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Agilent Technologies TRL* 校正を使用した インフィクスチャ

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Agilent Technologies TRL* 校正を使用した インフィクスチャ
Agilent Technologies
TRL* 校正を使用した
インフィクスチャ・
マイクロストリップ・デバイス測定
プロダクト・ノート 8720-2
ご注意
2002 年 6 月 13 日より、製品のオプション構
成が変更されています。
カタログの記載と異なりますので、ご発注の
前にご確認をお願いします。
目次
ページ
はじめに
2
マイクロストリップ・デバイス測定
2
フィクスチャされたデバイスの測定方法
3
8720C TRL* 校正
6
TRL* 校正手順
8
測定結果
11
付録 A-TRL* の背景理論
12
接続されたケーブルやアダプタなどの
影響は除去できますが、フィクスチャ
自体の影響を除去することはできませ
Agilent Technologies 8720C、8719C、お
ん。そこでインフィクスチャ校正が望
よび 8722A マイクロ波ネットワーク・
チップ、MMIC、パッケージ・トラン
ましいのですが、デバイスの希望の測
アナライザは、TRL*(TRL-スター) ジスタや、ビーム・リード・ダイオー
定プレーンにおいて、従来からのシス
校正方法を使用して便利なマイクロス
ドなどのマイクロストリップ・デバイ
テムのフル 2 ポート校正を可能にする
トリップ・デバイスのインフィクスチ
スを、8720C のようなネットワーク・ア
ような、高品質の Short-Open-Load-Thru
ャ測定を行います。TRL* は、マイク
ナライザの同軸ポートに直接接続する
(SOLT)基準を得るのは容易ではあり
ロストリップなどのフィクスチャ測定
ことはできません。被測定デバイス
ません。マイクロストリップでは、シ
環境で使用される 8720C ファミリのネ (DUT)はトランジション・ネットワー
ョート回路は誘電的で、オープン回路
ットワーク・アナライザが採用する 3
クやフィクスチャを使用して、物理的
はエネルギーを放射し、高品質の純粋
サンプラ・レシーバ・アーキテクチャ
にネットワーク・アナライザに接続す
な抵抗負荷を広い周波数範囲で作るこ
に適応するよう、TRL(8510B ネット
る必要があります。そのためマイクロ
とは困難です。Thru-Reflect-Line*
ワーク・アナライザで最初に導入)を
ストリップのフィクスチャ測定の校正
(TRL*)2
ポート校正は、従来の SOLT
改良した校正方法です。TRL* は、フ
は、さらに困難なものとなっています。
フル
2
ポート校正方法に代わる校正方
ァームウェア・バージョン 2.0 以上の
法として、マイクロストリップ環境の
8720B および 8719A ネットワーク・ア
ネットワーク・アナライザの同軸ポー
デバイス測定においてより単純で使い
ナライザでも使用できます。これらの
トにおける校正によって、ネットワー
やすい基準を使用しています。
ネットワーク・アナライザは 86386A/B
ク・アナライザおよびフィクスチャに
アップグレード・キットによりファー
ムウェア・アップグレード・パッケー
ジが利用可能です。
はじめに
マイクロストリップ・
デバイス測定
本ノートの測定には、Inter-Continental
Microwave(ICM)シリーズ TF-3000 ア
ジャスタブル・テスト・フィクスチャ
が使用されています。
図 1 マイクロストリップ伝送ラインの構成
2
フィクスチャされた
デバイスの測定方法
リファレンスプレーン・
ローテーション
マイクロストリップ環境でのデバイス
測定からテスト・フィクスチャの影響
を除去するには、いくつかの方法があ
ります。目的とするアプリケーション
にどの方法がもっとも適しているかは、
希望の確度、校正基準、および測定に
費やすことのできる時間数によって異
なってきます。インフィクスチャ校正
を除きここで説明する各方法を実行す
る場合、テスト・フィクスチャを接続
するポイントのできるだけ近くで、ま
ず同軸校正を行うことをお勧めします。
同軸校正後も、フィクスチャの長さ、
ロス、およびミスマッチの影響を DUT
から取り除くことはできません。
フィクスチャにごく僅かなロスおよび
ミスマッチがある場合
8720 ファミリのネットワーク・アナラ
イザには、測定データからフィクスチ
ャの長さに起因する位相影響を除去す
るための 2 つの機能が備わっています。
電気的遅延では、位相がリニアに変化
するよう計算して基準信号経路に遅延
を加え、フィクスチャの長さに起因す
る位相を打ち消すようにします。これ
に対しポート・エクステンションでは、
各ポートで見られる遅延を減算してい
くため、各テストポートのリファレン
スプレーンをフィクスチャを通してデ
バイスまで延長することができます。
測定からフィクスチャの長さによる影
響を除去するためには、なるべくポー
ト・エクステンションを使用してくだ
さい。電気的遅延は、その際デバイス
の実際の遅延の測定に使用できます。
どちらの方法においても、リファレン
スプレーンの設置には単純なインフィ
クスチャ校正基準のみが必要となりま
す(反射測定に対し open/short、伝送
測定に対し thru)。目的とするパラメー
タの位相フォーマットを観察しなが
ら、表示トレースがフラットになるま
で電気的遅延またはポート・エクステ
ンションを加えます。これにより、リ
ファレンスプレーンがフィクスチャを
通してデバイスまで延長されます。
図4
図2
ポート延長とインフィクスチャ校正
を比較した FET 測定
同軸校正とインフィクスチャ校正を
比較した FET 測定
図3
参照プレーンの設定
3
ノーマライゼーション
タイムドメイン・ゲーティング
ディ-エンベディング
フィクスチャにごく僅かなミスマッチ
がある場合
高周波数では、通常フィクスチャには
長さに加えて測定可能なロスがありま
す。したがってフィクスチャとデバイ
ス間で、位相に加え振幅におけるシフ
トも生じます。そこで表示データから
これらの影響を除去するために、ノー
マライゼーションという手順が使用で
きます。フィクスチャのロスおよび長
さの測定には、単純なインフィクスチ
ャ基準のみが必要となります(反射測
定に対し open/short、伝送測定に対し
thru)。アナライザの内部メモリに目的
とするパラメータのデータをストアし
て[DATA/MEM]を押し、測定からフ
ィクスチャの影響を減算するとデバイ
スのロスおよび長さが表示されます。
フィクスチャにごく僅かなロスがある
場合
タイムドメイン反射計測(TDR)によ
り、テスト・フィクスチャの不連続性
に起因する反射位置を正確に測定でき
ます。TDR は、8720 ファミリのネット
ワーク・アナライザ(オプション 010
装備)によって実行され、周波数ドメ
イン応答の逆高速フーリエ変換(FFT)
を計算し、計算されたタイムドメイン
応答を表示してフィクスチャに起因す
る個々の反射応答を観察します。その
後タイムドメイン・ゲートを適用し、
デバイス周辺にのみゲート・スタート
およびストップ・マーカを設定するこ
とにより、フィクスチャの不必要な応
答を選択的に除去します。タイムドメ
イン・ゲートをアクティブにすると、
ゲート外の応答が効果的に除去されま
す。またタイム・ドメイン・ゲートを
適用したまま周波数ドメインに戻れ
ば、フィクスチャ応答の影響なしで測
定のデバイス・データを見ることがで
きます。
フィクスチャの特性が既知の場合
ディ-エンベディングは、フィクスチ
ャを表す等価ネットワークを減算する
ことで、データに埋め込まれたフィク
スチャの影響を除去する計算プロセス
です。フィクスチャを表すには、測定
した S パラメータ・データを使用する
方法とモデル化したデータを使用する
方法の 2 つがあります。データを測定
する場合、個々の周波数においてフィ
クスチャの各半分を直接測定する必要
があります。フィクスチャの半分の等
価集中要素コンポーネント・モデル
は、リニア回路シミュレータを使用し
て各測定周波数ポイントにおけるフィ
クスチャの影響を計算して求めます。
測定あるいはモデル化によってフィク
スチャの S パラメータが既知となれば、
それらは測定された DUT の応答からデ
ィ-エンベッド(除去)できます。こ
の方法により、インフィクスチャ校正
を繰り返し行うことなく、インフィク
スチャのリファレンスプレーンを得る
ことができます。
図6
図7
図5
ノーマライゼーションとインフィク
スチャ校正を比較した FET 測定
タイムドメイン・ゲーティング
(ゲート・オンおよびゲート・オフ)
とインフィクスチャ校正を比較した
FET 測定
ディ-エンベディングとインフィク
スチャ校正を比較した FET 測定
4
インフィクスチャ校正
インフィクスチャ校正基準が利用でき
る場合
測定からテスト・フィクスチャのイフ
ェクトを完全に取り除くためには、イ
ンフィクスチャ校正基準が必要になり
ます。従来の SOLT (Short-Open-LoadThru)フル 2 ポート校正方法では、3 つ
の既知インピーダンス基準が必要で
す。SOLT 校正により理論的にはフィ
クスチャによるロス、長さおよびミス
マッチの影響を除去することは可能で
すが、マイクロ波周波数におけるマイ
クロストリップのための高品質基準の
実現は一般的に不可能です。TRL*
(Thru-Reflect-Line)は、マイクロ波周
波数におけるマイクロストリップ測定
に使用可能な 2 ポート校正方法です。
TRL* 校正プロセスは、離散的なイン
ピーダンス基準の集合よりも、単純な
伝送ラインの特性インピーダンスに依
存します。TRL* はフィクスチャによ
るロスおよび長さの影響を除去します
が、フィクスチャのミスマッチに起因
する影響を完全に除去することはでき
ません。
図8
インフィクスチャ TRL* 校正を使用
した FET 測定(マッチ向上のため
固定減衰器を使用)
方法
平易度
精度
マイクロ波周波数
影響パラメータ
における適用性
電気的遅延
A
C
不可
ファクスチャの
想定
単一
ロスおよび
ミスマッチなし
ポート
A
C
不可
エクステンション
ポート 1 : S11、 ロスおよび
S21、S12、
ミスマッチなし
ポート 2 : S22、
S12、S21
ノーマライゼーション
B
B
不可
単一
タイムドメイン
B
B
可能
S11 または S22
ゲーティング
ディ-エンベディング
ミスマッチなし
ロスなし、応答
の分離が良い
C
A
可能
全
モデル化または
測定した S-パラ
メータが利用可能
SOLT
C
B
不可
全
インフィクスチャ
基準が利用可能
TRL*
B
B
可能
全
ミスマッチなし、
簡単なインフィク
スチャ基準が
利用可能
A =より大 B =より小
表 1 フィクスチャされたデバイス測定方法のまとめ
5
8720C ネットワーク・アナライザは 3 サ
ンプラ・レシーバ・アーキテクチャを
とっているので、8510(4 サンプラ・
TRL*(Thru-Reflect-Line)は 2 ポート
レシーバ・アーキテクチャ)で実行さ
校正で、従来の SOLT(Short-Openれる TRL アルゴリズムを適用すること
Load-Thru)フル 2 ポート校正と同じ 12
項 の 誤 り 補 正 モ デ ル が 得 ら れ ま す 。 はできません。そのため TRL* の校正
では、実効ソース・マッチおよびロー
TRL* の主な長所は、伝送ラインを参
照基準として使用する点にあります。 ド・マッチの影響が完全には誤り補正
されません。TRL* 校正後の残留マッチ
なぜなら伝送ラインのインピーダンス
は、ネットワーク・アナライザの生
は、マイクロストリップ・メディアに
(未補正)のテスト・ポートのミスマッ
おいて理解するには最も単純な要素の
チ特性より僅かに良い程度です。
ひとつであるばかりでなく、物理的寸
法や材料からも値を求めることができ
高品質のインピーダンス基準(負荷)
るからです。
が簡単に利用できる同軸、導波管、オ
ンウェーハやそのほかの測定環境で
TRL* 2 ポート校正のプロセスには、基
は、マッチの項が完全に誤り補正され
本的なステップが 3 つあります。この
るため、依然 SOLT が最も正確な校正
うち最初のステップは、フル 2 ポート
校 正 の 伝 送 ス テ ッ プ と 同 じ で す 。 方法といえます。しかし、SOLT 基準
が実用的でないマイクロストリップの
THRU ステップでは、テスト・ポート
測定環境では、TRL* 校正の方が適し
は直接互いに接続するか、短い伝送ラ
ています。
インで接続します。REFLECT ステッ
8720C TRL* 校正
プでは、同一の 1 ポート高反射係数基
準を各テスト・ポートに接続します。
LINE ステップでは、短い伝送ライン
(THRU の場合とは異なる長さ)をポ
ート 1 とポート 2 の間に挿入します。
LRM*
(Line-Reflect-Match)
アプリケーションによっては、
TRL* の実行に制限が設けられます。
通常 8:1 の周波数帯域幅で使用され
る TRL* の LINE 基準は一つですが、
広い周波数範囲をカバーするために
は複数の LINE 基準を使用する必要
があります。さらに低周波数におい
て、LINE の物理的長さが不便なほ
ど長くなる場合があります。
''Thru''
''Reflect''
LRM*(LRM-スター)校正は TRL*
と関連しますが、第 3 の測定基準と
なる測定の特性インピーダンスが伝
未補正でのソース・マッチおよび
ロード・マッチの改善
未補正でのテスト・ポートのミスマッ
チの改善策として、測定プレーンので
きるだけ近くに高品質の固定アッテネ
ータ(8493C や 8490D など)を接続す
る方法があります。固定アッテネータ
のリターンロスは通常ネットワーク・
アナライザのリターンロスよりも良い
ので、システムの実効マッチが改善さ
れます。さらにアッテネータはある程
度、反射信号のアイソレーションをも
たらします。アッテネータはまたε 11
とε 22 のエラー項をより等しくするの
で、ソース・マッチとロード・マッチ
間 の 差 が 最 小 に な り ま す (「 付 録 A TRL* に関する理論」を参照)
。
アッテネータの設置によりシステムの
実効ポート・マッチが改善されれば、校
正後はフィクスチャ伝送のミスマッチ
自体が測定エラーの中心となります。
送ラインでなくマッチした Z0 終端に
基づく点で異なります。TRL* の
THRU 基準と同様、LRM* の LINE 基
準はゼロ長またはノンゼロ長のいず
れかです。TRL* で使用するのと同
じ THRU 基準および REFLECT 基準
が、LRM* でも適用されます。
LRM* には周波数範囲の制限がない
ため、測定状況によってはより便利
です。さらに、TRL* では THRU 基
準と LINE 基準で異なる物理的長さ
を必要とするため、互いに固定され
た物理的距離のコンタクトを持つフ
ィクスチャに使用するのは、実際的
ではありません。
''Line''
図9
マイクロストリップ・フィクスチャ
に対する TRL* 校正ステップ
6
したがって、測定に対するミスマッチ
デバイス測定がバイアスを要求する場
の影響がアッテネータにより改善され
合は、固定アッテネータとフィクスチ
ることはありません。
ャの間に外部バイアス・ティー
(11612A/B など)を追加する必要があ
固定アッテネータはネットワーク・ア
ります。8720C の内部バイアス・ティ
ナライザ・システムの生のミスマッチ
ーは、外部固定アッテネータを介する
を改善しますが、全体的に測定ダイナ
と正しくバイアスを渡しません。測定
ミック・レンジを劣化します。表 3 に、
から外部バイアス・ティーの影響を除
去するために、バイアス・ティーを設 (いくつかのアッテネータペアを用い)
代表的なマイクロストリップ・フィク
置した後で必ず校正を行ってください
(校正中にバイアスをかけないこと)。 スチャに 20GHz で TRL* 校正を実行し
た際の、測定システムの実効ソース・
バイアス・ティーはアッテネータの後
マッチと、対応するダイナミック・レ
に置かなくてはならないため、実質的
ンジの劣化を示します。
にはフィクスチャの一部となります。
図 10
測定セットアップの代表例
リターンロス(代表値)
2GHz
8GHz
13.5GHz
20GHz
40GHz
ネットワーク・アナライザ(未補正):
この校正後のシステムの実効ミスマッ
チは、高反射デバイスの反射測定での
最大の影響をもたらします。同様に、
良くマッチしたデバイスでは、ミスマ
ッチの影響はほとんど無視できる程度
です。このことは次の近似式で示すこ
とができます。
8719C
ソース
18dB
14dB
10dB
-
-
反射量
ロード
24dB
15dB
12dB
-
-
不確実さ= ED+ERS11+ES(S11)2+ELS21S12
ソース
18dB
14dB
10dB
10dB
-
伝送量
ロード
24dB
15dB
12dB
12dB
-
ソース
20dB
16dB
12dB
10dB
10dB
ロード
24dB
18dB
14dB
14dB
12dB
8720C
不確実さ= EX+ETS21+ESS11S21+ELS22S21
8722A
アッテネータ:
8493C
26dB
26dB
19dB
19dB
-
8490D
23dB
23dB
23dB
23dB
19dB
11612A
20dB
20dB
18dB
14dB
-
11612B
20dB
20dB
18dB
14dB
10dB
24dB
24dB
24dB
20dB
18dB
バイアス・ティー:
ここで、
ED =実効方向性
ER =実効反射トラッキング
ES =実効ソース・マッチ
EL =実効ロード・マッチ
EX =実効クロストーク
ER =実効伝送トラッキング
フィクスチャ
マイクロストリップ
表 2 ミスマッチの影響の比較
アッテネータ使用時の TRL* 校正
なし
3dB
6dB
10dB
実効ソース・マッチ
同軸ポート
10dB
11.5dB
14.5dB
17dB
インフィクスチャ
7.5dB
8.5dB
11dB
12.5dB
ダイナミック・レンジの劣化
0dB
6dB
12dB
20dB
表 3 固定アッテネータペア設置時のソース・マッチの改善とダイナミック・レンジの劣化
(フィクスチャのリターンロスは 20dB、20GHz におけるロスは無視できると仮定)
7
TRL* 校正手順
マイクロストリップ環境に対する
TRL* 基準を構築するとき、各基準タ
イプに対し次の必要条件が満足されな
ければなりません。
THRU
ゼロ長
* ロスおよび特性インピーダンスなし(Z0)
* S21 = S12 = 1 < 0 ゜
* S11 = S22 = 0
ノンゼロ長
* THRU の Z0 は、LINE に同じでなければなりません(同じでない場合、平均インピーダンスが使用されます)
。
* THRU の減衰量が既知である必要はありません。
* 基準プレーンの設定に THRU を使用する場合は、挿入位相または電気的長さが周知であり、指定されなければなりま
せん。
THRU ノンゼロ長がゼロ遅延を持つと指定した場合、基準プレーンは THRU の中央に設置されます。
REFLECT
* 反射係数(Γ)量は 1.0 が最適ですが、既知である必要はありません。
* Γ位相は既知の値で、± 1/4 波長または± 90 ゜内に指定されなければなりません。誤りモデルの計算において、2 次方
程式の解のルート選択は反射データに基づき行われます。定義に誤りがあると、測定中の位相が 180 ゜ずれて現れます。
* Γは両ポートで同一でなければなりません。
* 基準プレーンの設定に REFLECT を使用する場合は、位相応答が周知であり、指定されなければなりません。
LINE/MATCH
LINE
* LINE の Z0 が測定の基準インピーダンスを構築します(S11 = S22 = 0)。システム・インピーダンスは LINE の Z0 と同じ
に定義されます。Z0 が既知であるが希望の値でない(つまり 50 Ωでない)ときは、TRL*/LRM* オプション・メニュー
の SYSTEM Z0 が使用されます。
* LINE の挿入位相が THRU(ゼロ長またはノンゼロ長)に同じであってはなりません。THRU と LINE の相違は(20 ゜お
よび 60 ゜)± n × 180 ゜内である必要があります。挿入位相が 0、または 180 ゜の整数倍に近いとき、測定の不確実さ
が著しく増加します。
* 最適な LINE 長は、1/4 波長か、あるいは希望する周波数スパンの中央において THRU に対する挿入位相が 90 ゜となる
長さです。2
* シングル THRU/LINE ペアに対する使用可能な帯域幅は、8:1(周波数スパン:スタート周波数)です。
* 伝送ラインが利用できる程度まで帯域幅を拡張するために、複数の THRU/LINE ペア(Z0 を同一と想定)を使用できま
す。3
* LINE の減衰量が既知である必要はありません。
* 挿入位相は既知であり、± 1/4 波長または± 90 ゜内で指定されなければなりません。
MATCH
* MATCH の Z0 が測定の参照インピーダンスを構築します。
* Γは両ポートで同一でなければなりません。
表 4 TRL* 基準の必要条件
2
1/4 波長 LINE の挿入位相は、周波数により変化します。位相(度)=(360 ×周波数×電気的長さ)/c です。この式をアレンジして、
中央周波数における 1/4 波長 LINE の電気的長さを求めることができます。電気的長さ(cm)= 15/[スタート周波数(GHz)+スト
ップ周波数(GHz)
]です。超マイクロ波周波数(>20GHz)においては 1/4 波長 LINE は非常に短く、構築が難しくなります。この問題
の解決策として、1/4 波長相違する THRU と LINE を構築します。しかし、この際ノンゼロ長 THRU を必要とします。
3
複数の LINE で周波数スパンをカバーするために、希望する周波数スパンを分割しなければならない場合、最適な区切り周波数は幾何
学的平均周波数[√(スタート周波数×ストップ周波数)]となります。
8
TRL* オプション
TRL*/LRM* オプションのサブメニュ
ーには、キャリブレーション Z0(CAL
Z0)およびセット・リファレンス
(SET REF)の 2 つの選択があります。
校正の間に使用する特性インピーダン
ス(CAL Z0)は、LINE 基準(LINE
Z0)
、あるいはシステム(SYSTEM Z0)
への参照が可能です。HP 8720C は、
LINE 基準(LRM* では MATCH 基準)
に等しい基準インピーダンスに初期設
定されます。
LINE Z0 を選択すると、LINE 基準のイ
ンピーダンスはシステム・インピーダ
ンスに正確に一致する(LINE 基準は
反射なし)と見なされます。校正後、
すべての測定は LINE 基準のインピー
ダンスを参照します。たとえば LINE
基準が再測定されると、その応答はス
ミス・チャートの中央に現れます。
LINE Z0 を選択すると、SET SYSTEM
Z0(CAL メニュー内)および OFFSET
Z0(基準定義表内)に入力された値は
無視されます。
分散効果
分散は、伝送媒体が周波数の関数と
しての可変伝播や位相速度を見せる
ときに起こります。分散の結果は周波
数に対する非線形位相偏移となり、
これは一定でない群遅延をもたらし
ます。ここで TRL* 校正方法は、以下
の条件のとき、校正プレーンに至る
までのテスト・フィクスチャの分散
効果を計算に入れます。
SYSTEM Z0 は、必要とする測定インピ
ーダンスが LINE 基準のインピーダンス
と異なるときに選択します。このため
には、LINE の Z0 の値を正確に知ってい
る必要があります。システムの基準イ
ンピーダンスは、CAL メニュー内の
SET SYSTEM Z0 により設定します。
LINE の実際のインピーダンスは、校正
基準定義表に OFFSET Z0 として LINE
インピーダンスの実数部を入力するこ
とにより設定します。たとえば、LINE
が特性インピーダンス 51 Ωを持つ
(OFFSET Z0=51 Ω)ことがわかれば、
これを 50 Ω測定(SET SYSTEM Z0=50
Ω)に対する校正にも使用できます。
校正後、すべての測定は 51 Ωではなく、
50 Ωへの参照となります。LINE 基準を
再測定すると、スミス・チャートの中
央は SET SYSTEM Z0 の現在の値(この
場合 50 Ω)となります。LINE 基準と
して選択できる OFFSET Z0 の値は 1 つ
だけなので、Z0 の値が意味を持つため
には、目的とする周波数レンジ内の定
数値でなければなりません。
1. THRU(ゼロまたはノンゼロ長)
がゼロ電気長を持つと定義され、
基準プレーンの設定に使用されて
いる(SET REF:THRU)。
2. 校正基準として使用される伝送ラ
インが同一の分散特性(すなわち
同一の高さ、幅および比誘電率)
を持つ。
THRU が物理長を持つにもかかわら
ず、基準プレーンの設定にノンゼロ
長 THRU を使用したときは、TRL* 基
TRL* 測定に対する基準プレーンの位
置(SET
REF)は、THRU または
REFLECT 基準により設定できます。
デフォルトの参照プレーン設定は
THRU 基準を使用し、ここでは挿入位
相または電気的長さが既知でなければ
なりません。ノンゼロ長 THRU がゼロ
遅延を持つと指定したときは、基準プ
レーンは THRU の中央に設置されま
す。REFLECT 基準の位相応答(オフ
セット値、リアクタンス値および基準
タイプ)が既知であり校正キット定義
において指定されるとき、THRU の代
りに REFLECT 基準が基準プレーンの
設定に使用できます。
準定義においてゼロ長を持つと定義
されなければなりません。
その後 TRL* 校正キット定義において
各 LINE 基準の実際の電気長から、
THRU 基準の実際の電気長を減算す
る必要があります。それから、それ
ぞれの長さがノンゼロ長 THRU 基準
の長さの正確に 2 分の 1 になるように
して、デバイスを伝送ラインの 2 つ
のショート長間にマウントします。
この構成において、デバイスのポイ
ントに至るまで、測定は正しく校正
されます。
9
TRL* 校正は、8720C TRL* 校正キット
の定義を変更することにより実行され
ます。ガイドラインとして HP 8720C
に TRL* テンプレートが提供されてい
ますが、これはすべての測定状況をカ
バーするものではありません。
REFLECT 基準(No.1)として、フラ
ッシュショート回路が使用されていま
す。その位相の公称仕様のみが要求さ
れ、OFFSET DELAY が 0ps、周波数レ
ンジが 0 ∼ 20GHz に設定されていま
す。ショート回路が最大周波数におい
て 90 ゜以上基準プレーンからオフセッ
トされているならば、その遅延の近似
値を入力することができます。
マイクロストリップ測定のための、
8720C の修正基準クラス割当て表およ
び基準定義表を示します。本校正キッ
トは、0.7GHz を超える範囲については
TRL* を、0.7GHz を下回る範囲につい
ては LRM* を使用しています。
ゼロ長 THRU は、フィクスチャの半分
を直接互いに接続して作成します。
A
B
TRL Thru
4
TRL THRU
TRL Reflect
1
TRL SHORT
RL Line/Match
6
基準
C0 x
C
TRL* LINE/MATCH クラスの割当てに
は、広い周波数範囲をカバーするため
に 3 つの基準を使用しています。既知
の長さの 2 つの LINE 基準(No.1 と 8)
が、0.7 ∼ 4.3GHz および 4.3 ∼ 20GHz
の周波数範囲をカバーするために使用
されています。0.05 ∼ 0.7GHz の範囲の
カバーには、不都合なほど長い LINE
基準の使用を避けるため、MATCH 基
準(No.6)を使用しています。LINE/
MATCH 基準の OFFSET LOSS は、指定
の必要はありません。オフセット Z0 は、
LINE/MATCH の既知インピーダンスと
して、ここでは 50 Ωに設定されていま
す。各 LINE/MATCH 基準の周波数リ
ミットが、周波数分解能エラーを避け
るために、境界周波数の 0.7GHz およ
び 4.3GHz でオーバラップしているこ
とに注意してください。
THRU 基準(No.4)では、OFFSET
DELAY を 0ps、周波数レンジを 0 ∼
20GHz に設定しています。ゼロ長
THRU は、伝送媒体がサポートできる
どの周波数スパンでも使用できます。
ゼロ長 THRU の遅延は正確な値が得ら
れるため、これが通常基準プレーンの
設置に使用されます。
TRL* 基準の定義
7
C1 x
D
E
F
G
基準クラス・ラベル
8
C2 x
TRL LINE/MATCH
C3 x
固定また
終端イン
はスライ
ピーダン
ディング
スΩ
オフセット
表 5 TRL* 基準クラス
割当て表および基
準定義表
周波数(GHz)
最大
50
0
20
COAX
SHORT
0
50
0
20
COAX
THRU
0
50
.05
.71
COAX
MATCH
DELAY/
THRU
85.6
50
.69
4.31
COAX
LINE1
DELAY/
THRU
17.3
50
4.29
20
COAX
LINE2
10-27F/Hz 10-36F/Hz2 10-45F/Hz3
Z0
ロス
ps
Ω
G Ω/s
同軸また 基準
最小
10-15F
遅延
NO.
タイプ
1
SHORT
0
DELAY/
THRU
6
LOAD
7
8
は導波管 ラベル
2
3
4
5
10
修正 USER KIT の保存
TRL* 構成キットを修正後、必ずキッ
ト に 適 切 な ラ ベ ル を 付 け 、[ S A V E
UWER KIT]を押してセーブしておき
ます。この USER KIT は、不揮発性メ
モリにセーブされます。以後の使用の
ために、外部ディスクドライブにより
修正キットをディスクにセーブしてお
くのもよいでしょう。これには、
[CAL][CAL KIT][USER KIT]
[SAVE][STORE TO DISK][STORE
(title file)]を押します。USER KIT は、
保存時点でのアクティブ・キットであ
る必要があります。
8720 ファミリのネットワーク・アナラ
イザにおける構成キットの定義方法に
ついての詳細は、操作マニュアルおよ
びプログラミング・マニュアルを参照
してください。
校正の手順
次に示す手順は、フィクスチャされた
マイクロストリップ・デバイスの測定
に対し、8720C ネットワーク・アナラ
イザが行う代表的な校正手順です。
1. 8720C を、2 ポート S パラメータ測
定用に構成します。10dB 固定アッ
テネータを各ポートに接続し、次
にアッテネータ間にフィクスチャ
を接続します。デバイスがバイア
スを必要とするときは、外部バイ
アス・ティーをアッテネータとフ
ィクスチャ間に接続します。
2. 測定に対する必要なスティミュラス
条件(スタートおよびストップ周波
数、ポイント数、パワー・レベル、
IF帯域幅など)を設定します。
3. [CAL][CAL KIT][USER KIT]
[RETURN][CALIBRATE MENU]
[TRL*/LRM* 2-PORT]を押します。
TRL*/LRM* 校正サブメニューが表
示されます。校正の THRU、S11
REFL、S22 REFL、ISOLATION、
LINE/MATCH の各ステップが都合
の良い順で実行できます。
4. THRU によりフィクスチャの半分
を互いに接続し、[THRU THRU]
を押します。4 つの S パラメータす
べてが測定され、これらの測定が
完了すると THRU にアンダライン
が引かれます。
5. フィクスチャの半分を離し、それら
の間に高 REFLECT 基準(ショート
回路)を挿入します。[S11 REFL
SHORT]を押すと反射係数が測定
され、SHORT にアンダラインが引
かれます。
[S22 REFL SHORT]を押
し、反射係数が測定され、SHORT
にアンダラインが引かれます。
6. ネットワーク・アナライザのテス
ト・セットのシステマチック・ク
ロストークを測定するには、各ポ
ートを終端してアイソレーション
を測定します(S 21 および S 12)。こ
の例のように、システマチック・
クロストークが測定しようとする
レベルよりも十分に下回っている
ときは、特性付けの必要はありま
せん。[ISOLATION][OMIT ISOLATION]を押します。
測定結果
シンプルで利用しやすいインフィクス
チャ校正基準を使用した TRL* は、多
くのマイクロストリップ・デバイス測
定に対し有効な校正方法です。しかし
ソースおよびロード・マッチの項が完
全には補正されないので、フィクスチ
ャ同軸ポートへ固定アッテネータペア
を接続すれば測定が改善される可能性
があります。図 11 に、フィクスチャの
ミスマッチ・エラー改善のために 10dB
固定アッテネータを接続した場合と、
接続しない場合の測定結果を示しま
す。インフィクスチャ測定に対し最高
の確度が要求され、しかも校正基準が
利用できて正確な値が知られている場
合には、SOLT 校正が最良の総合結果
をうみ出します。
7. ショート回路を取り外し、フィク
スチャ・ハーフ間に LINE 基準を挿
入します。[LINE MATCH][DO
BOTH FWD+REV]
[LINE]を押し、
4 つの S パラメータすべてを測定し
ます。周波数スパンがシングル・
ラインの範囲を超える場合は、こ
こで他の LINE または MATCH 基準
の測定を行います。
8. [DONE TRL*/LRM* CAL]を押し
ます。[SAVE REG1]を押して校
正をレジスタにセーブします。
9. デバイスをフィクスチャ・ハーフ
間に接続します。[MEAS]を押し
て 4 つの S パラメータすべてを更新
します。
図 11 10dB 固定アッテネータを接続した
場合と接続しない場合の、TRL* 校
正を使用した FET 測定
11
付録 A
TRL* の背景理論
測定エラー
測定校正の間、一連の既知デバイス
(基準)が接続されます。システマチ
ック・エラーは、基準の測定された応
答と既知の応答間の差により決定され
ます。特性評価がなされると、これら
のエラーは信号フロー・グラフを解く
ことにより、数学的に関連付けられま
す。図 12 で示す 12 項のエラー・モデ
ルには、2 ポート・デバイス測定にお
ける重要でシステマチックな影響のす
べてが含まれています。
測定システム(ネットワーク・アナラ
イザ、テスト・セット、ケーブル、ア
ダプタ、フィクスチャなど)の不完全
性に起因するエラーは、ランダム、ま
たはシステマチックなものに分けられ
ます。システマチック・エラーは反復
性のあるエラーで、ミスマッチ、方向
従来の SOLT フル 2 ポート校正では 3 つ
性、トラッキング・エラーなどがあげ
られます。これらのエラーは測定して、 の既知のインピーダンス基準と 1 つの
伝送基準が必要となります。これらの
8720 ネットワーク・アナライザの内蔵
基準の既知確度が、システマチック・
エラー補正機能により計算的に測定か
ら除去することができます。ノイズ、 エラーがどこまで良く特性付けられる
かを決定します。校正されたシステム
ドリフト、接続反復性のようなランダ
の有効性を表す広く確立された数値
ム・エラーはベクトル・エラー補正機
は、残留するシステマチックな影響
能では改善できませんが、ネットワー
(実効方向性、実効ソース・マッチな
ク・アナライザに備わるその他のツー
ル(アベレージング、IF 帯域幅など) ど)の大きさです。これらの残留影響
は、校正基準の不完全性のために校正
を使用することによって、最小限に抑
されずに残ったシステマチック・エラ
えることができます。
ーの一部です。
図 12
2 ポート 12 項エラー・モデル
TRL* エラー・モデル
図 13
2 ポート・エラー補正測定システ
ムの HP 8720C 機能ブロック図
8720C の TRL* 2 ポート校正では計 10
回の測定を行い、8 つの未知項(2 つの
アイソレーション・エラー項を除く)
の定量化を行います。EXF と EXR の 2 つ
の伝送リーケージ項は、従来の方法を
用いて測定するものとします。8 つの
TRL* のエラー項は、図 14 に示すエラ
ー・アダプタによって表されます。こ
のエラー・モデルは従来のフル 2 ポー
ト 12 項のモデルと多少異なりますが、
従来からのエラー項はそこから得られ
る可能性があります。たとえば、フォ
ワードの反射トラッキング(ERF)は、
ε 10 とε 01 の積により表されます。ま
た、フォワード・ソース・マッチ
(E SF )とリバース・ロード・マッチ
(ELR)がともにε 11 で表され、リバー
ス・ソース・マッチ(E SR )とフォワ
ード・ロード・マッチ(E LF )がとも
にε 22 で表されることに注意してくだ
さい。これらの 8 つの未知の TRL* エ
ラー項を求めるには、8 つの一次独立
式が必要となります。
12
TRL* 2 ポート校正プロセスの最初のス
テップは、フル 2 ポート校正の伝送ス
テップと同じです。THRU ステップで
は、テスト・ポートを互いに直接に
(ゼロ長 THRU)、あるいは長さの短い
伝送ラインで(ノンゼロ長 THRU)接
続し、また 4 つの S パラメータすべて
を測定することにより、伝送周波数応
答とポート・マッチを双方向で測定し
ます。
ここで、フォワードおよびリバース方
向性(E DF および E DR)、伝送トラッキ
ング(E TF および E TR)、反射トラッキ
ング(E RF および E RR)の各項が TRL*
エラー項から得られる可能性がありま
す。これにより、残るのはアイソレー
ション(E XF および E XR)、ソース・マ
ッチ(E SF および E SR )、ロード・マッ
チ(ELF および ELR)の各項となります。
アイソレーション
REFLECT ステップでは、同一の高反射
係数基準(一般にオープンまたはショ
ート回路)を各テスト・ポートに接続
し、測定を行います(S11 および S22)
。
LINE ステップでは、長さの短い伝送
ライン(長さは THRU の場合と異なる)
をポート 1 とポート 2 の間に挿入し、
ここでも 4 つの S パラメータすべてを
測定することにより、周波数応答とポ
ート・マッチを双方向で測定します。
アイソレーション項(E XF および E XR)
を求めるには、さらに 2 つの測定が必
要になります。アイソレーションの特
性付けは、フル 2 ポート校正と同様に
行います。フォワードおよびリバー
ス・アイソレーションは、終端された
ポート 1 から終端されたポート 2 への
リーケージ(またはクロストーク)と
して測定されます。校正のアイソレー
ション部分は、一般にロスの高いデバ
イス(70dB 以上)の測定時にのみ必要
となります。アイソレーション校正を
行う場合、フィクスチャのリーケージ
はアイソレーション校正と測定におい
て同一でなければなりません。
合計 10 回の測定で、10 個の独立式が
得られます。しかし TRL* エラー・モ
デルで求めなければならないエラー項
は 8 つだけです。未知の項の数より測
定回数が多いので、校正デバイスを定
義する 2 つの定数も決定することがで
ソース・マッチとロード・マッチ
きます。TRL* 解では REFLECT 基準の
複素反射係数と、LINE 基準の伝播定
ε 11 項がフォワード・ソース・マッチ
数が得られます。これらの項は解によ (E SF )とリバース・ロード・マッチ
り得られるので、はじめに指定する必 (E LR)の両方を表し、ε 22 項がリバー
要はありません。LINE 基準の特性イ
ス・ソース・マッチ(E SR )とフォワ
ンピーダンスが測定基準となるため、 ード・ロード・マッチ(E LF )の両方
典型(または正確に知られ定義されて
を表すことからわかるように、TRL*
いる)とみなされなければなりません。 校正は、完全につり合いのとれたテス
図 14
ト・セット・アーキテクチャを想定し
ています。しかしスイッチング・テス
ト・セットでは、切換えスイッチが異
なる終端インピーダンス(ポート 1 と
ポート 2 間で変化するため)をもたら
すために、ソースおよびロード・マッ
チ項は等しくなりません。
8720 ファミリのネットワーク・アナラ
イザは 3 サンプラ・レシーバ・アーキ
テクチャに基づいているため、ソー
ス・マッチ項とロード・マッチ項を区
別することはできません。スイッチの
終端インピーダンスは、双方向で同一
と見なされます。したがって、テス
ト・ポート・ミスマッチは完全には補
正されません。次のような想定がなさ
れます。
forward source match (ESF) =
reverse load match (ELR) = ε 11
reverse source match (ESR) =
forward load match (ELF) = ε 22
TRL* 校正の後、残留ソース・マッチ
およびロード・マッチは、ネットワー
ク・アナライザの生の(未補正の)テ
スト・ポート・ミスマッチ特性よりも
多少改善されます。以上が、8720C ネ
ットワーク・アナライザの TRL* 校正
が、8510 ネットワーク・アナライザの
TRL 校正と異なる点です。
8 項 TRL* エラー・モデルと、一般係数
13
8510 との比較
8510 の TRL 校正では、10 の未知項(2
つのアイソレーション・エラー項を除
く)を定量化するために全部で 14 の測
定を必要とします。8510 が 4 サンプ
ラ・レシーバ・アーキテクチャである
ため、THRU と LINE ステップで入射
信号(a1 および a2)の比を測定するこ
とにより、ソース・マッチとロード・
マッチ項がさらに補正されます。スイ
ッチのインピーダンスが測定されれ
ば、それがε 11 とε 22 エラー項の修正
に使用されます。ε 11 タームは修正さ
れて、フォワード・ソース・マッチ
(E SF )とリバース・ロード・マッチ
(E LR)を生成します。同様にε 22 は修
正されて、リバース・ソース・マッチ
(ESR)とフォワード・ロード・マッチ
(ELF)を生成します。8510 ネットワー
ク・アナライザの場合、2 ポート・エ
ラー・モデルの 12 項すべてを決定する
ことができます。
図 15
8510 ネットワーク・アナライザの TRL
は、インフィクスチャ測定用の便利な
校正方法としてだけでなく高確度を得
ることのできる理想的な校正方法とし
て確立されています。8510 の 4 サンプ
ラ TRL を使用したデバイス測定を、
8720C の 3 サンプラ TRL* の場合と比較
すれば、8720C による TRL* が適切と
なる状況を実際に示すことができま
す。図 16 では、外部減衰器を接続しな
い場合の 8510 測定と、外部 10dB 固定
アッテネータとバイアス・ティーのペ
アをフクスチャの前で使用した場合の
8720C 測定を比較します。
2 ポート・エラー補正測定システムのための、
8720(a)および 8510(b)機能ブロック図の比較
14
図 16
8510 と 8720 により行った FET 測定
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vector measurement accuacy enhancement techniques”RF & Microwave
Symposium paper 1982年 3 月
15
1A676
040002204-H
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