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27年7月分(9月28日開催)

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27年7月分(9月28日開催)
平成27年7月分 自治医科大学附属病院 事後検証結果報告
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開催日時 平成27年9月28日(月) 18時00分~20時00分
2
場
3
検証医師 鈴川教授、山下准教授、米川医師、富永医師
4
出 席 者
⑴
所 自治医科大学 教育研究棟 1 階 大教室2
消防機関
小山消防19名 芳賀消防29名 石橋消防9名 筑西消防13名
栃木消防3名 鹿沼消防2名 十日町消防2名
⑵ 医療機関等
獨協医科大学病院 医師1名
芳賀赤十字病院 医師1名
新小山市民病院 医師1名
新上三川病院 医師1名
協和中央病院 医師1名 看護師1名
⑶
精神保健福祉センター2名
⑷ 栃木県職員3名
5 検証症例 CPA、ロード&ゴー、重症症例、特定行為症例(処置拡大該当)
全55件(対象症例4件)
搬送困難症例 対象症例5件
【検証結果】
①
普通乗用車の単独事故。町道を走行中道路脇の電柱に衝突、80歳代男性1名が負
傷した。
傷病者は自力で脱出していたが、水田内にいたため救出に時間を要し、また、車両の
衝突により電柱が根元から折れており、2次災害の危険性があった症例。骨盤部圧迫
により激痛の訴えあり、骨盤骨折の疑いによりロード&ゴーを宣言した。
・地域的に水田が多いので、各消防本部でどのような活動をしているのか?
→救急車に水田用の長靴を積載している。
・救急隊の活動は問題なし。
②
10代男性、ラグビーの試合中に相手選手と接触、相手の胸部に顎からぶつかり受
傷した。意識レベル JCS3、恥骨結合部に圧痛あり。関係者が二次医療機関に連絡し
ていたが、救急隊から観察内容を伝えたところ、他の病院をあたるよう回答を得た。
次いで自治医科大学附属病院救命救急センター(以下自治医大救命センター)に収容
依頼と併せて観察内容と病院選定の経過を伝えたところ、そのような状況であればロ
ード&ゴーで来てくださいとの回答であった。
・病院の選定理由
ロード&ゴーの症例でとちの木病院が第一選択となったのはなぜか?
→初期評価ではバイタルサイン安定のためロード&ゴー宣言せず。
・受傷機転からなぜ骨盤骨折を疑ったのか。初期評価は正しかったか?
→アメフト、ラグビーでは首、脊椎、頭の怪我がほとんどであり、骨盤骨折は稀で
ある。
・運動競技による外傷では、グラウンドから運び出す際にバックボードを使用したほ
うがよい。
・医師から「この症例はロード&ゴーですか?」と質問された際に「じゃあロード&
ゴーを宣言します。
」という回答は良くない。現場の救急隊が自分たちで判断すべきで
あり、ロード&ゴー症例ではないのなら違うと伝えてほしい。
③
心停止前の傷病者に対する輸液を実施した症例。60歳代男性、お金がなく、一週
間前から食事が摂れず水だけで生活していた。気分不快、体が動かないとの訴えだが、
麻痺はなし。ECGはAfで徐脈、脈拍は橈骨にて充実、既往に心筋梗塞があるが胸
部症状は曖昧な回答。重症感なく二次医療機関から選定開始、選定中に血圧低下がみ
られ、明らかな心原性ショックを疑う所見はなく、特定行為の指示(心停止前の傷病
者に対する輸液)を受け、静脈路確保及び輸液を一秒一滴で実施した。
・既往に心疾患があり、心原性ショックの判断が難しい症例。
・ショックに対する輸液で一秒一滴の指示はなぜか。
→心原性ショックであっても、うっ血性心不全でなければ急速輸液で問題ない。
・ショックに対する輸液を考えているのであれば、医師に直接繋がる電話で指示要請
と収容依頼を併せて行ってほしい。
④ 40歳代男性、けいれん重積発作の傷病者、老朽化した共同住宅 2 階から搬送した
症例。狭隘な屋外階段で傾斜が急な状況、雨天のため足元が滑りやすい。消防隊の応
援を要請し、バックボードに固定して搬送した。
・けいれん重積発作中の傷病者をバックボードに固定して搬送するのは果たして適切
なのか?同じような症例で各消防ではどのようにしているのか。
→エアーストレッチャーを活用、救助隊を要請して2階開口部(窓など)から舟形タ
ンカ等を活用し搬送、ターポリンマット(足袋付)で慎重に搬送等で対応している。
・バックボードは階段等で斜めにした場合、体がずれてしまう可能性があるので適切
な搬送方法ではない。
【搬送困難症例】
(初診時重症以上で医療機関収容依頼 4 件以上または現場滞在 30 分以上)
70歳代男性、自宅にて呼吸苦を訴えた。眼球結膜に黄染あり、腹部の膨隆、下肢
①
の浮腫、紫斑が観察された。下肢の浮腫及び疼痛により歩行困難。本人が搬送を拒否、
現場滞在32分。
・キーパーソン(家族等)を見つけて説得、無理であれば直接医師と話をする方法も
ある。
・救急隊の活動は問題ない。
②
70歳代男性、自宅でCPA。事前管制による病院選定回数4回。
・搬送困難症例を検証する上で、国の基準では事前管制も含めるようにとなっている
ため該当した症例。救急隊の活動は問題ない。
普通乗用車と大型トラックの衝突事故、普通乗用車の運転者(50歳代男性)が負
③
傷。体幹部から両下肢が挟まれていたため救出に時間を要した症例。現場滞在35分。
・初動は救急隊のみであったが、間もなく救助隊も出動しており活動は問題ない。
70歳代男性、自宅階段付近で倒れるような音を聞いた家族が意識のない傷病者を
④
発見。先着消防隊によりCPAを確認、CPR実施中に心拍が再開した。病院選定回
数4回。
バイタルサイン:意識 JCS300、呼吸 10 回、脈拍 66 回、血圧 70/64、体温 36.4℃
・上記のバイタルサインであれば、重症対応で救命センターでもよいのでは?
→消防隊からのCPA情報により事前管制を行った。
・救急隊、消防隊の活動は問題ない。
90歳代女性、養護老人施設(ショートステイ)から帰宅後に意識レベルの低下、
⑤
嘔吐及び水様性の下痢を起こした症例。現場滞在39分。
・収容医療機関は家族の希望により選定。医師が院外にいたため連絡及び回答に時間
を要した。
・重症対応で活動しているとは思うが、年齢からも重症診断されやすい。収容医療機
関も協力してくれているが、当症例時にはたまたま不在となっていた。
・救急隊の活動は問題ない。
【精神科救急受入困難】
①
30歳代女性、菓子店内で自力歩行困難となった。問いかけに対する返答、発語な
し。傷病者が持参していた診察券をもとに病院選定するも、昨日受診しており、もう
見るところがないので収容不可の回答、別の二次医療機関に搬送となった。
同日、家族とともに上記搬送先医療機関からの帰宅途中、車内で暴れだしたため家
族が警察を要請、その後コンビニエンスストア駐車場内で気分不快と全身の脱力を訴
え救急要請となった。最初の搬送では、医療機関で各種検査を行い内科的な異常はな
く、精神科疾患が疑われるとの診断であり、栃木県精神科救急情報センターへ連絡す
るも、現在の症状(全身の脱力)では精神科救急対応ではなく、本日受診した医療機
関もしくは明日近くの精神科を受診、または茨城県在住の方なので茨城県精神科救急
情報センターへ問い合わせしてくださいとの回答。再度上記医療機関に収容を依頼す
るも内科的異常なく、精神科対応は専門外との回答。現場滞在1時間3分。
・栃木県精神科救急情報センターへ連絡しても、精神科救急対応ではなく身体科の疾
患ではないかという回答が多く感じられる。
・上記症例の場合、同日に同様の症状で搬送しても診察に苦慮するのではないか。
・精神科疾患と身体科疾患に対する相互理解を深めるべき。
・栃木県精神科救急情報センターとしては精神症状、身体症状、本態行動を確認して
振り分けを行っているが、現在の状況で機能しているのか。症状に対する確認・判断
が正しかったかチェックする体制を構築する必要がある。
・栃木県精神科救急情報センターの実績に対する検証はされているのか。されていな
ければ検証をしていただきたい。
・精神科医療機関に内科医を置いてほしい。
・救急は待ってくれない。検討を待っている時間はない。
次回検証会は平成27年10月26日(月)
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