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1.2 半導体技術ロードマップ (ITRS)
1.2 半導体技術ロードマップ (ITRS) 微細化の効果 1 1.2.1 製造技術の動向 2 これまでの微細化の進展 設計基準寸法 設計基準寸法 [um](m) 集積度と動作速度の増大は主に微細加工技術の進歩により進められてきた。 しかし時代が進むほど同じペースで微細化技術を進めることは困難に! 6 Digital 製造技術の更新には巨額の設備投資が必要 5 4 設計基準寸法(微細加工精度が保障される寸 法)の減少は、2年~3年に1度行われてきた 3 2 微細化は今後も可能なのだろうか? 1 0 1975 1980 1985 1990 1995 年 2000 2005 2010 3 今後の半導体技術動向 • ITRSを分析することにより知ることができる • 将来必要とされるVLSIの集積度と各技術分野で 解決すべき課題が記載されている ダウンロードURI English(原版) http://www.itrs.net/ Japanese(翻訳) http://semicon.jeita.or.jp/STRJ/ 4 CMOSテクノロジのFeature size poly-Si gate Density: metal-3 via-2 Interconnect layers feature size = hp(M1) metal-2 via-1 metal-1 contact L SiO2 hp: half pitch Performance: n-Si p-Si n-Si MOSFET feature size = L or Leff n-Si substrate 2xhp(M1) Leff 5 DRAM と FlashのFeature size bit VDD word word bit bit bit word contact VDD p-Si n-Si read SiO2 2xhp(M1) DRAM floating 2xhp(poly) gate NAND Flash 6 技術世代 • • 最小加工寸法値または最小配線ピッチの1/2(hp: half pitchと表記するこ とがある)をFeature size と呼び、微細加工技術の世代を表す 微細加工技術の世代をTechnology node(テクノロジノード)と呼ぶ – ただし、ITRS 2011以降ではテクノロジノードの用語は使用されなくなった • Feature sizeに合わせて集積回路のサイズが縦横高さ方向に縮小される ことをScaling(比例縮小)と呼ぶ 配線のレイアウト(上面図) Interconnect (metal-1 or poly-Si) Feature size generation ½ pitch Minimum Pitch × 0.7 × 0.7 250 → 180 → 130 → 90 → 65 → 45 → 32 → 22 → 16 (nm) Technology cycle(技術進歩の速度) 7 MOSFETの微細化 POLY n+/p+ W 500nm 600nm 350nm 250nm 180nm 130nm 90nm 65nm 40nm 28nm 20nm14nm 最先端 L 1200nm スケーリングによりMOSFETの面積は小さくなる。 ただし、MOSFET以外の素子は小さくならないものもある。 ディジタル回路はMOSFETしか使用しないのでスケーリング により小さくなる。 8 スケーリングの動向 1000 ITRS2007, 2011 0.7/2years Logic hp DRAM hp Gate Length L 0.7/2.5years 180nm Size (nm) 130nm 100nm 100 65nm 0.7/3years 40nm 28nm 3億Tr./Chip チップ上のトラ ンジスタ数 26%/年の増 加に相当 (ムーアの法 則とは合わな いので注意) 20nm 14nm 10 1995 1998 2001 2004 2007 2010 2013 2016 2019 Year 9 ナノテクとの位置関係 Logic Trend 10000 酵母、赤血球 細菌 大腸菌 可視光 の波長 M1 hp (Lithography) 0.7x/3years 100 ウイルス 黄熱ウイルス Gate Length (Printed) 10 ディーゼル排気粒子 Gate Length (Physical) ナノテクとして 扱われる領域 分子(低分子量) 色素, 糖類, C60 22 20 20 20 18 20 16 20 14 20 12 20 10 20 08 20 06 20 04 20 02 20 00 1 20 Size (nm) 1000 ITRS 2004, 2005 10 微細加工は何時まで進むのか? • • 無限に微細化できないことは明らかだが、これまでに指摘された物理的 限界や技術的限界は優れたアイデアにより突破されてきた 現在予想されている限界には下記のようなものがあるが、現実的には経 済的限界が重要とされている(逆の言い方をすると、技術進歩の必要性 が続く限り技術は進歩する) • 物理的限界(研究レベルの限界) – シリコンが半導体でなくなる限界・・・11nm(試作レベルでクリア) – 絶縁体が絶縁体でなくなる限界・・・45nm(既にクリア) – 不純物制御の限界(PN接合が作れる限界)・・・45nm(既にクリア) • PN接合のないMOSFETが研究されている • 技術的限界(生産レベルの限界) – 微細加工精度の限界・・・ばらつきの増大によるエラーの増加・・・ 65nm(既にクリア) • 経済的限界(ビジネスでの限界) → 日本のメーカ撤退 – 開発投資の経済合理性の問題・・・7nmあたりまでは予定中 11 集積回路の微細化の利点 スケーリング則のメリットが生かせる(5.3節で詳しく解説) • 動作速度が速くなる – 素子寸法1/2倍で速度は2倍 • 消費電力が少なくなる – スケーリング則に従えば、素子寸法1/2倍で電力は1/4 • 機能あたりの製造コストが低くなる – 経験的に3年で、1/3~1/4倍(次ページ参照) スケーリング則以外の利点 • 設計の自由度の増大 – 従来実現できなかったアルゴリズムやアーキテクチャが利用可能 • トランジスタ数の増大による高機能化 – 処理の並列化や同時実行が進む – 複雑な情報処理を1チップで実行 – 大量のデータをオンチップで扱える 12 ロジックのコスト推移の予想 Transistors per chip (M transistors) 100 10 1000 1 100 2000 2005 2010 2015 MPU cost (microcents/transistor) 1000 10000 0.1 Year ※ 性能重視・小規模SRAM搭載を想定 ITRS2002 13 DRAMのコスト推移の予想 100 10 10 4G 8G 1 2G 1G 1 0.1 512M 0.1 2000 2005 2010 Year 2015 DRAM cost (microcents/bit) DRAM Capacity (G bit) 32G 64G 0.01 ITRS2002 14 集積回路の微細化の問題点 • 技術上の問題 – 発熱の問題 • 高密度の回路を高速動作させると局所的な発熱が起こる – 待機時電力の増大 • 微細化するとトランジスタのリーク電流(=待機消費電流)が増える – タイミング検証の困難さ • 配線密度の増大による遅延時間見積りの複雑化 – ロジック・アナログ・メモリ混載による困難さ • 多種電源電圧やノイズ対策が必要 • 経済性の問題 – 設計量増大による設計生産性の問題 • 製品の市場投入時期を確保することが必要(先見性が必要) – 設計能力の問題 • 広範な知識を持つシステムアーキテクトの養成が必要 – 開発コスト(製造技術、設計技術ともに)の巨大化 • 開発コストに見合う市場の開拓の問題が常に付きまとう • 最先端技術をわざと利用しないで性能を上げる方法が必要 15 発熱密度の推移 特別な対策がなければ、動作速度と消費電力は比例する • Intel社CPUの例 CPU単体の動作速度を上げないマルチコアが主流に! 1000 発熱密度 (W/cm2) 原子炉 100 ホットプレート Pentium III 1GHz マルチコア化に進む Pentium III 400MHz Pentium II 10 i486 i386 33MHz 16MHz 1 PentiumPro Pentium 100MHz 1 低電圧版 Mobile Pentium ※ プロセッサは性能/ 消費電力で評価する 0.1 テクノロジ (um) 16 (参考)マルチコア・プロセッサの形態 • 組み込み機器とパソコンではマルチコアプロセッサの目 的が異なる アプリケーション アプリケーション OS OS CPU メモリ CPU メモリ 機能分散型 DSP メモリ CPUやDSPは得意分 野の異なる仕事を受け 持つ(組み込み) DMAC スレッド 負荷分散型 スレッド 一つの仕事を複数の CPUで分担(汎用コン ピュータ) MP対応OS CPU CPU 共有メモリ DMAC: Direct Mail Attack ではなくて・・・ 17 (参考)機能分散型マルチコアプロセッ サの例 • 電話向けアプリケーションプロセッサの例 基本アプリ ARM926 Java ARM926 ストリーム/音声 H.264 ARM926 DSP カード・イン タフェース SDカード ブリッジ DMA 入力 イメージ・ プロセッサ 2D/3Dグラ フィクス ローテータ MSE (メモリ暗号化) ストリーミング DDRインタ フェース SDRAM 640k Byte DDRメモリ LCDコント ローラ LCD 18 1.2.2 設計技術の動向 19 設計技術への微細化の影響 回路の種類 微細化の影響 ディジタル回路 回路規模が増大 → 設計量の増大 高速化 → タイミング余裕の減少 動作時消費電力の削減 アナログ回路 回路規模はあまり増大しない(ディジタル処理に任せる) 高周波化 → シミュレーションの誤差の増大 消費電力の削減 電源電圧の減少 → 処理精度の減少 メモリ 集積度の増大 リーク電流による待機時電力が増大 20 設計量増大のイメージ • • 回路規模が2倍になると、設計の手間は4倍程度増加(といわれている) もし設計自動化技術が進歩しなかったなら下記のような事態に! 2020年 2009年 回路規模 10 127 設計者人数 10人 1613人 21 設計生産性ギャップ 1010 108 W-CDMA TV電話 HDTV受信機 DVDレコーダ DVDプレーヤ PHS 109 108 107 107 設計生産 性ギャップ 105 H/W生産性 年率21%増加 年率59%増加 106 104 S/W生産性 年率15%増加 105 106 104 1000 100 論理回路設計 1000 1980 1985 1990 論理合成 1995 2000 高位合成 2005 2010 ? 2015 10 2020 年 22 設計抽象度の高位化による設 計生産性向上 設計記述の抽象度を上げると生産性が増大 抽象度の高い記述から低い記述を自動生成する技術が必要 論理回路図では 非常に優秀な設 計者でも2800人・ 月が必要 (実質不可能) 記述量の比較 7500万ゲートのチップ(1cm角程度)の 設計記述量の計算例 3.7m 37000枚 75cm 7500枚 7.5cm 750枚 論理回路図 HDL SystemC 23