状況を表 2.2.22 に示す。 表 2.2.21 田原川における水生植物現地調査結果の概要 河川区間 取水堰上流区間 調査結果の概要 4 種の藻類の生育が確認された。それらは、取水堰の側面や沈木、転石表 面に見られた。重要種は 3 種が確認され、そのうちチョウチンミドロ属の 1 種は、過去の調査事例でも未確認であり、未記載種の可能性がある。 上流区間 3 種の藻類の生育が確認された。それらは、河床や転石表面に見られた。 重要種は 2 種が確認され、タンスイベニマダラやチョウチンミドロは、過 去の調査事例でも記録されている。なお、産地が限定的なチョウチンミド ロに関しては、田原川の生育地は県内の重要な生育地の一つとなっている。 また外来種のホテイアオイの生育が確認された。 中流区間 ホテイアオイが記録され、大型藻類の生育は確認されなかった。 湿地内水路区間 水生植物や大型藻類の生育は確認されなかった。 下流区間 2 種の藻類の生育が確認された。それらは、河床や転石表面に見られた。 重要種は 1 種が確認され、タニコケモドキは、転石などの上にマット上に 生育し、また本種は過去の調査事例でも記録されている。水生植物として、 外来種のホテイアオイの生育が確認された。 表 2.2.22 現地調査での各調査区間における各種の出現状況 No. 1 2 3 4 5 6 7 和名 チョウチンミドロ チョウチンミドロ属の1種 タンスイベニマダラ ササバアヤギヌ タニコケモドキ ミミモチシダ ホテイアオイ 7種 下流 湿地内水路 調査区間 中流 上流 ● ● ● ● ● 取水堰上流 ● ● ● ● ● ● 3種 1種 ● 1種 ● 4種 4種 2) 田原川の水生植物 既往文献と現地調査における確認種一覧を表 2.2.23、重要種の出現状況を表 2.2.24、 および外来生物の出現状況を表 2.2.25 に示す。 水生植物は既往文献では 3 門 5 綱 10 目 13 科 18 種、現地調査では 3 門 3 綱 4 目 5 科 6 種が確認され、チョウチンミドロ属の未記載種、ササバアヤギヌ、およびホテイアオイが はじめて記録された。 表 2.2.23 水生植物確認種一覧 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 門 綱 緑色植物 車軸藻 アオサ藻 緑藻 紅色植物 紅藻 目 シャジクモ イワズタ 科 シャジクモ チョウチンミドロ ミドリゲ ハゴロモ シオグサ アオサ ウロツリックス カクレイト オオイシソウ イギス アオサ ケトフォラ ベニマダラ オオイシソウ コノハノリ フジマツモ シダ植物 シダ ウラボシ 被子植物 単子葉植物 トチカガミ ユリ 4門 6綱 11目 イノモトソウ トチカガミ ミズアオイ 14科 和名 フシナシシャジクモ チョウチンミドロ チョウチンミドロ属の1種 モツレチョウチン シオグサ属の1種 アオミソウ属の1種 アオサ科の1種 トゲナシツルギ タンスイベニマダラ オオイシソウ アヤギヌ ササバアヤギヌ ヒロハアヤギヌ ホソアヤギヌ アヤギヌ属の1種 タニコケモドキ コケモドキ エダネコケモドキ フタマタコケモドキ ミミモチシダ トチカガミ科 ホテイアオイ 22種 学名 Chara corallina var. kyusyensis Dichotomosiphon tuberosus Dichotomosiphon sp. Boodleopsis pusilla Cladophora sp. Pithophora sp. Ulvaceae Cloniophora plumosa Hildenbrandia rivularis Compsopogon coeruleus Caloglossa leprieurii f. continua Caloglossa vieillardii Caloglossa adhaerens Caloglossa ogasawaraensis Caloglossa sp. Bostrychia simpliciuscula Bostrychia tenella Bostrychia moritziana Bostrychia kelanensis Acrostichum aureum Hydrocharitaceae Eichhornia crassipes 既往文献 現地調査 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 18種 7種 既往文献:香村・岸本(1997)、沖縄県(2005) 表 2.2.24 重要種の出現状況 No. 和名 沖縄県 環境省 水産庁 その他 既往 文献 調査区間 下流 湿地内 水路 中流 上流 取水堰 上流 絶滅危惧II類 絶滅危惧II類 希少種 チョウチンミドロ ● ● チョウチンミドロ属の1種 未記載種 ● モツレチョウチン 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ● タンスイベニマダラ 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ● ● ● 絶滅危惧II類 絶滅危惧II類 危急種 オオイシソウ ● アヤギヌ 準絶滅危惧 ● ヒロハアヤギヌ 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ● ホソアヤギヌ 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ● タニコケモドキ 準絶滅危惧 準絶滅危惧 ● ● ● 絶滅危惧II類 絶滅危惧IB類 ミミモチシダ ● 10種 8種 9種 2種 1種 8種 1種 1種 0種 2種 3種 既往文献:香村・岸本(1997)、沖縄県(2005) 沖縄県 RDB:「改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)レッドデータおきなわ」(沖縄県 2005 年) 環境省 RL:「環境省報道発表資料 第 4 次レッドリストの公表について. (別添資料 7-9)植物 II(維管束植物以外)のレッドリ スト」 (環境省 2012 年) 水産庁 DB:「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック」(水産庁 1998 年) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 表 2.2.25 外来生物の出現状況 No. 1 2 和名 トチカガミ科(カナダモ類) ホテイアオイ 2種 特定 要注意 日本 世界 既往 外来生物 外来生物 W100 W100 文献 0種 ●※1 ● 2種 ●※1 ● 2種 調査区間 下流 湿地内 水路 中流 上流 ● 1種 ● 1種 取水堰 上流 ● ● 1種 1種 ● 1種 0種 既往文献:香村・岸本(1997) ※1:オオカナダモ Egeria densa またはコカナダモ Elodea nuttallii として 特定外来生物・要注意外来生物: 「特定外来生物等一覧、要注意外来生物リスト」(環境省 2011 年) 日本 W100:「日本の侵略的外来種ワースト 100」(日本生態学会 2002 年) 世界 W100:「世界の外来侵入種ワースト 100」(国際自然保護連合 2001 年) 0種 (5) 鳥類 既往文献における与那国島に生息する注目すべき鳥類を表 2.2.26、与那国空港周辺確認種 数を表 2.2.27、重要種の出現状況を表 2.2.28、重要種確認位置図を図 2.2.2、図 2.2.3 に示 す。 与那国島では、シギ類、セイタカシギ類、サギ類、カモ類、などに属する冬鳥、旅鳥の重 要種が多く、水辺を利用しているものと考えらえる。その他、迷鳥ではあるがコウノトリの 飛来や、飛来が非常に稀な冬鳥であるクロツラヘラサギも見られ、水辺を利用しているもの と考えられる。 表 2.2.26 与那国島に生息する注目すべき鳥類 表 2.2.27 空港周辺の鳥類確認種数 出典:与那国空港拡張に関する環境影響評価関連報告書 表 2.2.28 鳥類空港周辺確認重要種 出典:与那国空港拡張に関する環境影響評価関連報告書 図 2.2.2 鳥類重要種確認位置図(出典:与那国空港拡張に関する環境影響評価関連報告書) 図 2.2.3 鳥類重要種確認位置図(出典:島仲・野底地区環境影響評価業務報告書) (6) 植物 与那国島の植物の概要は、 「与那国島の植物」 (与那国町教育委員会,平成 7 年)によると 下記のとおりである。 図 2.2.4 与那国島の植生