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学術情報センター日録システムと ローカルシステムのインターフェイスの

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学術情報センター日録システムと ローカルシステムのインターフェイスの
学術情報センター日録システムと
ローカルシステムのインターフェイスの一f列
一条構造結合を考慮して一
杉町 宏・北
1 はじめに
本稿で主題として取上げたのは,次の2点を中
見一
2摂南夫学図書館システムの概要
NCはオンラインシェアードカタロギングを前
心とした事項である。
提とした日本におけるBUとして,従来の紙記
録方式による各種書誌交換の試みと質的転換を
1.1 2つの世界の整合性の維持
もって登場した。その質的転換側面は時間と空間
NACSIS−CATの書誌の世界(以下,NCと
略)とローカルシステム(以下,LSと略)の書
の制約を,ネットワークの中で越えた,Any・
where Anytimeの書誌へのアクセスに道を開い
誌及ぴハウスキーピングの整合性をどう取るか。
た所にある。ただし,各NC接続館が,NCシス
いわゆる,目録規則上の2つの世界の整合性の問
テムにおいて全国総合目録を分担形成していく中
題とNCの目録システムとLSの書誌DBの整合
で,自節目録データベースが同時に形成される仕
性の確保という二重の課題である。
組みにあっては,他方の個別図書館の側にNC
しかし,この課題に対して,基本的にLS側が
取り得る位置は,ここ2,3年の大学図書館研究
集会の流れ等を見るまでもなく,既に外部環境と
して規定されているといえる。いわば,個別LS
側からして,NCというビブリオグラフィック
ユーティリティー(以下,BUと略)は,既に所
与の環境として眼前にあるのが現状である。
の世界とのデータのやりとりを通じて,自節目録
DBへ反映させる仕掛けが必要となるが,この仕
掛けは,NCの世界とのデータのアップロード・
ダウンロード(以下,UL/DLと略)を担当する
コミュニケーション系ソフトウェアとローカル
DB側ソフトウェアとにより達成される。
摂南大学図書館においては,もう一つの所与の
環境がある。すなわち,1982年の時点より既に
1.2 LS側のインターフェイス
総合オンラインシステムを運用し,学内OPAC
前述の所与の存在としてのNCの世界を考え
ると,残された課題はLS側のNCの世界へのイ
ンターフェイス(以下,IFと略)の持ち方であ
の目録カード等からの遡及入力ではなく,既に形
成されているローカル書誌DBのマッチング,遡
る。
及入力の問題をもたらしている。これについて
摂南大学は昭和62年5月に学術情報センター
とVTSS方式による接続を行った。後に詳しく
は,後に触れる。ここでは,このもう一つの所与
の環境であるしSの概要について,簡単に紹介さ
触れるが,摂南大学図書館のLSはTLISII
せていただく。
を全面採用していたことである。このことは,紙
(Total Libraly Imformation System II)とい
い,このTLIS IIと共に今回取上げるLUMINA
2.1 システムの概要
II(ギリシャ語で光の意)がNCへのVTSS方
1982年総合オンラインシステム
1983年 外部MARCデータ利用処理
1986年 コピーカタロギングの実施
式による接続ソフトウェアである。
本稿の目的は,このTLISIIと接続ソフト
ウェアLUMINA IIを中心としたIFの紹介であ
る。
1987年 NACSIS−CAT接続
LS,TLIS IIの概念図を図1に示す。
図書館業務全般に渡るTLISIIのアプリケー
62
大学図書館研究XXXlV(1989.6〕
収8管建 所竈検索 雑蟹管獲
h・湖テム つヲ・切テム つラ・切テム
c圃圃圃圃園貸出口寝 外部債練 秦注管環,づ・切ラム 量ヲ・加判 ”・湘テム
@ 何舳棄 名標 学岬報
@ つ一ピフ口調 M^RC センター
図1 システム概念図
ションプログラムは6つのサブシステムで構成さ
り・NACSIS−IRとのリンク機能も計画してい
れる。それぞれが一元化された5つのDBとサブ
る。
フアイル群によって,有機的に機能するよう設計
2.1.6外部接続サブシステム
されている。
NCとのリンクを核として,外部の書誌情報,
各サブシステムの概要は次のとおりである。
所在情報,出版情報,販売情報の交換機能をサ
2.1.1貸出管理サブシステム
ポートする。各種MARC変換プログラム,通信
0CRを核として資料の貸出管理を自動化する
プログラムなどで構成されている。
もので,貸出,返却,予約,返却督促,貸出統計
はもとより,後述のキャンパス間ネットワークに
212 ネットワーク構成
よって,本館一分館,あるいは大阪工業大学との
ローカルシステム,TLISIIのネットワーク構
間で相互貸借,文献複写依頼,事務連絡(メー
成を図2に示す。キャンパス間ネットワークとし
ル)等のローカルILL機能を有する。
て,本館(宿屋川市),分館(枚方市),大阪工業
2.1.2発注管理サブシステム
図書予算の管理と遂引物以外の発注管理を中心
大学(大阪市)の3つのキャンパス間をNTTの
専用回線(9600BPS)で接続している。NCと
としたサブシステムで,学部,学科,研究室,個
の接続は,各館の目録業務用ワークステーション
人の様々なレベルの予算管理を可能にしている。
(IBMPS/55,以下,WSと略)をNTTのDDX
第1種パケット交換網(9600BPS)経由で
また,法人財務情報システムとリンクして,会計
処理が自動的に行われる。
VTSS方式によって行っている。また,同一回
2.1.3収書管理サブシステム
線上で,NACSIS−IRとの接続も実現している。
書誌情報と所在会計などの管理情報を総合的に
維持・管理するためのサブシステムである。目録
さらに各館の参考業務用WSから,公衆回線で
DIALOG,JOIS等,商用検索システムにアクセ
業務を初めとして各種統計処理,棚卸処理なども
スすることができる.このように複数のシステム
含まれる。
をネットワークによって結合しているが,WS
2,1.4逐引物管理サブシステム
(館員)からはあたかも1つの世界に見えるよう
逐引物の発注,受入・れ,製本,登録,目録作
な操作性を提供する。
成,新着速報の作成,コンテンツ・サービスの管
理なども可能である。
2.3DBの概要
2.1.5所蔵検索サブシステム
TLIS IIは,5つのDBとサブフアイル群によ
カードレス実施に伴い実現したOPACであり,
り構成されている。以下にDB一とサブフアイル群
大阪工業大学図書館の蔵書を含めた検索ができ,
の概略を述べる。
前述のローカルILLで相互貸借が可能である。
書誌DBは,基本的にNCに準拠した内容で
また,検索機能にカード検索の利点を盛りこんだ
あり,書誌情報以外に書誌情報管理用データ,後
63
学術情報センター目録システムとローカルシステムのインターフェイスの一例
学術植蟹センター
I〕DX 9600日PS
借報検索提供機開
公衆回線300/12008PS
\
大阪工実大学
摂南大学
中央図8能
獲副11本館
大阪工実大学 撮前夫学 \
冒十重センター 計算センター\
大阪工業大学
高校図電童
専用回線
96008PS
摂南大学
枚方分館
図2 ネットワーク構成図
述の収書DB(所蔵物理単位レコード)へのポイ
IIを分析してみる。
ンターを収めている。さらにサブDBとして,変
換ルールDBを持ち,データの移行時や異種
フォーマットデータ混在時の標準形式変換出力を
サポートする。
3.1前提環境
既に述べたように,1982年,総合オンライン
化,目録カードの全廃,OPACの開始を行って
索引DBは,書誌DBなどの検索を,高機能か
つ迅速に行うための索引情報を格納する。各DB
おり,外部BUとの接続を除き,ローカル世界
へのリンクポインターを有する。また,参照情報
部ではTLIS Iの世界と称しており,第1次オ
や辞書機能も提供する。
ンライン化の時代である。
収書DBは,所蔵資料の物理単位で管理を行う
さて,1987年NACSIS−CATと接続し,全国
ための所在情報,貸出情報,会計情報を納めてい
書誌・所在情報DBの形成に参加した。教育モー
る。
での完結性を持っていた。ここまでの世界を,内
ドから業務モードに移行していくなかで,並行し
また,書誌DBへのリンクポインターを持って
てNCとのUL/DLのIFおよびローカルDB構
いる。
造の再構築に着手してきた。LSのいわゆる第二
発注DBは,単行本,遂引物を一括して収納
次オンラインヘの移行である。
し,予算管理,納入管理,製本管理,選書,登録
に必要な全ての情報を有する。
3.2 LS第二次オンラインヘの移行
利用者DBは,図書館の利用者に関する情報を
一元的に管理し,主に貸出管理,コンテンツサー
LS側において,この第二次オンラインヘの移
行を進めていくには,次の2点が主要な課題とし
ビスなどに利用される。
て現れてきた。
サブフアイル群は,1つのシステムで複数館に
3.2.1書誌問の整合性とDBの変更
サービスするための様々な情報を持っている。特
NCとLSの2つの異なる書誌間の整合性の確
に変更が予想される処理条件などは,極力プログ
保をどう保持するのか。結論から言えば,LSと
ラムロジックとして持つことを避け,テーブル
しては,書誌に関しては限り無くNCの世界に
ファイルの中にデータとして持ち,高い汎用性,
歩み寄っていかざるを得ない。もちろん,論理的
柔軟性を確保している。書誌DB,収書DB,索
引DB,変換ルールDBの関連図を図3に示す。
な次元では取り得る対応は,2つが考えられる。
3 NACSIS−CATとTLIS II
その一つは既に述べたNCの世界にいわば合せ
てしまう方法である。他方はLSの書誌の独自性
を維持し続ける道である。しかしこの第2の選択
以上,かけあしでTLIS IIへの歩みを概観し
はLS側に重い課題をかすことになる。
てきたが,ここでNCの世界を視野に入れて,
ローカル側での所与の環境という角度からTLIS
すなわち,独自性を維持する道は,当然のこと
64
として,NCの世界との間において,目録規則間
大学図書館研究XXXlV(1989.6)
収むデータベース
凹誠データベース 躯酬データベース
E
強レコード
普維管I1レコード
収書管種レコード
610図凹番号
010普読者味
。lo讐誌示号
S10ソース10
調10岬細手号
讐識者号レコード
010讐識番号
響ポインター・レコ■ド
音誌データレコード
810図書者号
/
残I島ルール知継ぺ・ス
1
!
標準静式出力
吏調’1’iル領I!レコ■ド
…m @!∈)
ノ
舳炸し一一千区≡;1(
口
図3 図書データベースの構成
の整合性維持を含む書誌の変換の問題を伴う。こ
与する方法である。この場合,カタロガーはNC
れは,UL/DLといずれの局面にも,登場する課
題である。しかも,LS書誌が,出版物理単位を
意識して対処しなければならない。これによるカ
基礎として作成されてきたのに対し,NCの世界
は書誌階層の定義の上に成立している。現状の
た,2つの世界問で,日々修正にたずさわるカタ
LSのもとで完全な形での機械変換のプログラム
ロガーの人的資源のロスは,多大なものである。
の世界とLS世界との2つの世界を常に作業中,
タロガーの負担は,相当なものと考えられる。ま
を構築することは,困難である。また,仮にこれ
しかもこれらの負荷は永遠に継続される必要があ
らを複雑なアルゴリズムで構築したとしても,シ
る。これは,私たちの眼からするとシジフォスの
ステムパワーの問題は別として,例えば過去
PTBLの記述文法が変わったことを,想記して
みると,再び,LS側において,作り上げたアル
以上から,ローカル書誌DBの再構築と目録規
ゴリズムの再構築が必要となる。安定期には入り
3.2.2 ローカル書誌DBの再構成
つつあるとは言え,まだまだ変更・改善が推測さ
計することは,システム設計から見て得策とは考
ローカル書誌DBの再構成において,DB構造
として,単一DB,物理的単一階層,MAXタグ
の構造を採用した。ここで,単一DBとは,図
えられない。
書・雑誌/和書・洋書をDB上で分割していないこ
すると,LSが採用出来る次善の策は概ねの変
とをさす。また,物理的単一階層とは,書誌階層
換を機械プログラムで行い,後はカタロガーが関
構造は階層フラグとポインターで保持する形で,
れるNCの世界へのIFをこうした固定結合で設
世界を思わせた。
則の見直しの道を,我々は選択した。
65
学術情報センター目録システムとローカルシステムのインターフェイスの一例
N層の書誌階層に対応したものである。MAXタ
グの意味は,NC世界の書誌データ・所蔵データ
処理能力は一昔前の汎用機をしのぐまでに成長し
てきたパソコンは,処理能力から考えて,端末機
のすべての項目に対応していることを示す。
ではなく,WSとして位置づけ,積極的にシステ
3.2.3 目録規則の見直し
ム負荷をになわすことが正解ではないか。さら
目録規則については,NC目録情報の基準を採
用し,従来の出版物理単位での書誌の作成から,
に,システム設計は,目前の32ビット機時代へ
の継続的発展性を考慮する必要がある。これが第
固有の標題単位での書誌の形成へと切替えること
二の解答への入口であった。
とした。なおハウスキーピングに必要な出版物理
3.2.8 2つの役割分担とIF
単位は,VOLフィールドの元に繰返しで持つ構
NCの世界とのIFも含めて,LSホストとWS
造である。
間の適正な分担はどうあるべきか。特に,NCと
その他,主要な点は過去,図書として扱ってき
た年鑑や白書等の学術雑誌以外の逐次刊行物の,
のIFは柔構造型結合を採用したいが,フレキシ
ビリティーエキスパンションの仕掛けをどこに組
図書扱いからの移行である。対象となるこれらの
入れるか。これが,システムの重要な工夫であ
逐次刊行物はNACSIS−CATシステムヘ遡及入
る。
力中であり,同システムでの登録,書誌の確定
後,DLによってLSのDBに反映される。
3.3第二次オンライン化への環境整備
3.2.4LS書誌の第二次遡及変換入力
こうしたTLIS IIでのDBの枠組みとルール
の見直しとに並行して,LS書誌の第二次遡及変
前述の多様な課題を受けての,TLIS IIでの実.
換入力の検討を進めてきた。
接続ソフトウェアLUMINAの機能拡張に着
帰結としてここでも結論はNCのオンライン
登録(RECON入力)の作業を通じての,書誌
手した。主な機能拡張点を,列挙する。
の第二次遡及変換入力を行うとの選択であった。
LUMINAは,BASIC言語で開発され,同実
対象となる書誌は,全システムで約40万件であ
る。
行モジュールの元で稼動していた。これをC言
語で書換え,UIP処理スピードの向上を計った。
3.2.5環境整備とツールの開発
変更後のLUMINA IIでのNCアクセスの平均
行の歩みを個々に紹介する。
3.3,1NC接続ソフトウェアの改良
3.3.2開発言語の変更
この第二次遡及変換入力であるが,少ない館員
レスポンスは,NC側処理を含めて2∼3秒程度
が日常業務と並行して実施することが,前提とさ
である。
れている。ここでの結論は,人海戦術によるNC
3.3.3ユーザー定義フィールドの設定
オンライン入力を使用しての,入力が困難であれ
NCの書誌データのBottom of Dataの下に,
ば新規書誌の作成(日常業務),遡及入力業務共
ユーザー定義フィールドの設定を可能とした。定
に,カタロガーの生産性を相当向上させる手段の
義フィールドは,定義テーブルによりフィールド
模索であった。
項目名,フィールド長,フィールド属性等が任意
このことを,TLIS II開発過程では環境整備と
に設定できる。また,定義フィールドは,NCに
ツールの開発課題と位置づけている。具体的な検
対しては送信されない。
討は,次の諸点において進められた。
3.2.6LSホスト側の対応
3.3.4UIPのDLデータの仕様改善
①テキスト形式フィールド単位のDLデータ
LSホフト側で,カタロガーの生産性向上に寄
ファイルの追加
与できる仕組みは何か。そのことを,LS資源の
DLデータの仕様を,仮想画面形式だけでな
過負荷を招かずに実行する知恵はないか。これ
く,テキスト形式のフィールド単位のものを追加
が,最初の課題である。
した。データの分解・合成やLSへのデータ転送
3.2.7WS側での工夫
WS側での工夫はないか。標準的16ビット機
で,ハードディスクを装備(20∼40MB),CPU
の容易さの向上を計った。
66
②DLデータファイルヘのスタンプ機能
ファイルヘのスタンプ機能を導入し,日々の単
大学図書館研究XXXlV 11989.6〕
位で自動的に,DLデータファイルがユニークに
む単位の書誌・所蔵データを,任意のWSから
なるようにした。事後処理の容易さの向上が目的
UL/DLすることが可能である。処理に当たって
である。
はTLIS IIのメニュー画面の選択を行うだけで
③DLデータファイルヘのディレクトリー指
済む
定機能の追加と環境変数の組込み
WS側ハードディスクの階層ディレクトリーに
②UlPとWSのOS
第1期では,WSのOSはMS−DOSであり,
対応させることを目的としている。
オンラインバッチ処理である。NC接続とLSの
3.3.5セミオート検索,セミオートDLモ
切替えは,フンタッチキーで行われる。(図4)
ジュールの計画
NC書誌のオート検索のためのアクセスキー
は,バッチファイルの形で,LUMINAII側に持
たせている。アクセスキーの設定は,別途DOS
バッチプログラムにより,ISBN,LCCN等のユ
ニークキーやAKEYなどを,アクセス項目名と
第2期では,WSのOSはOS/2で,オンライ
ン・トランザクション処理が可能となる。NCシ
ステムとLSとは,マルチウィンドウ環境下で,
マルチタスク処理される。(図5)
して自由に設定できる柔構造方式を採用してい
③カタロガー操作性の向上のための仕組
NCコマンドはPFキーのワンタッチで処理さ
れる。PFキーへの文字列の割当ては,ユーザー
る。アクセスキーデータの入力は,LSホストの
で定義する。ローカルコマンドは機能キーのワン
書誌ファイルからWS側ハードディスクにファ
イル転送されるほかに,WS側での,アクセス
加・削除など重宝している。
タッチで処理される。例えば,フィールドの追
キーデータのマニュアル入力も持つ。日常の書誌
また,ローカルコマンドの自動処理機能を組込
作成と遡及入力の両方を考慮して,こうした設計
んでいる。例えば,データを入力していき,
とした。
フィールド長いっぱいになると,自動的にフィー
ルドの拡張を行うので,EXPANDコマンドは不
NCへの書誌・所蔵の登録は,日常業務では時
差登録となる。登録に当たっても,半自動登録
必要である。
モード/マニュアルモードの切替えモジュールを
PFキーの設定は,必要な箇所はコマンド
計画している。ここで半自動登録モードとは,
チェーンで連続処理が出来る。
WS側アクセスキーデータを,LUMlNA IIで自
動的に読取り,順次1件づつNCにアクセスし
ていく機能を示す。ヒットしたデータがNC
例 Save:D1:Download:(ドライブ名)
データであり,かつ,リンクの追加や書誌の修正
所蔵画面でSaveコマンドを発し書誌検索・簡
(ディクトリー名)(環境変数の組込み)(スタン
プ機能の選択)(ファイル名):Retum
を要さないデータであれば,カタロガーはただ実
略表示の画面に変わったら,Displayコマンドを
行キーを押すだけで良い。修正等が必要な場合に
発し,書誌詳細表示画面を開いて,WS上の指定
は,ワンタッチでマニュアルモードに切替え,カ
のドライブ,指定のディレクトリーに,指定の
タロガーの処理が可能である。再び,半自動登録
ファイル名で,日付スタンプを付けて,データを
モードに戻るのもワンタッチで行う。カタロガー
の処理効率の生産性向上ツールとして,設計・開
DLする。その後,Retumコマンドを発し,書
発中である。
3.3.6NCとのUL/DL方式
NCの世界とのシステムIFの取り方を,UL/
誌検索簡略表示画面に戻る。この一連の動作が,
1つのPFキーを押すだけで可能である。
DLの仕掛けに焦点をあて,述べる。
4LS側でのいくつかの試み
以上,NCとのIFの改善を,UIPを中心に述
①誰でも,何時でも,任意に
べてきたが,ここでUIPから少し離れて,LS側
システム的には,オンラインバッチ方式による
でのいくつかの試みを,紹介しておきたい。
リアルタイム処理である。特色は,処理はユー
ザー入力・ユーザー出力を採用していることであ
4.1 プレマークの利用
る。カタロガーは,誰でも,何時でも,自分の望
発注・登録処理へのプレマークの導入をしてい
67
学術情報センター目録システムとローカルシステムのインターフェイスの一例
d一カル・ホスト 掌徹衛標センター
TしIS/口 NACSISrC^T
I目M3270
LuMIN^/口
エミュレータ
ヲログラム
切り検え
業理端末
1た.製只㍗」々土:
I目M日本語DOS
「
モ1
万■
一 一 一 一
ホットスイッチ
チイスフレイ
図4 UIPとWSのOS(第1期)
字議電電センター
ローカ’レ・ホスト
N^CSIS一’C^τ
T L I S/口
^ ] 1 】 ’
阯
■、 ’■ U o ^ 】
u n ’
暫定版書誌データとして書誌DBに移る。この
後,LS側からNC検索キーを切出し,事後に行
うNC登録のUL処理用リンクデータに使用す
る。
1日M3270
Gミュレータ
@プログラム
チーク塵換
LuMIN^/口
vログラム
@●建端末
0S/2i刊チ加州
マルチ’ウィンドウi面バッファー
4.2「ヨミ」のインデックスの追加
NCへのRECON完了までの中間処理として,
「ヨミ」の規則のNCルールに対応して,「ヨミ」
のインデックスをシステムで自動追加した。これ
は,当面のOPACでの検索の混乱を未然に防ぐ
↓
ことを目的とした。
{列 FORTRAN
現在のヨミ フォートラン
追加のヨミ fortran
システムで「ヨミ」の追加を行ったアルゴリズ
図5 UIPとWSのOS(第2期)
ムは,記述部の文字列を文字種(英字,カタカ
ナ,ひらがな,数字,記号)のコード列に置き換
え,特定の文字種の連続性とその相関を解析し
る。プレマークは週の単位で新刊和書の情報が,
て,検索語の切出しを行う。
タイムラグなく提供される。発注・登録処理時に
出版新刊情報(冊子体)よりOCRスキャニング
でISBNと価格を取込み,ISBNをキーにして,
LSの参照マーク域からプレマークデータを検索
5LSから見たBUとしてのNC
し,発注ファイルヘ転送させている。登録後は,
には有限の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の現実
68
5.1外部書誌資源としてのNC
LSの世界を取巻く環境に眼を向けると,そこ
大学団蓄館研究XXXIV(1989.6)
的制約が見えてくる。特に中小規模の図書館にお
考えてみる。ALリンクの任意化は,本来,原則
いて,この制約は総体に重い。一方,大学図書館
Link,例外Passの筈である。しかし,NCの
への利用者の学術研究情報提供の二一ズは,ます
ALリンク率は,概ねの数値として,任意化の直
ます広がりと深さを増している。単独館ですべて
後で7割,最近で8割である。
の情報二一ズをまかなうのは不可能であり内部環
著者典拠の記述の精粗のレベルもあるが,例外
境資源と外部情報資源の役割分担をどう調和させ
Passから見ると疑問な数値ではなかろうか。約
るのかが課題である。利用者から見えない(検索
2年間にわたり目録作業を通してNCの世界に
不能)情報は,存在しないのと同様であり,他
方,物理的単位の1館の開架図書は数万冊∼数十
の典拠が手元にある場合,どうしても同定不能な
日々接してきた経験からして,現物の図書と若千
ントの多様な提供が課題となってくるが,これ
著者は,1%あるなしの程度と思うのであるが
・・。典拠コントロールのないBUの存在は考
は,必然的にデータ作成ワークの増大と検索シス
えられない。まして最も基本的な著者典拠の維持
テム負荷の増加を要求される。
は,最低限のレベルのことである。総合目録DB
5,1.1空間と時間を越えて
は,接続図書館が共同・分担方式で形成するもの
万冊が限度であろう。ここに資料のアクセスポイ
もう1つの方向,外部情報DBのアクセスの提
である。NCのそこにおける役割は,システムの
供は,現在,NACSIS−IR,JOIS,DIALOG,
STN−INTERなどを接続している。この中でも
提供と継持・管理及び連絡・調整機能であって,
NACSIS−IRは,図書館にとって,大きな存在を
ろにはない。この自明の前提を,我々接続図書館
占めるものである。NACSIS−CATの書誌デー
タがNACSIS−IRにおいて提供されることのイ
ンパクトである。提供開始後はNACSIS−CAT
の1人1人がもう一度考えてみる事が必要だと思
接続図書館の替わりに書誌を入力・形成するとこ
う。
他の1つは,遡及入力をめぐる接続館の考え方
の接続館の書誌・所蔵データは開かれた形で直接
である。昭和63年10月の第9回大学図書館研究
の検索対象となる。しかも,この検索はネット
ワークの発達の中で,研究室はもちろん,自宅で
集会でも,遡及入力をめぐる様々な発表・討議が
も容易にアクセス可能である。
て,ローカル独自入力によるもの,LCやJPな
どMARCロードを実行しているもの,OCLC・
UTLAS等の遡及入力事業の利用のものなどで
1つの図書館の利用者から見ると,自館図書館
はNACSIS−IRを通じてNCの広大なインビジ
なされていた。具体的には,遡及入力の方法とし
ブルライブラリーへの窓口となる。この時,NC
あった。もとより,それぞれの図書館において,
の世界は,0CLC等の従来型BUの存在を越え
遡及入力事業をどの様な手段で行うかは自由であ
て,新しい地平を切り開くことになる。一方,
NC接続の各図書館は,従来の<知〉のストック
る。しかし,他方でこれらの図書館がNACSIS
−CATの接続館であり,なんらかの形で,NCと
機関から,無限に広がる<知〉のネットワークの
のUL/DLを開発し,NACSIS−CATとLSの整
ノードヘと質的変化をとげ得る。
合性を取っているとのことであった。システム
は,NCの世界とのUL/DLをとり,データは
5.2 全国書誌情報の形成と接続館の役割
ローカル方式で形成することには矛盾がある。こ
NACSIS−CATを通じての全国書誌情報DB
の矛盾の繕いは,永遠に独自火力ルール維持の道
の形成の意義は,すでに多くの機会に述べられて
を歩み続けることにしかない。
おり付け加えるものはない。ただ少しばかりの懸
こうした仕組みにおいては,実際の現場のカタ
念に触れておきたい。
ロガーからすると,NCの世界からのDLはとも
かく,NCの世界へのULは「余分な仕事」に
1つは,これらの論評の中の一部に,NAC−
SIS−CATを自館図書館の目録形成の合理化手段
なってしまうであろう。こうした環境下では,
としてのみ把える風潮を感じることである。例え
NACSIS−CATの世界は,安価で便利な参照DL
ば,昭和62年度11月より変更されたAuthor・
資源である,との誤った認識や日常へと容易に転
Link(以下,ALリンクと略)の任意化の問題を
化してしまう危険をはらむ。NCの切り開こうと
69
学術情報センター目録システムとローカルシステムのインターフェイスの一例
している新しい図書館の世界の地平を共に歩むの
館システムが始まるといえるのではないだろう
も,1つの希望の構想を破綻へと導くのも,すべ
か。<知)のネットワークのノードヘの歩みは,
て接続図書館の対応によるといっても過言ではな
ようやく端緒についたところである。
いと思う。
最後に本稿をまとめるにあたって,学術情報セ
いずれにしても,異なった書誌構造や目録規則
ンター目録情報課の方々のお世話になりました。
の元で作成された書誌データを,1つの検索シス
また,先人の諸論文を随分参考とさせていただき
テムの元で整合性をもって提供するのは,不可能
ました。末尾ではありますが,深く御礼申上げま
である。我々が過去蓄積してきたローカル書誌の
す。
第二次遡及変換入力の課題に取組んでいるのも,
この問題によっている。大方の御指導,御批判を
賜りたいところである。
参考文献
さいごに
京大学図書館におけるあたらしい情報システム
1)永田治樹“図書館ネットワークと0PAC一東
「今,大学図書館への強い要望は学術情報提供
サービスの向上であることを再認識し,資源共有
の理念を前提とした学術情報ネットワークに対応
一”「大学図書館研究」,1987.5.pp33−43.
2)永田治樹,増田元,大西直樹:“密結合ネット
ワーク接続(いわゆるCase3)の実現による
ローカル業務モジュールの拡張’’「情報の科学
したシステム化を実現しなければならない。」(昭
と技術」Vo1.38,No.5,pp175−184.
和62年度国立大学図書館協議会シンポジウムの
概要一東会場の概要一第一部図書館業務のシステ
ム化と目録システム 課題報告 永田治樹東京大
3)大山敬三“画面指向通信用簡易プロトコル
VTSSのテストシステムおよびプロトタイプ
端末システム”「学術情報センター紀要」
学附属図書館整理課専門員一当時)
No.1,PPg1−104.
この中核となるNACSIS−CATの世界は,広
4)安達淳,橋爪宏,大山敬三“TSS接続による
仮想画面転送(VTSS)方式”「学術情報セン
大な広がりを持つインビジプル・ライブラリーを
構築していくであろうことを,述べてきた。これ
ター紀要」No.1,pp73−89−
が,現在という同時代の横軸である。
5)杉町宏“図書館情報システム”私立大学情報処
理教育連絡協議会研修運営委員会編「私立大学
他方,個別図書館の業務処理に眼を転じた時,
事務情報システム業務別事例集第1集」pp⑤
発注・受入から目録作成,OPACと閲覧業務にい
一7∼11.
たる縦軸の流れでは,データフローに沿ったシス
テムの連結・統合が求められている。データを利
用する関連業務の流れを配慮せず,もっぱら開発
対象の業務の視点のみでデータやファイルを決定
6)VTSS LUMINA II仕様書 シーエスイー・ス
ターリング・システム㈱
7)TLIS II学校法人 大阪工大摂南大学 中央
研究所システム開発室
するといった,特定の業務処理に従属したデ∵タ
設計は将来に多くのロスをきたすことになる。
成長していく書誌データを縦軸とし,NCの世
界とLSとのリンクを横軸とする2つの位相の往
還が実現された時,そこに真の意味での総合図書
70
〈元.4.26受理 すぎまち・ひろし 学校法人大阪工
大摂南大学中央研究所システム開発室,
きた・かついち 摂南大学図書館〉
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