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輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会

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輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会
輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会
買手により無償で提供される音楽コンテンツに要する費用及び当該音楽コンテンツの輸入貨物
への固定に関連して買手により支払われる著作権使用料の関税評価上の取扱いについて
照 会
① 輸入貨物の品名
音楽再生機器(税表分類:第 85 類)
② 照会の趣旨
輸入貨物に固定するため買手により無償で提供される音楽コン
テンツに要する費用及び当該音楽コンテンツの輸入貨物への固
定に関連して買手により支払われる著作権使用料が輸入貨物の
課税価格に含まれるか否かについて照会するものです。
③ 取引の概要及び関
税評価に関する照会
者の見解とその理由
別紙1のとおり。
照
会
内
容
等
④ 関係する法令条項等
関税定率法第 4 条第 1 項第 3 号ニ、同項第 4 号、関税定率法施行
令第 1 条の 5 第 2 項
⑤ 添付書類
照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関する参考資料
回 答
回答年月日
回
答
内
容
平成 20 年 3 月 5 日
回答者
大阪税関業務部首席関税評価官
別紙2の理由のとおり。
ただし、次のことを申し添えます。
(1) 回答内容は、あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり、具体的な事例にお
いて異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、回答内容と異なる課税関係が
生ずることがあります。
(2) 回答内容は、税関としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではあ
りませんのでご留意ください。
(別紙1)
1.取引形態図
貨物、インボイス(FOB)
輸入者・買手
輸出者
貨物代金
B社
E社
(本邦)
(X国)
著作権
音楽コンテンツ
使用料
(無償)
著作権管理事業者
特殊関係
貨物
製造者・売手
S社
(本邦)
(X国)
2.取引概要
(1) 買手(輸入者)B社(以下「買手」という。
)は、X国所在の売手S社(製造者。以下「売
手」という。)に対して、音楽コンテンツを固定した同コンテンツ再生機器の製造を委託し、
X国所在の輸出者E社(以下「輸出者」という。)を通じて、当該貨物を輸入します。
なお、売手と買手は、特殊関係にありますが、当該特殊関係による当該貨物の取引価格へ
の影響はありません。
(2) 買手は、インターネットにより売手へ無償で音楽コンテンツを提供します。当該音楽コン
テンツは、輸入貨物の生産過程において、売手により当該輸入貨物へ固定されます。
(3) 買手は、国内楽曲販社から購入した楽曲データに、当該楽曲データの本質を変えない程度
の軽微な編集を行なうことにより、音楽コンテンツを作成します。
(4)
上記(3)において作成された音楽コンテンツには著作権管理事業者(以下「管理事業者」
という。)の管理楽曲が含まれていますので、買手は、当該音楽コンテンツに含まれる当該
管理楽曲を輸入貨物へ固定するに当たって、管理事業者から当該管理楽曲の利用許諾を得て、
その対価として管理事業者へ著作権使用料を支払っています。
なお、上記楽曲販社は、国内において楽曲データを作成し、買手へ当該楽曲データを販売
していますが、当該管理楽曲に係る著作権使用料を管理事業者へ支払っていません。
3.関税評価に関する照会者の見解
(1) 上記取引において、買手がインターネットにより売手へ無償で提供する音楽コンテンツは、
本邦において開発されたものと認められるので、関税定率法施行令第 1 条の 5 第 2 項の規定
により「技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務」(関税定率法第 4 条第 1 項第
3 号ニ)に該当せず、当該音楽コンテンツの費用(買手が国内楽曲販社から楽曲データを購
入する費用及び当該楽曲データを使用して音楽コンテンツを作成する費用)の額は、当該輸
入貨物の課税価格に算入されない。
(2) 上記取引において、買手が管理事業者へ支払う著作権使用料は、売手は一切関知しないも
のであり、輸入取引の条件として支払われるものではないことから、当該輸入貨物の課税価
格に算入されない。
(別紙2)
回答内容
1. 上記取引において、買手がインターネットにより売手へ無償で提供する音楽コンテンツの費
用(買手が国内の楽曲販社から楽曲データを購入する費用及び当該楽曲データを使用して音
楽コンテンツを作成する費用)の額は、以下の理由のとおり、輸入貨物の課税価格に算入さ
れないと解されます。
2. 上記取引において、買手が管理事業者へ支払う著作権使用料は、以下の理由のとおり、輸入
貨物の課税価格に算入されないと解されます。
(理由)
1. 「技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務」
(関税定率法第4条第1項第3号ニ)
は、
「輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸及び意匠であって本邦以
外において開発されたもの」
(同法施行令第 1 条の 5 第 2 項)をいいます。買手が売手へ無償
で提供する音楽コンテンツは、輸入貨物に固定されていますので、当該輸入貨物の生産に関
する役務であり、当該輸入貨物の生産のために必要とされた考案等に相当します。しかしな
がら、当該音楽コンテンツの作成(国内の楽曲販社による楽曲データの作成及び買手による
編集。)は、本邦において行われていますので、関税定率法第 4 条第 1 項第 3 号ニに規定する
「技術、設計その他当該輸入貨物の生産に関する役務」に該当せず、当該音楽コンテンツの
費用(買手が国内の楽曲販社から楽曲データを購入する費用及び当該楽曲データを使用して
音楽コンテンツを作成する費用)の額は、輸入貨物の課税価格に算入されないと解されます。
2. 「輸入貨物に係る特許権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(略)の使用に伴う対
価」(関税定率法第 4 条第 1 項第 4 号)は、「輸入貨物に係る」ものであり、かつ、
「輸入取引
の条件として、買手により直接又は間接に支払われるもの」である場合には、当該輸入貨物
の課税価格に算入されます(関税定率法基本通達 4-13(2))。上記取引において、買手により
売手へ無償で提供される音楽コンテンツには、国内の楽曲販社により作成された楽曲データ
が含まれており、買手は、当該楽曲データに含まれる楽曲を輸入貨物へ固定するに当たって、
当該楽曲の管理事業者から当該楽曲の利用許諾を得て、当該許諾の対価として著作権使用料
を管理事業者へ支払っています。当該対価は、音楽コンテンツに含まれる楽曲を輸入貨物へ
固定するために支払われているものであり、音楽コンテンツの作成(若しくは楽曲データの
購入)又は当該音楽コンテンツを提供するために要した費用ではなく、その支払の性質は、
音楽著作物に係る著作権の使用の対価と認められます。上記取引の輸入貨物は、著作物であ
る楽曲が固定されているものであり、当該著作権使用料は、
「輸入貨物に係る」ものとは認め
られますが、当該輸入貨物の輸入取引に関して、売手と買手との間に管理事業者への当該著
作権使用料の支払に関する取り決めがなく、また、売手と管理事業者との間に許諾関係、特
殊関係及び下請関係等がありませんので、
「輸入貨物の輸入取引の条件として、買手により支
払われるもの」とは認められません。したがって、上記著作権使用料は、関税定率法第 4 条
第 1 項第 4 号に規定する特許権等の使用に伴う対価に該当せず、輸入貨物の課税価格に算入
されないと解されます。
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