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「運搬のムダ」を見つけ、 現場を見る目を養おう

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「運搬のムダ」を見つけ、 現場を見る目を養おう
PART3 運搬のムダ
解 説
「運搬のムダ」を見つけ、
現場を見る目を養おう
PEC 産業教育センター
本多 亨
私たちの職場では必ずと言っていいほど、モノ
の道具が多い
を運ぶ作業がある。しかし、残念ながら一生懸命
など、いくつもの要因がある。
モノを運んでも付加価値は高まらない。このモノ
を運ぶという作業を必要と考えるかムダと考える
運搬のムダを上手に発見するために
かで現場を見る目・ムダを見る目が変わってくる
のではないだろうか?
これらの運搬のムダを顕在化するためにはどう
運搬のムダとは、現場にはびこるムダの中で、
したら良いだろうか。
人に関わるムダのことをいう。人が行う作業の中
1.モノが停滞する場所を調べる
で、運搬具
(トレー、パレット、台車、フォークリ
モノが停滞すると、必ず運ぶ作業が発生する。
フトなど)
を用いて、モノを長い距離運んだり、モ
自職場において、モノが停滞している所を調べて
ノを何回も運んだりすることである。
みよう。そこには必ず、モノを溜める・運ぶため
私たちがモノを作るうえで運搬することといえ
の道具があるはずである。これらをムダと捉え顕
ば、
在化していこう。
・倉庫から加工職場へモノを運ぶ
2.運搬道具を定義する。数を数える
・工程間を台車やコンベア・コロコン・パレッ
あなたの現場で運搬に使う道具は何があるだろ
トなどで運ぶ
うか?おそらく、フォークリフト、台車、コンテ
・完成品を離れた倉庫に運ぶ
ナ、コロコンなど、多くの道具があるはずである。
・完成品倉庫から出荷場に運ぶ
それらの道具はモノを運搬するためには便利な道
など、現場にはたくさんの運搬のムダがある。
具であるが、そもそも製造現場においては付加価
なぜこのようにたくさんの運搬のムダが発生す
値を生まないので、できる限りなくしたい。その
るのだろうか?要因を考えてみると、
ためには、自職場において、運搬道具を定義し、
・倉庫や工程間にモノが溜まっている
数を数えてみよう。これらをムダと定義すると運
・工程間が離れている
搬のムダが発見しやすくなる。
・一時的に仮置き・積み込みをするために運ば
3.職場のレイアウト・流れ線図を書いてみる
なければならない
製品を製造するには、原材料∼加工∼組立∼検
・運ぶことを悪と考えない
査∼梱包∼出荷へといくつもの工程を経てお客様
・フォークリフト・ハンドリフトなど運ぶため
へと届く。自職場において、どの工程を通ってモ
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Vol.58 No.10 工場管理
特集 マンネリ化を打破! 最新ムダとり改善事例集
ノが出来上がっていくだろか?一度、レイアウト
図1 乱流
図を準備して流れ線図(モノの流れ)
を書いてみよ
工程 A
工程 B
工程 C
a1
b1
c1
う。
そこで、初工程から最終工程まで、どのくらい
の距離をモノが移動しているか、また、何回運ん
でいるか調べてみよう。
おそらく、多くの移動距離・モノを運ぶための
時間が費やされているはずである。
運搬のムダをなくすためには
それでは、運搬のムダを廃除するためにはどう
したら良いのであろうか。
1.整流化
まずは職場において製品の流れを整理しよう。
そのためには、製品別にどの工程を通っているの
a2
a3
c2
b2
a4
c3
c4
図2 整流
工程 A
工程 B
工程 C
a1
b1
c1
a2
a3
c2
b2
c3
か?どのくらいの量が流れているのかを調べ、整
流化を行おう(*整流化…図2参照)
。
a4
c4
2.停滞のムダ廃除・運搬道具の廃除
整流化ができれば、現状より、モノの停滞が少
か遅いか)
の道具として用いることにより、職場の
なくなっているはずである。必要最小限のモノで
管理・改善がしやすくなる。
流すようにしよう。また、モノの停滞が少なくな
いずれにしても、運搬のムダは、モノがあるた
ることにより不要となる運搬道具が出てくる。そ
めに発生する。運搬のムダ取りは、モノの停滞を
こで、不必要となった、運搬道具(パレット、トレ
できる限り廃除し、運搬距離を短くするか、運搬
ー、台車、コロコンなど)
を廃除しよう。
回数を減らすか
(なくすか)
であるので、モノが溜
3.間締め
まっている・運んでいるといった作業を見たらム
整流化に基づき、材料入荷場から、製造工程、
ダがあり廃除しなければならないという目で見よう。
出荷工程まで、モノ流れにそって工程間
(工場間)
*整流化
をできる限り間締めしよう
(*工程間の間締め…工
整流化とは、工程間のモノの流れを整えること
程間をできる限り近づけること)
。このことにより
である。
運搬距離が削除できる。
例えば工程が3つあり、それぞれの機械を A 工
しかし、残念ながら運搬のムダが0の工場はあ
程4台
(a1、a2、a3、a4)、B 工程2台(b1、b2)
、C
(c1、c2、c3、c4)保有してある場合には、
りえない。そこで、どうしても運搬が必要な時は、 工程4台
運搬作業を管理の道具として使うことを考えたい。 機能別に管理している工場では大概、図1のよう
・定時運搬・定量運搬
になる。
運搬作業を定時か定量で行う。
これを整流に対して乱流と言い、工程間に停滞
定時運搬とは1時間に1回や半日に1回といっ
のムダが多くなる。当然モノが多くなれば運搬す
たように時間・頻度を決め、供給・引取りを行う
る必要があり運搬のムダにつながる。それに対し
ことである。定量運搬とは後工程の部品の使用が
て整流化を行うと図2のようになり、工程間が間
一定量に達したら、その時点で、引き取りに行く
締めでき、停滞の廃除・運搬そのものの廃除につ
ことである。
ながる。
このように運搬作業を管理
(良いか悪いか・早い
工場管理 2012/09
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