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固定資産税の賦課に関すること
福井市監査告示第4号 地 方 自 治 法( 昭 和 2 2 年 法 律 第 6 7 号 )第 2 4 2 条 第 1 項 の 規 定 に よ る 住 民 監 査 請 求 が あ り 、同 条 第 4 項 の 規 定 に よ り 監 査 を 行 っ た の で 、そ の 結 果を公表する。 平成28年10月14日 福井市監査委員 福井市監査委員 福井市監査委員 福井市監査委員 谷 滝 堀 島 川 波 川 川 秀 男 秀 樹 秀 樹 由美子 住民監査請求監査結果 第1 請求の収受 1 請求人 (省略) 2 請求書の受付日 平成28年8月16日 3 請求の内容 請求人から提出された「(省略)建物への固定資産税の賦課において、公金の賦課を怠る事実 に該当する福井市職員措置請求(住民監査請求)書」の要旨及び事実を証する書面等は次のと おりである。 なお、職員措置請求書の原文は別紙のとおりである。 (1)請求の要旨 平成26年3月31日まで(省略)所有、平成27年4月1日以降、(省略)所有の(省略) 建物(構造:鉄骨平屋建、床面積:40.0平方メートル、未登記)に、平成23年度から平 成28年度まで福井市が固定資産税を課税していないのは違法であり、公金の賦課を怠る事実 に該当するので、合法適正な課税を行うことを求める。 固定資産税が課税される建物というのは、土地定着性、外気遮断性及び用途性を備えた建物 である。 この建物には屋根と壁があり、水道や電気が利用されてきたことから、外気遮断性及び用途 性を備えていたことは認められる。 土地定着性を備えているかどうかは、一般にコンクリートの基礎があることをもって認めら れるが、この建物はコンクリートブロックの上に置かれ、コンクリートの基礎はない。しかし、 建物の浄化槽部分が地中に埋設されていること、建物の構造や床面積から、容易に動かし難い 自重があること、水道管、排水管、水道メーター、電線等の客観的な状況により、建物が永続 的に利用されうる状態であることをもって土地定着性を備えていたと認められる。 そして、5年以上前からこの建物がその場に存在していて自宅兼事務所として利用されてき た事実は土地定着性、外気遮断性および用途性の全てを備えていたことを補強する事実である。 (2)請求書に添付された事実を証する書面 譲渡証明書(写) 、事務所賃貸借契約書(写)、登記事項証明書(写)、回答書(登記事項証 明書請求に対する)、住民異動履歴証明(写)、平成27年前期水道料金清算案内(写)、電気 料金使用量一覧表(写) 、戸籍の附票(写)、検証結果書(写)、写真(写) 1 4 請求の審査 (1)要件審査の結果 監査の実施にあたり、本件住民監査請求が地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」 という。)第242条第1項所定の要件に適合しているかについて審査を行った。 その結果、本件住民監査請求は同項の要件を具備しているものと認めた。 (2)請求の受理 平成28年8月16日付け監査第53号で受理し、監査することを決定した。 第2 監査の実施 1 監査対象事項 措置請求書及び事実を証する書面等について検討した結果、本件物件の固定資産税の賦課に ついて監査対象とした。 2 監査対象所属 固定資産税の賦課事務を担当している福井市財政部税務事務所資産税課(以下「資産税課」 という。)を監査対象所属とし、必要な資料の提出を受けるとともに聴き取りを行った。 3 請求人の証拠の提出及び陳述 法第242条第6項の規定に基づき、請求人に新たな証拠の提出及び陳述の機会を設けたとこ ろ、請求人が出席し、請求の趣旨を補足するための陳述を行った。なお、新たな証拠の提出はな かった。また、立会人として、関係のある職員(資産税課)の立会いを許可した。 陳述日時・場所 平成28年9月8日(木) 福井市役所 16時15分から16時30分まで 監査委員室 立会人 4 資産税課 課長 同 荒川友詞(家屋係) 主事 高村明俊 、同 副課長 加畑幸一 、同 主幹 田中聖子(家屋係)、 監査対象所属の資料基づく陳述 法第242条第7項の規定に基づき、本件物件の現況及び賦課根拠等について、資産税課の 陳述を行った。 陳述に先立ち、 「住民監査請求への対応について」 「本件物件周辺の航空写真」 「本件物件周辺 の土地登記簿」及び「本件物件の現況写真」が提出された。なお、陳述内容に個人情報が含ま れることから、請求人の立会いは許可しなかった。 陳述日時・場所 平成28年9月8日(木) 福井市役所 16時30分から17時05分まで 監査委員室 2 5 現地監査の実施 (1)日時・場所 平成28年8月31日(水) 10時00分から11時00分 (省略) (2)本件物件の状況 本件物件は次のとおりであることを確認した。 構 造 軽量鉄骨プレハブ造、平屋建 大きさ 37.89㎡ その他 基礎なし。コンクリートブロック二段積の上に乗せてある。 電線、水道管、排水管、浄化槽の設備あり。 第3 1 監査の結果 監査により認められた事実 (1)請求人の陳述要旨 固定資産税の課税対象となる家屋の要件は、「土地定着性」、「外気遮断性」、「用途性」を備 えた建物である。 本件物件については、壁、屋根があること、水道や電気の利用実績から「外気遮断性」と「用 途性」は備えていたといえる。 「土地定着性」については、一般的にコンクリートによる基礎があることをもって認められ るが、本件物件はこのコンクリートによる基礎はない。しかし、建物の浄化槽が地中に埋設さ れていること、建物の構造や床面積から容易に動かし難いこと、水道管、排水管、水道メータ ー、電線等の客観的な状況をみても、本件物件が永続的に利用されうる状態であり、「土地定 着性」を備えていたといえる。 さらに、5年以上前から本件物件がその場に存在しており、自宅兼事務所として利用されて きた事実は、「土地定着性」「外気遮断性」「用途性」の全てを備えていることを補強する事実 であるといえる。 よって、平成23年度から平成28年度まで課税対象となるべき物件であるにもかかわらず、 課税対象となっていないことは、公金の賦課を怠る事実に該当するため、合法適正な固定資産 税の賦課を行うことを求める。 また、資産税課に対し、賦課基準である基礎の有無と土地定着性について確認したところ、 明確な回答がなかったことから、賦課基準について明確にすることを望む。 (2)固定資産税の概要 固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)現在において、土地、家屋、償却資産(これらを 総称して「固定資産」という。)を所有している者が、その固定資産の価格を基に算定された 税額を固定資産の所有する市町村に納める税金である。 税額の算定に当たっては、まず、固定資産を評価することによって、その価格を決定する。 次にその価格を基に課税標準額を算出し、この額に税率を乗じることにより税額が算定される。 3 (3)固定資産の家屋の要件 地方税法(昭和25年法律第226号)第341条第3号で、「家屋とは、住宅、店舗、工 場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。」と規定されている。 課税客体としての家屋と認定される要件としては、「地方税法の施行に関する取扱いについ て(市町村税関係)」(平成22年4月1日付け総税市第16号総務大臣通知)において、「家 屋とは不動産登記法(平成16年法律第123号)の建物とその意義を同じくするものであり、 したがって登記簿に記載されるべき建物をいうことであること。」と示されている。 「不動産登記法」の建物とは、不動産登記法第44条第2項で「建物の種類、構造及び床面 積に関し必要な事項は、法務省令で定める。」とし、これを受け、不動産登記規則(平成17 年法務省令第18号)第111条において、「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するもの を有し、土地に定着した構造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでな ければならない。」と規定している。 これを「外気分断性」 「定着性」 「用途性」といい、家屋として認定されるための3要件であ る。 (4)資産税課の判断について 本件物件についてみると、構造は軽量鉄骨プレハブ造であり、屋根及び周壁を有しているこ と、住宅の用途に供していることから、「外気分断性」及び「用途性」については、満たして いると判断した。 しかし、 「定着性」については、全国の実務実例などによると、 「土地への定着性とは、物理 的に土地に固着していることが必要であり、かつ永続的に土地に定着して使用されることが必 要とされ、ただ単にコンクリートブロックや石の上に置いただけのものは定着性があるとはい えない」とされていることから、その要件を満たしていないと判断した。 よって、当該物件は「定着性」の要件を満たしておらず、家屋とは判断できないため、課税 していない。 2 監査委員の判断 資産税課は、本件物件の存在を把握したあと、地方税法第341条を根拠とし、 「地方税法の施 行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(平成22年4月1日付け総税市第16号総務大臣 通知)、不動産登記法第44条第2項、不動産登記規則第111条及び全国の市町村の実務実例な どを参考にして、本件物件は「家屋として認められない」と判断し、固定資産税を課税しなかっ た。資産税課のこの判断の過程に違法性は認められない。 3 結論 監査の結果、本件措置請求に係る福井市が平成23年度から平成28年度まで本件物件に固 定資産税を課税しなかったことについては、怠る事実は認められず、請求人の主張には理由が ないため本件請求を棄却する。 4 4 意見 税の課税には公平性、透明性の確保が求められる。所管課である資産税課は、課税対象とな る家屋の判断基準を実例等も示しながら、市民にわかりやすく説明するなど、常に説明責任を 意識した対応をされたい。 5