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H. erectus
前回の問題 ヒト属3種(現生種を含めて)の学名を書け Homo sapiens、 H. erectus、 H. habilis の3種 手書きで書いたのだから、 Homo sapiens、 H. erectus、 H. habilis�となる。順番は関係ないが、 下線は属名と種小名の間を空けて、�連続させないこと。種小名は 小文字で始める。同じ属名なので2つ目以降略して書く。カタカナ で書いたのは論外。なお、Homo ludens�というヒト属の生物はいな い。人類の進化については先の授業で。� 今回の講義で一番言いたいこと� 今回は地球上にどんな生き物がいるかを大雑把にではあるけどみてみ ようということです。 分類群とその系統関係を概観しようという無謀な授業になります。速す ぎたら言ってください。 本日の課題 1.�3つのドメインの名称と特徴 2.�6界の名称と特徴 生物認識の変遷 2界説→ 3界説→ 4界説→ 5界 説→ 6界説→ 8界説・・ 生物の理解が深まる程、生物のグループ分け をすることが困難になってくる。 2界説 「動いて食べる」、 「動かず食べない」で分け � � られたのでは。 動 物 界 植 物 界 古来から3界の考え方があった。動いて成長する(動物)、動かない が生長する(植物)、動かず生長しない(鉱物界)。 リンネ Linné 1735頃に提唱 生物を分類する最も大きな階級とし て“界”(Kingdom)を設立 動物界 Animalia 植物界 Plantae 菌類 原生生物 細菌� 3界説 (Haeckel 1866に提唱) 原生生物界(Protists) Atypical protists Protozoa Protophyta Flagellata Moneres 植物界(Plants) Archephyta 動物界(Animals) 4界説(Copeland1956に提唱) 菌界(Mychota) 原生生物界 (Protoctista) 植物界(Plantae) 動物界(Animalia) Whittaker の5界説 1969年に提唱 栄養摂取様式の違いを加味した。 消 費 植 物 界 菌 界 動 物 界 分解者ー菌界 当てはまらない真核生物 原生生物界 (藻類、原生動物) ー 原生生物界 原核生物ーモネラ界 捕 食 光 合 成 吸 収 消費者ー動物界 分 解 生産者ー植物界 生 産 モネラ界 5界説 (Margulis1988-1996にかけて提唱) 菌 界 植 物 界 動 物 界 共生進化を中心に分裂、 代謝、生化学などを加味 した。 その他に6界説,8界説などがある. 原生生物界 (藻類、原生動物) 細菌界 現存する生物の主要分類群は、�細菌、�古細菌、�原生生物、�植物、�菌 類、�動物の6つである。� あらゆる生物が生命の進化の系統樹、�3ドメイン体系、�あるいはリンネ 式階層分類体系の中に位置づけられる。6つの主要分類群は全てリン ネ式階層分類体系における界である。� 3つのドメイン(超界)とは、 細菌超界(Bacteria)、� 古細菌超界(Archaea)、� 真核生物超界(Eukarya)� 3つのドメインとは?�と聞かれたら ドメイン�バクテリア、アーケア、真核生物�でもよいし。 バクテリア超界、アーケア超界、真核生物超界でも、 細菌超界、古細菌超界、真核生物超界でも。 Domain Bacteria, Domain Archaea, Domain Eukarya Super Kingdoms Bacteria, Archaea, Eukarya でもよい。� さて、生物を3つのドメイン(超界)に分ける考え方はどうやって出てきたのか? 全ての生物はDNAにコードされている遺伝暗号をmRNAに転写して、リボソームでこれをアミ ノ酸に翻訳して、アミノ酸をつないでタンパク質を作っている。 だからリボソームを構成するリボソームRNA (rRNA) は全生物に普遍的に存在する保存性の 高い核酸分子であり、微生物の進化・系統の研究に最も有効な分子マーカーとして使われて いる。 特に汎用性が高い分子は、small subunit rRNA (SSU rRNA、リボソームRNA小サブユニッ ト)として分類される 16S(原核の場合)および18S(真核の場合)rRNAである。 イリノイ大学の Carl Woese の研究グループは1970年代中頃に原核生物 の系統関係を調べようと、多くの生物の rRNAの小サブユニット遺伝子塩 基配列を比較したところ、あるグループが他の原核生物とかけ離れて、む しろ真核生物のrRNA小サブユニット遺伝子の塩基配列に近いことを発見 した。その原核生物は40億年前の始原生物が持っていたと考えられる特 徴を備えていたため、Archaebacteriaと名付けられた。その後、多くの微生 物学者の論議をへて、現在はArchaea(古細菌)という全く異なる原核生物 として3つのドメインの一つと認識されている。� さて、話は戻って 3つのドメインのうち、まずは原核生物である細菌と古細菌につ いてです。� 細菌・バクテリア・Bacteria�と�古細菌・Archaea�とは原核生物で、このほかの生 物が真核生物・Eukaryaである。 35(38)億年前に、地球上に生命が誕生した。 現在生きている生物のうち、最初に現れたのが細菌である。次に現れたのが 古細菌である。 細菌と古細菌はどちらも小さく単細胞か単細胞が連なった糸状体や単純な群 体である� 真核生物のゲノムにはおそらく何の働きもない DNA が非常に多くあるの に対し、原核生物のゲノムは、細胞が複製して生きていくために積極的 に使われる DNA のみからなっている。 繁殖様式も単純で、分裂により二つに分かれることで増えていく。� 細菌 Bacteria�と古細菌 Archaea�は共に小さな単細胞であるが、古細菌の 方が細菌よりも大きなDNAをもち、細胞の構造(細胞膜の構成など)が異 なる。両者とも形は単純で、球形、桿状あるいはらせん状などである。地球 上にあまねく生育することに最も成功している。 とはいえ、細菌と古細菌は異なる系統の生物である。 注意!�今日生きている生物はどれも原始生命体ではない。� 細菌超界�Domain Bacteria��細菌界��Kingdom Bacteria Escherichia coli Escherichia coli 大腸菌として知られるこの細菌は、ヒトの体をすみかとし、普通なら無害であ る。しかし、毒を生産する系統(O157など)が、食べものに混入し増殖すると、 それを食べたヒトは病気になったり、死んだりする。� 地球上の生物の大多数は細菌や古細菌などの単細胞の原核生 物である。ある試算によると地球上の細菌の個体数は、5 x 1030 ほどだという。 5 x 1030個�=�5百穣個というらしい。� ちなみに、最もよい生育条件(培養条件)では、大腸菌は20分に一回分 裂することができる。24時間後には約4.7x1021 (4,722,366,478,574,681,194,496)個の細胞になる。 一つが約 2 µm の長さだから、ならべてみると、月と地球の間を 12,459,009回も往復できることになる。 微生物はあなどれない。� 主に土壌に生育する放線菌のStreptomyces属の図と写真。Streptomyces には、ストレプトマイシンやエリスロマイシンといった抗生物質を産生し、 役に立つ仲間がいる。� CYANOBACTERIA シアノバクテリア� 酸素発生型光合成をする細菌 の仲間� Borrelia burgdorferi はらせん状をしているので、らせんを意味する spiral、 spiro- から、スピロヘータとよばれている。ヒトがダニにかまれると、ダニのもつ スピロヘータが感染し、ライム病にかかることがある。� あらゆる生物は成長し、生き続けていくために、エネルギー源 と炭素源の二つを必要とする。 細菌と古細菌の栄養獲得方法は全生物中で最も広範である。� 真核生物では他の生物および他の生物に由来する有機物を摂取するか、 光合成を行うかの二つだけが栄養を獲得する方法である。 細菌や古細菌はこれらの方法を用いるものの他に、エネルギーは太陽 光で、炭素を有機物から得るもの、エネルギーは鉄やアンモニアからで、 炭素を二酸化炭素から得るものなどさまざまである。� 古細菌超界�Domain Archaea�古細菌界�Kingdom Archaea ほとんどどのような場所でも生育している。特に極端な環境に生育する仲 間がいることで特徴づけられる。 間欠泉や熱水(100℃を超えるのはざら)、高塩分(塩の塊状態)のところ にも生育している。 動物の腸管中に生育するメタン細菌もいる。牛のゲップの中のメタン発 生の元になっている(温暖化の原因の一つ)。� 古細菌の仲間�超好熱菌� 地殻内微生物� 300℃の熱水中から� 300°Cはすごすぎて日常的な応用が考えにくい。通常70°Cでタンパク質は熱変成する。 だから熱湯消毒なんてこともできるのに、超好熱菌だとそうはいかないということだ。 ちなみに学部で日常的にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)実験で用いる酵素は超好熱菌か ら精製されたものである(100°Cでも活性を失わない)。 卵を思い浮かべてみよう。茹でれば白身も黄身も熱変成して固ゆで卵になる。これがな らない(熱変成しない)ということだ。 なぜ高温で変成しないのか?�研究が進められている。タンパク質の3次元構造の理解が 鍵のようなのだが。…….. 耐熱性タンパク質は、室温でも安定性が高く、化学的防腐剤を加えなくても長持ちする 加工食品や、低温貯蔵する必要がないワクチンなどへの応用も期待できる。 ちなみに 古細菌�Archaea�� ギリシャ語の接頭語で arche- は、「原始的な」という意味になる。 “超好熱菌などはまさに始原地球の環境に適している生物ではないか。” ということで、Archaea という名前が付けれた。 実際には、Archaea の方が Bacteria よりも後に進化してきたらしい。 日本語も訳して「原始的な細菌」なので「古細菌」とつけられた。 原核生物(細菌と古細菌)は生態系で、人間社会で、あらゆるところで多く の重要な役割を果たしている。 例えば、下水の処理に働いたり、腸内で人の健康に役立っていたりする。 でも悪さもする。 病原菌はあらゆるところに存在し、病気を引き起こす。 細菌や古細菌で現在培養できるのは1%とも、0.1%ともいわれている。 原核生物の有効利用は人類にとって重要なテーマである。� 原核生物�→�真核生物へ 生命は単純な単細胞生物の時代が長く続き、より複雑な細胞への進化が 起った:原核細胞から真核細胞は生じた。 真核生物の細胞には、区画化された細胞小器官(オルガネラ)とよばれる 器官がある。例えば、ミトコンドリアや葉緑体はもともと細菌であったのだ が、太古の原核生物が、これらのオルガネラの元になった原核生物を取り 込んで獲得されたものである。� こうして、単純な原核細胞から、より複雑な真核細胞がつくられた(合 体して新たな能力を獲得した。)。 細胞の大きさも約10倍、体積としては1000倍になった。 たぶんこのときに原核生物の能力の多くを失った、それでも真核生物になったおかげでより複雑な生物に 進化する道が開かれたと言っていいだろう。� ところで、大きさが10倍、体積で1000倍ということはどういうことか? 一辺が1µmの立方体を考える(これが原核生物だとする)。 一辺が10 µmの立方体が真核生物である。 原核生物は細胞の周囲(たいてい環境水の中)へ特別な工夫なしに拡散で ガス交換や栄養の摂取、老廃物の廃棄を行なっている。 この状態で大きさだけが10倍になったら細胞の真ん中へのガス交換、栄養 摂取、老廃物の廃棄は時間がかかり、たぶん生命の維持ができなくなる。 だから、大きさが大きくなるためには、積極的に細胞周囲と物質交換をできる 工夫が必要になり、細胞の真ん中まで物質輸送するための装置(具体的には 膜系)を発達せざるを得ない。 まずは、真核生物超界の中で、 最も初期に進化した生物を含 む原生生物界 Protista�(実際 はこの中がいくつにも分かれ る)をみてみよう。� 動物界� 菌界� 植物界� 真核生物の中の、一部分 だけが動物界、菌界、植物 動物界� 菌界� 植物界� 界を構成し、残りのさまざ まな系統群が原生生物界 にあたる。� 動物界と菌界は近縁でそれ 動物界� ぞれよくまとまっており、“真 菌界� の分類群”と言える。その他 の植物界、原生生物界は混 沌としている。� 植物界� 原生生物界には様々な分類群が含まれ、一つの系統(単系統という)から 成っていない。つまり、単一の祖先に由来する全生物から成る完全な集合 ではない。前回の用語を用いれば、�“真の分類群”ではない。 一つの系統から成っているもの、単系統群 一つの系統から成っていないもの、多系統群�ともいう。 だから、原生生物界は多系統群である。� 原生生物には、単細胞生物から多細胞生物まで、さまざまなグループが含 まれる。動物を思わせるものもあれば、植物や菌類を思わせるものもある。 多くの原生生物が動物的特徴と植物的特徴を併せ持っている。たぶん整理 が進んで、動物、菌類などと同じような真の分類群の界を作ると、数多くの 新たな界が出現すると考えられる。� ミドリゾウリムシ� 原生生物界�Protista 原生生物を定義することは難しい。強いていうならば、動物、菌類、植物に 含まれない全ての真核生物ということになる。 真核生物はどのように誕生したのか? 単細胞生物から多細胞生物はどのように進化したのか? などについてはさまざまな仮説があり、生物学の主要な命題の一つである。 原生生物を研究することでこれらの命題への解答が得られるかもしれない。� 原生生物を除く真核生物超界の生物、植物界、菌界、動物界� 植物界�Plantae ここでは、コケ、シダ、裸子、被子植物を植物界とする。 いわゆる緑の草や木などである。 植物は光合成を行う生物であり、陸上生態系の基礎である。� 植物界�Plantae 裸子植物� コケ植物� シダ植物� 被子植物� 陸上植物�コケ植物と維管束植物がある。 維管束植物には胞子繁殖するシダ植物と種子繁殖する種子植物がある。 種子植物には裸の種子の裸子植物と種子が子房の壁によって完全に包まれ る被子植物がある。 被子植物は最も繁栄し、23万種を超える、これに対して、裸子植物は750種、 シダ植物が1万2千種、コケ植物が約2万種である。 陸上植物に共通する形質(共有派生形質)の一つは、配偶子を保護する多 細胞器官(胚)の存在である。 だから陸上植物を有胚植物ともいう。� 植物が水中から陸上に進出したのは 4 4.5 億年前の出来事で、地球の歴 史(生命の歴史)から言えば最近である。 陸上に進出するためには、植物体の表面がクチクラ層(cuticular layer)で 覆われ、周囲に水がない乾燥環境から身を守ることが必要であった。 クチクラ層=キューティクル層� 植物の進化上の3大発明 通道組織、種子、花 陸上への進出に著しい成功を遂げるにあたり、これらの発明が決定的 な役割をはたした。� 発明1�通道組織(維管束)� シダ植物と種子植物にそなわっている通道組織。▽根・茎・葉をつらぬいている束状の組織で、 木部と師部からできている。木部には道管(裸子植物やシダ植物では仮道管)があって、水分 や根からすいあげた無機養分の通路となり、師部には師管があって、葉でつくった有機養分の 通路となる。� コケ植物は地を這うように生長し、細胞が直接水分を吸収するようになって いる。最外部が水分を吸収したら、細胞のあいだを次々に受け渡されて、最 後に最内部の細胞にまで水分が達するという形式になっている(スポンジ が水分を吸収するように)。 これに対して、シダの仲間には通道組織が進化し、背丈を高くすることがで きるようになった。通道組織(維管束)によって効率よく水分を循環させ、地 面から高く生長することができるようになった。� 植物は進化の初期には地を這うような成長しかできず、現在のコケ植物の 様な姿であったと考えられる。 これが維管束系を発達させ、セルロース性の細胞壁を獲得することにより、 幹が地面から立ち上がることができ、根系の発達によって、地表からさらに 離れた空間を占めることができるようになった。 ちなみに、コケ植物は基本的に陸生で、少数淡水中に生育するものもいるが、海水中に確認されていない。 発明2�種子���������裸子植物が種子という構造物を進化させた。� 種子は、幼弱な次世代(胚)を防護用の覆いで包み、また生育用の栄養分 も貯留しておける構造になっている。� 幼弱な次世代が、光合成によって自力で栄養分をまかなえるようになる まで、種子に貯め込まれた栄養分によって胚は生育し、発生する。また、 種子は乾燥を防ぎ、腐敗に対する防御にも、捕食への対抗にもなる。 シダ植物の時代(石炭紀)、種子がないから水辺の近くを離れられない。 裸子植物の時代(ペルム紀中期から白亜紀中期)、種子があるので雨が 降る内陸まで生育範囲を拡大できた。� 発明3�������花 被子植物が初めて花を生み出した(およそ2億年前)。 (裸子植物の生殖器官も「花」とよばれることがあるが、ここでは被子植物の 「花」だけをさす) 被子植物は裸子植物よりもより強い組織をもった種子を形成する。 被子植物は最も繁栄し、多様な分化を遂げている(現生約23万種) 被子植物の多様化に大きく働いたと思われるいくつかの要因がある。これら を考察し、仮説を立て、検証していく研究は、大変魅力的な研究分野の一つ であろう。 例えば、花粉の送粉(虫媒花、風媒花)、種子散布(風、水、動物、自動散 布)、化学物質(食われないために)などなど) 面白い研究テーマが目白押しである。� コケ植物 シダ植物��裸子植物 ��被子植物� d c a: 胚 b: 維管束 b a c: 種子 d: 花� ちなみに 今日までに見つかっている植物界の種数は、約25万種である。 このうちどこかが食用になる種類は約3万種である。 食物としての潜在的な可能性の高さにも関わらず、世界の人々が食べる 食物の大部分をまかなっているのは、たった3種類である。さてなんで しょう? 陸上の他の生物は、植物に依存している。� 菌界(菌類界)Fungi�真核生物超界の生物 キノコやカビ、コウボなど� 分解者として 接合菌類・子嚢菌類・担子菌類などがある。 菌類の主要部分は菌糸体といい、菌糸とよばれる糸状の細胞がからまり あったものが菌糸体である。 菌糸は地中や、消化するために取り付いた他の生物の組織中に成長するた め、人の眼にふれることはない。� 菌類の細胞壁はキチン質からなっている。 菌類は動物同様、エネルギーと炭素を他の生物に依存している。菌類は 食物を体の外部で消化(分解)し、栄養分にしてから吸収する。 菌類は分解者として死んだ生物体の大部分をリサイクルする。 最も重要な分解者の一つ(特に陸上では)� 菌類はすぐれた分解者である一方で危険な寄生者でもある。� エイズにかかったヒトの実際の主たる死因は、菌類による致死性肺炎(カリニ 肺炎)であると言う。� いくつかの菌類は相利共生者として植物の根と暮らしている。� 木や岩の表面に見いだされる地衣類は、菌類と藻類が結びついた生物体で ある。 ウメノキゴケ� 菌類は分解者として重要。植物にも重要で、シダ類・裸子植物・被子植物 の95%以上が菌根菌と暮らしている。 ヒトに害をなす致死性の病気の原因や、穀物を汚染し、食物を腐らせ、浴 室のぬるぬるの原因でもある一方、ペニシリンなどの抗生物質などの薬剤 を生み出す。 酵母菌はアルコール発酵を行い、酒類の生産になくてはならず、パンをふっ くらさせる。松茸やトリュフなどは高級食材でもある。� 動物界�Animalia�真核生物超界の生物 動物は多細胞生物であり、典型的な仲間は動くことができる。動物界 は真核生物超界の一つである。単純なカイメンから、複雑なゴリラま で、動物には幅広い多様な生物が含まれる。� 動物界�Animalia�真核生物超界の生物 動物は特殊化した組織・器官・器官系、体腔、様々な形態や大きさを進化さ せた。多様な行動も進化させた。最も種類の多い生物は昆虫である。動物 は基本的に消費者であるが、分解者として振る舞う場合もある。� 海綿動物�カイメン�sponge カイメンは最も単純な動物の一つである。動物は組織とよばれる、特殊化を 遂げ、強調し合う細胞集団を進化させたが、カイメンは、組織出現以前の進 化史を代表する存在で、発生過程で胚葉形成を行わずに成体になる多細胞 の固着性水生動物である。� 刺胞動物�クラゲ、サンゴ、イソギンチャクなど� 刺胞動物は、放射相称を基本とし、体腔を欠く二胚葉動物、真の組織を 進化させた最初期の動物である。最外部が外胚葉、内部が内胚葉とよ ばれる組織がある。 体内の唯一の腔所である胃水管系が消化・循環・排泄の機能を果たす。 生活様式に応じた二型、漂泳型のクラゲと付着性のポリプがみられる。� ヒドラ� ミズクラゲ� 扁形動物は、真の器官、器官系を進化させた最初期の動物である。組織の 次のレベルは器官および器官系である。特殊化した機能をはたせるように、 さまざまな組織が秩序づけられているような体の部位が器官である。� ヒラムシ� 器官系は、器官の集合であり、一緒になって ある機能を果たす。消化器系、生殖器系、神 経系など。� 動物界の歴史のさらに後になると、真の体腔が進化した。つまり、口と肛門が 分かれ、一端に口、他端に肛門をもつ体内空間が生じた。こうした体腔を発 達させたのが旧口動物(先にできた開口部が口になり、後でできた開口部が 肛門になる)と新口動物(後でできた開口部が口、先にできたのが肛門にな る)の二つの系統である。� 新口動物� 旧口動物� さらに、動物の特徴として、行動する能力を持つこと、さまざまな行動が あることがあげられる。 餌を捕まえる。餌を食べる。捕まえられないようにする。異性を引きつけ る。移住する。などなど。動物は多くの行動を進化させてきた。� Virus ウイルス ウイルスは進化の系統樹に示されていない。またどの界にもどの超界にも属 さない。 ウイルスはDNAあるいはRNAの断片がタンパク質に覆われた単純な構造を している。ウイルスは生物の特徴の多くを欠き、生物と無生物の間に位置す るグレーゾーンの存在である。 ウイルスは他の生物との進化上の関係が明らかではない。生物かどうかを 決めることも困難で、生きているのかそうでないのかを定義するのも困難で ある。 まとめ:今回は地球上の全ての生物の主要分類群を説明した。 あまりにいろいろあってついてこれなかったかもしれない。 7つのポイントを示す。 1.�全ての生物は3ドメイン(細菌超界、古細菌超界、真核生物超界)のどれ かに入り、リンネ式階層分類体系では、細菌と古細菌はそのままの界に、 残りの真核生物超界は、4界(原生生物界、植物界、菌界、動物界)に分 かれる。 2.�原核生物(細菌と古細菌)は微小な単細胞生物で、多様な栄養摂取方式 をもつ。 3.�真核生物の細胞には細胞小器官とよばれる特殊な機能を果たす微小な 構造物(膜系)がある。 4.�原生生物界は多系統群であり、真核細胞および多細胞の進化の最初期を あらわす。 5.�植物界は陸上生物の先駆者で、光合成を行う生産者であり、陸上の全食 物網の基礎となっている。 6.�菌界にはカビ、コウボ、キノコが含まれ、分解者である。 7.�動物界には、幅広い多細胞生物が含まれ、特殊化した組織、器官、器官 系、真の体腔、行動を進化させた。� 本日の課題 1.�3つのドメインの名称と特徴 2.�6界の名称と特徴 6月30日分� 小テスト問題�� 菌類界 と� 動物界 を構成する典型的な 生物を1種類づつあげて簡単に説明せよ。�