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海半球用磁力計のポンペイ観測点への設置
技術研究報告(東京大学地震のl 究所)N o .2 ,1 2 5 1 2 9f , [ 1 9 9 8年. T e c h n i c a lR巴 s e a r c hR e p o r t( E a r t h q u a k eR巴 s e a r c hI n s t i t u t , 巴U n i v e r s i t yo fTokyo),N o .2 , p .125~129 , 1 9 9 8 海半球用磁力計のポンペイ観測点への設置 小山 茂*・歌田久司**・浜野洋三*** I n s t a l l a t i o no faMagnetometerSystemi nPohnpei e d e r a t e dS t a t e so fM i c r o n e s i a I s l a n d,F ShigeruKOYA M AヘHisashiUTADA**andYozoHAMANO料 , * 成分)の毎秒測定,ブラックスゲートセンサ一容器内部の はじめに 温度の毎秒測定.観測システムは,これらのセンサーと 平成 8年度から 5ヶ年計画としてスタートした科学研究 GPS時計を使用してデータを 1 0 0メガバイトの ZIPディ 費補助金・新プログラム(創成的基礎研究)i海半球ネット スクで約 50日間記録可能な記録部, ワーク」では,さまざまな地球物理観測ネットワークを太 給する電源部により構成されている(図1). DC12Vと 2 4V を供 図 lに示した記録部および電源部は室内に設置し,セン 千洋地域に展開することを目指している(浜野, 1 9 9 7a ) . その一環として,地球儲場の精密観測を実施して,地球深 J計計測部は野外に設置した.センサーと儲 サーおよび磁 ) 部の電磁気構造や磁場変動を詳しく研究することを目的と 力計計測部の聞や磁力計計測部と記録部の聞などはケーブ する海洋島電磁気観測が計幽されている(浜野, 1997b). ルで接続されるが,保護のため全て塩ビパイプに通して 3 0 平成 9年 3月に我々はその最初の観測点として, -50cm程度の深さの溝を掘って埋設した.以下に述べる ミクロネ シア連邦のポンぺイ島(北緯 7度,東経 1 5 8度,通称ポナ センサーの設置をはじめ,ケーブルの設置などの作業は, ぺ Ponape島 , 1 9 7 9年独立時に元の現地語の名前に戻る) 高校の技術実習の一環という扱いで大勢の生徒の手によっ に観測装置を設置した. て行われた. 新しく海半球プロジェクト用に開発されたフラックス ポンペイ島の設置場所は,島の南東部にある職業訓練高 校 PATS (PonapeAgricultureandTradeSchool)であ ゲート磁力計では,赤道付近においては強度が小さくなる る.ここでは,すでにポセイドン計画で地震計を設置し, 鉛直成分を正確に測定するため, 広帯域地震観測が行われている(深尾, 1 9 9 7 ) . ルで陥り下げている. 日射の強い場所に設置した時にセン この論文では,地磁気観測装置およびその設置の概要を 3軸のセンサーをジンパ サーの温度変化を避ける目的で,地ド約 1mにコンクリー 報告する. 卜の台を作り,その上に完全防水型のセンサ一容器を置い てプラスチックのケースをかぶせて土で覆った(図 2 ) .フ ポンペイ島における地磁気観測装置と ラックスゲート依力計の温度特性は 1 nT/ o C程度であるこ その設置の概要 とが確かめられている 地磁気観測装置(テラテクニカ製 RFP-523) は,以下の フラックスゲート磁力計の計測部 は,センサーから約 20m離れた場所に置いた. 測定を行う:プロトン総力計による全儲 ) Jのサンプリング プロトン磁力計のセンサーは,泌さ約 70cmの穴を堀り 間隔 I分の測定,センサーがジンパルで品られたフラック コンクリートで固定したアルミのポールで支持され,地上 スゲート磁力計の出力を 2 0bitA/Dで 1 6Hzサンプリン 高 200cmの位置にある(悶 3 ) . プロトン磁力計計測部は, グしたものを平均化した地磁気 3成分(南北・東西・鉛直 そこから約 20m離れた場所にフラックスゲート磁力計計 測部と一緒にプラスチックの箱に入れてビニールシートで 1 9 9 7年 9月 2 2円受付. 1 9 9 7" f1 1月 4日受 J l j . l *八ヶ岳地球屯儀気観測所,判海半球観測研究センター, ( 東 京大学地震研究所).山東京大学大学院理学系研究科. *YatsugatakeG e o E l e c t r o m a g n e t i cO b s e r v a t o r y Ocean Hemisphere Res巴a r c h C巴n t e r, ( E a r t h q u a k e R e s e a r c h I n s t i t u t e,U n i v e r s i t yo fT o k y o ) .* * *Department o fE a r t h andP l a n e t a r yP h y s i c s,( U n i v e r s i t yo fT o k y o ) . , 材 包み,一部が地上に出るようにして埋設した(図 4 ) . 2つ の磁力計のデータはここでディジタル信号としてまとめら れ,記録部へ長さ 100mのケーブルを介して転送される. データ記録部と電源部は, ZIPディスクの交換等の保守 をお願いしている PATSの先生 ( D r .MiklosSzentkilalyi ) 1 2 5 1 2 6 小山 茂・歌阿久司・浜野洋〈 115v AC ーーーーーーーーーーーー"ー幅一ーーーーーーー一周『胃司自ー」 GPSアンテナ GPS信 号 プロトン磁力計 センサー 3成分フラックスゲート センサー 図1. 磁力計システムのブロック図.電源部はシステム全体への電力供給を行う.記録部は,各計測部へのコマンドの出力, 計測データの受信およびディスクへの書き込みなどを行う. 図 2 フラックスゲート磁 )J計センサーの設置状況 海 、l 三球用磁力計のポンペイ観測点への設置 図 3 . プロトン磁力計センサー 図 4 . プロトン磁力計計測部, フラックスゲート磁)]計計測部とコネクターボッケス. これらを 青色のプラスチックケースに収めて設置した. 1 2 7 小1 1 1 茂・歌問久司・浜野洋 L 1 2 8 図5 . 記録部(た),電源部(中央),および白動市用バッテリー(右) の宿舎に設置した(図的. GPSアンテナは宿舎の屋根の縁 1973) の影響で南北成分の円変化が顕著に見られる.セン に固定した. システム全体は GPSの信号によって更正さ サ一容器内部の調度変化には l日周期の変動がほとんど見 れた時計(精度約 0 . 0 0 1秒)によって制御される.記録部の られないので, このデータを用いて日変化程度までの周期 CPU部 に は IBM製 の palmtopPC1 1 0が 使 用 さ れ て い 成分の解析を行うことは十分可能であると考えられる. る. CPU部は, 1分ごとにプロトン磁力計に与える励磁コ 横車自の 78~80 R 目 に か け て デ ー タ に 異 常 が 見 ら れ る マンドの出力,プロトン磁力計が計測するデータとフラッ ) . これはこの観測期間で唯一発生した,測定装置 (矢印 A クスゲート磁力計で l秒ごとに計測されるデータの受信, のトラブルによる欠測である.このようなトラブルも, それらのデータに GPSによる時刻データの付加などの制 ファックスのやりとりを行うことによって復旧することが 御を行い,以上をまとめて Z IPディスクに記録する.実際 できた.なお記録の右端近くに 10nTあまりの鉛直成分の には Z IP ドライブの消費電力を抑えるため,データを毎時 飛びが見られる(矢印 B) が,この原因は不明である. O分と 3 0分にディスクに書き込むようにコントロールさ 約 6ヵ月の間に,東西成分と鉛直成分にややドリフトが 見られる. これは,温度との相関が見られないので,実際 れている. 電源部は, AC115Vを DC12Vと 24V に変換して,記 の磁場変化とそれぞれの成分に固有のドリフトの重ねあわ 録部に供給すると同時にバッテリーを充電する.ここで せであると考えられる. したがって,長期的な変動の解析 は,現地調達した 12V の自動車用バッテリー 2個を直列 を行うためには絶対磁気測定が必要である. にして使用した. このバッテリーによって停電が発生しで 謝 辞 :PATSの B i l l o t t i校長先生はじめ Szent k i l a ly i も,約 2日間このシステムが動作するようにパックアップ 先生や大勢の生徒達にお世話になり,観測機器の設置が予 されている. 定通りできたことを感謝申し上げます.名古屋大学の山間 観測データ 記録は 4週間に 1囲 , ZIPディスクを交換して郵送して いただいている.関 6に,これまでの観測(1997年 3月 1 3 日 ~9 月 12 日)で得られた地磁気 4 成分(全磁力,南北・ 東西・鉛直成分)およびセンサー温度の記録を示す. この 観測点は低緯度であり,磁力線は日本に比べると水平に近 くなっているため,磁場の南北成分と全儲力がきわめてよ く似ている.また日本など中緯度で東西成分の日変化をも たらしている電離層の Sq電流系の影響がほとんど見られ ないかわりに,赤道ジェット電流(例えば永田・等松, 功夫助教授には,準備段階からいろいろとお世話になった ことをこの機会をかりで御礼申し kげます. 文 献 深尾良夫, 1 9 9 7,海、い球ネットワーク計 l 阿.地震学分野,月刊地 9,8 1 2 . 球 , 1 浜野洋三, 1 9 9 7a,海半球ネットワーク 地球内部をロi Jliく新しい I d , 月!日地球, 1 9,3 7 . 浜野洋_, 1 9 9 7b,海、│モ球ネットワークでの 7 E鋭気観測,月 f l J地 球 , 1 9,2 3 2 8 . ノ'~ffi i 氏・等松隆夫, 1 9 7 3, 超高岡大気の物理学, ~Jì'HH , p p . 4 5 3 . 海半球用磁力 J 十のボンベイ観測点への設置 1 2 9 Ponape0 3 1 3 0 9 1 2 ( ト C)工 司 50 O 5 0 100 20 40 60 80 100 120 140 160 180 20 40 60 80 100 120 140 160 180 350 戸 300 ε250 0 200 O L 門川州1'1i""rん川いγ J ← 、 、 圃 . . 戸 「 岨 50 川沖 C -100 t ト サ -150 ー2 00 t A 回 . : ; , : . . 1 . P D , l l B 20 40 60 80 100 120 140 160 20 40 60 80 100 120 140 160 20 40 60 100 120 140 160 180 38300 . . . . 3 8 2 5 0 ← 、、- C 38200 u . .38150 38100 29 立 28 ト 27 180 day 図 6 観測により得られたデータ (1 997 年 3 月 13 日 ~9 月 12 F l ) . 1 :からブラックスゲート磁 )J計会による南北 ( H ), 東西 (D),鉛 l 白成分 ( Z ) とプロトン磁力百十による全磁 ) J( F) およびブラックスゲート磁力言│センサ一容器内部の溢度 ( T ) .