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rom
NTT西日本
鳥の糞害等に対する「鳥害対策品」の開発
鳥類が架空ケーブル等にとまり,鳴き声や糞害で迷惑となるケースが多く発生して,お客さまからその対策を求められていま
す.そこでNTT西日本では,施工面,経済面,保守面に優れ,安全面にも配慮した対策品を開発しました.ここでは開発した鳥
害対策品の特徴,開発状況などを紹介します.
架空ケーブル等における鳥害とは
架空に布設された通信ケーブルや吊り線(架空ケーブル
開発コンセプト
鳥害対策品の開発コンセプトは,架空環境を前提に(1)
等)にスズメ,カラス,ハト,ムクドリなどの鳥がとまる
施工面,(2)経済面,(3)保守・安全面,の3つについて
と,鳴き声による騒音で迷惑になるとともに,架空ケーブ
検討しました.各々の開発コンセプトは以下のとおりです.
ル等が駐車場や道路,交差点等を横切って布設されている
場合,架空ケーブル等の下に駐車,通行する車や人に糞害
をもたらすことが多く発生しています. 鳥害発生状況等は,
図1∼3のとおりです.
鳥害の実態
鳥の糞害等に対してお客さまからの要望で対策を実施し
た件数および費用(過去3年間の和歌山県下での状況)は図
4のとおりです.年間を通じ,多くのお客さまから要望を
受け,費用もかけて対応しているのが実態です.
図2 架空ケーブル等にとまる鳥類
鳥がとまり,鳴き声や糞被害が多発!
ピヨ!ピヨ!
ピーピー
鳴き声がうるさい!
図1 鳥害発生状況(イメージ)
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図3 鳥類の糞害(例)
(万円)
800
404
351
費用
件数
鳥 600
害
対
策 400
の
費
用 200
0
(件)
400
BDL
鳥
害
対
策
200 の
対
応
100 件
数
300
244
733
618
430
2007年度
2008年度
2009年度
架空ケーブル等
0
BDH
図4 過去3年間における和歌山県下での鳥害の対応
件数と対策費用の状況
図5 BDL,BDH の概要
(1) 施工面
・高所作業には,直接の昇柱作業と高所作業車(バケッ
ト車)による作業の2つのパターンがあるが,ともに1
外被(屋外ケーブル使用樹脂)
人で作業できること.また材料・工具について工具袋
に入る大きさ,形状であること.
・落下防止のため,工具類(ドライバ,ニッパ,ペンチ
等)を極力使用しない構造,構成であること.
・取付け作業が簡単で,しかも作業時間が短いこと.
抗張力繊維
(アラミド繊維)
・取替工事時に容易に作業ができる構造であること.
(2) 経済面
・極力安価であること.
図6 BDL の形状
(3) 保守・安全面
・脱落などによる第三者被害が起きないよう十分考慮す
ること.
・劣化防止については,耐久性,耐候性,耐水性を十分
考慮すること.
コンセプトを満足させる製品を開発しました.
BDL,BDHの概要を図5に示します.
(2) BDLの特徴
外被に「屋外ケーブル使用樹脂」,内層に「抗張力繊維
開発品の特徴
(アラミド繊維)」を使用しました.外被は屋外用ケーブル
および引込み線と同等材質であり耐候性があります.また
(1) 開発した鳥害対策品の概要
抗張力繊維を内層に施すことにより,温度変化による伸縮
鳥類がケーブルにとまりにくくする,またはとまること
が非常に少ない構造としました.BDLの形状を図6に示し
を嫌がるように架空ケーブル等に沿って上面に糸を張る方
式を採用しました.具体的には,架空ケーブル等に沿って
ます.
(3) BDHの特徴
上面に張る「防止糸(BDL:Bird Defense Line)」と
材質は本体に「PC(ポリカーボネート)」,ホルダパット
BDLを架空ケーブル等に固定する具材の「固定具(BDH:
に「EPDMゴム(エチレンプロピレンゴム)」を使用しまし
Bird Defense Holder)」の組合せによる構成とし,開発
た.本体は屋外用光キャビネットと同じ材質を選定,また
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NTT西日本
ホルダパットはクロージャのグロメット(ケーブルが通る
よりケーブルが引っ掛けられた場合においてもある程
部分)等に使用実績あるEPDMゴムを使用し,屋外使用で
度の荷重がかかることを想定し,破断するような抗張
の信頼性(耐候性,耐水性)を確保しました.BDHの形状
力繊維量を選定しました.
(締結時,開放時)および材質を図7に示します.
・BDHの取付け間隔を2.5∼3 mとすることによりBDL
が断線した場合でも人にあたらない地上高を確保しま
開発コンセプトに対する製品のポイント
した.
これらの考案ポイントを図8,9に示します.また,
開発コンセプトに対する製品化したBDL,BDHのポイン
BDL,BDHの取付け状況を図10に示します.
トを以下に示します.
開発品のフィールド検証・信頼性評価
(1) 施工面
・BDLを固定させるための取付け溝をテーパ構造とし,
取付け作業の効率向上を図りました.
・BDHの勘合(取付け)方法として,ワンタッチ方式を
BDLとBDHを架空ケーブル等へ設置し,自然環境および
作業環境での安全性(脱落,破断等),施工性(作業性,架
採用し,ケーブルへの取付け作業性向上を図りました.
・鳥の大きさにより4種類の高さ調節を可能としました.
・BDH本体の内径は架空で使用される最大ケーブル外径
250 m巻き
まで適用可能としました.
・支持線付きケーブル(SS型ケーブル)に施工する場合,
支持線位置が上下左右どの方向にあっても取付けが可
能としました.
120 mm
(2) 経済面
・BDHは吊線把持タイプ(丸型ケーブル)を吊線本体一
体化把持タイプ(SS型ケーブル)の2種類があります.
いずれも本体部分を共有化することにより経済効果を
図りました.
0.9 mmφ
(3) 保守・安全面
・BDHの脱落防止のためのインシュロック取付け用の溝
図8 BDL の考案ポイント
をつくりました.
・BDLは施工時には破断することなく,また車両などに
締結時
開放時
③脱落防止
インシュロック用溝
BDLの把持部
本体
(PC)
②4段階
高さ調整
勘 合
ホルダパット
(EPDMゴム)
図7 BDH の形状および材質
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NTT技術ジャーナル 2011.3
①BDL取付け溝の
テーパ構造化
④ワンタッチ方式
の噛合せ法
⑤ホルダパット
(丸型用・SS型用)
図9 BDH の考案ポイント
(千個)
25
(km)
100
BDL
20
2.5 m∼3m間隔で
BDHを取り付ける
80
B 15
D
H
B
D
60 L
の
40 長
さ
BDH
10
5
0
20
2009年 9月
6月
12月 2010年 6月
3月
9月
12月
0
図 10 BDH,BDL の取付け状況
図 11 BDL,BDH の導入実績
表 フィールド検証・信頼性評価概要
BDL累計約90 km,BDH約2万5千個を導入(現在30都
道府県にて採用)展開が行われています.実績を図11に示
実施期間
2009年8月∼
実施場所
NTTネオメイト現場力推進本部(旭ビル)
NTTアクセスサービスシステム研究所
NTT東日本-新潟(新潟県長岡市内)
NTT東日本-埼玉(埼玉県行田市内)
NTT東日本-山形(山形県酒田市内)
NTT西日本-関西(和歌山県和歌山市内)
評価項目
評価・確認内容
結果
します.
今後の取り組み
今回開発した鳥害対策品は安全性を考慮し,作業性,経
済性に優れているため,今後鳥などの被害で対策を必要と
しているさまざまな市場に対し,さらなる改善,改良を図
振動試験
100万回の振動試験を実施し,
良好
BDHの落下,BDLの破断確認
り,市場拡大を進めていきます.
強風・積雪によるBDHの落下,
良好
BDLの破断確認
友電気工業株式会社様,SEIオプティフロンティア株式会社
実
強風・豪雪地
域での影響度
施
作業性確認
1人作業における容易性を確認
良好
感謝します.
BDHを取り付けた状態での風圧
荷重(甲種)を計算実施
良好
◆問い合わせ先
中間引落し線との干渉確認
良好
BDHの取付け工程およびBDLの布
設工程に対する作業時間を確認
目標
達成
安全性
項
目
施工性
経済性
架空構造物へ
の影響
コスト
空構造物への影響等)
,経済性(作業時間)について,フィー
最後にBDLとBDHの開発にあたりご協力いただいた,住
様,日本通信電材株式会社様,NTTグループ関係者に厚く
NTT西日本−関西
和歌山事業部 設備部
サービスマネジメントセンタ
TEL 073-421-9172
FAX 073-425-0311
E-mail bird-defense kansai.ntt-west.jp
ルド検証および信頼性評価を実施した,評価結果を表に示
します.
開発品展開状況
本開発品は2009年7月に試行品を作成し,現在では
10-3590-1
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