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全国重力物病院が選 - 獣医医療開発株式会社
一般 回演 28 全国動物病院が選ぶ腫 瘍 サ プ リメン ト* 1)青 υ の 木 芳 秀 太 田 亜 慈 Chikao MURATANI Yoshihide AOKI George ottA 村 谷 親 男 亀 山 和 久 の 武 隈 勝 朗 D山 Kazuhisa KAMEYAMA Katsuro ttAKEK∪ 下 員理子 ° 伊 藤 博 つ MA Mariko YAMASHITA Hiroshi l丁 0 近年の腫瘍性疾患の増加 に伴 いサ プ リメン トな どによる補完療法、の必 要性 も 再認識 されるよ うにな った。そ こで、今般 は全 国の臨床獣医師 による動物用サ プ リメ ン トの使 用状況 に関する意識調査 を行 つた。その結果、犬猫での 臨床効果や 医学的根拠が明確な ものが 多く選択 されていた。 使用症例 は、 骨肉腫や鼻腔 内腫 瘍な どの外科処 置の不適症例や老 齢動物 における悪性腫瘍が 多か った。 臨床1 ヒ 較 試験では、複合キノコ製剤がプラセボに比 べ、「 嗜好性」、「 食欲」、「 元気」、「 体重」、 獣医師判定 による 「 Q O L 改 善効果」 と 「 抗腫瘍効果」 および 「 飼主の満足度」の 全て項 目において、 有意 に高か った。 腫瘍サ プ リメン トに関 しては、 臨床効果が 不明確であ り、獣医師 による判 断基準 は難 しいもので ある。 しか し、近 年の社会 的な ニーズに伴 い、Q O L の 改善な ど緩和ケアに焦点を あてた評価方法 も必要であ ると思われた。 キ ー ワー ド : 腫瘍サ プリメン ト、臨床比較、複合キノコ製剤 は じ め に BRM(Biological RespOnse Modiners)療 法 の必 要 性 も再 認識 され るよ うにな った。 このよ うな状 況 を 腫 瘍 性 疾 患 は、 伴 侶 動 物 にお い て 年 々 増 加 し て い る 疾 患 で あ る。 当 院 にお いて もそ の 増 加 率 は 顕 著 で あ る。 そ れ に 伴 い 獣 医 医 療 にお け る腫 瘍 に対 す る研 究 も盛 ん とな り、 現在 で は様 々 な ア プ ロー チ が な され て い る。 特 に、 内科 療 法 にお い 踏 まえ、 今 般、 動 物用 サ プ リメ ン トに対 す る病 院 の 意 識調 査 と動物用 サ プ リメ ン トを使 用 した 臨床 比較 試験 を実 施 した ので 報 告 す る。 また、 我 々の グル ー プにお いて 参考 と して い る 動物 用サ プ リメ ン トの選 択基準 につ いて 紹介す る。 て は抗 が ん剤 の ジ ェネ リック医薬 品 の 使用 に伴 い 選 択 肢 は増 え、 治 療症 例 数 が 増加 して い る。 しか 病院アンケ ー ト調査 し、 抗 が ん剤 の 使 用 が 身近 にな った 反 面、 獣 医 医 療 にお け る抗 が ん剤 の 問題点 や抗 が ん剤 によ る 治 療 の 限界点 も見 え るよ うにな り、新 た な る選 択 肢 全 国 1 0 都 府県 1 2 動 物病 院 にお いて 、腫瘍性疾患 に対 す る 動物 用 サ プ リメ ン トの使 用 状 況 につ いて *The dietary supplement for rnalignant、 vhich is chosen by anilllal hospital apan in」 l)兵 ペ 庫 ッ ト医療セ ンター : 〒 6 6 1 0 0 2 5 兵庫県尼 崎市立花 町 3 1 5 ( 0 6 6 4 2 8 2 5 6 5 D青 ペ 木 ッ トク リニ ック : 〒 8 1 6 0 9 6 1 福 岡県大野城市緑 ヶ丘 4 1 7 5 3)大 山動 物病院 : 〒 4 8 4 0 8 9 4 愛知県犬 山市 羽黒大見下 2 9 ° 亀 山動物病 院 : 〒 8 9 9 5 6 5 2 鹿児 島県姶 良郡姶 良町平松 4 9 8 5 3 つ たけ くま動物病 院 : 〒 0 1 6 0 8 5 6 秋 田県 能代市藤 山 1 1 4 6)日 本動物高度 医療セ ンター : 〒 2 1 3 0 0 3 2 神奈川県川崎市高 津 区久地 2 5 8 つ 東京農工大学動物 医療セ ンター : 〒 1 8 3 8 5 0 9 東京都府 中市幸 町 3 5 8 108 第 29回 動物臨床医学会 (2008) 一般 回演 28 ア ンケ ー ト調査 を実施 した。 調 査項 目は、 「 使用 製 験 的判 断 によ る使 用 が多 い。 今般、 臨床 比 較試 験 処方症例」 品 とそ の使用頻度」、「 選択理 由J お よび 「 とした。使用 製品 につ いて は、犬猫用 D フ ラクシ ョ ンや ア ガ リーペ ッ トサ メ軟 骨 が 高 く、 そ の 選 択 理 を実 施 し、 使 用 す るサ プ リメ ン トを正確 に理解 し 客観 的 に評 価 す る上で、 臨床 デ ー タが重 要 な アイ 由 と して、 大 猫 の 臨床 デ ー タが あ る こと、 医学 的 な根 拠 が 明確 に示 され て い る こと、 品質 が い い も リメ ン トは癌 組織 に 直接作 用 す る抗腫 瘍 効 果 よ り の、 な どが あ げ られ た。 処 方症 例 は、 外科 処 置 の テ ム とな る こ とが 分 か つた。 また、 これ らのサ プ も、腫 瘍 性 疾患 に伴 う二 次 的 な症 状 の 改 善 に効 果 不 適症 例 や老 齢 動 物 にお け る悪性 腫 瘍、 末期 が ん 症例 な どが 対象 で あつた。 的 にはた らき、 QOL向 上 に寄 与す る とい う有用 性 を改 めて 認 識 す る こ と とな った。 更 に、サ プ リメ ン トは、 主 要成 分 の 配 合 量 (濃度)や 薬 理作 用 な 臨床 比 較 試 験 どの記 載 が あ ま り明確 で は な い た め、 企 業 にお け るサ ポ ー ト体制 (営業対応)はサ プ リメ ン ト評価 に対 す る重 要 な判 断材 料 で あ る。 サ プ リメ ン トと い え 全 国 1 0 都 府 県 1 3 動 物 病 院 にお いて 、 腫 瘍 性 疾 患 に対 す る動物用 サ プ リメ ン トの 臨床 比較試験 を 実施 した。 対 象動 物 は上記病 院 に来 院 し、 悪 性腫 瘍 と診 断 され た犬 1 0 3 頭 を用 いた。 複 合 キ ノコ製 剤給 与群、対 照群 として 既 存 製 品給 与群 ( 2 製品) お ども、企 業 との信 頼 関係や 営 業 員 によ る情 報 交換 は重要で あろ うと思われ る。 近 年、新 しい 動 物用 サ プ リメ ン トが 多数 販 売 さ れ、 製 品選 びが 難 し くな って い る。 また、 製 品 に 基 づ き、給 与 した。 評価項 目は、「 嗜好性」、「 食欲」、 関す る情報 も統 一 されてお らず、信頼性 に欠ける 情報 も多 い。そ こで 我 々の病院 グル ー プでは、動 物用サ プ リメン トの選択基準 として 以下 を目安 に 「 元気」、 「 体重」、 「 腫瘍 の大 きさ」、獣 医師判定 によ 情報交換 を行 い、サ プ リメ ン トを利用 して いる。 る 「 飼 抗腫 瘍 効 果」 お よび 「 Q O L 改 善効 果」 と 「 主 の 満 足度 」 とした。 ここで はそ の一 部 を紹介 す る。 試験 の結果、嗜好性 は 「 最初か ら普通 に食 べ る」 の 項 目で、 複 合 キ ノ コ製剤 群 が 7 0 % で あ り、他 の 製品群 に比 べ 最 も高 く、 プラセボ群 ( 4 0 % ) と 比較 し ①臨床試験データは対照群が設定され、症例数と して最低50症例以上あり、統計学的に評価されて いるもの、②企業の信頼度を重視し、営業員の対 応が十分になされているもの、③高品質(GMP工場 で製造)であること。 10%以 上 0.01)。 て 有 意 に高か つた( p く 体 重 変動 は 「 の体 重増加」 の項 目で 、複合 キ ノ コ製斉1 群( 1 4 . 7 % ) 今般 のア ンケ ー ト調査 お よび臨床比較 試験 で は、 液剤製品 の 『 犬猫用 D フ ラクシ ョン』 が企業 の信用 が最 も高 く、 プ ラセ ボ群 ( 0 % ) と 比較 して 有意 に高 0 . 0 5 ) 。これ は、食欲 増進 も含 めた複合 キ か った( p く 性、 医学 的根 拠 の 高 さ、 営 業 員 によ る学 術 情報 提 供 な どの理 由によ り高 い評価 を得た。粉剤 では 『ア ノ コ製剤 によるQ O L 改 善 を示唆す る もので あった。 腫 瘍 の 大 き さは 「 腫 瘍 実 質 の 2 5 % 以 上 の 増 大」 の コ 項 目で 複 合キ ノ 製剤群 ( 1 6 . 7 % ) が最 も低 く、 プラ ガ リー ペ ッ トサ メ軟 骨』 が、 主要 成分 アガ リクス セ ボ群 ( 4 0 % ) と 比較 して、腫瘍増大 の抑制効果が期 0.01)。 待 で きる もので あ った ( p く 獣 医師判定 による れた 『 複合 キ ノ コ製剤』 の 高 い有効性 が確認 され、 配 合 成 分 の 優位 性 と小型 の 高 嗜好性 錠 斉1 とい つた Q O L 改 善効 果 お よび飼 主 の 満 足度 にお いて も、 複 0 . 0 1 ) 。リピー 合 キ ノコ製剤群が有意 に高か った( p く 利 便性 の 高 さか ら、 今後 注 目を集 め る 製 品 で あ る よび プ ラセ ボ給 与 群 に分 け、 各製 品 の 給 与方 法 に の 認 識度、営 業 員 によ る 学術 情 報 提 供 な どの理 由 によ り評 価 が 高 か った。 錠剤 で は、新 た に 開発 さ と思われた。 ト率 にお いて も複 合 キ ノ コ 製 斉J 群が 高 か った が、 これ は複 合 キ ノ コ 製剤 が 小型 の 高嗜好性 錠 剤 で あ る こ とや Q O L 改 善 率 の 高 さな ど、複 合 キ ノ コ 製 斉1 の特徴 による もの と思われた。 販 日 後 サ プ リメ ン トは食 品 で あ り、 そ の 薬理作 用 や 臨 床効 果 が 明確 に示 され て いな い ことが ほ とん どで あ る。 また、 動物 用 医薬 品 で は な い た め、そ の 有 効 性 や 品質 を客 観 的 に評 価 され る こ とは 少 な く、 サ プ リメ ン トの 周辺 情報 や 臨床 獣 医師 の 知識 。経 第 29回 動物 臨床 医学会 (2008) 109