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世界の衛星画像配布政策:

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世界の衛星画像配布政策:
資料2-2
2011年4月26日
第3回リモートセンシング政策
検討ワーキンググループ
世界の衛星画像配布政策:
中-高分解能データを中心に
青木 節子
(慶應義塾大学)
1
報告の概要
Ⅰ リモート・センシングデータ配布の国際法
II リモート・センシングデータ配布の国内法政
策
1 独立の国内法をもつ国: (1)米国 (2)カ
ナダ、(3)ドイツ
2 独立の国内法をもたない国
2
I 国際法:ソフトローとして採択
1986 国連リモートセンシング原則
国際法とはなにか
ハードロー
1 条約
2 慣習法
(3 法の一般原則)
ソフトロー
国際組織の決議、ガイド
ライン、行動綱領、国際
司法裁判所判決等
商業利用以前の政策
原則I リモートセンシングの定義限
定的 ①天然資源管理、
②土地利用、③環境保護
データの分類
①primary data
②processed data
③analysed information
3
原則XII 慣習法化が議論
原則XII
探査国は、被探査国の
領域を撮影したデータ
について、被探査国に
「無差別かつ合理的な
費用条件で」アクセスを
許す義務がある。
「国」と「非国家主
体」の保有するデー
タの双方
探査国は、国が保有す
る「分析情報」について、
被探査国に「無差別か
つ合理的な費用条件
で」アクセスを許す義務
がある。
(=私企業が保有する情報に
ついては上記義務なし)
被探査国の自国に関するデータについての優先権否定
4
国際制度を作るソフトローとしての原則X、XI
原則 X 地球環境に有害な現象に
対処することが可能な情報を保
有するリモートセンシング動参加
国は、当該情報を関係国に送付
する義務
*Global Earth Observation
System of Systems (GEOSS)
[Group on Earth Observation
(GEO)] ICSU/CODATA data
sharing principles 2009
原則XI 災害情報についてのデー
タ・情報保有国が被災国および
被災すると思われる国にデータ
/情報を送付する義務
* Disaster Charter since 2000
* Committee on Earth
Observation Satellites (CEOS) 2
data principles in 1991 and
1994
* Integrated Global Observation
Strategy Partnerships (IGOS-P)
data principle 2000, 2003
5
IGOS-Pデータ配布規則
①高性能データを継続的に提供する義務
②)利用者の必要性に基づいた長期に亘る観測の提供義務、
③すべての利用者に時宜に適った方法でデータ・製品の「完全かつ無
制限の」(full and open)共有および交換を行うという基本的目的、
④利用者の必要性を満たす高品質のデータの確保、
⑤ メタデータをアクセスしやすい形で維持する義務、
⑥ すべてのデータ・メタデータを、アクセスしやすい保管所に保存し、
技術の進展に従って再加工できるように適切に維持する義務、
⑦すべてのデータ・製品を合意された標準に従って容易にアクセス可
能なディレクトリに書き込む義務、
⑧ 本原則履行にあたり、国際的に合意された標準に可能な限り則っ
てデータおよびメタデータの取得、処理、保管および配布を行う義務、
⑨情報へのアクセスを良好なものに保つため、観測システムの運用状
況を継続的に監視する義務、
⑩ 記録の正確さと一貫性を評価し得る情報の収集、分析、配布の義
務、
⑪データ提供の迅速さ、正確性などについて利用者からの評価に基づ
6
いて、問題点を改善する義務、が合意されている 。
GEOSS 10年実施計画における基本原則
1 関係国際文書および国内法規則を考慮しつつ、GEOSS内
で共有されるデータ、メタデータ、製品についての「完全か
つ自由な交換( full and open exchange )
2 すべての共有データ、メタデータ、製品は最小限の遅滞およ
び最小限のコストにより提供される。
3 研究・教育についてはすべての共有データ、メタデータ、製
品は無料または実費による提供が奨励される。
7
II リモート・センシングデータ配布の
国内法政策
1 独立の国内法をもつ国
(1)米国
(2)カナダ
(3)ドイツ
2 独立の国内法をもたない国
8
1 米国 (1)
年
法律名など
所管省庁
当時の政策
1984年以前
政府間協定
国務省中心
NASA→NO
AA→民間
1984年
陸域リモート 商務省 (民
センシング商 間とのPPP)
業化法
完全民営化
→LANDSAT7以
降国防省とNASA
が責任
1992年
陸域リモート 商務省
センシング政
策法
地球環境
データは
NASA
9
米国(2)
リモートセンシング政策法の構造
1 ランドサットプログラムの完全な民営化
(commercializationかつprivatization)は、予見可能な将来
に達成することは不可能。長期的目標ではあり続ける。
1990年代以降の環境観測重視の中で政府の重要性が高まる。
2008年1月以降 内務省/USGS LANDSATデータ無料配
布
2 民間RS衛星システム 運用は許可制
10
米国(3)
民間RS衛星データ政策
法律に規定するのは、衛星運用者の運用条件
*米国管轄下にある者(商務長官が決定)はRS政策法に基づく免許
申請を行う。
*米国法、国際法、国家安全保障に合致
*公的資金の入るデータ、未処理データ(unenhanced data)を合理的
条件に基づいて被探査国に提供する。
*免許人は政府資金が入るデータおよび政府が適切と考え命ずる場
合に未処理データを政府に提供する。
*政府の技術実証計画により収集される未処理データの配布は、可能
な限り、LANDSAT6の未処理データを市場で販売する私企業に悪
影響を与えないように行う。
11
1米国(4) 企業のデータ配布原則
国際法の適用と国家安全保障が2本柱
*RS衛星の打上げ、運用等に公的資金がどの程度使
われているかにより、企業の行動の自由が変わる。1
政府打上げ運用衛星データ すべての未処理データ
は、「無差別の原則」で「合理的費用条件」で利用者
に提供
2 PPP 未処理データの被探査国への無差別原則の
適用について政府決定
3 完全民間運用衛星データ 無差別原則適用なし 政
府の安全保障関連データ政策の適用を受ける。
12
米国(5)
国家安全保障政策の反映
1994年 大統領決定指令23 (2008年に全文公開)シャッターコントロール
導入
1997年 国防権限法 イスラエルおよび大統領が指定する国・地域につい
て市場で取引される最高の分解能以上の画像を撮影することおよび配
布することを禁止する。
2000年 民間リモートセンシング衛星システムに関する省庁間了解覚書
2003年 商業RS宇宙政策 シャッターコントロール強化
データ政策は国家海洋大気局(NOAA)が管轄するRS衛星運用者の許可
取得規則(15 CFR 960.12)を通じて確保。具体的な数値、対象等は規
則に規定されず、大統領、関係省庁の指令、政策等(省令レベルで扱わ
れる。) 政策、裁量の優位
13
2 カナダ (1)
RS法を必要とした理由
1995年 レーダーサット1打上げ 政府衛星
1998年 レーダーサット2計画開始 民間衛星
1999年 「アクセスコントロール」政策
2000年 米国とのデータ配布協定 (理由:米国との技
術協定(輸出管理考慮)、米国市場でレーダーサット
画像を販売、高解像全天候型画像の世界流通は米
国政策の貫徹を妨げるおそれ)
2003年 RS法制定開始→2005年「RS宇宙システム法」
2007年 免許規則承認
14
カナダ (2) RS宇宙システム法の概要
1.適用範囲 カナダ領域で運用 +カナダ人
運用
2.許可発給 外務省
3. 許可要件で考慮する事情 国家安全保障、
カナダ防衛、カナダ軍保護、国際義務遵守
4 優先的なデータ取得者 国防省、外務省、
情報関係者、警察
5 国防省、外務省がシャッターコントロール権
15
カナダ(3) 許可規則の柱
*設計審査、システム要求審査
*活動規制のためのcommand and data
protection plans
*公益のために生データを提供する義務
許可規則に基づいて実行
シャッターコントロール
タスキング記録の提出
16
3 ドイツ法(1) 高性能RSデータの配布に
よる安全保障リスクから国家を保護するための法
2007年 法律制定 2008年政令制定
1 法律が必要とされる背景 PPPプロジェクト
2007年 TerraSAR-X衛星
2008年 RapidEye衛星群
2010年 TanDEM-X衛星
2 特色 3種類の許可
①衛星運用、②一般的なデータ配布、③特別な
データ取引
17
ドイツ法(2)
3 構造に反映される目的
純粋な政府衛星ではなくPPP型の衛星データの配
布を迅速に行い、国家安全保障と国際義務を遵
守する。→細目は国際情勢等で変更しやすいよう
に政令に規定。
公共財ではないが保護すべきもの、とする位置づけ
18
ドイツ法(3)
4 適用範囲 ドイツ衛星、ドイツ人の運用する衛星、ドイツ
領域から運用される衛星で非軍事衛星
5 機微性審査 2段階 経済輸出管理局(BAFA)
(実際の運用は米国法類似)
高性能RSシステム 政令で定義
6 衛星運用者とデータ配布者が許可要件を遵守
*最初のデータ配布者を直接に拘束し、サービス提供者・
付加価値情報製造販売業者は間接的に拘束
operator, distributor, operator/distributor
19
II2 独立した国内法をもたない国
欧州政策(1)
2003年 オーフス指令
2003年 PSI指令
2007年 INSPIRE指令
知的財産権については
1996年 Database 指令
2001年 著作権指令 RSデータに著作権保護なし
2002年 プライバシー保護指令
20
欧州政策 (2)
2007年 INSPIRE指令 (2007/2/EC)
前文23 収益を上げる義務をもつ公的機関
の財政的存立基盤を保護する態様での
データ共有政策
2条(2)知的財産権の保護
*RSデータは公共財ではない。
21
インド
宇宙機関ISROのデータ配布規則
1インド所有のRS衛星
① 分解能5.8mより下 無差別原則
② 5.8m以上
関係官庁からの許
可
2 インド領域内でのデータ販売基準
分解能1mを含みそれより低いものは販売可能で
あるが、国内での流通は国家RSセンターとユー
ザーの協定に基づいて行う。
22
結論:
現行RSデータ配布ポリシーの特色
1 明文での一見明白なデータ配布ポリシーをもつ国はほとん
どない。
2 公的資金が100パーセントデータ生産に与っている場合の
データ配布については国際法が存在しているか、結晶化の
途上にあり、RS先進国は国内法に取り入れている→これが
災害救援や環境保護時のデータ配布についての国際レジー
ム形成の原動力となりつつある。
国内法制定においては、成立しつつあるレジーム内容を先
取りした規定を含めることが必要か。
23
(2)
3 災害救援・環境保護の場面を除くと、政府等公共
機関が生産するデータ・情報は公共財ではない。ま
た、国内法で特に規定しない限り、著作権では保護
されない。 経済価値を守るために特別の政策が必
要である。
4 公的資金と民間資金の協力による生産されるデー
タにはいっそうの経済価値保護政策が必要となる。
5 政府運用衛星のデータを民間に商用配布させると
きには、①政府の自由な配布行動により当該民間
団体の活動を阻害しない責務と②研究、教育に
データを実費ベースで提供する責務のバランスを考
慮する必要がある。
24
(3)
6 特に分解能の高いデータについては、国家安全保
障、同盟関係の考慮(例、米国のイスラエル対応)、
外国法の適用などの観点から、「完全かつ自由な」
データ配布はあり得ない。
円滑な自国民のビジネスのために、先行する国内法
に影響されるので、早期に国内法を作成することが
望ましい面がある。国内法を作成した国は、民間ま
たはPPPでRS衛星を運用する場合に限られていた。
(RS衛星数では世界1,2を争うインドはISRO政策で
ことたりている。)
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