Comments
Description
Transcript
熱帯林とプランテーション
熱帯林プランテーション問題解決のための 取り組み促進事業 実施協力団体 メコン・ウォッチ 国際環境NGO FoE Japan 国際環境NGO FoE 熱帯林行動ネットワーク(JATAN) サラワクキャンペ ン委員会(SCC) サラワクキャンペーン委員会(SCC) 熱帯林とプランテーション レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部 ( (RAN) ) 地球・人間環境フォーラム(GEF) 地球 人間環境フ 地球・人間環境フォーラム ラム 飯沼 佐代子 1 熱帯林プランテーション問題解決のための 取り組み促進事業 2 背景 森林保全活動への取り組み 参加団体は、主に熱帯木材生産国での森林破壊と日本における輸入木材 の利用の問題に長年取り組んできた。 利用 問題 長年取り組ん きた 現地調査 研究 ・現地調査・研究 ・現地NGOとのネットワーキング ・普及啓発(セミナー、シンポジウム、報告書、リーフレット) ・提言、アドボカシー活動(ダイアローグ、交渉) 熱帯林の減少要因 違法伐採 ➜ プランテーション 特に違法伐採・違法木材の流通問題に関しては、「持続可能な木材調達」を 特に違法伐採 違法木材の流通問題に関しては 「持続可能な木材調達 を 企業の調達方針に入れこむことを求めて活動してきた。 3 4 背景 背景 • 問題意識 森に依存して生きてきた人々・コミュニティ ©峠隆一 ・近年、熱帯林減少・劣化の主要因は、木材生産から、アブラヤ シやアカシア等のプランテーションへの転換へと変化している。 ・木材生産の場合は、択伐や二次林の更新もあり森林は劣化 しても生物多様性、地域住民の林産物利用等は一定程度維持 される。 ・プランテーションへの転換は、森林の生物多様性や住民の森 林利用に壊滅的な影響を与える。 林利用に壊滅的な影響を与える ・プランテーションは、パーム油、紙、バイオ燃料などの原料を 生産し 私たちの消費生活を支えている 生産し、私たちの消費生活を支えている。 5 6 ©峠隆一 ©メコン・ウォッチ 背景 アブラヤシ収穫面積の拡大 プランテーションからの原料は、私たちの消費生活を支えている インドネシア 暮ら 暮らしの隅々に浸透したパーム油製品 隅 透 たパ 油製 • インスタント食品、加工食品、マーガリン、アイスクリーム、 チョコレ ト クッキ 等食品需要が8割以上 チョコレート、クッキー等食品需要が8割以上。 • 表示は通常「植物油」で、パーム油と認識されない。 • 石鹸、洗浄剤、化粧品類にも使用。 石鹸 洗浄剤 化粧品類にも使用 マレーシア 安価な紙製品 • アスクルやホームセンターの激安コピー紙(インドネシア製) 快適・便利・お得な生活の向こうで熱帯林 が消滅し 住民の生活が破壊されていく が消滅し、住民の生活が破壊されていく 7 FAOSTATより満田(FoEJ)作成 8 森林→プランテーション 原生林に近い森林 二次/疎林 伐採 ボルネオ島の森林減少 マレーシアの熱帯林への最大の脅威 レ シアの熱帯林 の最大の脅威 =アブラヤシ農園(UNEP) 伐採/造成 プ プランテーション •低湿地林はほぼ消失? 満田(FoEJ)作成 9 Source: Radday, M, WWF Germany. 2007. 'Borneo Maps'. January 24, 2007, personal e‐mail (January 24, 2007) Cartographer: Hugo Ahlenius, UNEP/GRID‐Arendal 10 スマトラ島リアウ州の森林減少 スマトラ島リアウ州の森林減少 -65%( 1982‐2007) •インドネシアは世界一森林減少の早い国(年2%)・・・2008年ギネスブック インドネシアは世界 森林減少の早い国(年2%) 2008年ギネスブ ク ・リアウ州では年11% 泥炭湿地林 森林 放棄地 その他の土地利用 11 アカシアプランテーション アブラヤシ農園(大規模) アブラヤシ農園(小規模) 皆伐地 ©WWFインドネシア 減少理由=プランテーションへの転換 12 活動の目標 活動の概要 1.ケース・スタディ アブラヤシ: マレーシア(サバ州、サラワク州、半島) インドネシア(スマトラ島) 2011年~2013年 年 年 • プランテーションの環境・社会問題が、日本の企業 と市民社会で認知されること • プランテーションの問題に、サプライチェーンを通じ て具体的に取り組む企業が増えること(例 CSR調達 て具体的に取り組む企業が増えること(例:CSR調達 方針の策定など) • プ プランテーションの問題に取り組む現地コミュニティ シ 問題 り組む現地 活動を日本から支援するネットワークが構築される こと 紙パルプ: ラオス インドネシア(スマトラ島) 特に生物多様性・環境 土地問題 労働問題に注目 特に生物多様性・環境、土地問題、労働問題に注目 13 14 活動の概要 プランテーションの特徴 2.サプライチェーン関連調査 パーム油ユーザー企業アンケート 年、 社中 社回答、 2011年、187社中58社回答、31% RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)参加、情報収集 マレーシア・インドネシアにおけるパーム産業と日本の金融機関の 機 関わり調査 企業ヒアリング・ダイアローグー12社にヒアリング パーム問題に取り組む他のNGOとのワークショップ • • • • • モノカルチャー:大規模(数千~数万ha)・集約型 モノカルチャ 大規模(数千~数万h ) 集約型 輸出換金作物 植民地時代の経営方式 経営者と労働者の関係(農民ではない) ランドラッシュ(土地収奪)との関連も 持続可能性とは? 持続可能な熱帯農業の例 • アグロフォレストリー:中小規模、少量多品種 アグ ォ リ 中 規模、少量多品種 • 小規模経営(Small Holder)の可能性 サプライチェーンを通じたパーム油利用への環境・社会配慮の 可能性を追求 15 16 調査結果 調査結果 紛争事例 紛争事例 土地・森をめぐる争い プランテーションに追われる人々 マレーシア・サラワク州 土地係争(裁判):100件以上(多くがアブラヤシ関連) インドネシア パ ム農園をめぐる紛争 1000件以上 パーム農園をめぐる紛争:1000件以上 リアウ州での係争のある土地面積: 34万ヘクタール(東京都の1 34万ヘクタ ル(東京都の1.5倍) 5倍) 1998年~2002年の報道 12人が死亡 134人が狙撃を受け 936人が逮捕され 284の家屋が燃やされた ©Scale Up bySawit Watch17 インドネシアの大手紙パルプ企業APPのプランテーション開発で、 住居を焼かれ強制退去させられる住民(リアウ州) 18 パーム農園でも同様の報告がある。 調査結果 調査結果 紛争事例 RSPOの環境・社会的な課題 紛争の背景 紛争 背景 インドネシア ・土地の権利に関わる問題 1967年森林法により、「土地所有権の明確でない土地 は国家のもの」 ・対象地の住民への事前の説明・協議・合意が不十分。 象 住民 事前 説明 協議 分。 ・一部の住民(有力者)との合意・補償等で住民が分 裂。 ・企業が土地配分に関わる契約・約束を不履行 19 • 泥炭地の保全 温室効果ガスワーキンググループの大きな課題。 • HCV(保護価値の高い地域)の保全 認証機関(CB)がHCVについて理解していなかったり、 農園担当者も 理解が不十分なケ 理解が不十分なケースがある。 スがある。 • 新規開拓における皆伐の規制なし 農園規模の制限がない。 • 農園規模の制限がない • 社会面(人権、労働、子ども)への取り組みが弱い。 人権ワーキンググループがない(2013年予定) 農園労働者の子どもの教育に関する基準がない。 • RSPOの理事企業による RSPOの理事企業による、未認証農園での問題行動 未認証農園での問題行動 (土地紛争)も。 20 調査結果 調査結果 RSPOの効果 RSPOの組織的な課題 • 会員総会は形式的 • 農薬 農薬・排水管理や、労働者の安全管理・安全教育等に関し 排水管理や 労働者 安全管理 安全教育等に関し ては効果が大きい。 • マネジメントの意識の向上 • HCVについて現場での認識が向上 • プランテーションの問題についての議論の場 プランテ ションの問題についての議論の場 意思決定は理事会中心。 • コンセンサス方式 難しい課題は合意に至るのが困難。 難しい課題は合意に至るのが困難 • プロモーションが弱い • →RSPOの実施体制の強化は必要 の実施体制の強化は必要 • →RSPO認証なら持続可能、とはまだ言えない メ バ 内 は情報共有 能 メンバー内では情報共有可能 メンバー外への働きかけが弱い • 急速に拡大しすぎて体制が追いかない ボラ タリ な制度 • ボランタリーな制度 強制力はない 21 22 調査結果 提言 熱帯林とパームの問題解決に向けて 日本企業の取り組み • 消費者にできること • RSPO加盟は洗剤業界先行 洗剤:サラヤ、花王、ライオン、コープクリーン、資生堂、ミマ スクリーンケア、太陽油脂など スクリ ンケア、太陽油脂など 食品:J‐オイルミルズ、味の素など • 加盟=認証パーム油の調達ではない。 加盟 認証 ム油の調達ではない。 • 調達開始:サラヤ、花王 • 2015年までに認証パ 2015年までに認証パーム油への切り替え宣言 ム油への切り替え宣言 1)私たちのパーム油消費について知る 2)生産地における環境・社会問題に関心を持つ 3)企業にパーム油調達における環境・社会配慮を求める • 企業にできること サラヤ、花王、ライオン、日本マクドナルド、ネスレジャパン • 国内のパーム油の消費は食用が80%・・・ 食品業界のRSPOへの取り組みは遅れている。 食品業界のRSPOへの取り組みは遅れている 23 1)サプライチェーンと生産地の運営状況を確認する )サ ライチ ン 産地の運営状況を確認する 2)新規開拓の農園から購入しない 3)調達地の農園・企業に人権・環境問題が認められた場合、 改善を求める 4)RSPOに限らずグッドプラクティスの実践農園から購入 5)RSPOの実施体制を強化 6)農園、NGOによる環境保全・社会的の取り組みを支援 24