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大手町タワー
大手町タワー 大成建設株式会社 2014年12月22日 2014年度 建築特別講義「建築と技術」 内容 開発概要 建物概要 構造概要 新たな技術開発・解体技術 「大手町タワー」 2 計画地・位置図 大名小路 計画地 皇居 永代通り 仲通 り 東京駅 大手町地区 丸の内地区 「大手町タワー」 3 計画地・地下の状況(2009年当時) 丸の内線 半蔵門線 東西線丸ノ内線連絡通路 千代田線 計画地 東西線 三田線 東京駅 「大手町タワー」 4 当時の状況(1) 大手町フィナンシャルセンター 「大手町タワー」 みずほ銀行大手町本部ビル 5 当時の状況(2) 隣地ファーストスクエア側の公開空地 隣地ファーストスクエア側の公開空地 「大手町タワー」 6 東京都都市再生特別区 都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号) 都市の健全な発展等を目的とする法律。最終改正4月1日法律第30号。 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市 計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の 健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の 福祉の増進に寄与することを目的とする(第1条)。 東京都市計画都市再生特別区 大手町一丁目6地区 (東京都告示第1092号) ・地域貢献「大手町の森」 ・公共地下道ネットワークの強化 ・国際級ホテルの誘致 「大手町タワー」 7 デザインへの展開 風格ある都市景観の形成 賑やかで快適安全な歩行者空間の整備 環境に配慮した潤いある広場空間の創出 「大手町タワー」 8 地域貢献「大手町の森」 大手町の森 「大手町タワー」 9 地域貢献 1階 大手町の森 約3600㎡ 「大手町タワー」 【地下1階】プラザ 地下鉄連絡通路 10 地域貢献 低層部断面イメージ 地上「大手町の森」と地下「プラザ」をつなぐ 光あふれる公共性の高い吹抜け空間の確保 「大手町タワー」 11 内容 開発概要 建物概要 構造概要 「大手町タワー」 12 大手町タワー 建物概要 施工場所 : 発注者 : 設計者 : 工事監理者: 工 期 : 用 途 : 建築面積 : 延面積 : 構造・階数: 建物高さ : 「大手町タワー」 東京都千代田区大手町1-6-6他 ㈲東京プライムステージ 大成建設一級建築士事務所 ㈱日本設計 2009年11月2日~2014年4月30日 事務所・ホテル・店舗・駐車場 5,719 ㎡ 198,431 ㎡ RC・SRC・S・CFT造 地下 6階 地上 38階 塔屋 3階 199.7m 13 建築概要・配置図 ・着工予定:2009年11月1日 ・竣工予定:2014年 4月30日 ・計画容積率: 1,599% ・容積対象床面積: 176,483㎡(53,386坪) ・延床面積: 198,431㎡(60,025坪) ・建物絶対高さ: 199.70m ・階数: 地下 6階,地上38階 塔屋 3階 ・主要用途: 事務所(約143,329㎡) ホテル(約 22,790㎡) 店舗等(約 10,404㎡) 「大手町タワー」 14 内容 開発概要 建物概要 構造概要 「大手町タワー」 15 構造設計方針 地上の「大手町の森」と地下の 「プラザ」をつなぐ光あふれる 公共性の高い吹抜け空間の確保 外装デザインの特徴のひとつで ある「スリット」の表現 ホテル階の柱セットバックおよび 柱配置の変更 東京駅周辺の建築物として相応 しい耐震性能の確保 「大手町タワー」 16 構造計画 ・地上部分 柱 :CFT造(B1-32)■900-1500[Fc60-150] S造(32-38) □800 大梁 :S造(端部拡幅) 床 :RC造(軽量2種コンクリート) 制震装置:座屈拘束ブレース+オイルダンパー[地震用] 制振装置:ATMD[風居住性用](屋上) ・地下部分 柱 :CFT造(高層直下部分)■1000-1500[Fc100-150] SRC造(高層直下部分)□1450-1950 RC造(低層部分) □-1000 大梁 :S造(高層直下部分,B1~1階床梁) SRC造(B1~1階床梁) S造(一般部) 床 :RC造 ・基礎部分 形式 :杭基礎と直接基礎の併用基礎 杭 :場所打ちコンクリート杭φ700~φ3000 連続地中壁[TUD工法]厚1800 基礎梁 :RC造 耐圧版 :RC造 厚450~1000 マットスラブ :厚1500 「大手町タワー」 17 超高強度CFT柱の適用(780N級鋼材とFC150充填コン) A 超高強度CFT柱 A 2階伏図 A-A断面 断面 「大手町タワー」 18 最高強度レベルの組合せ Fc150N/mm2コンクリート コンクリート強度: 一般の6倍 Fc150N/mm2 コンクリート 780N/mm2鋼材 鋼材強度 : 一般の2倍 超高層ビルの下層階で 大空間を実現 「大手町タワー」 引張強さ 780N/mm2鋼材 超高強度CFT柱 19 強度バランスの良い組合せ 鋼材 N/mm2 バランスのとれた高強度化 980 大手町1-6/大成2011~2012施工 780 成子坂/大成施工2009 590 両国三丁目/大成 1995 490 日本橋 浜町/大成 2003 新都市ハウ ジング指針 90 60 100 150 200 コンクリート Fc 300 高強度CFTの進化 「大手町タワー」 20 強度バランスの良い組合せ 600 780N/mm 鋼 400 500 590N/mm2鋼 300 2 2 400 2 490N/mm 鋼 200 300 Fc150 200 100 Fc100 100 Fc60 0 コンクリート応力(N/mm2) 鋼材応力(N/mm ) 700 0 0 1000 2000 3000 ひずみ(μ) 4000 5000 780N鋼とFc150の限界ひずみが等しい 高強度材料の利点を最大限に発揮 弾性限ひずみが大きい 大地震時の大きな変形まで,無損傷(弾性) 「大手町タワー」 21 断面耐力の比較 柱断面積:従来の1/2 比較的小さい柱断面・少ない柱本数で, 大きな建物重量を余裕を持って支持が可能 「大手町タワー」 22 超高強度CFT柱の実験 【問題点】 ・指針,規準における 材料強度の適用範囲外 ・既往の研究がない 「大手町タワー」 【試験により構造特性の把握】 ・圧縮特性 ・短柱~長柱の曲げ耐力 ・変形性能 ・破壊モードの確認 ・適用可能範囲 (軸力・曲げ耐力・限界変形) ・柱の長さに応じた 耐力評価手法を確立 23 23 実断面でのコンクリート充填試験による検証 【問題点】 ・施工性(圧力) ・充填性 ・強度発現 ・収縮低減効果 落し込み 「大手町タワー」 圧入 24 充填用 FC150Nコンクリートの開発 【新調合を開発】 ・膨張材+収縮低減剤 ⇒ 低収縮化 ・長時間高流動性を持続(3時間) ・新たに大臣認定を取得 調合条件 W/B(水結合材比) 15% 早強性膨張材 30kg/m3 収縮低減剤 (高性能減水剤に混入) スランプフロー 75cm 高い流動性を保持 本コンクリート 膨張材+低減剤 自己収縮の比較(簡易断熱試験体) 「大手町タワー」 25 実大箱形断面溶接施工試験 【問題点】 ・未知なる鋼材への危惧 780N/mm2鋼による溶接技術 予熱,最大入熱量・パス間温度の制限 ・溶接性および品質 試験体の溶接 溶接後の要求性能の確保 実大溶接施工試験 により溶接条件設定 「大手町タワー」 完成した試験体 26 実大箱形断面溶接施工試験 【問題点】 ・採用する高炉メーカー毎 に異なる予熱 ・厳しく制限された 最大入熱量・パス間温度 【方策】 ・メーカー別にy形溶接割れ試験 による溶接予熱下限値の設定 ・実大試験施工による入熱とパス間管理 を行うことで実工程の把握 角継手のパターン 50 CO2ガスアーク 「大手町タワー」 9 FB-16×32 50 サブマージアーク 13 50 50 50 FB-25×50 狭開先 溶接 柱WEB 柱FLG 8 SAW 柱WEB 柱FLG 柱FLG CO2 2° 35° 30° 柱WEB FB-25×75 50 狭開先ガスアーク 27 実大箱形断面溶接施工試験 【試験結果】 ・溶接条件:予熱温度、入熱量、パス間温度 ・鉄骨工場ごとに、溶接方法と溶接条件を設定 ・すべての溶接部位で設計条件をクリア 実施工された箱型断面 試験片 引張試験 箱形断面鋼管の溶接技術の確立 「大手町タワー」 28 施工性(圧力) 【課題】 コンクリート粘性大 ・圧送圧力・圧入圧力の確認 ・適切な充填速度の検討 0.30 【実験】 ・配管の圧力損失の把握 ・ポンプ圧送性の確認 圧力損失( 圧力損失(N/mm N/mm2/m /m) ) Fc150(膨張材入) 0.25 Fc150(膨張材無) Fc150(今回 Fc150(今回, (今回, 膨張材入) 0.20 y = 0.0114 x( x(膨張材入) 0.15 y = 0.0038x (膨張材無 (膨張材無) 膨張材無) 0.10 0.05 0.00 【結果】 適切な圧送速度の把握 0 5 10 15 20 25 30 実吐出量(m 実吐出量(m3/h) /h) ・圧送速度 0.2m/分以下 「大手町タワー」 29 充填性 【課題】 ダイアフラム部の充填性確認 ・圧入充填工法、落し込み充填工法 ・充填に適した鋼管柱のディテール 工法毎の充填性 【実験】 工法ごとに実大実験 圧入充填工法 「大手町タワー」 落し込み充填工法 30 充填性 【結果】 適切な施工条件の把握 ・良好な充填性を確認 ・適切な充填速度の把握 ・鋼管ディテールの確認 充填工法の差異なし ダイアフラム下部の充填状況 「大手町タワー」 ※写真の中央部および4隅部分は コンクリート充填孔部分 31 強度発現 【課題】 ・ダイアフラム近傍での 強度変動 ・実大断面での強度発現性 実大柱試験体 【結果】 ・良好な強度発現 ・ダイアフラム近傍での 強度変動なし 「大手町タワー」 Fc150 強度試験 コア採取位置 圧縮強度 (N/mm2) ダイアフラム近傍 ダイアフラム近傍 155 ダイアフラム以外 ダイアフラム 以外 160 短柱 154 32 収縮低減効果 【課題】 ・自己収縮による空隙発生の懸念 【結果】 大断面でも収縮低減効果を確認 ・硬化後も鋼管への圧力が残存 100 鋼管ひずみ 4面平均 160 80 鋼管表面温度 120 60 80 40 40 20 0 鋼管表面温度(℃) 鋼管ひずみ( 鋼管ひずみ(× ×10-6) 200 0 0 24 「大手町タワー」 48 72 96 経過時間(時間) 120 144 168 33 コンクリートの充填施工 ビデオ撮影による充填確認 「大手町タワー」 34 軸力分布(1階柱) ・高軸力が作用する10台の柱:超高強度CFT柱 (780N級鋼材 と Fc150コンクリート) 断面寸法1500mm角,鋼管厚さ50mm ・上記以外の柱:高強度CFT柱 (TMCP385 or SA 440鋼材 と Fc100コンクリート) NL=33,750 ~ 63,360 kN 1階柱の長期軸力の分布 1階柱の長期軸力の分布 (NL[kN]) kN]) 「大手町タワー」 η=0.07~0.13 1階柱の軸力比の分布 1階柱の軸力比の分布 (η=N η=NLx1,000/(Ac・ x1,000/(Ac・Fc+As・ Fc+As・F)) F)) 35 計測結果(長期間のひずみ) 鋼材ひずみεS (実測) 鋼材ひずみεS (予測) コンクリートひずみεC (実測) コンクリートひずみεC (予測) コンクリート弾性ひずみ(予測) コンクリートクリープひずみ(予測) ・鋼管のひずみは,計算値と実測値はほぼ等しい ・コンクリートのひずみは,実測値の方が計算値よりやや大きい傾向にあるが,同程度 ・実測したコンクリートおよび鋼管のひずみは,長期許容ひずみに対しともに同程度の 高い余裕度あり 鋼材およびコンクリートのひずみの推移 「大手町タワー」 36 テコレップ システム 「大手町タワー」 Taisei Ecological Reproduction System 37 ご清聴ありがとうございました 38