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先人は優れたデザイナーだった 発見 !
こだわり 発見! 先人は優れたデザイナーだった ∼ 町並みは芸術作品∼ 先人達は、風景を一つのフレームとしてとらえ、青い空、緑の山に建物をどう描けるかを考えていました。写真の ちんかいざん さんろく ように寺山や鎮海山の山麓の景観を活かし、屋根の形や配置を組み合わせて変化をつけ、V字形のジグザグに構成 ひさし されるスカイラインを創り出しています。また、通りに庇を出すことで光と影を演出し、建物に多様な表情を与え る工夫をしています。住居に莫大な労力と財力をかけ、町並みを芸術の域まで高めた先人達の偉業は、時を越え、 竹原の特徴として学術的にも高く評価されています。 多様な屋根で構成される V 字形のスカイライン 平入の屋根 《屋根の形》 V 字形のスカイライン 《屋根の向きと出入口》 きりづま 妻入の屋根 ひらいり つまいり 切妻屋根 平入と妻入 屋根の最頂部の棟から両側に流 れをもつ。ローコストで雨漏り が少ない屋根。 出入口側に屋根が三角形に見え る建物を妻入、出入口側に屋根 が 四 角 形 に 見 え る 建 物 を 平 入。 竹原の町並みは、平入と妻入 の建物が入り混じり、特徴的な 景観のひとつとなっています。 いり も や 入母屋屋根 上部は切妻で、下部は寄棟造 (前後左右四方向へ勾配をもつ)の構造をもつ。 格式の高い屋根。 妻入 切妻屋根 ほん 丸瓦 がわら 本 瓦 折れ曲がる側溝 平入 入母屋屋根 さん がわら 桟 瓦 平瓦 2 種類の瓦 瓦は 1 種類。 丸瓦と平瓦が 合体したもの。 本瓦は江戸時代以前から伝わる伝統的な屋根瓦です。 一方の桟瓦は江戸時代に開発され、 簡単・安価な方法 格 子 う! 探してみよ デザイン こだわりの として全国に普及しました。竹原の町並みでは、 江戸時代の町家 通りから見える部分には本瓦を使い、 見えない 部分には桟瓦を使うなど、通りからの見 本瓦葺き 出格子 栄えを良くする工夫がされています。 通りに向かって突き出た 格子。通りからよく見え 2 階は低い る部分なので、凝った造り のものが多くあります。 雨 は銅製 オシャレな 出格子 透かし彫り 漆 透かし彫りのある格子。 で 塗り固 められた けん 江戸時代の建築規制で、寺社仏 塗籠格子 しっくい はりま 梁間 3 間とは? 1 こうもり 格子。2階の格子によく 上は蝙蝠のデザイン。 使われ、格子を菱形に組 蝙蝠は「蝠の字が福に通 み合わせて、 デザイン性を じる」 として、江戸時代に 高めたものもあります。 は縁起物でした。 2 こうもり けん 1 間 = 約 2m えびすどう はり 閣や町人の家は梁間が3間 3 ま 梁 間 (6m)以 下 と 決 めら れ て い ま 柱 時代の多くの建物が梁間3間 以内となっています。 多様な色 胡堂の縁起物 した 。そ の た め 、竹 原 の 江 戸 懸魚 もともとは火 避けの お 守り であり、魚の形をしていまし たが、だんだん形が簡単にな 蕪 り、屋根のデザインの一つと 茄子 灰色:上吉井家住宅 なりました。波打っているの 白色:旧村上家土蔵 は魚 のヒレの 名 残という説 もあります。 鶴 亀 商売の神様である胡堂には、色々な縁起物が隠れています。屋根の な す 上には鶴と亀の他にも、花が咲いたら必ず実をつける茄子や株とか かぶ けて 「株が上がる」 とされる蕪があります。 5 緑色:桐谷家住宅 青色:水出家住宅 黄土色(中塗り仕上げ) :竹雀 竹鶴家の懸魚