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Title 泌尿器系疾患における尿中,血漿中および組織中Epidermal growth
Title Author(s) Citation Issue Date URL 泌尿器系疾患における尿中,血漿中および組織中Epidermal growth factor量の検討 宮崎, 伸一郎 泌尿器科紀要 (1992), 38(8): 919-924 1992-08 http://hdl.handle.net/2433/117628 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 泌 尿 紀 要38:919-924,1992 919 泌 尿 器 系 疾 患 に お け る尿 中,血 漿 中お よび組 織 中 Epidermalgrowthfactor量 の検 討 長 崎大学医学部泌尿器科学教室(主 任=斉 藤 宮 CLINICAL STUDY CONTENTS OF IN URINE, PATIENTS 崎 THE 伸 一 WITH 郎 EPIDERMAL PLASMA GROWTH AND TISSUE UROLOGICAL Shinichiro 泰教授) FACTOR FROM THE DISEASES Miyazaki From the Department of Urology, Nagasaki University School of Medicine Contents of epidermal growth factor (EGF) in urine, plasma and tissues in urological diseases were estimated by enzyme immunoassay using beads bound to the anti-EGF antibody, and the clinical significance of the presence of EGF in the disease state was examined. There was no difference in EGF level between healthy male and female subjects (n=22), and the level showed a tendency to decrease with age (p<0.05). The subjects were 19 cases of prostatic cancer, 7 of renal cancer, and 12 of urinary bladder cancer. The difference in EGF level between the healthy subjects and patients was not significant, and the levels were shown to be lower in 8 cases of renal insufficiency (including patients on hemodialysis:HD)(p<0.01). Plasma EGF levels in the 30 healthy subjects revealed no significant differences related to sex or age. Plasma EGF levels were lower in 42 cases of renal insufficiency (before and after HD), and in 7 cases of renal cancer (p<0.01);they ware significantly lower in 15 cases of prostatic cancer (p<0.05). In tissues including tumor sites, EGF levels were higher particularly in the prostatic gland tissue (hypertrophy and cancer regions). Thus, urinary and plasma EGF levels in urological diseases may be useful parameters of renal function, but its relationship with malignant diseases is still unknown. The EGF level should be explored in relation with the EGF receptor. (Acta Urol. Jpn. 38: 919-924, 1992) Key words: Epidermal growth factor (EGF), Urological disease, Urine, Plasma, Tissue 泌 尿器 科 領域 に お い て は,EGFが 緒 言 増 殖 を強 力 に 促 進 し6-8),一 側 腎 摘 出 後 の代 償 性 腎過 上 皮 成 長 因 子(EpidermalGrowthFactor:以 EGFと 下, 略 す)は,1962年Cohenに よ って 雄 マ ウス 顎 下 腺 か ら発 見 さ れ た1)53個 の ア ミノ 酸 残 基 か ら な る 分 子 量6,045の ペ プ チ ド蛋 白 で あ り,そ Cheon,Gregoryら し,す 物質 は,ヒ トEGFを の 後,1975年, 尿 中 よ り精 製 でに 単 離 され て い た 胃酸 分 泌 抑 制 作 用 を 示 す β一urogastroneと 同一 の もの と 考 え ら れ て い 形 成 に関 与 して い る可能 性 があ る こ と9>,腎 移 植 後 の 移 植 腎 由 来 の 尿 中EGF量 EGFが 胞 の 増 殖,分 化 に 重 要 な 役 割 りを 果 し て い る と 考 え ら れ て い る が,生 体 に お け る 生理 作 用 や の検 討10),膀 胱 癌 の 尿 中 健 常 者 に 比 べ変 化 して い る こ と,前 立 腺 組 織 中 にEGF様 物 質 が存 在 し,前 立 腺 組 織 の増 殖 制 御 に 関 与 して い る可 能 性 が あ る こ と11)などが 報 告 され て い るに す ぎな い. 今 回わ れ わ れ は,健 常 者 お よび 泌尿 器 系 疾 患 に 対 し て 尿 中,血 る2・3). EGFは,細 腎 尿 細 管細 胞 の 漿 中 お よび組 織 中EGFを 測定 し臨 床 的 意 義 に つ い て 検討 した ので 若 干 の文 献 的 考 察 を 加 え報 告 す る. 各種 疾 患 に お け る病 態 生理 学 的 役 割 に つ い て は な お明 らか で な く,臨 床 的 に も,悪 対 象 お よび 方 法 性 腫 瘍 を 含 む一 部 の疾 患 で の 尿 中 や 血 中 で のEGF量 告 さ れ て い る に 過 ぎ な い4・5). の変 動 が あ る こ とが 報 1。 対 象 尿 中EGFは,健 常者 を コ ン トロ ール と し,男 性14 920 名,女 泌 尿 紀要38巻8号1992年 性8名,年 齢分 布 は20∼65歳(平 均34歳)の 22例,泌 尿 器 疾 患 群 と して前 立 腺 癌19例,腎 膀 胱腫 瘍12例,血 壽㎜ 癌8例, 液 透析 を 含む 慢 性 腎不 全8例,ク シ ン グ症 候 群4例,水 腎症4例,尿 ッ 道腫 瘍3例,尿 性6名,女 道 齢分 布 は19∼67歳(平 均40歳) 2例,ク 立 腺 癌15例,腎 癌7例,前 200 量 £ の30例,泌 尿 器 疾 患 群 と して血 液 透析 前 後 を 含 む 慢 性 腎 不 全42例,前 600 芭 400 書毒 常 者 を コ ン トロー ル と し,男 性24名,年 ξ f:09畷 喫 狭 窄1例 の59例 を 対象 と して検 討 した. 血 漿 中EGFは,健 800 ■ 茎 o 立 腺 肥 大症 00.832t2.8 ッ シ ング症 候 群2例 の68例 を対 象 と して 検 討 hEGF(㎎/刷, した. Assaywascarriedoutasdescribedin 組 織 中EGFは,同 一 検体 の腫 瘍 部 お よび正 常 組 織 部 を 含 め,腎 組 織(腎 細 胞 癌 ・正 常部)2症 例,膀 胱 組 織(移 行 上 皮 癌 ・正常 部,平 滑筋 腫)2症 例,前 materialsandmethods. Fig.LDose-ResponseCurveforhEGFenzyme lmmunoassay。 立 腺 組 織(腺 癌,肥 大 症)ll症 例,副 腎 組 織(褐 色細 胞 腫,ク ッ シ ング症 候 群)4症 肝 癌 ・正常 部)1症 例,肝 臓 組 織(転 移 性 例,精 巣 組 織(セ ミ ノーマ)1症 選 択 的 に反 応 す る とい う抗 原 抗 体 反 応 の特 異 性 に基 づ く反 応 を 応 用 した 測 定 法 で あ り,radioim・ 例 に つ い て検 討 した. 2.方 EGFに munoassay(RIA)法 法 に お け る被 爆 に 対 す る 安 全 対 策や 試 料 の安 定 性 が 悪 い点 を考 慮 し14),EIA法 試 料(検 体)は,血 漿 に つ い て は血 中 のEGFを 測 定 す る場 合,血 清 を用 い る と,凝 集 した 血 小板 の 分 泌穎 粒 由 来 の 大量 のEGFが 混 入 し,正 にて 検 討 した, 結 しい病 態 に 応 じたEGFを 測 定 す る うえ で不 都 合 と な る点 を考 慮 し,EDTA採 血 に よ りえ られ た 血漿 か ら,さ らに 血小 板 を 除 き(IO,OOOgに て 遠 心),そ の上 清 成 分 (plate】etpoorplasma)を 用 い て検 討 した.ま た,尿 ま ず,わ 果 れ わ れ の 確 立 し たEIA法 dose-responsecurveを う に,こ でEGFの 作 成 した.Fig.1に のEIA法 示 す よ で は,0∼12.8ng/mlの ぼ 直 線 と な り,EGFの 測 定 は,こ 範囲でほ の範 囲 で 可 能 と思 は24時 間 蓄 一 尿を 用 い た が,全 例 血 液 の 混入 は 認 め な わ れ た.以 後,尿,血 か った. 測 定 は,こ の 直 線 部 分 に く る よ う にEIAbufferで 組 織 につ い て は,各 組 織 の 湿重 量1gを0.lM酢 酸,pH3.0に し,EIAbufferに EGF測 適 宜 希 釈 し て 行 っ た, て ポ リ トロ ンホ モ ジナ イ ザ ー 一で ホ モ ジ ナ イ ズ し,測 定 時,0,lM水 酸化 ナ トリウ ムで中 和 定 の方 法 は,ウ サ ギを 免疫 して え ら れ た 抗 ・た … リク ロ ーナ ル抗 体(湧 永 製 薬)を チ ・・ …"一 ズ(積 水 化学 φ1・ リス チ レ ン チ ュ ー ブ(12.5×77mm)に 反 応 後 洗 浄 し,そ ・ のチ 中EGF濃 β一 光 強 度 を 蛍 光 分 光 光 度 計(日 本 分 光,FP用 い て 測 定 した(高 齢 と と もに低 下 傾 向を み た 疾 患 別 平 均 尿 中EGF濃 /mg。Cr,ク"1シ 度 は(Fig.2),前 癌27.2ng/mg・Cr,膀 胱腫瘍 ン グ症 候 群14.lng/mg・Cr,水 症39・8ng/mg・cr,尿 か っ た が,慢 立腺癌 液 透 析 を 含 む 慢 性 腎 不 全5.87ng 腎 道 腫 瘍26.ong/mg・crで, 常 者 との 有意 差 を認 め な 惟 腎 不 全 に お い て は 低 下 して い た(Pく O.Ol). つ ぎ に 血 漿 中EGF濃 度 は,Table2の 感 度 サ γ ドイ ヅ チenzymeimmunoassay法:EI- 常 者 の 平 均 値 は,o・424ng/ml男 A)12・13).こ の 方 法 は,EGFに 年 齢 で も 差 を 認 め な か っ た. 対 す る抗体 が試 料 中 の レア て 検 討 し た.Ta- (P<0.05). 悪 性 疾 患 な ど に つ い て は,健 加 えて 度が尿中 ク よ うに 健 常 者 の 平 均 値 は56.1ng/mg・cr 女 に 有 意 差 な く,年 19・9ng/mg・Cr,血 D-galactoside,O・OIMSodiumphosphate,0.i5M 777,Ex360nm,Em450nm)を で,男 ラベルし 60分 後 に 基 質 液(0・15mM4-methylumbelliferyl一 発 色 させ,蛍 ble1の 25・4ngfmg・Cr,腎 ラ グ メ ン トを 反 応 させ た. NaCl,lmMMgCl2,0.5%BSA,PH7.2)を つ い て は,尿 間 加 え 室 温4時 の 後,β 一galactosidascで た 抗 ヒ トEGFF(ab')2フ 固相 …)を 入 れ,そ ュ ー ブ 内 に 検 体 ま た は 標 準EGFを 尿 中EGFに レ ア チ ニ ン濃 度 と よ く 相 関 す る こ と よ り15・16) ,ク チ ニ ン濃 度 で 補 正(ng/mg・Cr)し て 希釈 後,測 定 した. ヒ トEGFポ 液 お よ び 組 織 サ ン プ ル のEGF よ うに 健 女 間 で 有 意 差 な く, 宮 崎=EGF・ 一 方 ,疾 患 別 平 均 血 漿EGF濃 度 は(Fig.3),血 液透 析 前 後 を含 む 慢 性 腎 不 全0.175ng/ml,前 0.136ng/ml,腎 ng/ml,ク 癌0.089ng/m正,前 TableI.Concentrationln urinaryEGF. 立腺癌 立 腺 肥 大症O・064 ッシ ソ グ症 候 群o.327ng/mlで,慢 全 お よび 腎 癌 でP<0.OI,前 立 腺 癌 でP<0.05の Male 86'6±IO81 讐(n=12(n=・2)):1:鵠1「 と,血 液 透 析 患 者,単 ネ 鴛:"9[::お1:撒:]} らに,腎 癌 症 例 で,腫 瘍 摘 除 前 後 の 血 漿 中EGFを Femalc 有意 は,非 常 に低 値 を 示 した もの の,今 回 の 検討 で は2例 しか な く,そ の意 義 は不 明 で あ った.さ normalhuman UrinaryEGF(ng/mg.Cr) Agc(yr) 性腎不 差 を も って低 下 して い た 。前 立 腺 肥 大 症患 者 につ い て EGFレ 921 泌 尿 器系 疾 患 傘 、.8。± 。」 、」 Valuesarethemcans土SD.軍p〈0,05 測 定 してみ る 腎者 お よび高 齢 者 の症 例 で は ベ ル は術 後 改善 しない もの の,残 腎 機 能 の よ 骨_ ・297 言 :・ 留1。o ● ● ら ε :● § : ● ● 碧5。 ● : § 8 ● …: ム 密 ・● ● ● ・● :. ち2 ● 翫● … 鋒 : ● 3・ ● ● 解 ● ● 8 ● o ● con量rolPCRCCBTCRFCushingHydroUTUS nephrosis n:22n:19n=7n=12n:8n=4n:4n=3n:1 *P<0 .Ol PC:prostaticcancerRCC:renalcellcarclnomaBTlbladder tumorCRF:chronicrenalfailureUT:urethraltumorUS: urethralstenosis Fig.2.UrinaryEGFconcentrationsinvariousurologicaldiseases い3例 は 術 後EGFレ 最 後 に,組 ベ ル が 回 復 し た(Fig.4). 織 中EGFの 例 数 が 少 な い た め と,正 測 定 で は(Fig.5),各 し,前 plasmaEGF・ 常 組 織 の 採 取 が 困 難 な た め, 有 意 差 検 定 は で き な か っ た が,前 Agc(yr) 立腺 組 織 で高 値 を示 立 腺 癌 で10.5ng/g・wetweight,前 症 で 平 均12.Ong/g・wetweightの 組織中濃度であ 一19(n=2) 20-29(n=・6) 30∼39(n=6) 一検 体 の腫 瘍 部 お よび正 常組 織 部 を 比 較 し 臓,肝 臓 は 正 常 部 で,膀 Fema亘c O.479 0.286 0.578±0.142 40∼49(n=3) 0.437 0。474±0.143 0.390±0.119 0.352±0.099 0.291±0.075 50∼(n=:13) て み る と,腎 PlasmaEGF(ng/ml) Ma且e 立 腺肥大 った. ま た,同 normalhuman Table2.Concentrationsin 症 0.435±0。162 胱は腫瘍部で高 Valuesarethemeans士SD 値 を 認 めた 。 考 尿 中EGF濃 の 合 成,分 察 度 に つ い ては,老 化 に と もな い,EGF 泌 は 低 下 す る こ とが 報 告 され て い る17). との比 較 検 討 が必 要 と考 え る. 一方 ,慢 性 腎不 全 に お い て は,有 意 に 尿 中EGF 今 回 のわ れ わ れ の 検 討 で も同様 で,加 齢 と と もに尿 中 量 は低 下 して お り,endstageの EGFは の産 生 細 胞 で あ る遠 位 尿 細 管 まで 障害 を受 け て い る可 減 少 す る傾 向に あ る こ とか ら,尿 中EGF 濃 度 の疾 患 群 との 比 較 に は,年 齢 を 一致 させた 対 照 群 腎 に お い ては,EGF 能 性 が 示 唆 され,腎 機 能 の指 標 と して有 用 で あ る と考 922 泌 尿 紀要38巻8号1992年 雨 …厩 ≒==「 一一 「 ● 言1・o ら 5 ● : ● §● § 窪 α5 、● 88 .器 ・ e … 0 霧● 6四 ● 轟轟 ● ● ● : 8 ㌣ ●● controlCRFCRFPCRCCBPHCushhg Ibetore剛lafterwo} n:30n:42n=42n:15n=7n二2n;2 *P<0 .Ol**P<0.05 CRF=chronicrenalfailureHD:hemodialysisPC=prostatlc cancerRCC:renalcellcarcinomaBPH:benignprostatic hypertrophy Flg.3.PlasmaEGFconccntrationsinvariousurologicaldiseases. to 言喜 隠㎝ 回{n;2) Kichey T…ln;2} NOtmtt{n=1) Ttmot`n=1} 齢 § 婁 鞠 O.5 § 8 6叫 「回隔orln3り C置chetne(n:1) Prostate 8PH〔n=⑩1 Pheoc,vo,r,ocytO,,■(n=2) Adtenalgland C酬 ㎎(n=2} Norrntl(n=1} Liver Ttirx)r(n;1} Tunor(n=1} Testis beforeoperationafteroperation 5⑩15 ● 一 ●:normalrenalfunction EGFcontenll㎎ ■ 一 ■:renalhypo噌function Fig。4.PlasmaEGFconcentrationsinpatients ノ9 ,糊 虐weigt,tl Fig.5。HumantissueEGFcontents。 withrenalcancerbeforeandafter nephrectomy・ 腎 癌 お よ び 前 立 腺 癌 に おい て は,有 え られ た 。 泌尿 器 系 の悪 性 疾 患 との 関 連 性 に つ い て は,EGF は移 行 上 皮 癌細 胞を 増 殖 させ る こ と よ り,尿 路 系 の 腫 瘍 発 生 の重要 な一 因 子 と考 え られ て お り18),ま た 各 種 の悪 性 腫 瘍患 者 に おい て,尿 中EGF排 泄 が増 加 し EGFが 低下 して い た が,こ EGFの 消 費 の充 進(EGFreceptorと の結 合)に 前 立 腺 癌 に お い て は,EGFreceptorに 度 が 高 い ほ どEGFreceptorの 告 され て お りtp>,前立 腺 組 織 中 のEGF量 は有 意 なEGF量 の変 化 は 認 め られず,腫 瘍 マ ー カ ー と して 利用 で き る可 能 性 は少 ない と考 え られ た , もか か わ らず(Fig.5),前 析 を 含 む 慢性 腎 不 全 で 低 下傾 向 をみ る こ と よ り尿 中EGFの 同様 に 腎機 能 と関 連 したEGFの る もの と考 え られ る. 場合 と 合 成 が 低 下 して い 対す るモ ノ ク ロー ナ ル抗 体 で 免 疫 組 織 化 学 的 染 色 を行 い,悪 性 マ ー カ ー と して の有 用 性 を 検討 した が,今 回 の結 果 で 度 に つ い て は,透 よ る見 か け 上 の 低 下 に よ る可 能 性 が 考 え られ る. て い る症 例 が あ る5)と い う報 告 もあ る こ とか ら,腫 瘍 血 漿 中EGF濃 意 に血漿中 れ は 腫 瘍 細 胞 に おけ る EGF値 発 現 頻 度 が 高 い と報 が低 い こ とか ら,receptorと って い る こ とが 考 え ら れ る.1例 高 い症 例 は,全 volumeや は多 い のに 立 腺 癌15症 例 で は,血 漿 中 の結 合 が起 こ 血 漿 申EGF値 が 身 骨 転 移 が 著 明 で あ り,tumorの 骨 破 壊 に も左右 され,EGFの 消 費 に 比 し, 産 生 の方 が尤 進 して い るの か も しれ な い.ま た,腎 癌 宮 崎:EGF・ に つ い ては,正 常 腎 と腎 細 胞 癌 とのEGFreceptor 923 泌 尿器 系 疾 患 glandproteinacceleratingincisoreruption andeyelidopeninginthenewbornanimaL を 比較 した 報告 が あ り,癌 細 胞 のEGFreceptor量 が 有意 に高 か った と述 べ られ て い る20).わ れ わ れ の症 JBiolChem237:1555-1562,1962 2)CohenSandCarpenterG:Humanepider- 例 で も,血 漿 中EGF値 は す べ て低 値 で,Fig.4の malgrowthfactor:Is◎lationandchemical よ うに腎 機 能 に 問題 な く,腫 瘍 転移 の所 見 が な い症 例 にお い て,腫 瘍 摘 除後,血 漿 中EGF値 向 って 回復 して お り,尿 中EGF値 で差 の な い こ とか ら,EGFの が 正常域に は 正 常 者 との間 産 生 の減 少 は 本疾 患 で andbiologicaipropertias・ProcNatlAcad SciUSA72:且317-1321,1975 3)GregoryH:Isolationandstructureofurogastroneanditsrelationshiptoepidermal growthfactor.Nature257:325-327,1975 考え に く く,血 漿 中EGFが 血 液 を 介 して腫 瘍 増 殖 に消 費 され て い る可 能 性 が あ る.ま た,膀 胱 癌 に お い 4)HirataY・ ヒ トEGFの 動 態 と そ の 意 義Foiia EndocrinolJPn59:1930-1934,1983 5)UchihashiM,HirataY,etaL:Urinaryex- て,悪性 度 の 高 い 浸潤 性 の強 い 癌 には,EGFreceptor が過 剰 に発 現 して い る と い う報 告 もあ る もの の21-23), cretionofhumanepidermalgrowthfactor (hEGF)inpatientswithmalignanttumors. 今回 の検 討 で は 尿中EGFは 差 は な く,尿 中EGFは 低 値 傾 向 で は あ るが 有 意 絶 対 量 が 多 く,消 耗 され て も HormMetabRes15:261-262,1983 6)NormanJ,Badie-DezfoolyB,etal.=EGFinducedmitogenesisinproximaltubular その変 化 に 影 響 が 出 に くい の か も しれ な い. cells:potentiationbyangiotensinILAmJ 今 後,EGFな らび にEGFrcceptorの 細 胞増 殖 との 関 係に つ い て,さ 発現 と癌 らに 検 討 が な され る必 Physiol253:299-309,1987 7)RosenbergMRandMicholopoulosG:Kidneyproximaltubularcel且sisolatedbycollag- 要 が あ る と考 え られ る. enaseperfusiongrQwindefinedmediain 結 語 theabsenceofgrowthfactor・JCellPhysiol l31:[07-113,1987 泌尿 器 系疾 患 に おけ る尿 中,組 織 中 お よび 血漿 中 の EGF濃 1,健 度 をEIA法 で 測 定 して,以 下 の結 果 を え た. 常者 の 尿 中EGF濃 度 は,男 女 に 有 意 差 な く, 度 は,前 立腺 癌,腎 膀 胱癌 では 有 意 差 な く,腎 不 全(HDを 癌, 含 む)で 低 ドをみ た(P<0.Ol). 3.腫 lationoftherenalcorticaltubularccllsby epidermalgrowthfactor,insulin-likegrowth factor-1,acidicandbasicfibrob正astgrowth 年 齢 とと もに低 下 傾 向を 見 た(P〈0.05)・ 2。 疾 患 別 の 尿 中EGF濃 8)KandaS,NomataK,etaL:Growthregu- factor,andtransforminggrowthfactor一 βin serumfreeculture.CellBiolIntRep13: 687-699,1989 9)KandaS,NomaこaK,etal.:Transientin- 瘍 部を 含む 組 織 中EGF濃 度 は,前 立腺 組 織 creaseinrcnalepidermalgrowthfactorcontentafterunilateralnephrectomyinthe (肥大症,癌)に 4.健 て 高値 を みた. 常者 の 血 漿 中EGF濃 mousc.ActaEndocrinol124=188-193,1991 度 は,男 女 に 有意 差 な く,年 齢 に て も差 を み な か った. 5。 疾 患 別 の 血 漿 中EGF濃 腎癌(P<O.Ol),前 6.腎 factorlnurineafterk董dneytransplantation inhumans.UrolRes17:255-258,1989 度 は,腎 不 全(HD)・ 立 腺 癌(P<0.05)で 癌 の 血 漿 中EGF値 低 下 を み た. は す べ て低 値 で,腫 瘍摘 除前 後 で 比較 して み る と,残 腎 機 能 の よい症 例 では, 術 後,EGFレ 10)KvistNandNexφE:Epidermalgrowth 11)NishiN,MatsuoY,etaL:Partialpurificationofamajortypeofratprostaticgrowth factor:characterizationasanepidermal growthfactor-relatedmitogen・Prostate13: 209-220,1988 ベ ルが 回復 した. 12)ItoK,FurukawaS,etal.:enzymeimmuno. 稿 を 終 え るに 当 り,御 指 導 な らび に 御 校 閲 を 賜 り ま した斉 藤 泰 教 授 に 厚 く感 謝 の 意 を 表 し ます.ま 慮接 の 御 指 導 を 頂 き ま した 金 武 野 俣 浩一 郎 先 生,南 た,研 究 に あ た り 洋 助 教 授,神 田 滋 先 生, 祐 三 先 生 お よ び 下 釜 多久 美 氏 に 深 謝 い た します. assay法 に よ る マ ウ ス 上 皮 細 dermalgrowthfactor)の 胞 増 殖 因 子(epi測 定.医 学 の あ ゆ み 125:lI37-ll39,1983 13)HayashiT,HashimotoK,etaLAsensitiveenzymeimmunoassayforhumanepiderma[growthfactor.DeterminationofhEGF な お 本論 文 の 要 旨 は 、第43回 日本 泌 尿 器 科 学 会 西 目 本総 会 inhumanscrumandurineandpharmacokineticsinmouse.JPhamacobiodynl2: に て 発表 した. 410-415,1989 文 献 14)OkadaT,KatadaT,etaL≡Functionand applicationofepidermalgrowthfactor.フ 1)CohenS:夏so且ationofamousesubmaxi且 且ary グ ラ ソ ス ジ ャ ー ナ ル82:42-47,1987 レ 924 泌 尿糸己要38巻8号1992年 15)DaileyGE,KrausJwandorthDN: Editorialcomment Ho【nologousradioimmunoassayforhuman epidermalgrowthfactor(Urogastrone).J 泌 尿 器 系疾 患 に おけ る尿,血 漿 お よび 組 織 のEGF CIinEndocrinolMetab46:929-936,1978 量 の検 討 を行 い,こ の 研 究 面 で の 有 用 な示 唆 を 与 え て 16)HirataY,MooreGW,etal.:Plasmacon- い る. centrationsofimmunoreactivehumanepidermalgrowthfactor(Urogastrone)lnman・ 著老 らの確 立 したEIA法 JCIinEndocrinolMetab50:440-444,1980 1)尿 中EGF濃 でEGFの 測定 を行 い, 度 は 年 齢 と と もに低 下 傾 向に あ る 17)UchihashiM,HirataY,etal.:AGE-related た め,尿 中EGF測 decreaseofurinaryexcretionofhumanepi- 定 に あた っ て は 年 齢 を一 致 させ dcrmalgrowthfactor(hEGF).LifeSci31: た比 較 検 討 が 必要 で あ る. 679-683,1982 2)腎 18)MessingEM,HansonP,eta1.:Epidcrmal 不 全患 者 で 尿 中EGFが 低 値 を 示 した こ と よ り,腎 機 能 の 指 標 と して有 用 で あ る. growthfactor-interactionswithnormaland 3)尿 malignanturothelium=invivoandinsitu 中EGF排 泄 が 各種 悪 性 腫 瘍 患 者 に おい て 増 加 す る とい う報 告 が あ る が,否 定 的 で あ る. studies、JUrol138:1329-1335,1987 4)残 19)FowlerJEJr,LauJLT,etaL:Epidermal growthfactorandprostaticcarcinoma:An 腎機 能 に問 題 の ない 腎 癌 患 者 は 血 漿EGFが 後 回復 す る.し か し,尿 中EGFは immunohistochemicalstudy.Jurol139: とよ り血 漿EGFが 857-861,1988 術 正 常 と差 が な い こ 腎腫 瘍 増 殖 に 消 費 され て い る可 能 性 が あ る等 が述 べ られ て い る. 20)LauJLT,Fow正erJE,etaL:Epidermal た だ 年 齢 と と もに 低 下 傾 向 とあ るが,20歳 growthfactorinthenorma正andneoplastic kidneyandbladder.Jurol139:170-175. で は10歳 毎 に検 討 して い る もの の,あ ∼49歳 ま とは50歳 以 上 の 1988 群 と一 括 して お り,50歳 台,60歳 21)KristensenJK,LoseG,etaL:Epiderma【 台,70歳 台 等,高 齢 者 に お け る検 討 も興 味 が もた れ る と ころ で あ る.事 実, growthfactorinurinefrompatientswith urinarybladdertumors.EurUroll4:313- 石 倉 ら(泌 尿 紀 要37:1229-i234,1991)は50∼80 314,1988 歳 台 ま で の検 討 で も しだ い に低 下 傾 向 に あ る こ と を 22)MessingEM:Clinicalimplicationsofthe RIA法 expressionofepidermaIgrowthfactorrecep- で 報告 して い る.ま た 血 漿EGFは 腎 癌,前 立 tOrSinhUmantranSitiOnalCellCarCinOma. 腺 癌 が 有意 に低 いが,良 性 疾 患 で あ る前 立 腺 肥 大症 も CancerRes50:2530-2537,1990 少 数 例 な が ら低 い.こ れ らの 点 に 関 し,正 常 人 を 含 め 23)NealDE,eta1.lEpidermal-growth.factor た 症例 の 集積 と ともにEGFレ receptorsinhumanbladdercancer:compar. セ プ タ ー との 関 係等, 今後 の 研究 に期 待 した い. isonofinvasiveandsuper丘cialtumors. 徳 島大 学 医学 部 泌 尿 器 科 学 教 室 Lancet16:366-368,1985 香川 (ReceivedonFebruary28,1992AcceptedonApri122,1992) (迅速掲載) 征