Comments
Description
Transcript
Elongin BC 型 E3ユビキチンリガーゼと細胞機能制御
〔生化学 第8 5巻 第2号,pp.7 6―8 8,2 0 1 3〕 総 説 Elongin BC 型 E3ユビキチンリガーゼと細胞機能制御 奥 村 文 彦,奥 村 晶 子,中 務 邦 雄,嘉 村 巧 Elongin B および Elongin C(Elongin BC)は,Elongin A の転写伸長活性を増強する因 子として報告されたが,近年の研究により,Cullin-RING 型 E3ユビキチンリガーゼの構 成因子であることが明らかにされている.Elongin BC は,足場タンパク質 Cul2または Cul5,RING フィンガータンパク質 Rbx1あるいは Rbx2,さらには基質認識サブユニット BC ボックスタンパク質と結合し,Cullin-RING 型ユビキチンリガーゼ CRL2や CRL5を形 成する.Elongin BC は,BC ボックスタンパク質と Cullin をつなぐアダプターとして機能 するが,われわれは BC ボックスタンパク質がさらに二つのグループ,すなわち VHL ボックスタンパク質(CRL2の基質認識サブユニット)と SOCS ボックスタンパク質(CRL5 の基質認識サブユニット)に分類されることを見いだしている.ヒトには,約1 0種類の VHL ボックスタンパク質と約4 0種類の SOCS ボックスタンパク質が存在しており,家族 性腫瘍症候群 von Hippel-Lindau(VHL)病の原因因子 pVHL やサイトカインシグナルを負 に制御する因子 SOCS1や SOCS3がよく知られている.本稿では,CRL2および CRL5発 見の経緯やこれら E3により制御される様々な生命現象(がん化,シグナル伝達,細胞運 動,分化など)について,最新の知見も含めて紹介する. 1. は じ め に ポリユビキチン修飾依存性のタンパク質分解は短命なタ ることで基質分子がユビキチン修飾を受ける.E3はこの 一連の反応において基質を認識する重要なタンパク質であ る4).構造的な違いから E3は大きく三つのグループに分 ンパク質の除去に重要である.特に細胞周期,細胞外のス 類される.HECT(homologous to E6-AP COOH terminus) トレスやリガンドによるシグナル伝達,形態形成,分泌, 型2,5),RING フィンガー型6∼8),U ボックス型9∼11)である.S DNA 修復,オルガネラ構築などに関連するタンパク質の phase kinase-associated protein 1(Skp1) - Cul1-F ボックスタ 適切な除去は生命を維持するために必須である1,2).分解す ンパク質ファミリーは Cullin-RING フィンガー型ユビキチ べき標的タンパク質にユビキチンを付加する反応は数種類 ンリガーゼ(CRL)であり SCF 複合体(別名 CRL1)と呼 の酵素群により行われる3,4).ユビキチンはユビキチン活性 1 2) ばれている(図1) .Cul1は足場タンパク質として機能 化酵素(E1)により ATP 依存的に活性化され,ユビキチ し,RING フィンガータンパク質 Rbx1,アダプタータン ン結合酵素(E2)に受け渡される.E2-ユビキチンが基質 パク質 Skp1,基質認識サブユニット F ボックスタンパク 分子を認識しているユビキチンリガーゼ(E3)に結合す 質を会合させ,SCF 複合体を構築する.Elongin BC-Cul2 あるいは Cul5-BC ボックスタンパク質ファミリーもまた 名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻(〒4 6 4―8 6 0 2 名古屋市千種区不老町) Regulation of cellular functions by Elongin BC based E3 ubiquitin ligase Fumihiko Okumura, Akiko Okumura, Kunio Nakatsukasa and Takumi Kamura (Division of Biological Science, Graduate School of Science, Nagoya University, Furo-cho, Chikusa-ku, Nagoya4 6 4―8 6 0 2, Japan) CRL ファミリー(CRL2および CRL5と呼ばれている)に 1 3) 属 し て い る(図1) .CRL2お よ び CRL5ユ ビ キ チ ン リ ガーゼは,SCF 型ユビキチンリガーゼと構造が類似して おり,RING フィンガータンパク質として Rbx1あるいは Rbx2を,足場タンパク質として Cul2あるいは Cul5を, そして基質認識サブユニットとして VHL ボックスタンパ ク質あるいは SOCS ボックスタンパク質を含んでいる13,14). 7 7 2 0 1 3年 2月〕 2. Elongin ABC 複合体 Elongin ABC 複合体は転写時における RNA ポリメラー ゼ II(pol II)の一過性の読み取り停止を抑制することで 転写を促進する15,16).Elongin ABC 複合体は転写活性のあ る Elongin A と二つの制御サブユニット Elongin B および Elongin C からなる17∼19).Elongin B と Elongin C は複合体 を形成し,Elongin A の転写活性を増強する.Elongin B は ユビキチンに,そして Elongin C は Skp1に一部構造が類 似しているが,発見当時はこれが何を意味しているのかは 不明であった20).引き続き行われた研究により,Elongin BC は転写制御因子して機能するだけではなく,後述する がん抑制因子 von Hippel-Lindau(VHL)など多くのタンパ ク質と相互作用することが明らかになった21∼23). 3. CRL2および CRL5ユビキチンリガーゼファミリー 発見の経緯 家族性腫瘍症候群である von Hippel-Lindau(VHL)病の 原 因 因 子 と し て 同 定 さ れ た VHL が ん 抑 制 タ ン パ ク 質 (pVHL)の研究の過程で CRL2が発見された.pVHL 異常 による発がんメカニズムの解明を目的として pVHL と結 合するタンパク質の同定が生化学的手法を用いて精力的に 行われてきた.その結果として pVHL は,C 末端側に存在 する BC ボックスを介して Elongin B および Elongin C と そしてさらには Cul2や Rbx1/ROC1と結合することが明 らかにされた.Elongin B および Elongin C は前述した転 写伸長因子 Elongin ABC 複合体の構成因子として同定さ れていた.また Cul2は Cullin ファミリーの一種であり, Rbx1/ROC1は RING フィンガータンパク質であることよ 図1 SCF 型,CRL2型および CRL5型ユビキチンリガーゼの 比較 (A)SCF 型ユビキチンリガーゼ.Cul1は足場タンパク質であ り,Skp1は F ボックスタンパク質と Cul1をつなぐアダプター である. (B)CRL2型ユビキチンリガーゼ.Cul2は足場タンパ ク質であり,Elongin BC(Elo BC)VHL ボックスタンパク質と Cul2をつなぐアダプターである.Cul2ボックスは Cul2を認識 する. (C)CRL5型ユビキチンリガーゼ.Cul5が足場タンパク 質として機能する.Rbx2が E2酵素をリクルートする. り,この複合体も SCF 複合体のように E3として機能する ことが予想されたが,実際に後述するように低酸素誘導性 転写因子 HIF-α をユビキチン化することが明らかにされ た.また pVHL 自身の機能は,F ボックスタンパク質のよ うに基質認識サブユニットとして基質を E3本体にリク ルートすることであると判明した. SCF 複合体の基質認識サブユニットである F ボックス タンパク質が多数存在することより,CRL2の基質認識サ ブユニットも pVHL 以外にもあることが予想された.Hil- SCF 型ユビキチンリガーゼでは基質認識サブユニットと ton らは,C 末端側に約5 0残基の保存されたアミノ酸配列 Cullin をつなぐアダプターとして Skp1が用いられている [SOCS(suppressor of cytokine signaling)ボックスと呼ば が,CRL2および CRL5では Elongin BC が用いられている れる]をもつ一群を SOCS ボックスタンパク質として報告 (図1) .これら CRL ファミリー(CRL1から CRL5までの したが,この SOCS ボックスの N 末端の配列が pVHL に 5ファミリーからなる)はヒトで約4 0 0種類存在し,様々 存在する BC ボックスと高い相同性を持っていた24).そこ な生命現象を制御していることが知られている.本稿では でわれわれは,バキュロウイルスによる昆虫細胞発現系を CRL ファミリー,なかでも CRL2および CRL5ユビキチ 用いた結合実験を行い,SOCS ボックスタンパク質が, ンリガーゼファミリーに焦点を絞り,これまでの知見を紹 Elongin B,Elongin C,Cul2,さらには Rbx1/ROC1と複合 介する. 体を形成することを確認した.このことより pVHL に加 7 8 〔生化学 第8 5巻 第2号 え SOCS ボックスタンパク質も CRL2の基質認識サブユ 識サブユニットとしての役割を担っていると紹介されてき ニットであると考えられたが,さらに Cul2と同様に Cul5 た.しかしながらわれわれは,pVHL や SOCS ボックスタ も,pVHL や SOCS ボ ッ ク ス タ ン パ ク 質,Elongin B, ンパク質がどのようにして共通のアダプター因子 Elongin Elongin C,さらに Rbx1/ROC1と結合し E3として機能す BC を介して異なった Cullin(Cul2と Cul5)と複合体を形 ることが明らかとなった. 成するのかということに興味を持ち研究を進めた.その結 これらの報告により多くの総説で,pVHL および SOCS 果として pVHL は Cul2と,SOCS ボックスタンパク質は ボックスタンパク質は,CRL2および CRL5両方の基質認 Cul5と,それぞれ特異的に結合することを明らかにする 図2 VHL ボックスタンパク質のドメイン構造 . (A)VHL ボックスは BC ボックスと Cul2ボックスからなる. LRR (leucine-rich repeats) , SWIMZ (SWI2/SNF2MuDR zinc fingers) (B)Cul2ボックスのアライメント.保存されたアミノ酸を強調している.GenBankTM accession numbers をそれぞれ記している.保 存されたアミノ酸配列を最下部に記している.Φ:疎水性アミノ酸. 7 9 2 0 1 3年 2月〕 とともに,新たに VHL ボックスタンパク質群を Cul2結合 タンパク質として同定した14).これらの結合の特異性はそ (VEGFA) ,solute carrier family 2 member 1(SLC2A1, GLUT1) ,platelet-derived factor- β (PDGFB )と growth 2 7, 3 4∼3 7) れぞれ VHL ボックスと SOCS ボックスにより担われてい いった遺伝子群の発現を誘導する た.VHL ボックスは約4 0アミノ酸からなり,BC ボック 変異・欠失により酸素濃度依存的な HIF-α の制御ができ スと Cul2ボックスに分けられる(図1) .BC ボックスは なくなると,下流遺伝子群の発現が恒常的に 亢 進 し, (S,T,P) LXXX (C,S,A) XXXΦ というコンセンサス配列から 2 5, 2 6) .一方,pVHL の VHL 病の発症へとつながる. ,この領域を介して Elongin C と結合する.Cul2 現在までに HIF-α 以外にも多くのタンパク質が CRL2pVHL ボックスは BC ボックスより8∼2 3アミノ酸残基 C 末端側 複合体によってユビキチン修飾を受けることが報告されて に位置し,ΦPXXΦXXXΦ というコンセンサス配列を持 いる.がんの増殖に関与する Sprouty2(Spry2)は CRL2pVHL ち,Cul2との結合に必要である(図2) .一方 SOCS ボッ によりポリユビキチン修飾を受け分解される38).HIF-α と なり ク ス は,BC ボ ッ ク ス と Cul5ボ ッ ク ス よ り な り,Cul5 同様に Spry2のプロリン残基は,通常の酸素濃度下におい ボックスを介して Cul5と選択的に結合する.また,ヒト て PHD により水酸化され,pVHL に認識される.CRL2pVHL には Rbx1および Rbx2と2種類の似通った RING フィン はさらに上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor re- ガータンパク質が存在しているが,Rbx1は Cul2と,そし ceptor: EGFR)のポリユビキチン修飾・分解も引き起こ て Rbx2は Cul5と 特 異 的 に 結 合 す る こ と も 明 ら か に し す39).CRL2pVHL は恒常的な EGFR 依存性のシグナル伝達を た14).これらの発見は,混同されていた CRL2と CRL5の 抑制することで,がん細胞の増殖を制御していると考えら 構造的特徴を明確に分離するものであった. れている.CRL2pVHL による PKCλ と PKCζII のポリユビキ 4. CRL2ユビキチンリガーゼと細胞機能制御(表1) pVHL 4―1. CRL2 pVHL CRL2 チン修飾も報告されている40,41).PKCζII は密着結合や頂低 極性において重要な Par6と結合し,密着結合の形成を抑 制する42,43).PKCλ に関してはあまり解析が進んでいない 複合体 複 合 体 は 転 写 因 子 hypoxia-inducible factor-α が同様の機能を有しているかもしれない.CRL2pVHL はさら (HIF-1α,HIF-2α,HIF-3α)をポリユビキチン化しプロテ に RNA ポリメラーゼ II のサブユニット RPB7をポリユビ 2 7) アソームによる分解を促進する(図3) .通常酸素濃度 キチン化し RPB7依存的な VEGF の転写を抑制する44).別 に お い て は HIF-α の oxygen-dependent degradation domain のサブユニット Rpb1には HIF-1がもつ pVHL 結合ドメイ (ODDD)内にあるコンセンサス配列(LXXLAP)のプロ ンと類似のアミノ酸配列があり,pVHL によりポリユビキ 2 8∼3 1) リン残基が水酸化を受け pVHL によって認識される . 4 5) チン修飾を受ける(図4) .pVHL と Rpb1の結合は紫外 その結果,HIF-α はポリユビキチン修飾を受け分解され 線(UV)照射による Rpb1のリン酸化により増強される る.哺乳類においては HIF-α に対するプロリン水酸化酵 ことから,Rpb1のユビキチン修飾は DNA 修復に寄与し 素として3種類(PHD1,PHD2,PHD3)が同定されてい ている可能性がある45,46).Rpb1の LXXLAP モチーフ内の る .そのうち PHD2が HIF-1α に対する主な酵素である プロリン残基は酸化ストレス下において主に PHD1により 3 2) 3 3) ことが報告されている .低酸素状況下では PHD は HIF- 水酸化を受ける47).pVHL はこの1 4 6 5番目のプロリン残 α を水酸化できないために HIF-α は pVHL によって認識さ 基の水酸化,さらには5番目のセリン残基のリン酸化, れ ず,恒 常 的 に 発 現 し て い る HIF-1β(aryl Rpb1のポリユビキチン化と DNA への結合に必須である. hydrocarbon ARNT)と結合し,核内に 興味深いことに腎明細胞がんにおいて CRL2pVHL は Rpb1を 移行する.そして,vascular endothelial growth factor A ポリユビキチン化するが分解せず,逆に安定化する.その receptor nuclear translocator: 結果,下流の遺伝子発現を亢進し,がん細胞の増殖を促進 表1 CRL2型ユビキチンリガーゼと認識される基質 ユビキチンリガーゼ pVHL LRR-1 FEM1B 基 HIF-α Spry2 EGFR PKCλ と PKCζII RPB7 Rpb1 質 文 献 ポリユビキチン化し分解へと導く45).二つの異なった細胞 2 8∼3 1) 3 8) 3 9) 4 0, 4 1) 4 4) 4 5, 4 7) 株でなぜこのような違いが起こるのかはまだ明らかにされ CKI-1 (C. elegans のタンパク質)4 9) p2 1Cip 4 9) TRA-1 Ankrd3 7 する.一方,PC1 2細胞内においては CRL2pVHL は Rpb1を 5 2) 5 3) ていない. 4―2. CRL2LRR-1 複合体 leucine-rich repeat protein(LRR) -1は VHL ボックスを持 1 4, 4 8) ち Cul2-Rbx1複合体と結合する(図3) .線虫の LRR-1 は Cip/Kip CDK-inhibitor(CKI-1)を分解し生殖細胞の細 胞周期を亢進する49).ヒトの LRR-1も CDK-inhibitor p2 1Cip1 をポリユビキチン化するが,細胞周期には影響を与えな 8 0 〔生化学 第8 5巻 第2号 図3 pVHL による HIF-α の制御 通常酸素濃度下においては HIF-α の二つのプロリン残基は PHD によ り水酸化を受け pVHL に認識される.その結果プロテアソーム依存的 に分解される.一方,低酸素状況下では HIF-α は水酸化を受けないた め分解されない.HIF-α は HIF-1β と二量体化しアクティブな転写因 子となる.持続的な HIF-α/β 転写因子の存在は VHL 病の主な発症原 因となる. い.ヒトの LRR-1は細胞質の p2 1を分解することで Rho/ でアポトーシスを誘導する.このことは進化的に保存され ROCK/LIMK 経路の抑制を解除するので,細胞運動を抑 た FEM-1の役割を示唆している51).線虫の FEM-1は性決 制するアクチン脱重合タンパク質 Cofilin の抑制因子であ 定過程に関与し,Gli ファミリーに属する転写因子 TRA-1 ると考えられている. を ポ リ ユ ビ キ チ ン 化 す る52).マ ウ ス FEM1ホ モ ロ グ B (FEM1B)は Ankyrin repeat domain 3 7(Ankrd3 7)と結合 4―3. CRL2FEM1B 複合体 しポリユビキチン化する53).Ankrd3 7はゼブラフィッシュ Feminization-1(FEM-1)は VHL ボ ッ ク ス を 持 ち Cul2- からヒトまで保存され,精巣に高発現している.これらの Rbx1複合体と結合する(図3) .線虫の FEM-1は性決定 知見は性決定過程がユビキチン依存性のタンパク質分解に 5 0) 過 程 に お い て ア ポ ト ー シ ス を 制 御 す る .す な わ ち, より制御されていることを示唆している.一方,FEM-1 FEM-1は Apaf-1のホモログである CED-4と結合すること は F ボックスと WD4 0リピートをもつユビキチンリガー 8 1 2 0 1 3年 2月〕 図4 pVHL と Elongin A による large subunit of RNA polymerase II(Rpb1)の制御 酸化ストレスにより Rpb1の5番目のセリン残基のリン酸化,1 4 6 5番目のプロリン残基 の水酸化が起こり pVHL に認識される.ポリユビキチン化された Rpb1は分解へと導か れず,遺伝子発現を制御することで腎明細胞のがん化に寄与する.5番目のセリン残基 は UV 照射によってもリン酸化され,Elongin A に認識されて分解へと導かれる. ゼ SEL-1 0によりポリユビキチン化を受けプロテアソーム ていない. 5 4) 依 存 的 に 分 解 さ れ る .哺 乳 類 細 胞 に お い て は WD4 0 リピート を も つ タ ン パ ク 質 receptor for activated C kinase (RACK)1も FEM1B と結合し,ポリユビキチン化するこ 5 5) 5. CRL5ユビキチンリガーゼと細胞機能制御(表2) 5―1. CRL5Cis/SOCS 複合体 とで分解を促進する .RACK1は Elongin BC 複合体と結 このファミリーは SOCS タンパク質と cytokine-inducible 非依存的に HIF-1α もポリユビキチ SH2domain-containing protein(CIS あ る い は CISH)に よ ン化する56).RACK1の Elongin BC 結合領域は pVHL の配 り構成される.これらは SOCS ボックスを介して CRL5複 列と似ているので,RACK1は CRL2複合体を形成すると 合体を形成する58).現在8種類のタンパク質が CIS/SOCS 考えられる. ファミリーとして同定されている(CIS, SOCS1, SOCS2, pVHL 合することで CRL2 SOCS3,SOCS4,SOCS5,SOCS6,SOCS7) .こ れ ら は 中 PRAME 4―4. CRL2 複合体 央に Src homology 2(SH2)ドメイン,C 末端側に約5 0ア preferentially expressed antigen of melanoma(PRAME)は 5 9∼6 1) ミノ酸からなる SOCS ボックスをもつ(図5) .CIS/ VHL ボ ッ ク ス を 持 ち Cul2-Rbx1複 合 体 と 結 合 す る(図 SOCS ファミリータンパク質は Janus kinases(JAKs) ,サイ 1 4, 4 8) 3) .網羅的 Ch-IP 解析により PRAME はエンハンサー トカイン受容体,シグナル伝達因子に結合し,過剰なシグ や初期発生に不可欠な転写因子 nuclear transcription factor ナル伝達を抑制する58).SOCS1と SOCS3の kinase inhibi- Y(NFY)が結合しているアクティブなプロモーターに蓄 tory region(KIR)は偽基質ドメインとして働き JAKs を阻 4 8, 5 7) 積していることが明らかとなっている .しかしながら 害し,過剰なシグナル伝達を抑制する.また,CIS/SOCS ポリユビキチン修飾を受ける基質分子は現在まで同定され ファミリータンパク質は競合的にシグナル伝達因子の受容 8 2 〔生化学 第8 5巻 第2号 表2 CRL5型ユビキチンリガーゼと認識される基質 ユビキチンリガーゼ SOCS1 基 質 伝達を抑制できるのかを示唆しているのかもしれない. 文 献 5―2. CRL5Elongin A 複合体 JAK2 Vav IRS1と IRS2 6 4) 6 3) 6 5) Rpb1 7 0) 照射による Rpb1のポリユビキチン化とプロテアソーム依 SSB1,SSB2と SSB4 iNOS 7 4, 7 5) 存性の分解は Elongin A 欠損細胞において抑制されている WSB1 HIPK2 D2 7 6, 7 7) 9 1) ASB2 Filamin A と Filamin B Jak3 9 5) 9 6, 9 7) ASB3 TNF-R2 9 8) ASB4 IRS4 1 0 0) ASB6 APS 1 0 1) れらの事実は Elongin A が DNA 損傷後の Rpb1のポリユ ASB9 CKB 1 0 2) ビキチン化とその分解に寄与していることを示唆してい ASB1 1 DeltaA(Danio rerio のタンパク質)1 0 6, 1 0 7) Elongin A 既に述べたように pVHL は RNA ポリメラーゼ II(Rpb1) に対するユビキチンリガーゼである.興味深いことに UV ことから Elongin A は Rpb1に対するユビキチンリガーゼ 7 0) であることが報告されている(図4) .実際,Elongin A の再導入により Rpb1のポリユビキチン化と分解が回復す る.さらに Elongin A と Elongin BC 複合体は Cul5-Rbx2複 合体と相互作用し,in vitro において Rpb1をポリユビキチ ン化する.また,UV 照射による Rpb1の5番目のセリン 残基のリン酸化により Elongin A との結合が増強する.こ る. 5―3. CRL5SSB 複合体 体への結合を阻害したり,ポリユビキチン化によってシグ 誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible nitric oxide syn- ナル伝達因子を分解したりすることでシグナル伝達を制御 thase: iNOS あるいは NOS2)は NOS1や NOS3に比べて活 す る58,62).例 え ば SOCS1は JAK2,Vav,IRS1,IRS2を ポ 性が約1 0倍強い71).iNOS は通常は発現していないが,サ 6 3∼6 5) リユビキチン化することが示されている .最近では, イトカイン,病原菌あるいはその産物などによって誘導さ SOCS1と SOCS3は獲得免疫にも重要であることが明らか れ一酸化窒素(NO)を合成する.その結果,NO,亜硝酸 にされている13,66).データベース解析により現在までに約 塩,硝酸塩などの反応性関連物質や,ペルオキシ亜硝酸な 4 0種類の SOCS ボックスタンパク質が存在していること どの活性酸素種が蓄積しウイルスや細菌の除去に用いられ 1 4, 2 4, 6 7∼6 9) .前述しているように SOCS る71∼73).SSB1,SSB2,SSB4は iNOS をポリユビキチン化 ボックスは BC ボックスと Cul5ボックスより構成されて する74,75).SSB2欠損マクロファージは持続した iNOS の発 おり,Cul5ボックス内の保存されたアミノ酸配列 LPΦP 現と NO 合成を示し,大形リーシュマニア(トリパノソー (特に4番目のプロリンが重要)は Cul5との選択的結合に マ科に属する原生生物で細胞内に寄生する)の除去効率が が知られている(図5) 1 4) 寄与している .SOCS1は不完全な Cul5ボックスを有し 高い.その後の解析により,主に SSB1と SSB4が iNOS ているので Cul5との結合はウェスタンブロッティングに に対するユビキチンリガーゼであることが示され,NO の より確認できていない.しかしながら,SOCS1は JAK2, 過剰産生や細胞障害を抑制することが報告されている. Vav,IRS1,IRS2などをポリユビキチン化する63∼65).この ことは,SOCS1と基質に結合する SOCS1以外のユビキチ ンリガーゼの存在を示唆している.もしくは SOCS1は 5―4. CRL5WSB1 複合体 WSB1は homeodomain-interacting protein kinase2 (HIPK2) Cul5-Rbx2複合体に検出不可能なくらい非常に弱く結合す をポリユビキチン化する.HIPK2はショウジョウバエか ることで基質のポリユビキチン修飾を担っているのかもし らヒトまで保存されている核内タンパク質である76,77). れない.実際,他の SOCS ボックスタンパク質に比べて HIPK2は p3 0 0/CBP コアクチ ベ ー タ ー78,79),Groucho/TLE SOCS1は1 0 0倍,SOCS3は1 0倍弱く Cul5と結合するこ コリプレッサー76)など様々な転写因子と結合する80∼83). とが報告されている .一般的に μM(マイクロモル濃度) HIPK2の欠損はアポトーシスを抑制し三叉神経節の数を レベルの親和力が生理的な相互作用に必要とされており, 増加させる.一方,HIPK2の知覚神経や交感神経での過 SOCS1と SOCS3は Cul5に対してそれぞれ1μM,0. 1μM 剰発現はカスパーゼ依存性のアポトーシスを誘導する84,85). 6 7) の親和力を示している.したがって,すべての CIS/SOCS HIPK2は p5 3,CtBP,Axin,Brn3,Sp1 0 0,TP5 3INP1, ファミリーはユビキチンリガーゼとして機能することがで PML などを介したアポトーシスに重要である85∼89).UV 照 きると考えられる.これらのことはなぜ SOCS1と SOCS3 射は WSB1非依存的に HIPK2の自己リン酸化を引き起こ だけが SOCS ボックス依存的あるいは非依存的にシグナル し,HIPK2は安定化されると同時に活性化され,p5 3の 2 0 1 3年 2月〕 8 3 図5 SOCS ボックスタンパク質のドメイン構造 (A)SOCS ボックスは BC ボックスと Cul5ボックスか らなる.SH2(Src homology 2 phosphotyrosine binding domain) ,WD4 0(WD4 0 repeats) ,SPRY(sp1A/ryanodine receptor domain) ,Ank(ankyrin repeats) ,LRR (leucine-rich repeats) ,GTPase(GTPase domain) . (B) Cul5ボックスのアライメント.保存されたアミノ酸を 強調している.GenBankTM accession numbers をそれぞ れ記している.保存されたアミノ酸配列を最下部に記 している.Φ:疎水性アミノ酸. 8 4 〔生化学 第8 5巻 第2号 4 6番目のセリン残基をリン酸化する.その結果,p5 3の下 質の分解を促進している可能性がある.ASB9はクレアチ 流の遺伝子群が発現誘導されアポトーシスを引き起こ ンキナーゼ B(creatine kinase B: CKB)をポリユビキチン 8 2, 8 3) .一方,アドリアマイシンやシスプラチンによる 化し分解を促進する102).Notch シグナル伝達は時空間的細 DNA 損傷は WSB1による HIPK2のポリユビキチン化を抑 胞運命決定に必要不可欠である103∼105).一回膜貫通タンパ 制する77).p5 3欠損細胞株において HIPK2は CtBP の4 2 2 ク 質 Delta は Notch 受 容 体 の リ ガ ン ド で あ る.ゼ ブ ラ 番目のセリン残基をリン酸化し,CtBP の2 6S プロテア フィッシュの Asb1 1(d-Asb1 1)は DeltaA の分解を促進す ソームによる分解を誘導することでアポトーシスを誘導 ることで Notch シグナル伝達経路を活性化し,内胚葉系や す る90).WSB1は さ ら に thyroid hormone-activating enzyme 神経細胞系のサイズを制御する106,107).d-Asb1 1は DeltaD type 2 iodothyronine deiodinase(D2)のポリユビキチン化 の分解を促進しないのでこの制御は DeltaA に選択的であ も引き起こす91).WSB1は肢芽や胚構造に関わる部位にお る.ゼブラフィッシュの胎仔において d-Asb1 1をノックダ す 9 2) いて Sonic hedgehog(Shh)により誘導される .D2も Shh ウンすると特定の Delta-Notch シグナル伝達経路や標的遺 により誘導されるが,WSB1によりポリユビキチンを受 伝子の発現が抑制されるが,d-Asb1 1の再導入によりこれ け,その結果,副甲状腺ホルモン関連ペプチド(parathy- らは回復する.このことは d-Asb1 1が DeltaA の分解を介 roid hormone-related peptide: PTHrP)を誘導し,軟骨細胞 して Delta-Notch シグナル伝達経路を適切に制御している の分化が制御される91).また,WSB1はインターロイキン- ことを示唆している. 9 3) 2 1受容体(IL-2 1R)に結合する が,分解を引き起こすの ではなく成熟型 IL-2 1R の分解を抑制する.WSB1は IL- 5―6. CRL5Rab-40C 複合体と CRLMUF1 複合体 2 1R の細胞内領域に結合し,N 型糖鎖修飾体から完全に糖 Rab-4 0C と MUF1がそれぞれ認識する基質は明らかと 鎖修飾を受けた成熟型への移行を促進する.したがって なっていない.しかしながら,Rab-4 0C は recycling com- WSB1は IL-2 1R の成熟と分解において重要である. partment(早期エンドソーム)に局在するので受容体のエ ンドサイトーシスに関与している可能性がある108).Rab- 5―5. CRL5ASB 複合体 4 0C の mRNA 量とタンパク質量はオリゴデンドロサイト ASB2,ASB3,ASB4,ASB6,ASB9,ASB1 1は す べ て Cul5-Rbx2複合体と結合する.急性前骨髄球性白血病細胞 において ASB2はレチノイン酸で誘導され94),アクチン結 合タンパク質 Filamin A,Filamin B をプロテアソームによ る分解へと導く95).白血病細胞の ASB2をノックダウンす ると,レチノイン酸による分化と Filamin の分解が抑制さ が分化するにしたがって増加するので,ミエリン形成に関 与している可能性がある. 6. ウイルス CRL ユビキチンリガーゼと 細胞機能制御(表3) 6―1. CRL2HPV16E7 複合体 れるので ASB2は Filamin の分解を促進することで,造血 1 6型 ヒ ト パ ピ ロ ー マ ウ イ ル ス(human papillomavirus: 細胞の分化とアクチンの再構築を制御している可能性があ HPV)は扁平上皮がんを引き起こす109).ウイルス DNA の る.ASB2は Skp2と結合し,Cullin1と Cullin5を含むヘテ 宿主ゲノムへの挿入により,がん化とその維持に必須なタ ロ二量体型ユビキチンリガーゼを形成し,Jak3のポリユ ンパク質 E6,E7が持続的かつ無秩序に発現する.E6は 9 6, 9 7) ビキチン化と分解を促進する .ASB3は腫瘍壊死因子 受容体2型(tumor necrosis factor receptor type 2: TNF-R2) 9 8) E6-associated protein(E6AP)と 共 に p5 3の ポ リ ユ ビ キ チ ン化を促進する.E7タンパク質は不完全な Cul2ボックス をポリユビキチン化しその分解を促進する .ASB3は を有し,内在性の Cul2と結合する110).E7は網膜芽細胞腫 TNF-R2の分解を促進することで T 細胞の TNF-α 依存的 抑制因子(retinoblastoma tumor suppressor: pRB)をポリユ なシグナル伝達を抑制する.インスリン受容体基質4(in- ビキチン化しその分解を促進する110∼113). sulin receptor substrate 4: IRS4)はインスリンやレプチンに よるシグナル伝達を担うアダプタータンパク質である.視 6―2. CRL5Vif 複合体 床下部全体に発現しているが内側視索前核,視床下部腹内 ヒト免疫不全ウイルス1(human immunodeficiency virus- 側部,弓状核に強く発現している99).視床下部神経細胞に 1: HIV-1)の Viral infectivity factor(Vif)は Cul5型ユビキ おいて ASB4は IRS4と共局在 し,お 互 い に 結 合 し て い チンリガーゼである114,115).Vif の亜鉛結合モチーフは Cul5 1 0 0) る .ASB4は IRS4をポリユビキチン化し,分解を促進 との結合に重要であることが報告されている116∼118).Vif は することでインスリンによるシグナル伝達を抑制する. 宿主細胞内の APOBEC3F と APOBEC3G をポリユビキチ ASB6は3T3-L1脂肪細胞に発現しているが繊維芽細胞に ン化する114,119,120).APOBEC3F と APOBEC3G はシチジン脱 は発現していない101).ASB6は脂肪細胞内において,イン アミノ酵素であり,HIV-1ウイルス粒子に取り込まれると スリン依存性シグナル伝達に関与するアダプタータンパク ウイルス DNA のシトシン(C)をウラシル(U)に置換 8 5 2 0 1 3年 2月〕 表3 ウイルス CRL 型ユビキチンリガーゼと認識される基質 ユビキチンリガーゼ 基 質 文 献 HPV1 6E7(CRL2型) pRB 1 1 0∼1 1 3) Vif(CRL5型) APOBEC3F と APOBEC3G 1 1 4,1 1 9,1 2 0) Ad5の E4orf6(CRL5型) p5 3 Mre1 1 DNA リガーゼ IV インテグリン α3 AAV5 Rep5 2とカプシドタンパク質 1 3 1∼1 3 6) 1 2 6,1 3 7) 1 3 8) 1 3 9) 1 4 0) 6の E4orf6(CRL2かつ CRL5型) Ad1 DNA リガーゼ IV 1 2 8) BZLF1(CRL2かつ CRL5型) p5 3 1 4 9,1 5 0) する121∼125).この C から U への置換はアミノ酸変異を引き リックスと結合する143).E4orf6/E1B5 5K ユビキチンリガー 起こし,HIV-1の酵素活性に影響を与える125).また,ウイ ゼ複合体は細胞外マトリックスからの細胞の遊離に関与す ルス DNA のデオキシウリジンはウラシル DNA グリコシ ることでウイルスの拡散に寄与している可能性がある139). ラーゼに認識され除去される可能性もある.これらの脱塩 Ad5の E4orf6複 合 体 に は Cul5が 含 ま れ る が,Ad1 2と 基部位はエンドヌクレアーゼに認識され切断されることで Ad4 0の E4orf6複合体には Cul2が含まれる128).興味深い HIV-1の複製が抑制される.CRL5Vif 複合体は APOBEC3F こ と に Ad1 6の E4orf6複 合 体 は Cul2に も Cul5に も 結 合 と APOBEC3G をプロテアソームによる分解へと導くの し,p5 3やインテグリン α3の分解を促進しない.どのよ で,Vif と Cul5の結合を抑制するような抗ウイルス薬の探 うにして E4orf6複合体が Cul2と Cul5を識別しているの 索は有益であると考えられる. かはいまだ明らかとなっていない. 6―3. CRL5E4orf6 複合体 6―4. CRL5BZLF1 複合体 ヒトアデノウイルス5型(adenovirus type 5: Ad5)early Epstein-Barr ウイルス(EBV)やヒト γ-ヘルペスウイル region 43 4-kDa product from open reading frame 6(E4orf6) スは B 細胞や上皮細胞のがん化に関与し,その感染は潜 は三つの BC ボックスを有している126∼128).Ad5E4orf6は 伏期と複製期に分けられる144).BZLF1(Zta,EB1,ある Cul5,Elongin BC 複 合 体,Rbx1と 複 合 体 を 形 成 す る が いは ZEBRA)は転写因子であり EBV の初期遺伝子を発現 Cul5ボックスを有していない126,128,129).別のアデノウイル 誘導することでウイルス複製期を開始する145∼148).BZLF1 スタンパク質 E1B5 5K は E4orf6と結合し,基質分子をユ は Cul2ボックスも Cul5ボックスも有し,Cul2にも Cul5 ビキチン―プロテアソーム経路を介して分解する126,127,130). にも結合することができる149).BZLF1は p5 3をポリユビ この複合体は効率的なウイルス複製に不可欠であり, キチン化しその分解を促進する149,150).p5 3の分解はアポ 1 3 1∼1 3 6) そ の 基 質 と し て p5 3 1 1) ,Meiotic recombination1 1(Mre ,DNA リガーゼ IV ,インテグリン α3 ,アデ 1 2 6, 1 3 7) 1 3 8) 1 3 9) ノ随伴ウイルス5型(adeno-associated virus type 5: AAV5) Rep5 2,カプシドタンパク質140)が同定されている.Mre1 1 トーシスを抑制し,ウイルスの増殖と複製は効率的に行わ れる. 7. お わ り に 複合体は Mre1 1,RAD5 0,Nijmegen 染色体不安定症候群 従来の BC ボックスタンパク質群はさらに二つのファミ (Nijmegen breakage syndrome 1: NBS1,Nibrin)からなる リー,VHL ボックスタンパク質群と SOCS ボックスタン DNA 二本鎖切断(DNA double-strand breaks: DSBs)のセ パク質群に分類される.これらのタンパク質群は,それぞ ンサーとして機能し,p5 3依存的なアポトーシスを誘導す れ CRL2と CRL5の基質認識サブユニットとして,特異的 1 4 1) る .DNA リガーゼ IV は DSBs の修復に重要であり,そ 基質を E3にリクルートする役割を担っている.現在まで の変異により顕著な放射線感受性の亢進,DNA 修復異常, にこれらのユビキチンリガーゼが発がんやシグナル伝達な 悪性腫瘍,免疫不全,骨髄低形成などが主症状のリガーゼ どに関与していることが明らかになってきている.しかし IV(LIG4)症候群を引き起こす142).インテグリン α とイ ながら,CRL2と CRL5ユビキチンリガーゼはヒトでは5 0 ンテグリン β のヘテロ二量体は細胞外からのシグナルを 種類以上存在しており,まだこれら E3の大多数の機能は 細胞内に伝達する受容体として機能する.α3と β1からな 明らかにされていない.今後の研究により新たな基質の同 るインテグリン α3β1はフィブロネクチン,コラーゲン, 定,そしてそれら酵素・基質関係に制御される生命現象が ビトロネクチン,ラミニンなどを含む様々な細胞外のマト 解明されていくことが期待される. 8 6 〔生化学 第8 5巻 第2号 文 献 6 8. 1)Peters, J.M.(1 9 9 8)Curr. Opin. Cell Biol.,1 0,7 5 9―7 2)Hershko, A. & Ciechanover, A.(1 9 9 8)Annu. Rev. Biochem., 7 9. 6 7,4 2 5―4 3)Hershko, A. & Ciechanover, A.(1 9 9 2)Annu. Rev. Biochem., 0 7. 6 1,7 6 1―8 4)Scheffner, M., Nuber, U., & Huibregtse, J.M.(1 9 9 5)Nature, 3. 3 7 3,8 1―8 5)Huibregtse, J.M., Scheffner, M., Beaudenon, S., & Howley, P. 5 6 7. M.(1 9 9 5)Proc. Natl. Acad. Sci. USA,9 2,2 5 6 3―2 6)Lorick, K.L., Jensen, J.P., Fang, S., Ong, A.M., Hatakeyama, S., & Weissman, A.M.(1 9 9 9)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1 3 6 9. 9 6,1 1 3 6 4―1 7. 7)Freemont, P.S.(2 0 0 0)Curr. Biol.,1 0, R8 4―R8 8)Joazeiro, C.A. & Weissman, A.M.(2 0 0 0)Cell, 1 0 2, 5 4 9― 5 5 2. 9)Aravind, L. & Koonin, E.V.(2 0 0 0)Curr. Biol., 1 0, R1 3 2― R1 3 4. 1 0)Hatakeyama, S., Yada, M., Matsumoto, M., Ishida, N., & 3 1 2 0. Nakayama, K.I.(2 0 0 1)J. Biol. Chem.,2 7 6,3 3 1 1 1―3 1 1)Cyr, D.M., Hohfeld, J., & Patterson, C.(2 0 0 2)Trends Bio7 5. chem. Sci.,2 7,3 6 8―3 1 2)Lipkowitz, S. & Weissman, A.M.(2 0 1 1)Nat. Rev. Cancer, 4 3. 1 1,6 2 9―6 1 3)Kile, B.T., Schulman, B.A., Alexander, W.S., Nicola, N.A., Martin, H.M., & Hilton, D.J.(2 0 0 2)Trends Biochem. Sci., 4 1. 2 7,2 3 5―2 1 4)Kamura, T., Maenaka, K., Kotoshiba, S., Matsumoto, M., Kohda, D., Conaway, R.C., Conaway, J.W., & Nakayama, K.I. 0 6 5. (2 0 0 4)Genes Dev.,1 8,3 0 5 5―3 1 5)Bradsher, J.N., Jackson, K.W., Conaway, R.C., & Conaway, 5 5 9 3. J.W.(1 9 9 3)J. Biol. Chem.,2 6 8,2 5 5 8 7―2 1 6)Bradsher, J.N., Tan, S., McLaury, H.J., Conaway, J.W., & 5 6 0 3. Conaway, R.C.(1 9 9 3)J. Biol. Chem.,2 6 8,2 5 5 9 4―2 1 7)Aso, T., Lane, W.S., Conaway, J.W., & Conaway, R.C. 4 4 3. (1 9 9 5)Science,2 6 9,1 4 3 9―1 1 8)Garrett, K.P., Tan, S., Bradsher, J.N., Lane, W.S., Conaway, J.W., & Conaway, R.C.(1 9 9 4)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2 4 1. 9 1,5 2 3 7―5 1 9)Garrett, K.P., Aso, T., Bradsher, J.N., Foundling, S.I., Lane, W.S., Conaway, R.C., & Conaway, J.W.(1 9 9 5)Proc. Natl. 1 7 6. Acad. Sci. USA,9 2,7 1 7 2―7 2 0)Bai, C., Sen, P., Hofmann, K., Ma, L., Goebl, M., Harper, J. 7 4. W., & Elledge, S.J.(1 9 9 6)Cell,8 6,2 6 3―2 2 1)Duan, D.R., Pause, A., Burgess, W.H., Aso, T., Chen, D.Y., Garrett, K.P., Conaway, R.C., Conaway, J.W., Linehan, W. 4 0 6. M., & Klausner, R.D.(1 9 9 5)Science,2 6 9,1 4 0 2―1 2 2)Kibel, A., Iliopoulos, O., DeCaprio, J.A., & Kaelin, W.G., Jr. 4 4 6. (1 9 9 5)Science,2 6 9,1 4 4 4―1 2 3)Okumura, F., Matsuzaki, M., Nakatsukasa, K., & Kamura, T. (2 0 1 2)Front. Oncol.,2,1 0. 2 4)Hilton, D.J., Richardson, R.T., Alexander, W.S., Viney, E.M., Willson, T.A., Sprigg, N.S., Starr, R., Nicholson, S.E., Metcalf, D., & Nicola, N.A.(1 9 9 8)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1 9. 9 5,1 1 4―1 2 5)Conaway, J.W., Kamura, T., & Conaway, R.C.(1 9 9 8)Bio4. chim. Biophys. Acta,1 3 7 7, M4 9―M5 2 6)Mahrour, N., Redwine, W.B., Florens, L., Swanson, S.K., Martin-Brown, S., Bradford, W.D., Staehling-Hampton, K., Washburn, M.P., Conaway, R.C., & Conaway, J.W.(2 0 0 8)J. 0 1 3. Biol. Chem.,2 8 3,8 0 0 5―8 2 7)Maxwell, P.H., Wiesener, M.S., Chang, G.W., Clifford, S.C., Vaux, E.C., Cockman, M.E., Wykoff, C.C., Pugh, C.W., Ma7 5. her, E.R., & Ratcliffe, P.J.(1 9 9 9)Nature,3 9 9,2 7 1―2 2 8)Masson, N., Willam, C., Maxwell, P.H., Pugh, C.W., & Rat2 0 6. cliffe, P.J.(2 0 0 1)EMBO J.,2 0,5 1 9 7―5 2 9)Jaakkola, P., Mole, D.R., Tian, Y.M., Wilson, M.I., Gielbert, J., Gaskell, S.J., Kriegsheim, A., Hebestreit, H.F., Mukherji, M., Schofield, C.J., Maxwell, P.H., Pugh, C.W., & Ratcliffe, 7 2. P.J.(2 0 0 1)Science,2 9 2,4 6 8―4 3 0)Hon, W.C., Wilson, M.I., Harlos, K., Claridge, T.D., Schofield, C.J., Pugh, C.W., Maxwell, P.H., Ratcliffe, P.J., 7 8. Stuart, D.I., & Jones, E.Y.(2 0 0 2)Nature,4 1 7,9 7 5―9 3 1)Ivan, M., Kondo, K., Yang, H., Kim, W., Valiando, J., Ohh, M., Salic, A., Asara, J.M., Lane, W.S., & Kaelin, W.G., Jr. 6 8. (2 0 0 1)Science,2 9 2,4 6 4―4 3 2)Epstein, A.C., Gleadle, J.M., McNeill, L.A., Hewitson, K.S., O’ Rourke, J., Mole, D.R., Mukherji, M., Metzen, E., Wilson, M.I., Dhanda, A., Tian, Y.M., Masson, N., Hamilton, D.L., Jaakkola, P., Barstead, R., Hodgkin, J., Maxwell, P.H., Pugh, C.W., Schofield, C.J., & Ratcliffe, P.J.(2 0 0 1)Cell, 1 0 7, 4 3― 5 4. 3 3)Berra, E., Benizri, E., Ginouves, A., Volmat, V., Roux, D., & 0 9 0. Pouyssegur, J.(2 0 0 3)EMBO J.,2 2,4 0 8 2―4 3 4)Wizigmann-Voos, S., Breier, G., Risau, W., & Plate, K.H. 3 6 4. (1 9 9 5)Cancer Res.,5 5,1 3 5 8―1 3 5)Gnarra, J.R., Zhou, S., Merrill, M.J., Wagner, J.R., Krumm, A., Papavassiliou, E., Oldfield, E.H., Klausner, R.D., & Linehan, W.M.(1 9 9 6)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 9 3, 1 0 5 8 9― 1 0 5 9 4. 3 6)Iliopoulos, O., Levy, A.P., Jiang, C., Kaelin, W.G., Jr., & Goldberg, M.A. (1 9 9 6) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 9 3, 0 5 9 9. 1 0 5 9 5―1 3 7)Kourembanas, S., Hannan, R.L., & Faller, D.V.(1 9 9 0)J. 7 4. Clin. Invest.,8 6,6 7 0―6 3 8)Anderson, K., Nordquist, K.A., Gao, X., Hicks, K.C., Zhai, B., Gygi, S.P., & Patel, T.B.(2 0 1 1)J. Biol. Chem., 2 8 6, 2 0 3 6. 4 2 0 2 7―4 3 9)Zhou, L. & Yang, H.(2 0 1 1)PLoS One,6, e2 3 9 3 6. 4 0)Okuda, H., Saitoh, K., Hirai, S., Iwai, K., Takaki, Y., Baba, M., Minato, N., Ohno, S., & Shuin, T.(2 0 0 1)J. Biol. Chem., 3 6 1 7. 2 7 6,4 3 6 1 1―4 4 1)Iturrioz, X. & Parker, P.J.(2 0 0 7)FEBS Lett., 5 8 1, 1 3 9 7― 1 4 0 2. 4 2)Suzuki, A., Yamanaka, T., Hirose, T., Manabe, N., Mizuno, K., Shimizu, M., Akimoto, K., Izumi, Y., Ohnishi, T., & 1 9 6. Ohno, S.(2 0 0 1)J. Cell Biol.,1 5 2,1 1 8 3―1 4 3)Parkinson, S.J., Le Good, J.A., Whelan, R.D., Whitehead, P., 8. & Parker, P.J.(2 0 0 4)EMBO J.,2 3,7 7―8 4 4)Na, X., Duan, H.O., Messing, E.M., Schoen, S.R., Ryan, C. K., di Sant’ Agnese, P.A., Golemis, E.A., & Wu, G.(2 0 0 3) 2 5 9. EMBO J.,2 2,4 2 4 9―4 4 5)Kuznetsova, A.V., Meller, J., Schnell, P.O., Nash, J.A., Ignacak, M.L., Sanchez, Y., Conaway, J.W., Conaway, R.C., & Czyzyk-Krzeska, M.F.(2 0 0 3)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 7 1 1. 1 0 0,2 7 0 6―2 9. 4 6)Svejstrup, J.Q.(2 0 0 2)Nat. Rev. Mol. Cell Biol.,3,2 1―2 4 7)Mikhaylova, O., Ignacak, M.L., Barankiewicz, T.J., Harbaugh, S.V., Yi, Y., Maxwell, P.H., Schneider, M., Van Geyte, K., Carmeliet, P., Revelo, M.P., Wyder, M., Greis, K.D., Meller, J., & Czyzyk-Krzeska, M.F. (2 0 0 8) Mol. Cell Biol., 2 8, 7 1 7. 2 7 0 1―2 4 8)Costessi, A., Mahrour, N., Tijchon, E., Stunnenberg, R., Stoel, 2 0 1 3年 2月〕 M.A., Jansen, P.W., Sela, D., Martin-Brown, S., Washburn, M.P., Florens, L., Conaway, J.W., Conaway, R.C., & Stun7 9 8. nenberg, H.G.(2 0 1 1)EMBO J.,3 0,3 7 8 6―3 4 9)Starostina, N.G., Simpliciano, J.M., McGuirk, M.A., & 6 4. Kipreos, E.T.(2 0 1 0)Dev. Cell,1 9,7 5 3―7 5 0)Hodgkin, J., Doniach, T., & Shen, M.(1 9 8 5)Cold Spring 9 3. Harb. Symp. Quant. Biol.,5 0,5 8 5―5 5 1)Chan, S.L., Yee, K.S., Tan, K.M., & Yu, V.C.(2 0 0 0)J. Biol. 7 9 2 8. Chem.,2 7 5,1 7 9 2 5―1 5 2)Starostina, N.G., Lim, J.M., Schvarzstein, M., Wells, L., Spence, A.M., & Kipreos, E.T.(2 0 0 7)Dev. Cell, 1 3, 1 2 7― 1 3 9. 5 3)Shi, Y.Q., Liao, S.Y., Zhuang, X.J., & Han, C.S.(2 0 1 1) 5 9. Gene,4 8 5,1 5 3―1 5 4)Jager, S., Schwartz, H.T., Horvitz, H.R., & Conradt, B. 2 5 5 4. (2 0 0 4)Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1 0 1, 12 5 4 9―1 5 5)Subauste, M.C., Ventura-Holman, T., Du, L., Subauste, J.S., Chan, S.L., Yu, V.C., & Maher, J.F.(2 0 0 9)Cancer Biol. 3 0 5. Ther.,8,2 2 9 7―2 5 6)Liu, Y.V., Baek, J.H., Zhang, H., Diez, R., Cole, R.N., & Se1 7. menza, G.L.(2 0 0 7)Mol. Cell,2 5,2 0 7―2 5 7)Bhattacharya, A., Deng, J.M., Zhang, Z., Behringer, R., de Crombrugghe, B., & Maity, S.N.(2 0 0 3)Cancer Res., 6 3, 1 7 2. 8 1 6 7―8 5 8)Piessevaux, J., Lavens, D., Peelman, F., & Tavernier, J. 8 1. (2 0 0 8)Cytokine Growth Factor Rev.,1 9,3 7 1―3 5 9)Endo, T.A., Masuhara, M., Yokouchi, M., Suzuki, R., Sakamoto, H., Mitsui, K., Matsumoto, A., Tanimura, S., Ohtsubo, M., Misawa, H., Miyazaki, T., Leonor, N., Taniguchi, T., Fujita, T., Kanakura, Y., Komiya, S., & Yoshimura, A. 2 4. (1 9 9 7)Nature,3 8 7,9 2 1―9 6 0)Naka, T., Narazaki, M., Hirata, M., Matsumoto, T., Minamoto, S., Aono, A., Nishimoto, N., Kajita, T., Taga, T., Yoshizaki, K., Akira, S., & Kishimoto, T.(1 9 9 7)Nature, 2 9. 3 8 7,9 2 4―9 6 1)Starr, R., Willson, T.A., Viney, E.M., Murray, L.J., Rayner, J. R., Jenkins, B.J., Gonda, T.J., Alexander, W.S., Metcalf, D., 2 1. Nicola, N.A., & Hilton, D.J.(1 9 9 7)Nature,3 8 7,9 1 7―9 6 2)Ram, P.A. & Waxman, D.J. (1 9 9 9) J. Biol. Chem., 2 7 4, 5 5 6 1. 3 5 5 5 3―3 6 3)De Sepulveda, P., Ilangumaran, S., & Rottapel, R.(2 0 0 0)J. 4 0 0 8. Biol. Chem.,2 7 5,1 4 0 0 5―1 6 4)Kamizono, S., Hanada, T., Yasukawa, H., Minoguchi, S., Kato, R., Minoguchi, M., Hattori, K., Hatakeyama, S., Yada, M., Morita, S., Kitamura, T., Kato, H., Nakayama, K., & 2 5 3 8. Yoshimura, A.(2 0 0 1)J. Biol. Chem.,2 7 6,1 2 5 3 0―1 6 5)Rui, L., Yuan, M., Frantz, D., Shoelson, S., & White, M.F. 2 3 9 8. (2 0 0 2)J. Biol. Chem.,2 7 7,4 2 3 9 4―4 6 6)Tamiya, T., Kashiwagi, I., Takahashi, R., Yasukawa, H., & Yoshimura, A.(2 0 1 1)Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 3 1, 8 5. 9 8 0―9 6 7)Babon, J.J., Sabo, J.K., Zhang, J.G., Nicola, N.A., & Norton, 7 4. R.S.(2 0 0 9)J. Mol. Biol.,3 8 7,1 6 2―1 6 8)Kamura, T., Burian, D., Yan, Q., Schmidt, S.L., Lane, W.S., Querido, E., Branton, P.E., Shilatifard, A., Conaway, R.C., & 9 7 5 3. Conaway, J.W.(2 0 0 1)J. Biol. Chem.,2 7 6,2 9 7 4 8―2 6 9)Sartori da Silva, M.A., Tee, J.M., Paridaen, J., Brouwers, A., Runtuwene, V., Zivkovic, D., Diks, S.H., Guardavaccaro, D., & Peppelenbosch, M.P.(2 0 1 0)PLoS One,5, e1 4 0 2 3. 7 0)Yasukawa, T., Kamura, T., Kitajima, S., Conaway, R.C., 2 6 6. Conaway, J.W., & Aso, T.(2 0 0 8)EMBO J.,2 7,3 2 5 6―3 7 1)Lowenstein, C.J. & Padalko, E.(2 0 0 4)J. Cell Sci., 1 1 7, 8 6 7. 2 8 6 5―2 8 7 8 2 5. 7 2)Fang, F.C.(1 9 9 7)J. Clin. Invest.,9 9,2 8 1 8―2 7 3)Nathan, C. & Shiloh, M.U.(2 0 0 0)Proc. Natl. Acad. Sci. 8 4 8. USA,9 7,8 8 4 1―8 7 4)Kuang, Z., Lewis, R.S., Curtis, J.M., Zhan, Y., Saunders, B. M., Babon, J.J., Kolesnik, T.B., Low, A., Masters, S.L., Willson, T.A., Kedzierski, L., Yao, S., Handman, E., Norton, R.S., 4 1. & Nicholson, S.E.(2 0 1 0)J. Cell Biol.,1 9 0,1 2 9―1 7 5)Nishiya, T., Matsumoto, K., Maekawa, S., Kajita, E., Horinouchi, T., Fujimuro, M., Ogasawara, K., Uehara, T., & Miwa, 0 1 9. S.(2 0 1 1)J. Biol. Chem.,2 8 6,9 0 0 9―9 7 6)Choi, C.Y., Kim, Y.H., Kim, Y.O., Park, S.J., Kim, E.A., Riemenschneider, W., Gajewski, K., Schulz, R.A., & Kim, Y. 1 4 3 6. (2 0 0 5)J. Biol. Chem.,2 8 0,2 1 4 2 7―2 7 7)Choi, D.W., Seo, Y.M., Kim, E.A., Sung, K.S., Ahn, J.W., Park, S.J., Lee, S.R., & Choi, C.Y.(2 0 0 8)J. Biol. Chem., 6 8 9. 2 8 3,4 6 8 2―4 7 8)Aikawa, Y., Nguyen, L.A., Isono, K., Takakura, N., Tagata, Y., Schmitz, M.L., Koseki, H., & Kitabayashi, I. (2 0 0 6) 9 6 5. EMBO J.,2 5,3 9 5 5―3 7 9)Kim, E.J., Park, J.S., & Um, S.J.(2 0 0 2)J. Biol. Chem., 2 7 7, 2 0 2 8. 3 2 0 2 0―3 8 0)Kim, E.A., Noh, Y.T., Ryu, M.J., Kim, H.T., Lee, S.E., Kim, C.H., Lee, C., Kim, Y.H., & Choi, C.Y. (2 0 0 6) J. Biol. 4 9 7. Chem.,2 8 1,7 4 8 9―7 8 1)Zhang, Q., Nottke, A., & Goodman, R.H.(2 0 0 5)Proc. Natl. 8 0 7. Acad. Sci. USA,1 0 2,2 8 0 2―2 8 2)D’ Orazi, G., Cecchinelli, B., Bruno, T., Manni, I., Higashimoto, Y., Saito, S., Gostissa, M., Coen, S., Marchetti, A., Del Sal, G., Piaggio, G., Fanciulli, M., Appella, E., & Soddu, S. 9. (2 0 0 2)Nat. Cell Biol.,4,1 1―1 8 3)Hofmann, T.G., Moller, A., Sirma, H., Zentgraf, H., Taya, Y., Droge, W., Will, H., & Schmitz, M.L.(2 0 0 2)Nat. Cell Biol., 0. 4,1―1 8 4)Wiggins, A.K., Wei, G., Doxakis, E., Wong, C., Tang, A.A., Zang, K., Luo, E.J., Neve, R.L., Reichardt, L.F., & Huang, E. 6 7. J.(2 0 0 4)J. Cell Biol.,1 6 7,2 5 7―2 8 5)Doxakis, E., Huang, E.J., & Davies, A.M.(2 0 0 4)Curr. Biol., 7 6 5. 1 4,1 7 6 1―1 8 6)Kanei-Ishii, C., Ninomiya-Tsuji, J., Tanikawa, J., Nomura, T., Ishitani, T., Kishida, S., Kokura, K., Kurahashi, T., IchikawaIwata, E., Kim, Y., Matsumoto, K., & Ishii, S.(2 0 0 4)Genes 2 9. Dev.,1 8,8 1 6―8 8 7)Moller, A., Sirma, H., Hofmann, T.G., Rueffer, S., Klimczak, E., Droge, W., Will, H., & Schmitz, M.L.(2 0 0 3)Cancer 3 1 4. Res.,6 3,4 3 1 0―4 8 8)Moller, A., Sirma, H., Hofmann, T.G., Staege, H., Gresko, E., Ludi, K.S., Klimczak, E., Droge, W., Will, H., & Schmitz, M. 7 3 7. L.(2 0 0 3)Oncogene,2 2,8 7 3 1―8 8 9)Tomasini, R., Samir, A.A., Carrier, A., Isnardon, D., Cecchinelli, B., Soddu, S., Malissen, B., Dagorn, J.C., Iovanna, J. 7 7 2 9. L., & Dusetti, N.J.(2 0 0 3)J. Biol. Chem.,2 7 8,3 7 7 2 2―3 9 0)Zhang, Q., Yoshimatsu, Y., Hildebrand, J., Frisch, S.M., & 8 6. Goodman, R.H.(2 0 0 3)Cell,1 1 5,1 7 7―1 9 1)Dentice, M., Bandyopadhyay, A., Gereben, B., Callebaut, I., Christoffolete, M.A., Kim, B.W., Nissim, S., Mornon, J.P., Zavacki, A.M., Zeold, A., Capelo, L.P., Curcio-Morelli, C., Ribeiro, R., Harney, J.W., Tabin, C.J., & Bianco, A.C. 0 5. (2 0 0 5)Nat. Cell Biol.,7,6 9 8―7 9 2)Vasiliauskas, D., Hancock, S., & Stern, C.D.(1 9 9 9)Mech. 4. Dev.,8 2,7 9―9 9 3)Nara, H., Onoda, T., Rahman, M., Araki, A., Juliana, F.M., 9. Tanaka, N., & Asao, H.(2 0 1 1)Cell Immunol.,2 6 9,5 4―5 9 4)Guibal, F.C., Moog-Lutz, C., Smolewski, P., Di Gioia, Y., 8 8 Darzynkiewicz, Z., Lutz, P.G., & Cayre, Y.E.(2 0 0 2)J. Biol. 2 4. Chem.,2 7 7,2 1 8―2 9 5)Heuze, M.L., Lamsoul, I., Baldassarre, M., Lad, Y., Leveque, S., Razinia, Z., Moog-Lutz, C., Calderwood, D.A., & Lutz, P. 1 4 0. G.(2 0 0 8)Blood,1 1 2,5 1 3 0―5 9 6)Nie, L., Zhao, Y., Wu, W., Yang, Y.Z., Wang, H.C., & Sun, 6 9. X.H.(2 0 1 1)Cell Res.,2 1,7 5 4―7 9 7)Wu, W. & Sun, X.H.(2 0 1 1)J. Biol. Chem., 2 8 6, 4 1 1 5 3― 4 1 1 6 2. 9 8)Chung, A.S., Guan, Y.J., Yuan, Z.L., Albina, J.E., & Chin, Y. 7 2 6. E.(2 0 0 5)Mol. Cell Biol.,2 5,4 7 1 6―4 9 9)Numan, S. & Russell, D.S.(1 9 9 9)Brain Res. Mol. Brain 0 2. Res.,7 2,9 7―1 1 0 0)Li, J.Y., Chai, B., Zhang, W., Wu, X., Zhang, C., Fritze, D., Xia, Z., Patterson, C., & Mulholland, M.W.(2 0 1 1)BMC Neurosci.,1 2,9 5. 1 0 1)Wilcox, A., Katsanakis, K.D., Bheda, F., & Pillay, T.S. 8 8 8 8. (2 0 0 4)J. Biol. Chem.,2 7 9,3 8 8 8 1―3 1 0 2)Debrincat, M.A., Zhang, J.G., Willson, T.A., Silke, J., Connolly, L.M., Simpson, R.J., Alexander, W.S., Nicola, N.A., Kile, B.T., & Hilton, D.J.(2 0 0 7)J. Biol. Chem., 2 8 2, 4 7 2 8― 4 7 3 7. 1 0 3)Louvi, A. & Artavanis-Tsakonas, S.(2 0 0 6)Nat. Rev. Neuro0 2. sci.,7,9 3―1 7 3. 1 0 4)Lai, E.C.(2 0 0 4)Development,1 3 1,9 6 5―9 6 5. 1 0 5)Mumm, J.S. & Kopan, R.(2 0 0 0)Dev. Biol.,2 2 8,1 5 1―1 1 0 6)Diks, S.H., Sartori da Silva, M.A., Hillebrands, J.L., Bink, R. J., Versteeg, H.H., van Rooijen, C., Brouwers, A., Chitnis, A. B., Peppelenbosch, M.P., & Zivkovic, D.(2 0 0 8)Nat. Cell 1 9 8. Biol.,1 0,1 1 9 0―1 1 0 7)Diks, S.H., Bink, R.J., van de Water, S., Joore, J., van Rooijen, C., Verbeek, F. J., den Hertog, J., Peppelenbosch, M.P., 9 2. & Zivkovic, D.(2 0 0 6)J. Cell Biol.,1 7 4,5 8 1―5 1 0 8)Rodriguez-Gabin, A.G., Almazan, G., & Larocca, J.N.(2 0 0 4) 7 0. J. Neurosci. Res.,7 6,7 5 8―7 1 0 9)Munger, K., Baldwin, A., Edwards, K.M., Hayakawa, H., Nguyen, C.L., Owens, M., Grace, M., & Huh, K.(2 0 0 4)J. 1 4 6 0. Virol.,7 8,1 1 4 5 1―1 1 1 0)Huh, K., Zhou, X., Hayakawa, H., Cho, J.Y., Libermann, T. A., Jin, J., Harper, J.W., & Munger, K.(2 0 0 7)J. Virol., 8 1, 7 4 7. 9 7 3 7―9 1 1 1)Boyer, S.N., Wazer, D.E., & Band, V.(1 9 9 6)Cancer Res., 6 2 4. 5 6,4 6 2 0―4 1 1 2)Berezutskaya, E., Yu, B., Morozov, A., Raychaudhuri, P., & 2 8 6. Bagchi, S.(1 9 9 7)Cell Growth Differ.,8,1 2 7 7―1 9 1 2. 1 1 3)Jones, D.L. & Munger, K.(1 9 9 7)J. Virol.,7 1,2 9 0 5―2 1 1 4)Yu, X., Yu, Y., Liu, B., Luo, K., Kong, W., Mao, P., & Yu, 0 6 0. X.F.(2 0 0 3)Science,3 0 2,1 0 5 6―1 1 1 5)Bergeron, J.R., Huthoff, H., Veselkov, D.A., Beavil, R.L., Simpson, P.J., Matthews, S.J., Malim, M.H., & Sanderson, M. R.(2 0 1 0)PLoS Pathog.,6, e1 0 0 0 9 2 5. 1 1 6)Mehle, A., Thomas, E.R., Rajendran, K.S., & Gabuzda, D. 7 2 6 5. (2 0 0 6)J. Biol. Chem.,2 8 1,1 7 2 5 9―1 1 1 7)Xiao, Z., Ehrlich, E., Yu, Y., Luo, K., Wang, T., Tian, C., & 9 9. Yu, X.F.(2 0 0 6)Virology,3 4 9,2 9 0―2 1 1 8)Yu, Y., Xiao, Z., Ehrlich, E.S., Yu, X., & Yu, X.F.(2 0 0 4) 8 7 2. Genes Dev.,1 8,2 8 6 7―2 1 1 9)Liu, B., Sarkis, P.T., Luo, K., Yu, Y., & Yu, X.F.(2 0 0 5)J. 5 8 7. Virol.,7 9,9 5 7 9―9 1 2 0)Mehle, A., Goncalves, J., Santa-Marta, M., McPike, M., & 8 6 6. Gabuzda, D.(2 0 0 4)Genes Dev.,1 8,2 8 6 1―2 1 2 1)Sheehy, A.M., Gaddis, N.C., Choi, J.D., & Malim, M.H. 5 0. (2 0 0 2)Nature,4 1 8,6 4 6―6 〔生化学 第8 5巻 第2号 1 2 2)Mariani, R., Chen, D., Schrofelbauer, B., Navarro, F., Konig, R., Bollman, B., Munk, C., Nymark-McMahon, H., & Lan1. dau, N.R.(2 0 0 3)Cell,1 1 4,2 1―3 1 2 3)Mangeat, B., Turelli, P., Caron, G., Friedli, M., Perrin, L., & 0 3. Trono, D.(2 0 0 3)Nature,4 2 4,9 9―1 1 2 4)Lecossier, D., Bouchonnet, F., Clavel, F., & Hance, A.J. (2 0 0 3)Science,3 0 0,1 1 1 2. 1 2 5)Harris, R.S., Bishop, K.N., Sheehy, A.M., Craig, H.M., Petersen-Mahrt, S.K., Watt, I.N., Neuberger, M.S., & Malim, 0 9. M.H.(2 0 0 3)Cell,1 1 3,8 0 3―8 1 2 6)Blanchette, P., Cheng, C.Y., Yan, Q., Ketner, G., Ornelles, D. A., Dobner, T., Conaway, R.C., Conaway, J.W., & Branton, 6 2 9. P.E.(2 0 0 4)Mol. Cell Biol.,2 4,9 6 1 9―9 1 2 7)Cheng, C.Y., Blanchette, P., & Branton, P.E.(2 0 0 7)Virol4. ogy,3 6 4,3 6―4 1 2 8)Cheng, C.Y., Gilson, T., Dallaire, F., Ketner, G., Branton, P. 7 5. E., & Blanchette, P.(2 0 1 1)J. Virol.,8 5,7 6 5―7 1 2 9)Harada, J.N., Shevchenko, A., Pallas, D.C., & Berk, A.J. 2 0 6. (2 0 0 2)J. Virol.,7 6,9 1 9 4―9 1 3 0)Luo, K., Ehrlich, E., Xiao, Z., Zhang, W., Ketner, G., & Yu, 7 5 0. X.F.(2 0 0 7)FASEB J.,2 1,1 7 4 2―1 1 3 1)Cathomen, T. & Weitzman, M.D. (2 0 0 0) J. Virol., 7 4, 1 4 1 2. 1 1 4 0 7―1 1 3 2)Moore, M., Horikoshi, N., & Shenk, T.(1 9 9 6)Proc. Natl. 1 3 0 1. Acad. Sci. USA,9 3,1 1 2 9 5―1 1 3 3)Nevels, M., Rubenwolf, S., Spruss, T., Wolf, H., & Dobner, 1 8 1. T.(2 0 0 0)J. Virol.,7 4,5 1 6 8―5 1 3 4)Querido, E., Marcellus, R.C., Lai, A., Charbonneau, R., Teodoro, J.G., Ketner, G., & Branton, P.E.(1 9 9 7)J. Virol., 7 1, 7 9 8. 3 7 8 8―3 1 3 5)Shen, Y., Kitzes, G., Nye, J.A., Fattaey, A., & Hermiston, T. 3 0 7. (2 0 0 1)J. Virol.,7 5,4 2 9 7―4 1 3 6)Steegenga, W.T., Riteco, N., Jochemsen, A.G., Fallaux, F.J., 5 7. & Bos, J.L.(1 9 9 8)Oncogene,1 6,3 4 9―3 1 3 7)Stracker, T.H., Carson, C.T., & Weitzman, M.D.(2 0 0 2)Na5 2. ture,4 1 8,3 4 8―3 1 3 8)Baker, A., Rohleder, K.J., Hanakahi, L.A., & Ketner, G. 0 4 0. (2 0 0 7)J. Virol.,8 1,7 0 3 4―7 1 3 9)Dallaire, F., Blanchette, P., Groitl, P., Dobner, T., & Branton, 3 3 8. P.E.(2 0 0 9)J. Virol.,8 3,5 3 2 9―5 1 4 0)Nayak, R., Farris, K.D., & Pintel, D.J.(2 0 0 8)J. Virol., 8 2, 8 0 8. 3 8 0 3―3 1 4 1)Stracker, T.H. & Petrini, J.H.(2 0 1 1)Nat. Rev. Mol. Cell 0 3. Biol.,1 2,9 0―1 1 4 2)Chistiakov, D.A., Voronova, N.V., & Chistiakov, A.P.(2 0 0 9) 7 8. Eur. J. Med. Genet.,5 2,3 7 3―3 1 4 3)DiPersio, C.M., Shah, S., & Hynes, R.O.(1 9 9 5)J. Cell Sci., 3 3 6. 1 0 8(Pt6) ,2 3 2 1―2 1 4 4)Tsurumi, T.(2 0 0 1)Curr. Top Microbiol. Immunol., 2 5 8, 6 5― 8 7. 1 4 5)Sinclair, A.J., Brimmell, M., Shanahan, F., & Farrell, P.J. 2 4 4. (1 9 9 1)J. Virol.,6 5,2 2 3 7―2 1 4 6)Chevallier-Greco, A., Manet, E., Chavrier, P., Mosnier, C., 2 4 9. Daillie, J., & Sergeant, A.(1 9 8 6)EMBO J.,5,3 2 4 3―3 1 4 7)Countryman, J., Jenson, H., Seibl, R., Wolf, H., & Miller, G. 6 7 9. (1 9 8 7)J. Virol.,6 1,3 6 7 2―3 3 3. 1 4 8)Hammerschmidt, W. & Sugden, B.(1 9 8 8)Cell,5 5,4 2 7―4 1 4 9)Sato, Y., Kamura, T., Shirata, N., Murata, T., Kudoh, A., Iwahori, S., Nakayama, S., Isomura, H., Nishiyama, Y., & Tsurumi, T.(2 0 0 9)PLoS Pathog.,5, e1 0 0 0 5 3 0. 1 5 0)Sato, Y., Shirata, N., Kudoh, A., Iwahori, S., Nakayama, S., Murata, T., Isomura, H., Nishiyama, Y., & Tsurumi, T. 1 1. (2 0 0 9)Virology,3 8 8,2 0 4―2