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AN-02-DMS 入力形式、供給電源とグランドループ

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AN-02-DMS 入力形式、供給電源とグランドループ
デジタルパネルメータ・アプリケーションノート
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AN-02-DMS
入力形式、供給電源とグランドループ
シングルエンド入力と差動入力の2つの入力
形式はアナログ信号の計測を行なう場合常に一考に
値する主題です.デイテルの DMS シリーズメータに
おけるこの入力形式の問題をご理解いただくため、
DMS-30 シリーズ(3-1/2 桁)を例にとって説明します.
(図1に DMS-30LCD のブロック図を示します.)
DMS シリーズでは、いかなる入力形式であれ入力信
号は+入力端子(ピン 11)と-入力端子(ピン 12)の
間に入力されなければなりません。シングルエンド形
式とは2本の信号線のいずれかが電源リターン端子
(ピン 3)と接続しているかあるいは同電位である場合
をいいます.図2は電源電圧自体をシングルエンド入
① R2 は±200mV および±2V 入力型では使われません.±20V 型では R2=100kΩ、±200V 型では 9.1kΩ.
② 9V 電源型では DC/DC コンバータは使われず、J1 は接続されています.
③ 表示テスト機能はバックライトモデルにはありません.
力信号の一例として示したものです.
図 1. DMS-30LCD ブロック図
デイテルのすべての 5V 電源型 DMS デジタルパネルメータはシングルエンド
入力のみならず差動入力を計測できます.ただし差動入力においては、各
入力端子と電源リターンとの電位差 |+Vi|,|-Vi| のいずれか小さい方が
|±2V| 以下でなければならないという制約があります.これを同相電圧範囲
といいます.
9V バッテリ電源型の LCD メータでは事情が少し異なります.すなわ
ち 9V 電源型では、±両入力端子の電位は-バッテリ端子(ピン 3)より 1.5V
以上高くかつ+バッテリ端子(ピン 1)より少なくとも 1.5V 低くなければならな
いのです.したがって上述の例のように-バッテリ端子(ピン 3)に対して-1V
のような入力は計測できず、またいずれかの入力をピン 3 と接続するシング
ルエンド用例も扱えません.
図 2. バッテリモニタ回路内の 3 端子レギュレータ
5V 電源型/9V 電源型のこの違いはなぜ生じるのでしょう.再び図1をご覧
差動入力信号は二つの入力が電源リターン端子(ピン
3)と異なった
下さい.5V 電源型では内蔵の DC-DC コンバータで-5V 電源をつくり内部回
電位にある信号です.例えば-入力が電源リターンに対して-1V、+入力が
路は±5V の 2 電源で動作するので負電圧入力も扱えるのです.これに対し
同じく+0.9V の場合を考えます.この場合、正味の入力信号(差動)電圧は
9V 電源型では DC-DC コンバータをもたず 9V 単一電源で動作するために
+0.9 – (-1.0) = +1.9 V と計測されます.
上述の制約があるのです.
実際の用例ではこの問題をどのようにクリアすればよいでしょうか.
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もちろん 9V バッテリが DMS 専用の電源であるなら問題はありません.この場
グランドループに関する配慮は、特に
合信号源と DMS の電源とは電位的に無関係(フローティング状態)なのです
用する際などには重要です.グランドループは読み取り精度や安定性に影
から、2 本の信号線を各入力に接続しかつそのいずれか一方をアナログコモ
響を与えます.表示値が 20 カウントも変動したり、0V を入力してもオールゼ
ン(ピン 10)に接続すればよいのです.
ロを表示しないことがあります.
4-1/2 桁の高精度メータを使
(アプリケーションノート3参照)
このグランドループによる障害は、表示値の変化に伴なって変動する電源リ
では実際の用例によくあるようにシステム全体がバッテリ駆動で DMS への入
ターン電流(ピン 3 を出入りする)が入力信号の経路に混入することにより現
力信号もバッテリのマイナス端子電圧(またはそれより低い電圧)を基準にし
れます.これは通常シングルエンド用例でピン 12(-入力)とピン 3(電源リタ
ている場合はどうしたらよいでしょう.
ーン)が不適切な場所で接続された場合に起こります.(図 4 参照)誤差電圧
このような用例では前述の制限を避けるために 5V 電源型メータを用いねば
は結線の両端間での電圧降下、いわゆるIRドロップが原因で発生します.
なりません.そのためにまず 9V 電源をクリーンで良く安定化された 5V 電源
に変換します.これを実現する基本的な方法を二つご紹介します.三端子レ
この問題の解決法は簡単です.ピン 12 とピン 3 をピンの根元で接続しないこ
ギュレータを用いるか、シリーズ抵抗とツエナーダイオードを併用する方法で
とです.各ピンから別々な配線を用いて電源の GND 端子または信号源 GND
す.図 2 と図 3 はこの方法を示しています.
へ結びます.(図 5)
LCD 表示器タイプのメータではグランドループによる誤差は通常あまり気に
なりません.全電流消費量が LED タイプでは 100mA ほどもあるのに対し、
LCD タイプでは 1mA 程度だからです.しかしながらこの種の配慮を怠らない
ことはバックライトタイプの LCD メータを使用する際には特に必要です.
図 3. バッテリモニタ回路内のツェナーダイオード整流
いずれの場合でもこれら三つの部品(LM7805,ツエナーダイオードと抵抗)が
図 4. シングルエンドでのグランドループ誤差例
オーバーヒートしないよう回路の電力損失に配慮が必要です.DMS-EB のデ
ータシートには LM7805 を使用する場合に留意すべき点が記述されていま
す.一般にバックライトなしの LCD メータなら、24Vdc までのバッテリ入力に対
して LM7805 を使用することができます.
供給電源についてまず考えることは 5V 電源型と 9V 電源型のどちらを
使うかということでしょう.実際にはほとんどの用例では 5V 電源型で間に合い
ます.6~12V のバッテリ電源しかない時でも前述のように 5V 電源型を使う場
合があります.9V 電源型を使用する場合はさきに述べた入力電圧範囲の制
限に留意しなければなりません.
図 5. グランドループ誤差のない正しい配線
デイテルの DMS メータはその性能を十分に発揮するために安定な電源を必
要とします.すべての DMS には高周波ノイズを除去するためにピン 1(+電
源)とピン 3(電源リターン)との間に 1~2µF のフィルタコンデンサを内蔵して
いますので、大概は追加のデカップリングコンデンサは必要ありません.
50mV を超える 1kHz 以下の低周波リップルやノイズが存在する電源では外
付けにフイルタがいる場合があります.
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